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元スレあずさ「プロデューサーさんを落としてみせます!」
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私と、プロデューサーさん。
ふたりの間に、大きくて重たい沈黙が訪れました。
ざあざあと水が流れる音と、うるさいくらいに高鳴る心臓の鼓動だけが……、
この海の底のような世界を彩る全てです。
あずさ「……」
P「……」
こ、こんなつもりじゃなかったんです……。ああ、こんなところまで占い通りだなんて……!
あずぷらでは、もっとこう、ロマンチックな感じで告白するつもりだったんです~!
だって、人生で初めての告白です。まだちゃんと、好き、だとは言っていませんけど……、
いくら鈍感なプロデューサーさんとは言え、これはさすがに……。
P「は、はは! あ、あああずささんにとっての浦島太郎かー! いいですね、それ!」
あずさ「えっ」
※ あずぷら:あずさプランのこと
P「俺も、もう少し早く765プロに来ていれば、あずささんをこの手で乙姫さまにしてあげられたんだけどなー!」
あずさ(まさか、ここまで来て、まだ気付いていないのかしらー……?)
P(さすがに、もう気付いています……! なのに、俺って奴は……!)
ホッとしたような、残念なような……。もう、どこまで鈍感なんでしょう、この人は~。
だけど、これはまだチャンスがあるってことですね。
自分から告白するというのは、私の理想とは少し違うんですけど……、
きっと、この人には直接言わないとわかってもらえません。
私は変わったんです! 運命の人は、自分で掴み取るんだと~!
あずさ「ぷ、プロデューサーさん! お、お話があります!」
P「ひゃいっ!」
あずさ「そ、その、私! プロデューサーさんのこと……、す、すす! すすすす……」
P「……」
あずさ「すきやきとか、どうですかっ。今日のご飯っ」
変わっていませんでした~!
― りょうゆめ編 ―
涼「……あ、夢子ちゃん! 遅れてごめーん!」
夢子「おっそーい! 待ち合わせ時間、とっくに過ぎてるっ!」ニマニマ
ここで突然ですが、先ほど会った夢子ちゃんの様子を覗いてみることにしましょう。
夢子ちゃんも、やっぱり今日は涼ちゃんとデートだったみたいですね。
ふふっ、夢子ちゃんったら口では怒ってるみたいですけど、顔はニコニコを隠しきれていません。
涼「そ、そんなこと言ったって……、台風で電車遅れてたんだからさ」
夢子「もうっ! ……ほ、ほら、さっさと行くわよ」ギュ
あら? 勇気をだして、腕を組んだみたいです~。
夢子ちゃんはなんでもない顔してるけど、やっぱり内心ドキドキみたい。
涼ちゃんもまんざらでは無さそうだけど……、たぶんこれは、その好意に気付いてる感じではありませんね。
男の子ってみんなこうなのかしら……。
そうそう、言い忘れていましたけど、夢子ちゃんは涼ちゃんに片思い中なんです。
もう随分前のことですが、オールド・ホイッスルという音楽番組で……。
と、そこまで喋ると長くなっちゃいそうですね。
涼「どどどどうしたの、急に」ドキドキ
涼(とんでもない量のむ、胸が当たってるんだけどー!!)
夢子「うううるさいわね、男でしょ!? これくらいのことでガタガタ言うんじゃないわよ!」ドキドキ
とにかくいろんなことがあって……。当時とても落ち込んでいた夢子ちゃんのことを、
涼ちゃんがぜーんぶさらっと助けてあげたのでした。ふふふ、あのときの涼ちゃん、とってもかっこよかったわー。
夢子(涼はふだん、女の子ばかりの事務所にいるんだから……、これくらいしないと……!)
あの頃、そんなことがあったのがきっかけで、夢子ちゃんは涼ちゃんのことが気になり始めたんだそうです。
以前から私のことを慕ってくれていた夢子ちゃんは、こっそり私にだけ教えてくれました。
私たちの最近の話題は、もっぱらお互いの片思いについてですね。
涼(うーん……、何を喋ったらいいか、わかんないなぁ……)ドキドキ
夢子「……さっきから目そらしちゃって。そんなに嫌だっていうの?」
涼「ぜ、全然嫌じゃないよ! いや、仲良くなれて嬉しいなーと思って」
夢子「……~~! ……ふへへ」ボッ
涼「愛ちゃんや絵理ちゃんが見たら、驚くだろうなぁ……」
夢子「……そーね (な・ん・で! そこで他の子の話をするのよ~~!!)」ムッ
涼「……夢子ちゃん。……もう僕たち、そろそろ……」
夢子「……え? な、なによ……?」
夢子(も、もしかして……うそ、そんな、急に!?)ドキドキ
涼「立派な、友達同士って言えるよねっ! 親友って言ってもいいくら――
夢子「ばかぁーっ!」バチン
涼「ぎゃおおん!!」
涼「な、なんで叩かれたのぉ……」ヒリヒリ
夢子「知らないわよっ、そんなの!」プイ
涼「なんかわかんないけど……、ごめんね?」
夢子「……ごめんなんて、いらない。涼はゼンゼン悪くないんだから。わ、私が……」
涼「……夢子ちゃん?」
夢子「私こそ、そ、その……ぶったりして……ご、ごめ……」ウルウル
涼「……」
涼「……僕の方こそ、ごめんなんて、いらないよ。ほら、拭いてあげる」ゴシゴシ
夢子「!? なに、いきなり……、や、やめてよ……」
涼「だって、夢子ちゃんが泣いてるなら、前みたいに僕はこうして……」
夢子「いつの話よっ! それに泣いてないーっ!」
涼「なにかあったの? いつもよりなんか……、素直というか」
夢子「……なんもないわ。ていうかそれ、失礼じゃない?」
夢子(ただちょっと……、お姉様を見て、私も頑張ろうかなって思っただけ……)
涼「あはは、ごめんごめん……、じゃあ、そろそろ行こっか」ニコ
夢子「……うん。ほ、ほら! さっさと好きなところ連れていきなさい!」ニマニマ
そのあと、外に出るまで今日は大雨だということをすっかり忘れていた夢子ちゃんは、
しょんぼりしながら涼ちゃんの腕を放して、ぷりぷり顔で傘を差したのでした。
相合傘をする勇気までは無かったようです……。ふふ、私と一緒ね……。
……と、不思議な力で見れていた映像もここでおしまい。
私たちはもうすぐ、プロデューサーさんのお家に着きます。もちろん、夕ご飯をご馳走してあげるためです。
私も頑張らないと~……。
―――
――
―
とんとんとんとん、と小気味の良い音を立てて、包丁がまな板の上で踊っています。
お鍋の中では、ひき肉とタマネギたちがキャベツのベッドで眠っているようです。
今夜のメインディッシュはロールキャベツです。おいしいですよね~、ロールキャベツ。
カロリーのことは……、今日は気にしないことにします。
そうそう、すきやきができる大きさのお鍋は、プロデューサーさんのお家にはありませんでした。
だからさっきの提案は却下されてしまいましたね。でも、すきやきのことは今はいいんです。
むしろ忘れたいです~……。
あずさ「いっつも~のばっしょで~♪ 会えたらいいね~♪」トントン
P「……」グゥウ-
プロデューサーさんのお家にお邪魔してから早くも四時間が経ち、夕ご飯はようやく完成しそうです。
時間かかり過ぎですか? ちょっと丁寧にやりすぎたかしら……。
あずさ「で、でえででできました~!」
P「そ、そそそうですか! じゃあ俺、食器並べますね~!」
……あの水族館での出来事があってから、私たちはこんな風にギクシャクしてしまっています。
いつもみたいに目を見てお話しないと、とは思っても……、プロデューサーさんの目を見ると、
なんだか胸が高鳴ってしまい、うまく言葉を紡ぎだすことができないのでした。
P「い、いただきます……!」
あずさ「めしあがれ~……」
どこか緊張した空気の中、まるで最後の晩餐のような雰囲気の食事です……。
いまだに何を話したらいいかわからなくて、上手に声をかけることができません。
けれど……、ひとつだけ、どうしても聞きたい言葉がありました。
私はこの日のことを、ずっと想像して……、ずっと、期待していたんです。
プロデューサーさんから、たった一言だけでもいいから、“あの言葉”が欲しい、と思っていたんです。
私は、意を決して顔を上げました。
その言葉がほしくて、「あの、」と私が彼に問いかけようとした瞬間――
P「おいしいです、とても」
……この人は、いつもそうです。
私が欲しいと思った瞬間に、欲しいと思った言葉をくれるんです。
気が付けば、さっきまでの緊張も解けて……、私たちは笑い声をあげながら、同じ空間を共有していました。
食事が終わり、後片付けも終わり、他愛のないお話で談笑して……、とうとう、帰らないといけない時間がやってきました。
夢にまで見たデートとお食事は、想像していたみたいな素敵なことばかりではなかったけれど……、
それでも、私はとても幸せな気持ちでいっぱいでした。
だけど……、プロデューサーさんとは、今日はここでお別れしなければなりません。
P「ご馳走様でした、最高においしかったです。……本当に、送っていかなくていいんですか?」
あずさ「……はい」
きっと、ギリギリまで一緒にいたら……、離れたくなくなってしまうから、私は一人で帰るんです。
そして明日から、私はまた……、竜宮小町の、アイドルの三浦あずさに戻ります。
……もう少し、もう少しで、今日この日が終わってしまいます。
P「……」
あずさ「……そ、それでは。また、あした~……」
あずさ「……このーさかーみちーをー……、のーぼーるーたーびにー……、ふふ、ふふふ……」
いつしか雨は止んでいたけれど、黒いペンキでデタラメに塗りたくったような空には、月は浮かんでいませんでした。
今日は新月。お月様すらも、こんな私のことなんて見ていません。
そんなひとりぼっちの夜道を、私はトボトボと歩いていました。
あずさ「……やっぱり」
やっぱり、本当は、イヤです~!
だって、私はまだ、プロデューサーさんのことを落としていません……。
言わなきゃいけません、伝えなきゃいけません……!
もう一度、あの人の家に戻って、
この想いを……!
……と、強く決心し、歩いてきた道を振り返ったところで……、
がばっ! と何かが私の頭を覆い、急に視界が悪くなってしまいました。
あら~? これは~……。
あずさ「わ、私の傘~?」
P「……忘れ物ですよ。それに、あずささんを一人にして迷子にさせるわけにはいきません」
あずさ「ぷ、プロデューサーさん……!」
P「あずささん、そのまま後ろを向いたまま……、聞いてください」
あずさ「……は、はい」
こうしてあなたの差し出す傘の中に入っていると、あの日のことを……、
初めて、あなたに出会った日のことを思い出してしまいます。
プロデューサーさんは、あれからずっと……、いつだってそうですね。
いつだって、道に迷った私のことを、一番に見つけ出してくれます。
P「……実は、今日のうちに、あずささんに言わなきゃいけないことがあるんです」
あずさ「……ふふ、奇遇ですね。私にも、実はあるんです。できれば、今日のうちに……」
……実際には今日じゃなくても、いいんです。でも、できれば今日がよかったんです。
あのメールで約束した瞬間から、ずっとずっと……、今日は、運命の日なのかも、と思っていたんです。
今年のこの日は、今までの人生でいちばん大切な――に、したかったんです。
P「……あずささん、これを受け取ってください」
そう言って、プロデューサーさんは背後から腕を回し、私に何かを手渡しました。
綺麗に包装された、細長い紫色の小箱……これは?
P「俺は、絶対に今日じゃないとダメだと思っていました。だって、今日は――」
今日は……、七月の、第三木曜日。つまり……、
七月十九日。
P「今日は、あなたの誕生日だったから。渡すのが遅くなって、すみません」
あずさ「……!!」
P「誕生日、おめでとうございます、あずささん」
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