元スレ岡部「鈴羽を預かれだと?」 ダル「うん」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★
101 = 1 :
由季「そう、よかったねー。鈴羽」
鈴羽「うん、母さんもよかったね。えへへ♪」
由季「あー……ははは…」
あっと、そうだった。
岡部「鈴羽、こっちに来てくれないか?」
鈴羽「んー?なになにー?」
鈴羽が歩み寄ってくる。
岡部「ちょっと手を出してくれ」
鈴羽「??」
俺は、さっき用意しておいたピンバッジをポケットから取り出して、鈴羽に手渡した。
鈴羽は、それを不思議そうに手のひらの上で転がしている。
鈴羽「これは?」
103 = 1 :
岡部「……それはな、我がラボ、未来ガジェット研究所のメンバーのみが持つことを許された…」
そこで、バサッとマッドサイエンティストの決めポーズをとる。
随分久しぶりだ。
あ、しまった……由季氏がいたのを忘れていた……。
そろりと姿勢を戻し、コホンと咳払いをしてごまかす。
岡部「……ラボメンの証、そして思い出のバッジなのだ」
鈴羽「うわぁ!ほんとにー!?」
そう言ってやると、途端に鈴羽は目を輝かせた。
由季「あ、それ父さんが大事にしてるのと一緒だね。いいの?岡部君」
いや、むしろ鈴羽に渡すために一個残してあったのだ。
岡部「ああ構わない。鈴羽、それを大事にするように。 ……特にお前が18になるまではな?」
鈴羽「え? うん。よくわからないけど、わかった!」
岡部「よろしい」
104 = 31 :
微笑ましいな
105 = 1 :
そんなやりとりに由季氏が不思議そうな顔をして首を傾げていると、向こうからダルが手を振ってくる。
ダル「おーい!車の準備が出来たぞーぅ!のりこめー!わぁい!」
由季「あ、それじゃあ岡部君、準備が出来たみたいだから行くね?」
岡部「ああ、気をつけて帰るようにな」
由季「うん、今日は本当にありがとう!」
その笑顔に照れてしまい、俺は思わず自分の頭に手をやる。
鈴羽「オカリンおじさん、またねー!」
鈴羽が振り返って、手を振ってきた。
無邪気なものだな。本当に。
俺も手を挙げてそれに応える。
岡部「あ、そうだ鈴羽」
鈴羽「なーに?」
106 = 16 :
橋田家パートも見たいな
107 = 1 :
少し離れてしまった分、声のトーンを上げて呼び止める。
岡部「また、夢であいつに会ったらよろしく伝えてくれ。あと、ありがとう、と!」
鈴羽「わかったー!」
そう返事をして、鈴羽はそのまま車に乗り込んでしまった。
それとすれ違いでダルが顔を出してくる。
ダル「オカリン、今日はマジでありがとな。これお土産」
ダルが差し出す紙袋を手に取ると、中にはフィギュアやらマンガ本らしきものが見える。
こんなものを貰っても、俺はどうすればいいというのだろうか。
岡部「サンクス……」
とりあえず、部屋にでも飾っておこう。
108 = 1 :
ダル「いやいや、こっちこそ。そんじゃ、また後で連絡するお」
岡部「ああ」
踵を返して車に向かうダルの背中に声をかけてやる。
岡部「ダルよ、くれぐれも安全運転を心がけるようにな」
俺の注意に、ダルは黙ってサムアップして振り返らずに行ってしまった。
なんというか、思っていたより随分あっけないものだったな……。
109 = 2 :
ええはなしや
110 = 1 :
一人残され家の中に戻るも、そこは何故かいつもよりガランとしていて、
俺は何ともいえないもの寂しさを覚えた。
それが急に全身にゾワリと感じ、たまらなくなった俺は財布と携帯だけを持って家を飛び出す。
しばらく歩いた頃には辺りはすっかり暗くなってしまっていて、
いつか見たような夜空には、数多の星が光って見えていた。
ダル『オカリンさー、うちの鈴羽に何したん?』
電話のスピーカーから、ダルの訝しげな声が聞こえてくる。
岡部「は? おいダル、人聞きの悪い事を言うな!俺はいかがわしい事など……」
ダル『あ、いやいや、そう言う意味じゃないんだけどさ、今日1日でオカリンにやたら懐いたみたいなのだぜ?』
岡部「なに? そ、そう、なのか?」
まあ、奴はもともと人なつっこい性格のようだからな……。
111 = 1 :
ダル『うん、次はいつ会えるんだ、って今日はなかなか寝付かなかったわけで』
岡部「……そうか。 ま、まあ、鈴羽にはまたいずれ会いに行くさ」
ダル『おおう、わかった。そん時はよろしく頼むお』
まあ、しばらくは無理だ。
こっちもこれから忙しくなるはずだし。
岡部「奥さんにもよろしく言っといてくれ」
ダル『ういお、オカリン、今日は本当にありがと。でもさ、子供ってやっぱいいもんだろ?』
……ははあ、こいつめ。
やっぱり鈴羽を預けてきたのも、ダルなりの気遣いのつもりだったのかも。
でもまあ、それならそれで、やはりダルは大したもんだ。
岡部「……そうだな。 今は本当にそう思うよ。 こちらこそ感謝する、ダル」
112 :
おい助手…
113 = 1 :
ダル『よせやーい! ま、オカリンなら絶対大丈夫だから自信持てって』
岡部「……ああ」
あっと、しまった。
言い忘れるところだった。
岡部「あ、ダル。俺からも一つ頼みがあるんだが」
ダル『ん?なんぞ?』
岡部「鈴羽には、そのうち自転車を買ってやってくれ」
ダル『はあ?いきなりどうしたん?』
岡部「あいつには自転車が必要なのだ。もしお前が買わないのなら俺が買うが? 自費で」
そう言うと、ダルは電話の向こうで少し考え込んでいるようだった。
それからすぐに、返事が返ってくる。
ダル『……オカリンが何で自転車にこだわるかわかんないし、鈴羽にはあんま危ない事させたくないけど……』
……おい。
115 :
>>112
流れで分かれ
116 = 1 :
ダル『……まあ、オカリンがそう言うんなら、そうなんだろうな。わかったお』
……なんだなんだ、照れくさいな。
岡部「……そうか、ありがとな」
ダル『うん、こっちこそ。 じゃ、オカリン、またその内遊ぼうぜ』
岡部「ああ、楽しみにしておく」
ダル『そんじゃなー』
プツリと音がして、先輩からの電話が切れる。
俺はそのまま携帯の電源を切ってポケットにしまった。
117 = 71 :
助手は俺の横で寝てるよ
118 = 1 :
――紅莉栖の部屋を訪れると、彼女はベッドの上で仏頂面を称えたまま、窓の外を見つめている。
岡部「紅莉栖、調子はどうだ?」
紅莉栖「あら…こんな時間に会いに来るなんて、どういう風の吹き回しかしら?」
俺が声を掛けると、紅莉栖は凍りついた笑顔のままこちらを振り返ってきた。
……こいつめ、まだ昨日の喧嘩を引きずっているようだな……。
まあ、怒らせたのは例によって俺なのだが。
岡部「……そう怒るなよ。 ……昨日は俺が全面的に悪かった。すまない、紅莉栖」
そこまでいって、テーブルの上に自販機で買ってきたホットミルクを置いてやる。
途端に、紅莉栖がキョトンとした。
119 :
助手はメリケンと結婚したよ
120 = 69 :
>>117
どうしたのオカリン?
121 = 16 :
おーぅそういう展開か
122 = 2 :
よかった生きていたか
123 = 1 :
紅莉栖「……っ。 さ、サンクス。 も、もう別にいいけど?気にしてないし」
それだけ言って、ふい、と向こうを向いてしまう。
岡部「……よかった。 まあ……怒りすぎは胎児に悪影響を及ぼすというからな?」
紅莉栖「あ…はは……怒らせてるのは9割あんただけどな……」
やれやれ、と言った感じで首を振り、紅莉栖がホットミルクを一口含んだ。
岡部「すまん……それより、予定は早まったりしないのか?」
紅莉栖「……は?」
俺がそう聞くと、紅莉栖は目をまん丸にして見つめてきた。
言わずもがな、その目が語っている。
こいつはいきなり何を言い出すのか、と。
でも、なんかこう……俺がこんな風に思ってしまうのもしょうがないのだ。
今日は。
岡部「いや……その、出産予定日が、だ。前倒しで生まれたりはしないのか?」
124 = 16 :
良かった病気かと思った
125 :
やっぱり岡部が一番可愛いな!!
126 :
メリケン非処女…
127 = 69 :
全俺が救われた
129 = 1 :
それだけ聞いて、紅莉栖は深くため息をつく。
紅莉栖「……あんたまさか、鈴ちゃんを見てて待ちきれなくなったとか?」
……。
岡部「ゲェーッ!なんでそれを知っている……!?」
思わず立ち上がると、俺の座っていた椅子がガターンと音を立てた。
紅莉栖「やかましいな!朝一番でまゆりから聞いとったわ!」
岡部「うわっ!お前っ!大きな声を出すなよ!」
紅莉栖「え、えっ?」
岡部「お腹の子に悪影響が……」
紅莉栖「……早くも親バカぶりを発揮か……」
岡部「ぐ、ぐぬぬ……それにしてもまゆりのやつめ……」
紅莉栖「……クスッ。 こないだまで、あんなに父親になる事にビビってたのにな?」
手を口に当て、プッと吹き出される。
130 :
オカリン何度かサンクスって言ってるけど助手からうつったのかな
132 = 16 :
紅莉栖が登場した途端わらわらと湧き出すおまいら
133 = 1 :
いや、まあそれは事実だが?
しかし、それはそれで笑われると悔しいものだ。
岡部「ビビってなどいない!ちょっと腰が引けただけであってだな……」
紅莉栖「ワロスワロス。 意味が同じだろ……でも、あんたが思ってた通りの子煩悩そうで安心した」
そう言って、紅莉栖はさっきまでの仏頂面などどこ吹く風で、優しい表情を見せてくれた。
岡部「いや……でも、俺が子守りなんか引き受けて不安じゃなかったのか…?」
いつもだったら、俺が子守りなどを安請け合いしたと知った途端に怒りの電話を飛ばしてきそうなものだが……。
紅莉栖「んー……全然ね」
しかし、俺の考えに反して、紅莉栖の答えは随分とアッサリしていて意外なものだった。
134 = 128 :
>>132
お前うっさいから黙ってろ
135 = 1 :
岡部「え、全然……?」
紅莉栖「そ、全然。 まあ、信頼してるからね……それにちょっと期待してたっていうか」
岡部「き、期待……だと? 俺に……?」
聞き返すと、紅莉栖はウィンクするように片目を閉じて、得意げな顔をする。
紅莉栖「当たり前じゃない………なんせ、あんたは私の旦那様なのだぜ?」
紅莉栖はそう言うや否や、ふい、と向こうを向いてしまった。
ただ、耳まで紅いのは隠せていないのは昔のままだが。
しかし、やられた。
こうして惚れ直させられたのは何度目だろうか。
紅莉栖「……あんたは変わらなくていい。 私は……そのままの倫太郎が好き」
そうして、紅莉栖は自分の大きなおなかを撫でて――。
紅莉栖「きっと、この子もそう思はず。 きっとね……」
――と。
136 = 69 :
あたりまえだろ
アトラクタフィールドによってオカクリに収束するようになってんだよ
137 = 16 :
いいねいいねー
138 :
いいのういいのう
139 = 1 :
俺は、そんな風に言ってくれる彼女が何より愛おしくて。
しかも、これからは三人での新しい生活が始まるのだという未来に胸が躍って。
思わず視界がぼやけた。
岡部「うぐぐ……っ」
紅莉栖「こ、こら!いい歳したオッサンが泣くな! 恥ずかしいだろが」
俺はぐずぐずの顔を見られたくなくて、つい、子供のように紅莉栖にしがみつく。
紅莉栖は、そんな俺の頭をいつまでも。
優しく、撫でてくれていた。
おわり。
140 = 2 :
ええはなしや
141 :
>>1乙
面白かった、またなんか書いてくれ
142 = 125 :
やはり岡部は可愛いなあ!!
乙
143 = 35 :
乙、面白かった
145 :
よかった
146 = 1 :
一応、なかった事になってしまった鈴羽の数々の人生に、救いが欲しかったので書いたやつでした。
よかったら最後に聴いて下さい。
阿万音鈴羽で『メロディ』
http://www.youtube.com/watch?v=hIQ1Yz_qNQs&sns=em
音量にはお気をつけて。
みなさん、今日は本当にサンクス。
乙でした!
147 = 100 :
乙乙
148 = 31 :
乙!!超よかった
149 :
乙、やはりオカクリは正義だな
150 = 16 :
乙様です、2人が幸せそうでえがったわー
みんなの評価 : ★★
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