私的良スレ書庫
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元スレ菫「銀の竜の背に乗って」
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スタッ
菫「やっぱり地上が一番だよ」
ガサガサ
尭深「すみr――わあああっ」ステン
菫「探しにきてくれたのか。ありがとう」
尭深「あの、もう大丈夫なのですか?」
菫「和解したよ。利害の一致……というよりは宿命みたいなものだけど」ハハハ
尭深「そうですか……」ビクビク
クロチャー「ふあああ。つかれたのです」
しゅるしゅるしゅる~ ぼぼん
玄「やっぱりこっちのほうが楽だね」
菫「あ!? 人間にもなれるのか?」
玄「む、竜人族は元々こういう姿形だよっ。ほら、尻尾もこんな長い耳も人間にはないでしょ?」
菫「あ、本当だ。コスプレみたい」サワサワ
玄「あ~/// て、そんなに触らないで、 あああ~~」
菫「尻尾弱いんだな――っ!?」
菫(ということは宥もこの耳と尻尾がついてるのか。……すっごいかわいいぞ。やばいやばいyばあああばば)
玄「邪まな妄想はやめるのですっ!」
菫「うわあ がんばろう」
玄「聞いてないし……」
尭深「お二人とも今日のご予定は?」
菫「ええっと、」
玄「野宿です!」
菫「家帰らないの?」
玄「飛んで行くの無理~。体力的に」
菫「不便だなぁ」
玄「また馬鹿にして!」
菫「いや、そういうわけじゃ、」
尭深「よろしければ、うちにいらっしゃいませんか?」
玄「いいの?」
尭深「ええ。私、一人で暮らしてて……お客さんなら大歓迎です」ニコ
玄「ありがと~」ムンズ
尭深「ひゃっ! なんで胸をつかむんですかっ」
玄「これはねぇ、竜人族のお礼のモミパイの儀なんだよ(大嘘)」モミモミ
菫(ふむ、姿は違えど私の世界の玄さんと本質的には変わらないな)
玄「ふぃーっ、久しぶりの栄養補給だじぇ」ホクホク
玄「そうだ……、これどうぞ」
菫「なにこれ、名刺?」
玄「松実玄です。通名ですがよろしくです」
菫(漢字なのか……。この世界の文化は一体どうなってるんだ)
菫「アチガ竜道師範代……? この肩書きは?」
玄「アチガ国で竜道の先生をやってるんだよ!」フンス
菫「その竜道ってのは?」
玄「ありゃ、知らない?」
菫「うん。聞いたことない」
玄「竜人特有の転換力を人間さんに教えるための教室だよ。火を出したり、肉体を強めたり」
菫「魔法みたいなものか」
玄「人間の中ではそういう言葉を使うかも」
菫(ものすごいところに迷い込んでしまったようだ)
尭深「!っ」
アオーン
尭深「そろそろ日が暮れます。狼たちが山を降りてくる前にうちへ急ぎましょう」
菫「流石に玄さんがいれば大丈夫だろ」
玄「んーっと、狼さんたちには危害を加えられないのです」
菫「なぜ?」
玄「竜人の思想の根っこは、原初的な自然崇拝だから簡単に殺生を行えないの。守れても自分の身だけ」
菫「……人間に対してはいいのか」
玄「彼ら――菫ちゃんも含めてだけど、人間は業が深いからね。最も身近な隣人であり、私達の忌戒の例外なんだよ」
菫「歪な世界だなあ」
◇◆◇◆◇◆
尭深「ここが我が家です」
菫(予想はしていた)
菫(いわゆる洋風で古式な木材オンリーの一軒家。バンガローに似ている)
菫(そこに当たり前にくっついている『渋谷」の表札)
菫「うーむ」
尭深「あ、あの! 中は綺麗にしてますので、大丈夫ですよ」
菫「あ、別にそういうわけじゃないんだけど」
菫(漢字文化のくせに生活様式は中世ヨーロッパ準拠なのか)
玄「お邪魔しまーす」ガチャリ
菫「おい、家主がまだだ」
尭深「いいんですよ。彼女らは特別ですから。……私、この子たちを小屋へ連れていきます」
尭深「おいでセーコ。菫さんも先にどうぞ」
菫「……わかった」
バタン
玄「ベッドベッドー」ドフン
菫「こら」
玄「?」
菫「尭深の許可なくベッドを使うな。ここは君の家じゃないんだぞ」
玄「知ってるけど、どういうこと?」キョトン
菫「君だって招き入れた客が好き勝手に家のものに触れればいい気はしないだろう」
玄「そりゃあね」
菫「だったら、」
玄「勘違いしてる、菫ちゃん」
玄「私は竜人。菫ちゃんたちは人間。地位も権利も何もかも違う」
玄「尭深ちゃん何も言わなかったでしょ? 竜人を家に上がらせるなんてとても名誉なことなんだ」
玄「もちろん礼はするよ。狼払いの印を彼女に授ける。少なくとも尭深ちゃんはそれを期待をしていると思うな」
菫「……」
玄「彼女は必死におもてなしをすると思うよ」
菫「私の世界の玄さんはそんなこと言わなかった」
玄「世界の構造が違えば、当たり前だと思うけど」
菫「とってもいい子で、人のために自分を犠牲にしても他人の幸福を喜ぶような、」
玄「なにそれ、バカみたい」
菫「……」スッ
玄「叩くの?」
菫「正直我慢できないんだ。その性根が死ぬほど気に食わない」
玄「……ふーん」
尭深「菫さん!」
尭深「な、なにしてるんですか、それ、遊びですよね、手をあげるなんてこと」
玄「ほら、やめなよ。説教なんてうんざり。特に人間の言葉なんて――」
菫「」ブチッ
バチーン
玄「ふぇ……」ジワ
玄「うわああああん! 菫ちゃんにぶたれたーーー!!」
尭深「」ゾッ
尭深「なんてことを……、神よ、私はいったいどうすれば」
菫「私の大切な人を馬鹿にするな」グイ
玄「ひっ」
菫「私が知ってる玄さんの顔でそんなことをほざくな」
玄「うぅぅっ」
菫「わかったか」
玄「私が元気になったら、どうなるかわかんないんだから……」
菫「もう一度言ってみろ……」ゴゴゴゴ
尭深「もうお止めください! 手を離してください」
菫「……」スッ
玄「尭深ちゃ~~」
尭深「よしよし」
玄「怖かったよぅ」グスグス
菫「はぁ」
菫「すまなかった。我慢できなかったんだ」
尭深「竜人に手をあげるなんて普通じゃありません。良くて腕をとられ、最悪即処刑です」
菫「そうか……。私には生き辛い世界だ。ここから出て行く。短い間だったがありがとう」
尭深「外は危険です。狼たちがいますよ」
菫「私がこの場に残るほうがよっぽど危険じゃないか?」
尭深「いえ、彼女はもう」
玄「zzz……」スヤスヤ
菫「……寝つきいいな」
尭深「少しだけ、魔法を使わせてもらいました。精神を落ち着かせる、安眠のおまじないです」
菫「みんな魔法が使えるのか。すごいなこの世界は」
尭深「力の差はありますけどね、私にはこれが限界です」
菫「便利だな。科学が発展しないわけだ」
尭深「そうは言っても、無尽蔵に使えるわけではありません。代償が必要になります」
菫「代償……」
尭深「人の運命力……言い換えると魂とでもいいましょうか」
尭深「使った魔法が強ければ強いほど自信の寿命は短くなる」
菫「ほう」
尭深「玄様が使った火炎の魔法は人間が使えば寿命が3分の1ほど削れます」
菫「この子は泣きながら火を吐いていたが」
尭深「竜人は寿命という概念がないのです」
菫「なるほど」
菫「そうなるとわからないことがあるのだが」
尭深「はい」
菫「この子の姉が誘拐されたらしい」
菫「それだけ竜人と人間に性能面の差があれば不可能ではないか?」
菫「力技でどうにかなる相手ではないだろう」
尭深「……」
尭深「……確かにそれは不可解ですね」
尭深「ただの憶測の域ですが――」
尭深「竜人と人間に間には非常に複雑怪奇な取り決めが存在します」
尭深「玄様の姉であれば政治材料として優秀で国同士の取引に使われた可能性も――」
菫「……どうした?」
尭深「口が過ぎました。私の様な者が声に出していい言葉ではありませんでした」
菫「そうか……。これ以上聞くのはやめておこう」
玄「おねぇちゃん……」zzz
菫「寝ている間はかわいいな本当」ナデナデ
尭深「やはり菫さんはこの世界の住人ではなさそうですね。頭を撫でるのもずいぶん畏れ多い行為ですよ」
菫「元いた世界にこの子そっくりの――というよりは写し身のような子と知り合いでな」
菫「友人の妹なんだ。会ったばかりは警戒されてたが、今では甘えてもらってる」
菫「私に妹ができたみたいで嬉しかったよ」ナデナデ
尭深「こうしてみると、人間と変わらないですね。私と同い年ぐらいに見える」
菫「寿命がない竜人とやらは不老不死なのか?」
尭深「不死ではありません。修復不能の傷を負えばもちろん死にます。ただ外見は人間で言う成人を迎えてからは変わらない、らしいです」
菫「尭深は詳しいね」
尭深「……調べましたから」
菫「……?」
尭深「お夕飯の支度をしてきます」
菫「玄さんはどうする?」
尭深「寝かしてあげてください。朝までは起きれないはずです」
◇◆◇◆◇◆
その日の夜
ホー、ホー
「寝てるよね……」
ギッ
「菫さんも……、うん」
「ごめんなさい」
「ごめんなさいごめんなさい」
「でも、あなたたちが悪いんだから、私の家族を奪った、竜人たちが……」スッ
「地獄で、会いましょう」ヒュ
菫「ストップ」ガシ
尭深「あぅっ」
尭深「――嘘、おまじないが効いてないの?なんで、」
菫「しっ」
尭深「うぐ」
菫「騒がないで。万が一にも玄さんが起きちゃうから」
尭深「ふぅうっ」ポロポロ
菫「泣くならやらない」
菫「冷静になれ。今ならまだ『何もしていない』だろ?」
尭深「……」ポロポロ
菫「……」
菫「……話を聞こう。それで気が済むなら」
尭深「……」
・
・
・
・
ギュ
菫「すまない。これも保険なんだ」
尭深「……殺されても文句言えませんから……腕を縛るぐらい、なんてことはないです……」
菫「……」
菫「なぜ、玄さんを?」
菫「さっき、家族が、って言ってたな」
尭深「親が、殺されたんです。竜人たちに」
菫「……そうか」
尭深「父と母が、街へ下りたとき、りゅ、竜人が乞食をいじめてて、」
尭深「正義感の強い父は注意をしたつもり、だったのに、」
菫「もう言わなくていいよ」
菫「……」
菫「それをやったのは玄さんなのか?」
尭深「!」ビクッ
尭深「……違います」
菫「すまなかった」
尭深「なんで、菫さんが、謝るんですかっ」
菫「自分でもわからない……けど、人事じゃない気がしたんだ」
菫「竜人に代わり、私が謝罪する」
尭深「そ、そんなことで、私が、」
玄「……もういいよ」
尭深「!!っ」
菫「起きてたのか」
玄「私が謝る」
玄「その包丁で一回切っていいよ。たぶん死なないけど、許してもらえるならそれでいい」
菫「やめろ」
玄「その手、ほどいてあげる。……私は何もしないから」
尭深「」スッ
菫「尭深!」
玄「……」
尭深「ふ、」
尭深「ふざけないで……」ポロポロ
尭深「返してよお父さんとお母さんを」
玄「ごめんなさい。私は顔を知らないから転生は使えない」
尭深「っ、」ギリ
ザク
玄「痛っ」
ドロ
菫「あ……あ、」
玄「……ごめんね。出て行くよ。いこ、菫ちゃん」
尭深「――ぁああ」
尭深「っぅあああああぁぁぁあああ」
玄「……」
バタン
玄「……」スタスタ
菫「おいっ、待て!」
玄「……」
菫「腹の傷を見せろ、止血だけで、も、」
玄「あの程度、ほら、どうってことないよ」ポンポン
菫(傷が、ない)
菫(腹に10センチは切れ込んでたぞ)
玄「いいかな」スッ
菫「これが……」
菫(竜の力)
玄「……ふー」
玄「本当難儀だよ」
玄「……てっきり好かれていると思ってた」
玄「人間はずるい。利益があれば盲目になれて、私達の前では両手をこすりあわせてゴキゲンとりばっかしていて、」
玄「お金がもらえれば親も売るような血も涙もない連中だと思ってたのに」
玄「腹の底ではあんなこと思ってたんだね、みんな」
菫「あいつは特別だ。親が殺されてるんだ」
玄「だったら言えばいいじゃん! 親が殺されました、転生でもなんでもしてください、ってさあ!」
玄「……菫ちゃんが起きなかったら、舌を引っこ抜いて磔にしてた」
菫「……」
玄「本当難儀だよ」
玄「……てっきり好かれていると思ってた」
玄「人間はずるい。利益があれば盲目になれて、私達の前では両手をこすりあわせてゴキゲンとりばっかしていて、」
玄「お金がもらえれば親も売るような血も涙もない連中だと思ってたのに」
玄「腹の底ではあんなこと思ってたんだね、みんな」
菫「あいつは特別だ。親が殺されてるんだ」
玄「だったら言えばいいじゃん! 親が殺されました、転生でもなんでもしてください、ってさあ!」
玄「……菫ちゃんが起きなかったら、舌を引っこ抜いて磔にしてた」
菫「……」
玄「おねえちゃんが菫ちゃんのことが好きになった理由がわかったよ」
菫「え?」
玄「私の力を見たくせに平気でほっぺた叩くし、包丁持った尭深ちゃんを落ち着かせようと必死になったり、」
玄「終いには、竜人に代わって謝罪? ドがつくレベルで馬鹿正直で平和主義だよね」
玄「偽善だって言われたことない?」
菫「……ある」
菫「自覚もしている。ただ玄さんに言われるとは思ってなかったな」
玄「菫ちゃんの知ってる私は、どんだけ毒がないの」アハハ
菫「率直で聡明な子だ。君のお姉さんも」
玄「おねえちゃんも人間大好き平和大好きだからね。それであれだけ想ってくれるなら惚れない理由はないか」
菫「……」
玄「どしたの? 急にだまっちゃって」
菫「いや、少し思うことがあってな……、それにしても私はいいのか? あれだけ怒ってたのに何もしないで」
玄「菫ちゃんを怪我させればおねえちゃんは悲しむ。それは私も悲しい」
菫「そういうところはそっくりだ。私の知っている玄さんに」
玄「そうなんだ。会ってみたいな、もう一人の私に」
菫「絶対驚くよ。仲良くなれるかはしらないけど」
玄「だったら善は急げだよ。この国の城下町に行こう」
菫「宥が先だろう?」
玄「菫ちゃんは一応ここの住民となってるから、国外へ行くにはまず許可証が必要。この前のも失効してるはずだよ」
ぼぼん
クロチャー「歩いてくと一日はかかる。背中乗って」
菫「まじか」
クロチャー「びびってないで、ほら」ヒョイ
菫「うあ」
クロチャー「適当に掴まっててね。いくよー」バサバサ
菫「ひいいいい」
菫(高いところやだあ)
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