元スレサトシ「…………ピカチュウ……」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ○
401 = 1 :
* * *
うぅ……。
負けない、負けるもんか。
ボクを捨てたアイツを、見返してやるんだ。
体中が痛い。
立ち上がるも、足がフラフラだった。
「さぁ、これでフィニッシュだ!“はかいこうせん”!」
相手の口にエネルギーが溜まっていく。
あんなの食らったら、一たまりもないや。
でも、避ける気力も――
「気をつけろ、ピカチュウ!くるぞ!」
サトシ……。
「諦めるな!お前は強い!絶対勝てる!ピカチュウ!」
サトシがボクを応援している。
命令も聞けないこんなボクを、応援してくれている。
ごめん……ごめんよ、サトシ。
君のことは、嫌いじゃないんだ。
好きになるのが、怖いだけなんだ。
もう、裏切られたくないから。
失いたくないから――
「“はかいこうせん”発射!」
轟音を発して、高威力のエネルギー光線は放たれた。
真っ直ぐに、ボクへ向かって。
避けなきゃ。
でも、足が動かない……。
「かわせ!ピカチュウーーッ!!」
……ッ!
* * *
402 = 341 :
おもしれーけどこのスレで終わる気しねーな
403 = 1 :
「ピッ……カァ!」
間一髪、ピカチュウは跳ね退けて光線を回避した。
「チッ……虫の息が」
舌打ちする青年。笑顔が崩れる。
「いいぞ、ピカチュウ!」
「ピカ!」
その時、ピカチュウの目には確かな闘志の炎が見えた。
――いける!
2人の息が、初めて揃った瞬間だ。
「ピカチュウ!ニドキングの足場に電撃を放て!」
「ピィィカッチュウウゥ!!」
ピカチュウは俺の指示を受け入れ、ニドキングの足場に電撃を放った。
地面が爆ぜ、砂煙が舞う。
ニドキングの視界を奪うことに成功した。
「へぇ、電撃をこんな風に活用するなんてね」
「伊達に場数は踏んでないさ」
ピカチュウがニドキングを相手にするには、ただ突っ込むだけでは駄目だ。
「ピカチュウ!“でんこうせっか”で接近!」
「ピカ!」
ピカチュウは風を切り、大地を駆ける。
404 = 1 :
「邪魔な砂は振り払え」
ニドキングは尻尾を振り回して周囲の砂を吹き飛ばす。
だが、もう遅い――視界が晴れた時には、ピカチュウはニドキングの目の前まで接近していた。
「ニドキング、“メガトンパンチ”で返り討ちにしろ!」
「かわして“アイアンテール”!」
ピカチュウはニドキングの拳を身を翻してかわし、鋼と化した尻尾で見事なカウンターを決めた。
「クッ、ニドキング!」
ニドキングがよろける。
だが、決定打ではない。
「ピカチュウ、叩き込むぞ!“ボルテッカー”!!」
「ピッカァ!」
体に雷を纏わせ、隙を生んだニドキングへ猛スピードで突進する。
405 = 1 :
「チャンスだ、捕らえろ」
そこで、青年の怪しげな笑み。
ニドキングは瞬時に体勢を整え、ズッシリと身構え、猛スピードで向かって来るピカチュウを見定める。
馬鹿な。このスピードのピカチュウを捕まえるつもりか?
いや、無理に決まってる。
「構うな、そのまま突っ込め!」
ピカチュウは更に加速。
ニドキングの腹部へと――
そして、大きな衝撃音。
「ふふふ、残念だったね」
「ぴ……ぴかぁ……ッ!」
結果、ピカチュウの体はニドキングの両手にしっかりと捕らえられてしまった。
「そ、そんな……」
判断を誤った。
ピカチュウはニドキングの手の中で必死にもがいてみせるが、そう簡単に拘束は解けない。
自由が利かない。
電撃は効かない。
成す術が、ない。
「ふふふ、終わりだね。“はかいこうせん”!」
捕まったまま、ゼロ距離での一撃。
悲鳴さえ、聞こえなかった。
406 = 1 :
ボロボロになったピカチュウが宙を舞う。
ピカチュウはピクリとも動かない。
しかし――
「続けて“ギガインパクト”」
冷酷かつ残酷な青年の声。
ニドキングは攻撃の反動を受けることもなく、追い撃ちへと移行する。
ニドキングは体全体に力を込め、走り出す。
スピードに体重を乗せた、渾身の一撃。
狙いは、空中で身動きの取れない――動く気配もないピカチュウ。
そして、激しい衝撃音。
直撃だった。
ピカチュウは悲鳴を上げることもなく、勢いのままに遥か後方へと吹き飛ばされ、大木に衝突した。
俺は、呆然と立ち尽くす事しかできなかった。
407 = 1 :
* * *
「――カチュウ!――ピカ――」
切れ切れに聞こえる、サトシの声。
近くにいるはずなのに、遠い、遠い。
ボクの体は、鉛のように重かった。
指先一つ、動かない。
意識があるのは、奇跡だった。
「ははは、やっぱり弱っちいままだねぇ。オレの勝ちだ」
そんな中、あの男の憎たらしい声だけはハッキリと聞こえた。
ボクは、負けたの?
「――まだ――勝負――終わっ――」
また、サトシの声。
切れ切れだけど、負けを否定しているみたいだ。
そうだ。
サトシはまだ諦めてない。
応えなきゃ。
サトシの気持ちに、応えなきゃ――
そして、あの男に思い知らせてやるんだ。
ボクの強さを……!!
* * *
408 = 1 :
「そんな馬鹿なッ!」
青年は目を丸くした。
瀕死のダメージを負ったピカチュウが、立ち上がったからだ。
「はは……ピカチュウ。お前はやっぱ強いよ……」
俺は自然と笑みをこぼす。
「ピカチュウ、いけるか?」
「ピカ!」
強く頷く。
その力は何処から湧いてくるのだろうか。
とにかく今は、ピカチュウの力を信じるだけだ。
「さぁ、バトル続行だ」
「クッ……」
青年は苦い顔をする。
それもそのはず、大技の連続使用で、ニドキングはかなり疲労していた。
しかしピカチュウも極めてギリギリな危険な状態。
勝負は、次の一手で決まる。
両者、しばしの沈黙、静止。
生温い風が頬をうつ。
409 = 1 :
ボーーッ、と船の汽笛。
それを合図に、双方同時に動きだす。
「ピカチュウ、“ボルテッカー”!」
「ニドキング、“ギガインパクト”!」
両者共、突進攻撃。
猪突猛進。
体と体のぶつかり合い。
鈍く、大きな衝撃音。
激突の後、両者共に静止する。
場は沈黙。
先に倒れた方は、負けを意味する。
俺も青年も、まばたきを忘れて見入っていた。
そして――
「ふふふ、お見事」
大きな音を立てて倒れたのは、ニドキングだった。
410 = 1 :
「勝った……」
「……っぴか……っぴか……」
息を切らすピカチュウ。
「戻れ、ニドキング」
青年は力尽きたニドキングをモンスターボールに戻す。
激闘を制したのはピカチュウ。
俺達は、勝ったんだ。
「はは、よくやったな!ピカチュウ!」
俺はピカチュウのもとへ駆け寄り、ボロボロになったその小さな体を抱き上げた。
「少し我慢してくれ。すぐポケモンセンターに連れてってやるからな」
俺の言葉に、ピカチュウは弱々しくも頷く。
そこへ、パチパチと拍手をしながら寄ってきたのは、相変わらずの笑顔をした青年だった。
411 = 1 :
「いやー、お見事」
腹立たしい程に眩しい笑顔で、青年は近寄ってきた。
俺は自然と身構える。喧嘩腰。
本能がそう感じ取ったからだ。
「なんだよ」
だから俺は、突き放すような冷たい言葉を放つ。
すると青年は、ピカチュウに手を差し延べ――
「戻っておいでよ」
と、笑顔で一言。
412 = 308 :
青年ってヒトカゲ捨てた奴みたいだな
413 = 1 :
「……は?」
青年の発言に、俺は耳を疑った。
「見直したよ、ピカチュウ。だからオレのところへ帰っておいで」
だが、青年は確かに言った。
「そんなトレーナーよりも、オレの方がお前をより強く鍛え上げることができる。見た目も、ライチュウに進化させれば少しはかっこよくなるし」
少年はそんなことを、悪びれる様子もなく淡々と言ってのけた。
ピカチュウはただ、ジッと青年を見ていた。
その顔は寂しそうな、呆れたような。
それでも決して、青年の差し延べた手を取ろうとはしなかった。
「さあ、おいで」
ズイッと、青年が手を突き出す。
俺は瞬時にその手を叩き払った。
青年は一瞬驚いて、俺を睨む。
「なにするんだい?」
「お前、もう黙れ」
この時、俺の中の何かがプツンと切れた。
414 = 308 :
と思ってたらそーでござった
415 = 1 :
左腕ではピカチュウを抱え、垂れ下がる俺の右拳は怒りに奮えていた。
「いい加減にしろよ。お前はピカチュウをどこまで傷つければ気が済むんだ?」
「傷つけた?何を言ってるんだい?オレはこのピカチュウには特別優しく接し、バトルを重ねて大切に育ててあげていたよ?ピカチュウだってオレを慕っていた。むしろ感謝されるべきだ」
「じゃあ、なぜ捨てた?」
「かみなりの石を持っていなかったから、進化させられなかった。かっこよくないポケモンはいらないからね。そこそこ強くて使える奴だったけど、進化前じゃどうにも決定打に欠けるし……ま、そんなところかな。あまり深い意味はないよ」
トレーナー、いや、人間として、こいつは最低だと思った。
救いようのない、馬鹿。
もはや、怒る気にもならなかった。
「でも今日のバトルで見直した。また優しくしてあげるから、オレのところへ帰っておいで」
もう、かける言葉はなかった。
俺は無言のまま、握りしめた拳で青年の頬を殴った。
416 = 1 :
「なっ……!?」
青年は面食らって、殴られてうっすら赤くなった自分の頬を確かめるように摩る。
「行こう、ピカチュウ」
俺は踵を返し、その場から離れていく。
背中に青年の視線を感じる。
声はない。
ひたすら、視線だけを感じた。
俺は振り向くこともなく、青年との距離をどんどん離していく。
公園の芝生が途切れ、公道のアスファルトに差し掛かった辺りで一度振り向いてみたが、既に青年の姿はなかった。
「なぁ、ピカチュウ」
「ピカ……?」
俺の呼び掛けに、ピカチュウは小さく返事をする。
「いや、なんでもない」
俺は裏切らないからな。
ずっと一緒だ。
そんな言葉をかけようと思ったが、止めた。
必要なのは、言葉じゃないから。
俺は、どんなことがあってもお前を失わない。
強い、決意。
417 = 121 :
急につまんなくなったな
418 = 1 :
* * *
――同時刻。
「チッ……!」
大海原の上を高速で飛行するポケモン、ミュウツー。
彼は舌打ちすると、振り向いて、両手に邪悪なエネルギーを集中させる。
目先に、迎え撃つは数十機のヘリ。
漆黒の塗装に、赤文字の『R』をシンボルとした武装ヘリの群れ。ロケット団のものだ。
ミュウツーは、追われていた。
元を辿れば、彼は逃亡の身。
最強の兵器。貴重なサンプル。
追われるのは当たり前だった。
しかし、研究所を脱して以来、足取りを捕まれたのはこれが初のこと。
もし捕まったら、あの忌ま忌ましい研究所へと連れていかれ――それは想像もしたくなかった。
故に抗う。
「ハァッ!」
連続して“シャドーボール”を放つ。
一機、二機と、ヘリは火を噴いて海へ沈んでいく。
ガトリングの銃弾も、追尾ミサイルも、ミュウツーの強力な念力の前では無力に等しかった。
しかし次々と増援が現れ、追っ手の数は中々減らない。
「このままじゃラチがあかねぇ」
気付けば、付近にクチバシティが見えた。
人を隠すなら人混みの中。
ミュウツーは人間の姿に変身し、クチバシティへと降り立つのであった。
* * *
419 = 308 :
ほ
420 = 388 :
瀕死の中ボルテッカー打つとは流石サトシさん
421 = 1 :
ひとまずおわり
422 :
つかれたー
まぁコピペし続けてただけだけど
423 = 1 :
おっと
>>422はスマホのおれ
424 = 248 :
ふつうにおもしろいわ
425 :
乙
続きも楽しみにしてるわ
426 :
ほしゆしえん
星
427 = 1 :
ほ
429 = 307 :
乙
面白かった
430 :
ナイス
432 = 296 :
地の文が想像しやすくて面白い
前にVIPで見たピカチュウのSS思い出すわ
433 :
初代ピカ様が生き返る事を願う
435 = 425 :
ほ
436 = 48 :
うえええてええええ
437 :
ほ
438 :
ほ
439 :
ほあ
440 :
いいな
445 = 426 :
ほほほおしゅっしゅ
447 = 433 :
ほ
448 = 438 :
ほ
450 :
ほ
みんなの評価 : ○
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