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元スレ勇者「用件を聞こうか……」スライム「ア、アンタが勇者……か!」
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モンスターは一般的に、凶暴で理性を持たないといわれているが、
温和で知能が高いモンスターも決して少なくはない……。
そのようなモンスターは、人里から離れた山や森林に集落を作り、
独自の文化を築きながら静かに暮らしている……。
こういった集落は世界各地に存在し、「モンスター村」と呼ばれる……。
─ モンスター村 ─
スライム「ふう、今日もいい木の実がいっぱい取れた!」プルンッ
オーク「おお、スライム! 精が出るな!」
スライム「母さんはあんまり動けないし、妹はまだ幼いし」
スライム「俺が頑張らないといけないからな!」
温和で知能が高いモンスターも決して少なくはない……。
そのようなモンスターは、人里から離れた山や森林に集落を作り、
独自の文化を築きながら静かに暮らしている……。
こういった集落は世界各地に存在し、「モンスター村」と呼ばれる……。
─ モンスター村 ─
スライム「ふう、今日もいい木の実がいっぱい取れた!」プルンッ
オーク「おお、スライム! 精が出るな!」
スライム「母さんはあんまり動けないし、妹はまだ幼いし」
スライム「俺が頑張らないといけないからな!」
ワイワイ……
会長「──でありまして、ハンターが現れたらすみやかに行動しましょう!」
会長「威嚇をかねて、固まって行動すること! これが鉄則です!」
ゴーレム「なるほどナア……」
サキュバス「ためになるわね」
ゴブリン「ふむふむ……」
スライム「──ん? 人間がこの村に来るなんて珍しいな。だれだアイツ?」
オーク「モンスター保護協会の会長だってよ」
オーク「モンスターハンターってのは凶悪なモンスターを退治するのが仕事なんだが」
オーク「最近、無害なモンスターを狙う悪質なハンターが多いから」
オーク「ああやって俺たちモンスターにハンター対処法を教えに来てるのさ」
スライム「へえ、わざわざこんなところまで来て、ありがたい話だな」
会長「──でありまして、ハンターが現れたらすみやかに行動しましょう!」
会長「威嚇をかねて、固まって行動すること! これが鉄則です!」
ゴーレム「なるほどナア……」
サキュバス「ためになるわね」
ゴブリン「ふむふむ……」
スライム「──ん? 人間がこの村に来るなんて珍しいな。だれだアイツ?」
オーク「モンスター保護協会の会長だってよ」
オーク「モンスターハンターってのは凶悪なモンスターを退治するのが仕事なんだが」
オーク「最近、無害なモンスターを狙う悪質なハンターが多いから」
オーク「ああやって俺たちモンスターにハンター対処法を教えに来てるのさ」
スライム「へえ、わざわざこんなところまで来て、ありがたい話だな」
>>6
雪女にも穴があるんだよな…
雪女にも穴があるんだよな…
< スライムの家 >
スライム「ただいまぁ~! いっぱい木の実が取れたよ!」
妹スライム「おかえりなさぁ~い、お兄ちゃん!」プニプニッ
母スライム「すまないねえ、いつも苦労をかけて……」
スライム「食料を集めてくるくらい、お安い御用さ!」
スライム「父さんはこの村を開拓する時に、事故で死んじまったけど……」
スライム「この村のみんなのおかげで、山の環境もだいぶ整備されて」
スライム「ずいぶん過ごしやすくなったしさ!」
母スライム「お前は本当に優しいスライムだねえ……」
妹スライム「食べよう、食べよう!」
スライム「ただいまぁ~! いっぱい木の実が取れたよ!」
妹スライム「おかえりなさぁ~い、お兄ちゃん!」プニプニッ
母スライム「すまないねえ、いつも苦労をかけて……」
スライム「食料を集めてくるくらい、お安い御用さ!」
スライム「父さんはこの村を開拓する時に、事故で死んじまったけど……」
スライム「この村のみんなのおかげで、山の環境もだいぶ整備されて」
スライム「ずいぶん過ごしやすくなったしさ!」
母スライム「お前は本当に優しいスライムだねえ……」
妹スライム「食べよう、食べよう!」
『 狩 る 者 と 狩 ら れ る 者 』
【 PART1 避難するモンスターたち 】
数時間後──
「皆さ~ん! 外に集まってくださぁ~い!」
スライム「ん?」
スライム「この声は……モンスター保護協会の会長さんだ」
母スライム「なんだか、ずいぶん焦っているみたいだねえ」
妹スライム「なにかあったのかな?」プルンッ
スライム「とにかく外に出てみよう!」
【 PART1 避難するモンスターたち 】
数時間後──
「皆さ~ん! 外に集まってくださぁ~い!」
スライム「ん?」
スライム「この声は……モンスター保護協会の会長さんだ」
母スライム「なんだか、ずいぶん焦っているみたいだねえ」
妹スライム「なにかあったのかな?」プルンッ
スライム「とにかく外に出てみよう!」
『 狩 る 者 と 狩 ら れ る 者 』
【 PART1 避難するノンケたち 】
【 PART1 避難するノンケたち 】
ザワザワ…… ドヨドヨ……
会長「皆さん、落ちついて下さい!」
会長「すぐ来るわけではありません! 冷静になって、私の指示通りに動いて下さい!」
スライム「なにがあったんだ?」
オーク「ついさっき、あの人のところに情報が入ってきたらしい」
オーク「なんでもモンスターハンターの一団が、この村に向かってるんだってよ!」
スライム「なんだって!?」
オーク「大丈夫さ。村を捨ててあの人のいうとおり避難さえすれば、な」
オーク「もっともこの村は腹いせに壊されちまうかもしれないらしいが……」
オーク「命には代えられないだろ」
スライム「そう……だな」
スライム(ちくしょう、ハンターどもめ!)
会長「皆さん、落ちついて下さい!」
会長「すぐ来るわけではありません! 冷静になって、私の指示通りに動いて下さい!」
スライム「なにがあったんだ?」
オーク「ついさっき、あの人のところに情報が入ってきたらしい」
オーク「なんでもモンスターハンターの一団が、この村に向かってるんだってよ!」
スライム「なんだって!?」
オーク「大丈夫さ。村を捨ててあの人のいうとおり避難さえすれば、な」
オーク「もっともこの村は腹いせに壊されちまうかもしれないらしいが……」
オーク「命には代えられないだろ」
スライム「そう……だな」
スライム(ちくしょう、ハンターどもめ!)
>>14
続けて
続けて
会長「では村を出て、あちらにあるくぼ地に向かって下さい! あそこなら安全です!」
会長「一ヶ所に固まって、くれぐれもはぐれる人を出さないように!」
会長「私はハンターたちを説得するため、ここに残ります!」
ワイワイ…… ガヤガヤ……
サキュバス「行きましょ!」
ゴーレム「そうダナ」
ゴブリン「村全員で固まって避難しよう!」
オーク「俺たちも行こうぜ! ほら、お袋さんと妹ちゃんを連れてこいよ」
スライム「ああ!」
会長「一ヶ所に固まって、くれぐれもはぐれる人を出さないように!」
会長「私はハンターたちを説得するため、ここに残ります!」
ワイワイ…… ガヤガヤ……
サキュバス「行きましょ!」
ゴーレム「そうダナ」
ゴブリン「村全員で固まって避難しよう!」
オーク「俺たちも行こうぜ! ほら、お袋さんと妹ちゃんを連れてこいよ」
スライム「ああ!」
─ 山道 ─
ゾロゾロ……
「よかったなぁ」 「協会の人がいなきゃどうなってたか」 「ホントホント」
スライム「でも悔しいなぁ……! 逃げるしかできないなんて……!」
オーク「俺たちは戦いなんかほとんどしたことないモンスターばかりだし」
オーク「ハンターどもは、強力な武器で武装してやがる。しょうがねえよ」
妹スライム「なんだかみんなでピクニックみたい!」キャッキャッ
スライム「コラコラ、はしゃぐなよ」
母スライム「でも心配だねえ……。あの会長さん一人で大丈夫かねえ?」
スライム「…………」
スライム「俺、ちょっと村に戻ってみるよ」
ゾロゾロ……
「よかったなぁ」 「協会の人がいなきゃどうなってたか」 「ホントホント」
スライム「でも悔しいなぁ……! 逃げるしかできないなんて……!」
オーク「俺たちは戦いなんかほとんどしたことないモンスターばかりだし」
オーク「ハンターどもは、強力な武器で武装してやがる。しょうがねえよ」
妹スライム「なんだかみんなでピクニックみたい!」キャッキャッ
スライム「コラコラ、はしゃぐなよ」
母スライム「でも心配だねえ……。あの会長さん一人で大丈夫かねえ?」
スライム「…………」
スライム「俺、ちょっと村に戻ってみるよ」
オーク「オイオイ、なに考えてんだ!?」
スライム「だってさ……いくら人間とはいえやっぱり放っておけないよ!」
スライム「もちろん俺、戦うことはできないけど、この山には詳しい」
スライム「会長さんが危なくなったら、逃げる手伝いくらいはできるかもしれないし」
スライム「母さん、妹、悪いけどオークと先に行っててくれ」
妹スライム「すぐ戻ってきてね、お兄ちゃん……!」
母スライム「お前は本当に優しいねえ……」
オーク「気をつけろよ!」
スライム「分かってる!」プルンッ
スライム「だってさ……いくら人間とはいえやっぱり放っておけないよ!」
スライム「もちろん俺、戦うことはできないけど、この山には詳しい」
スライム「会長さんが危なくなったら、逃げる手伝いくらいはできるかもしれないし」
スライム「母さん、妹、悪いけどオークと先に行っててくれ」
妹スライム「すぐ戻ってきてね、お兄ちゃん……!」
母スライム「お前は本当に優しいねえ……」
オーク「気をつけろよ!」
スライム「分かってる!」プルンッ
【 PART2 全ては罠だった 】
─ モンスター村 ─
スライム(会長さんと……ハンターらしき人間が話してる)コソッ…
会長「──全てあなたの指示通りです」
会長「今頃モンスターたちは、くぼ地めがけてまとまって避難していることでしょう」
狩人「クックック、大勢のハンターが待ち伏せてるとも知らずにな……」
狩人「この村にいたのは、ほとんどがゴミモンスターばかりだったが──」
狩人「ゴーレムの鉱石やサキュバスの翼は金になる」
狩人「闇ルートで捌けば、数十万ゴールドにはなるだろうぜ」
狩人「これが、スマートな狩りってやつさ」
会長「……しかし、世間は夢にも思わないでしょうな」
会長「モンスター保護協会のトップである私が、あなたと繋がっているなどと──」
─ モンスター村 ─
スライム(会長さんと……ハンターらしき人間が話してる)コソッ…
会長「──全てあなたの指示通りです」
会長「今頃モンスターたちは、くぼ地めがけてまとまって避難していることでしょう」
狩人「クックック、大勢のハンターが待ち伏せてるとも知らずにな……」
狩人「この村にいたのは、ほとんどがゴミモンスターばかりだったが──」
狩人「ゴーレムの鉱石やサキュバスの翼は金になる」
狩人「闇ルートで捌けば、数十万ゴールドにはなるだろうぜ」
狩人「これが、スマートな狩りってやつさ」
会長「……しかし、世間は夢にも思わないでしょうな」
会長「モンスター保護協会のトップである私が、あなたと繋がっているなどと──」
狩人「アンタが話せる人間でよかったよ」
狩人「利益の一部をやるから、協会の活動を抑え、狩りに協力してくれといったら」
狩人「あっさりと聞き入れてくれたんだからな」
会長「公的な組織の長とはいえ、収入や扱いはそれほどよくないんですよ」
会長「しょせんモンスター関連事業など、二線級の部門ですからね」
会長「もっとも、私の部下はモンスターをこよなく愛する者ばかりで困ります」
会長「熱心な協会員たちの活動を、うまい具合に抑えるのも一苦労ですよ」
狩人「さすがの俺たちも、同じ人間と衝突するのは避けたいからな……」
狩人「アンタを“ヘッド・ハンティング”できてよかったよ」ニッ…
スライム(そ、そんな……この二人がグルだったなんて……!)
スライム(すぐ戻ってみんなに知らせないと!)クルッ
パキッ……!
狩人「利益の一部をやるから、協会の活動を抑え、狩りに協力してくれといったら」
狩人「あっさりと聞き入れてくれたんだからな」
会長「公的な組織の長とはいえ、収入や扱いはそれほどよくないんですよ」
会長「しょせんモンスター関連事業など、二線級の部門ですからね」
会長「もっとも、私の部下はモンスターをこよなく愛する者ばかりで困ります」
会長「熱心な協会員たちの活動を、うまい具合に抑えるのも一苦労ですよ」
狩人「さすがの俺たちも、同じ人間と衝突するのは避けたいからな……」
狩人「アンタを“ヘッド・ハンティング”できてよかったよ」ニッ…
スライム(そ、そんな……この二人がグルだったなんて……!)
スライム(すぐ戻ってみんなに知らせないと!)クルッ
パキッ……!
狩人「!」バッ
会長「どうしました?」
スライム(し、しまった! 気づかれた!)プニッ…
狩人「スライムか……死ねっ!」ギリリッ…
ビュッ! ──グサッ!
スライム「あうっ!」ガクッ
会長「おおっ、一矢でスライムを射抜いた! さすがですな!」
スライム「……ぐうっ!」ズルズル…
会長「むっ! しぶとく逃げていきますよ!」
狩人「あれじゃ、どのみちすぐくたばる」
狩人「スライム肉なんか、二束三文にしかならねえしな」
狩人「それより……祭りに遅れちゃマズイ」
狩人「今頃山の中じゃ、お楽しみのハンティング・タイムが始まってる頃だ」ニッ
会長「どうしました?」
スライム(し、しまった! 気づかれた!)プニッ…
狩人「スライムか……死ねっ!」ギリリッ…
ビュッ! ──グサッ!
スライム「あうっ!」ガクッ
会長「おおっ、一矢でスライムを射抜いた! さすがですな!」
スライム「……ぐうっ!」ズルズル…
会長「むっ! しぶとく逃げていきますよ!」
狩人「あれじゃ、どのみちすぐくたばる」
狩人「スライム肉なんか、二束三文にしかならねえしな」
狩人「それより……祭りに遅れちゃマズイ」
狩人「今頃山の中じゃ、お楽しみのハンティング・タイムが始まってる頃だ」ニッ
【 PART3 殺戮 】
─ 山のくぼ地 ─
ギャアァァァァァ……!
ザシュッ! ザンッ! ドスッ! ズシャッ! ズバッ!
オーク(……どうなってんだ!? なんでハンターがこんなに……!)
剣士「いい肉質のオークだな。解体して、胴体だけ持ち帰るとするか」チャキッ
オーク「や、やめろっ……!」
ドシュッ!
ゴブリン「い、命だけはっ……!」
手下A「くたばれやっ!」ビュッ
ザンッ!
手下B「殺すのが惜しくなる体だぜ。たっぷり可愛がってから殺してやるよ!」グイッ
サキュバス「いやあっ! やめてええっ!」
─ 山のくぼ地 ─
ギャアァァァァァ……!
ザシュッ! ザンッ! ドスッ! ズシャッ! ズバッ!
オーク(……どうなってんだ!? なんでハンターがこんなに……!)
剣士「いい肉質のオークだな。解体して、胴体だけ持ち帰るとするか」チャキッ
オーク「や、やめろっ……!」
ドシュッ!
ゴブリン「い、命だけはっ……!」
手下A「くたばれやっ!」ビュッ
ザンッ!
手下B「殺すのが惜しくなる体だぜ。たっぷり可愛がってから殺してやるよ!」グイッ
サキュバス「いやあっ! やめてええっ!」
会長「おおっ、みごとにモンスターどもが罠にかかっていますな!」ザッ
狩人「コラコラ、作戦の立案者に獲物は残してねえのかよ」ザッ
剣士「狩人さん、おかげで楽しませてもらっているよ」
手下A「それに獲物なら、ちゃぁ~んと残してますぜ! ほら!」
母スライム(保護協会の会長が、グルだったなんて……!)
母スライム「ど、どうかこの娘だけは……! お願いします、お願いします……!」
妹スライム「お兄ちゃん、助けて……」ガタガタ…
狩人「ちっ、スライム二匹かよ。もっといいのを残しといてくれよ」
手下A「へへっ……すいやせん」
狩人「会長さん、せっかくだし、初ハンティングとシャレこまねえか?」
狩人「一度やってみると、ヤミツキになるぜ? ほら、剣を貸してやるよ」チャッ
会長「そうですな……実は私も一度やってみたかったのですよ」
狩人「コラコラ、作戦の立案者に獲物は残してねえのかよ」ザッ
剣士「狩人さん、おかげで楽しませてもらっているよ」
手下A「それに獲物なら、ちゃぁ~んと残してますぜ! ほら!」
母スライム(保護協会の会長が、グルだったなんて……!)
母スライム「ど、どうかこの娘だけは……! お願いします、お願いします……!」
妹スライム「お兄ちゃん、助けて……」ガタガタ…
狩人「ちっ、スライム二匹かよ。もっといいのを残しといてくれよ」
手下A「へへっ……すいやせん」
狩人「会長さん、せっかくだし、初ハンティングとシャレこまねえか?」
狩人「一度やってみると、ヤミツキになるぜ? ほら、剣を貸してやるよ」チャッ
会長「そうですな……実は私も一度やってみたかったのですよ」
会長「では……」チャキッ
ズバッ! ザシュッ!
母スライム「かはっ……」ドサッ
会長「おお……! これは……なかなか楽しいですな!」
狩人「だろ?」ニッ
妹スライム「お母さん! お母さん! お母さんっ!」
妹スライム「お兄ちゃん……どこいるのぉ……助けて……」グスッ…
狩人「ま……俺はこれで我慢するか」シェッ
ザシュッ……!
ズバッ! ザシュッ!
母スライム「かはっ……」ドサッ
会長「おお……! これは……なかなか楽しいですな!」
狩人「だろ?」ニッ
妹スライム「お母さん! お母さん! お母さんっ!」
妹スライム「お兄ちゃん……どこいるのぉ……助けて……」グスッ…
狩人「ま……俺はこれで我慢するか」シェッ
ザシュッ……!
夕暮れ時──
ズル…… ズル……
スライム(途中で気を失っちゃったけど……や、やっと着い──)ズル…
スライム「!」
スライム「み、みんな!」ズル…
スライム「オーク! ゴーレム! サキュバス! ゴブリン! ──なんてことだ!」
スライム「!!!」
スライム「母さん!」ズル…
スライム「妹っ!」ズルズル…
スライム「うわあっ! わあぁぁぁぁぁ~~~~~っ!!!」
ズル…… ズル……
スライム(途中で気を失っちゃったけど……や、やっと着い──)ズル…
スライム「!」
スライム「み、みんな!」ズル…
スライム「オーク! ゴーレム! サキュバス! ゴブリン! ──なんてことだ!」
スライム「!!!」
スライム「母さん!」ズル…
スライム「妹っ!」ズルズル…
スライム「うわあっ! わあぁぁぁぁぁ~~~~~っ!!!」
【 PART4 スライムの依頼 】
─ モンスター村跡地 ─
スライム(昔……魔物の権利向上のため、あくどい仕事もしてたっていう、父さん……)
スライム(そんな父さんが……話してくれたことがある“勇者”……)
スライム(超A級の、プロフェッショナル……)
スライム(父さんがいっていたとおりの方法で、連絡、したが……)
勇者「お前が、スライムか……?」ザッ…
スライム「!」
スライム「あ、ああ……そうだ! ──がはっ!」ゲホゲホッ
勇者「…………」
勇者「用件を聞こうか……」
スライム「ア、アンタが勇者……か!」
─ モンスター村跡地 ─
スライム(昔……魔物の権利向上のため、あくどい仕事もしてたっていう、父さん……)
スライム(そんな父さんが……話してくれたことがある“勇者”……)
スライム(超A級の、プロフェッショナル……)
スライム(父さんがいっていたとおりの方法で、連絡、したが……)
勇者「お前が、スライムか……?」ザッ…
スライム「!」
スライム「あ、ああ……そうだ! ──がはっ!」ゲホゲホッ
勇者「…………」
勇者「用件を聞こうか……」
スライム「ア、アンタが勇者……か!」
スライム「た、頼む!」
スライム「この村のみんな、母さんや、妹たちの仇を……討ってくれ!」
スライム「狩人の奴が率いる、悪質なモンスターハンターどもを……」
スライム「皆殺しにしてくれぇっ!」
勇者「…………」
スライム「村はこのとおり、焼かれちゃったが……」
スライム「わ、わずかに……お金と、木の実が残って、た……」ジャラッ…
スライム「ア、アンタは人間だけど……」
スライム「モンスターから、の依頼も受けると……父さんから聞いてる……」
勇者「…………」
スライム「お願いだ……勇者……!」
スライム「み、みんなの……仇……」
スライム「とっ、て……」ガクッ…
勇者(…………)
スライム「この村のみんな、母さんや、妹たちの仇を……討ってくれ!」
スライム「狩人の奴が率いる、悪質なモンスターハンターどもを……」
スライム「皆殺しにしてくれぇっ!」
勇者「…………」
スライム「村はこのとおり、焼かれちゃったが……」
スライム「わ、わずかに……お金と、木の実が残って、た……」ジャラッ…
スライム「ア、アンタは人間だけど……」
スライム「モンスターから、の依頼も受けると……父さんから聞いてる……」
勇者「…………」
スライム「お願いだ……勇者……!」
スライム「み、みんなの……仇……」
スライム「とっ、て……」ガクッ…
勇者(…………)
【 PART5 情報収集 】
─ 大図書館 ─
勇者「…………」ザッ
司書「いらっしゃいませ」
勇者「本を探しているのだが……」
司書「どのような本をお探しですか?」
勇者「蛇にそそのかされ……禁断の果実を食べてしまった男の本だ」
司書「申し訳ありません。そちらの本は一般公開はしておりませんので──」
司書「お手数ですが、こちらの部屋へどうぞ」スッ
─ 大図書館 ─
勇者「…………」ザッ
司書「いらっしゃいませ」
勇者「本を探しているのだが……」
司書「どのような本をお探しですか?」
勇者「蛇にそそのかされ……禁断の果実を食べてしまった男の本だ」
司書「申し訳ありません。そちらの本は一般公開はしておりませんので──」
司書「お手数ですが、こちらの部屋へどうぞ」スッ
< 小部屋 >
司書「ご用件をどうぞ」
勇者「モンスターハンターの狩人と、その仲間について教えてくれ……」パサッ
司書「彼らはモンスターハンターの中でも、100名以上を誇る大所帯の勢力です」
司書「もちろん、全員で動くことはめったにありませんが──」
司書「彼らに滅ぼされたモンスター村は、30近くに上るといわれています」
勇者「モンスターを保護する団体も、あるはずだが……?」
司書「ご存じでしたか」
司書「ですが、モンスター保護協会の活動は近年消極化しておりまして」
司書「違法ハンターを抑える役目はほとんど果たせてないというのが現状です」
司書「確証はありませんが、おそらくこれは──」
勇者「もし、俺が狩人の立場であれば……」
勇者「保護協会のトップ、あるいはそれに近い者の懐柔を考えるだろうな……」
司書「!」
司書「ご用件をどうぞ」
勇者「モンスターハンターの狩人と、その仲間について教えてくれ……」パサッ
司書「彼らはモンスターハンターの中でも、100名以上を誇る大所帯の勢力です」
司書「もちろん、全員で動くことはめったにありませんが──」
司書「彼らに滅ぼされたモンスター村は、30近くに上るといわれています」
勇者「モンスターを保護する団体も、あるはずだが……?」
司書「ご存じでしたか」
司書「ですが、モンスター保護協会の活動は近年消極化しておりまして」
司書「違法ハンターを抑える役目はほとんど果たせてないというのが現状です」
司書「確証はありませんが、おそらくこれは──」
勇者「もし、俺が狩人の立場であれば……」
勇者「保護協会のトップ、あるいはそれに近い者の懐柔を考えるだろうな……」
司書「!」
司書「さすがです……」
司書「狩人らと保護協会はすでに“パイプ”ができている可能性が高い」
司書「しかし、狩人たちは決してクレバーなだけの集団ではありません」
司書「希少モンスターの情報を得ると、すぐさま現場へ急行します」
司書「レッドドラゴン、ジャイアントワーム、ポイズンフラワー、といった」
司書「強力なモンスターの退治にも成功しており」
司書「モンスターハンターとしての実力もピカイチなのです」
司書「そしてこれらの戦果は、新たに仲間に加わった剣士の力によるところも大きい」
勇者「剣士……」
司書「狩人らと保護協会はすでに“パイプ”ができている可能性が高い」
司書「しかし、狩人たちは決してクレバーなだけの集団ではありません」
司書「希少モンスターの情報を得ると、すぐさま現場へ急行します」
司書「レッドドラゴン、ジャイアントワーム、ポイズンフラワー、といった」
司書「強力なモンスターの退治にも成功しており」
司書「モンスターハンターとしての実力もピカイチなのです」
司書「そしてこれらの戦果は、新たに仲間に加わった剣士の力によるところも大きい」
勇者「剣士……」
勇者「かつては傭兵だった男だな……」
司書「はい、元々は腕の立つ傭兵隊を率いていたのですが」
司書「戦争が少なくなった今の世、仕事にありつけずにいたところを狩人に誘われ」
司書「部下ともども、モンスターハンターになったのです」
勇者「…………」
司書「さらに、リーダーである狩人ですが──」
司書「彼は何冊か本も出しており、もちろんこの図書館にも彼の本は置いております」
司書「著書の中で彼はこう豪語していますよ」
司書「“ありとあらゆる狩りを体験したい”」
司書「“幻の竜といわれるホワイトドラゴンをぜひ狩りたい”とね」
勇者(ホワイトドラゴン……)
司書「はい、元々は腕の立つ傭兵隊を率いていたのですが」
司書「戦争が少なくなった今の世、仕事にありつけずにいたところを狩人に誘われ」
司書「部下ともども、モンスターハンターになったのです」
勇者「…………」
司書「さらに、リーダーである狩人ですが──」
司書「彼は何冊か本も出しており、もちろんこの図書館にも彼の本は置いております」
司書「著書の中で彼はこう豪語していますよ」
司書「“ありとあらゆる狩りを体験したい”」
司書「“幻の竜といわれるホワイトドラゴンをぜひ狩りたい”とね」
勇者(ホワイトドラゴン……)
勇者「分かった……。世話になった……」スッ
司書「おや、もうお帰りですか?」
勇者「…………」ザッザッ…
ギィィ…… バタン……
司書(勇者……相変わらず不思議な人だ)
司書(裏社会では“知恵の実を食べた男”と呼ばれるほどの情報屋である私ですが)
司書(彼のことだけは、なにひとつ分からない……)
司書(もっとも、彼については金払いがいいということと)
司書(彼を詮索することは死を意味する、ということだけ知っていれば十分ですがね)
司書(災いをもたらすパンドラの箱を、わざわざ開けることはない……)
司書「おや、もうお帰りですか?」
勇者「…………」ザッザッ…
ギィィ…… バタン……
司書(勇者……相変わらず不思議な人だ)
司書(裏社会では“知恵の実を食べた男”と呼ばれるほどの情報屋である私ですが)
司書(彼のことだけは、なにひとつ分からない……)
司書(もっとも、彼については金払いがいいということと)
司書(彼を詮索することは死を意味する、ということだけ知っていれば十分ですがね)
司書(災いをもたらすパンドラの箱を、わざわざ開けることはない……)
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