元スレ白望「それからは豊音のことばかり考えて暮らした」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
101 = 2 :
豊音はそこで言葉を打ち切り、傷口を洗うのをやめて包帯に手をのばす。
豊音「仕方ないんだよ……あれは」
豊音「ねえ、シロ」
豊音「明日、日が昇ってここを出て集会場へ向かうときに……」
豊音「えっと、ここからだったら……そう。右手の方かなー」
白望(……?)
豊音「山の、右手の方を見てみて。土砂崩れがあったの」
豊音「二人、亡くなったんだー、それで」
豊音「わたしが東京に出かけた、次の日に」
103 = 2 :
豊音「手当て、できたよー」
白望「ありがと……」
豊音「じゃ、あまり見られるわけにはいかないから……またあした、だよー」
白望「うん」
豊音「おやすみ」
手桶とはさみ、包帯をまとめて豊音が出ていく。
出口のところで振り返った豊音の目は、私の血で汚れた両の手よりも、なお赤く光っていた。
・
104 = 84 :
これは勝つまでシロも監禁なのか……?
106 = 2 :
―――――――翌朝
「出ろ」
痛みでほとんど眠れないで迎えた翌日。昨日私と同卓した男たちが牢の扉を開けて告げる。
格子に掴まってどうにか立ち上がるが、右足に力が入らず、歩けそうになかった。
もとよりそれを想定していたのだろう、ここに連れてこられた時と同じように、二人が私の両脇を抱えた。
男に連れられて牢を出た。日差しが目に痛い。おそらく10時頃だろうか……
白望「あ……」
昨日豊音が言っていた、山の右手側を見る。
土砂崩れがあったと思わしき部分だけ、およそ2、30メートルにわたって土がむき出しになっているのがわかった。
その二人とやらは、今もあの崩れた土に埋まっているのだろうか……
崩れている部分が、なんとなく獣の爪痕か何かのように見えて、目をそらした。
107 = 9 :
しえんた
108 = 2 :
―――――――集会場
既に豊音は卓についていた。男たちも私を椅子にかけさせると、同じように卓についた。
村長が、ちらりと私の右足を見た。包帯は取っておくべきだっただろうか、と思ったが、特に咎められることはなかった。
豊音「じゃあ、場決めから始めるよー」
豊音「でもでも、シロが動けないのでシロを基点にするよー。いいかなー?」
ふたりが頷く。
結局豊音の心中はまだわからないが、無事に宮守に戻るためには勝つしかない。
――――全力で行く。
東家:普代
南家:九戸
西家:白望
北家:豊音
109 = 81 :
しえん
110 = 2 :
東一局 親:普代 ドラ5索
五七①④④(⑤)2367東南北 ②
白望(豊音が下家……)
白望(昨日の赤口の精度を考えるに、発動後はほぼ毎順当たり牌を任意の人間に送り込んでいる)
白望(豊音はずっとツモ切りって訳じゃなかったから、テンパイしているしていないに関わらず効果がある)
打:南
白望(先負については、危険牌を打つときは「通らばリーチ」って言ってるし……)
白望(実際、逆に豊音が一発で振り込むこともたまにあった)
(五)七①②④④⑤2367東北 北
打:東
白望(『友引』『先負』『赤口』をまとめて対策するなら……)
白望(超良形かつ、5順目まで、あるいは豊音の一発振り込みが期待できるときだけにしか先制リーチをしない)
白望(鳴けそうな牌を捨てない、特に赤が見えてない色の3~7の数牌)
(五)七①②④④⑤2367北北 ③
打:①
112 = 2 :
白望(…………普通に考えて不可能じゃないかなぁ)
7順後
(五)六七②③④④⑤⑥3367 8
白望「……ツモ。タンピンツモドラ1。1300-2600」
白望(この局は鳴かせることもなく、どうにかうまくいったけど)
白望(足が痛い……)
東二局 親:九戸 ドラ1索
白望(痛みのおかげで意識は鮮明、眠気はばっちり……)
白望(な、はずなんだけど。やっぱり痛みによるストレスの方が大きいかなあ)
一(五)九③③④⑤22666白 白
打:一
豊音「ポン」
□□□□□□□□□□ 一一一
113 = 2 :
白望(1順目から鳴き……)
数順後
三(五)③④⑤22666白白白 六
白望(上家が赤⑤、対面が赤5を切っていて、赤五は私の手中)
白望(既に豊音は副露しているから、先負はない)
白望(友引確定の状況での豊音の出あがりは見たことがないからリーチかけてもいいけど……)
打:三
豊音「ポン」
□□□□ 三三三 西西西 一一一
白望(それにしても、同卓の二人……)
白望(勝つ必要がないからとはいえ、明らかに豊音のアシストに努めている……)
白望(敵だから当たり前なんだけど、実質3対1か……ダル)
115 = 67 :
しえんた
116 = 81 :
あと一鳴きで友引成立か
117 = 2 :
(五)六③④⑤22666白白白 八
豊音の河:⑦北135中白②⑦③6
白望(ツモ切りは普通なら暴牌にもほどがある)
白望(鳴かせるとホンイツ、トイトイのどちらかがまあ確定)
白望(でもまわしてる余裕はないし、ほかの二人がアシストに努めていることを考えれば4つ目もどうせ鳴かれるかぁ)
白望(直撃は無いとわかっているからこそ、ツモ切り……)
ツモ切り:八
白望(違ったか)
豊音「…………」
ツモ切り:1
普代「………………」
打:五
119 = 2 :
九戸「………………」
打:四
豊音「ポン」
白望「ろ、ロン!」
(五)六③④⑤22666白白白 四
白望「白、ドラ1……3200」
豊音「………………」
・
東三局 親:白望 ドラ北
11順目
一一九九224477白白東 ⑤
白望(ウーピンか……)
白望(豊音の手は……筒子染めっぽい感じだなぁ)
120 = 9 :
シエスタ
122 = 81 :
いい調子だ
124 = 9 :
しえん
125 = 2 :
白望(行ける……ような気がする)
白望(……………?)
白望(今、何か豊音から感じたような)
東三局一本場 親:白望 ドラ中
二四五七⑤⑤⑥1489南中 白
打:1
豊音「シロ、言ったよね?」
白望「……なに?」
豊音「まあ、麻雀のルール上仕方のないことだけどー」
豊音「これは二人の戦いだ、って――――――――」
白望(そんなことを言われても)
126 = 2 :
豊音「シロがその気なら……」
打:五
普代「……………………リーチ」
打:白
九戸「…………」
打:白
白望(普代さんがダブルリーチ)
白望(そして豊音の1順目五萬切り……)
打:白
5順後
豊音「リーチ」
打:四
白望(豊音の追っかけか)
127 = 81 :
先負連携
128 = 2 :
普代「……………」
ツモ切り:2
豊音「ロン」
2444555777789 2
豊音「リーチ一発、清一三暗刻。裏……なし。16300」
白望(………!)
白望(豊音から感じたあの気配、やっぱり気のせいじゃなかった)
白望(何かがあの時、変わったんだ)
白望(一気に戦局を変えた倍満和了)
白望(そして…………その後、南三局まで全員ノーテンで流局した)
130 = 2 :
南四局 流れ4本場 オーラス 親:豊音 ドラ5萬
普代1300 九戸20500 白望38200 豊音40000
一四七147①④⑦南白中發 西
白望(在り得ない……)
白望(豊音の倍満以降、ずっとこんな配牌)
白望(そして、全員がノーテン流局)
白望(これも豊音の力なのかなぁ……)
豊音「白望、もう気付いてると思うけど……」
豊音「これが、『仏滅』だよ」
豊音「病めば長引き、万事成らざる日なり」
豊音「誰もあがれないし、テンパイすらできない。もちろん私も」
白望(それって……勝負にならないんじゃ)
131 = 81 :
確実に逃げ切れる能力だな
132 = 2 :
豊音「極端な話、最初に食い断をあがって、あとはこれだけでも勝負はおしまい」
豊音「もっとも、この場所、この時じゃなければ、全員ノーテンなんて1、2局くらいが限度だけど」
白望(メンドくさいことになったなぁ……)
豊音「それに、白望………足が痛むでしょう?」
豊音「自分では気付いていないみたいだけど、その痛みのせいで、あれこれと考える余裕がなくなっているのよ」
豊音「今のあなたに、迷い家は見つけられない以上、逆転の目は無い」
豊音「大人しく諦めて……」
18順目
白望の手牌:四五六1247①①白白北北 八
白望の河:
西南中發⑦東
東一七9二⑨
26④九②
ツモ切り:八
133 = 2 :
豊音「ノーテン」
普代「ノーテン」
九戸「ノーテン」
白望「………ノーテン」
・
終局
普代1300 九戸20500 白望38200 豊音40000
135 = 2 :
ほぅ、と豊音が小さく息を吐く。
同時に、ふ、と。
豊音から感じていた妙なプレッシャーが消え去る。
豊音「お疲れだよー」
白望(……………二人の勝負、か)
白望(よく言ったものだなぁ)
元の豊音に戻った筈なのに、その気配は今までの豊音とはどこか違うように思えた。
「連れていけ」
村長が呟くと、二人の男が立ちあがって私を抱え上げた。
最後の局の、豊音……いったい、何だったんだろうか。
137 :
さるさんらしい
139 = 81 :
しえん
143 = 2 :
―――――――牢屋
白望「…………………………………………………」
動く気にすらならない。外は夏真っ盛りのカンカン照りで、空調の類が何一つない牢内は地獄の暑さだった。
まだ風があるだけマシといったところか。
最後に食事をとったのは昨日の昼だから、もう丸一日何も口にしていないことになる。
相変わらずじくじくと足の傷は痛むし、汗ばんだ洋服も変えていない。既に精神的には限界に近い。
格子窓から味噌汁の匂いが漂ってきた。今はお昼どきなのか……
派手な音を立ててお腹が鳴るが、どうせその味噌汁に自分の手が届くことはないのだ。
匂いだけ嗅がされると、余計腹立たしい気分になってくる。
豊音「シロっ」
白望「と、よ………ね……………」
豊音「だ、だいぶ弱ってるみたいだねー」
豊音「でもでも、ご飯持ってきたから大丈夫!」
145 :
死んだらいかんぞシロ
146 = 67 :
頑張れシロ
148 = 2 :
言って、豊音はラップにくるまれたおにぎりを3つ差し出した。
白望「あ、ありがと…………豊音」
既に空腹は限界だ。焦るあまり、受け取ったひとつめはほとんど噛みもせず飲み込んでしまった。
白望「っく、けほ、けほ」
豊音「お、お水もあるから、急がないでいいよ」
残る二つは、じっくりと噛み締めながら食べる。
シンプルな梅干しのおにぎりだったが、空腹のせいか、これまでに食べた何よりもおいしく感じられた。
白望「ふう、…………ごちそうさま」
豊音「お粗末様だよー」
白望「助かったよ、豊音…………」
豊音「ううん、いいんだよ」
豊音「じゃあじゃあ、また夜に包帯替えに来るから」
白望「いいの?」
150 = 84 :
頑張ってくれシロ
希望は君しかいない
みんなの評価 : ☆
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