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    元スレサトシ「…………ピカチュウ……」

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    201 :

    こういうSSけっこうウケがいいんですよ
    まとめさせてもらいます!

    202 = 36 :

    ひんしとは別に死ぬこともあるんだよな
    元気のかたまりじゃなんともならないんだよな……

    203 :

    ぽけりんですがまとめさせて頂きます

    204 = 1 :

    「……うっ……あぁ…………あっ…………」


    ずっと堪えていたものが、今にも溢れ出しそうだった。


    俺の腕の中で、動かなくなった、ピカチュウ。


    「……うぅ……あぁっ……」


    大切な、大切な……。


    「なぁ……ずっと、一緒……だよな?」


    返事が帰ってくることはない。

    だって、ピカチュウは、パートナーは、親友は……



    死んだのだから。

    205 = 1 :

    「うわぁあぁあぁあぁぁぁ!!!」

    叫び声と共に、大粒の涙がこぼれ落ちた。

    膝から崩れ落ちる。


    抑え切れない悲しみが爆発する。


    俺が、ピカチュウに帽子を渡したりしなければ、こんなことにはならなかった。

    ――大事な帽子だからな。失くしたりしたら許さないぞ?

    そんなことを言ったばかりに、ピカチュウはそれを真に受けて……俺のせいだ。

    俺が悪いんだ。

    206 :

    悲しい

    207 = 1 :

    ピカチュウを救えなかった。


    いや、俺がピカチュウを殺したようなもんだ。


    「うわあああああああ!!!!!」


    どうしようもない、深い悲しみに包まれた。


    それを境に俺は、ポケモントレーナーを辞めた。


    以上が、10年前のあの日のことだ。


     * * *

    208 = 121 :

    ロケット団どこいったんだよ

    209 = 1 :

    一旦休憩

    210 :

    つまりジバニャン>ピカチュウということか

    211 = 36 :

    言ってなくても取りに行きそうだけどな
    このピカチュウは

    212 = 2 :

    ぽけりんみてる?

    ぼくを虹色で載せてくれや

    片平亘

    213 = 1 :

    216 = 1 :

    218 = 1 :

    さいかい

    219 = 1 :

    「…………ピカチュウ……」

    結局、あの日のことを全部思い出してしまった。

    自然と、小さな涙が流れる。

    10年経ったと言うのに、俺は何も変わっていない。


    無意識に走っているうちに、最後にあの野生のピカチュウと出会った場所までやってきていた。


    まだここにいるかもしれない。


    「ピカチュウ!もう一度会って話をしよう!」


    俺は、どうしてあのピカチュウをこんなに必死に捜しているのだろう。

    あの野生のピカチュウに、俺のピカチュウの面影を重ねているだけなんじゃないだろうか。

    仮に、あのピカチュウと仲間になったとして、その後はどうする?

    俺は何がしたいんだ?

    また、ポケモントレーナーになりたいのか?

    また……大切なものを失うのか?

    220 = 1 :

    いくら考えても、今はその答えは見つかりそうもない。



    「ここには、いないみたいだな」

    周囲を捜したが、ピカチュウの姿はなかった。

    ただ気になったのは、弱々しく鳴く5匹のキャタピーの群れ。

    腹を空かしているように見えたので、近くにあった木の実をもぎ取り、置いてやった。


    「……さて」


    トキワシティの方を捜してみるか。


    俺はそのままトキワシティに向けて走り出した。

    221 = 1 :

    暗闇と静寂のトキワシティに着いた。

    嵐の影響で、視界は悪い。
    明かりのない真夜中の街となれば、尚更だ。

    ここで大声を上げるのは近隣の住民に迷惑がかかるので、頼りない視界だけを頼り、あの野生のピカチュウを捜した。

    住宅街を抜け、商店街に入った。

    すると、なんとも女々しい男の声が聞こえた。

    「やっと捕まえたぞう、この泥棒めっ!」

    しかし物騒な内容だった。

    ん?泥棒……?

    泥棒と言う単語に可能性を感じた俺は、その声の主のもとへ走り寄る。

    泥棒。もしかしたらあのピカチュウのことかもしれない。

    近づく。

    暗闇に、一つの人影。
    おそらく声の主だ。

    更に近づく。

    影は徐々に薄れていき、その姿がはっきりとしてきた。

    222 = 1 :

    身なりからして、商店の店員だろう。
    眼鏡をかけた真面目そうな人だった。


    か細いその腕で、必死になにか――おそらく泥棒――を抱え込んでいる。


    「ピィカー!ピッカー!!」


    店員の腕の中でもがいているのは、あの野生のピカチュウだった。


    捕まってしまったのか。


    「ピカチュウ!」

    俺はピカチュウを呼んだ。

    ピカチュウと店員が、俺の存在に気付く。

    223 = 1 :

    「な、なんですか、あなたは!?」

    店員が俺を警戒する。

    「いえ、怪しいものじゃありません」

    俺が一言そう言うと、店員はホッと溜め息をついて警戒を解いた。

    「今取り込み中なんです。ご用がないのでしたらお引き取りください!」

    店員は暴れるピカチュウを押さえ込むのに必死だった。

    「いや、用はあるんです」

    「なんでしょう?」


    さて、どうやってピカチュウを助け出そうか。

    そのピカチュウ、俺のなんです。

    なんて言ったって、ピカチュウがやってきた罪は消えないし、俺まで罪をかぶることになる。

    強引に奪い取るか?

    いや、問題を大きくするだけだ。

    話し合い……はできる状態じゃなさそうだし。

    どうしたものか。

    224 = 1 :

    俺が無言のまま立ち尽くしていると、ふいにピカチュウが叫んだ。

    「ピーカーーッ!」

    俺の方を向いて、叫んでいる。

    必死に、叫んでいる。

    小さな手を伸ばして、叫んでいる。


    いや、助けを求めている。


    「ピーーカーーッ!」


    あれだけ俺を拒絶していたのに、今は俺に救いを求めている。

    心を、開いてくれたのだろうか。

    もう、助ける方法を考える必要なんてなかった。

    225 = 1 :

    「そのピカチュウ。たった今から俺のポケモンになりました」

    意を決して、言った。

    「はぁ?何をおっしゃっているんですか?」

    店員が首を傾げる。

    「そのピカチュウは、俺がゲットします」

    「馬鹿なことを言わないでください。このポケモンは警察に突き出します」

    「なら俺も一緒に突き出してください!」

    「……は?」



    「そいつは……俺のポケモンだから」

    226 = 1 :

    「なるほど、事情はわかったわ」

    書類に走らせていたペンを置いて、ジュンサーさんは言った。


    あの後、俺とピカチュウは店員によってトキワシティの交番に突き出された。

    そして今、俺はジュンサーさんに取り調べを受けているところだ。

    ピカチュウは、逃げ出せないようにゲージの中に入れられている。


    「つまり、あなたは野生のピカチュウを庇ったって訳ね」

    「はい」

    ジュンサーさんにはきちんと真実だけを話した。
    まぁ、嘘をつく理由もない。


    「きっとそのピカチュウ、トキワの森の放火事件の被害者ね」

    真剣な表情で言う。

    227 = 1 :

    「住み処を追われ、家族を失い、生き方がわからなくなり、泥棒に走った。
    生きる為には、仕方のないことかもしれないわね」

    ジュンサーさんの言うことは一つの正論だった。

    でも、それで罪が消える訳じゃない。

    「あなたがこの子のトレーナーだと言い張るなら、法律上、ポケモンの犯した罪はトレーナーもかぶることになるけど?」

    「はい、覚悟の上です」


    ピカチュウと一緒に、罪を償っていこう。


    「ふふ、いいトレーナーに出会えたわね」

    ジュンサーさんはゲージの中のピカチュウに優しく微笑んだ。

    228 = 36 :

    なんと察しの良い

    229 = 1 :

    「うん。あなたの人間性に免じて、今回の件は見逃してあげるわ」

    「……え!?」

    素直に驚きをあらわにした。


    「もとあと言えば、今回は野生のピカチュウによる独断の犯行だし……」

    それに、と加えて。

    「警察より、あなたの方がこの子を正しい方向へ導いてくれる気がするの」

    ジュンサーさんはニコリと笑った。

    「ジュンサーさん……はい、俺、このピカチュウを大事に育てていきます!」

    ゲージの中のピカチュウを見る。

    俺と目が合うと、ピカチュウはそっぽを向いた。

    「………………」

    まだ、完全に心を開いてくれた訳ではないようだ。

    230 = 1 :

    「しかし!」


    ジュンサーさんが人差し指を突き立てる。

    「罪は消えても、被害にあった街の人たちの怒りは消えないわ」


    ごもっとも。


    「明日、街の広場に今回の件の被害者を集めます。あなたはそのピカチュウと一緒に、しっかりと被害者の方々に謝罪をすること」

    「はい!」

    俺は強く頷いた。


    「それでは、また明日ここへ来てちょうだい」

    「わかりました」


    話を済ませ、俺とピカチュウは交番を後にした。

    231 = 1 :

    交番から出ると、あれだけ激しかった嵐は嘘のように止んでいた。

    清々しい空気の夜道を、俺とピカチュウは歩いている。


    「何はともあれ、良かったな、ピカチュウ」

    俺の隣をペタペタと歩くピカチュウに言った。

    「ピ」

    そっぽを向いた。

    「…………」


    あれ……?
    さっきの、店員に捕まって俺に助けを求めていたあれはなんだったのだろう。

    誰でもいいから助けてくれ。ってことかい?

    なんだよ、感動ぶち壊し。


    いや、まぁ、それでも……。
    出会った当初みたいに威嚇はしてこないし、少しは打ち解けた……ってことで、いいのかな?

    232 = 1 :

    「ピッ!」

    突然、ピカチュウが走り出した。

    「あっ、待てよ!」

    俺は慌てて追い掛ける。



    そのままピカチュウが止まることはなく、俺とピカチュウの追い掛けっこはしばらく続いた。

    233 :

    おもろい

    234 = 1 :

    「おーい、待てよー!」

    ピカチュウを追い掛けること数分。


    気付けば、トキワシティとマサラタウンを繋ぐ道路まで来ていた。

    さっき、ピカチュウを捜した場所だ。

    そういえば、木の実をやったあのキャタピー達はどうしたのだろう。


    前方のピカチュウはようやく立ち止まり、とある一本の木の根本に寄っていく。

    235 = 1 :

    「ピカ!」


    木の根本には、あの時の5匹のキャタピーがいた。

    ピカチュウはそのキャタピーに話かけている。


    「なんだ、ひょっとして、友達だったのか?」

    俺はしゃがんで、ピカチュウに訊いてみた。


    無視された。



    「ピカ、ピカピカ」

    ピカチュウとキャタピー達の会話が、気になって仕方がない。


    手持ち無沙汰になった俺は、ふと夜空を見上げる。

    綺麗な星が輝いていた。

    236 = 1 :

    * * *


    「みんな、遅くなってごめん。お腹空いてないかい?」

    「僕らは大丈夫だよ。さっき、そこの人間が木の実を取ってくれたんだ」

    「え、この人が?」

    ピカチュウは驚いたようにサトシを見上げた。

    サトシは夜空を見上げている。


    「ねぇピカチュウ。この人は誰なんだい?」

    「ボクにもよくわからない。……けど、悪い人間じゃないんだ」

    「へぇ、キミが人間に心を許すなんて」

    「そ、そんな訳じゃないよ!」

    ピカチュウは頬を少し頬を赤らめて――元々赤いが――否定した。

    237 = 1 :

    「無理しなくていいんだよ」

    「キミがあの人間に着いて行きたいと言うのなら」

    「僕らはそれをとめたりしないよ」


    「みんな……でも、ボクがいなくなったら……」


    「大丈夫。僕ら5兄弟、力を合わせれば生き抜いていける」

    「だから、安心して」

    「君は、君の道を進むんだ」


    「……みんな……」


    「今まで、お世話してくれてありがとうね」


     * * *

    238 = 1 :

    綺麗な夜空に魅了され、だんだんと首が痛くなってきたところで、俺は足元のピカチュウに目をやった。

    キャタピー達との会話は終わったようだ。

    「話は終わったかい?」

    「ピカ」

    ピカチュウは頷いた。

    どうやら俺の声に耳を貸してくれたようだ。

    「よし、じゃあ、マサラタウンへ行こう。今夜は俺の家に泊まりな」

    俺はピカチュウに手を差し延べる。

    「ピ」

    ピカチュウはそれを無視して一人でテクテクとマサラタウンに向かって歩き始める。

    「………………」

    なかなか、手強い。

    いや、くじけちゃ駄目だ。

    これから少しずつ打ち解けあっていけばいい。

    239 :

    これ書き溜めてるんだよね?

    240 = 1 :

    「ただいま」


    俺とピカチュウは、俺の家に着いた。


    玄関で靴を脱いでいると、リビングの方から母さんが駆け寄ってきた。


    「おかえりなさい」


    心配していたのか、母さんは俺の顔を見ると安堵して胸を撫で下ろした。


    昔なら「どこへ行ってたの!?」などと怒声を浴びるところだが、俺ももう成人。
    そんな怒られかたは――

    「いきなり家を飛び出して、どこへ行ってたの!?」

    怒られた。

    241 = 121 :

    キャタピーも連れていってやれよサトシ鬼畜

    242 = 1 :

    「母さん心配したんだがら。本当にもういくつになっても世話のかかる…………あら?」

    母さんがピカチュウに気が付いた。


    「……ピカチュウちゃん?」



    俺はリビングで、一部始終を母さんに説明した。


    「なるほどねぇ。それであなた、これからどうするの?」

    「とりあえず、明日トキワシティの人達に謝罪。それからのことは、これから考える」

    「……そう」


    話も早々に、俺は自室へ向かった。

    243 = 1 :

    「さぁ、今日はもう寝ようか」

    俺は押し入れから座布団を引っ張りだし、ピカチュウのための寝床を用意した。

    「さぁ、寝床ができ――――」

    俺が今の一連の作業を行っている間に、ピカチュウは俺のベッドに横になっていた。

    まさか……いや、まさかな。


    「なーんだ、俺と一緒に寝たかったのか。そうかそうか、早く言えば良かったのに」

    俺は無理に笑ってピカチュウのいるベッドに潜り込もうとした。

    「ピ!」

    蹴られた。


    そのまさかだった。

    244 = 1 :

    「……俺に床で寝ろと?」

    「ピカピカ」

    2回頷いた。


    畜生。



    「まぁいいさ。明日からよろしくな、ピカチュウ」

    「…………」

    静かな寝息が聞こえた。


    そうして、俺とピカチュウの初めての夜は更けていった。

    245 = 1 :

    ――翌日。


    トキワシティにて、俺とピカチュウは大衆の前に立っていた。

    ジュンサーさんが与えてくれた謝罪の場だ。


    「皆さん、本当にご迷惑をおかけしました」

    俺は改めて、誠意を込めて謝罪せる。

    ピカチュウも自分の罪は理解しているのか、反省したようにペコリと一礼する。


    「ふざけるな!そんな言葉だけで納得できるか!」

    「大体、お前には関係ないだろう!」

    「そのピカチュウは厳重に処罰されるべきよ!」


    しかし、被害者の怒りはそう簡単には消えない。

    246 = 1 :

    「待って!俺の話を訊いてください!」

    俺は必死に訴えかけた。

    「部外者は引っ込んでろ!」

    「そのピカチュウを差し出せ!」

    「お前みたいなガキには、俺達の怒りは理解できないだろう!!」


    飛び交う怒声。


    たくさんの空き缶や石ころ等を投げつけられた。

    「ピ!」

    大きめの石ころがピカチュウの額に当たり、ピカチュウはうずくまる。



    ――もう、我慢の限界だった。

    247 = 1 :

    「テメーら!いい加減にしやがれ!!」

    俺は怒りに任せてそんなことを叫んでしまった。

    飛び交っていたゴミはピタリと止み、人々は目を丸くして絶句する。


    嫌な沈黙が流れた。

    248 :

    逆にサトシが死ぬのとかも見てみたい

    249 = 1 :

    「確かに、悪いのは泥棒をしたコイツかもしれない……。でも、コイツだって好きでこうなった訳じゃない!」

    「ピ……」

    俺は人々に必死に訴えかける。
    ピカチュウは、そんな俺を見上げていた。

    「コイツだって、本当は森で静かに過ごしていたかっただけなんだ!
    その森を焼き払ったのは人間じゃないか!コイツが人間を憎むのは当然だ!」

    俺の言葉に、民衆は徐々に威勢を失っていく。

    「森の放火事件で一番被害を受けたのは人間じゃない!そこに住んでいたポケモン達だ!」

    一度息を調えて、続ける。

    「それなのに俺達人間は、犯人探しばかりに目を向け、住み処を失ったポケモン達を保護しようともしないじゃないか!」


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