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    元スレ白望「それからは豊音のことばかり考えて暮らした」

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    201 = 168 :

    ―――――――集会場


    既に豊音は卓についていた。男たちも私を椅子にかけさせると、同じように卓についた。

    村長が、ちらりと私のほうを見た。服が変わっていることに気付かないはずはないだろうが、特に咎められることはなかった。


    豊音「じゃあ、今日も麻雀はじめるよー」




    全員が頷く。


    文字通り、賽は投げられた―――――



    東家:白望
    南家:九戸
    西家:普代
    北家:豊音

    東一局 親:白望 ドラ東


    白望(ふぅ………起親か)

    203 = 173 :

    勝つんだシロ

    206 = 204 :

    しえーん

    208 = 198 :

    これ勝ってもあの足で帰れるのかな

    211 = 168 :

    白望(いくらなんでもおかしい)

    白望(そもそもこれ何面待ちなんだ)



    白望(……………)

    白望(一三四六七九、6面張)



    豊音「………」

    白望(豊音からはあの気配は感じない)


    白望(これは偶然………?それとも、残る最後の能力?)


    白望(どちらにしても、この配牌で降りなんてない、いつまでも考えてる余裕もない)


    白望「リーチ!」

    打:白


    白望(!?)ゾワッ

    213 = 168 :

    白望(今の感覚………)


    豊音「ふふふふふ、引っ掛かった」


    豊音「ポン」

    □□□□□□□□□□ 白白白

    打:五


    豊音「ねえ、白望…………昨日の話の続きだけど、やっぱりこの村で私に仕えて暮らす、なんてのは無しよ」

    白望(やっぱり、リーチ打ったのは失敗だったかなぁ……)

    一二三四五六七八八八東東東 中

    ツモ切り:中


    豊音「ポン」

    □□□□□□□ 中中中 白白白

    打:八


    豊音「だって、貴方の血、とっても美味しかったんだもの………」

    216 = 168 :

    白望(失敗だった)

    一二三四五六七八八八東東東 發

    ツモ切り:發


    豊音「ポン」

    □□□□ 發發發 中中中 白白白

    打:二


    豊音「ああ、早く貴方が欲しいわ………」

    白望(……………そもそも、勝てない勝負だった気がしてきた)

    一二三四五六七八八八東東東 ②

    ツモ切り:②


    豊音「ポン」

    □ ②②② 發發發 中中中 白白白

    打:⑧

    豊音「これで終わりね。早くいらっしゃい、白望」

    217 = 198 :

    勝てなさそう

    218 = 214 :

    豊音がなんか目覚めてる

    219 :

    さるよけ

    221 = 214 :

    シロがもーちゃんと化した

    223 = 168 :

    東二局 親:九戸 ドラ2萬


    豊音「白望……この対局はもはや無意味よ」

    白望(もう絶対、リーチはかけない)

    豊音「もとより、この余興も新月までの間あなたをこの場に留めておくための口実」

    豊音「あなたは私に勝てはしないし、どちらにせよ開放する気なんてはじめから無かったのよ」

    白望(………………)

    六七八八③④⑧23478西 白

    打:西


    豊音「カン」

    □□□□□□□□□□ 西西西西


    豊音「ツモ」

    345東東東南南北北 南 西西西西


    豊音「四喜和、32000」

    224 = 214 :

    うへぇ

    この豊音に依存されたい

    227 = 168 :

    白望「…………………………」


    白望「……あなたは、本当に豊音?」


    豊音「もちろんそのとおりよ、白望」


    終局

    白望-9300 九戸27700 普代24300 豊音56300




    229 = 168 :

    ―――――――牢屋



    初日を様子見に充てたのは失策だった。

    豊音が言った『お祭り』が近づくにつれ、豊音の能力は神懸ってきている。

    衰弱していく一方の私に対して、加速度的に力を増していく豊音。

    初日に豊音に負けた時点で、そこから先の私に勝ち目は無かったのだ……

    無理を承知で、最初の対局中に逃走を試みるべきだったかもしれない。


    思えば、ここに来てからたまに見せる豊音の奇妙な言動……

    永水女子の人たちのように、豊音もまたこの土地の土地神かなにかを憑依させているのだろう。

    豊音が仏滅を使ったとき、「この時、この場所でしか」これだけの力は使えないと言っていた。

    この山を離れれば元の豊音に戻ってくれるだろうか。


    おそらく、明日の戦いも、同じような結果になるだろう。

    対局が終わって、日が沈めば祭りが始まる。

    私は、そこで………

    230 :

    シロ頑張れよ死ぬな

    232 = 168 :

    昨夜豊音が言った通り、この村で暮らすことを選ぶべきだろうか。

    対局の前に頼んでみようか。


    しかし、昼間の豊音の様子……あれがこの村の神なのだとしたら、

    あいつは私が新しい村の住人となるより生贄として捧げられることを望んでいるようだった。


    提案が受け入れられるとは思えない。

    私はここで死ぬのか。

    嫌だ。


    嫌だ嫌だ嫌だ。

    死にたくない。

    豊音。


    『豊音』に、会いたい……




    234 = 168 :

    ???「シロ、起きて、シロ」

    白望「んう……」



    白望「豊音……」

    豊音「おはよう。といっても、まだ夜中の3時だけどー」

    白望「豊音……会いたかった」


    豊音「シロ……最後のチャンスだよ。わたしと一緒にこの村を出るか、明日の半荘に賭けるか……選んで」

    白望「この村を……出る?」

    豊音「うん。このままシロを逃がしても、絶対に山を下りる事なんてできないでしょー?」

    豊音「朝が来て、捕まっちゃうよー」

    豊音「それに、シロ一人で逃げ切れても、途中で死んでしまっても……神様の怒りを買うことになる」

    豊音「神様はもうシロを手に入れた気でいるみたいだし、そうなったら鎮めるのは無理かなー」

    白望「そうなったら、どうなるの」

    豊音「多分、今よりもっとひどい……村ごと土砂崩れにあう、なんてことになるかもしれないよー」

    236 = 168 :

    豊音「でもでも、わたしがシロをおんぶすれば確実に逃げられる」

    豊音「村のみんなは村から離れることはできないけど、県内じゃあ追手がかかると思う」

    白望「……追手?」

    豊音「祟りにあうってこと」


    豊音「宮守には、戻れないよー」

    白望「でも、豊音がこの村を離れるってことは」

    豊音「そうだよ……この村はおしまい」



    豊音「だから、シロが選ぶの」



    豊音「このまま死ぬか……村一つを終わらせるか」



    白望「……………………」


    白望「………ちょっと、タンマ」

    239 = 168 :

    どちらを選んでも、あまりに失うものが大きすぎる。

    片方は自分の命。もう片方はこの村。

    宮守には戻れない。今まで通りの生活を送ることはどちらにせよ不可能……


    でも、豊音が居れば。豊音が居てくれるなら……

    思えば、豊音が私のために動いてくれていなければ、私は既に飢えて死んでいただろうし、

    あるいは足の怪我だってもっとひどいことになっていただろう。

    どちらを選ぶべきかは明白だ。決断を下せないのは、良心の呵責があるからだ。

    でも、私はまだまだ豊音と一緒に居たい。豊音と一緒に生きていたい……


    白望「………決めた」


    白望「………村を出よう、豊音」

    豊音「うんっ!」





    241 :

    しえん

    242 = 168 :

    豊音「荷物、持った?」

    白望「うん、大丈夫」


    最初に豊音を連れて逃げ出そうとした時に取り上げられていたリュックを背負う。

    目の前で、豊音が屈んでいる。


    白望「……でも、いいの?」

    豊音「何が?」

    白望「村を出る事」

    白望「生まれ育った場所、なんでしょ……?」

    豊音「もちろん、本当なら見捨てたくないよー」


    豊音「でも、わたしもシロと同じ気持ちだから」

    白望「それって……」

    豊音「ほら、みんなに気付かれる前に、急いで」

    白望「う、うん」

    247 = 168 :

    白望「じゃあ、失礼します」

    豊音「まかせてよー」


    豊音「よいしょ」

    白望「………重くない?」

    豊音「平気だよー」


    言葉通り、私を背負ったまま普段歩くかのような調子で進む豊音。



    牢屋を出て、ふと気付く。干し草の束が道のように並べられていた。

    それも一本ではない。村中に網のように張り巡らされている。


    白望「豊音……あの干し草は何?」

    豊音「すぐわかるよー」


    村の入り口に程近い小屋までやってくると、豊音は私を地面に降ろした。


    豊音「ちょっと待っててねー」

    248 = 168 :

    薄暗くてよく見えないが、どうやら薪をためておく小屋らしかった。

    豊音は傍にあったポリタンクの中身を薪にかけ、マッチを点火して投げ入れた。


    白望「と、豊音。そんなことしたら」

    豊音「うん、今日は風があるし……大変な火事になっちゃうねー」


    はた、と気が付いた。干し草の束はこの小屋のそばから、すべての家の近くに道のように置かれている。


    白望「こ、これ……導火線ってこと」

    豊音「うん、そうだよー」

    白望「そんなことをする必要……」


    豊音「そうだよ。必要ない」

    豊音「飢饉か、天災か……どういう原因でかはわからないけど、結果は同じ」

    豊音「みんなは、山を下りてまで生きようとはしないよ」

    豊音「その結果どうなるかが分かっていてもね」

    豊音「近い将来、少なくとも2、3年のうちに、この村はなくなる」

    250 :

    塞ってこれか?


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