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元スレ剣士「依頼があれば……この剣でなんでも斬る!」
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剣士「女騎士さん、俺に名誉挽回のチャンスを与えるため」
剣士「わざとコソドロに手を出さないでくれて、ありがとよ!」
剣士「だがな……さっきアンタに負けた恨みはまだ残ってるんだからな!」
女騎士「!」
ワイワイ……
「なんだそういうことか」 「騎士がコソドロにビビるわけないしな」 「だよなぁ」
散っていく町民たち。
剣士「さて、帰るか」
女騎士「ま、待て!」
剣士「ん?」
女騎士「キサマ……なぜ私をかばうようなマネをした!」
女騎士「私が実戦で役に立たず、こんな平和な町に派遣されるハメになったこと──」
女騎士「キサマほどの腕なら、察することができたはずだ!」
剣士「わざとコソドロに手を出さないでくれて、ありがとよ!」
剣士「だがな……さっきアンタに負けた恨みはまだ残ってるんだからな!」
女騎士「!」
ワイワイ……
「なんだそういうことか」 「騎士がコソドロにビビるわけないしな」 「だよなぁ」
散っていく町民たち。
剣士「さて、帰るか」
女騎士「ま、待て!」
剣士「ん?」
女騎士「キサマ……なぜ私をかばうようなマネをした!」
女騎士「私が実戦で役に立たず、こんな平和な町に派遣されるハメになったこと──」
女騎士「キサマほどの腕なら、察することができたはずだ!」
剣士「だって……アンタはエリートだろ?」
剣士「エリートは俺の……いやみんなの憧れだ」
剣士「そのアンタがコソドロにビビったなんて知れたら、みんなガッカリするだろ?」
剣士「別にアンタのためにやったわけじゃないから、気にすんな」
女騎士「…………」
剣士「ま、これで一勝一敗ってことで……仲良く町を守っていこう」
女騎士「……考えておく」
~おわり~
剣士「エリートは俺の……いやみんなの憧れだ」
剣士「そのアンタがコソドロにビビったなんて知れたら、みんなガッカリするだろ?」
剣士「別にアンタのためにやったわけじゃないから、気にすんな」
女騎士「…………」
剣士「ま、これで一勝一敗ってことで……仲良く町を守っていこう」
女騎士「……考えておく」
~おわり~
第五話『老人を研ぐ』
< 町長の家 >
町長「ふう……」
町娘「どうしたの、おじいちゃん?」
町長「年を取るというのは、イヤなもんじゃのう……」
町長「頭のキレも、体のキレも、すっかりなくなってしもうた……」
町長「そろそろワシも引退かのう……」
町娘「そんなことないわよ! 元気出してよ、おじいちゃん!」
町長「…………」フゥ…
町娘「んもう、急にどうしちゃったんだろ)
町娘(頭のキレ、体のキレ……。そうだわ、こういう時は!)
< 町長の家 >
町長「ふう……」
町娘「どうしたの、おじいちゃん?」
町長「年を取るというのは、イヤなもんじゃのう……」
町長「頭のキレも、体のキレも、すっかりなくなってしもうた……」
町長「そろそろワシも引退かのう……」
町娘「そんなことないわよ! 元気出してよ、おじいちゃん!」
町長「…………」フゥ…
町娘「んもう、急にどうしちゃったんだろ)
町娘(頭のキレ、体のキレ……。そうだわ、こういう時は!)
< 剣士の家 >
剣士「──で、俺に町長さんを元気づけろ、と」
剣士「……なんで俺なんだよ!?」
町娘「だって~、頭のキレや体のキレをよくするんなら」
町娘「やっぱりよく斬れる剣を持つ、剣士さんの仕事でしょ?」
剣士「絶対ちがう……」
すると──
女騎士「受けてやれ、剣士」ガチャッ…
剣士「女騎士さん! なんでアンタがここに!?」
女騎士「なに、キサマと剣について語り合おうと思ってな」
女騎士(この間の礼をいいにきた、などとはとてもいえん……)
女騎士「だが、町長殿の悩みを解決する方が優先だろう」
町娘「さっすが、女騎士さん!」
剣士(はぁ……こんなの絶対剣士の仕事じゃないって)
剣士「──で、俺に町長さんを元気づけろ、と」
剣士「……なんで俺なんだよ!?」
町娘「だって~、頭のキレや体のキレをよくするんなら」
町娘「やっぱりよく斬れる剣を持つ、剣士さんの仕事でしょ?」
剣士「絶対ちがう……」
すると──
女騎士「受けてやれ、剣士」ガチャッ…
剣士「女騎士さん! なんでアンタがここに!?」
女騎士「なに、キサマと剣について語り合おうと思ってな」
女騎士(この間の礼をいいにきた、などとはとてもいえん……)
女騎士「だが、町長殿の悩みを解決する方が優先だろう」
町娘「さっすが、女騎士さん!」
剣士(はぁ……こんなの絶対剣士の仕事じゃないって)
< 町長の家 >
町長「ふう……」ショボン…
町娘「おじいちゃん、剣士さんと女騎士さんが来てくれたわよ!」
町長「そうかい……すまんのう」
剣士(おおっ、ホントに元気ないな)
女騎士「町長殿、元気を出してくれ」
女騎士「この町は人口が少なく、リーダーの気落ちは皆の士気に関わる」
町長「うむ……それは分かっておるんじゃが……」
剣士(どういう励まし方だよ……軍隊じゃあるまいし)
剣士「まぁ……元気出してくれよ、町長さん」
剣士「俺たちだけじゃない。みんな心配してるんだから、さ」
町長「そうじゃな……ありがとう」
剣士(う~ん、なんかイマイチ効果ないな……)
町長「ふう……」ショボン…
町娘「おじいちゃん、剣士さんと女騎士さんが来てくれたわよ!」
町長「そうかい……すまんのう」
剣士(おおっ、ホントに元気ないな)
女騎士「町長殿、元気を出してくれ」
女騎士「この町は人口が少なく、リーダーの気落ちは皆の士気に関わる」
町長「うむ……それは分かっておるんじゃが……」
剣士(どういう励まし方だよ……軍隊じゃあるまいし)
剣士「まぁ……元気出してくれよ、町長さん」
剣士「俺たちだけじゃない。みんな心配してるんだから、さ」
町長「そうじゃな……ありがとう」
剣士(う~ん、なんかイマイチ効果ないな……)
剣士「まぁ……顔でも洗って、サッパリした方がいいですよ」
町長「どういう意味じゃね……?」
剣士「年寄りの冷や水っていうじゃないですか」
町娘「え?」
女騎士「お、おい!」
剣士「あれ……? これって褒め言葉じゃなかったでしたっけ……ハハ」
町長「ぐ、ぐぬ……」
剣士「まぁ、残り少ない人生ですし、落ち込んで過ごすよりは笑った方がいいですよ」
剣士「あと……頭のキレや体のキレが悪くなってるんですって?」
剣士「なら、小便のキレも悪くなってるでしょ」
剣士「きちんと最後まで出さないと、ズボンとパンツがぬれて──」
町長「いい加減にせいッ!!!」
バチィンッ!
町長のビンタが炸裂した。
剣士「ぎゃんっ!」
町長「どういう意味じゃね……?」
剣士「年寄りの冷や水っていうじゃないですか」
町娘「え?」
女騎士「お、おい!」
剣士「あれ……? これって褒め言葉じゃなかったでしたっけ……ハハ」
町長「ぐ、ぐぬ……」
剣士「まぁ、残り少ない人生ですし、落ち込んで過ごすよりは笑った方がいいですよ」
剣士「あと……頭のキレや体のキレが悪くなってるんですって?」
剣士「なら、小便のキレも悪くなってるでしょ」
剣士「きちんと最後まで出さないと、ズボンとパンツがぬれて──」
町長「いい加減にせいッ!!!」
バチィンッ!
町長のビンタが炸裂した。
剣士「ぎゃんっ!」
町長「ワシは生涯現役じゃ! 分かったか、この若造め!」
町長「ちょっくら走ってくる! えっほ、えっほ……」タタタッ
町娘「剣士さん、大丈夫!?」
女騎士「なぜ、あんな失礼なことをいったのだ! 怒られるのは当然だ!」
剣士「でも……元気は出ただろ?」
町娘「あっ、たしかに……!」
剣士「町娘ちゃんが、俺の剣はよく斬れるっていってたけど」
剣士「ならキレさせれば、町長さんの切れ味もよくなるかなって思ったんだ」
女騎士「なるほど……よく考えたものだ」
女騎士「ただし、あとできちんと謝罪するのだぞ」
剣士(許してもらえなかったら、どうしよ……)
~おわり~
町長「ちょっくら走ってくる! えっほ、えっほ……」タタタッ
町娘「剣士さん、大丈夫!?」
女騎士「なぜ、あんな失礼なことをいったのだ! 怒られるのは当然だ!」
剣士「でも……元気は出ただろ?」
町娘「あっ、たしかに……!」
剣士「町娘ちゃんが、俺の剣はよく斬れるっていってたけど」
剣士「ならキレさせれば、町長さんの切れ味もよくなるかなって思ったんだ」
女騎士「なるほど……よく考えたものだ」
女騎士「ただし、あとできちんと謝罪するのだぞ」
剣士(許してもらえなかったら、どうしよ……)
~おわり~
最終話『守るために斬る』
< 剣士の家 >
少年「先生、さようなら!」
「さよなら~!」 「またよろしくお願いします!」 「さようなら!」
剣士「おう、また来週な!」
剣士(ふう、今日も町は平和だな)
剣士(事件といえる事件は、せいぜいコソドロが悪さをやらかすくらい……)
剣士(そういや、例の大盗賊団もついに壊滅したって新聞に載ってたな)
剣士(こう平和だと、ついついなにか事件が起きないか、なんて期待しちゃうよ)
ザッ……
女騎士「……突然、すまない」
剣士「おお、女騎士さん。顔が青ざめてるが、どうしたんだ?」
女騎士「とんでもないことになってしまった……」
剣士「へ……?」
< 剣士の家 >
少年「先生、さようなら!」
「さよなら~!」 「またよろしくお願いします!」 「さようなら!」
剣士「おう、また来週な!」
剣士(ふう、今日も町は平和だな)
剣士(事件といえる事件は、せいぜいコソドロが悪さをやらかすくらい……)
剣士(そういや、例の大盗賊団もついに壊滅したって新聞に載ってたな)
剣士(こう平和だと、ついついなにか事件が起きないか、なんて期待しちゃうよ)
ザッ……
女騎士「……突然、すまない」
剣士「おお、女騎士さん。顔が青ざめてるが、どうしたんだ?」
女騎士「とんでもないことになってしまった……」
剣士「へ……?」
剣士「盗賊団が……この町に来る!?」
女騎士「ああ、王国軍は大盗賊団を壊滅させた……はずだった」
女騎士「しかし、奴らには分派ともいえる集団がいくつも存在した」
女騎士「奴らは散って、各地の町や村を襲い、金品を得て再起を図ろうとしているのだ」
女騎士「この町にも、その中の一団が来るという情報が入っている」
剣士「人数は……?」
女騎士「集団によってちがうが、100人程度はいると思っていた方がいい」
剣士「100人か……」
女騎士「しかも、この町は首都から遠く、国からの助力はとても期待できない……」
剣士(この町で盗賊とまともに戦える人間なんて……どのくらいいるのやら……)
女騎士「剣士、どうすべきだろうか?」
剣士「戦うのは……正直いって無謀だろう」
剣士「ならいっそ、町を捨てて、みんなで避難した方がいい」
女騎士「……たしかにそうだな。分かった、すぐ町長殿にも知らせよう!」
女騎士「ああ、王国軍は大盗賊団を壊滅させた……はずだった」
女騎士「しかし、奴らには分派ともいえる集団がいくつも存在した」
女騎士「奴らは散って、各地の町や村を襲い、金品を得て再起を図ろうとしているのだ」
女騎士「この町にも、その中の一団が来るという情報が入っている」
剣士「人数は……?」
女騎士「集団によってちがうが、100人程度はいると思っていた方がいい」
剣士「100人か……」
女騎士「しかも、この町は首都から遠く、国からの助力はとても期待できない……」
剣士(この町で盗賊とまともに戦える人間なんて……どのくらいいるのやら……)
女騎士「剣士、どうすべきだろうか?」
剣士「戦うのは……正直いって無謀だろう」
剣士「ならいっそ、町を捨てて、みんなで避難した方がいい」
女騎士「……たしかにそうだな。分かった、すぐ町長殿にも知らせよう!」
< 町長の家 >
町長「なるほど……それはまずいのう」
剣士「まだ時間はありますが、町長さんから公式な声として呼びかけて」
剣士「避難準備をさせた方がいいと思います」
町長「そうじゃな……。すぐ町民に避難準備をさせよう」
剣士「俺も手伝います!」
女騎士「私も協力させてくれ」
町娘「おじいちゃん、あたしも!」
町長「では……ひとまず町民を広場に集めて、状況を伝えるかのう」
剣士「分かりました!」
町長「なるほど……それはまずいのう」
剣士「まだ時間はありますが、町長さんから公式な声として呼びかけて」
剣士「避難準備をさせた方がいいと思います」
町長「そうじゃな……。すぐ町民に避難準備をさせよう」
剣士「俺も手伝います!」
女騎士「私も協力させてくれ」
町娘「おじいちゃん、あたしも!」
町長「では……ひとまず町民を広場に集めて、状況を伝えるかのう」
剣士「分かりました!」
>>1
なんかお前パン屋くさいぞ
なんかお前パン屋くさいぞ
< 広場 >
ザワザワ…… ガヤガヤ……
町長「どうしても必要なものだけ、荷台に乗せて避難するのじゃ!」
女騎士「現在、避難場所は鋭意検討中だ。それが済み次第、全員で避難する!」
「盗賊め……!」 「ま、命がありゃやり直せるさ」 「怖いねえ……」
剣士(ふう……どうにかなりそうだな)
コソドロ「おい!」タタタッ
剣士「おう、コソドロじゃねえか。今はとてもお前にかまってるヒマはねえよ」
コソドロ「お前ら……なにのんきなことやってんだ!?」
剣士「のんきって……どこがのんきなんだよ。今、避難準備のために──」
コソドロ「オイラの情報によると、盗賊団はもう数時間もすりゃこの町に来るぞ!」
剣士「……な」
剣士「なんだとォ!?」
ザワザワ…… ガヤガヤ……
町長「どうしても必要なものだけ、荷台に乗せて避難するのじゃ!」
女騎士「現在、避難場所は鋭意検討中だ。それが済み次第、全員で避難する!」
「盗賊め……!」 「ま、命がありゃやり直せるさ」 「怖いねえ……」
剣士(ふう……どうにかなりそうだな)
コソドロ「おい!」タタタッ
剣士「おう、コソドロじゃねえか。今はとてもお前にかまってるヒマはねえよ」
コソドロ「お前ら……なにのんきなことやってんだ!?」
剣士「のんきって……どこがのんきなんだよ。今、避難準備のために──」
コソドロ「オイラの情報によると、盗賊団はもう数時間もすりゃこの町に来るぞ!」
剣士「……な」
剣士「なんだとォ!?」
剣士「バカいうな。ウソなんかついたってすぐバレ──」
コソドロ「ウソなわけねえだろ! オイラだってこの町の出身なんだ!」
コソドロ「盗み常習犯のオイラを、町の人はいつも国に突き出さず許してくれてる!」
コソドロ「そんなオイラが……こんなウソをつくわけねえだろう!」
剣士(たしかに……コイツはどうしようもない奴だが)
剣士(こういうウソをつくタイプ、でもない……)
剣士「でも……どこでそんな情報をつかんだんだ?」
コソドロ「オイラみたいな人間には似た者同士の間で、ネットワークがあるんだよ」
コソドロ「なんでも、ここに来る盗賊団のリーダーは元王国軍の精鋭らしい!」
コソドロ「モタモタしてたら、みんな殺されちまうぞ!」
剣士(マジかよ……だが、それなら異常な進軍スピードもうなずける)
剣士「分かった……お前を信用しよう!」
剣士「おい、みんな! 突然だが、落ちついて聞いて欲しい!」
剣士は、事態が切迫していることを町民たちに話した。
コソドロ「ウソなわけねえだろ! オイラだってこの町の出身なんだ!」
コソドロ「盗み常習犯のオイラを、町の人はいつも国に突き出さず許してくれてる!」
コソドロ「そんなオイラが……こんなウソをつくわけねえだろう!」
剣士(たしかに……コイツはどうしようもない奴だが)
剣士(こういうウソをつくタイプ、でもない……)
剣士「でも……どこでそんな情報をつかんだんだ?」
コソドロ「オイラみたいな人間には似た者同士の間で、ネットワークがあるんだよ」
コソドロ「なんでも、ここに来る盗賊団のリーダーは元王国軍の精鋭らしい!」
コソドロ「モタモタしてたら、みんな殺されちまうぞ!」
剣士(マジかよ……だが、それなら異常な進軍スピードもうなずける)
剣士「分かった……お前を信用しよう!」
剣士「おい、みんな! 突然だが、落ちついて聞いて欲しい!」
剣士は、事態が切迫していることを町民たちに話した。
ドヨドヨ…… ドヨドヨ……
「あと数時間って……」 「どうすんだよ!?」 「避難場所も決まってないのに!」
町長「みんな……落ちつくんじゃ! 混乱してしまってはなんにもならん!」
剣士(やっぱこうなるよな……今、話すべきじゃなかったか……!?)
すると──
女騎士「落ちつけッ!!!」
ピタッ……
女騎士「この町には私がいる。王国騎士である私がな」
女騎士「心配するな……。私はこの程度の修羅場、何度もくぐり抜けている」
女騎士「今は冷静になって、我々の指示に従うことだけを考えろ」
「そ、そうだっ!」 「女騎士様がいたんだ!」 「よかったぁ~……」
剣士(町長でも鎮められなかった混乱を、一瞬で……これがエリートの力か)
剣士(でも……)
女騎士「…………」ブルブル…
剣士(足が震えてる……本当は怖いだろうに、よくやってくれたよ)
「あと数時間って……」 「どうすんだよ!?」 「避難場所も決まってないのに!」
町長「みんな……落ちつくんじゃ! 混乱してしまってはなんにもならん!」
剣士(やっぱこうなるよな……今、話すべきじゃなかったか……!?)
すると──
女騎士「落ちつけッ!!!」
ピタッ……
女騎士「この町には私がいる。王国騎士である私がな」
女騎士「心配するな……。私はこの程度の修羅場、何度もくぐり抜けている」
女騎士「今は冷静になって、我々の指示に従うことだけを考えろ」
「そ、そうだっ!」 「女騎士様がいたんだ!」 「よかったぁ~……」
剣士(町長でも鎮められなかった混乱を、一瞬で……これがエリートの力か)
剣士(でも……)
女騎士「…………」ブルブル…
剣士(足が震えてる……本当は怖いだろうに、よくやってくれたよ)
女騎士の指示で、避難態勢は迅速に整った。
剣士「ありがとう、女騎士さん」
女騎士「なんの……民を守るのは、騎士として当然の務めだ」
剣士「でも……なにもかも置いて逃げたとしても、女性や子供を交えた逃避行だ」
剣士「もし、盗賊団が本気で追ってきたら……とても逃げ切れない」
女騎士「そうだな……。少しでも時間を稼ぎたいところだ」
剣士「だから……俺が時間を稼ぐ!」
女騎士「な、なんだと!? 死ぬ気か!?」
剣士「なぁに、もちろん俺だって死ぬつもりはないよ」
剣士「奴ら、ゴーストタウンみたいになってるこの町を見たら驚くだろう」
剣士「そのスキに先制攻撃をかまして、何人か斬って、すぐ逃げるさ」
女騎士「……大丈夫なんだろうな?」
剣士「逃げ足には自信がある。任せてくれ」
女騎士「…………」
剣士「ありがとう、女騎士さん」
女騎士「なんの……民を守るのは、騎士として当然の務めだ」
剣士「でも……なにもかも置いて逃げたとしても、女性や子供を交えた逃避行だ」
剣士「もし、盗賊団が本気で追ってきたら……とても逃げ切れない」
女騎士「そうだな……。少しでも時間を稼ぎたいところだ」
剣士「だから……俺が時間を稼ぐ!」
女騎士「な、なんだと!? 死ぬ気か!?」
剣士「なぁに、もちろん俺だって死ぬつもりはないよ」
剣士「奴ら、ゴーストタウンみたいになってるこの町を見たら驚くだろう」
剣士「そのスキに先制攻撃をかまして、何人か斬って、すぐ逃げるさ」
女騎士「……大丈夫なんだろうな?」
剣士「逃げ足には自信がある。任せてくれ」
女騎士「…………」
そして──
< 広場 >
剣士(避難準備ができた家から、次々と町を出てるみたいだな)
剣士(町長さんや女騎士さんが、うまくやってくれたんだな)
剣士(コソドロの話じゃ、盗賊団はあと二時間もしないうちにやってくるだろう)
剣士(俺が斬り殺されるまでに、何人斬れるか……少しでも数を減らさなきゃ!)
すると、女騎士がやってきた。
剣士「女騎士さん……?」
女騎士「剣士……時間稼ぎ、私も手伝おう。人数が多いに越したことはなかろう?」
剣士「で、でも……」
女騎士「心配するな。もう以前のように、実戦で震えたりはしない」
女騎士「それにな、居残り希望者は私一人だけではないのだ」
剣士「え……」
< 広場 >
剣士(避難準備ができた家から、次々と町を出てるみたいだな)
剣士(町長さんや女騎士さんが、うまくやってくれたんだな)
剣士(コソドロの話じゃ、盗賊団はあと二時間もしないうちにやってくるだろう)
剣士(俺が斬り殺されるまでに、何人斬れるか……少しでも数を減らさなきゃ!)
すると、女騎士がやってきた。
剣士「女騎士さん……?」
女騎士「剣士……時間稼ぎ、私も手伝おう。人数が多いに越したことはなかろう?」
剣士「で、でも……」
女騎士「心配するな。もう以前のように、実戦で震えたりはしない」
女騎士「それにな、居残り希望者は私一人だけではないのだ」
剣士「え……」
ゾロゾロ……
妻「水臭いじゃな~い、剣士さん!」
夫「君だけに無理を押しつけるわけにはいかないよ」
青年「ボクも残らせて下さい!」
町娘「あたしも!」
少年「先生、ボクだって戦えるんだ!」
コソドロ「へへへ……一人でかっこつけんなよ」
町長「ワシも町の長として、残らせてもらうぞい」
およそ100人ほどの町民が残っていた。
剣士「み、みんな……」
女騎士「すまぬ……お前が残るというのをどこかで耳にしたらしくてな」
女騎士「ここにいる者たちが、残るといって聞かぬのだ」
剣士「……ありがとう」
剣士「実をいうと、ちょっと心細かったりしたんだ」
妻「水臭いじゃな~い、剣士さん!」
夫「君だけに無理を押しつけるわけにはいかないよ」
青年「ボクも残らせて下さい!」
町娘「あたしも!」
少年「先生、ボクだって戦えるんだ!」
コソドロ「へへへ……一人でかっこつけんなよ」
町長「ワシも町の長として、残らせてもらうぞい」
およそ100人ほどの町民が残っていた。
剣士「み、みんな……」
女騎士「すまぬ……お前が残るというのをどこかで耳にしたらしくてな」
女騎士「ここにいる者たちが、残るといって聞かぬのだ」
剣士「……ありがとう」
剣士「実をいうと、ちょっと心細かったりしたんだ」
剣士「だけど……仮にも戦士として、みんなを死なせるわけにはいかない」
剣士「気持ちだけで十分だ。早く逃げてくれ」
ザワザワ……
妻「そんなっ! あたしは剣士さんのおかげで料理がだいぶマシになったのよ!」
妻「まだ恩を返していないのに……」
剣士「…………」ピクッ
この時、剣士の中であるアイディアが閃いた。
剣士(ん……?)
剣士(今俺はもしかして、とんでもないことを思いついちまったかもしれない)
剣士(この100人で、盗賊団100人相手に時間を稼ぐ──だけでなく)
剣士(町を守り、盗賊団に勝利できるかもしれない作戦を!)
剣士(やってみる価値は……ある!)
剣士「みんな……話があるんだ。聞いてくれるか?」
剣士「気持ちだけで十分だ。早く逃げてくれ」
ザワザワ……
妻「そんなっ! あたしは剣士さんのおかげで料理がだいぶマシになったのよ!」
妻「まだ恩を返していないのに……」
剣士「…………」ピクッ
この時、剣士の中であるアイディアが閃いた。
剣士(ん……?)
剣士(今俺はもしかして、とんでもないことを思いついちまったかもしれない)
剣士(この100人で、盗賊団100人相手に時間を稼ぐ──だけでなく)
剣士(町を守り、盗賊団に勝利できるかもしれない作戦を!)
剣士(やってみる価値は……ある!)
剣士「みんな……話があるんだ。聞いてくれるか?」
ザワザワ…… ドヨドヨ……
妻「分かったわ……。私は初心にかえって、めいっぱい料理を作ればいいのね?」
剣士「そうです。なるべく大量に作って下さい」
剣士「……で、コソドロ」
剣士「お前の役目が一番危険だが……やってくれるか?」
コソドロ「へっ……もちろんよ! オイラもたまにはやってやるよ!」
剣士「頼む……!」
剣士「さて……盗賊団がうまく罠にかかったら、一斉に襲いかかるんだ」
剣士「もちろん、俺と女騎士さんを先頭にな」
剣士「ただし、絶対に無理はしないこと!」
オ~ッ!!!
剣士(さあ、盗賊団……来るなら来い!)
妻「分かったわ……。私は初心にかえって、めいっぱい料理を作ればいいのね?」
剣士「そうです。なるべく大量に作って下さい」
剣士「……で、コソドロ」
剣士「お前の役目が一番危険だが……やってくれるか?」
コソドロ「へっ……もちろんよ! オイラもたまにはやってやるよ!」
剣士「頼む……!」
剣士「さて……盗賊団がうまく罠にかかったら、一斉に襲いかかるんだ」
剣士「もちろん、俺と女騎士さんを先頭にな」
剣士「ただし、絶対に無理はしないこと!」
オ~ッ!!!
剣士(さあ、盗賊団……来るなら来い!)
< 町の外 >
盗賊団はすぐ近くまで迫っていた。
団員A「なんだ、てめえ……」
コソドロ「へへっ……オイラはケチなコソドロっすよ」
コソドロ「アンタたち、これからあの町を襲うんでしょ?」
コソドロ「オイラが案内人になれば、より効率的に略奪できますよ?」
団員B「チンピラなんぞに用はねえ……殺されたくなきゃ失せろ」
コソドロ「ひ、ひいっ! すんません! 失せます、失せます!」ビクッ
コソドロ「ま、あいつら、今日は広場で立食パーティーなんざやってますから」
コソドロ「オイラなんぞいなくても、平気でしょうが……じゃ、さいならっ!」ダダダッ
団員A「ふん、小金目当てのチンケな小悪党が……うざってえ」
団員A「ウチのボスの剣の腕なら、あんな奴は必要ねえんだ」
団員B「だが、立食パーティーか……いい腹ごしらえができそうだな」
盗賊団はすぐ近くまで迫っていた。
団員A「なんだ、てめえ……」
コソドロ「へへっ……オイラはケチなコソドロっすよ」
コソドロ「アンタたち、これからあの町を襲うんでしょ?」
コソドロ「オイラが案内人になれば、より効率的に略奪できますよ?」
団員B「チンピラなんぞに用はねえ……殺されたくなきゃ失せろ」
コソドロ「ひ、ひいっ! すんません! 失せます、失せます!」ビクッ
コソドロ「ま、あいつら、今日は広場で立食パーティーなんざやってますから」
コソドロ「オイラなんぞいなくても、平気でしょうが……じゃ、さいならっ!」ダダダッ
団員A「ふん、小金目当てのチンケな小悪党が……うざってえ」
団員A「ウチのボスの剣の腕なら、あんな奴は必要ねえんだ」
団員B「だが、立食パーティーか……いい腹ごしらえができそうだな」
まもなく、盗賊団が町に侵入した。
< 広場 >
団員A「テーブルに、いっぱい料理が並んでるな。パーティーの最中に逃げたらしい」
団員B「さっきのコソドロがいってたのは、事実だったみてえだな」
ボス「逃げた町民どもは、あとで追跡して始末するぞ。いい見せしめになる」
団員A「ところでボス、この料理どうします? なかなか美味そうですぜ」
ボス「ここまで長旅だったしな……せっかくだ、食っていいぞ」
団員A「そうこなくっちゃ!」パクッ…
モグッ…… ジュルッ……
盗賊たちが、次々に料理に口をつける。すると──
「うげえええっ!?」 「なんだこりゃ!?」 「まずっ……!」
団員A「ひ、ひでえ味だ……毒か!?」
団員B「いや、毒じゃねえようだが……ある意味、毒よりひでえ!」
剣士「今だぁぁぁっ!!!」
< 広場 >
団員A「テーブルに、いっぱい料理が並んでるな。パーティーの最中に逃げたらしい」
団員B「さっきのコソドロがいってたのは、事実だったみてえだな」
ボス「逃げた町民どもは、あとで追跡して始末するぞ。いい見せしめになる」
団員A「ところでボス、この料理どうします? なかなか美味そうですぜ」
ボス「ここまで長旅だったしな……せっかくだ、食っていいぞ」
団員A「そうこなくっちゃ!」パクッ…
モグッ…… ジュルッ……
盗賊たちが、次々に料理に口をつける。すると──
「うげえええっ!?」 「なんだこりゃ!?」 「まずっ……!」
団員A「ひ、ひでえ味だ……毒か!?」
団員B「いや、毒じゃねえようだが……ある意味、毒よりひでえ!」
剣士「今だぁぁぁっ!!!」
剣士と女騎士を始めとした、広場の周辺に隠れていた町民が、一斉に飛び出した。
ウオォォォォォ……!
団員A「なんだあっ!?」
団員B「くそっ……この料理は罠だったのか! うげっ……後味が最悪だ!」
剣士「どりゃあ! せいっ! ──ふんっ!」
ザシュッ! ズバァッ! ザンッ!
女騎士「はああああっ!」
ビシュッ! シュバッ! ドシュッ!
さすがに剣士と女騎士の二人は強く、次々に盗賊を倒していく。
ウオォォォォォ……!
団員A「なんだあっ!?」
団員B「くそっ……この料理は罠だったのか! うげっ……後味が最悪だ!」
剣士「どりゃあ! せいっ! ──ふんっ!」
ザシュッ! ズバァッ! ザンッ!
女騎士「はああああっ!」
ビシュッ! シュバッ! ドシュッ!
さすがに剣士と女騎士の二人は強く、次々に盗賊を倒していく。
団員A「ちくしょう……クソまずい料理のせいで力が……」オエッ
夫「女房の料理を吐くんじゃないッ!」ブンッ
ドゴォッ!
団員A「うげぇっ!」ドサッ…
妻「あなた、かっこいいわぁ~」
青年「町娘ちゃんは……ボクが守るッ!」ギロッ
団員B(なんだ……コイツのド迫力は……!)ビクッ
町娘「ええいっ!」バッ
ドゴンッ!!!
団員B「ぎゃふっ!」
青年の迫力に怯えた盗賊を、町娘のドロップキックで吹っ飛ばすというコンビネーション。
剣士(おお……みんな、やるじゃねえか!)
夫「女房の料理を吐くんじゃないッ!」ブンッ
ドゴォッ!
団員A「うげぇっ!」ドサッ…
妻「あなた、かっこいいわぁ~」
青年「町娘ちゃんは……ボクが守るッ!」ギロッ
団員B(なんだ……コイツのド迫力は……!)ビクッ
町娘「ええいっ!」バッ
ドゴンッ!!!
団員B「ぎゃふっ!」
青年の迫力に怯えた盗賊を、町娘のドロップキックで吹っ飛ばすというコンビネーション。
剣士(おお……みんな、やるじゃねえか!)
少年「ボクだって戦えるんだ!」
団員C「このガキャアッ!」ブンッ
攻撃を転がりながらかわし、スネに木剣をぶつける少年。
ボゴォッ!
団員C「おごぉぉぉっ!」ドサッ…
少年「これがボクの“スネかじり剣”だ!」
剣士(アイツ……やっぱりとんでもない逸材だ。大人になる前に死ぬなよ!)
~
コソドロ「料理、うまかった?」
団員D「てめぇ……俺らをだましやがったな! ──って、あれ?」
コソドロ「へへへっ、アンタの剣はもうオイラの右手にあるよ」チャキッ
団員D「し、しまった!」ギクッ
剣士(コソドロ……今日だけはお前がやけに輝いて見えるぜ!)
団員C「このガキャアッ!」ブンッ
攻撃を転がりながらかわし、スネに木剣をぶつける少年。
ボゴォッ!
団員C「おごぉぉぉっ!」ドサッ…
少年「これがボクの“スネかじり剣”だ!」
剣士(アイツ……やっぱりとんでもない逸材だ。大人になる前に死ぬなよ!)
~
コソドロ「料理、うまかった?」
団員D「てめぇ……俺らをだましやがったな! ──って、あれ?」
コソドロ「へへへっ、アンタの剣はもうオイラの右手にあるよ」チャキッ
団員D「し、しまった!」ギクッ
剣士(コソドロ……今日だけはお前がやけに輝いて見えるぜ!)
町長「やれやれ、ワシの町で略奪をしようとはのう……」
町長「久しぶりに……キレちまったわい……」
町長「生涯現役……町長の超パワーを堪能するがいいッ!」
町長「キエエエエッ!!!」
ドゴォッ! バキィッ! ゴッ! ガスッ! メキィッ!
「ぐええっ!」 「ひぎゃあっ!」 「ぐぶっ!」
剣士(町長さんつええ! さすが、あの町娘ちゃんのじいさんだ!)
町長「あ~……疲れた」ゼェゼェ…
剣士(さすがにスタミナには難があるけど……)
町長「久しぶりに……キレちまったわい……」
町長「生涯現役……町長の超パワーを堪能するがいいッ!」
町長「キエエエエッ!!!」
ドゴォッ! バキィッ! ゴッ! ガスッ! メキィッ!
「ぐええっ!」 「ひぎゃあっ!」 「ぐぶっ!」
剣士(町長さんつええ! さすが、あの町娘ちゃんのじいさんだ!)
町長「あ~……疲れた」ゼェゼェ…
剣士(さすがにスタミナには難があるけど……)
主人公が強すぎないってのがいいね、これで主人公無双展開だったら萎えてた
女騎士「一人に対し、複数人で当たれ!」
女騎士「怪我をした者は、すぐに下がれ! 決して無理をするな!」
女騎士「この町には、この私がついているぞ!」
オオォォォォォ……! ワアァァァァァ……!
剣士(女騎士さん……やはり騎士だから、強いだけじゃなく戦術や戦略に明るいんだな)
剣士(それに、エリートとしての自分の役割をちゃんと分かってる)
剣士(いわば国の代表である彼女がいるからこそ、みんな安心して戦える!)
女騎士「怪我をした者は、すぐに下がれ! 決して無理をするな!」
女騎士「この町には、この私がついているぞ!」
オオォォォォォ……! ワアァァァァァ……!
剣士(女騎士さん……やはり騎士だから、強いだけじゃなく戦術や戦略に明るいんだな)
剣士(それに、エリートとしての自分の役割をちゃんと分かってる)
剣士(いわば国の代表である彼女がいるからこそ、みんな安心して戦える!)
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