のくす牧場
コンテンツ
牧場内検索
カウンタ
総計:126,368,856人
昨日:no data人
今日:
最近の注目
人気の最安値情報
    VIP以外のSS書庫はSS+をご利用ください。

    元スレ白望「それからは豊音のことばかり考えて暮らした」

    SS覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 :
    タグ : - + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
    ←前へ 1 2 3 4 5 6 次へ→ / 要望・削除依頼は掲示板へ / 管理情報はtwitter

    51 = 2 :

    白望「……………………」

    白望「豊音、宮守に戻ろう」

    豊音「えっ?」

    白望「そんな無茶なことしてたら、いつか大変なことになるよ」

    白望「みんなも心配してるし……」

    白望「この村、なんだかおかしいと思う。こんな暑い日に火を焚いた部屋で毎日祈祷させるなんて」

    豊音「でっ、でもでもー」

    白望「お願い……豊音」


    白望「とりあえず、外に出よう」


    豊音はなんとか私の差し出した手を取って、立ち上がってくれた。

    とりあえずうちにでも連れて帰って、後のことはそれから……


    振り返って、絶句。

    そこには先ほど外にいた人たちが……いや、もっと大勢。

    全員険しい表情でこちらを睨んでいる。

    52 = 7 :

    他の人支援頼んだ

    54 = 2 :

    白望「豊音!」


    一声叫んで、走り出す。

    逃げ切れるかどうかは分からないが、むざむざ捕まる気はない。


    豊音「シロ!危ない!」

    白望「え?」


    声が耳に届いたのと、衝撃はほぼ同時だった。

    逃げなければ、とはやる思いとは裏腹に、私の体は地面に崩れ落ちていた。


    豊音「シロ!シロ!しっかりして!」


    豊音の声が遠い。

    どうやら棒か何かで殴られたようで、頭の中で轟音が鳴り響いている。

    ダメだ。意識を保てない――――――――

    55 = 9 :

    さてどうなる

    56 = 2 :

    ―――――――???


    「…………だよ…………たら……する……」


    「……ません………さのこと……ので………………」


    「……あえず………に………んで……」


    「…………した………」


    失った意識が戻ってくる。どうやらここはどこかの小屋の中で、

    私は椅子に座らせられているようだ。そして頭には水に浸した布が乗せられているらしかった。

    殴られた患部を冷やすためのものだろうが、豊音が乗せてくれたのだろうか。


    豊音「あ、シロ。気付いた?」

    白望「とよね……」


    豊音「そのままでいいよー」

    豊音「今から、村長さんが話をするから、おとなしく聞いててねー」

    57 = 2 :

    豊音が言うのに合わせ、一人の男が小屋の中に入ってきて、机を挟んだ対面に座った。

    私は頭に乗せられた布を机に置いて、男が口を開くのを待った。


    「お前は、うちの村の巫女を連れ去ろうとした」

    白望「…………………」

    「これは村の掟破りだ。それも重大な」

    「村を危険な目にあわせたうえ、こんな鼠まで呼び寄せることになるとはな」

    「思えば去年、あの女の話に乗ったのがそもそもの間違いだったかもしれんな」


    あの女、とはトシさんのことだろうか。


    「大切な巫女にも、よくない影響が出ているようだし」

    白望「その大切な巫女に、あんなことを強いることのほうが良くないと思うけど」

    白望「脱水で死んだりしたらどうするの」


    男がこちらをじっと見つめる。


    「余所者には関係のないことだ」

    58 = 2 :

    「この村は巫女のためにあり、巫女は村のためにある」

    白望「私はただ友達に会いに来ただけなんだけど」


    「…………………」

    「友達、か。豊音、お前たちは確か麻雀打ちだったな」

    豊音「はい」

    「ならば、それで決めるとしようか」

    白望(……………?)


    「お前が麻雀を打って、この豊音に勝つことができたなら、お前を開放しよう」

    「そして、豊音を連れて行くことも許可する」

    白望「えっ」


    思っても見ない提案だった。なにしろ豊音を連れ出そうとした私を有無を言わさず昏倒させるような輩である。

    私刑にするぐらいのことは平然と行いそうだと思っていたので、ほっと胸をなでおろす。

    しかし、麻雀で勝ったら、とは。

    豊音も恐らく宮守に戻ることを望んでいるだろうし、これは賭けとして成立しないのではないか。

    59 = 2 :

    「ただし、1日に行うのは1半荘だけだ」


    それも、どうやら1発勝負というわけではないらしい。どういうつもりだろうか。


    白望「わかりました」


    「……よい。では準備を。九戸、普代」

    「はっ」


    男の合図に従い、傍らに控えていた別の男たちが用意を始める。

    マットと、牌が机の上に置かれた。


    白望「手積みなんだ」

    豊音「心配しなくても、二人ともイカサマなんてできるほど上手くないよー」

    白望「…………」


    豊音の口ぶりからして、今準備をしている二人が同卓者らしい。

    60 = 2 :

    九戸「始めましょう」

    普代「宜しく」

    豊音「頑張るよー」

    白望「………ダル」

    豊音「ちなみにこの二人は、食い仕掛け・出あがりなしだからねー」

    豊音「もちろん、私たちは二人から出あがりしてもいいけど……」

    豊音「あくまで二人の勝負だってことを忘れないでほしいかなー」

    白望「わかった」




    東家:九戸
    南家:白望
    西家:普代
    北家:豊音

    東一局 親:九戸 ドラ4索


    1178一二三六七⑨東北白 北

    白望(まあ、普通の手牌……ドラが使えなそうなのが痛いけど)

    61 = 2 :

    打:⑨


    白望(豊音がどういうつもりなのかが気になるなぁ……)


    豊音「…………」


    7順後


    1178一二三六七八九北北 1


    白望(テンパイ)

    白望(ここは豊音の思惑を知るためにも……)


    白望「リーチ」

    打:六


    普代「……………」

    打:白

    62 = 2 :

    豊音「追っかけるけどー」


    豊音「とおらば……リーチ」

    打:5


    白望(追いかけてくるのかぁ)

    白望(何を考えてるんだろう、豊音……)

    ツモ切り:2


    豊音「ロン。リーチ一発一盃口。ドラ……なし。6400」

    裏ドラ:中

    13九九九②②③③④④發發 2


    白望「はい………」




    64 = 2 :

    豊音「チー」

    □□□□□□□□□□ 一二三


    白望(この圧倒的アウェーの中でそれは難しいだろうなぁ……)

    67①①⑤六七七八八中中白 六

    打:白


    豊音「ポン」

    □□□□□□□ 白白白 一二三


    白望(友引………?)


    67①①⑤六六七七八八中中 一

    ツモ切り:一


    白望(相変わらず、対応が難しい相手だよなぁ……)

    65 = 2 :

    数順後


    67①①⑤六六七七八八中中 中


    白望(……テンパイ)

    白望(追いかけられることはないし、豊音の手牌はもう短いし、何より親だし)

    白望「リーチ」


    打:⑤


    豊音「……カン」

    白望「なっ」

    白望(これで友引じゃない。赤口か)


    □□□□ ⑤(⑤)⑤⑤ 白白白 一二三

    打:9

    新ドラ:1萬

    68 = 9 :

    猿ってもうたか
    しえん

    69 = 2 :

    白望(弱ったなぁ……)

    ツモ切り:6


    豊音「ロン」

    5788 6 ⑤(⑤)⑤⑤ 白白白 一二三

    豊音「白、ドラ2……」

    豊音「5200」

    白望(しかも一発で掴まされたかぁ)


    白望「はァ……ダル」





    72 = 2 :

    ―――――――半年前、宮守女子高校麻雀部部室


    胡桃「ぬぐぐ、またリーチ一発振り込み……」

    豊音「わーい」

    「一体どうなってるのー?」

    胡桃「ま、まさかイカサマ……」

    豊音「ちっ、ちがうよー」


    豊音「これはね、せん」
    トシ「ちょっと、あんたたち」

    白望「?」

    「何ですか?」

    トシ「全国では初見の相手に即座に対応しなくちゃいけないんだ」

    トシ「相手が不可思議な打ち筋を見せたからって、その秘密を相手に聞いてどうするんだい」

    胡桃「うっ」

    トシ「アンタも軽々しく答えちゃだめだよ」

    豊音「ごめんなさい……」

    74 = 2 :

    トシ「じゃ、エイスリン。続けようかね」

    エイスリン「ハーイ」

    トシ「ほらほら、ほかの子たちは今の豊音のがどういう性質のものか見極めつつ打ってご覧」

    「うーん……」

    胡桃「どういうものか、かー」

    白望(さっきから、豊音があがるときには既に他にリーチ者がいた……)

    白望(卓にリー棒が出るとあがりやすくなる?)

    「あ、わかった。さっきは3本場、その前も2本場だったし、積み棒やリーチ棒が増えるとあがりやすくなるのかな?」

    胡桃「そういえば、2回とも地獄待ちの一発だったしねー」

    「卓上の棒が増えると悪待ちリーチでもあがれる!これでどうだ!」

    豊音「ちょっと違うかなー」

    「ぬぎゃー」

    白望(あとは……2回ともツモ切りリーチ)

    白望(それに、どっちも追っかけリーチだったはず)

    胡桃「うーん」

    77 = 2 :

    白望「ねえ、もしか」

    「あっ!そうだわかった!どっちも追っかけリーチだった!」

    「追っかけリーチすると振り込ませる!これだわ」

    胡桃「どう?」

    豊音「……………」チラッ

    トシ「……………」

    豊音「そ、それはどうかなー?」

    「めっちゃ目が泳いでる」

    胡桃「当たりなんだね」

    豊音「うぅ……」

    白望(ダル……)

    豊音「で、でもでもー、まだ6つのうち1つがばれただけだからー」

    胡桃「えっ」

    「あと5個もあるの!?」

    白望(すごいな)

    79 = 2 :

    豊音「って、もうこんな時間だよー……わたしは帰るね」

    「あんなのがあと5つもあるなんて楽しみ!」

    胡桃「うん!」

    白望「じゃあ気を付けて……」

    豊音「また明日ねー」







    白望(確かに、県大会やインハイでその訓練は役に立ったけど)

    白望(今に限っては、あの時のトシさんが恨めしいなぁ)

    白望(全容を知ってるのは『友引』と『先負』だけ……)


    東三局 3順目 親:普代 ドラ2筒

    六六六七八八八①②③北北白 北


    白望(絶好のテンパイ……)

    80 = 67 :

    しえん

    83 = 2 :

    白望(さすがにまだ豊音も張ってないはず)

    白望(豊音が3向聴だとしても3順以内にツモるか、出あがりも十分可能)

    白望「リーチ」


    普代「………」

    打:九


    白望「ロン」

    六六六七八八八①②③北北北 九

    白望「リーチ一発自風ドラ……1。8000」

    白望(豊音を削りたいとこだけど、まずはあがることが大事だよなぁ)


    豊音「………」



    86 = 9 :

    しえん

    87 = 2 :

    白望(1順目にして赤口が発動……)





    8順後

    豊音「……………」

    打:⑧

    九戸「…………」

    打:⑧


    白望(なんだこれ……)


    二二二三四五五(五)八八八⑤⑥


    白望(筋牌刻……っぽくなってる)

    白望(赤口は火災、刃物に注意。だからドラ爆による大炎上もしくは狙い撃ちのための能力だと思ったけど)

    白望(東二局の様子から前者は違うと感じて、ツモ切りは極力避けてみたらこれ)

    白望(先負と同じ当たり牌を掴ませる能力?……そうなると食いタンの二五八待ち、3面張?)

    88 = 42 :

    モブも岩手の地名なのか
    芸がこまいな

    89 = 2 :

    二二二三四五五(五)八八八⑤⑥ 九

    豊音の河:⑨南西發北北97⑧


    白望(……通る)

    ツモ切り:九

    豊音「……ロン」

    白望(……見誤った……?)


    一二三四五六七八⑧⑧ 九 34(5)


    豊音「一気通貫、ドラ1。2000」

    白望(二五八待ちタンヤオを直前で三六九待ち片あがり一通に張り替え)

    白望(普通なら絶対にしない……やられた)







    終局

    90 = 81 :

    不気味だ

    91 = 2 :

    九戸16600 白望29700 普代15000 豊音38700


    「終わりだな」


    結果は遠く及ばず。

    明日以降もチャンスはあるようだが、さしあたっての処遇はどうなるのだろうか。


    「こいつを牢に連れていけ」


    今まで鋭い目付きで対局を見ていた村長が言い放つ。

    やはりそうなるか…………


    「その前に―――――夜のうちに逃げられても困るのでな」


    村長が手を挙げ合図する。それを受けて、同卓した男とは別の男が手にした短刀を引き抜く。

    白望「えっ………」

    92 = 9 :

    こええええ

    93 = 67 :

    どうなる

    94 = 2 :

    短刀が、振り下ろされた。


    白望「っつ、あっ………」


    振り抜かれた短刀は、右足に朱の線を走らせていた。

    すさまじい痛みに、その場にへたりこむ。


    白望「く、ぅう………」


    うめくことしかできないでいる私を、両脇から男が抱えあげ、運んでいく。

    豊音が小さく「ごめんね」と、言った気がした。



    95 = 2 :

    ―――――――牢屋


    白望「はぁ………………はぁ……………」


    牢屋の窓から差し込んでいた夕日が沈みきってから、体感で3時間が経っただろうか。

    出血はおよそ止まったようだが、痛みは引く様子がない。

    牢屋に入れられてから止血もせずにただ倒れていたことを考えれば、見た目よりは軽傷ですんでいるのかも知れないが。


    白望「こんなことしなくても、逃げられないと思うけど……」


    牢屋は薄い壁を隔てて便器が備え付けられている他には、一畳に満たない大きさの筵が一枚敷かれているだけであった。

    格子の間隔は狭いわけではなく、手や足は出せるが、とてもすり抜けられるような代物ではない。

    不意に、誰かの足音がした。


    豊音「シロ」

    白望「豊音か………」

    豊音「ごめんね、痛かったよね」

    白望「いいよ……別に豊音のせいじゃないし」

    97 = 81 :

    何というシリアス展開

    99 = 2 :

    豊音「で、でもでもー」

    白望「それより、どうしてここへ?」

    豊音「……あっ、そうだった。そんなことより手当てをしなきゃ」

    豊音「シロ、足をこっちに出して?」


    白望「つつ……」


    手桶に汲んだ水で、豊音が傷を洗い流していく。


    白望「豊音」

    豊音「何かなー?」

    白望「宮守に戻るつもりは……ないの?」

    豊音「そんなことないよー」

    豊音「わたしだって、シロと一緒に居たいし……」

    白望「祈祷のことだって、豊音がこの村でどんな立場なのかはわからないけど……」

    白望「大切な存在なら、なおさらあんな無茶なことをさせるなんておかしいと思う」

    豊音「仕方ないんだよ」


    ←前へ 1 2 3 4 5 6 次へ→ / 要望・削除依頼は掲示板へ / 管理情報はtwitterで / SS一覧へ
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 :
    タグ : - + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。

    類似してるかもしれないスレッド


    トップメニューへ / →のくす牧場書庫について