元スレ勇者「用件を聞こうか……」スライム「ア、アンタが勇者……か!」

みんなの評価 : ★
1 :
モンスターは一般的に、凶暴で理性を持たないといわれているが、
温和で知能が高いモンスターも決して少なくはない……。
そのようなモンスターは、人里から離れた山や森林に集落を作り、
独自の文化を築きながら静かに暮らしている……。
こういった集落は世界各地に存在し、「モンスター村」と呼ばれる……。
─ モンスター村 ─
スライム「ふう、今日もいい木の実がいっぱい取れた!」プルンッ
オーク「おお、スライム! 精が出るな!」
スライム「母さんはあんまり動けないし、妹はまだ幼いし」
スライム「俺が頑張らないといけないからな!」
3 :
なんか始まった・・・
4 :
黒歴史の予感
5 :
幼い妹…か…
6 :
スライムにも穴があるんだよな…
7 :
書籍化決定!
8 = 1 :
ワイワイ……
会長「──でありまして、ハンターが現れたらすみやかに行動しましょう!」
会長「威嚇をかねて、固まって行動すること! これが鉄則です!」
ゴーレム「なるほどナア……」
サキュバス「ためになるわね」
ゴブリン「ふむふむ……」
スライム「──ん? 人間がこの村に来るなんて珍しいな。だれだアイツ?」
オーク「モンスター保護協会の会長だってよ」
オーク「モンスターハンターってのは凶悪なモンスターを退治するのが仕事なんだが」
オーク「最近、無害なモンスターを狙う悪質なハンターが多いから」
オーク「ああやって俺たちモンスターにハンター対処法を教えに来てるのさ」
スライム「へえ、わざわざこんなところまで来て、ありがたい話だな」
10 :
>>6
雪女にも穴があるんだよな…
11 = 1 :
< スライムの家 >
スライム「ただいまぁ~! いっぱい木の実が取れたよ!」
妹スライム「おかえりなさぁ~い、お兄ちゃん!」プニプニッ
母スライム「すまないねえ、いつも苦労をかけて……」
スライム「食料を集めてくるくらい、お安い御用さ!」
スライム「父さんはこの村を開拓する時に、事故で死んじまったけど……」
スライム「この村のみんなのおかげで、山の環境もだいぶ整備されて」
スライム「ずいぶん過ごしやすくなったしさ!」
母スライム「お前は本当に優しいスライムだねえ……」
妹スライム「食べよう、食べよう!」
12 :
スライムにも穴は…あるのか?
13 = 1 :
『 狩 る 者 と 狩 ら れ る 者 』
【 PART1 避難するモンスターたち 】
数時間後──
「皆さ~ん! 外に集まってくださぁ~い!」
スライム「ん?」
スライム「この声は……モンスター保護協会の会長さんだ」
母スライム「なんだか、ずいぶん焦っているみたいだねえ」
妹スライム「なにかあったのかな?」プルンッ
スライム「とにかく外に出てみよう!」
14 :
『 狩 る 者 と 狩 ら れ る 者 』
【 PART1 避難するノンケたち 】
15 :
スライムの妹だと…
16 = 1 :
ザワザワ…… ドヨドヨ……
会長「皆さん、落ちついて下さい!」
会長「すぐ来るわけではありません! 冷静になって、私の指示通りに動いて下さい!」
スライム「なにがあったんだ?」
オーク「ついさっき、あの人のところに情報が入ってきたらしい」
オーク「なんでもモンスターハンターの一団が、この村に向かってるんだってよ!」
スライム「なんだって!?」
オーク「大丈夫さ。村を捨ててあの人のいうとおり避難さえすれば、な」
オーク「もっともこの村は腹いせに壊されちまうかもしれないらしいが……」
オーク「命には代えられないだろ」
スライム「そう……だな」
スライム(ちくしょう、ハンターどもめ!)
17 :
>>14
続けて
19 = 1 :
会長「では村を出て、あちらにあるくぼ地に向かって下さい! あそこなら安全です!」
会長「一ヶ所に固まって、くれぐれもはぐれる人を出さないように!」
会長「私はハンターたちを説得するため、ここに残ります!」
ワイワイ…… ガヤガヤ……
サキュバス「行きましょ!」
ゴーレム「そうダナ」
ゴブリン「村全員で固まって避難しよう!」
オーク「俺たちも行こうぜ! ほら、お袋さんと妹ちゃんを連れてこいよ」
スライム「ああ!」
20 = 1 :
─ 山道 ─
ゾロゾロ……
「よかったなぁ」 「協会の人がいなきゃどうなってたか」 「ホントホント」
スライム「でも悔しいなぁ……! 逃げるしかできないなんて……!」
オーク「俺たちは戦いなんかほとんどしたことないモンスターばかりだし」
オーク「ハンターどもは、強力な武器で武装してやがる。しょうがねえよ」
妹スライム「なんだかみんなでピクニックみたい!」キャッキャッ
スライム「コラコラ、はしゃぐなよ」
母スライム「でも心配だねえ……。あの会長さん一人で大丈夫かねえ?」
スライム「…………」
スライム「俺、ちょっと村に戻ってみるよ」
22 = 1 :
オーク「オイオイ、なに考えてんだ!?」
スライム「だってさ……いくら人間とはいえやっぱり放っておけないよ!」
スライム「もちろん俺、戦うことはできないけど、この山には詳しい」
スライム「会長さんが危なくなったら、逃げる手伝いくらいはできるかもしれないし」
スライム「母さん、妹、悪いけどオークと先に行っててくれ」
妹スライム「すぐ戻ってきてね、お兄ちゃん……!」
母スライム「お前は本当に優しいねえ……」
オーク「気をつけろよ!」
スライム「分かってる!」プルンッ
23 = 1 :
【 PART2 全ては罠だった 】
─ モンスター村 ─
スライム(会長さんと……ハンターらしき人間が話してる)コソッ…
会長「──全てあなたの指示通りです」
会長「今頃モンスターたちは、くぼ地めがけてまとまって避難していることでしょう」
狩人「クックック、大勢のハンターが待ち伏せてるとも知らずにな……」
狩人「この村にいたのは、ほとんどがゴミモンスターばかりだったが──」
狩人「ゴーレムの鉱石やサキュバスの翼は金になる」
狩人「闇ルートで捌けば、数十万ゴールドにはなるだろうぜ」
狩人「これが、スマートな狩りってやつさ」
会長「……しかし、世間は夢にも思わないでしょうな」
会長「モンスター保護協会のトップである私が、あなたと繋がっているなどと──」
24 = 1 :
狩人「アンタが話せる人間でよかったよ」
狩人「利益の一部をやるから、協会の活動を抑え、狩りに協力してくれといったら」
狩人「あっさりと聞き入れてくれたんだからな」
会長「公的な組織の長とはいえ、収入や扱いはそれほどよくないんですよ」
会長「しょせんモンスター関連事業など、二線級の部門ですからね」
会長「もっとも、私の部下はモンスターをこよなく愛する者ばかりで困ります」
会長「熱心な協会員たちの活動を、うまい具合に抑えるのも一苦労ですよ」
狩人「さすがの俺たちも、同じ人間と衝突するのは避けたいからな……」
狩人「アンタを“ヘッド・ハンティング”できてよかったよ」ニッ…
スライム(そ、そんな……この二人がグルだったなんて……!)
スライム(すぐ戻ってみんなに知らせないと!)クルッ
パキッ……!
25 = 1 :
狩人「!」バッ
会長「どうしました?」
スライム(し、しまった! 気づかれた!)プニッ…
狩人「スライムか……死ねっ!」ギリリッ…
ビュッ! ──グサッ!
スライム「あうっ!」ガクッ
会長「おおっ、一矢でスライムを射抜いた! さすがですな!」
スライム「……ぐうっ!」ズルズル…
会長「むっ! しぶとく逃げていきますよ!」
狩人「あれじゃ、どのみちすぐくたばる」
狩人「スライム肉なんか、二束三文にしかならねえしな」
狩人「それより……祭りに遅れちゃマズイ」
狩人「今頃山の中じゃ、お楽しみのハンティング・タイムが始まってる頃だ」ニッ
26 = 21 :
しえん
27 = 6 :
狩人の矢で穴が開いた今がチャンス!!
28 = 1 :
【 PART3 殺戮 】
─ 山のくぼ地 ─
ギャアァァァァァ……!
ザシュッ! ザンッ! ドスッ! ズシャッ! ズバッ!
オーク(……どうなってんだ!? なんでハンターがこんなに……!)
剣士「いい肉質のオークだな。解体して、胴体だけ持ち帰るとするか」チャキッ
オーク「や、やめろっ……!」
ドシュッ!
ゴブリン「い、命だけはっ……!」
手下A「くたばれやっ!」ビュッ
ザンッ!
手下B「殺すのが惜しくなる体だぜ。たっぷり可愛がってから殺してやるよ!」グイッ
サキュバス「いやあっ! やめてええっ!」
29 = 1 :
会長「おおっ、みごとにモンスターどもが罠にかかっていますな!」ザッ
狩人「コラコラ、作戦の立案者に獲物は残してねえのかよ」ザッ
剣士「狩人さん、おかげで楽しませてもらっているよ」
手下A「それに獲物なら、ちゃぁ~んと残してますぜ! ほら!」
母スライム(保護協会の会長が、グルだったなんて……!)
母スライム「ど、どうかこの娘だけは……! お願いします、お願いします……!」
妹スライム「お兄ちゃん、助けて……」ガタガタ…
狩人「ちっ、スライム二匹かよ。もっといいのを残しといてくれよ」
手下A「へへっ……すいやせん」
狩人「会長さん、せっかくだし、初ハンティングとシャレこまねえか?」
狩人「一度やってみると、ヤミツキになるぜ? ほら、剣を貸してやるよ」チャッ
会長「そうですな……実は私も一度やってみたかったのですよ」
30 = 1 :
会長「では……」チャキッ
ズバッ! ザシュッ!
母スライム「かはっ……」ドサッ
会長「おお……! これは……なかなか楽しいですな!」
狩人「だろ?」ニッ
妹スライム「お母さん! お母さん! お母さんっ!」
妹スライム「お兄ちゃん……どこいるのぉ……助けて……」グスッ…
狩人「ま……俺はこれで我慢するか」シェッ
ザシュッ……!
31 = 21 :
ああ…
32 = 1 :
夕暮れ時──
ズル…… ズル……
スライム(途中で気を失っちゃったけど……や、やっと着い──)ズル…
スライム「!」
スライム「み、みんな!」ズル…
スライム「オーク! ゴーレム! サキュバス! ゴブリン! ──なんてことだ!」
スライム「!!!」
スライム「母さん!」ズル…
スライム「妹っ!」ズルズル…
スライム「うわあっ! わあぁぁぁぁぁ~~~~~っ!!!」
33 = 1 :
【 PART4 スライムの依頼 】
─ モンスター村跡地 ─
スライム(昔……魔物の権利向上のため、あくどい仕事もしてたっていう、父さん……)
スライム(そんな父さんが……話してくれたことがある“勇者”……)
スライム(超A級の、プロフェッショナル……)
スライム(父さんがいっていたとおりの方法で、連絡、したが……)
勇者「お前が、スライムか……?」ザッ…
スライム「!」
スライム「あ、ああ……そうだ! ──がはっ!」ゲホゲホッ
勇者「…………」
勇者「用件を聞こうか……」
スライム「ア、アンタが勇者……か!」
34 :
ゴルゴじゃねーか
35 :
狙撃とチョップで戦う伝説の殺し屋が出てきた・・・
36 = 1 :
スライム「た、頼む!」
スライム「この村のみんな、母さんや、妹たちの仇を……討ってくれ!」
スライム「狩人の奴が率いる、悪質なモンスターハンターどもを……」
スライム「皆殺しにしてくれぇっ!」
勇者「…………」
スライム「村はこのとおり、焼かれちゃったが……」
スライム「わ、わずかに……お金と、木の実が残って、た……」ジャラッ…
スライム「ア、アンタは人間だけど……」
スライム「モンスターから、の依頼も受けると……父さんから聞いてる……」
勇者「…………」
スライム「お願いだ……勇者……!」
スライム「み、みんなの……仇……」
スライム「とっ、て……」ガクッ…
勇者(…………)
37 = 7 :
スライム死ぬのかよw
38 = 21 :
死んじまった
39 = 35 :
ゴルゴで読んだなこういう展開
40 :
ミスファイア…
41 :
ゴルゴ勇者って前にもどこかで読んだような・・・
42 = 1 :
【 PART5 情報収集 】
─ 大図書館 ─
勇者「…………」ザッ
司書「いらっしゃいませ」
勇者「本を探しているのだが……」
司書「どのような本をお探しですか?」
勇者「蛇にそそのかされ……禁断の果実を食べてしまった男の本だ」
司書「申し訳ありません。そちらの本は一般公開はしておりませんので──」
司書「お手数ですが、こちらの部屋へどうぞ」スッ
44 = 1 :
< 小部屋 >
司書「ご用件をどうぞ」
勇者「モンスターハンターの狩人と、その仲間について教えてくれ……」パサッ
司書「彼らはモンスターハンターの中でも、100名以上を誇る大所帯の勢力です」
司書「もちろん、全員で動くことはめったにありませんが──」
司書「彼らに滅ぼされたモンスター村は、30近くに上るといわれています」
勇者「モンスターを保護する団体も、あるはずだが……?」
司書「ご存じでしたか」
司書「ですが、モンスター保護協会の活動は近年消極化しておりまして」
司書「違法ハンターを抑える役目はほとんど果たせてないというのが現状です」
司書「確証はありませんが、おそらくこれは──」
勇者「もし、俺が狩人の立場であれば……」
勇者「保護協会のトップ、あるいはそれに近い者の懐柔を考えるだろうな……」
司書「!」
45 = 1 :
司書「さすがです……」
司書「狩人らと保護協会はすでに“パイプ”ができている可能性が高い」
司書「しかし、狩人たちは決してクレバーなだけの集団ではありません」
司書「希少モンスターの情報を得ると、すぐさま現場へ急行します」
司書「レッドドラゴン、ジャイアントワーム、ポイズンフラワー、といった」
司書「強力なモンスターの退治にも成功しており」
司書「モンスターハンターとしての実力もピカイチなのです」
司書「そしてこれらの戦果は、新たに仲間に加わった剣士の力によるところも大きい」
勇者「剣士……」
46 = 1 :
勇者「かつては傭兵だった男だな……」
司書「はい、元々は腕の立つ傭兵隊を率いていたのですが」
司書「戦争が少なくなった今の世、仕事にありつけずにいたところを狩人に誘われ」
司書「部下ともども、モンスターハンターになったのです」
勇者「…………」
司書「さらに、リーダーである狩人ですが──」
司書「彼は何冊か本も出しており、もちろんこの図書館にも彼の本は置いております」
司書「著書の中で彼はこう豪語していますよ」
司書「“ありとあらゆる狩りを体験したい”」
司書「“幻の竜といわれるホワイトドラゴンをぜひ狩りたい”とね」
勇者(ホワイトドラゴン……)
48 :
おもしろい
49 = 1 :
勇者「分かった……。世話になった……」スッ
司書「おや、もうお帰りですか?」
勇者「…………」ザッザッ…
ギィィ…… バタン……
司書(勇者……相変わらず不思議な人だ)
司書(裏社会では“知恵の実を食べた男”と呼ばれるほどの情報屋である私ですが)
司書(彼のことだけは、なにひとつ分からない……)
司書(もっとも、彼については金払いがいいということと)
司書(彼を詮索することは死を意味する、ということだけ知っていれば十分ですがね)
司書(災いをもたらすパンドラの箱を、わざわざ開けることはない……)
50 = 48 :
ゴルゴかと思ったらゴルゴだった
みんなの評価 : ★
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