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    元スレあずさ「プロデューサーさんを落としてみせます!」

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    みんなの評価 :
    タグ : - あずさ + - アイドルマスター + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    151 = 139 :

    いおりんは大天使だからな

    152 = 112 :

    いおりんりん!

    153 = 1 :


    (……あずささんが、寝ている。俺の太ももを枕にして……、つまり膝枕だ)

    あずさ「……すぅ、すぅ……」

    (……疲れてるのかな、あずささん)

    あずさ「……zzz……」

    (やっぱりそうだよな。竜宮小町はいまや大人気ユニットで、毎日大忙しだから)

    「……」

    あずさ「……むにゃむにゃ……ふろりゅーさーさぁん……」

    (……かわいいな。やっぱり俺は、初めて見たときから、この人のことを……)

    「……」ナデナデ

    あずさ「……ん~♪……」サラサラ

    (つい無断でまた髪を撫でてしまったが、なんだこれ……。信じられないくらい柔らかでさらっさらだ)

    「……」

    あずさ「んふふ……、だいしゅきぃ……」

    (……な、撫でられるのが好き、ってことだよな。うん……)ドキドキ

    154 = 141 :

    今気づいた
    ちーたんが足りない

    155 = 1 :


    ―――
    ――


    律子「――ささん! ……あずささん! ほら、もう起きてください!」

    あずさ「……あら~? 律子さん、どうして私の部屋に~?」

    伊織「この短時間の睡眠で、よく寝ぼけられるわね……」

    ……どうやら私、気が付いたら少し眠ってしまったみたいです。
    気が付いたら眠る、っていうのも変な日本語ですけどね~。
    まだ少し眠いわ……。最近じゃ、毎日八時間しか眠れていませんでしたから。

    「八時間寝れば十分だと思いますが……。普段どれだけ眠るんですか」

    あずさ「ふふっ、最高で二十時間ほどー……あら? プロデューサーさん、どうして私の上に~?」

    目をぱっちり開けて首を上に向けると、そこにはプロデューサーさんのお顔がありました。
    不思議ですね……、どうしてあなたがここにいるんでしょう?
    でも、なんだか落ち着く良い匂いがして……、また眠くなってきました~。

    あずさ「あぁ……、あずさ、なんだか幸せ~」ギュー

    「……そ、そうですか」

    156 = 139 :

    これは非常にいいものだ

    157 = 99 :

    しえん

    158 = 1 :


    ところで、ここはどこでしょう? 事務所みたいに見えるけれど……。
    あ、あらあら~? 私は、何を枕にして眠っていたの?

    あずさ「……!」ガバッ

    「……おはようございます」

    あずさ「お、おはようございます。あずさでしゅ」

    …………や、やってしまいました。
    私は、プロデューサーさんに膝枕をしてもらっていたみたいです。
    どうりで夢の中で、彼がたくさん出てきたんですね……。

    160 = 41 :

    >>159
    半年ROMってくる

    161 = 1 :


    「……あの、そろそろ出発だって律子が」

    あずさ「は、はい……、その、ごめんなさい」カァアア

    「いえいえ、いいんですよ! (こっちもあずささんの寝顔が見れて眼福だったし)」

    あうあう、恥ずかしいわ……。穴掘って埋まってしまいたい気分ですぅ……。
    でもやっぱり……、とっても、ほんわかふわふわな気分になってしまう自分がいました。
    いけない、いけない……、また眠気が~……。

    「ずいぶんぐっすりでしたね……。その、いい夢、見れましたか?」

    あずさ「はい~。プロデューサーさんと、いっぱい、お喋りできたんです~」トローン

    「えっ」

    162 :

    P!代われ!

    163 = 1 :


    律子「それじゃ、行ってきますね! 留守をお願いします」

    伊織「ほらあずさ、いい加減しゃんとしなさいよ」

    あずさ「は~い」トローン

    亜美「レッツゴー!」

    「い、行ってらっしゃ~い」

    ガチャ……バタン


    「……さ、さぁて仕事仕事……」

    小鳥「……プロデューサーさーん?」ニヤニヤ

    「なんですか、音無さん。俺は今から仕事人間になるんですよ」キリッ

    小鳥「前に、春香ちゃんからのメールを見せてくれましたよね? 今度はあずささんからのメール、見せてくださいよ」

    「……いやです」

    小鳥「ふふ、そう言うと思ってました♪ あずささんからのメールは、やっぱりトクベツなんですか~?」

    「お、音無さんも仕事してください、仕事!」

    小鳥「いい加減素直になっちゃえばいいのに~」

    165 = 1 :


    ―――
    ――


    その夜……。
    ベッドの上で、私は枕を抱きしめながら、今日の出来事を思い出していました。
    普段はかなり早めに寝る私なのに、なんだか目が冴えてしまって眠れません。
    毎晩の習慣となっているプロデューサーさんへのメールも、今日ばかりはお休みです。

    あずさ「……ぷ、プロデューサーさんに……、膝枕してもらっちゃった……」ドキドキ

    あんなどきどきなことがあったけれど……、
    不思議と私は今日、最高のパフォーマンスでステージに立つことができました。
    たくさんそばにいたせいか、すぐ近くに彼がいるような気がして……、とてもリラックスできたのです。

    あずさ「……やっぱり私、あなたのことが好きすぎます~……!」バタバタ

    166 = 1 :


    約束の日まで、あとわずか。
    その日はデートをする日であり、手料理をご馳走する日であり。
    そして……、きっと運命の日、になります。

    果たして私は、それらをちゃんと上手にこなせるでしょうか。
    プロデューサーさんに少しでも近づくことが、できるでしょうか?
    私は、彼を落とすために……、前進できているのでしょうか。

    不安は募ります。だけど同じくらい、幸せな気持ちでいっぱいです。
    あなたに恋をして、あなたとの日々を夢に描いて、
    ときには、胸の奥に複雑な気持ちが生まれるときもあるけれど……。
    あの人のことでいろんなことを考え、悩むのは……、いまの私にとっての、生きがいなのです。

    でも、とりあえず……、今日はもう……、

    あずさ「おやすみなさい、プロデューサーさん……」

    168 = 1 :


    ― 恋のきっかけ編 ―

    運命の日……、というには少し大げさかもしれませんが、とにかく……。
    プロデューサーさんとのデートを翌日に控えた今夜。
    いくつかの小包が置かれた部屋の中で、私はベッドの上に横たわりながら、
    初めてこの恋心を抱いた時のことを思い出しました。

    今から一年前の春……。
    あの日は朝から、しとしとと雨が降っていていました。
    そして私は、相変わらず迷子になっていたのです……。

    ―――
    ――


    『……雨に濡れてしまいますよ、傘の中に入ってください』スッ

    あずさ『あら……。す、すみません~……』

    『三浦あずささんですね?』

    あずさ『は、はい……。でも、あなたは……、どなたですか?』

    『俺は、――って言います。今日から765プロに勤めるプロデューサーです』

    あずさ『まぁ……、それじゃああなたが、噂のプロデューサーさん……。ふふっ、みんな期待してますよ~』

    『まぁ、まだ誰もプロデュースしていないし……、アイドルと顔合わせしたのも、あなたが最初なんですけどね』

    169 = 1 :


    あずさ『……私を、プロデュースしてくれるんですか?』

    『いや、あなたはもう竜宮小町のメンバーだからなぁ……』

    あずさ『それなら、ほっといてください~……』

    『そういうわけにはいきません。さあ、行きましょう。えっと……、律子さん、たちが待っているはずです』

    あずさ『私なんかより、他の子たちを……』

    『……社長と音無さんにも言われました。律子さんに任せておけばなんとかなるから、と。でも……』

    『困ってるアイドルがいて、それを無視するなんて……、俺の理想のプロデューサー像とは違います』

    あずさ『……』

    『……それに、泣きそうな顔した女の子をほっとくなんて、尚更できませんよ』

    170 = 105 :

    ほすわくわく

    171 = 1 :


    かつての765プロの活動方針は、今とはちょっぴり違っていました。

    社長『はっはっは、アイドル諸君の自主性にまかせるよ! ん~自由にやってくれたまえ!』

    という社長のお言葉のもと、基本的には、アイドルが自分で自分のスケジュールを管理し、
    レッスンやオーディションなどを行っていたのです。今の876プロと似たような感じですね。
    プロデューサーはいるにはいたのですが、千早ちゃんの専属として彼女と一緒に海外を飛び回っていたために、
    私はほとんど顔を合わせたことがありませんでした。

    社長『ウォッホン……。正直、すまなかったね……』

    ですが、やっぱりそれでは限界があったみたいで……。
    高木社長のお顔の広さもあってか、当時ある程度の知名度を獲得していた私たちでしたが、
    段々とその雲行きが怪しくなってきていたのでした。

    このままのやり方で続けても、芸能界で生き残れるのは、きっと千早ちゃんだけ……。
    そこで、それまでの方針をばっさり変えてしまいましょう~! となって、
    765プロ専属の新プロデューサーの起用が決定されたのです。律子さんはその一人目ですね。

    律子『……千早はもう凄すぎて、私の手には負えないわね……あの人もいるし。となるとメンバーは……』ブツブツ

    律子さんプロデュースの新ユニット企画“竜宮小町”は、765プロの今後を占う重要なトリオなのでした。
    でも……。

    173 :

    このあずささんならビンタされたい

    174 = 139 :

    175 = 99 :

    しえん

    176 = 1 :


    事務所の存亡をかけて結成されたユニット“竜宮小町”がデビューするまで……。
    それまではみんな、ずっと一緒でした。でも、こうやって(もちろん幸いにも、ですが)、
    竜宮小町がユニット単位で注目を集めてランクを上げていくにつれて……、それができなくなっていたのです。

    あずさ『私は、本当はさみしいんです……』

    本当は、もっとみんなと同じペースで、一緒に楽しくお仕事がしたかったんです。
    律子さんとも、まだまだ一緒にステージに立っていたかったし……。
    私が竜宮小町に入ると決めたときに決心したはずの、覚悟したはずの気持ちは、
    その日ばかりは……、春の雨と一緒に流されてしまっていました。

    その日は、もう一人の新人プロデューサーさんがやって来る日。
    もっともっと、私の知らない風に……、765プロが変わっていっちゃう。
    私は、それが怖かったんです。ふふっ。今思うと、とってもマイナス思考ですね~。

    『……あずささん。俺にまかせといてください』

    でも、この人は……、出会って間も無く、愚痴を聞かされたのにも関わらず……。
    雨の中で迷子になっていた私を一番に見つけてくれた、プロデューサーさんは……、
    こんなことを、私に言ってくれたんです。

    177 = 15 :

    >>147
    >>148
    ワロタwww

    178 = 1 :


    『大丈夫です。俺の手で、みんなまとめてトップアイドルにしてみせます!』

    『竜宮小町にも負けないくらいに……、全員、誰も残さずキラキラさせてやります』

    『だからあなたは、何も気にしないでいい。すぐに追いつかせて、隣に立たせてみせます』

    『そしたら……、またみんな一緒にやれますよ。俺にまかせといてください!』

    あずさ『プロデューサーさん……』キュン

    この出来事をきっかけとして、私はプロデューサーさんのことが少しだけ気になり始めたのでした。
    そして、いつしか……、このとき芽生えた小さな恋心は、こんなにも……。
    私の中で、大きな存在になっていたのです。

    プロデューサーさんに恋するアイドルは、765プロの中に何人もいます。
    私にだってそれくらい、わかります。でも、誰にも負けたくありません。
    争い事なんて、私はほんとはスキじゃないです。でも……、これだけは譲れません。
    だって、他でもない私が……、いちばん最初に彼に出会い、彼に惹かれたのですから。

    179 = 1 :


    ― デート!!編 ―

    『プロデューサーさんを落としてみせます!』

    と、お酒の力を借りて宣言してから、はやくも二ヶ月弱が過ぎました。
    あの頃まだほのかに香っていた春の匂いはとうに去り……、
    いまではもう、目の前に迫った真夏の気配をこの肌で感じています、あずさです~。
    ついに運命の日がやってきてしまいました~……。

    あの宣言の日から、今日この日まで。たしかに短い期間ではありますが、私は……、
    人生で最も深く、最も真剣に、自分の気持ちと向き合ってきたつもりです。

    ここでもう一度、宣言します。今度は酔ってもいなければ、ノリでもありません。
    真剣そのもの、純度百パーセントのあずさで、ここに誓います~!

    あずさ「今日こそ、プロデューサーさんを落としてみせます!」

    律子「きゃー」パチパチ

    小鳥「すてきー」パフパフ

    お二人とも、真剣に聞いてください~……。

    180 = 1 :


    そんなお二人に見送られながら、私は事務所をあとにしました。うふふ、嘘ですー。
    本当は、迷子になるといけないからと、待ち合わせ場所まで律子さんに車で送ってもらったのでした。
    律子さんには本当に、何から何まで……、最初から最後までお世話になりっぱなしね。

    律子「いいんですよ、気にしないでください。私は、あずささんのプロデューサーなんですから」

    あずさ「ふふっ。プロデューサーって、そんなことまでするお仕事なのかしら?」

    律子「……私も、誰かさんみたいになりかけているんでしょうね。まったく、悪影響もいいとこですよ」

    そう言った律子さんの顔には、柔らかな微笑みが浮かんでいました。
    私も、それにつられてニコニコ。いつでもニコニコしてますけど、これは特別なニコニコなんです。
    亜美ちゃんや真美ちゃん風に言うなら、CHO→ニコニコと言ったところですね~。
    ……でも不思議なことに、私の頬には一筋の涙が流れていたのでした。

    あずさ「私のまわりには、大好きな人がたくさんね……。律子さん、ありがとう……ぐすっ」

    律子「ふふふ。感謝も涙も、戦いが終わってからですよ! それじゃあ、健闘を祈りますっ!」

    185 = 1 :


    律子さんと別れてから、私は携帯電話で占いを見ながらプロデューサーさんの到着を待っていました。
    ……どうやら今日の運勢は、それほど良くないようです。
    「予定通りになると思うなよ」とはっきり書かれていました……。

    あずさ「……み、見なかったことにしましょう……。でも、気になる~……!」

    「あずささん! 遅れてすみません、待ちましたか?」

    占いの結果にもんもん? としていると、ようやく待ち人が現れました。
    ずいぶん急いで来たようで、せっかくの綺麗なお洋服が汗でべったりです。
    ……せっかくだから、ここで憧れの台詞でも言ってしまおうかしら?

    あずさ「ううん、私も今来たところなのっ♪」

    「それって憧れるほどの台詞なんですか……じゃあ、行きましょうか」

    そうして私たちは、歩き始めたのでした。この……、


      ザザー……

           ビュオォオオ……


    悪天候の中を……。今日は台風、真っ盛りです~。
    ある意味、夏の気配をびしびしと感じられますね。主に湿気で。
    もう、なんで今日に限って、こんなお天気なのかしら……。

    186 = 1 :


    そんな事情もあり、デートは正直……、今風に言うと、ええっと、ぶっちゃけ?
    とにかく、散々なものでした。そもそも、外を歩いていられるような環境じゃないんですから。
    占いの結果、的中ですね~……。

    あずさ「ぷ、プロデューサーさーん? どこですかー?」

    「あずささん! くそっ……、雨で前が見えない! 見失ったら、おしまいだ……!」

    こんな台詞が、悪ふざけでもなんでもなく出てきてしまうのはなぜ~?
    激しい雨のせいでしょうか、それとも単に、私が三浦あずさだからでしょうか……。
    いずれにせよ、私は、心の中では泣きたい気持ちでいっぱいなのでした。
    だって、プロデューサーさんとする初めてのデートだったのに……、こんな仕打ち、あんまりです。

    「……どこか、室内で楽しめる場所を探しましょう。水族館とかどうですか?」

    あずさ「……は~い。……でも、せめて」

    「どうしたんですか?」

    あずさ「ま、迷子にならないように……その、手、手とか……」ボソボソ

    「……?」

    あずさ「……な、なんでもありませんっ」プイ

    188 :

    服がぴったり張り付いてエロいはず

    190 = 1 :


    夢子「……まったく、涼のやつ……、今日に限って……」ポロ

    「おや……、お嬢さん、真っ白なハンケチーフを落としましたよ」スッ…

    夢子「あ、すみません。ご親切にありがとうございます……って、お姉様!?」

    あずさ「あら、夢子ちゃん。こんにちは~」

    夢子「こんにちは! 偶然ですね、でもここで会えて良かったです!」

    水族館へ向かう途中、駅の構内で偶然夢子ちゃんに出会いました。
    なんだかぷりぷりしていたみたいだけど、何かあったのかしら?
    今日はいつもよりおめかししてるみたいだし、これはひょっとして……。

    192 :

    穴にでも埋まるか?

    193 = 1 :


    夢子「……そういえば今日だって言ってましたもんね、デート。ということは、この方が……」ボソボソ

    あずさ「……そう。その、プロデューサーさん、よ」

    夢子「…………」ジロジロ

    「な、なんでしょうか……」

    夢子(この人が、お姉様がいつも話してる、例のプロデューサーさん……ふぅん)

    夢子「いえ、なんでもないです! ……お姉様。ついに今日、あの夢を叶えるんですか?」ボソボソ

    あずさ「……そ、そうね。そのつもりなんだけど~……」ボソボソ

    (何やら内緒話をしているようだけど……、聞き耳を立てないほうがよさそうだな)

    194 = 1 :


    夢子「……それじゃあ、あんまりお邪魔しても悪いので……。私はこれで失礼します!」

    あずさ「ええ、夢子ちゃんも頑張ってね~」フリフリ

    今会った女の子は、桜井夢子ちゃん。ええっと、所属事務所は……、あら、どこだったかしら?
    とにかく、私のことをお姉さんのように慕ってくれる、とっても素直でいい子なんですよ。

    「生で見たのは初めてでしたね……。あれが桜井夢子か、相当実力持ってるオーラだったな」

    あずさ「ふふ、とっても頑張り屋さんですから~」

    プロデューサーさんも、夢子ちゃんのことは話で聞いたことがあったようです。
    以前の芸能界では、彼女はちょっとウワサになっていましたからね~……。
    でも今は、夢に向かってひた向きに努力する……、私の大切な、妹ちゃんです。

    「ルックスもかなり良いときた……。ふむ、噂通り本当に……だとしたら……」ブツブツ

    あずさ「……ええ、そうですね~……、かわいいですものね~」ムッ

    「……他の事務所に取られる前に、どうにかうちの専属に……って、ぃててて!」

    あずさ「もう、プロデューサーさん~!」

    「な、なんでひょうか……」

    あずさ「……そ、そんなに、他の子にばかり……、み、見とれないでください……!」カァアア

    (かわいい)

    196 = 1 :


    ―――
    ――


    そんなこんなでたどり着いた水族館の中には、あんまり他のお客さんがいませんでした。
    でも、それはそうですよね。今日は普通の人にとっては平日ですし……。
    こんな大雨の中わざわざ外に出かけるのは、よっぽど今日この日じゃないといけない、必死な人たちだけです。
    そう。たとえば、私みたいな……。

    あずさ「竜宮城って、ありますよね。私、あのお話だいすきなんですよ~」

    「浦島太郎と、乙姫さまのですか?」

    あずさ「ええ。なんだかあの話、とってもロマンチックだと思いませんか?」

    薄暗い館内に飾られた大きな水槽と、眠そうな目をしたお魚さんたちを眺めながら、
    私たちは竜の住む宮について思いを馳せていました。

    197 = 99 :

    しえん

    198 = 1 :


    あずさ「気が付いたら、数百年も過ぎていたなんて……。二人は本当に、心から愛し合っていたんだな、って思います」

    私は、乙姫さまではありません。そんなに素敵な存在では、決してありません。
    それでも……、大好きな人と一緒にいたら、時間が早く過ぎてしまう。
    その気持ちだけは、痛いほどよくわかります。

    あずさ「でも、私が乙姫さまの気持ちがわかる、なーんて言ったら失礼ですね」

    「……それは、どうしてですか?」

    あずさ「ふふっ。だって私は……、ただの、竜宮城で歌って踊る、ひとりのアイドルですから~」

    「……あずささんは、とても綺麗ですよ。乙姫さまと言ったって、間違いじゃない」

    あずさ「まぁ……、お世辞でも、うれしいです~。それならプロデューサーさんは、私にとっての太郎さん、ですね♪」

    「えっ」

    199 = 1 :


    私が乙姫さまで、プロデューサーさんが浦島太郎さん。略してプロ太郎さんですね。
    そしてふたりは、永遠の時間をまるで一瞬のように過ごすんです! なーんて……ふふっ。
    想像するだけで、素敵だわ~。

    ……あら? どうして、プロデューサーさんは妙な顔をしているのかしら?
    まるで、不意打ちで告白をされた、みたいな……。

    あずさ「あ、あらあら~?」

    「あの、えーっと……」

    あずさ「……ぁ」ボン

    ……さすがの私でも、今のは理解してしまいました~。
    浦島太郎は、乙姫様のなんでしたっけ? 大好きな人って、私は言いましたね。
    それで、プロデューサーさんは私のことを乙姫さまだって言ってくれて。
    私は、“それなら”プロデューサーさんは太郎さんだって言って……。

    あずさ「な、なんだかぷ、プロデューサーさんのことを好きって言ってるみたいに聞こえますね~! うふふふふ~!」

    「あ、あずささん落ち着いて……。キャラが変わってます」


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