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元スレ白望「それからは豊音のことばかり考えて暮らした」

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1 :

代行ID:R72HvJhyP

2 :

―――――――宮守女子高校麻雀部部室


岩手に戻って、1週間。インターハイの熱も冷めやらぬ8月のある日。

私たち宮守女子の麻雀部部員は何をするでもなく、部室に集まっていた。


「あー……東京ほどじゃないにしても毎日暑いわねー」

エイスリン「ダルイ………」

胡桃「そこ!シロの真似してだらけない!」

エイスリン「ハーイ」

「それにしても胡桃は偉いね。IH終わってすぐに勉強に切り替えられるなんて」

胡桃「当然でしょ!?私たち受験生なんだよ?」


胡桃は部室備え付けの机で勉強をしている。

残る三人は雀卓に着いてはいるものの、雀卓の電源すら入れておらず、うだうだと無為に時間を過ごしていた。

3 = 2 :

「しっかし、こう暑いと喉が渇くね」

エイスリン「ジハンキ、イク?」

「そうしよっか」


「シロ、何がいい?」

白望「コーラ」

「ん」

「胡桃は?」

胡桃「んー……要らないや」

「はいはーい」


ぴしゃり、と音を立てて部室のドアが閉まる。

私はドアのほうを見もせず、椅子の背もたれに深く身を預けたまま、胡桃に話しかける。

4 = 2 :

白望「ねえ、胡桃」

胡桃「何ー?」

白望「胡桃はさあ、進学するんだよね」

胡桃「うん」

白望「そっかぁ……」

胡桃「って、シロ、まだ進路決めてないの?」

白望「お母さんは家に居ていいって言うし……」

胡桃「いや、そんなのダメでしょ」

胡桃「決まってないんだったら、わたしと一緒の大学に行こうよ!」

白望「んー……それもいいかもなぁ」

胡桃「でしょでしょ?あ、でもそこ偏差値65あるけどね」

白望「ダルい……やっぱやめた」

胡桃「そこ!諦めるのはやすぎ!」

6 :

シロが主人公か

7 :

ちょっと投下ペース早い

8 = 2 :

エイスリン「タダイマー」

「はい、シロ」

白望「ありがと……」


塞がプルタブを開け、コーラを手渡してくる。

受け取ったそれを一口だけすすってから、缶をサイドテーブルに置く。


白望「あ、お金」

「あー、いいよいいよ。こないだのでチャラってことで」

白望「……何かしたっけ」

「ほら、インハイの2回戦でわざわざ応援に来てくれたじゃない」

白望「あー」

「……嬉しかったから」

白望「うん、わかった。ありがと」


財布を鞄へ取りに行くのが面倒なので、そういうことにしておいた。

今度塞と一緒に何かの支払いをすることがあれば、その時に渡すことにしよう。

9 :

早い投下には早い支援を!

10 = 2 :

白望「今、胡桃と進路の話をしてたんだけどさ」

「ふぅん、珍しい」

白望「塞はどうするの」

「大学進学かなぁ」

白望「やっぱり、この辺の大学?」

「ううん、この間初めて東京に行ったけど、やっぱり大学生活の間くらい都会のほうでも暮らしてみたいなって」

「両親に頼んだら、まあオッケーは貰えたから。あとは試験を頑張るだけね」

白望「そうかぁ……エイスリンは?」

エイスリン「ワタシモ」

白望「帰国はいつだっけ」

エイスリン「ライネンノ、ハル」

白望「じゃあ、あと半年くらいしかいられないのか……」

エイスリン「ウン……」

「なんだか湿っぽい話になってきたわね」

11 = 7 :

とよねー

12 = 9 :

しえんた

13 = 2 :

白望「そういえば、豊音は?」

白望「こっちに戻ってから、一度も見てないんだけど」

「みんな毎日来てるわけじゃないし、そんなこともあるんじゃない」

「私だって、インハイ終わってから一昨日初めて部室に来たよ」

胡桃「わたしはだいたい毎日ここで勉強してたけど、1回も来てないよ」

「そうなんだ」

エイスリン「ワタシモミテナイ」

白望「それに……電話も出ないんだ」

「どういうことなのかな」

胡桃「小さな村に住んでるみたいだし、テレビに出たからお祭りでもしてるんじゃない」

「あぁ、うちの近所も結構大騒ぎしてたみたいだわ」

白望「それならいいけど……」

14 = 7 :

まさか監禁……

16 :

トヨネちゃんが監禁されてないことを切に願う

17 = 2 :

エイスリン「イッシュウカンモ?」

胡桃「……わかんない」

「あ、もうこんな時間」


塞の言葉に壁掛けの時計を見てみると、時計の短針は既に6を指していた。

夏休み中で人員が少なく、見回りに労力を割けないということで下校時刻は18時に設定されている。


胡桃「さて、じゃあ帰りますか」

エイスリン「ミンナ、オツカレ!」

胡桃「うん、エイちゃんも帰り道気を付けてね」

「シロも、早く準備しなよ」

白望「あ、うん」


白望「……やっぱり、二人は先に帰ってて」

「えっ、いいけど」

胡桃「どうかしたの?」

19 = 2 :

白望「ちょっとね」

「そう、わかった。じゃあね」

胡桃「ちゃんと帰らなきゃだめだよ」

白望「わかってる、じゃあまた」

エイスリン「バイバイ!」


みんなと別れ、一人職員室のほうへ向かう。


白望「失礼します」


夏休みという事もあって職員室にいた教員は2人だけで、残念ながら自分の尋ね人の姿はそこにはなかった。

仕方なく帰ろうとした時、ふと、尋ね人―――トシさんの机の上にある一枚の紙が目に留まった。

21 = 7 :

とよねー

22 = 2 :

白望「生徒名簿……?」


その紙はバインダー綴じ用のもので、経歴、通学経路についての情報などが子細にまとめられている。

そういえば、1年の頃に同じものを書いて提出した覚えがあるが……


通常これはクラス担任が保管しているもので、進級の時期に所属クラスごとに綴じなおすはずだ。

この時期にこれ1枚だけが放置されているはずがない。


白望「これ、豊音の……」


そして、その名簿に記されていたのは、姉帯豊音の名前だった。

23 = 2 :

―――――――小瀬川白望の自室


白望「ついコピーしてきちゃったけど……」


ベッドに寝転んで、ぼんやりと紙を眺める。住所を見るに、ずいぶんと遠くから通っているようである。


白望「電車と、バスと乗り継いで……って言ってたっけ」


白望「そういえば、豊音の家って行ったことないな」


白望「明日、トシさんに詳しく聞いてみよう」

26 = 2 :

―――――――宮守女子高校職員室


トシ「豊音なら村に戻ったよ」


それは当然だろう。彼女の家は依然山奥の村にあるのだし。

しかし、トシさんの口ぶりからして、ただ帰宅した、という意味でないのは分かる。


白望「それは、どういう」

トシ「正しくは、ここを辞めた……ってところかねぇ」

白望「辞めた……!?」

白望「そんな、どうして」

トシ「前に、言っただろう」

トシ「豊音を連れ出すのに、多大な労力を要したって」

白望「それは、手続きが複雑っていう話で……」

27 = 7 :

とよねー

28 = 2 :

トシ「白望」

トシ「世の中には、どうにもできない事情ってのが、あるんだよ」

白望「…………!」

トシ「この話は終わりだよ」

白望「………失礼しました」






白望「……ダルい」

「どしたの」

白望「うーん、別に」

胡桃「シロがだるいのはいつものことでしょ」

エイスリン「ソウソウ!」

「それはそうだけど」

「何かあったの?」

白望「いや……」

29 = 2 :

「変なシロ」

エイスリン「シロ、オカシクナッタ?」

胡桃「めったなこと言わないでよ……」

「……そういえば、新しくパーラーが出来たらしいんだけど」

胡桃「へぇ」

「みんなで行ってみない?」

胡桃「部活終わったらね」

「このままここに居ても、たぶんぐだぐだなまんまだよ」

「おやつには良い時間だし、今日はここで切り上げようよ」

エイスリン「サンセイ!」

胡桃「えー」

「いいでしょ?」

胡桃「し、しょうがないな!今日だけだからね!」

30 = 7 :

胡桃かわいい

31 = 2 :

「シロも行くでしょ?」

白望「ダルい……」

「決まりね!ほらほら、みんな荷物まとめる!」

エイスリン「オー!」


言いながら、塞は手早く広げられていたノートの類を鞄に仕舞い込んでおり、

10秒もしないうちに私の手には自分の鞄が握らされていた。

既に塞は部室の照明を落とし、戸締りにかかっている。

インターハイの終わった日から、一度も麻雀を打っていない。


つい、と雀卓のふちを指で撫ぜ、

薄く指についた埃を息で吹き飛ばそうとして。

指を口元に運ぶのが面倒になって、スカートの端で掃った。

33 = 16 :

なんか小説家みたいな文章だな

34 = 2 :

―――――――パーラー


胡桃「んー、おいしいねぇ」

エイスリン「シロ、ワタシノモタベル?」

白望「あーん……」

「シロの抹茶パフェもちょっと頂戴!」

白望「どうぞ……」


塞の案内してくれたお店のオープンテラスで、のんびりと過ごす。

パフェのアイスが火照った体に気持ちいい。

ただ、家からはかなり離れてしまったので帰り道のことを考えると非常に憂鬱だが……


「うあぁぁぁ~、頭痛いー!」

胡桃「そんなに急いで食べるからでしょ」

エイスリン「サエ、ダイジョウブ?」

白望「アイスクリーム頭痛……」

36 = 2 :

「名前はアイスクリーム頭痛っていう割に、カキ氷でよくなるイメージがあるわね」

胡桃「そういえば、海に行った時もカキ氷食べて頭痛くなってたよね」

胡桃「それなのに懲りもせずアイスでもやるなんて」

「うっ」

エイスリン「サエ、トリアタマ?」

胡桃「どこでそんな言葉覚えたのエイちゃん……」



胡桃「しかしまあ、いいとこ見つけたね」

「まあね、さすがでしょ?」

胡桃「そこ、調子に乗らない!」

白望「豊音も来られれば良かったのにね」

「え、あ、うん……そだね」

胡桃「ホントにどうしたんだろうねー」

白望「そろそろ心配になってきたかなぁ」

胡桃「ふーん……そんなに気になるなら、家に行ってみれば?」

37 :

初春「糞スレが伸びてる理由もわかりませんし」

初春「百番煎じのSSは、書いてる奴も読んでる奴も何考えてるんですかねぇ」

初春「独自性出せないなら創作やるんじゃないっつーの」

初春「臭過ぎて鼻が曲がるわ」

佐天「初春?」

初春「結果として面白くないのは許せます。許せるだけで面白くはないんですが」

初春「パクリ二匹目のドジョウ百番煎じは許せませんね。書いてて恥ずかしくないんですか?」

初春「ドヤ顔してる暇があればとっとと首吊って死ねよ」

初春「そうネットに書いてありました」

佐天「なあんだネットかあ」

初春「一番の害悪はそういったSSを持ち上げてる人たちなんですけどね」

佐天「ふーん」

38 = 2 :

白望「え?」

胡桃「だから、豊音の家まで行って会ってきたらって事!」

白望「……ダルい」

胡桃「もー、いつまでもうだうだ言ってるほうがダルいよ!」

胡桃「シロは明日、豊音の家に行ってどうなってるか確かめてくること!」

白望「……はい」

「シロってば怒られてやんの」

エイスリン「クルミ、キビシイ!」

胡桃「二人も茶化さないで!」

白望「…………」

白望「わかった、じゃあ明日行ってくる」

胡桃「よろしい」


……胡桃に言われるまでもなく、私は豊音の家を訪ねてみるつもりだった。

みんなの反応からして豊音が学校を辞めたという事は知らないようである。

それにしても、突然退校というのは妙な話だ、とも思う。なんとなく、嫌な予感がした。

40 = 2 :

―――――――翌日、駅


学校そばの駅から5つ先。豊音の家の最寄駅、もとい、終点だ。

最寄といってもここからバスに乗らなければいけないし、携帯で地図を見る限りではまだまだ遠い。改札を抜けて、あたりを見回す。


白望「……バス亭」

駅のすぐそばにあるバス亭へと足を延ばす。

といっても、ベンチがあるだけで庇さえない簡素なものだったが。


白望「……次のバスは……」


時刻表を見て驚いた。そこに記されているのは6:58、11:30、17:54、19:42の4本だけ。

現在時刻は9時を少し回ったところであり、次の便まで2時間近くあることになる。


白望「ダルい……」

既に心が折れそうになってきた。



41 = 2 :

白望「はあ……」


今日幾度目のため息だろうか。

豊音の家の最寄のバス亭。降りた人間は私一人である。そして先ほどの駅よろしくこちらも終点。

しかし、バス亭のすぐそばに村がある訳ではなく……


眼前にそびえる山の中腹付近に、たくさんの家が見て取れる。

おそらくは、あそこが豊音の住む村であろう。


山の中、と聞いていたので一応制服ではなく、ジーンズにシャツという服装で来たのだが。


白望「登るかぁ」


泣きそうだった。

42 :

咲キャラがズボン穿く時ってやっぱりノーパンにズボンなんだろうか

43 = 2 :

―――――――村


白望「はぁ、はぁ」


山道を登ること2時間。そのうちの1時間以上は休憩時間だが。

私はどうにか村についたようである。




白望「ここが、豊音の、村……」


白望「………何にもないなぁ」


入口から村を見たところ、遊びまわっている子供がいる様子もなく、

見受けられたのは野仕事をしている数人の男性だけだった。

家の数はおよそ30。すべての家を回るわけにもいかないので、

すぐそこにいた男性に豊音のことについて聞いてみることにした。


白望「………あの」

44 = 2 :

男性はちらりと私のほうを見たが、そのままふいとそっぽを向いて作業を続ける。


白望「姉帯豊音という子を訪ねてきたんですけど」


返事はない。

これ以上食い下がっても無駄だと思い、礼を言って村の中へ入った。



白望「……ダルい」


目についた4、5人に豊音のことを尋ねてみたが、みごとに全員が無視。

村というのは閉鎖的だと聞いたことがあるが、想像以上だ。


こうなったら、やはりすべての家を回るしかないか。


白望「……あれは?」


ふと、目に留まったのはそこらの家よりも一回り大きく、意匠も微妙に異なる建物だった。

46 = 2 :

白望「村役場とか、そんなのかな」

白望「あそこなら、話も聞いてもらえるんじゃないかな……」


入口に立ったところで、入ってみて想像した建物と違ったら困るなぁ、と気付き、

一旦右側の格子窓から中を覗いてみることにした。


窓のそばに近寄ると、むっとするような熱気が顔にあたる。

建物の中では、白い装束の髪の長い女性が正座の姿勢で座っているようだった。

その女性はどこか力なくうなだれており――――――


白望「って、豊音!?」


白い装束の女性は、豊音だった。

激しく汗をかいており、何かを呟いている様子だ。明らかに普通ではない。

急いで入口に回り、引き戸を開け放つ。


白望「暑っ……」

47 = 7 :

ああ……豊音……

48 = 2 :

部屋はすさまじい熱気に満ちていた。

最初に目に飛び込んできたのは、驚いた表情の豊音。

次に目に入ったのは、巨大な釜だ。中には火が焚かれており、熱源はこれであることが伺えた。


豊音「だ、誰!?」

白望「豊音……」


豊音「あっ、シロ?」

白望「辛そうだけど、大丈夫?」

豊音「うん……ちょっと疲れただけだよー」

白望「何やってるの、豊音」

豊音「これは祈祷だよー」

白望「お祈り?」

豊音「そうだよー、村の神様に」

白望「疲れた……って、どれくらいやってるの」

豊音「うーん、こっちに戻ってから毎日かな」

49 = 7 :

とよねー


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