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    元スレ男「最近、変な声が聞こえるんだけど」

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    101 = 55 :

    「……」

    「……」シュルシュル…

    「あの、」

    「ここにつけて。この首輪に」くいっ

    「えっ!?」

    「はやく」

    「お、おおっ…」

    カチャ

    「んっ」ぴくっ

    (なにこれ! はわわっ! なにこれ!?)

    102 = 55 :

    「…どう?」

    「どう、って!? …その、びっくりです…!」

    「そう」

    (んー!? どうしたらいいの俺ってば!?)

    「さんぽ」

    ちゃりちゃり…

    「いこっか?」

    「散歩ですか!? どこにですか!?」

    「…そこらへんを」

    「ぐるーってな感じで」

    「…あ、はい…」

    104 = 55 :

    「……」てくてく

    「……」すたすた


    ちゃり ちゃり…


    (首輪をつなぐ金具の音が、夜の公園に鳴り響く…)

    「やっぱり」

    「な、なにっ? どうしたっ?」

    「…四つん這いになったほうがいいかな?」

    「えっ!? だ、だめだだめだ! それはだめだ!」

    「だって、動物っぽくない…」

    「そりゃー……そうだけども……」

    「よいしょ」

    「…本当にやるのか…っ?」

    106 :

    「ペットなら主人の言うこと聞かなきゃなァ」パンパン

    107 = 55 :

    「うん」

    すたすた…

    (なんだよこの光景…俺は何をしているんだ…俺は一体なにを彼女にさせているんだ…)

    「あ…」ぶるるっ

    「え、なにっ?」

    「……」

    「…な、なんですか?」

    「マーキングを…」

    「女子トイレに行って来ぉおおおおい!!!」

    ~~~~

    「はぁーあ……」

    (疲れた、疲れちゃったよ俺…たかが数分歩いただけでこの疲れよう…)

    109 :

    人間を四つん這いにして歩かせるのって犬にチンチンさせたまま散歩するのと同じくらい違和感あるよな

    110 = 55 :

    「動物になりたいだなんて、何言ってんだあの子、いやマジで」

    (自由になりたいって、窮屈だから、退屈だからって…)

    「…だから動物になりたいって、思えるかフツー?」

    「ただいま」

    「お、おう。ちゃんと手を洗ったか」

    「ううん」フルフル

    「…なんでだよ」

    「どうせ四つん這いになるし、汚れるから」

    「なるほど。って、違う!」

    「……動物は手を洗わない」ブッスー

    「そりゃそうだけども!」

    「……手伝ってくれるんじゃなかったの」

    111 = 55 :

    「ま、まあそう言ったけどさ」

    「じゃあどうしてこうじゃない、ああじゃない、なんて言うの」

    「……だって」

    「私は動物になりたいの」

    「…動物になって、自由に生きたい。だからこうやってなる準備をしている」

    「…思うんだけど、でも、これって動物じゃなくってペットの練習じゃ…」

    「えっ」

    「と、思ったんだけど。準備運動的には成功してると思う、大丈夫だ!」

    「…そっか」

    (よからぬ助言をしてしまうところだった!)

    「…何時になったら私は動物になることができるんだろう」

    「…。あのさ、どうして動物に……そんなにもなりたいんだよ、お前って」

    113 :

    面白い

    114 = 55 :

    「自由になりたいから」

    「その自由って……なんなんだ? 動物になれば、ちゃんと自由になれるのか?」

    「…なれると、おもう」

    「自信なさ気だなぁ。いやま、自信あっても困るけど」

    「……」

    「俺もさ自由になったらいいなって、思うよ。あんなことも出来るんじゃないかって、いっぱい遊べるんじゃないかって」

    「でも…お前が考えてる自由ってのは、よくわからん。元々何考えてんだが、よくわからないし」

    「…私はつまらない」

    「…」

    「こんな私はつまらない。こんな世界で生きていくのに、なにも出来ない」

    (見方によっちゃ、面白いんだけどな。十分)

    115 :

    シエンタ

    117 = 55 :

    「だから動物になるの。こうやって、首輪をつけて」

    「私は私で無くなる。人として完璧じゃ、なくなる」

    「人として?」

    「あなたはどう思う? 人は完璧だって、思う?」

    「…難しい質問だな」

    「私は思わない。人は完璧であろうと努力するけど、私は絶対に叶わないと思ってる」

    「──何処かで自分の弱さを忘れてない限り」

    「…なんかあんのか、色々と」

    「……」

    「はぁーあ、わっかんねーよ俺には……ちっともわからん」

    「けどさ、単純に悩みがあるんならそれは───」


    グルルルルル


    「っ…なんだ…?」

    118 = 55 :

    野犬『おい、こっちに人間がいるぜ…』

    野犬『マジかよ、こんな時間にいるなんてなぁ…』

    「なんだこいつら…」

    「っ…」ぎゅうううっ

    「心配すんな。大丈夫だって…」

    「こ、怖い」


    野犬『どうする? 人間だぜ、返り討ちにあったら…』

    野犬『こっちは十匹以上いるんだぜ? 大丈夫だろ、平気平気』


    「十匹以上居るのか…」

    「じゅう…ひき…っ?」

    「ああ、みたいだな…どうも俺達の事狙ってるみたいだ」

    119 = 55 :

    「うそ…」ぎゅっ

    「なんだやけに俺冷静だな、声が聞えるからか? いや、待て! 女さん…掴んでる所申し訳ないんだが…!」

    「…?」

    「えっと、その! やけに腕に露骨な感触といいますかっ……えっと、コートの下……」

    「なにもきてないけど?」

    「馬鹿がお前は!!」


    野犬『な、なんだ!? 声が聞こえたぞ!?』

    野犬『に、人間の言葉分かるぞ!? なんだなんだ!?』


    「や、やべっ…興奮させちまったかっ?」

    「…興奮してるの?」

    「ああ、そうみたいだ…やべぇなどうする…!」

    「…」ドキドキ

    120 = 55 :

    (俺にできることなんて、たかが動物の声が聞えるだけだしな…!)

    「興奮…どうして…私が着てないから…」

    「くそっ…仕方ねぇ…」

    「おい、ちょっと聞いてくれ」


    野犬『なんだ、話しかけてきたぞ』

    野犬『なんだなんだ』


    「…?」

    「あのよ、そんな張り切ってもらっても困るんだ」

    「こっちは大した準備も揃ってない。明日にまた良いもん持ってきてやるからさ、ここは一つ見逃してくれないか」

    野犬『見逃す? ははっ、馬鹿言うんじゃねーよ』

    野犬『こっちは腹が減ってしかたねーんだぜ』

    121 :

    122 :

    おもしろい

    123 = 55 :

    「見逃す…私の身体が見たいって、こと…?」

    「ちっ、まともにわかってくれねーことはわかってんよ」

    「だ、だって……そんなこと急に言われても……」

    野犬『もうやっちまおうぜ! 腹が減った!』

    野犬『そうだそうだ! やっちまおうぜ!!』

    「……仕方ねえな」

    (これはあんまり出したくなかったんだが……もうやるしかねえ!!)

    「じゃあこれでも──喰らえ!!!」

    ブン!!

    野犬『な、なんだ!? なにか投げてきたぞ!?』

    野犬『これ…ドックフードだ! 美味しいやつだよ兄貴!!』

    125 = 55 :

    「これでも食ってろ野犬共!! たんまり持ってきてあるぜ!? 頂けいやしんぼめ!!」

    野犬『やべぇええええうめぇええよこれぇえええええ』

    野犬『おいしぃよぉ……あにきっ…生まれてきてよかったなぁ……っ』

    (今回の為に、なにか必要になるかと想って買ってた奴…なんだけど、まさかこう役に立つとは)

    (……あんまりしたくねんだよ、無責任っていうか、野生の動物に餌やるのって、好きじゃないんだよ)

    「いいか、お前らよく聞け。確かに野生で生きるのは辛いことだ、大変なことだ!」

    「だけどな、こうやって人様に迷惑かけるのはやっちゃ行けねぇーことだ! わかるか!?」

    野犬『すまねぇあんちゃん! 俺等が間違ってた!』

    野犬『人間ってやつも、悪い奴ばっかじゃねーんだな!』

    「それは違う!」

    野犬『えっ…?』

    「お前らの考えは間違ってない。人間は悪い奴ばっかりだ、俺も悪いやつだ!!」

    126 :

    女さん空気だな

    127 = 93 :

    これ女からしたら男キチガイだよな

    128 = 55 :

    「お前らは生きていくのに餌を求める。明日は喰えないかもしれない、だけど今回食えたのは俺のおかげだ!」

    「だけどな……だけど、それは今日だけだ。お前らにあげられるのは、今日だけなんだ」

    「そんな奴はいいやつとは言わねえんだよ…」

    野犬『あんちゃん…』

    野犬『…いや、間違っちゃいねえ。俺らは生きていくのに飯を食う。だけど、あんちゃんは今日だけだ』

    「……」

    野犬『だけど…いいじゃねえか』

    「えっ?」

    野犬『今日は食えた。明日はわからねえ、けどな、今日は生きれたんだ。餌を食えて』

    野犬『そんとき一瞬を生きられたのは、あんちゃん。あんたのおかげだぜ!』

    「お前ら……」

    野犬『ありがとよあんちゃん! また暇があったら餌持ってきてくれ!』

    野犬『おう! 今度娘に合わせてやっからよ!!』

    129 = 55 :

    「………」

    「…なんだよ、以外にいい奴らだったじゃねえか」

    「…あの」

    「おおうっ!? あ……えっとだなぁ!」

    「私が今日も生きられたのは…」

    「え?」

    「…あなたのおかげ?」

    「んっ!?」

    (なんだこの感じ……まさか女さんに言ったと思われてるのかっ?)

    「そ、そうだぜ!」

    (乗るっきゃ無い! この流れに!)

    「……」

    「お前は動物になりたいのかもしれない、けどな、俺にも…限界はある」

    「うん…」

    「…お前がどれだけ動物として生きたいのかはわからん。けどな、野生で生きるのは難しいことなんだ」

    130 = 109 :

    でも犬って1日前のことなんて覚えてないよね

    132 = 55 :

    「人に頼ってちゃ、ダメ」

    「そ、そうだ! 頼り続けてちゃ、なにも変わりはしねえんだ!」

    「まずは自分でよーく考えるんだ! 何をすればいいのか、何をどうすれば答えを見つけられるのか!」

    「…だけど迷ったら俺に頼ってくれ。できる限り、俺に出来ることならやるからよ」

    「……」

    ひょい

    「…うん」ぱくり

    「なぜドックフードを食う…」

    「私はこの味を忘れない。あなたの言葉も忘れない」

    「こんなにも私のことを真面目に考えてくれた、あなたのことを」

    「……」

    「がんばる、がばらせて…私に」

    「おう、頑張れ!」

    133 = 51 :

    にゃあ・・

    135 = 113 :

    しゅ

    136 = 55 :

    ~~~

    「…今日はもう帰ろう」

    「うん」

    「あと、それと、あんまその格好……するなよな、風邪引くぞ」

    「え、あ、うんっ」

    「どうした?」

    「…興奮させちゃうから、だよね」

    「?」

    「やっぱり、ご主人様って呼んだほうがいいの?」

    「何を言ってんの女さん!?」


    ~~~

    『いやぁーあのガキも頑張るねぇ』

    『くっく、色々と問題はありそうなもんだけど……やっぱ運命ってのは残酷だぜ』

    しゅた

    『──はてさて、これからどうなるのかな』

    137 = 122 :

    まさか終わりと言うのか

    138 = 113 :

    つづけてくれ

    139 = 55 :

    ~~

    「…ただいま」ガチャ

    「……」

    「あ…」

    「何処に行ってたの」

    「…か、買い物に」

    「こんな時間に買い物?」

    「……」

    「嘘言ってるとお母さんに言いつけるけど」

    「だ、だめっ」

    「……ねぇアンタ」

    「っ……」

    「わかってんの。本当に、アンタが何をどう考えてるのかは知らないわよ」

    142 = 55 :

    「だけどね、お母さんを困らせるようなことさせないでよ」

    「……」

    「アンタは期待されてるの。アタシと違って、出来損ないのアタシとは違って…ね」

    「…そんなこと」

    「そんなこと? 今、そんなこととか言った!?」

    「ひっ…あっ……うっ……」

    「アンタは何も分かってないわよッ! 何もかも優遇されてるクセに! それなのにッ!!」

    「ごめ、ごめんな……さい…」

    「チッ…もう早く戻りなさい…ッ…」

    「………」

    ~~~

    「……私はただ自由になりたいだけなのに」

    (お母さんのことも。お姉ちゃんのことも、全部全部私に関係のないことなのに…)

    「にゃーん」

    143 = 140 :

    俺が見ている

    144 = 55 :

    「あ…デブ猫さん…」

    「にゃーん」

    「…あなたは良いね。自由で、こうやって夜でも歩き回れる」

    「誰にも邪魔されずに、一人で頑張って生きれる」

    「ゴロロロロ」

    「………私は…」

    ちゃり

    「何時自由になれるんだろう…」

    「………」


    ~~~~


    「なぁネズミよぉ」

    ネズミ『なんですか人間さん!』

    「…お前は何時からネズミなんだ」

    ネズミ『最近は妹さんにピーナッツ呼ばれてますが!』

    145 = 113 :

    すごくいい

    147 = 55 :

    「変な名前だな…」

    ネズミ『気に入ってるよ! ぼく、名前だなんて素敵だと思うよ!』

    「そっか」

    ネズミ『えっと、何時からネズミでしたかって…ですよね!』

    ネズミ『気づいたらネズミだよ! 気づいたら餌だけをかんがえてて、あとはメスのことだけだよ!』

    「流石ネズミ…」

    ネズミ『えへへ』

    「…そっかでも、気づいたらネズミなんだよな」

    (俺らだって気づいたら人間なんだ。そうやって十数年生きてきて、今でもこうやって人間のままなんだよな)

    (今更、人間から動物に変わることなんて無理なんだ。そんなの、どんなに望んだって叶うはずがない)

    「そんな当たり前なことを、気づかせないとな。アイツにも…」

    「…わかりたくないって思ってるかもだけどな」

    149 = 93 :

    しえん

    150 = 55 :

    次の日 昼休み

    「やっぱここにいたか」

    「あ…」

    「よお昨日ぶりだな」

    「…」コクリ

    「隣で食べてもいいか」

    「うん」

    「……なぁ女さん、やっぱ今でも変わんねえか」

    「?」

    「その動物になりたいっての。自由になりたいなら、動物になるってのさ」

    「…どうしてそんなこと聞くの」

    「……変えてやりたいなって、思って」

    「え?」


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