元スレ白望「それからは豊音のことばかり考えて暮らした」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
151 = 137 :
しえー
152 = 2 :
豊音「えっ」
白望「こんな風に、私の手助けをして」
白望「豊音に迷惑かかるんじゃ………」
豊音「…………どちらにしても」
豊音「あと、3日だからねー………」
白望「3日?3日って何が」
豊音「また来るよー」
白望「と、豊音!」
豊音は振り返ってはくれなかった。
・
153 = 9 :
宮守特有のミステリアスな感じすばらっ
154 = 81 :
タイムリミットがあるのか
155 = 2 :
豊音「シロ、お待たせだよー」
白望「…………ん」
豊音「じゃあ、包帯替えるから、足出して」
豊音「その間に、食事を済ませちゃってねー」
白望「………うん」
格子から足をつき出し、そのままおにぎりを受け取る。
豊音は昨日と同じように、傷口を洗い、包帯を巻いていく。
3つ目を食べ始める頃には、すっかり手当てが終わっていた。
白望「…………そういえばさ、昼間の、あと3日って、どういうこと」
豊音「……………シロは」
豊音「………シロは、この村の田んぼ、見た?」
そういえば、村の端に水田があった気がする。
………しかし、何も植えられていなかったように思えたが。
156 = 2 :
白望「見た、けど。休田なの?」
豊音はふるふると首を横に振る。
豊音「本当は、この時期だと………まだ青い稲に、お米ができる頃だよね」
豊音「それが秋に稲穂になって、それを収穫する…………」
豊音「でも、それが全部枯れちゃったんだよー」
豊音「わたしが、東京に行っている間に」
白望「それって、すごく大変な事なんじゃ」
豊音「備蓄もあるから、今年は大丈夫。でも、大変な事なのは確かだよー」
豊音「………明日、崖のそばを見てみてほしいなー。積んである干し草、あれは全部稲だから」
豊音の声が震えている。
白望「どうして、そんなことが起こるの?」
豊音「この村の人は、みんなこの村の神様に仕えてるんだけど……」
157 = 137 :
しあ
158 = 2 :
豊音「その中でも重要な役割を持ってるのがわたしなんだー」
白望「………………そう」
豊音「でも、わたしがインターハイに出るためにこの村を留守にして、祈祷を怠ったから……」
豊音「だから、これはその祟りなの」
白望「そんな」
豊音「信じられなくても……でも、そういうことなんだー」
豊音「じゃあ、また明日だよー」
白望「うん……………おやすみ」
今は、これ以上何が「あと3日」なのかについては聞けそうもない。
明日になったら、話してくれるだろうか…………
・
160 = 2 :
―――――――翌朝
「出ろ」
昨日と同じ声で迎えた翌日。すっかり顔馴染みになってしまった男たちが牢の扉を開けて告げる。
格子に掴まってどうにか立ち上がるが、右足に力が入らず、やはり歩けそうになかった。
あれほどの怪我がそう簡単に治らないことは分かっていたのだろう、いつもと同じように、二人が私の両脇を抱えた。
男に連れられて牢を出た。曇ってはいるが蒸し暑い。雨が降るのだろうか……
白望「あ……」
昨日豊音が言っていた、崖のそばを見る。
山と積まれた干し草が置いてある。ここからではよくわからないが、おそらく稲なのだろう。
そういえばはじめにこの村を訪れたとき、作業していた男性の多くは鎌を手にしていた気がする。
大切に育てていた稲がすべて台無しになってしまうというのはどのような気分だろうか……
なんとなく気分が落ち込んで、目をそらした。
162 = 2 :
―――――――集会場
豊音がひらひらと手を振っている。
既に豊音は卓についていた。男たちも私を椅子にかけさせると、同じように卓についた。
豊音「それじゃあ始めますけど、いいですか?村長さん」
村長が頷く。
昨日豊音から感じた、異質な気配。
昨日豊音が見せた、理解を超えた力。
そして、今の自分は本調子ではないこと。
不安要素は山積みで、どれだけ対抗できるかはわからないが、とにかくやるしかない。
東家:豊音
南家:九戸
西家:普代
北家:白望
166 = 2 :
普代「………………」
打:②
白望(完全に失敗したなぁ……)
二三四②③④(⑤)⑥⑦⑧234 2
白望(よかった……フリテン解消)
打:⑧
豊音「ノーテン」
九戸「テンパイ」
普代「ノーテン」
白望「えっ、あ、テンパイ」
白望(今の、海底牌だったのか)
白望(睡眠不足、ストレス……そんなもののせいにしても、仕方ないけど)
白望(まるで集中できてない……これでは、豊音には勝てない)
167 = 81 :
疲労してるな
168 :
東二局 親:九戸 ドラ4筒
三七八九①③⑨4569南中 8
打:南
豊音「…………」
打:發
白望(豊音があがるときは、4副露、誰かのリーチ、赤ドラ晒しがあるとき)
白望(ダマは見たことないし、そういう意味では押し引きのタイミングはわかりやすい)
三七八九①③⑨45689中 白
ツモ切り:白
豊音「…………」
ツモ切り:8
白望(でもその3つとも、条件を満たしてしまえばほぼあがりの阻止は出来ない)
170 = 168 :
三七八九①③⑨45689中 一
打:⑨
豊音「…………」
ツモ切り:2
白望(またツモ切り……そんなに早い手なのか)
一三七八九①③45689中 四
打:一
白望(今わかってる豊音の能力は、『先負』『赤口』『友引』『仏滅』……)
白望(友引がツモあがりで、赤口が特殊条件下での狙い撃ち)
白望(先負が追っかけリーチで、仏滅が配牌とツモの悪化)
三四七八九①③45689中 ②
打:中
171 :
しえん
172 = 168 :
白望(『赤口』『友引』の関係から考えると……)
白望(残るは、先制リーチと、配牌およびツモの強化?)
白望(でも、豊音の先制リーチなんて見たことないし、決めつけるのはよそう)
豊音「リーチ」
打:北
白望(……………ダル)
三四七八九①②③45689 中
豊音の河:發82北
打:8
豊音「カン」
□□□□□□□□□□ 西西西西
新ドラ①
嶺上ツモ切り:中
176 = 168 :
東三局 親:普代 ドラ7索
3順目
白望(………あれ)
白望(眼が、霞んでるのかな)
白望「んー………良く見えない」
一三四五六七八八九38白發 ④
打:④
白望(手牌の話じゃない)
白望(豊音、明らかに普通じゃない)
白望(なんか蜃気楼みたいにぼやけて見える……)
豊音「チー」
□□□□□□□□□□ ③④(⑤)
白望(これでうかつにツモ切りは出来なくなった……)
177 = 168 :
九戸「……………」
打:白
普代「……………」
打:二
白望(直撃狙いなら……まさか鳴けば防げる、か?)
白望「チー」
四五六七八八九38白發 一二三
打:白
豊音「……………」
ツモ切り:發
白望(全く、どうなってるのかなぁ)
178 = 171 :
しえん
179 = 168 :
数順後
四五六七八九3477 一二三 4
打:3
豊音「………………」
打:5
白望(ずっとツモ切りだった豊音が手出し……)
白望(4、7索待ちのままでは次の私のツモで私があがってしまうから?)
四五六七八九4477 一二三 6
白望(それで、6索待ちに張り替えたのかなぁ)
白望(あがりの目を高くするには7索切りなんだろうけど……)
打:4
豊音「ロン」
白望(…………!)
183 = 168 :
豊音「ツモっ!」
發 發 東東東 一二三 中中中 白白白
豊音「小三元ホンイツチャンタ、場風ドラ3……6000-12000」
白望(これは、厳しいなぁ……)
・
終局
豊音78900 九戸10600 普代10600 白望-100
豊音「ちょー楽しかったよー」
その言葉と共に、陽炎のように揺らめいていた豊音の姿がぴたりと定まる。
あれだけ感じていた強大な威圧感も、今は完全に霧散している。
元の豊音に戻った筈なのに、その気配は今までのものとはどこか違うように思えた。
ゆっくりと、しかし確実に、豊音の纏う雰囲気は異質なものへと変貌していた。
184 = 171 :
何かが憑依しているのか
185 = 168 :
―――――――牢屋
四肢を投げ出して、ぼんやりと思案に耽る。
今日の豊音の強さは異常だった。恐らく、10半荘戦ったとしても、1度たりとも勝てないような気がした。
もっとも、今の私に10半荘をやり抜く体力があるとは思えないが。
今日でこの監禁生活も3日目だ。
両親には「友達の家に行ってくる」といってあり、また寛容な性格のため、
3日帰らないことを不審に思っている可能性はそこまで高くない。たぶん。
塞たちは毎日集まっているわけではないし、私も毎日部室に顔を出していたわけではないから、
3日くらいでは特に気に留めないだろう。
現実、1週間会っていない豊音のことについて特別問題視していなかったのだから。
外部からの救助は望めそうもなかった。
白望「はァ…………………」
白望「ダルい……………」
186 :
ちょーかわいいよー
188 = 168 :
何日かぶりに「ダルい」と口にした気がした。
陽が沈みかけても、豊音は現れなかった。
・
豊音「おまたせ、シロっ」
待ちわびていた人物の訪れに、心が踊る。
今日の豊音は、大荷物だった。
白望「どしたの……それ」
豊音「シロ、もう3日くらいお風呂入ってないでしょ?それって気持ち悪いんじゃないかな、とかとかー」
白望「助かる……」
豊音「喜んで貰えたようでよかったよー」
豊音「えっと、トイレ側の方に排水口あるよね」
豊音「そっちに移動してもらっていいかなー?」
白望「わかった」
189 = 168 :
豊音「じゃ、手桶で金ダライからお水汲んで、体を洗うといいよー」
白望「うん」
着ていた服を、全部まとめて筵の上に投げる。
タライから手桶に水を汲み、さらにそれを手ですくって肩からかける。
白望「冷た……」
しばらくの間ぱしゃぱしゃと手で水をかけていたが、そろそろ水の冷たさにも慣れてきたので頭から被ることにする。
ふと、豊音がじっとこちらを見つめているのに気がついた。
白望「どうしたの、豊音」
豊音「なんでもないよー」
豊音はにこにこと笑っている。
白望「じっと見られてると……やりにくいんだけど」
豊音「あっ、ごめんね」
190 = 168 :
豊音「終わったら声掛けてねー」
白望「うん」
豊音はどこかしゅんとした様子で戸口の方へ歩いていった。……まあいいか。
水浴びを再開する。
思いきり頭から水をかぶった。普段は入浴など面倒なだけだと思っていたが、
今はただの水浴びでもできることがとても嬉しい。
体を洗っていて気付いたが、腰のところにあせもが出来てしまっている。
足の傷は熱を持ち始めている。
豊音には感謝しているが、食事も十分にとれていない今の監禁状態が続けば、
他にも健康に害を及ぼしそうだ。
急いで決着を付けなくては……
・
192 = 173 :
しえん
193 = 168 :
豊音「はいシロ、タオルと服の替えだよー」
白望「ん………」
手渡された服に着替えていく。かなりサイズが大きい……。豊音のものだろうか。
豊音「ちょっと大きいかなー?でもでも、ちょー似合ってるよー」
白望「やっぱり豊音のなんだ」
豊音「嫌かな?」
白望「ううん」
豊音「それはよかったよー」
豊音「じゃあ、包帯を巻くから、足を出して」
豊音「………」
白望「………」
豊音「………」
白望「………」
194 = 168 :
白望「ねえ」
白望「豊音……昨日の話の続き」
豊音「………………………」
白望「何が残り3日、なのか教えてほしい」
黙ったまま、豊音はただ包帯を巻き続ける。
豊音「………………………………………………………」
豊音「…………………………………」
豊音「シロ、そこの窓から月は見える?」
白望「月?………ああ」
格子窓から見える月は、ほとんど糸のように細い。
白望「見えるけど……それがどうしたの?」
豊音「その月が完全に欠けたとき。新月の夜には、この村でお祭りがあるんだよー」
195 = 168 :
白望「急にお祭りの話なんて、何」
豊音「昨日、そのお祭りでシロを生贄に捧げることが決まったんだ」
白望「……………!」
豊音「今、この村は大変なことになってるんだよ。普段はただのお祭りだけど、今回は別」
豊音「村の神様を鎮めなきゃいけないんだー」
豊音「宮守のみんなのことは好きだけど、やっぱりこの村を見捨てることはできないから……」
豊音「今、村がこんなことになってるのはぜんぶ私のせい」
豊音「だから、辛い祈祷だって………頑張らなくちゃいけないんだー」
窓から視線を外して、豊音の方を見てぎょっとした。
喋りながら、私の血で汚れた指を舐めている。
豊音はこちらを見ながら話しているが、その目は私を見ているようには見えなかった。
どこか遠くを見ているような……
今話をしている豊音は、本当に豊音なのだろうか。
198 :
こわい
199 = 168 :
白望「……………」
豊音「でも、シロが犠牲にならなくてすむ方法も、もちろんあるよ」
白望「それは、どんな?」
豊音「神様っていうのはどんな神様でも、信仰を集めることで力を増したり、人に益をもたらしてくれるの」
豊音「信徒を増やすとか、生贄とか……そういうのもぜんぶ神様の存在を信じるって事、信仰を集めるってことだから」
豊音「だから、シロもこの村で暮らして、この村の神様に仕える巫女になることをみんなの前で誓えば……」
豊音「生贄にされずに済むと思うんだー」
豊音「でもでも、私と同じくこの土地に縛られることになっちゃうけど」
白望「…………」
豊音「私……みんなにお願いしてみるよー」
豊音「じゃあ、また明日だね。シロ」
豊音「おやすみー」
200 = 168 :
―――――――翌朝
「出ろ」
死刑宣告を受けた翌日。昨日と変わらず男たちが牢の扉を開けて告げる。
格子に掴まってどうにか立ち上がるが、右足に力が入らず、やはり歩けそうになかった。
豊音の懸命の治療むなしく、若干化膿が始まっているようだ。いつもと同じように、二人が私の両脇を抱えた。
男に連れられて牢を出た。清々しいまでに雲一つない青空。この空も明日には見納めなのか……
いいや、絶対に今日、勝って見せる。
みんなの評価 : ☆
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