元スレ勇者「狩人に魔法使いをNTRれたんだよ!」まおう「えぇ!?」

みんなの評価 : ☆
1 :
アレの第2部です。 避難所→http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1328706227/
――――――――――
勇者「あぁ……もうダメだ……」
まおう「勇者さま……どういう事なのですか……」
勇者「都市までの中継オアシスが全部枯れてるなんて思わなかったんだよ……」
まおう「水……水が欲しいです……」
勇者「腹も減ったけどベーコンなんて食べる気しねえぞクソ…………ちくせう……」
まおう「うぅっ」ドサッ
勇者「どうした馬鹿野郎座り込んで……」
まおう「もうやですぅ……」ぽろぽろ
勇者「なっ! お前泣く余裕あったのかよ! 水、水、涙だろうが水には変わらんっ」
まおう「こ、こんにゃ時にどこ舐めてるんですっ!」
勇者「馬鹿、こんな時じゃなかったらお前の涙なんか好きで舐める訳がないだろうがぺろぺろ」
まおう「あっ、ふぁっ、ふぅぅ……」
2 :
勇者といえばマイトガイン
3 = 1 :
勇者「うぇ……涙ってしょっぱかったんだな……」
まおう「だから何で舐めたのです……」
勇者「俺ってば涙の味が分かるほど泣いた事ないからな……そういうのは先に言ってくれよまおう……」
まおう「そんなむちゃな……」
……!
勇者「おい、あれ蜃気楼じゃないよな」
まおう「全部滲んで見えません……」
勇者「ったくとことん使えないなぁ。よし……ちょっと本気で目を凝らして……見えた! 人がいるぞ!」
まおう「と、いうことは……!」
心は完全に躍っていたが、もう両手を振って感性を上げるほどの元気は全く残っていなかった。だからどうしたのかと言えば――
勇者「フー! フー!!」
まおう「うー! うぅー!」
ただひたすら足を上げるために唸り声を立てつつ、肌を焼く日差しの中砂漠を抜けるしかなかった。
4 :
待ってました
5 = 1 :
砂漠の国 首都 門の前
案内人「おやおや、外来客とは有りえない」
勇者「そこは“珍しい”とかだろうが……!」
案内人「普通はそうなのですが、2ヶ月前から首都以外のオアシスがほとんど枯れてしまいましてね。
旅団向けには警告が出ていたはずなのですが」
勇者「つべこべ言わずに水を寄越せ……」
案内人「仕方のない方々ですね……と言いたいところですが、
この街に来る人は大抵開口一番に水をくれと言うので、ここに蛇口があるのですよ」
勇者「だからつべこっ――うっ、おえっ」
案内人「ああ胃液戻してだらしない。しかし本当に危なかったとは……これは大変失礼しました」
まおう「早く水をお願いします……」
6 = 1 :
―――……
勇者「ったぁぁ――ッ! 生き返った」
まおう「はぁ……私、まだ生きていたんですね」
案内人「やー先ほどは失礼失礼。書簡を届ける旅団がサプライズでもしているのかと思って」
勇者「なんで男と子供2人がゲロってるの見て旅団と勘違いするんだよおかしいだろ!」
案内人「あはは……まぁ正直な話、オアシスが枯れてから個人の外来客はゼロですからねぇ」
勇者「そりゃ来ようと思った個人がどっかでくたばってるからだろうが……」
案内人「そんな不幸な旅人が居ない事を祈りますよ。まぁぶっちゃけ、白骨化しても砂に埋もれるでしょうから解りませんけどね」
勇者「(なんでこんなチャラいんだよ……)じゃ、水どうも。街中は勝手に入って良いんだよな」
案内人「ええ、また砂漠に突き戻すような鬼畜な真似などしませんから」
まおう「なんですかこの人……」
7 = 1 :
―――……
勇者「どうにか生き返ったな」
まおう「勇者さまが私をぺろぺろし始めた時は本当にやばいと思いましたよ」
勇者「は? 何言ってるのお前暑さで頭やられた?」
まおう「(記憶から消そうとしてる!)な、何言ってるんですか勇者さま!」
勇者「とりあえず水の次は甘いものが欲しいな……あの店にでも入ってみるか」
8 :
あれか
9 :
わーい
10 = 1 :
小売店 店内
勇者「割と涼しいなここは」
まおう「何だかひんやりしますぅ」
店主「お、お気づきかい兄ちゃんに嬢ちゃん」
勇者「(妙に馴れ馴れしいなこの国の人……)まぁ不思議だと思って……自然魔法じゃこんなこと出来ないはずだし」
店主「これはクーラーと言って、まぁ仕組みは俺にもよく解らないんだが……
とにかく、部屋の熱を消して冷たい空気に換えてくれる装置なんだ」
勇者「それはすごいな。冷静に考えたら、オアシスがほとんど無くなってるのにここで暮らせるのは、そんなアイテムがあるからなのか」
まおう「どうなってるのでしょこれ」
勇者「涼しければいいさ、ここは涼しさこそ正義」
?「あら、聞いたことがある声だと思えば」
勇者「お? ……んー……えっと……」
11 :
もの字相変わらずつまんないな
12 = 1 :
まおう「誰です? またパーティーのメンバーです?」
勇者「そう、パーティーの……うーん何だったかな」
召喚士「ちょっと名前忘れないでよ! たとえあんたのに忘れられるとね、それはそれで傷つくのよ!」
勇者「ああ召喚士じゃねえか! 何かアカ抜けた格好だから気付かなかったぞ」
召喚士「それって褒めてるの? パーティーに居た時みたいな私のローブ姿を馬鹿にしてるならぶっ飛ばすわよ」
まおう「勇者さまになんて言葉づかいです!」
召喚士「あら、あんたこっちの趣味にも目覚めたの」
勇者「まるでもっと変な趣向があるみたいな言い方だな! 期待に副えなくて悪いが全部違う」
まおう「そうですよ! 勇者さまはかっこよくて素敵なんです! たまに殴ったりしてきますけど!」
13 = 1 :
召喚士「うわぁ……なんだか身の毛もよだつわ」
勇者「そんなんじゃねえよ召喚士! まおうもこういう時だけ無駄にしゃべってんじゃねえよ」ぎゅむむ
まおう「痛たたたたた!」
召喚士「どうせろくな理由もないでしょうけど、こんな街に何の用なの?」
勇者「なんでお前に聞かれなきゃ……別に、俺は故郷に帰るためのルートを順々に」
召喚士「はぁ? あんたの故郷ってここからまだめちゃくちゃ距離あるじゃない!」
勇者「最初は転送魔法で行こうとしたけど……それがこいつを連れていくとなると無理だったんだよ」
召喚士「あんたそんなにレベル足りてないの? なんなら私がバシッと飛ばしてあげるけど」
勇者「その言葉の限りだと悪意しか覚えんな。
絶対変なところに飛ばされそうだし……でも無理だよ。そういう次元の話じゃねえ」
召喚士「ふーん……でも私には関係ないし」
14 = 1 :
勇者「聞かずにおくのもなんか気持ち悪いからいうけどさ、
召喚士こそなんでこんな陸地の孤島みたいな場所にいるんだよ」
召喚士「教えられない。ただ、遊びじゃないとだけは言っておくわ」
勇者「ほー、そうか」
まおう「ねえ勇者さまっ、もう行きましょ、また私がサブみたいな扱いのまま進むのはやですよう」
勇者「そういう事だ。じゃあな召喚士」
召喚士「はいはいさよならさよなら」
バタム
店主「へぇ、あれが元勇者ねえ」
召喚士「どう? 私の言った通りパッとしなかったでしょ。
かといって似合わないとも言い切れないのが私としてはムカつくんだけどね」
店主「でも、俺が案内人の連絡を受けて電話をしたら、ものすごい速さでうちに来たじゃねえか。
やっぱり気になってるんだろ、元仲間として」
召喚士「……そりゃ、短い付き合いじゃないし。でも勘違いしないでよね、私が気になってるのはパーティーメンバー全員なの」
店主「はいはい解ってます解ってます」
召喚士「あーもう鬱陶しい! そーゆー言い方やめなさいって何度言えば解るの!」
15 = 1 :
―――……
勇者「あー……ジュース買い忘れたけど、なんかもう店に入りづらいな」
まおう「何大声で話してるんですかね……」
俺自身、召喚士の事が気にならないわけじゃなかった。
もちろんパーティーメンバーとの再会という意味もあるが、
俺はあの旅の時に知りえなかった話を知っている。どう話せばいいか、余計に解らなくなった。
民宿主「1泊1290ゴールドになります」
勇者「……しょうがないか、はいちょうどで」
民宿主「あ、子供料金含めまして2050ゴールドになります」
勇者「あぁ!?」
まおう「……足りないです」ごそごそ
16 = 1 :
まおう「……足りないです」ごそごそ
民宿主「お金が足りないなら申し訳ないですが……」
勇者「……まおう、ちょっと前へ。それと耳を貸せ」
まおう「はい……ったた! つままなくてもいいじゃないですか! っと……はい、はい」
民宿主「……?」
勇者「はいどうぞ」
民宿主「お客さん、冷やかしなら――」
まおう「あ、あの……」
民宿主「御嬢さんもいったい何を……」
まおう「おかね、ないんです……」上目使い
民宿主「うっ……く、子供を使うとは卑怯……!」
17 = 1 :
勇者「俺は(勇者だから)時には悪魔だって地に頭をつけさせて服従させるからな」
民宿主「っく……では……しかし……」
勇者「(よし! うまく行きそうで……!)」
召喚士「あーすいません、昨日まで連泊で泊まってたんですけど、新しく今日も泊めてもらえないですか」
民宿主「! もちろんですどうぞどうぞ、ただお部屋がもう1つしか空いてございませんので……」チラッ
勇者「何ぃ……!」
召喚士「フフン」
18 = 1 :
勇者「……追い出されたようなものだな。手段も大概汚かったけど」
まおう「あの人嫌いです! 涼しい顔して勇者様にちょっかい出し続けるのですから!」
勇者「は? ちょっかい?」
まおう「え、私何か変なこと……?」
勇者「いや……ただ俺の事が嫌いで嫌がらせしてるんだろうと……」
まおう「勇者さまは優しいですね……優しすぎて罪深いくらいですよ」
勇者「あー……罪深いと言えば、お前が居るせいで宿を取れなかったな」
まおう「私のせいですか!?」
勇者「そうだぞ。魔王の直系に当たる娘が勇者に全て養ってもらってるなんて聞いたら
お父さんは泣いて悲しむぞ。歴史も泣く」
まおう「じゃあ私どうすれば……」
勇者「そう途方に暮れたような顔をするな。そんなお前にとっておきの場所へと連れてってやる」
19 = 1 :
―――……
酒場マスター「うむむ……仕事ねぇ」
勇者「どうにかなりませんかね」
まおう「勇者さま、この人は?」
勇者「どこの酒場でも大概仕事を斡旋してくれるんだ。
情報がよく仕入れられたり、そういうのを求めて出入りする人間も多いからな」
酒場マスター「しかしお兄さん、最近は君の知っている通り中継のオアシスも枯れ果て、
人間の出入りも希薄になってしまった。出来る仕事も出来なくなっちゃってるのさ」
勇者「そうですか……元とはいえ、この勇者が路肩で寝ることになるなんて……」
酒場マスター「ん……今勇者とおっしゃいました?」
勇者「いかにも」
酒場マスター「なら……あなたのような方に頼める仕事が1つあります」
勇者「まぁやるのは俺じゃないんだけどね」
酒場マスター「へ?」
まおう「え?」
20 :
あー、あの魔法使いがクソビッチで自爆するだけの話を無駄に長々と続けてたアレか
21 :
>>11
この辺りだこれだ
これからです
もう少し時間が要ります
22 = 11 :
>>20
ラノベワナビスレでも痛い子扱いの自称もっぴーちゃんが立てたスレだから仕方ない
23 = 1 :
砂漠の街 東口大井戸の底
まおう「ひぇぇ……真っ暗で何も見えないです」
勇者「そりゃ井戸用に掘られた穴だからな。むしろランプとかの設備がある方がおかしい」
酒場マスター「ご覧のとおりこの井戸は枯れ果ててます。北口と西口の井戸も同様に1敵も残っておらず、南口も虫の息です。
このままではいずれ全ての水が枯れ、街の人は死を覚悟します。オアシスが残っているならともかく
こんなジリ貧では街にとどまるしか選択肢はありませんから」
まおう「何とかできないのですか?」
酒場マスター「占い師さんによると、この洞窟の奥に水源枯渇の原因があるそうなのです。
その証拠と言ってはなんですが、実際に奥へと言った冒険者の半分は帰ってこず、
また半分は重傷を負ったのちに死んでしまいました。きっと恐ろしい魔物が……」
勇者「でも魔王が死んだおかげで、魔物の力そのものは劣っているはずだろ?」
酒場マスター「それは我々もある程度承知していたつもりでしたが、やはりうまくは行かないようです……どうかお願いします、まおう様!」
まおう「だから何で私なんですかー!」
24 = 1 :
勇者「何度も話しただろ。お前が稼いでくれないと旅が成立しない訳だし、それに戦えないとずっと俺が面倒見ることになるんだぞ」
まおう「勇者さまに面倒見てほしいです……」
勇者「悪いがそんな言葉でグラつく程あったかい親心は持ち合わせていないからな」
まおう「本当の気持ちなのにー!」
勇者「とにかく、戦えるようになってほしいともうのは本当だ。お前の安全のためにな」
まおう「勇者さま……」
勇者「さ、気分も整ったところで行け」
まおう「あぁーやだやだ怖い!」
勇者「ったく……ほら、俺が動けない代償に魔法石からリアルタイムで映像と声を送受信できるようにしておいた。
これを首にでもぶら下げておけ」
まおう「本当に……これで見ていてくれるのですか?」
勇者「疑ってんのかこら」
まおう「違いますよぅ! い、行ってきます!」
25 = 1 :
たったったっ……
酒場マスター「良いのですかあんな子供に任せて」
勇者「臨んで戦えるところから始めないと、後々面倒だからな」
酒場マスター「それは勇者様の経験から……と言う事でしょうか」
勇者「そんなんじゃない。この世じゃ当たり前の事だ」
26 :
ふむ
27 = 1 :
井戸道ダンジョン
まおう「うぅ……灯りは火の魔法で出せるけど、むやみに出すと私が死んじゃうからなぁ」
クケケケケ クケケケケ
まおう「ひぅぅ!! 何ですか誰ですか何なんですか!」
―――……
勇者「こりゃ酷いな」
酒場マスター「いくらなんでも厳しすぎますよ。今からでも助けに行ったらどうですか」
勇者「お、映像がきたか。どれどれ」
まおう『勇者さま勇者さま! 怖いです助けて!』
勇者「どう怖いかさっぱり解らんぞ。せっかく映像取り込めるってのにお前の顔面がどアップされても腹立つだけだ」
まおう「違うんんですよぉ! こっちからコウモリがうぎゃあああああっ!!」
酒場マスター「……本当に大丈夫なんですか」
勇者「死にはしませんよ。普通の子供ならねじ切れるぐらいの強さで首絞めても、息苦しくなる程度だし」
酒場マスター「あなたもあの子も何なんですか……」
28 = 1 :
―――……
まおう「何だか道がすごく広くなってきました」
勇者『様子はどうだー?』
まおう「魔物は出ますけど、鳴き声を上げるだけで襲ってはきませんよ!」
勇者『やーいからかわれてやんの』
まおう「そんなことないですよーっ!!」
酒場マスター『あんた本当に勇者なの?』
ひた……ひた……
まおう「あ、水滴が」
酒場マスター『まだ水源が残っていたんですか!』
まおう「……岩の表面は結構湿ってるので、残っている可能性はあるかもです。
でもこの辺に水たまりはありませんね」
酒場マスター『そうですか……』
29 = 1 :
勇者『でもよ、マスターが1滴も水が残ってないって言ってたのなら、
今まおうが居る場所ってもう危険な場所っていう事になるよな』
まおう「ふえっ!?」
酒場マスター『そうですね。私が見に行けた範囲に水はありませんでしたから』
まおう「ええー!」
勇者『では頑張っていただきたい』
まおう「勇者さまぁー!!」
30 = 1 :
まおう「うぅ……本当に怖い魔物が出たらどうするんですか……」
ヒタリ……ヒタリ……
まおう「ひぎっ、変な音が……足音、人の足音……勇者さま来てくれたのですかーっ!」
だきっ
召喚士「……何ですかこの子」
まおう「はっ、あなたは昼の悪女」
召喚士「誰が悪女だごるぁ! ……んでも何でこのガキがここに」
まおう「その呼び方は勇者さまにしか許してません! 私はまおうですよ! 頭が高いですよ!」
召喚士「はいはい魔王さま、ここは危険なのでお帰り下さいまし」
31 = 1 :
まおう「わ、私は……私は! 勇者さまに頼まれて、
ここに棲んでるって言う悪者を倒しに来てるんです!」
召喚士「え、あなたもここに仕事で来たの」
まおう「もちろんです」ムフッ
召喚士「あなたもあなただけど勇者も勇者ね……歳場も行かない子をこんな所に」
まおう「まだ私の事子供だと思ってる!
私はもう100歳超えてるんだから! あなたより先輩だし!」
召喚士「ったくうるさいわね。壁に響いて耳障りなのよ。静かにしてくれる?」
まおう「こっちのセリフです!」
召喚士・まおう「ふんっ!」
33 = 1 :
―――……
勇者「さっきから魔法石が反応しねえ」
酒場マスター「安全に進んでいるならともかく、既に行動不能になっていたら……」
勇者「それはないって」
酒場マスター「そういう事にしておきましょう」
34 = 1 :
―――……
召喚士「それにしてもあなた……ここに何が居るのか解って来ているの?」
まおう「みんなが倒せなくて困っている魔物が居るって聞きましたよ」
召喚士「それって……自分なら倒せるって言ってるようなものじゃない。意味分ってるの?」
まおう「当たり前ですよ。そうじゃなきゃこんな怖いところ、意味なく来るはずないですし」
召喚士「なんかウッザ……自分までバカをしに来たみたいで頭おかしくなる」
まおう「あなたこそここに何をしに来たんですか」
35 = 1 :
召喚士「多分あなたと同じ仕事よ。ここに棲んでるっていう魔物を倒しに来たの。街の命運がかかってるだけに給料もすごいからね」
まおう「私も勇者様と一緒の宿に泊まるために頑張っているのですよ! また横取りする気ですか!」
召喚士「い、一緒の宿って! ……いや、変に考えすぎたわ私……そんな事ないない」
まおう「何を言ってるのです……?」
召喚士「あぁもうかみ合わないわね! 私とあなたは関係ないのだから付いてこないでちょうだい!」
まおう「だって1本道だし、1人はこわいからぁ……」
召喚士「……勝手にしなさい」
36 = 1 :
まおう「ずいぶん来ましたね」
召喚士「そろそろ何か起きてもおかしくは――っは、後ろに何か!」
まおう「ふえ? きゃあっ!!」 ザシュッ
「ミギャアアア」
召喚士「ち、小さいとはいえサンドドラゴンを一撃で……
しかも瞬時に顕現させたダークブレード……本当にあなた何者なの?」
まおう「だからまおうって言ってるじゃないですか」
召喚士「魔王……その、本当に?」
まおう「魔王は私のお父さんです。私はその娘であるまおうです。頭が高いですよ」
召喚士「それはもういいから。……でも死んだって言う魔王の娘を勇者が連れているとは……全然流れがくみ取れないわね」
37 = 32 :
さるよけ
38 :
続きか
39 = 1 :
まおう「色々あったのですフフン」
召喚士「ああムカつく殴りたい!」
まおう「やですよー、私に触れていいのは勇者様だけですから」
召喚士「あ、こら、置いていくな、1人にするな」
まおう「あれぇ、今なんて言いましたぁ?」
召喚士「はっ」
まおう「ぶふふ、ふふ」
召喚士「もぉぉ……! 怒った! 全然しつけが鳴ってない! そこに直りなさい!」
まおう「えへへあなたにはどうこう言われたくないですしーふふん」
グルゥォォ……
40 = 1 :
グルゥォォ……
召喚士「へっ?」バキッ
まおう「ちょ、あのどうしt――」
「ムゴォォアア―――ッ!!」
まおう「これが主……! デカい……!」
砂竜「グウゥゥゥ……!」
まおう「大丈夫ですかっ!」
召喚士「あなた……この暗い中なにが居るのか見えるの……?」
まおう「人よりは目が良いつもりですから」
召喚士「そう……しかし不意を突かれたわね。
生憎だけど私、近接戦闘はからっきしなの。任せていいかしら」
まおう「……わ、わかりました」
41 = 1 :
砂竜「ミギャァオオオ!」
巣のために掘られたような巨大な空間。そこには15メートルはあると見える砂竜が唸り声をあげていた。
重く鋭い鳴き声は、耳を劈き腹の底を突く。
まおう「とりあえずダメージを与えないと……それ!」
まおうは無意識に黒い大剣を呼び出し、それを手に持って振るう。
砂竜「フシャァァ……」
その切っ先は竜のスネあたりを掠めた。身体を構成している砂が地面へ飛び散るが、
すぐに再生されたのち、地面にある砂を取り込んで完全に元通りとなる。
まおう「再生系の魔物は厄介です!」
召喚士「再生……? じゃあ、コアとなっている部分を一気に叩くしかないわよ」
まおう「でもどうやって……?」
42 = 1 :
召喚士「通常生物に類似している魔物なら、基本的に心臓にコアが集まっているはずよ」
まおう「でもあんな高いところに登れないです……」
砂竜「ギシャァァ!!」
まおう「わっ、くっ!」
まおうに敵対心を持ったのか、砂竜は器用な尾をなぎなたの様に振るいまおうを叩く。
彼女は必死に防御するが、一方的すぎて反撃の機会を窺えない。
召喚士「どうすれば……は、そうだ! まおう! あなたの剣って自由自在に顕現できる?」
まおう「あっ、私の剣は――くっ! 自在に使えますけど、魔族の力を持つ者が手にしていないとすぐに消えてしまうんです!
それに私の魔力を消費している訳ですから、人間に持たせたらどれ程の力を吸うか判らないですよ……!」
43 = 1 :
召喚士「それだけ聞ければ充分よ……! 物理で恋を召喚するわ、後ろに下がって!」
まおう「はいっ!」
デコイ「おぉぉん」
まおう「な、何ですかこれ」
召喚士「いいからこっちに来て、デコイで気を逸らしている内に陣に入って!」
まおう「は、はい!」
描かれた魔法陣の上に魔王が立つと、召喚士は背後から寄り添うようにして彼女の体に触れる。
まおう「こんな時に何やってるんですか!」
召喚士「いいから! ダークブレードの出力、どのくらいまで出せる?」
まおう「え、限界ならこの穴に収まらない程にできますけど……でも私が持てないから意味ありません」
召喚士「そんな事ないよ。……で……の……だから、デコイが消滅した時が合図よ」
まおう「そんな事成功するんですかぁ!?」
44 = 1 :
召喚士「出来なきゃとっくに逃げてるわよ、ほら消えた! さぁ行った!」
まおう「もう、知りませんからね! ほぉりゃめいっぱ大きくなーれっ!!」
まおうの呼び出しに応え、空中に巨大な黒剣が出現する。しかし剣はすぐに消えかかってしまうが――
召喚士「擬態巨人、複製召喚! まおう、私にあなたの魔力を託して」
まおう「まかせたっ!」
まおうの手から召喚士の身体を通し、膨大な魔力が召喚された巨人へと送られる。
ただの擬態しか能力のなかった巨人は、あっという間に魔族の力を宿す戦士へと成り変わった。
召喚士・まおう「いっけぇぇ――――っ!!」
巨人「ウォォォ――――ンッ!!」
剣が一振り、それは砂竜を脳天から真っ二つにした。
辺りに散った砂がすぐさま体を再生しようとしたが、呼び戻す力の根源である心臓は、両断されたのちに黒く凝り固まり、そして動かなくなった。
45 = 1 :
まおう「たお……した……?」
召喚士「反応はもうないわ……無様な姿はどうなってるの?」
まおう「全部砂に戻ったみたいです……でも何だか、魔物の反応じゃない――変な音がします」
召喚士「変な音? 確かに……ごごごって……」
……ゴゴゴゴゴゴゴ――――プシャァ
まおう「水! 水ぅぅ!」
召喚士「へ、あなた何言ってわぷっ!?」
46 = 1 :
勇者「おい何か変な音しないか」
酒場マスター「何か大きなものが走ってくるような……
お連れの方々が急いで戻ってきてるのでしょうか」
勇者「さすがにこんな音は……ザッパーン?」
酒場マスター「あ、あ、あれ! あれ!」
勇者「あぁなんだ水かよ。……とぅあッ!?」
47 = 1 :
それから2時間後……
勇者「ようやく井戸周りの水が引いたな……」
酒場マスター「他の大井戸も調節作業が終わったようです。いやいやこれほどまでに水が溜まっていたとは」
まおう「はぁ……」
召喚士「ひぃ……」
勇者「ずいぶん疲れてるのな2人とも。なぜか召喚士は先に井戸へもぐってたみたいだし」
召喚士「私は別のところで仕事の依頼を受けたのよ……先払いでちょっと貰えたから、あの宿で休んでから潜ったって訳……」
勇者「それに、なんか2人も仲良くなったみたい」
まおう「何を言ってるんですか……」
召喚士「そんな訳ないでしょ……」
勇者「垂れたまま手ぇ繋いじゃって」
召喚士「っさいわね……いちいちそんな事言うからあんたはモテないのよ」
勇者「へいへいそうですか……」
48 = 1 :
―――……そして翌日
勇者「さて、そろそろ行きますか」
まおう「はい、準備整いました!」
召喚士「よーいしょっと。荷物もおっけー」
勇者「よし…………おい」
召喚士「へ?」
勇者「ナチュラルに混じってんじゃねえよ」
召喚士「何よ細かい事を。私ももうこの街には用がないから出ていくだけよ」
勇者「おう、そうか」
スタコラスタコラ
勇者「後ろにぴったりくっついてんじゃねえか!」
召喚士「……いいじゃない、別についてっても」
勇者「これ以上面倒増えたらたまんねえっつうの」
49 = 1 :
まおう「良いんじゃないですか勇者さま。負担が増えるのだったら、その分は召喚士さんに持ってもらえばいいですし」
勇者「……そうだな。砂竜討伐の報酬半分もらったんだからな」
召喚士「幼い顔して抜け目のない事を……まあしょうがないわね。
私1人で行くのは不安だから、付いて行かせてください……これでいいでしょ」
勇者「結構結構。んで、お前はどこまで行くつもりなんだ?」
召喚士「海の国よ」
――砂漠の国 了――
50 :
単発が云々
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