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    元スレ鮮花「確信しました。式は男です」黒桐「は?」

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    1 :

    黒桐「……あのなあ、鮮花。今度こそこれが最後になる事を祈って言うけど……式は女の子だよ」

    鮮花「……」

    黒桐「その事は橙子さんが前にちゃんと保証してくれて……鮮花だってその時納得したんじゃなかったのか?」

    鮮花「そう、ですけど……」

    黒桐「だろ? ならなんでそんな―――また喧嘩がしたいのか、お前は?」


    鮮花「でも、兄さん」

    黒桐「でも、何だ?」



    鮮花「式の奴、胸板があるんですよ」



    黒桐「……」

    鮮花「……」


    黒桐「え!?」

    3 :

    ほう、つまり鮮花は式の胸を触ったと…

    4 = 1 :

    鮮花「……」ニヤニヤ

    黒桐「……」ガタガタ


    鮮花「――詳しく、聞きたいですか?」

    黒桐「――まあ、少しは。というか鮮花、おまえいつどこでそんなものを見たんだ?」

    鮮花「どこって、お風呂ですけど」

    黒桐「……風呂?」


    黒桐(あれ……鮮花と式って、一緒にお風呂に入るほど仲良かったっけ?)


    鮮花「――あれは先日の事です」

    5 :

    らんまじゃあるまいし体型まではかわんねーよ
    なんで人格と体格一緒くたにしてんだよ

    6 = 1 :

    (数日前……伽藍の堂)



    橙子「さて、支度も済んだし……そろそろ行こうか鮮花」

    鮮花「はい、橙子さん」

    「……」


    橙子「今回の依頼は少しばかり手間取るかも知れんな……やれるか、鮮花?」

    鮮花「勿論です。それにしても―――」

    橙子「ん?」

    鮮花「何だか珍しいですね。橙子さんが自分から誰かに仕事を引き受けるなんて」

    橙子「ああ、まあね……」チラッ


    「……」


    鮮花「……?」

    橙子「……」

    7 = 1 :

    「で……オレは何でこんな朝っぱらから呼び出されたんだ?」

    橙子「ああ、その事なんだが……頼みがある。式、君にも付いてきてもらいたい」

    鮮花「ええっ!?」

    「……」


    鮮花「ちょっ、ちょっと橙子さん! 何でよりにもよってこいつと―――」

    「何で。大抵の事は鮮花一人居れば何とかなるだろ」

    橙子「そう言うな。鮮花は私やおまえほど、はっきり『視える』訳じゃないんだ」


    「……」ピクッ

    鮮花「え……? という事は、橙子さん、もしかして今回は……」

    橙子「ああ。前の礼園の時みたいに、式には鮮花の”目の代わり”をやってもらう」

    「……おまえが一緒に行くのなら、おまえが視てやれば良い。オレまで着いていく必要ないだろ」

    橙子「そう言わず。これも人助けだと思って」

    8 = 1 :

    「断る。面倒臭い」

    橙子「私だって面倒臭いんだ」


    鮮花「……」

    鮮花(……なら、何でそんな仕事引き受けたんだろう)


    橙子「あっ、そうだ。おい式」スタスタ

    「……」


    橙子「おまえ、その巫条ビルで壊した義手の代金、まだ払ってないだろう?」ボソボソ

    「―――」

    鮮花(……何話してるんだろう?)


    「……巫条霧絵からコクトーを取り還して来てやっただろう」ボソボソ

    橙子「あれはおまえ、自分の拠り所を自分で取り戻すのは当たり前だろう……」ボソボソ

    「……」

    9 = 3 :

    理緒のときも義手食いちぎってなかったっけ?

    10 = 1 :

    「……前に礼園で鮮花の妖精探しを手伝ってやったぞ」ボソボソ

    橙子「それからおまえ、自分で自分の指を喰いちぎったじゃないか。――歯で付いた傷は、中々直しにくいんだぞ」ボソボソ

    鮮花「―――」


    橙子「しかし――あの義手は頑強さについてはかなり自信があったんだが。ひょっとしておまえ、噛む力はあの白純以上じゃないのか?」

    「―――だれが」

    橙子「まあまあ、落ち着け」

    鮮花「……」


    「その仕事に付き合って、一体オレに何の得があるって言うんだ……」ボソボソ

    橙子「義手とそのメンテナンス代がチャラ。それから―――」

    「……?」


    橙子「黒桐の給料、プラス五万でどうだ?」

    「!?」

    鮮花「?」

    12 = 1 :

    橙子「……」ククク…


    …………
    ………………
    ……………………


    (更にその数日前……伽藍の堂



    橙子「……」テキパキテキパキ

    「……」


    橙子「……これで必要な物は全部か。―――式、戸締り頼めるか?」

    「鍵持ってないぞ、オレ」

    橙子「そうか。じゃあ後で来る黒桐にそう伝えておいてくれ」

    「……どこか行くのか?」


    橙子「ああ、ちょっと旅にね―――」


    (ダダダ……)

    13 :

    ふむ

    14 = 1 :

    橙子「むっ―――」ピクッ

    「……」


    橙子(いかん、もう来たか……?)


    橙子「それじゃあ式、後の事は任せた。幹也によろしくな」

    「ああ」


    (ダダダ……!)


    橙子(まずい、思ったより敵の足が疾い……! これは逃げ切れな……)



    バアァァァン!!



    黒桐「橙ォォォ子さぁぁぁん!!!」


    「!!」ビクッ

    15 = 1 :

    橙子「……っ」ブツブツ


    『幹也ー。後ろ後ろ』


    黒桐「えっ……?」

    「!?」


    黒桐(後ろから……式の声……?)チラッ

    橙子(今だ! この隙を突いて奴の逆手から――!)ダダダッ


    黒桐「……って、逃がすかっ!!」バッ

    橙子「ぬっ」


    橙子(ちっ……そうか、そう言えばこいつは認識を逸らす類の魔術が効き難いだったんだな……)

    (今の……何? 腹話術……?)

    16 = 1 :

    黒桐「……」

    橙子「……」

    「……」ゴクリ…



    黒桐「――どこに行こうとしてたんです?」

    橙子「いや……ちょっと伊豆辺りの温泉にでも浸かりに行こうかとね」

    黒桐「……それは良いですね」

    橙子「だろう? いや、最近は疲れが溜まってたからな……」ハハハ

    黒桐「忙しかったですもんね、ここ一月ばかり……」ハハハ…


    (ははははは……)



    黒桐「でもその温泉に行く前に、ちゃんとお給料は払ってくださいよ」

    橙子「……」ピクッ

    17 = 1 :

    黒桐「あと3日、あと3日と先延ばしにされてる内に――気が付けば、三週間経ってましたね」

    橙子「時が流れるのは早いな……そうは思わんか?」

    黒桐「ええ、ですから早くお金を下さい」

    橙子「よしっ、じゃあここは景気良く後一週間行ってみないか?」

    黒桐「あはは、橙子さん。冗談は止めてください」ニコニコ


    橙子「―――」

    「―――」

    黒桐「……」ニコニコ


    (口元は、笑ってるけど……目が……)

    橙子(……全然笑ってない。―――これが怒れる瞳って奴か……)

    18 :

    いい

    19 = 1 :

    橙子「―――なぁ、黒桐」フゥ…

    黒桐「……」


    橙子「貨幣制度、なんてモノを最初に考えたのは誰なんだろうな……」

    「……」


    橙子「金は人を支配する……何てよく言うが、本来は我々人間がしっかりと金を―――」



    黒桐「……そんな綺麗事を、いつまでもぉっ!!」


    橙子「!!」ビクッ

    「!!」ビクッ



    橙子「落ち着け、黒桐っ」

    黒桐「あなたが悪いんですっ、あなたがっ……あなたが裏切るからぁっ!!」

    21 = 1 :

    橙子(む……これはいかん。今の黒桐には話が通じんかもしれん。こういう時は―――)


    三週間も給料の支払いが遅れれば、当然である。


    黒桐「給料払ってください……今日、ここでっ!」

    橙子「おい、式。君からも何か言ってや……」


    「トウコ、給料はちゃんと払えよ。経営者の義務だぞ」


    橙子「……」

    橙子(まさかの……共犯者からのまさかの裏切りを受けた気分だ。おまえも良く給料日に黒桐にたかっていたのに……)



    橙子「あー……黒桐。残念な事に、今ここに現金はない。私もオケラなんだ」

    黒桐「ならどうやって伊豆にっ?」

    橙子「(無視して)代わりといっては何だが……こんな物がある」スッ

    黒桐「? 何ですか、この封筒……?」

    22 = 1 :

    橙子「―――耳を貸せ、黒桐」

    黒桐「貸しますけど……後でちゃんと返して下さいよ」


    橙子「おまえも冗談が分かる様になった。で、これは何かというとだな……」ヒソヒソ

    黒桐「ええ……」


    橙子「―――幼稚園から高校入学までの、式の記念アルバム」

    黒桐「!?」


    「……?」


    黒桐「どっ、どこでそんな物を……?」

    橙子「秋隆氏……と言えば、後は分かるな? ――これを渡す代わりに、給料の支払いをあと一週間待って欲しいんだ……」

    23 :

    普通に面白い

    24 = 20 :

    俺も欲しい

    25 = 1 :

    黒桐「―――」


    橙子「勿論、今月分もちゃんと支給する。な、あと一週間だけ……」

    黒桐「……もうっ。一週間だけですよ?」

    「……」


    橙子「分かってるって。後の事は任せていいな?」

    黒桐「はい。後は任せてください」

    橙子「うん……それじゃあ」


    (ぎいいい……ばたんっ……)


    黒桐「……」

    「……」


    黒桐「……さて。これからコーヒー淹れるけど、式もどう?」

    「……」コクリ

    26 = 1 :

    黒桐「そう。じゃあ淹れてくるね」

    「……」


     ― 台所 ―


    黒桐「……」ソワソワ

    黒桐(どんな写真が入ってるんだろう……気になるなぁ……)ソワソワ


    (ぺりっ……すとっ……)


    黒桐「……ん?」



    『はずれ』



    黒桐「……」

    黒桐「…………」

    黒桐「……………………」

    27 = 23 :

    流石としか言いようがない

    28 = 1 :

    「……」


    『―――――馬っ鹿野郎…………!』


    「!?」


    ……………………
    ………………
    …………


    「……」

    橙子「な、ちょっと、ほんのちょっと視てくれるだけで良いんだ。それで、五万!」ボソボソ

    「……」


    橙子「五万円、欲しいだろ?」

    「……」ウーン…

    鮮花(あ、悩んでる……)

    30 = 1 :

    「なんでオレが……わざわざ……あいつの……」ボソボソ

    橙子「……」

    鮮花「……」


    「……」


    「それって、人は殺せる?」

    橙子「……いや。でもまあ、そうだな……退屈しのぎ位にはなるんじゃないか?」

    「……」ハァー…

    橙子「―――決まりだな」

    鮮花(えぇー……)

    橙子「……そうだ。丁度良い、今ここで少し義手のメンテナンスでもしておこうか」


    (回想、終わり)

    31 :

    らっきょは珍しい保守

    32 :

    なんだろう、このコクトー、白純に主役を奪われそう

    33 :

    コクトーがシンになっとるw

    34 = 1 :

    黒桐「……」

    鮮花「……」


    黒桐「……そう。あの時そんなに怒ってたかな、僕」

    鮮花「そう聞きました。―――兄さん、橙子さんからは一月に幾らくらい貰っているんですか?」

    黒桐「えーと、基本給が18万で、確か手取りが……」


    橙子『黒桐、渡したばかりで悪いんだが……それ、幾らか貸してくれないか?』


    黒桐「手取りが……」


    『あー腹減った。幹也、今日給料日だろ? 何か食べに行こう』


    黒桐「手取り……」

    鮮花「……」

    35 :

    本当に久し振りならっきょSS
    支援

    36 :

    橙子さんが平常運転で何より

    37 = 1 :

    黒桐「……」

    黒桐「……僕って毎月どうやって生きてるんだろう?」

    鮮花「私に聞かれても……」



    黒桐「―――で。結局三人は、どこに行ったのかな?」

    鮮花「温泉街……」



    (都心を離れた温泉街、その片隅


    連レスしたいけどさるさん食らいそう…

    38 = 1 :

    橙子「ここだな」

    「……」

    鮮花「なるほど……いかにも何か出そうって感じな家ですね」


    橙子「何でも立て壊しの工事が始まる度に必ず事故が起こるらしい―――式、義手の調子はどうだ?」

    「―――重い。それに前のより動きも鈍い。何なんだこれ?」

    橙子「ま、それは後で分かる。それより―――」


    「……何だこれ。うじゃうじゃ居るぞ」

    橙子「空気が淀んでる……。簡単に言えば、ここは善くない物の溜まり場、って所か」

    鮮花「私には何も視えませんけど……」

    橙子「昼間だからね。―――さて」

    鮮花「―――」

    橙子「覚悟はいいか? 鮮花」

    鮮花「はいっ!」

    39 = 23 :

    鮮花かわいい

    40 :

    最初式を見た時男と間違えてるからな服装見れば分かるのに

    41 = 1 :

    橙子「よし、それじゃあ―――」


    (がちゃ)


    橙子「入って、どうぞ」

    「……」

    鮮花「……お邪魔しまーす」スタスタ


    (………………シュッ)


    「―――――伏せろ、鮮花」

    鮮花「え―――」サッ…


    「―――しっ」



    (しゅぱっ―――)


    鮮花「―――うっ……」ゾクッ…

    42 = 1 :

    「―――」


    鮮花(今何か……見えない何かが、頭の上を通っていった……)


    橙子「入って早々にか……元気の良い事だなぁ、もう死んでるのに」

    鮮花(二人には……何が視えてるんだろう……?)


    鮮花「……」ブルッ


    「どうした? やっぱり手を貸そうか」

    鮮花「……私一人で十分よ!」


    「……」チラッ

    橙子「……その子一人で十分だよ、式」コクリ


    鮮花「……」フゥ…

    「そう。……鮮花、左」

    鮮花「―――ッ! 燃えろォっ!(AzoLto)」

    43 = 33 :

    しえん

    45 = 1 :

    (ばぁんっ!)


    鮮花(また見えないけど……よしッ、手応えあり!)


    「へぇ……結構やるもんだな」


    鮮花「……」ピクッ


    橙子「当然だ。鮮花は私の優秀な弟子だぞ」


    鮮花「……」ピクッピクッ


    橙子「ようし……鮮花、やってしまえ」

    鮮花「―――押忍!」←褒められるのに弱い


    (………………シュッ)


    「―――鮮花、右だ。今度は正面」

    鮮花「―――――っ!」

    46 = 1 :

    (ウリャ!ボディガ…アメェゼ!ソラソラソラァ!)


    橙子「左、後ろにも気を配れ鮮花」


    (トベオラァ!イケオラァ!オラァァァ!)



    ……
    ………


    「―――やっぱりあいつ一人で十分だったな」


    (クラエッ!クライィ…ヤガレェッ!ヨラヨ!オラオラオラァ!オラオラオラァ!ドウシタ?アアン?)


    橙子「……まあ、最後まで分からんがな。じゃあ、私はギャラ貰って帰るから……」クルッ…

    「は?」


    (トウガノゴトクモエツキロォ!イクゼ!マッカニモエロォ!ホムラニィ…カエリヤガレェッ!)

    47 :

    サンをつけろよデコ助野郎ッ!

    48 = 1 :

    橙子「あとヨロシク。適当に宿を取っておくから、ケリが着いたら来てくれ」スタスタ

    「……」


    (……勝手な奴)

    鮮花「……」ハァハァ…


    「まぁ、大体片はつ、い―――」


    (ダッ)


    「―――」

    鮮花「―――へっ?」


    (ドンッ)


    鮮花「わっ……ちょ、式!? 急に何……」

    49 = 1 :

    (ブンッ……バチィッ!)


    鮮花「―――え?」


    (カランカラン……)



    「くっ……」

    鮮花「なっ……!」


    鮮花(式が……宙に浮いて……!? いや、何かに捕まって……)

    (くそっ、ナイフを落としたっ……!)


    (ギリ……ギリ……)


    鮮花(何これ……何か、植物の蔦のような……礼園で見た、アレに似てる……!?)


    「こいつ……なんて力で絞めて来やがるっ……」

    50 = 40 :

    マジで式って幼稚園とかどうしてたんだ
    やっぱ私服ありのいいとこ通いか


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