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    元スレ紳士「私はもう……小便小僧じゃないんだ……」

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    101 = 96 :

    「マッチョォッ!」

    放火魔「ハァ~ッハッハ! どうだ!? 大切な相棒のマッチの味はァ!?」

    放火魔「足がみるみる燃えていくゥ~! ウェルダンだァ~!」キャハッ

    「マッチョ、ごめんね、ごめんね! あたしのマッチのせいで!」

    マッチョ「……大丈夫」ニコッ

    「え?」

    マッチョ「大丈夫だよ……君のマッチの火だもん! 全然……熱くなんかない!」

    「マッチョ……」ポロッ

    放火魔「…………」イラッ

    放火魔「うぜェ~」

    放火魔「こんなにボクをイラつかせてくれたヤツらは、小便小僧以来かな……」

    放火魔「もういいや、めんどくせェ! オイルぶちまけて一気に燃やす!」ドババッ

    「マッチョ……!」

    マッチョ「早く逃げて……!」ボワァ…

    放火魔「三人仲良く焼いてやるよ! お楽しみのファイヤータイ──」カチッ

    102 :

    マッチョ売りの少女の人か?
    喜んで支援

    103 :

    マッチョォォォォォ

    104 = 96 :

    ジョバァァァァァ……!

    どこからともなく飛んできた液体が、放火魔に炸裂した。

    放火魔「ぐおおおおっ!?」

    少女&マッチョ「え!?」

    さらに──

    マッチョ「あっ、ボクの足についていた炎も消えた……」ジュウウ…

    「いったいなんなの!?」

    紳士「……待たせてすまなかったね」ザッ

    探偵「うっ……(や、やっぱり来てくれた……先輩……!)」

    放火魔「お、お、おのれェ……またしてもボクの前に立ちはだかるかァ~……!」

    放火魔「“小便小僧”ッ!!!」

    紳士「いや……私ももういい年だ」

    紳士「私はもう……小便小僧じゃないんだ……」

    紳士「今の私は──」

    紳士「“小便紳士”だ!!!」

    105 = 95 :

    紳士はやくこいよおおおおおおおおおお

    107 = 96 :

    「おじさん……!」ウルッ

    マッチョ「ありがとうございますっ……!」

    小便紳士「いや、礼をいうのはこちらの方さ」

    小便紳士「村を焼かれ、まだ幼いのに二人きりで村を出ざるをえない困難の中」

    小便紳士「君らは決して腐らずに、己を鍛え、立派に前を向いて生きてきた」

    小便紳士「君たち二人を見ていたら、いつまでも逃げるワケにはいかないと──」

    小便紳士「ようやく気づくことができた!」

    小便紳士「……それに、後輩に少しはいいところを見せないとな」チラッ

    探偵「先輩……」

    小便紳士「放火魔! 今日こそおまえを捕え、法の裁きを受けさせてやる!」

    放火魔「消防団を追われ、くたばったと聞いてたが、生きてたとはなァ~」

    放火魔「まいいや。もしいるんなら、放火の神様に感謝するよ」

    放火魔「オマエはやっぱりィ、ボク自ら焼き殺したかったからねェ~!」ギロッ

    108 :

    そら小便かけられまっくたら殺意くらい沸くわ

    109 = 96 :

    探偵(大勢の人の運命がかかってるのに、自分の命すら危ういってのに)

    探偵(なんだか少しワクワクしてしまっている自分がいるわ)

    探偵(ついに始まるのね……“消火の天才”と“放火の天才”の戦い!)

    放火魔「ファイヤーッ!」カチカチッ

    放火魔はオリーブオイルの飛沫をばら撒きつつ、その飛沫に火打ち石で火をつけていく。

    ボッ! ボッ! ボッ! ボッ! ボッ!

    無数の火の玉が小便紳士を襲う。

    しかし──

    ジョバアァァァァァ……!

    小便紳士の小便は、それら全てをまとめて消火した。

    探偵(さすが先輩!)

    探偵(しかも、見せてはならない箇所はきちんと手で隠している!)

    探偵(まさしくあれこそ紳士的立ち小便!)

    探偵(これほどまでに見ている者に不快感を与えない、気品漂う立ち小便ができるのは)

    探偵(世界広しといえど、先輩だけでしょうね……!)

    110 = 103 :

    かっけえ

    111 = 96 :

    放火魔「やるなァ……じゃ、お次はこれだ!」

    空中にヒモ状にばら撒いたオリーブオイルに、火打ち石で着火する放火魔。

    ボワァァァッ!

    マッチョ「うわぁっ!」

    「まるで炎の龍だわ!」

    小便紳士「なんの!」ジョバァッ

    小便紳士もまた、龍のような小便を放ちこれを相殺する。

    ジュワァ……!

    放火魔「そうこなくっちゃァ……なァ!」

    小便紳士「小便紳士の名にかけて、いくらでも消火してみせる!」

    ボワァァァ……! ジョバァァァ……!

    炎と小便の壮絶なる死闘。

    もはや、他の三人が割って入るスキはなかった。

    112 = 96 :

    ボワァァァッ! ジョバァァァッ! ボワァァァッ! ジョバァァァッ!

    「おじさん、頑張れ~!」

    マッチョ「放火魔がいくら炎を放っても、あのオシッコが消してしまう……」

    マッチョ「でも紳士さんのあのオシッコの量はいったいどうなっているんでしょう?」

    マッチョ「少し触れただけで、火を消してますし」

    マッチョ「もう軽く10リットルは出してるはずですけど……」

    探偵「先輩の尿は特別製なのよ」

    探偵「世界一の消火剤よりもずっと優れた消火作用を持つらしいわ」

    探偵「しかもとても清潔だそうよ(それでもなるべくかかりたくないけど)」

    探偵「そして、先輩の腎臓と膀胱もまた特別製」

    探偵「少し水分を取るだけで膨大な量の尿が作られ、貯蔵することができるの」

    探偵「先輩はまさしく、小便と消火の申し子といえるでしょうね……!」

    マッチョ「すごいなぁ」

    「すごぉ~い!」

    探偵「私にいわせたら、あなたたちも十分スゴイわよ……」

    113 = 96 :

    放火魔「ハァ~ッハッハ! さすがだねェ~」

    放火魔「だけど小便紳士、オマエの弱点を教えてやろう!」

    放火魔「しょせんオマエは一方向にしか放水することができなァ~い」

    小便紳士「だったらなんだ」

    放火魔「ドマヌケがァ……」

    放火魔「屋内で戦ったのは失敗だったなァ~!」

    カチッ!

    放火魔が火打ち石を鳴らすと──

    ブオワァァァッ!

    突然舞い上がった巨大な炎が、小便紳士を包み込んだ。

    小便紳士「ぐわぁぁぁ……っ!」

    「おじさん!」

    探偵(しまった……! 今までの戦いで、気化したオリーブオイル!)

    放火魔「紅蓮のファイヤーに抱かれて、燃えろ燃えろォ~!」

    放火魔「ウェルカム、ウェルダァ~ン!」

    114 = 96 :

    小便紳士「ぐおぅぅ……っ!」ボワァァァ…

    放火魔「いいザマだァ~! ついに、ついに、ついにやったぞォ~~~~~!」

    小便紳士「それは……どうかな」ニヤッ

    放火魔「!」

    小便紳士「小便とて、工夫すれば広範囲をカバーすることは可能だ!」

    ブシュウゥゥゥゥゥ……!

    小便紳士は小便を霧状にして噴射し始めた。

    放火魔「なっ……!」

    すると──

    探偵「みるみる火が消えて──あっ、あれは!」

    キラキラキラ……

    マッチョ「虹だ! 紳士さんのオシッコで虹ができたんだ!」

    「わぁ~キレイ! ロマンチックね!」

    放火魔「小便で……虹を描いただとォ……!?」ワナワナ…

    小便紳士「さあ……これでもう打つ手はないハズだ! 観念しろ、放火魔!」

    115 :

    ちょっと小便紳士になってくる!

    116 :

    もしかしてこのマッチョチンピラの姉に騙されそうになって弟ぼこったやつか

    117 = 96 :

    放火魔(くそォ~……こうなったら……)トロー…

    シュバッ!

    放火魔は床を滑るようにして、猛スピードで廃屋から逃げ出した。

    小便紳士「しまった!」

    探偵(床にオリーブオイルを垂らし摩擦を減らして、まるでスケートのように!)

    放火魔「オマエは消火は得意だが、逮捕は苦手だもんなァ~! ハッハッハァ~!」シャーッ

    「マッチョ!」

    マッチョ「え?」

    「あたしを投げて! 早くッ!」

    マッチョ「え!? ──う、うん!」ヒョイッ

    ブンッ!

    マッチョに投げられた少女が、マッチを投げる。

    「逃がすもんかぁっ!」シュババッ

    放火魔「なっ──」

    グササァッ!

    118 = 96 :

    「よっと」スタッ

    足にマッチが何本も刺さり、転げ回る放火魔。

    放火魔「ぐおおおおっ……!」ゴロゴロ…

    放火魔「あ、あ、足にマッチがァ……!」ゴロゴロ…

    小便紳士「放火魔、これでオシマイだ!」

    ジョバババァァァァァ~……!

    鉄砲水のような小便が、放火魔に襲いかかる。

    放火魔「ひ、ひぃっ!」

    放火魔「うわぁぁぁっ! 来るなぁぁぁっ!!!」

    ザバァァァッ……!

    119 = 96 :

    放火魔「しょ、小便に、呑まれ、る……ごぼっ!」ジタバタ

    放火魔「ガボォ……ゴボォ……! ゴボゴボッ……!」ジタバタ

    放火魔「ゴボ……ガボッ……」

    放火魔「…………」ブクブクブク…



    この日、町の外れに小さな池ができた。

    池の中心にはまるで闘争心を消火されてしまったような放火魔が、

    仰向けになってぷかりと浮かんでいた。



    少女&マッチョ「やった、やったぁ!」バシッ

    探偵「先輩……やりましたね!」

    小便紳士「ああ……事前に水を飲んでおいてよかった……」

    小便紳士「みんな……ありがとう……!」

    120 = 96 :

    小便紳士は兵隊に、放火魔の身柄を引き渡した。

    このニュースで、数えきれないほど多くの人々が歓喜に包まれたことはいうまでもない。

    探偵「ヤツはあまりにもたくさんの財産と命を奪いました。まちがいなく極刑でしょう」

    探偵「みんなの怪我やヤケドが、思ったより軽傷だったのは幸いでしたね」

    探偵「先輩……これでやっと終わったんですよね」

    小便紳士「いや、終わってはいない」

    探偵「え?」

    小便紳士「決めたよ」

    121 = 96 :

    小便紳士「私は世界中から火災をなくしたい」

    探偵「では消防団に……?」

    小便紳士「消防団にはアドバイスこそ与えたいが、所属するとなるとなにかと制約も多い」

    小便紳士「これからは……フリーの防火、消火人として働こうと思う」

    小便紳士「小説を急に止めることもできないから、しばらくは二足のわらじになるがね」

    探偵「先輩……」

    探偵「だったら──」

    探偵「私も……私もぜひご一緒させて下さい!」

    探偵「もういなくならないで下さい……!」

    小便紳士「フリーの消火人となるからには、優秀なパートナーが必要不可欠だ」

    小便紳士「私からお願いしたかったくらいだ。ぜひ力を貸してくれないか?」

    探偵「はいっ!」

    123 = 96 :

    「ヒューヒュー! 子供の前で見せつけてくれちゃって。ねえ?」

    マッチョ「…………」カァ…

    「なんでアンタが真っ赤になってるのよ! まったくウブなんだから!」ゲシッ

    マッチョ「あだぁっ!? くるぶしをつま先で蹴るのはよくないよ!」

    小便紳士「君たちも……もしよければ」

    小便紳士「ぜひ生活などの支援をさせて欲しいのだが……」

    探偵「ええ、力になれると思うわ」

    少女&マッチョ「…………」

    「いいのよ、おじさん! あたしたちは二人で大丈夫!」

    マッチョ「ええ、ようやく商売も軌道に乗ってきましたし」

    「おじさんたちも、ちゃ~んと二人で幸せになってね!」

    小便紳士「こりゃまいった。君たちの方がよっぽどしっかりしているな」

    探偵「ふふふっ……」

    ハッハッハッハッハ……!

    124 = 102 :

    マッチョかわいい

    125 = 96 :

    それからしばらくして──

    <町>

    「マッチはいかがですかぁ~!」

    「マッチョもいかがですかぁ~!」

    マッチョ「いかがですか~!」

    「マッチ一つもらおうか」

    「は~い! ありがとうございまぁ~す!」

    「……ふう」

    「おじさんと女探偵さん、今頃どうしてるかしらね」

    マッチョ「きっと世界中を飛びまわって、火災をなくすために働いてるんだよ」

    マッチョ「そういえば、紳士さんの最後の小説、さっき買ってきたけど読む?」

    「アンタいつの間に……もちろん読むわよ! 今日はもう店じまい!」

    126 :

    ギャンブラーの人?

    127 = 96 :

    <小屋>

    「──あ~……面白かったぁ! ドキドキワクワクしたわ!」

    「でもこれが最後なのは、ちょっと残念ね」

    マッチョ「消火人としての仕事が落ち着いたら、きっとまた書いてくれるよ!」

    「それもそうね!」

    「ところで物語の途中から」

    「おてんば妖精と心優しいゴーレムってのが出てきたじゃない」

    「なぁ~んか見覚えあったのよねえ」

    マッチョ「たしかに……ボクも親しみのようなものを感じたよ」

    少女&マッチョ「う~ん……」

    「ま、いいわ。明日もマッチとマッチョ売り、頑張りましょ~!」

    マッチョ「うん、頑張ろう!」

    128 = 96 :

    そして、小便紳士たちはというと──

    工場長「ありがとうございましたっ……!」

    工場長「あなたたちがいなければ、燃料貯蔵庫が三日三晩は燃え続けるところでした!」

    探偵「これも私の調査のおかげね」

    探偵「管理の仕方がよくないなぁ、ってずっと気になってたから」

    小便紳士「今後は二度とこういうことがないようにして下さいね」

    工場長「は、はいっ!」

    小便紳士「さて、これなら次のスケジュールをキャンセルせずに済むかな?」

    探偵「ええ、西の都市で火災予防に関する講演がありますね」

    小便紳士「そうだったね。でははりきって行こう!」ザッ



    かつて“小便小僧”と呼ばれた男、小便紳士。

    彼は今日も小便をし続ける。

    いつの日か、世界から火災がなくなるその日まで──


    <おわり>

    129 = 96 :

    ありがとうございました!

    130 = 126 :

    おつ
    おわりが微妙に違うけど違う人だったんか?
    今まで書いたやつのまとめ下さい

    131 :

    乙!
    面白かった!

    132 = 126 :

    おい
    吸血鬼とか格闘家とかなんかいろいろあっただろ、たのむ

    133 = 102 :

    面白かったぞ

    134 = 103 :

    久々に楽しめた


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