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元スレあぎり「ソーニャが、死んだ?」
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――昼休み、学校の屋上。
ソーニャ「………」
私は備え付けのベンチに腰掛けて、少し古い型の携帯電話を耳にあてていた。
相手は組織の仲間だ。 当然、会話の内容は仕事の話。
???『……って感じで、こっちは上手く行ってますー』
ソーニャ「ああ……」
???『急な仕事だったけど、簡単だったから。 そのぶん、給料は安いんだろうけど……』
ソーニャ「…………」
???『……聞いてる?』
ソーニャ「ん? ああ、ごめん」
ちゃんと聞かなければいけないのに、どうも気が抜けてしまう。
最近はいつもこうだ。
???『まったく、あなたがそんなんでどうするんです?』
ソーニャ「……わかってるよ」
???『はあ……慣れないことしてるから、疲れてるんじゃないですかー』
ソーニャ「……?」
???『折部やすな……でしたっけ? あの子の何が良いのか……』
ソーニャ「……余計な詮索はするな」
???『はいはい』
ソーニャ「…………」
???『……まあ、ごっこ遊びもいいですけど、早めに本業に戻ってねー』
???『これ、あなたが頼んだ依頼なんですからね? 給料払えないとか、勘弁ですよ』
ソーニャ「……わかってるって、なんとか暇を作ってみるよ」
???『ならいいけど……じゃあね』
電話が切れた後も、私はしばらく携帯を耳にあてていた。
単調な電子音を聞きながら、少し考え事をする。
……私だって、わかってる。
慣れないことを、無理してやってることくらい。
でも、簡単にやめるわけにはいかない。
これは、私が始めたことだ。
やすな「……ソーニャちゃーん! 買ってきたよー!」
ソーニャ「……あ」
気がつくと、入り口のあたりにやすなが立っていた。
高く振り上げた手の先には、頼んでいた缶ジュースが握られている。
やすな「いやっふー……って、あれ?」
ソーニャ「おい、炭酸なんだからあんまり振り回すなよ!」
やすな「うん……」
ソーニャ「あーもう、見るからに膨らんでるじゃないか……」
やすな「…………」
ソーニャ「……? どした?」
やすな「……そ、ソーニャちゃん、それ……」
やすな「誰から、電話?」
ソーニャ「あ……」
ソーニャ「……ちょっと、仕事」
やすな「えっ……」
胸元へ寄せられた小さな手から、漫画みたいに缶ジュースが滑り落ちる。
さっきまで騒いでいたのが嘘みたいに、やすなの顔は青ざめていた。
ソーニャ「……なんだよ、なんか文句あるのか?」
やすな「だっ、だって! ついこの前……」
ソーニャ「言っておくが、もう二度とあんなヘマはしないからな」
足元に転がってきたジュースを、一度蹴りあげてから空中でキャッチする。
ちょっとした曲芸だが、やすなは何も反応しなかった。
……こんなことでは、気を逸らせないみたいだ。
やすな「そんなこと言っても……! 信用できないよ!」
ソーニャ「……あ?」
やすな「だって、いつもそうやってプロぶってたじゃん!」
やすな「……でも、全部嘘だった!」
ソーニャ「お前、喧嘩売ってるのか?」
やすな「本当のこと言ってるだけだもん! ……私にはそうやって威張ってるくせに」
やすな「この前の……あんな、あんな大怪我して! あんなに、長く学校休んで……」
ソーニャ「…………」
やすな「ソーニャちゃんなんて……ザコじゃん! ザコ! ざーこ!」
ソーニャ「……いい度胸だなお前」
やすな「ふん、ザコソーニャちゃんなんてもう怖くないもん! バーカ!」
ソーニャ「…………」
やすな「そんな弱いんだったら、もう殺し屋なんてやめちゃえ! じゃないと……ぶはっ!?」
さんざん振られた上にかどが凹んだ炭酸ジュースを、一息に開栓する。
追加で降るまでもなく、勢い良く噴出した中身がやすなの顔面を直撃した。
やすな「いっ……ったー!! 目がああっ!!」
ソーニャ「…………」
やすな「あああああ……ってやめて!? 残りをまんべんなくふりかけないで!!」
ソーニャ「捨てたら勿体ないだろ?」
やすな「だったら飲んでよぉ!!」
ソーニャ「飲めるかこんなもん!」
やすな「うう……ひどい……びしゃびしゃだよ……」
ソーニャ「……はっ、これくらいですんで良かったと思え」
やすな「うええ……ソーニャちゃんのばかあ……」
ソーニャ「馬鹿はどっちだ……じゃあな、そろそろ休みも終わるし、先に戻ってる」
やすな「待ってよぉ……行かないでよぉ……」
ソーニャ「べたべたくっつくな! こっちまでベタベタするだろ!」
やすな「うう……だって……」
やすな「ソーニャちゃん……死んじゃうよぉ……」
ソーニャ「……っ!」
やすな「そしたらやだよ……寂しいよ……」
ソーニャ「ばっ……馬鹿! そんな簡単に死ぬか!」
やすな「死ぬよ!」
ソーニャ「死なない!」
やすな「死ぬもん!」
ソーニャ「……死なないって言ってるだろ!」
やすな「ひっ……」
ソーニャ「…………」
やすな「…………」
ソーニャ「……悪かったよ、ちょっとやりすぎた」
やすな「……うう」
ソーニャ「ほら、これで顔拭け」
ハンカチを差し出すと、やすなは素直に受け取った。
ひとしきり騒いで、流石に落ち着いたらしい。
ソーニャ「……着替えあるか?」
やすな「今日、ジャージ持ってきてない……」
ソーニャ「……仕方ないな、私の貸してやるよ」
やすな「ほんと!?……なんか優しいね」
ソーニャ「厳しくして欲しいのか?」
やすな「してほしくないです!」
ソーニャ「……じゃあ先に行ってろ、私は代わりのジュース買ってから行くから」
やすな「私の分も買ってくれるの!? わーい!」
ソーニャ「おい、誰がそんなこと……おい!」
ソーニャ「……って、もう居ないし」
まあ、元気が出たならよしとしようか。
そんなことを考えながら、ジュースの缶を拾って屋上を後にする。
ソーニャ「…………」
……あんな顔をするなんて、思わなかった。
たかだか仕事の電話一本で。
あんなに……心配しているなんて。
???「まあ、それだけ愛されてるんですねー……ソーニャさんは」
ソーニャ「?……なんだ、居たのか」
???「ええまあ。 ちょっと予行演習でもしようかな、と思って」
ソーニャ「じゃあなんでわざわざ電話したんだよ?」
???「邪魔しちゃ悪いでしょ?」
ソーニャ「…………」
いつの間にか背後に立っていた長髪の女子生徒は、
まるで服装を自慢するように、その場でくるりと一回転した。
???「……どう? 似てます?」
ソーニャ「……ああ、完璧だ」
???「お褒めに預かり光栄です……」
???「……まあ、あなたほどじゃないと思いますけどねー?」
ソーニャ「やめろよ、聞かれてるかもしれないだろ」
???「大丈夫、もう教室に行ったみたいですよ」
ソーニャ「……そうですか」
???「……ちょっと、本物と見比べてもいいですか?」
ソーニャ「はいはい……」
同僚のしつこい誘いにはうんざりするが、物を頼んでいる身だ。 あまり大きな態度はとれない。
それに、どうせもうすぐ取り替え時期だ。
私はその場で、顔にかぶっていた薄いマスクを剥ぎとった。
あぎり「……心配しなくても、ちゃんと私に見えてますよ」
同僚の忍者は、人を小馬鹿にしたような顔で笑った。
偽あぎり「……それは良かった♪」
……私って、こんなに腹の立つ顔だったんだなあ。
………
―― 一ヶ月ほど前、自宅。
あぎり「……え? ソーニャが死んだ?」
組織から仕事の説明を受けている最中に、私は彼女が死んだことを聞いた。
ほんの、世間話のような感覚で。
上司「ああ、仕事中にドジったらしい」
あぎり「ドジったって……あの子が、そんな」
上司「確かにあいつは腕が良かったが……敵には事欠かない奴だったしな」
あぎり「はあ……それは、確実なんですか?」
上司「死体は俺も確認したよ、あれは間違いなく本人だ」
上司「元々、お前みたいに器用な真似が出来るやつでも無いし」
あぎり「…………」
彼女とは、ちょっとした知り合いだった。
会えば軽く話したり、時々仕事を手伝ったり。 いくらでもいる知り合いの一人。
もちろん、殺し屋の同僚にもそんな相手は居たし、仕事柄死んでいった者も少なくはなかった。
そもそも、明日の生死もわからないような職業の人間は、あまり深い人間関係を作りたがらないものだ。
それは私も、彼女も同じだった。
同じはずだった。
……その知らせを聞いてから一週間後くらいだったか。
私は正直、ソーニャのことを少し忘れかけていた。
あの時あれを見なければ、そのまま忘れてしまっていたかもしれない。
それとも、いつかは見るはめになったのかな。
私はソーニャを介して、彼女ともちょっとした知り合いだったから。
――放課後。 ソーニャの机がある教室の前。
本当にたまたま通りかかって、たまたま教室のドアが開いていた。
そしてたまたま、そっちの方を見ながら通りすぎようとした。
そこで、彼女の背中を見た。
彼女は自分の机に腰掛けて、隣の机をじっと見つめていた。
もう一週間くらいになるだろうか。
いきなり失踪して連絡がとれない友達が、座っているべき机。
自宅の場所も知らない彼女が、唯一待っていることができる場所を。
帰ってくるはずもないのに。
彼女は、じっと見つめていた。
その時、私が何を思っていたのかは……まだ考え中だ。
不憫に思ったんだろうか。 それはらしくないし、単なる悪ふざけだろうか。
流石に、そこまで外道になったつもりはないけど……
じゃあ、やっぱり何か、思う所があったんだろうか。
とにかく、私はソーニャの姿を完璧に真似た。
リアリティを出すために、体中に包帯まで巻いた。
変装は大の得意分野だった。 バレるはずもなかった。
実際、今の今まで、一度も怪しまれなかった。
でも、私は2つ体があるわけではない。
私がソーニャを演じるということは、呉織あぎりがいなくなったのと同じことだ。
簡単な分身の術や、集団催眠の術や、出席簿書き換えの術を使えば、周りには怪しまれないですむ。
しかし、私と彼女とソーニャが、一堂に会するような事態は話が別だ。
だからそんな時は、同僚の忍者に私の代役を頼み込んできた。 もちろん有料で。
あの同僚も、内心では私を嘲笑っているんだろうか。
もう、一ヶ月くらいになるのかな。
私はいまだに、その馬鹿げた茶番劇を続けていた。
というより、やめられなかった。
誰かと深く付き合っていれば、当然昔のままでは居られない。
私もきっと、彼女に何かの影響を受けてきたんだろう。
だから、やめることはできない。
……彼女に初めてソーニャの姿で接したとき、どんな反応が帰ってきたか?
それは、だれにも教えたくない。
特に理由は無いけれど、自分の胸の内にしまっておきたい。
そう答えたら、同僚ははっきりと、声に出して私を笑った。
………
――――――――――
形意拳、というのがあるんだ。
中国の拳法で、それぞれ動物を模した十二形拳を……
何? 動物のモノマネ?
……アホっぽい?
ま、まあ、素人にはそう見えるかもしれないけどな。
こう見えても結構強いんだよ。 本当だよ?。
なんてったって、その使い手である私は、今まで任務を失敗したことが無い。
あの……なんとかって金髪の殺し屋も、確実に殺ったはずだ。
……はずだったのに。
なのに、なんだあれ?
すぐ目の前の道を。
あの金髪ツインテールが。
バカそうなお友達と一緒に、今日も元気に歩いてるじゃないか。
失敗した? そんなはずは無い。 でも奴は生きてる。
他人の空似? 影武者か? ……どちらにしても、簡単な解決方法は一つ。
もう一度殺す。 単純なことだ。
そうと決めたらさっさと行動に移ろう。 今すぐ追いかけて、息の根を止めよう。
……というわけで、私はその二人の後をつけることにした。
え? 私の名前? ……うるさい、殺し屋が簡単に言うわけないだろ!
――――――――――
………
やすな「……ねえソーニャちゃん、聞いてる?」
ソーニャ「……? ああ、なんだっけ?」
やすな「なんだっけじゃないよ、ちくわぶの話だよ!」
ソーニャ「ちくわ……」
ソーニャ「この暑いのに、おでんの話か?」
やすな「……ちくわぶは家の犬の名前だよ」
ソーニャ「……えっ?」
やすな「ほら、ソーニャちゃんも一度会ってるじゃん……」
ソーニャ「……そうだったっけ」
やすな「もう、しっかりしてよー」
ソーニャ「…………」
――べつの日。 通学路。
私は彼女と一緒に、他愛もない話をしながら下校していた。
彼女はいつものように、自分の身の回りのことを熱心に話している。
やすな「それがさ、この間半分になったすずめをくわえてきてさ……」
ソーニャ「ふーん……」
やすな「そういうのって猫だけかと思ってたけど、犬もやるんだねー」
ソーニャ「そう……」
……だけど、どうにも集中できない。
「本物」だけが知っている情報の存在に冷や汗をかきながらも、
私の意識は、背後の電柱、もっと言えばその裏に潜んでいる何者かに向けられていた。
……はっきり言って、奴の尾行は絶望的に下手だった。
存在を隠せていないのはもちろんのこと、視線や足音までもれなく伝わっている。
隣の彼女に気付かれていないのが奇跡のようだ。
しかしおそらく、この無能な殺し屋こそが……ソーニャの仇だろう。
ソーニャの死後、私はその相手についてできる限り調べていた。
情報によれば、奴は非常に高い身体能力を持った拳法家で、格闘戦では右に並ぶものが居ない。
つまり殺し屋としての技術は未熟だが、一旦補足してしまえば確実に仕事を成功させられるのだ。
たぶんソーニャは、奴を返り討ちにしようと思ったのだろう。
腕のいい殺し屋ほど、その選択肢をとるに違いない。
その結果、自分が返り討ちにあってしまった、ということだ。
それなら、私は違う方法をとれば良い。
ソーニャ「……あっ」
やすな「? どしたの?」
ソーニャ「教室に、ちょっと忘れ物したみたいだ」
やすな「……そうなの?」
ソーニャ「ああ、走って取ってくるから、悪いが先に帰っててくれ」
やすな「えっ……」
私はその場で振り返り、来た道を走って戻った。
奴が隠れている真横を通りぬけながら、その姿を一瞥する。
腰に上着を巻きつけた、バカそうな少女だ。
……なんだか嫌いになれない顔だな、と少し思った。
―――――――
あいつはすました顔でこっちを見ると、そのまま学校の方へ走り去っていった。
あのままついていって、人気のないところまで来てからとどめを刺すつもりだったのに……
おそらく奴も、それに気付いたんだろう。
放課後と言っても、学校にはまだたくさん人が居る。
その中に逃げ込まれれば終わりだ。
いくら私が強くても、人目につく場所では暴れられないからな。
……まあ、そうなる前に追いつけば良いだけの話だ。
追いかけっこには自信がある。
それにしても、私の尾行を見破るとは……相当やるな。
―――――――
――再び通学路。 そろそろ学校が見えてくる頃合いかな。
もう5分くらいになるか、ずっと走り続けているけど、未だに後ろの気配は消えない。
これでも全速力で、追いかけにくい場所を交えながら逃げてるつもりなのに……
屋根をつたっていけば塀を壊し、人ごみを抜ければ一般人をなぎ倒し、水上を走れば川を飛び越える。
馬鹿ではあるけど、能力の高さは本物だ。
工夫と回り道をしなければすぐに追いつかれていただろう。
でも、これで考えが決まった。
これくらいで誤魔化せる敵なら放置しても良いと思ったけど、それは無理らしい。
なら対応は一つ。
返り討ちだ。
―――――――
走り始めてから……どれくらいたったっけ。
色んな場所を走り続けて、自分が今どこを走っているのかもわからなくなってきた。
それなのに、奴は一向に戦おうという意思を見せない。
一度負けたから、私のことが怖いんだろうか?
まあいい。 いつまでも逃げていられるわけがない。
私と体力勝負しようなんて甘いんだよ。
実際、あいつと私の距離はだんだん縮まっている。
あと一回でも減速すれば、瞬時に詰められる距離だ。
つまり……次の曲がり角。
あれを曲がれば、全部終わり。
今回も仕事達成だ。
あーあ、走り回ってたら、なんだか腹が減ってきた。
これが終わったらカップ麺でも買って帰るか、っと。
奴の姿が塀の向こう側に消える。
カップ麺の前に、最後の仕上げだ。
私は速度を落とさずに、むしろ足に力を込めて、一気に塀を飛び越えた。
こういうのは気分がいい。 鳥になったみたいだ。
いつまでも楽しんで居たいけど、そうもいかない。
私は両足を揃え、アスファルトの地面に着地する。
そして一息に振り返り、あのすかした顔に渾身の一撃を……
あれ?
奴が居ない。 影も形もない。
飛びすぎたか?
慌てて振り向くと、そこには長い黒髪の女子高生が居た。
私に驚いたのか、ぽかんとした顔でこっちを見ている。
が、奴の姿は見えなかった。
前にも後ろにも居ない。 上にも下にも右にも左にも居ない。
消えた……? まさか。
私は近くにいた女子高生に声をかけてみることにした。
「おい! さっきここを、金髪の女が走っていかなかったか?」
「え? 金髪の……?」
「ああ、ツインテールの、目付きの悪い……」
「はあ……それなら確か、あっちの方に……」
そいつは眠そうな目をぱちぱちさせて、奴が元々目指していた方角を指さした。
どうやら、まだ学校に向かっているらしい。
こんなに足が速いなんて……まんまとやられたな。
「そうか……助かった、じゃあな!」
「いえいえ」
私は女子高生に軽く礼をして、奴が走り去っていった方に足を向けた。
そして全身の力を込め、地面を蹴って、
何をしたのか、自分でもわからなかった。
なぜか、頬に冷たい感触がある。 アスファルトに押し付けているみたいだ。
じゃあ私は倒れているのか?
それを確認しようにも、目の前は真っ暗だ。
まぶたを開けても、閉じても真っ暗だ。
耳も聞こえないし、それにつられたみたいに、三半規管も意味が無い。
上も下もぐにゃぐにゃになって、自分の姿勢すらわからない。
何が起きた? あいつに殺られたのか?
でもあいつは居なかったはずだ。 そもそもちゃんと殺したはずだ。
じゃあなんで?
まあいいか。 もう終わったことだ。
私は結局、一回も仕事を失敗しなかった。 そういうことにしとこう。
そう考えると、なんだか気分がいい。 鳥になったみたいだ。
これからは、いつまでも楽しんで居られるのかな?
ああ……でも。
どうせなら、お腹いっぱいで死にたかったな。
―――――――
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