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    元スレ折木「俺が過去になる前に」

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    101 = 47 :


    福部「それは………」

    摩耶花「………私が男だったら、まず勘違いするわね」

    える「勘違い?」


    キーーーンコーーーーン
    カーーーーンコーーーーー……ン

    折木「…………下校時間か」

    福部「どうするんだい、ホータロー」

    える「あの、私なら大丈夫ですから」

    摩耶花「ちーちゃんまたそんなこと言って!
        万が一何かが起こってからじゃ遅いのよ!?」
    える「ありがとうございます、摩耶花さん。ですけど本当に……」




    折木「いや、俺が行こう」

    102 = 47 :


    える「ええっ!?」

    福部「!!?」

    摩耶花「折木………アンタ……」

    折木「多分俺が一番話を丸く収められる。
       千反田もその方がいいだろう?」

    える「え、ええ………ですけど、折木さんにご迷惑をかけるわけには……」

    折木「…………別に恩を着せるつもりはない。
       俺が出ていくのが最も効率がいいというだけだ」

    える「そう、ですか………」

    折木「まぁ、何だ」



    折木「俺に任せろ」

    104 = 47 :



    ………
    ………………
    ………………………

    折木「あいつか?」

    える「ええ、あの方です」

    此処は千反田の通学路。件の男が出没する商店街だ。
    やはり今日も奴はそこにいた。
    現在は本屋の雑誌コーナーで立読みをしている……フリをしている。
    持っている雑誌が上下さかさまだ。

    折木「じゃあ、少しだけ待っててくれ」

    108 = 47 :


    える「折木さん、さっき言ったこと忘れないでくださいね。
       暴力や危ないことはだめですよ!」

    折木「心配するな。お前はそこの喫茶店にでも入っててくれ。
       見つかると面倒くさいことになるからな」

    える「………わかりました」

    千反田はまだ不満げな様子を見せながら角の喫茶店に入って行った。
    ………さて、厄介なやつがいなくなった。

    すまない千反田。
    俺はさっき、お前に少し嘘をついた。

    暴力を行使するつもりはない。
    そもそも俺はそんなに強くない。

    が、




    少しだけ、底意地が悪いのだ。

    109 = 84 :

    ほーたろーがカコイイ

    110 = 66 :

    ほうたるに惚れそう

    111 = 47 :



    ………
    ………………
    ………………………

    ………まだ来ないな。
    いつもなら、10分前には通りかかっているのに。
    ひょっとして、警戒された?
    いや、昨日まで馬鹿正直にこの道を通っていたような子だ。
    今日も必ず

    折木「よう」ガッ

    112 = 47 :

    !?

    な、何だ!?
    何が起こった!!?

    折木「あんただよな?千反田に付きまとってるのは」

    「!?」

    折木「ああ、喋らなくていい。どうせ声は出せないだろう?」ギリギリ

    「…………!!」

    こ、声が出ない!!

    折木「おー、初めてでもできるんだな。姉貴の見様見真似だったんだが」

    顎を極められて動かせない。
    首を絞めずにこんなことができるのか・・・・!?

    114 = 47 :


    折木「騒いだら首も極める」

    「…………!!!」

    折木「俺が誰か、とか、千反田とどんな関係か、とかそんなことはどうでもいい。
       聞きたいことは二つだ」

    「…………!!」

    折木「ひとつ。千反田とアンタは面識があったか?
       Yesなら1回、Noなら2回かかとを鳴らせ」

    …………

    カッ、カッ

    116 = 84 :

    やだ///ほーたろー男らしい

    117 = 47 :

    折木「いいだろう。二つ目だ。
       アンタは、千反田の記憶力がずば抜けていいことを知ってたか?」

    千反田さんの記憶力?

    折木「あいつはな、合同授業で一度同じになっただけの、クラスも違う俺の顔と名前を一度で覚えたんだ」

    …………!!!?

    折木「………知ってたか?
       Yesなら1回、Noなら2回だ」


    …………………

    カッ………、カッ


    折木「………なるほどな」

    119 :

    なるほど

    120 = 47 :


    くっそ………!!

    折木「……アンタの気持ちも分からんではないがな」

    こいついけしゃあしゃあと……!!

    折木「アイツはこの間言っていた。
       『勘違いは責められない』ってな」

    勘違い…………





    折木「だから一度だけは見逃す。次はない」

    !!!

    122 = 47 :


    折木「もし……また千反田を困らせてみろ。
       そのときは俺も容赦しない」

    声のトーンが変わった。
    さっきまでの問い詰めるような声音とは違う。
    平坦で、恐ろしく冷淡な声だ。

    折木「アンタの人生経験のなかで一番つらかったことを思い出せ」

    …………!!!

    折木「そいつを百回繰り返した方がマシだというほどの責め苦を味あわせてやる」

    陳腐だ。
    脅し文句としてはあまりにも陳腐でチープだ。
    だがなぜだ。

    折木「返事がないな。分かりにくかったか?」

    125 = 47 :


    店内はこんなに暖房が効いているというのに、



    折木「金輪際千反田の前に現れるな」



    体の震えが止まらないのはなぜなんだ………!!!




    折木「 殺 す ぞ ? 」


    …………………!!!!!



    ………
    ………………
    ………………………

    126 = 66 :

    言い回しが厨ニ過ぎてやばい

    127 = 100 :

    こんなの折木じゃねぇ…

    128 = 82 :

    ほうたる「This way....」

    129 :

    流石ほうたるさん中二王子や

    131 = 47 :

    ………………………

    カランコロンカラン….

    折木「待たせたな」

    える「折木さん………」

    千反田を待たせていた喫茶店に入る。
    千反田は俺が言った通り、窓から見えない奥の席に座っていた。

    折木「座ってもいいか」

    える「あっ、はい。どうぞ
       それで………」

    132 :

    ほうたるかっこいい

    133 = 47 :


    折木「ん?ああ、円満に話は終わった。
       お前には迷惑をかけた、謝っておいてほしいとのことだ」

    える「いえ、そんな!もとはと言えば私が……」

    折木「千反田」

    える「はい?」


    ポフッ


    折木「」ナデナデ

    える「………へっ?」

    折木「言っただろ。お前のせいじゃない」

    135 = 78 :

    ほうたる怖い
    えるたそにチクらなきゃ(使命感)

    136 = 84 :

    ほーたろーかっこよすぎ濡れた

    137 :

    省エネはどこに行った

    138 :

    栃木に見えた
    それだけ

    139 = 47 :


    える「でも……」

    折木「勘違いは責められないんだろう?
       ならば勘違いさせた方だって責められるいわれはないさ」

    える「ですが………」


    そうだ。
    アイツを責めるのは筋違いだ。
    なぜならあいつは俺かも知れなかったのだから。

    今回千反田に非はない。
    落ち度があるとすれば、

    折木「お前は優しいからな」

    える「優しい、ですか?」

    140 = 129 :

    耳元でモットーを囁いてほうたるを顔真っ赤にさせたいよ派

    141 = 47 :


    おそらく千反田は、人の全てを「過去」にしてしまうのが嫌なのだろう。
    『氷菓』の、というよりも、関谷純の一件でもそれが垣間見えた。
    こいつは自分が出会った人々を、通り過ぎてしまった人々の全てを記憶しようとしている。
    記憶しようと努めている。
    思いでだけでも。名前だけでも。
    自分の内に留めておきたいのだろうと思う。


    だがそれは時として、全てを忘れてしまうより残酷だ。

    142 = 129 :

    (*´Д`)えるたそ~

    143 = 47 :


    おそらく千反田にとってあの男は、本当に「過去の人」だったのだろう。
    だが千反田はあの男を覚えていた。
    全てを覚えたまま、あの男を「過去の人」にできてしまったのだ。

    例えるならば、コンピュータに内臓されたHDDが容量不足になったとき、
    HDDのデータを消すのではなく、外付けのHDDにデータを移し替えるようなものだ。

    凡人の俺には理解しがたいが、千反田にはそれができる。

    144 = 47 :


    千反田は気付いていない。
    人の全て記憶したまま過去にしてしまうことの残酷さに。

    そのことを危惧すると、どうしても嫌な考えが頭に浮かぶ。



    俺もそうなってしまうのかと。
    コイツにとって、俺も過去になってしまうのかと。

    145 = 47 :

    折木「………………」ナデナデ

    える「あ、あの、折木さん……」

    折木「何だ?」ナデナデ

    える「その、いつまで私の頭を……?」

    折木「あぁ……すまない」サッ

    える「あっ……」

    折木「どうした?」

    える「あ……いえ、何か考え事をされていたんですか?」

    148 = 119 :

    耳元で折木さんの声で「殺すぞ」なんて言われたらおしっこちびるわ

    149 = 47 :

    考え事………まぁそう言えなくもない。

    折木「そうだな………これからについて考えていた」

    える「これから……ですか?」

    折木「ああ。
       俺のことと………お前のことだ」

    える「えっ、ええっ!!?」

    千反田は風のようだと、そんなくだらないことを考えていた。
    好奇心の赴くままにさすらうつむじ風。
    いつの間にか俺の灰色の砂漠を吹き抜けた南風。

    える(わ、私と折木さんのこれから………
       ど、どういう意味ですか!?)


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