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    元スレ男「最近、変な声が聞こえるんだけど」

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    151 = 55 :

    「もっと色んなこと…考えさてやりたいなって、よ」

    「……」

    「よくわかんねえけどさ、こう一つのことだけを考えるのって疲れないか?」

    「これだけが答え、みたいな。そんな風に単純に考えてると、周りが見えてないっていうか…」

    「…だって動物は自由だから」

    「ま、そうだけども。もっと色んな自由があるって思うんだよ」

    「例えば?」

    「うーん、そうだなぁ。単純に言えば、友達作るとか」

    「…友達?」

    「おうよ。友達だ友達、そうすれば多方に見方が変わると思うんだ」

    「好きな生き方とか、なってみたい職業とか。結構面白いもんだぜ、他人と関わるもの」

    「……」

    「つまり、俺が言いたいのはよ。お前だけの考えで、そうやって答えを見つけるのは駄目じゃねえのかって…」

    「…俺は思うんだ」

    152 = 55 :

    「……」

    「昨日も言ったけど、やっぱその手段として…俺も手伝ってやろうかなって」

    「…今の私は駄目だってこと?」

    「駄目ってことはねえと思うけど……良くはないだろ?」

    「……」

    「動物になりたいって。人間の中ではおかしなことじゃねえか、駄目なことじゃねえか」

    「……おかしいこと」

    「…おう」

    「私が動物になりたいって、思うことはだめなこと…」

    「……」

    「じゃあ何時私は自由になれるの?」

    「それを探すんじゃねえか。一緒に」

    「だから何時」

    「…それはちょっとわからん。見つけるにも時間はかかるだろうし」

    153 = 66 :

    いいぞもっとやれ

    154 = 55 :

    「それじゃあ……遅い、だめ」

    「駄目って…」

    「私は早く自由になりたい。こんな生活が嫌で、退屈で、だから動物になろうと決めた」

    「…それが悪いことだなんて、思わない」

    「っ…でもよ! それじゃあお前は何時…!」

    がたた!

    「もう戻る」

    すたすた

    「お、おいって! 最後まで聞いてくれ! お前はなんでそうも……!!」


    バタン!


    「…っ……なんでお前は…」

    「それを…悩みとして受け入れてないんだよ…」

    155 = 55 :

    ~~~

    『おお、どうした人間』

    「おう、ご相談にきたぜ犬さん…」

    『我が人間に助言できることなどあるかな』

    「…俺よりは年食ってるだろ?」

    『フッフッフ、確かにな』

    「なぁ犬さん。俺はどうしたらいい、意固地になってる奴に、どうやって言い聞かせたらいいんだ」

    『…時には頑固なまでに自分を正義だと決めつける輩がいる』

    「おう…」

    『それが生き方であったり、それが死に様であったりと。まぁ色々とある』

    『しかしだ、それが本当に正しいのかと判断できるのは……自分ではない、他犬だ』

    「…そんなもんか」

    『そのようなものだ。逆を言えば、幾らか武勇伝と語られようとも、惨めな死に方であれば惨めなままだ』

    『ようは決め付けることなど出来ぬということだ。心のもちようであり、単純に割り切れぬものが……そうやって悩み続ける』

    156 = 96 :

    ドクトルおもしろかったわ

    157 = 55 :

    「割り切れない奴が…」

    『左様』。

    「じゃあさ、自分でその悩みってのが……悩みだと判断ついてない奴はどうしたらいいんだ?」

    『つまり?』

    「それが当たり前だって思ってる奴。例えば、自分が変わらなくちゃって当たり前に思ってる奴」

    『つまるところ、悩みを放棄している輩だな。…わからせないとダメだ』

    「わからせるって、なにをだよ?」

    『世界だ』

    「…世界?」

    『井の中の蛙。己の世界がここまでだと決めつけている輩には、見せつけねばならぬ』

    『──多大なる世界の大きさを。我とて見ることが出来なかった、世界の広さを』

    「……」

    『悩みを当然だと思っている輩は。小さな世界でしか物事を見てしかおらん』

    『…わからせてやるのだ、その価値観の違いを』

    158 :

    はい

    159 = 66 :

    お犬様・・・・

    160 :

    ~~~~

    「壮大すぎて意味がわからないかった…」

    (だが、なんとなく…わかったきがする。やっぱりアイツは小さいんだ)

    (一つのことしか考えてない。それを否定してくれる人間が、今の今まで居なかったんだ)

    「…それを俺ができたら良いんだけどな」

    「あーあ、なにをそんなに…頑張っちゃってるのかねぇ俺ってば」

    「……好きなのか、俺って」

    「えー!? うそうそ! そ、そんなわけ……えー? マジかよ…!?」

    (確かに顔は可愛いけどさ、だけど何考えてるのかわかんねぇしさ、でもでも!)

    「う~ん……」

    『な…なにをそんなに……げほっごほっ…考えてるんだ…ガキ…』

    「うぉおお!? な、ななな! なんでもねえよ!」

    『ああ、そうかい…いてて…』

    「って猫!? ど、どうしたお前!?」

    161 :

    動物たちがイケメンすぎるんだが

    162 = 160 :

    『ざまーねぇな…くっく…若いころなら、ひょい避けれたものを…!』

    「ま、まさか交通事故に…!?」

    『いや、違う。おたまが頭にな…』

    「は? …おたま?」

    『ああ、あのご飯におみそしるかけるとき…使う…奴だ…』

    「なんだ心配してそんした」

    『おおぉおおい! けっこう重症なんだぜこっちは!?』

    「んだよ…」

    『人間さんと猫様を同一に考えるんじゃねえってことだ! おれにとっちゃ、残り少ない寿命を減らされた気分なんだぜ!』

    「そうですか」

    『…まぁいいよ、それよりも、そんなことよりもガキ…こっちが本題だ、心して聞け』

    「どうした?」

    『──嬢ちゃんが、家出した。しかも全裸で』

    163 = 160 :

    ~~~

    「アイツッ…何処に行ったんだよ…!!」

    (馬鹿じゃねえのかオイ! ぜ、全裸って……それだけで捕まっちまうぞ!!)

    だだだだだだ


    回想


    『今日のことだ。おれがいつも通り夕方過ぎに飯を貰いに行った所…見つかっちまってな』

    『あの嬢ちゃんの姉ちゃんだと思う。そいつに叫ばれてしまってよ、こっちもびっくりしちまって』

    『思わず駆け回っちまったんだ。それから……』

    「それから…?」

    『多分、風呂あがりだったんだろうな。嬢ちゃんがおれの姿を見て駆けつけてきて』

    『庇おうとシてくれたんだと思う。けど、姉ちゃんが投げたおたまが…ゴッツーン! あたっちまってな』

    『それが大層、ショックだったみたいださ。嬢ちゃん、なんか姉ちゃんに叫んで…コート羽織って出て行っちまった』

    「っ……とりあえず、なにも着てないってことはないんだなっ?」

    『心配するところはそこじゃねえだろガキ』

    164 = 160 :

    回想終わり

    「本当になにやってんだっ…」

    (だけど俺が探して、見つけて、どうするんだ?)

    「っ……考えても仕方ねぇよ! 探すしかねえ!」


    中央公園 夜


    「はぁ…はぁ…」

    「もうっ……やだ、やだやだ…こんなのやだよ…っ」

    「どうして…皆同じことしか言ってくれないの…私を否定するの…!」

    「私はただ自由になりたいだけなのに…全てが嫌で…だから…!」


    「見つけたわよッ」


    「っ……!」

    「帰るわよッ! はやく!」ぐいっ

    「や、やだ! 離して…!」

    166 = 160 :

    「わがまま言うな! アンタはどうしてアタシを困らせるようなことばっかりするのよッ!」

    「私は…ただ…!」

    「アンタはねぇ! お母さんとアタシのいうことを聞いてれば、それだけでいいの!!」

    「っ…っ…!」

    「アンタは期待されてるじゃないッ! どうしてそれに答えようとしないのよッ!」

    「私は……私で、やりたいことがあるの…っ!」

    「はぁ?」

    「だから、私は……言うこと聞きたく、ない……の」

    「……あっそ」

    ぱっ

    「あのさアンタ。アンタって、友達の一人も居ないでしょ」

    「……!」

    168 = 121 :

    しえん

    169 = 160 :

    「わかるよアンタそれっぽいもん。一人で、自分だけで物事を考えてる」

    「……」

    「笑えるわ。人っ子一人友達もできないで……やりたいことやる?」

    「そんな度胸もねーくせして、なにいっちょまえに語ってんだよ!!」

    「っ……だって、だって…!」

    「だってもクソもねえ! アンタは未熟なのよっ……なーんもかんも、人で出来ない馬鹿な子なのよ!」

    「だけどねぇ、アンタは期待されてるじゃない! 一人で何も出来ないくせに! だけど期待だけはされてる!」

    「…ほんっと……ムカつくのよ…!」ぐいっ

    「きゃあ!?」

    「アンタは何も変われない」

    「あ…」

    「アンタはずっとそのままよ、ずっとずっと…お母さんとアタシに飼われ続ける、ペットなのよ!!」

    「ペット……?」

    170 = 51 :

    にゃんにゃん

    171 = 160 :

    「そう、ペット。優秀なペット。世間様に見せつけるだけの……可愛い可愛いペット」

    「………」

    「今回のことお母さんに伝えるから。それと、あの野良猫のこともね」

    「だ、だめ…」

    「なにか文句あるわけ」

    「……な、ないです……」

    「そうよね。あるわけないものね、アンタが…ご主人に歯向かうことなんて出来るわけ無いものね」

    「……っ……」

    「さっさと帰るわよ」

    「………」


    (──私はペット。そうだったんだ、動物になりたいって思ってたのに)

    (──もうずっと前から動物だったんだ。飼われて、順応に慕うペットだったんだ)

    (──そっか、そうだったんだ。望まなくても、私は動物だった。自由になれない、ただペット)

    174 = 160 :

    「私は──ただのペット……」


    にゃーん…


    「……っ?」

    「猫…さん…?」

    「ごろろ」

    「どうしてここに…」


    「──な、なによこれ…ッ!」

    「えっ?」


    「にゃおーん!」



    カーカー!! カー!! 

    チュウチュウ!! わんわん!! 

    ぐるるるるる!! にゃーん!!

    175 :

    熱い展開やな

    176 = 161 :

    熱いぞおい!!

    177 :

    ※ここまで裸

    178 = 160 :

    「にゃおーん」

    「なにこれ…周りに動物が…」

    「ち、近寄るんじゃないわよ!!」


    グルルルル!!


    「ひいいっ!」


    ニャンニャンバウングルルルカァカァニャンチュウ
    ニャンニャンバウングルルルカァカァニャンチュウ
    ニャンニャンバウングルルルカァカァニャンチュウ
    ニャンニャンバウングルルルカァカァニャンチュウ
    ニャンニャンバウングルルルカァカァニャンチュウ


    「これは…」

    野犬『わぉーん!!』


    「…ありがとな、探してくれ」

    じゃり…

    「やっと見つけることが出来た。ああ、本当に」

    179 = 160 :

    「あ……この声は……」

    「探したんだぞ女さん」

    「にゃあ」

    「…お前もありがとな」ナデナデ

    「あ、アンタ誰よ…!!」

    「俺? 俺は……そうだな、こう言っておくか」


    「──そいつの飼い主さんだ!」


    「…え…」

    「離してもらおうか、その手を。俺はそいつにリードを付けに来たんだ」チャリ

    「は、はぁ? あんた馬鹿なんじゃ──」


    野犬『ワンワン!!』

    野犬『グルルルルル』

    「ひっ」

    「やめろお前ら。そいつは敵じゃない」

    180 = 100 :

    ニャンちゅう………

    181 = 173 :

    『ミーでニャー!!』

    182 = 160 :

    野犬『きゅーん』

    野犬『へっへっ…』

    「…!?」

    「大事な奴のお姉さんだ。お前らにも兄妹はいるだろ?」

    野犬『ワゥーン!』

    カラス『かぁ~! カァー!』

    「…はっは、多すぎてわからねえってか」

    「に、逃げるわよ…!」

    「えっ…」

    「はやく! 急いで!」ぐいっ

    「……塞いでくれ」すっ


    チューチューチュー


    「きゃあ!? ね、ネズミがいっぱい……!?」

    「ありがとなピーナッツ。あとで沢山あげるからよ」

    183 :

    ちょっとピーナッツ買ってくる

    184 = 126 :

    やだ男さんかっこいい…

    185 = 160 :

    (な、なんなのよコイツ…!? 突然暗闇から動物を引き連れて…!?)

    「あ、あんた…!」

    「誤解しないでくれ。ただ、俺はそいつに話があっただけだから」

    「……え」

    「なぁ女さん」

    「あ、うん…!」

    「俺はもっと色んな世界を見て欲しい」

    「…世界…?」

    「ああ、そうだぜ。お前はもっと見るべきだ、小さい世界であがくんじゃなくって、もっと広い世界に踏み出すべきだ!」

    「──世界にはもっと凄いことがあるぜ?」

    「でも、そんなこと…」

    「わからない、か? くっく、なら見えてやるよ。その世界の広さの──断片ってやつを!」

    「さあお前ら!! 今日も生き抜くためにも! 踊れ! 歌え!!」

    「──今夜はパーッと餌をくれてやるぜ!!」

    186 = 113 :

    超展開

    187 = 115 :

    男さん…///

    190 = 160 :

    パラパラパラ…

    「……───」

    薄暗い公園。
    灯となるのは小さい街頭が一つだけで。
    その地面に伸びる光の中を、きらめくドックフードが──視界に降り注いだ。


    「にゃー! にゃー!」

    『ガハハハ! あまぎぃいいいいごぇえええええええええ!!』

    カラス『パイ、パパパイ、パイパイパイパイ間違いない!』

    野犬『加えるマイセン!』

    野犬『マイハ────トッ!!!』

    多くの影が賑やかに歌い、踊り、統率の取れてない声が鳴り響く。
    時折走り回り、または羽ばたきながら、それでも声は鳴り止まない。


    「さあ歌え女さん!!」

    「っ……」

    「お前は見ている世界はおおきいぞ!!」

    ──そんな陽気な雰囲気に、私は自然に、

    191 :

    姉さん置いてけぼりw

    192 = 160 :

    「にゃあ…ぐす…♪」

    「…うん!」

    「にゃあ…にゃあ…わんわん…!」

    「──わぅーん!」


    カラス『おー? 上手いじゃん姉ちゃん、すっげーじゃん?』

    野犬『いやー歌うって久しぶりすぎて疲れるぜ!』

    野犬『だなぁ兄貴! ドックフードも最高だぜ!』

    『…猫にはドックフードはいらんぞガキ』

    「いーじゃねえか。食ってみろ」

    『ハン。別に食いたかないね、それよりも嬢ちゃんから貰うねこまんまのほうが最高だ』

    「……」

    『なぁガキ。あの嬢ちゃんの声、おまえには聞こえるか?』

    「ああ、聞こえるよ」

    『…がはは、そだよなぁ。なんせ動物の声だもんなぁ』

    「……」

    193 = 160 :

    「ひっぐ…ぐしゅっ…えへへ……にゃーん!」

    「俺には聞こえてるよ。ちゃんとな、アイツの声も……本音も聞こえてる」

    『そうかい。ならよしだ、うんうん』

    「…今はこの流れに乗ろうぜデブ猫」

    『しょうがない。おれの十八番の歌、きかせてやんよガキ!』


    「………」

    「……お姉ちゃん」

    「あ、あんた……それにこれって……」

    「お姉ちゃんの言うとおりだった。私はただ、自分の中でしか考えられてなかった」

    「……」

    「こんなにも世界は凄いのに…私は小さな世界だけで、落ち込んでたんだね」

    「だから言わせて、あのね、お姉ちゃん」

    「──私は私の世界で生きるの。だから、お姉ちゃんやお母さんの」

    「ペットなんかじゃない」

    194 = 46 :

    >>188
    誰かやると思ったわww

    195 :

    追いついた
    女さんは動物になったのか

    196 = 191 :

    猫が小倉久寛に聞こえる

    197 = 160 :

    「っ………!」

    「だからね、お姉ちゃんも…」すっ

    「え…」

    「もっと見ようよ。色んな世界を!」

    「ま、待って…私猫アレルギーで…」

    「…探しに来てくれて、ありがと」

    「あ……うん……」

    『なんだこの姉ちゃん。おれのこと見つめて、好きなのかぁ? ぅーん?』

    「ぎぁああああ! 猫ぉおおおおお!!」

    『がははは!』

    「お。以外に行けるじゃねえかドックフード…」

    野犬『だろあんちゃん!』

    野犬『イケるだろ!?』

    「…ふふふ、本当に凄いなぁ…」

    198 = 113 :

    男ww

    199 = 191 :

    ドッグフードはめっちゃ薄味だが喰えない事はない

    200 = 160 :

    次の日 昼休み 屋上

    「昨日はごめんなさい」

    「ああ、本当だぜ」

    「…心配かけて」

    「おう。もうあんなことするんじゃないぞ、まったく」

    「……」

    「それで、そのなんだ。色々と片付いたのか?」

    「うんっ」

    「…そっか」

    「頑張った、と思ってるよ。今まで思ってたこと全部言ったんだ」

    「おう」

    「そしたらね、ごめんなさい。だって、あなたにそんな風に思わせてたなんて…言ってた」

    「…良かったじゃねえか」


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