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元スレ京太郎「扉の向こう側」 照「あはっ」
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菫「(そうだな。確かに、その通りだ)」
菫「(なら、一体何だ。この収まらない胸の動悸は)」
菫「(心の臓まで凍ってしまいそうな、足元から忍び寄る悪寒は)」
菫「(不安か、恐怖か)」
菫「(……私の理性ではない部分が、警鐘を鳴らしている)」
菫「(『これ』は一体、何なんだ)」
菫「(なら、一体何だ。この収まらない胸の動悸は)」
菫「(心の臓まで凍ってしまいそうな、足元から忍び寄る悪寒は)」
菫「(不安か、恐怖か)」
菫「(……私の理性ではない部分が、警鐘を鳴らしている)」
菫「(『これ』は一体、何なんだ)」
>>103
トンクス
トンクス
無駄にスレ伸ばそうとチマチマ投下する奴ほど惨めなのもいないわな
誠子「……どうします?」
菫「すまん、『念の為』、頼む」
誠子「分かりました。ですけど、本当にあっち側なんですかね?」
誠子「目が腐ってるとか、弘世先輩以外には分からない感覚なんですよ?」
菫「ああ、苦労をかけるな」
誠子「貴女は先輩で、私は後輩です。お気になさらず」
京太郎「……あ、お帰りなさい。早かったですね」
菫「ああ、待たせたな。すまないが、コイツも混ぜてやってくれ」
誠子「どうも」
京太郎「あ、どうも」
菫「二年だから、お前の先輩にあたるな。亦野誠子だ」
誠子「よろしく」
京太郎「よろしくお願いします!」
菫「(……さあ、どう転がったものかな)」
菫「すまん、『念の為』、頼む」
誠子「分かりました。ですけど、本当にあっち側なんですかね?」
誠子「目が腐ってるとか、弘世先輩以外には分からない感覚なんですよ?」
菫「ああ、苦労をかけるな」
誠子「貴女は先輩で、私は後輩です。お気になさらず」
京太郎「……あ、お帰りなさい。早かったですね」
菫「ああ、待たせたな。すまないが、コイツも混ぜてやってくれ」
誠子「どうも」
京太郎「あ、どうも」
菫「二年だから、お前の先輩にあたるな。亦野誠子だ」
誠子「よろしく」
京太郎「よろしくお願いします!」
菫「(……さあ、どう転がったものかな)」
>>105
まあ簡単に言えば書いてる奴のレスより他の奴等のレスが多ければ大丈夫
まあ簡単に言えば書いてる奴のレスより他の奴等のレスが多ければ大丈夫
>>111
そうかthx今後参考にしてみる
そうかthx今後参考にしてみる
――何度か、彼を狙ってみてくれ
――分かりづらいように、数回でいい
――私は彼の後ろで、彼の打ち方を見ている
――少し揺さぶった後は、お前の判断に任せる
誠子「(……そのぐらいなら、お茶の子さいさいだけれども)」
誠子「(どう見ても素人だよなぁ、この少年)」
誠子「(気が引けるけど、弘世先輩との約束だし)」
誠子「チー」
鳴く。
河から、私の武器を釣り上げる。
だから早い。速さには自信がある。
誰かが言った、『麻雀には一巡に四回ツモの機会がある』は至言だと思う。
誠子「ロン。5800」
京太郎「うわっ」
――分かりづらいように、数回でいい
――私は彼の後ろで、彼の打ち方を見ている
――少し揺さぶった後は、お前の判断に任せる
誠子「(……そのぐらいなら、お茶の子さいさいだけれども)」
誠子「(どう見ても素人だよなぁ、この少年)」
誠子「(気が引けるけど、弘世先輩との約束だし)」
誠子「チー」
鳴く。
河から、私の武器を釣り上げる。
だから早い。速さには自信がある。
誰かが言った、『麻雀には一巡に四回ツモの機会がある』は至言だと思う。
誠子「ロン。5800」
京太郎「うわっ」
菫「(……こう言っては何だが、本当に弱いな)」
菫「(牌効率もなってない。押し引きも壊滅的だ)」
菫「(スジすら理解してないんじゃないのか、これは)」
菫「(……これは、彼に悪いことをしたか?)」
誠子「ロン。5200」
京太郎「うわっ、直撃二回目」
「須賀君捨て牌無警戒だし、そりゃそーなるって」
「亦野も大人気ないなー」
集まっていた部員を練習に戻らせながらも、彼の一挙一動を見逃さない。
……だが、彼は想像を下回っていた。
それ自体は彼には悪いが、私にとっては良い事だ。
それは、間違い無い。
だが。
なんだろうか、この違和感は。
菫「(牌効率もなってない。押し引きも壊滅的だ)」
菫「(スジすら理解してないんじゃないのか、これは)」
菫「(……これは、彼に悪いことをしたか?)」
誠子「ロン。5200」
京太郎「うわっ、直撃二回目」
「須賀君捨て牌無警戒だし、そりゃそーなるって」
「亦野も大人気ないなー」
集まっていた部員を練習に戻らせながらも、彼の一挙一動を見逃さない。
……だが、彼は想像を下回っていた。
それ自体は彼には悪いが、私にとっては良い事だ。
それは、間違い無い。
だが。
なんだろうか、この違和感は。
菫「(この卓を囲む三人と、私)」
菫「(今彼を見ているのは、この四人だけだ)」
菫「(……だが、確信がある)」
今四人全員が、同じ違和感を彼に感じている。
菫「(もっと、彼は……)」
『強い』、はずなんだ。
そんな意味も無い、根拠も無い感覚と確信が在る。
自分達を蟻とするのなら、人間が蟻に圧倒されている光景を見るような。
蟻にかけっこで負け、力比べで負け、ズタボロにされている人間を見るような。
そんな違和感と、恐怖と、嫌悪感が在る。
……『危険だ』。
何がヤバいのが分からないのが、『危険だ』。
菫「(今彼を見ているのは、この四人だけだ)」
菫「(……だが、確信がある)」
今四人全員が、同じ違和感を彼に感じている。
菫「(もっと、彼は……)」
『強い』、はずなんだ。
そんな意味も無い、根拠も無い感覚と確信が在る。
自分達を蟻とするのなら、人間が蟻に圧倒されている光景を見るような。
蟻にかけっこで負け、力比べで負け、ズタボロにされている人間を見るような。
そんな違和感と、恐怖と、嫌悪感が在る。
……『危険だ』。
何がヤバいのが分からないのが、『危険だ』。
誠子「しかし、それだけ長い間打ってるのに上達しないのか、難儀だな」
京太郎「まあ、そこら辺はしゃーないですよ」
誠子「麻雀初心者の一番の上達法は、上手い人の真似だって言うけど」
京太郎「真似ですか。そう言えば、やった事無いですね」
誠子「ふーん……ああ、それなら」
菫「(……!)」
瞬間、弘世菫の背筋に走る特大の悪寒。
やめろ、と。制止の声も間に合わず。
亦野誠子は、自分の地獄の扉を開き、その向こう側を見た。
誠子「私の真似をしてみるってのも、いいのかも」
誠子「まだまだ未熟だけど、鳴きの上手さだけなら自信があるし」
京太郎「あ、じゃあお言葉に甘えて」
京太郎「まあ、そこら辺はしゃーないですよ」
誠子「麻雀初心者の一番の上達法は、上手い人の真似だって言うけど」
京太郎「真似ですか。そう言えば、やった事無いですね」
誠子「ふーん……ああ、それなら」
菫「(……!)」
瞬間、弘世菫の背筋に走る特大の悪寒。
やめろ、と。制止の声も間に合わず。
亦野誠子は、自分の地獄の扉を開き、その向こう側を見た。
誠子「私の真似をしてみるってのも、いいのかも」
誠子「まだまだ未熟だけど、鳴きの上手さだけなら自信があるし」
京太郎「あ、じゃあお言葉に甘えて」
突然だが、『扉』と聞いて諸君は何を思い浮かべるだろうか。
扉は開くもの。鍵があれば開くもの。その向こう側に新しい世界が広がっているもの。
それこそが扉の本質だと、俺こと須賀京太郎は思う。
昔、ある日から俺は『扉』が見えるようになった。
手の中には、いつだって『鍵』が在った。
眼の前に在る扉を、鍵で開いてみる。
その扉を開いた瞬間、それが何かをようやく理解した。
この扉は、人間なら誰でも持っているものだ。
全ての人間に、この扉は等しい数、等しい大きさで存在する。
開く扉。
その扉は自分の中に在って、その扉を俺は自分で開いている。
だから、世界が広がるのは『俺自身』だ。
その日の麻雀で、俺は今までやった事もないハイテイを半荘に三度和了った。
扉は開くもの。鍵があれば開くもの。その向こう側に新しい世界が広がっているもの。
それこそが扉の本質だと、俺こと須賀京太郎は思う。
昔、ある日から俺は『扉』が見えるようになった。
手の中には、いつだって『鍵』が在った。
眼の前に在る扉を、鍵で開いてみる。
その扉を開いた瞬間、それが何かをようやく理解した。
この扉は、人間なら誰でも持っているものだ。
全ての人間に、この扉は等しい数、等しい大きさで存在する。
開く扉。
その扉は自分の中に在って、その扉を俺は自分で開いている。
だから、世界が広がるのは『俺自身』だ。
その日の麻雀で、俺は今までやった事もないハイテイを半荘に三度和了った。
この扉は、『人間に出来る事』だ。
「人を思いやる事」だとか、「50m泳ぎ切る事」だとか、「自転車に乗る事」だとか。
そういう、人間が出来る事が目に見えている。
扉が開けば、それが出来るようになる。
そういう事。
手元にある鍵は、それを開く鍵だ。
それらには『努力』『才能』『指導』『絆』『経験』と、それぞれ名が付いている。
それらを使って、人は扉を開ける。
鍵があれば、扉を開く事が出来る。
そういう事。
つまり人生とは、扉を開け続ける事。
扉の向こう側を求め続ける事。
当時小学生ながら、シンプルな真理は俺の中に染み渡った。
「人を思いやる事」だとか、「50m泳ぎ切る事」だとか、「自転車に乗る事」だとか。
そういう、人間が出来る事が目に見えている。
扉が開けば、それが出来るようになる。
そういう事。
手元にある鍵は、それを開く鍵だ。
それらには『努力』『才能』『指導』『絆』『経験』と、それぞれ名が付いている。
それらを使って、人は扉を開ける。
鍵があれば、扉を開く事が出来る。
そういう事。
つまり人生とは、扉を開け続ける事。
扉の向こう側を求め続ける事。
当時小学生ながら、シンプルな真理は俺の中に染み渡った。
牌効率が良くなる扉。
人に好かれやすくなる扉。
東場でのみ強くなる扉。
卓上に理想の絵を描く扉。
ビギナーズラックを顕在化させる扉。
バイクを乗りこなす技術の扉。
だがなんとなく、心惹かれない。
どうでも良かったし、欲しいとも思えなかった。
そうやって扉を一つ一つ吟味していく内に、『それ』は見つかった。
異彩を放つ扉。
色違いの扉。
他の扉とは、一線を画している。
そんな扉を、俺は迷わず開けた。
探していた扉はこれだと、妙な確信があった。
人に好かれやすくなる扉。
東場でのみ強くなる扉。
卓上に理想の絵を描く扉。
ビギナーズラックを顕在化させる扉。
バイクを乗りこなす技術の扉。
だがなんとなく、心惹かれない。
どうでも良かったし、欲しいとも思えなかった。
そうやって扉を一つ一つ吟味していく内に、『それ』は見つかった。
異彩を放つ扉。
色違いの扉。
他の扉とは、一線を画している。
そんな扉を、俺は迷わず開けた。
探していた扉はこれだと、妙な確信があった。
開いた扉の向こう側には、素晴らしい世界が広がっていた。
今まで見た扉が、糞の足しにもならないモノにしか見えなくなる。
そんな物をありがたがっていた自分も、他人も、バカらしく見えてくる。
王牌を操作する扉。
他人に認識されなくなる扉。
絶対音感の扉。
絶一門を実現する扉。
最初の一打の牌を、オーラスに持ってくる扉。
野球でホームランを確定で打てる扉。
そういった扉が、いくつも並んでいる。
素晴らしい。素晴らしい。
色違いの扉の向こう側には、もっと素晴らしいものがあるんだろうか。
そう考えると、目の前に並んでいる扉も途端にゴミにしか見えなくなる。
目を凝らせば、今度は一瞬で見つられた『色違いの扉』。
ここに在る全ての扉を無視して、その扉をくぐる。
今まで見た扉が、糞の足しにもならないモノにしか見えなくなる。
そんな物をありがたがっていた自分も、他人も、バカらしく見えてくる。
王牌を操作する扉。
他人に認識されなくなる扉。
絶対音感の扉。
絶一門を実現する扉。
最初の一打の牌を、オーラスに持ってくる扉。
野球でホームランを確定で打てる扉。
そういった扉が、いくつも並んでいる。
素晴らしい。素晴らしい。
色違いの扉の向こう側には、もっと素晴らしいものがあるんだろうか。
そう考えると、目の前に並んでいる扉も途端にゴミにしか見えなくなる。
目を凝らせば、今度は一瞬で見つられた『色違いの扉』。
ここに在る全ての扉を無視して、その扉をくぐる。
プラスマイナスゼロを実現する扉。
要らない。
他人の配牌時のシャンテンに干渉。
要らない。
その身に神様が降ろせる。
要らない。
一向聴から先に進ませない。
要らない。
他人の山への干渉を無効。
要らない。
和了る度に打点が上昇。
要らない。
その内、色違いの扉以外はゴミの山にしか見えなくなった。
だけど他人が大切にしている物をゴミと呼ぶのは大変失礼らしいので、その辺りは気を使っている。
要らない。
他人の配牌時のシャンテンに干渉。
要らない。
その身に神様が降ろせる。
要らない。
一向聴から先に進ませない。
要らない。
他人の山への干渉を無効。
要らない。
和了る度に打点が上昇。
要らない。
その内、色違いの扉以外はゴミの山にしか見えなくなった。
だけど他人が大切にしている物をゴミと呼ぶのは大変失礼らしいので、その辺りは気を使っている。
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