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元スレ京太郎「扉の向こう側」 照「あはっ」
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何が言いたいかというと。
京太郎「ポン」
誠子「あっ、なっ」
菫「ああ、やっぱり同類か……」
京太郎「ポン」
「……あ、あ」
「やっばい」
京太郎「ポン」
京太郎「その三萬ロンです、亦野先輩。満貫です」
小学生の時、そういえばあんな扉開けたなぁと。
でも使えないから捨てたなぁと。
懐かしい思い出に、頬を緩ませて。
暖かい気持ちに包まれながら、俺は随分昔に見た扉を開けに戻った。
京太郎「ポン」
誠子「あっ、なっ」
菫「ああ、やっぱり同類か……」
京太郎「ポン」
「……あ、あ」
「やっばい」
京太郎「ポン」
京太郎「その三萬ロンです、亦野先輩。満貫です」
小学生の時、そういえばあんな扉開けたなぁと。
でも使えないから捨てたなぁと。
懐かしい思い出に、頬を緩ませて。
暖かい気持ちに包まれながら、俺は随分昔に見た扉を開けに戻った。
京太郎「(なっつかしいなー)」
京太郎「(何年前のだろうか、これ)」
三度鳴く。
和了る。
三度鳴く。
和了る。
京太郎が、誠子に直撃させる。
ただそれだけを繰り返す。
死者に鞭打つように、繰り返す。
菫「……狙ってるのか?」
京太郎「ええ、狙ってます」
菫「何故だ。意味が無いだろう」
京太郎「え? だって、亦野先輩俺狙ってましたよね?」
誠子「……!」
京太郎「真似してみろって言われたからそれも真似したんですが、何かマズかったですかね……?」
悪意は無い。悪意は無いのだ。
彼は言われた事を、やっているだけ。
京太郎「(何年前のだろうか、これ)」
三度鳴く。
和了る。
三度鳴く。
和了る。
京太郎が、誠子に直撃させる。
ただそれだけを繰り返す。
死者に鞭打つように、繰り返す。
菫「……狙ってるのか?」
京太郎「ええ、狙ってます」
菫「何故だ。意味が無いだろう」
京太郎「え? だって、亦野先輩俺狙ってましたよね?」
誠子「……!」
京太郎「真似してみろって言われたからそれも真似したんですが、何かマズかったですかね……?」
悪意は無い。悪意は無いのだ。
彼は言われた事を、やっているだけ。
>>131
わかる
わかる
菫「(……ああ、本当に、同類だった)」
菫「(人の気持ちが分からない辺りが、特に)」
京太郎「チー」
三度鳴いて、和了る。
この卓を囲む四人の内、二人が同じ行動を取る。
それでも、速度に差が出る。
京太郎「ロン。2000」
誠子「……」
菫「(……腐ってる)」
菫「(本当に、こいつらはどうしようもなく腐ってる)」
菫「(他人が大切にしてる物を、無自覚で踏みにじる)」
菫「(和了るのが早い理由は、単純明快で……)」
京太郎「あの」
誠子「……何?」
菫「(人の気持ちが分からない辺りが、特に)」
京太郎「チー」
三度鳴いて、和了る。
この卓を囲む四人の内、二人が同じ行動を取る。
それでも、速度に差が出る。
京太郎「ロン。2000」
誠子「……」
菫「(……腐ってる)」
菫「(本当に、こいつらはどうしようもなく腐ってる)」
菫「(他人が大切にしてる物を、無自覚で踏みにじる)」
菫「(和了るのが早い理由は、単純明快で……)」
京太郎「あの」
誠子「……何?」
京太郎「配牌からすぐに三回鳴いて、その次の順目で和了ればいいんじゃないですかね。なんでそうしないんですか?」
菫「(ああ、やっぱりあっち側か)」
分かってない。
分かってない。
どこまで行っても、分かってない。
結局こいつも照と同じで、『扉の向こう側』に居る。
扉を間に挟んでいるから、『こっち側』を理解していない。
こっち側の声は掠れてしか聞こえていないし、表情は見えていないし、気持ちは伝わらない。
扉をなまじ選んで開けてきたから、『優しさ』とか『気遣い』とか、そんな扉を開けて来なかった。
腐ってる。腐り切っている。
人が大切にしているもの、努力で磨いてきたもの。
人が尊ぶべき道徳、常識、善性、それら全てを貶めている。
それら全てを、『価値の無い物』だと断じた過去を積み上げてきている。
否定しながら、蹂躙しながら、この生き物は生きている。
こんな狭い学校に、そんな生き物が二匹も居る。
菫「(なんの、冗談だ)」
分かってない。
分かってない。
どこまで行っても、分かってない。
結局こいつも照と同じで、『扉の向こう側』に居る。
扉を間に挟んでいるから、『こっち側』を理解していない。
こっち側の声は掠れてしか聞こえていないし、表情は見えていないし、気持ちは伝わらない。
扉をなまじ選んで開けてきたから、『優しさ』とか『気遣い』とか、そんな扉を開けて来なかった。
腐ってる。腐り切っている。
人が大切にしているもの、努力で磨いてきたもの。
人が尊ぶべき道徳、常識、善性、それら全てを貶めている。
それら全てを、『価値の無い物』だと断じた過去を積み上げてきている。
否定しながら、蹂躙しながら、この生き物は生きている。
こんな狭い学校に、そんな生き物が二匹も居る。
菫「(なんの、冗談だ)」
後輩は平気で毎局ダブリーかけるし牌配で三鳴きできる状態なんて珍しくもなさそうだ
中学のときに咲さんに出会っていればこんなことにはならなかったはず
やっぱり咲さんがかわいいんだね
やっぱり咲さんがかわいいんだね
京太郎「あ、トビましたね」
誠子「……」
菫「……須賀」
京太郎「はい?」
菫「おまえ、この惨状をどう思う」
菫「亦野を見ろ。俯いて、泣いている」
菫「左右の二人を見ろ。お前を見る、その怯えきった目を見ろ」
菫「私を見ろ。私が今、どういう目でお前を見ているか見ろ」
菫「どう思った」
京太郎「んー」
京太郎「女の子の涙は胸が痛みますね。女を泣かせないのが、男の役目だと思います」
本気で言っている。嘘偽り無く、本気で言っている。
だから、私は……ほんの少しだけ抱いていた更正の希望を、諦めた。
菫「(……ああ、本当に。こいつらは……『終わってる』)」
誠子「……」
菫「……須賀」
京太郎「はい?」
菫「おまえ、この惨状をどう思う」
菫「亦野を見ろ。俯いて、泣いている」
菫「左右の二人を見ろ。お前を見る、その怯えきった目を見ろ」
菫「私を見ろ。私が今、どういう目でお前を見ているか見ろ」
菫「どう思った」
京太郎「んー」
京太郎「女の子の涙は胸が痛みますね。女を泣かせないのが、男の役目だと思います」
本気で言っている。嘘偽り無く、本気で言っている。
だから、私は……ほんの少しだけ抱いていた更正の希望を、諦めた。
菫「(……ああ、本当に。こいつらは……『終わってる』)」
「きょーくーん!」
京太郎「あ、照ちゃん!」
照「ごめんね、待たせちゃって」
京太郎「良いって良いって、ここの部の人達良い人ばっかだから退屈しなかったし」
照「それは、良かった」
立ち上がった少年、飛び付く少女。
少年が少女を抱き締めながら、クルクルと回る。
だが、双方目が腐り切っている。
少年の眼は濁り無く腐り切っていて。
少女の眼は淀み濁り腐り切っている。
遠方から見ている部員は、照のそんな少女らしい行動に驚き。
間近で見てしまった、先程まで卓を囲んでいた二人の名も無き少女は、床に盛大に吐いた。
まるで腐肉の上で行われるダンスパーティ。
クルクルと、狂々と、悍ましさを滲ませて踊る。
京太郎「あ、照ちゃん!」
照「ごめんね、待たせちゃって」
京太郎「良いって良いって、ここの部の人達良い人ばっかだから退屈しなかったし」
照「それは、良かった」
立ち上がった少年、飛び付く少女。
少年が少女を抱き締めながら、クルクルと回る。
だが、双方目が腐り切っている。
少年の眼は濁り無く腐り切っていて。
少女の眼は淀み濁り腐り切っている。
遠方から見ている部員は、照のそんな少女らしい行動に驚き。
間近で見てしまった、先程まで卓を囲んでいた二人の名も無き少女は、床に盛大に吐いた。
まるで腐肉の上で行われるダンスパーティ。
クルクルと、狂々と、悍ましさを滲ませて踊る。
やられたからやりかえしたら逆ギレされた挙句に何か嘔吐されたでござる、の巻
他人が大切に思うもの、善き物だと思う物。
それらの価値が分からない。当然だ。
大人が何年間もかけて子供に築きあげさせる倫理や常識の価値が、子供に分かるわけがない。
そして一度切り捨てれば、二度と戻っては来ないのだ。
そして彼等は、切り捨てた。
彼等はもう、そんな扉を開けようとはしない。
努力の過程がないから、手に入れた力に頓着がない。
数十年誰かが磨いた力をあっさり手に入れ、あっさり捨てる。
二人はずっと、そうやって生きてきた。
『扉を開けるのが人間の本質』だと思う二人は、自分達を正常だと思っている。
ただ、周囲に理解を得られていないだけで。
自分達は正常だと、思っている。
それらの価値が分からない。当然だ。
大人が何年間もかけて子供に築きあげさせる倫理や常識の価値が、子供に分かるわけがない。
そして一度切り捨てれば、二度と戻っては来ないのだ。
そして彼等は、切り捨てた。
彼等はもう、そんな扉を開けようとはしない。
努力の過程がないから、手に入れた力に頓着がない。
数十年誰かが磨いた力をあっさり手に入れ、あっさり捨てる。
二人はずっと、そうやって生きてきた。
『扉を開けるのが人間の本質』だと思う二人は、自分達を正常だと思っている。
ただ、周囲に理解を得られていないだけで。
自分達は正常だと、思っている。
腐っている。
腐り切っている。
照「あたまなでてー」
京太郎「人前だぞ、恥ずかしいって」
照「じゃあ、外で」
京太郎「……まあ、廊下ならいいか」
照「腕組む?」
京太郎「人に見られてないなら、別に良いけど」
照「えいっ」
京太郎「照ちゃん、柔らかいな」
照「あんまり、女の子らしい体つきじゃないけどね」
京太郎「俺は、かわいいと思うよ」
照「……あー、うん。なんかそういう台詞は恥ずかしい」
京太郎「本心だっての」
腐り切った関係の中でなら、二人は極めて正常に見える。
汚泥の中の、踏み躙り穢し切った他人の大切な物を踏み台にして、二人は歩く。
腐り切っている。
照「あたまなでてー」
京太郎「人前だぞ、恥ずかしいって」
照「じゃあ、外で」
京太郎「……まあ、廊下ならいいか」
照「腕組む?」
京太郎「人に見られてないなら、別に良いけど」
照「えいっ」
京太郎「照ちゃん、柔らかいな」
照「あんまり、女の子らしい体つきじゃないけどね」
京太郎「俺は、かわいいと思うよ」
照「……あー、うん。なんかそういう台詞は恥ずかしい」
京太郎「本心だっての」
腐り切った関係の中でなら、二人は極めて正常に見える。
汚泥の中の、踏み躙り穢し切った他人の大切な物を踏み台にして、二人は歩く。
だから、こんなにも無能。
普通の扉を、二人は開けてこなかった。
だから、こんなにも無垢。
二人には、一切の邪心も悪意もない。
だから、こんなにも無敵。
人間に出来る事なら、何だって出来る。
だから、こんなにも無残。
そんな、在り方。
普通の扉を、二人は開けてこなかった。
だから、こんなにも無垢。
二人には、一切の邪心も悪意もない。
だから、こんなにも無敵。
人間に出来る事なら、何だって出来る。
だから、こんなにも無残。
そんな、在り方。
>>196
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