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    元スレ勇者「俺は勇者様の影武者ですから」

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    みんなの評価 : ★★
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    151 :

    どっちが魔王になるの?

    152 :

    ばっかもーん!

    153 = 133 :

    嫌な予感が

    154 = 129 :

    勇者「……なんだ?」

    勇者「俺は影武者としてあなたの家に拾われて以来」

    勇者「ずっと、あなたになり代わりたい、本物になりたいと願っていました」

    勇者「さっき僧侶がいったとおり、なりすます自信もあった」

    勇者「あなたの命を奪いたいと思ったことも、一度や二度ではありません」

    勇者「なら、いいじゃねえか。ここで俺が死ねばお前の夢は叶う」

    勇者「しかし」

    勇者「あなたが密かに俺と同じ箇所に自ら傷をつけていると悟った時」

    勇者「俺は自分を恥じました」

    勇者「俺は自分が逆の立場だったら、果たして同じことができただろうか、と」

    156 :

    コピー魔物 「よし、俺が犠牲になる!」

    157 = 129 :

    勇者「そしてなにより──あなたと痛みを共有してるということが本当に嬉しかった」

    勇者「だから俺はあなたの自傷行為に気づいていながら……」

    勇者「魔王軍との戦いを正確に報告してきました」

    勇者「俺は無傷だと報告すれば、あなたは自分を傷つけずに済むと知りながら……!」

    勇者「俺は最低の人間です」

    勇者「申し訳ありません……!」バッ

    勇者「ふっ、謝るなよ……」

    勇者「むしろ、お前の痛みを少しはまともに分かち合えてたって分かって」

    勇者「俺は嬉しい……」

    159 :

    いい話のようで、まったくいい話じゃないな

    160 = 140 :

    ホモまつり

    161 = 129 :

    勇者「そして俺は決意しました」

    勇者「俺はこの方の影として戦うと、この方の影として魔王を倒すと」

    勇者「この方の影として死ぬと……!」

    勇者「俺が人々や仲間たちに勇気を与えたというのなら」

    勇者「俺に勇気を与えてくれたのは、他ならぬ勇者様、あなたです!」

    勇者「俺が勇者だというのなら、あなたもまた紛れもなく勇者なのです!」

    勇者「俺は勇者であるあなたの影でいられたことを、心から誇りに思っています!」

    勇者「バカいえ……俺は勇者なんかじゃ……」

    勇者「…………」

    勇者「ありがとう……」

    戦士(なるほどな……)

    魔法使い(勇者さんの忠誠心の源がどこにあったのか──)

    僧侶(ようやく理解できたような気がします……)

    162 = 129 :

    勇者「だから──」チャッ

    勇者「この命、勇者様に捧げます」ス…

    勇者「用済みになった影は……もはやこの世に不要なのです」グッ…

    首筋に剣を押し当てる勇者。

    勇者「バ、バカ! やめろ!」

    勇者「魔王を倒したお前が死んでどうすんだっ!」

    勇者「僧侶、勇者様の傷……今からでも治せるものはあるはず」

    勇者「どうか治してあげてくれ……」

    僧侶「剣を降ろして下さい!」

    戦士「やめてくれぇっ!」

    魔法使い「ダメだっ!」

    勇者「死ぬなぁっ!!!」

    ───
    ──

    163 :

    おおお

    164 :

    おいいいいいい

    166 :

    ホイミ

    167 = 142 :

    なぜしんだ

    168 :

    アレイズでなんとか

    169 = 129 :

    <勇者一族の屋敷>

    当主「おおよくぞ戻った、私の可愛い息子よ!」

    当主「魔王討伐の件はすでに私の耳にも入っておる」

    当主「……ところで、影武者はちゃんと始末しただろうな?」

    勇者「はい、この棺桶の中に入っております……父上」ガタン

    当主「ふむふむ、お前とそっくりな人間の死体を見るのは心苦しいが」

    当主「こうせねば、我が一族の名誉を守れんからな」

    当主「これでお前は世界でただ一人の勇者というわけだ!」

    勇者「はい……」

    当主「では約束通り、お前たち三人にも報酬を用意しよう」

    戦士「ども……」

    魔法使い「……ありがとうございます」

    僧侶「これで……教会を立て直せます」

    171 = 129 :

    勇者「ところで父上、影武者の死体はどうしましょう?」

    当主「もうそいつは我が一族とはなんの関係もない人間だ」

    当主「適当に始末しておけ」

    勇者「……分かりました」

    勇者「じゃあ僧侶、お前のところの墓地に埋葬を頼めるか?」

    僧侶「はい、もちろんです」

    僧侶「丁重に埋葬させていただきます」

    僧侶「勇者様のご一族にとっては単なる影武者でも──」

    僧侶「私たちにとっては、かけがえのない大切な仲間でしたから……」

    当主「ふん」

    当主「では私は忙しいのだ。報酬の件はまたあとで連絡をする」

    ギィィ…… バタンッ

    172 :

    なんたる展開

    173 :

    死んでないだろ

    174 = 129 :

    <教会>

    勇者の死体「…………」

    勇者「おい、もういいぞ」

    ボワンッ!

    オバケ「これで俺は自由の身なんですよね?」

    戦士「おう、どこにでも行け。ただし悪さするんじゃねえぞ」

    オバケ「もちろんですよ~」

    オバケ「じゃ、サヨナラ~」ヒュルルルル…

    勇者「……ぷっ」

    勇者「ワハハハハハッ!」

    戦士「ギャハハハハハッ!」

    魔法使い「アハハハハハッ!」

    僧侶「ふふふっ……」

    176 = 129 :

    魔法使い「それにしても、よくあの場面で思いつきましたね」

    魔法使い「旅の途中で戦った、ボクらに化けるオバケを捕まえて利用するなんて……」

    勇者「俺はお前たちの戦いをアイツからよく聞いてたからな」

    勇者「ただの死んだフリじゃ絶対バレるが」

    勇者「オバケなら死んだフリもお手のものだったしな」

    勇者「ただ、親父が“ウチで丁重で埋葬する”なんていいだしたら危なかったが」

    勇者「あの親父がそんなこというはずないってのも分かってたしな」

    勇者「……しかし、ホントうっかりしてたな」

    勇者「もっと早くこれを思いついてりゃ」

    勇者「どっちが本物だの、どっちが死ぬだの、大騒ぎしなくてよかったんだがな」

    僧侶「ふふっ、仕方ありませんよ」

    僧侶「命の二択という極限状況が、この閃きを生んだんでしょうから」

    177 = 139 :

    オwwwwwwwwwばwwwwwwwwwwwwww毛wwwwwwwwwwwww

    178 = 142 :

    ちゃんと伏線張ってあったな

    179 = 129 :

    戦士「はぁ~……」

    戦士「実際、オバケと戦った俺たちが思いつけねえとは情けねえ……!」

    僧侶「まあまあ、いいじゃありませんか」

    僧侶「おかげで二人の勇者様は、どちらも死なずに済んだのですから」

    魔法使い「結果オーライだね」

    ガサゴソ……

    勇者「その様子だと、うまくいったみたいですね?」

    勇者「おう、まんまと出し抜いてやったよ」

    ハッハッハッハッハ……!

    180 :

    オバケ可愛いなw

    181 = 156 :

    先読みしたら伏線回避するかと思ったけど
    書き終えてたようだな、すまんかったw

    182 = 129 :

    勇者「さて、と」

    勇者「そろそろお別れだな」

    戦士「俺は今回の報酬で、武器屋をなんとか立て直してやらぁ!」

    魔法使い「ボクも、魔法塾を繁盛させてみせるよ!」

    僧侶「私もこの教会を……人々からもっと愛されるようにいたします」

    勇者「魔王を倒したお前たちなら、きっとやれるさ」

    勇者「俺も誇りを失った一族を、なんとか変えてみせる!」

    勇者「……で、お前はどうするんだ?」

    勇者「俺は旅に出ます」

    勇者「いくらオバケを身代わりにしたといっても」

    勇者「この国にいるのは、お互いのためによくありませんからね」

    勇者「……たしかにな」

    183 = 129 :

    勇者「すまねえな、お前には世話になりっぱなしだ」

    勇者「本来なら、お前がこの国に残るべきだってのに……」

    勇者「いえ、俺はこの手で魔王を倒せたというだけで十分満足していますし」

    勇者「それにあの時、勇者様があのアイディアを思いついたから」

    勇者「俺は今こうして生きているのです」

    勇者「ならばこの生き永らえた命、引き続き人々のために使います」

    勇者「なぜなら俺は──」

    勇者「勇者様の影武者ですから!」



    そして──

    184 = 129 :

    一年後──

    <勇者一族の屋敷>

    当主「なんだ!? この面白くない記事は!?」グシャッ

    勇者「どうしたんですか、父上」

    当主「なんでも遠い異国の地で、お前にそっくりな男が」

    当主「魔王軍残党を退治したり、盗賊団を壊滅させたりと大活躍し」

    当主「人々から“影の勇者”などと呼ばれ、慕われているそうだ!」

    当主「何者かは知らんが、我が一族でもないのに勇者の名を冠するとは不届きな輩だ!」

    当主「いっそ制裁を──」

    185 :

    追い付いた④

    186 = 129 :

    勇者「放っておきましょうよ」

    勇者「影の勇者、なんてなかなかシャレてるじゃありませんか」

    勇者「勇者の血を引く一族というのは、もっとドンと構えておくべきでしょう」

    勇者「ねぇ?」ニヤッ

    当主「ぐっ……!」

    当主(こいつめ、前までは私のいうことに従うことしかできなかったのに)

    当主(魔王討伐の旅を終えてから急激に、私以上の威厳を身につけおった……!)

    勇者「それに俺は──」

    勇者「勇者が二人いるってのも、なかなかオツなものだと思いますよ」





    <おわり>

    193 = 180 :

    おっつん
    欝エンドじゃなくて良かった

    195 = 147 :

    おつかれ 楽しかったよ

    198 = 135 :

    おつ


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