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    元スレ女「君はボクの何になってくれるんだい?」

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    101 = 69 :

    「お兄ちゃん、どこ行くの?」

    「げっ」

    見つかってしまった。

    「ちょっと、何その反応!」

    「いや、別になんでもない」

    「……それで、どこ行くの?」

    「別に、どこも」

    「じゃあなんで靴を履いてるの?」

    「出かけるから」

    「何もなくないじゃん!」

    104 = 69 :

    「いや、出かけるって言ってもアレだぞ。別にどこかに行くとかじゃなくてな」

    「……散歩ってこと?」

    「そーゆーこと」

    「お兄ちゃんって時々行くよね」

    最近は行ってなかったけど、と付け加えた。

    「外の風に当たりたいんだよ」

    「ほんとーは誰かと会ってるんじゃないの?」

    口の端を釣り上げている。

    105 = 69 :

    「会ってないよ。一人で歩いてんだ」

    「怪しいなぁー!」

    むふふ、と含み笑い。

    何が怪しいというのだ。

    「誰かと歩きたいならお前のこと誘うよ」

    俺は妹となら永遠に話せる自信があるぞ。

    「ふーん」

    反応薄っ!!

    109 = 69 :

    「じゃあ一緒に行ってあげようか?」

    「今日はいいや」

    「ぶーぶー!」

    頬を膨らませて怒る妹。

    「また今度な」

    「こんな夜遅くに出て、危ないことしないでね」

    「危ないことって?」

    「例えば……ひ、非行に走るとか!」

    そんなこと心配してるのか。

    本当にプリティーなシスターだ。

    112 = 97 :

    眠いから出来るだけ早く頼む、寝落ちしちゃう

    114 = 69 :

    「まあ、いつものルートだから安心しろ」

    「お兄ちゃんのいつものルートなんか知らないよ」

    そりゃそうか。

    一緒に行ったこと、あんまり無いし。

    「まあ、大丈夫ってことだ」

    「むーっ」

    「なんだ? まだ何かあるのか?」

    「何もないよーだ!」

    ベーッと、舌を出される。

    何かにつけて、可愛いやつだ。

    115 = 69 :

    「じゃあいってくる」

    「さ、先にお風呂入って寝てるからね! 寂しくて泣いても知らないから!」

    「それは悲しいな」

    お出迎えしてくれないと俺は死ぬ。

    「本当?」

    首を傾げている。

    「とか言いつつ待っててくれると俺は信じてるぜ」

    「待つわけないじゃん!」

    極めつけはプイッと、そっぽを向かれた。

    118 = 69 :

    結構時間を取られたが、やっと家を出る。

    久しぶりに、夜に散歩するな。

    だからといって、懐かしいとかそういう気持ちはない。

    「ブラっと行くだけだもんな」

    別に、深く何かをするという感情はない。

    だが、ルートはいつも同じ。

    数年経っても、それは同じだ。

    121 = 69 :

    数年前のわずかな記憶をたどってみると。

    街灯が増えていたりしたなとか。

    『犬の糞は持ち帰ってください』などのポスターとか。

    案外地味な変化がある。

    まあ、だからなんだと言われたらそれまでだ。

    「おや」

    「ん」

    目の前に現れたのは、

    「やあ、運命だね」

    ヤツだった。

    123 = 69 :

    「こういう時は偶然とか奇遇とか言うんじゃないのか?」

    「うん、それもいいかもしれないね」

    ヤツの隣には、小さな犬がいた。

    あれ、コイツ犬飼ってたか?

    「お前、それ」

    「ああ、この子は近所の人の犬なんだ。留守番中の散歩を頼まれていてね」

    そう言って、犬を軽く撫でた。

    なるほどな。

    だから電話に出なかったのか。

    125 = 69 :

    「携帯電話、ちゃんと携帯しとけよな」

    「え?」

    キョトンとした声を上げて、ヤツは俺を見た。

    「もしかして、ボクに電話をかけたとか?」

    「まあ、そんなところだ」

    「うーん、惜しいことをしたなぁ」

    けれど。

    こいつが携帯を携帯していることって、あんまし無いんだよな。

    なんで買ったのか、わからないくらいだ。

    127 = 69 :

    「おや」

    犬が急に踏ん張り始めて。

    「ふふっ、ウンチだね」

    すかさずスコップで糞をすくって、袋に入れた。

    「こんな道端でできるなんて、犬は羨ましいね」

    「何を言ってんだ」

    「夜のテンションは人をおかしくするよ」

    お前はいつも通常運転だろ、それで。

    128 = 69 :

    「こんな時間に出会ってしまったんだ。青姦でも洒落込むかい?」

    「遠慮しておく」

    「遠慮は無用さ。この子も一緒にね」

    お前、正気か。

    「あはは、目が怖いよ」

    お前がそうさせたんだろ。

    獣姦とか、洒落にならん。

    129 = 69 :

    「それじゃあ」

    そう言って、俺の横を通り過ぎて、

    「また、明日」

    と、にこやかに言った。

    「おう」

    軽く手を振っているヤツを見届け、俺はまたゆっくりと歩き始めた。

    133 = 69 :

    「おっ」

    そういえば、この散歩のルートには、

    公園があったな。

    「たまには行ってみるのも面白いかもな」

    でも、もし怖い人いたらどうしよう。

    ……とりあえず、確認してから中に入ろう。

    まったく、臆病者である。

    136 = 69 :

    「……」

    公園を覗いてみたけれど。

    暗くて全く見えない。

    「怖っ……」

    幽霊とかは信じないタチだが。

    不審者を怖がってしまう。

    「……大丈夫っぽいな」

    138 :

    怪異要素のない化物語みたいだな
    取り合えず支援

    140 = 69 :

    まあ、こんなに暗いんだし。

    人がいるなんてこと、無さそうだな。

    俺は中に入っていった。

    この公園は、結構馴染みの場所だ。

    「……懐かしいな」

    初めてアイツに会った場所だ。

    それに――。

    「うおっ」

    急に、携帯が鳴り出した。

    143 = 69 :

    「も、もしもし?」

    その電話は、クラスメイトの男子だった。

    こんな夜遅くに、連絡網が回ってきたようだ。

    『明日転校生が来る』、という内容だった。

    だからって、別にしなくてもいいだろうに。

    先生、本気で忘れてたんだな……。

    「やれやれ」

    そんな声を出して、俺は携帯をしまった。

    そして――。

    「……あの」

    と。

    か細い声が、聞こえた。

    144 = 97 :

    ここにきて急展開!

    145 = 69 :

    「えっ」

    誰かいたのか。

    「……男、くん?」

    俺の名を、知っている。

    「そ、そうですけど……」

    「……やっぱり!」

    だ、誰だ……?

    146 = 97 :

    ほう

    147 = 69 :

    「あの、どなた、ですか」

    「もう、忘れちゃった?」

    ピカっと、ライトが点く。

    携帯のライトだ。

    「私だよ、私」

    「……?」

    俺と同い年くらいの女の子。

    しかし、見覚えはある。

    「も、もしかして……」

    「……」

    「幼馴染か……?」

    148 = 69 :

    幼馴染(以下、幼)「えへへ、久しぶり」

    「お前……なんで?」

    「うーん、戻ってきた感じかな」

    こいつは俺の幼馴染だ。

    小学校の頃、こいつとよく遊んだ。

    それも、ほぼ毎日。

    「こんなところで会えるなんて、ビックリしちゃった」

    150 = 69 :

    「俺の方がビックリだ」

    「ここって、よく一緒に遊んだもんね」

    そうなんだよな。

    「私、着いたら絶対最初にここに行こーって思ってたの」

    「さっき着いたのか?」

    「うん」

    と、歯を出さずに微笑む幼馴染。


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