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    元スレ岡部「鈴羽を預かれだと?」 ダル「うん」

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    みんなの評価 : ★★
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    51 = 1 :

    俺は今度こそタケコプカメラーの再生を止め、鈴羽と二人、ソファにて、
    まゆりが台所から出てくるのを待った。

    急に、右の袖口をチョイチョイと引っ張られる。

    見ると、鈴羽が顔を寄せてきていた。

    鈴羽「オカリンおじさん、さっきのすごかったねー」

    俺のすぐ側で耳打ちしてくる。

    岡部「さっきの……何がだ?」

    鈴羽「まゆりお姉ちゃんがあんなに怒ってたのにさー」

    岡部「ああ、あれか。 ……でも、あんなもの本来なら褒められたものではないのだがな?」

    鈴羽「そうなんだー、じゃあオカリンおじさんが悪かったの?」

    鈴羽がにぱっと笑いながら聞き返してくる。

    岡部「……お前の言い方が妙にキツい気がするが……まあ、そういう事だ」

    そう言ったところで、鈴羽が首を傾げた。

    鈴羽「あ、でも、うちの父さんは、母さんに叱られるといっつもションボリしちゃうよ?かっこわるいよ……」

    52 = 1 :

    まあ、ダルだからな。

    でも、きっとそうなのだろう。

    それは多分、ダルが正しい。

    岡部「……まあ、今のお前には難しい話かもしれんが、恐らくそれが正しいやり方なのだろう」

    お前の父さんは、たいしたものだ。

    鈴羽「え? ションボリしちゃうのが?」

    鈴羽は、更に不思議そうな顔を向けてくる。

    岡部「…ああそうだ。 そう言うときは黙ってションボリしちゃうのが正解なのだ」

    そういって、鈴羽の頭に手を置いてやった。

    鈴羽「ふぅん……よくわかんないけど、わかったよ」

    岡部「うむ、よろしい」

    そう言って、再び鈴羽の髪をワシャワシャしてやった。

    そんな時、またもや後ろから声。

    まゆり「へぇー、意外だねぇ」

    53 :

    あのカメラって回転数に合わせてフレーム飛ばせば完成するんじゃなかろうか

    54 = 21 :

    おしかけ女房かよ

    55 = 16 :

    >>53
    回転速度が一定ならなんとかなりそうだが

    56 = 1 :

    振り返ると、二人の背後に人数分のコップを盆に乗せたまゆりが佇んでいた。

    こちらを見てにやついている。
    ……聞いていたのかよ……趣味の悪い。

    まゆり「なんだかんだで、オカリンもだんだんらしくなってきたねぇ」

    鬼の首でも穫ったように得意げに微笑むまゆりを鼻で笑ってやる。

    岡部「ふん、何も変わってないさ。 俺は俺だ……未来永劫にな……フゥーハ――」

    まゆり「はいはい、っと」

    そう言って、まゆりはテーブルに持ってきていた茶菓子とコップを置いた。

    まゆり「どうぞ、スズちゃん。オカリン特製の麦茶だから美味しくないけどねぇ」

    鈴羽「えー! 美味しくないんだぁ!お茶なのに!」

    岡部「ぐぬっ……やかましいぞ!まゆり!鈴羽!」

    確かに……煮出しすぎて美味くないのは事実だが。

    こいつ、俺の人質をやめてからというもの、少しずつ腹黒くなって来たんじゃないか?

    57 = 1 :

    俺は、盆からコップをひったくり、一口あおった。

    岡部「うま……」

    鈴羽「まっずー……なにこれ」

    実に素直な感想だ。

    岡部「まあ、これは……まずいよな……」

    テーブルの向こうで、今度こそ、と得意げに微笑むまゆりの顔が見えた。

    それから俺たちは昼も回ったという事もあり、まゆりの作ったマズい焼きソバを、
    これまたマズい麦茶で黙って胃袋に流し込んだ。

    ……こればかりはダルの言いつけを守れなかった。

    まゆりの焼きソバは、明らかにおかしな物を食べさせるな、というものに反しているし。

    まゆり「それじゃあオカリン、私はこれで帰るね?」

    鈴羽「えーっ、まゆりお姉ちゃん、帰っちゃうの!?」

    台所で洗い物を済ませたまゆりが、タオルで手を拭いながらリビングへと出てきた。

    鈴羽は例によってまゆりの足元に絡みついている。

    岡部「なに? 今日はこの後も一緒にいてくれるのでは無いのか?」

    俺はソファに座ったまま振り返り、まゆりを窺った。

    60 = 1 :

    まゆり「うーん、そうしたいのはやまやまだけど……今日は私、当直だから」

    そう言って、まゆりは微笑む。

    それは以前の彼女と違い、大人じみた笑顔だ。

    岡部「そうだったのか……」

    まゆりのやつ、夜勤だったのか……だったら今頃は寝てなきゃダメだろう。

    岡部「そんな無理を………いや、気を遣わせた。悪かったな」

    まゆりは、目を伏せて首を横に振る。

    まゆり「ううん、私もちょっと楽しかったし。 ルミちゃんにも面白いお土産話が出来たしねぇ♪」

    岡部「な、なに……!? フェイリスには話すなよ? ……絶対にだ!」

    まゆり「ええー? どうだろうねぇー、えっへへ」

    岡部「むぐぐ……」

    歯噛みする俺を見て、まゆりが続けた。

    まゆり「でも、来てみてわかったけど、やっぱり心配無かったみたいだね」

    61 = 1 :

    岡部「あん?」

    まゆり「だってね、オカリンも真面目にちゃんと考えてるみたいだし」

    岡部「………」

    まゆり「んで、スズちゃんはオカリンに任せても大丈夫だね、って思えたから、それでよし…なのです」

    なのです、に照れが見られる。

    ていうか、さっぱり意味がわからん。

    まゆりは、そのまま玄関の方へと踵を返した。

    まゆり「じゃあね、スズちゃん、オカリン」

    振り返りながら手を振ってくる。

    鈴羽「うんっ! ばいばい、まゆりお姉ちゃん!」

    鈴羽は小さな手をまゆりに向けてブンブンと振った。

    岡部「ありがとな、まゆり。 また来てくれ」

    俺は軽く右手だけ挙げて、まゆりの背中を見送る。

    62 = 1 :

    それからしばらくしてまゆりからメールが届いた。

    Frm.まゆり
    Sub.今日はありがとう♪
    『やっぱりオカリンは、昔から変わってないようなので安心しました』
    『いつまでも、そのままのオカリンでいてね』

    ……よくもまあ、こんな純粋の塊みたいなメールを未だに送れるものだ。

    でも……サンクス。

    63 = 16 :

    当直ってことは看護師かなんかかね?

    64 = 1 :

    それから俺たちは、満腹感からくる気だるさを持て余し、ただダラダラと過ごしていた。

    俺はソファで横になり、タケコプカメラーをクルクルと回しては、昔の事を思い出している。

    あの時は上空映像の再生後、すぐにまゆりが気持ち悪くなってしまい、大変な事になったりもしたっけ。

    ひどく懐かしい。

    思わず口元がゆるんでしまう。

    岡部「む、いかんいかん……」

    ハッとした俺は、慌てて気持ち悪く歪んだ表情を引き締めた。

    そんな時、鈴羽の方から声をかけられる。

    鈴羽「ねーオカリンおじさん?」

    岡部「ん……なんだ?」

    鈴羽「さっき言ってた未来がぜっとけんきゅーしょってさぁ」

    岡部「未来ガジェット研究所、だ」

    鈴羽「そう、それそれ!みらい……がぜっと……」

    岡部「ガジェット。 それがどうした?」

    65 = 21 :

    まゆりが看護士とか採血がうまくできなくてなんどもブスブスされそうで怖い

    66 = 1 :

    鈴羽「うん、あのね? 父さんと、まゆりお姉ちゃんも仲間だったんだよね?」

    岡部「そうだ。連中は俺を入れて全部で8人いる」

    鈴羽「8人も!? すごーい!」

    岡部「だろう?俺もビックリだ。まずは俺、そしてまゆり、ダル、紅莉栖、萌郁、ルカ子、フェイリス……」

    最後の一人を言いかけて、言葉に詰まる。

    鈴羽「へぇー、そのみんなで、さっきの面白いオモチャを作って遊んでたんだね、楽しそう!」

    岡部「あ、いや……あれはオモチャではないぞ? そこは勘違いしないでもらいたいものだな」

    鈴羽「え、そうなの?」

    岡部「ああ……あれは元々、悪の組織によってもたらされた世界の支配構造を破壊するための…」

    鈴羽「へぇー」

    岡部「さっ、最後まで聞けよ!人の話は!」

    鈴羽「だってー、オカリンおじさんの話って難しいからよくわかんないんだもん」

    そう言って鈴羽はふくれっ面を作った。

    67 = 1 :

    岡部「……わ、悪かったな。 ……まあ俺も昔、まゆりによく言われたものだ」

    鈴羽「へぇー」

    また聞いてないな。

    こいつが“へぇー”と返事をしてきた場合、大体において聞かれていない場合が多い事がわかってきた。

    岡部「とにかく、人の話は最後まで聞くように」

    これは自分に対しても言える。

    鈴羽「わかった!」

    鈴羽は、それに対して元気よく返事をしてきた。

    68 :

    ソープの当直だろ・・・

    69 :

    助手登場を希望する

    70 = 1 :

    岡部「しかし……こうしていても暇だな……おい、鈴羽よ」

    ソファから身体を起こし、鈴羽のいる窓側に向き直る。

    鈴羽「うん?」

    水槽を飽きもせずに眺めていた鈴羽が振り返ってくる。

    水面の光が反射して、その白い頬にはゆらゆらと水のゆらめきが描かれていた。

    岡部「……さっきは何をやるか俺が提案したのだ。今度はお前がなにか考えてくれ」

    鈴羽「うーん、これから何をするか考えればいいの?」

    岡部「そうだ。 そうしないと退屈で眠くなってしまうからな」

    実際、もう結構やばいところまできている。

    目がしばしばする。

    俺は29を過ぎた辺りから、昔ほどの元気は出なくなったのだ。

    これが食後となれば、なおさらひどい。

    ソープに当直ってあるんだ……

    71 :

    はやく

    72 = 1 :

    鈴羽「えーっと……じゃあ、お絵かきなんてどうかな?」

    岡部「なに? 鈴羽、お前絵を描くのか?」

    見たところ、全然得意そうな感じはしないが……。

    以前は完全に外でぶっ飛び回るようなアウトドア派だったのに、
    今では随分と小さくまとまったものだな。

    鈴羽「うん、お絵かきは好きなんだー」

    岡部「ふむ……そうか。 ならば準備しよう。待っているがいい」

    鈴羽「わかった、ありがとう!オカリンおじさん」

    岡部「う、うむ。そして俺の画力の前にむせび泣くがいいわ!フゥーハハハ!」

    と偉そうに言いつつ、俺も絵は得意な分野ではない。

    言ってしまえば、ルカ子と同じ部類に入るはず。

    そんな事はどうでもいいか。

    73 = 16 :

    画伯レベルだと

    75 = 1 :

    ええと……この家には色鉛筆があったよな、たしか。

    はて……。

    棚を開けたり引き出しを引いてみると、書類やらハンコやら、全然関係ないモノばかり出てくるではないか。

    俺は、今までろくに家の片づけなどもやった事がないので、どこに何があるのか把握しきれていない。

    途中、まゆりに電話で聞こうかとも思ったが、さすがにそれは怒られそうなのでやめておく。

    岡部「あ、あったあった」

    ようやく見つけた。

    やっとの事だ。

    岡部「なぜか台所にあったぞー」

    隣室の鈴羽に向けて、発見報告をする。

    鈴羽「へぇー!」

    岡部「……」

    するとリビングからは、力いっぱいの“へぇー”が返ってきてしまった。

    まあ、それはそうだろうな。

    77 = 1 :

    岡部「さあ、こいつを存分に駆使するがいい!」

    テーブルの上には、俺が見つけ出してやったお絵かきセットが所狭しと鎮座している。

    鈴羽「うわあ、いっぱいあるんだね?」

    岡部「うむ。 俺のではないがな」

    鈴羽は早速それらを手にとってためつすがめつし始め、俺もその中から鉛筆を選び出した。

    そこから静かな時間が始まる。

    聞こえるのは鉛筆が紙を走る音と、時計の針が回る音だけ。

    鈴羽の集中力はすごいもので、さっきから話しかけてもうんともすんとも返って来やしない。

    岡部「……ううむ」

    一体こいつはなにを書いているのだ、と横から覗き込んでやろうとすると、
    ようやくこちらの不穏な動きに気付いた鈴羽に絵を隠されてしまった。

    鈴羽「あー、ダメダメ!できるまでは見せないからね!」

    岡部「むう……ケチだな」

    鈴羽「うるさーい!」

    岡部「ぐっ……」

    まさか4歳の子供に鬱陶しがられるとは……。

    78 :

    四歳だと・・・幼稚園にも入ってないのによく喋るなwwww

    79 = 1 :

    それにしても参ったな……。

    これはなんだ……?

    俺は何を書いていたのだったっけ。

    自分の紙に目を落としてみるも、何やらよくわからないものが描かれているのみ。

    鈴羽は、再び自分の紙にカリカリと絵を描き始めてしまった。

    よそ見をしたら置いてけぼりにされた気分。

    俺は呆然と紙を眺める。

    そんな時。

    鈴羽「ふんふーん♪」

    岡部「……?」

    気分でも良くなったのだろうか。

    鈴羽は紙の上で色鉛筆を忙しく動かしながら、急に鼻歌をうたいはじめた。

    青空をイメージさせるような、それでいてどこか切なさを感じさせる曲だ。

    しかし、今の時代の曲じゃない。

    80 :

    >>44
    月給1台のところで貰ったんだろうな……

    81 = 1 :

    岡部「……いいメロディだな」

    思わず口をついて、俺はそんな言葉を発していた。

    鈴羽「うん?なにが?」

    岡部「あ、いや。今、お前の歌っていたやつだ」

    鈴羽「ああ、えへへ……」

    岡部「いいメロディだ、と言った」

    どこか、懐かしさを感じるような。

    鈴羽「うん、ありがと」

    岡部「えっ? ああ……」

    何がありがとうなのかよくわからないが、俺はその鼻歌をBGMにして、
    再び絵を描く事に取り組む事とした。

    82 = 1 :

    しばらくして、鉛筆がテーブルにパタリと置かれる音がして、鈴羽が息をもらす。

    どうやら向こうも完成したようだ。

    岡部「出来たのか?」

    鈴羽「うん!オカリンおじさんは?」

    岡部「ああ、俺のはとっくのとうに出来ている……ククク」

    鈴羽「ほんと?すごい! 見せて見せて?」

    岡部「う、うむ……」

    鈴羽は立ち上がるとこちらに回り、俺の絵を覗き込んでくる。

    鈴羽「……え?なにこれ?」

    なんだろう。

    岡部「わからん……」

    鈴羽「え?」

    岡部「いや、わからないのだ。自分でもなにを書いていたのかが」

    鈴羽「それは……す、すごいね」

    なんとも微妙な評価をいただいてしまった。

    84 = 1 :

    岡部「……で」

    鈴羽「うん?」

    岡部「そろそろお前の絵も見せてくれてもいいんじゃないか?」

    鈴羽「あ、そうだね!はい、これ!」

    鈴羽は自分の描いた絵を、ペラリとこちらに渡してきた。

    俺はその絵を受け取り、それに目を落とす。

    岡部「うむ……あ……え?」

    思わず絶句してしまった。

    だってこれは―――。

    岡部「鈴羽……、これは何の絵だ?」

    鈴羽「うん、オカリンおじさんだよ!」

    岡部「……」

    85 = 1 :

    鈴羽の絵の中の俺は、なぜか白衣を着て笑っていて。

    その周りには―――。

    岡部「………この周りの人たちは誰なのだ?」

    なんとなくわかっているが、信じられずに確認してみる。

    鈴羽「オカリンおじさんのお友達!」

    岡部「そ、そうか……」

    家かどこかで、ラボメンたちの集合写真でも見たのだろうか。

    それらは、間違いなくラボメンたちであった。

    あ、でもそれにしては萌郁の姿だけが見当たらないな……。

    岡部「鈴羽、何でラボメンたちの姿を知っている?」

    鈴羽「え?」

    岡部「こいつはパッと見で誰が誰かわかるほど上手く書けているではないか」

    鈴羽「そう? ありがとー!えへへ」

    そういって鈴羽は笑顔を浮かべた。

    どうやら俺の質問は見事に右から左へ受け流されてしまったようだ。

    86 = 2 :

    鈴羽恐ろしい子!

    87 = 1 :

    岡部「……」

    改めて、この驚くべき絵に目をやる。

    ふと、紙の端にとんでもないものが描かれているのが目に映った。

    青い服を着た女の子で、髪を結っておさげにしている。

    岡部「お、おい鈴羽よ……こいつは……一体誰だ?」

    それを指さして、鈴羽に訊ねてみる。

    まさか……他のラボメンの写真が残っていたとしても、
    このバイト戦士の肖像が今の世界に存在しているわけがない。

    この笑顔は、俺の記憶の中にしか存在していないはず。

    だから鈴羽には、この戦士の絵を描けるはずがない。

    鈴羽「ああ、その人はあたしのお友達だよ?」

    岡部「な……に?」

    88 :

    なんで萌郁いないん?

    89 = 1 :

    鈴羽「えっとね、あたしの夢によく出てくるんだ。このお姉ちゃん」

    岡部「……」

    俺は、思わず鳥肌の立った二の腕をさする。

    鈴羽はそんな俺の様子を気にもとめずに続けた。

    鈴羽「夢の中でね、私とそのお姉ちゃんと、あと、その絵の中のみんなで遊ぶの!」

    岡部「……っ」

    夢の中で、みんなで遊んでいる、か。

    鈴羽の言葉に、普通ならこれは有り得ない事だとわかっているのに、何故か涙が浮かびそうになる。

    岡部「そうか……こいつは、すごくいい絵だな。とても……」

    鈴羽「あはっ! ありがとう、オカリンおじさん!」

    鈴羽が、屈託のない笑顔で微笑んでくる。

    バイト戦士。

    まさか、お前とこんな所で、しかもこんなタイミングで再び出会えるとはな。

    これも運命石の扉の選択、なのだろうか。

    俺は今、確かに鈴羽の中に未来を垣間見たような気がした。

    90 = 35 :

    攻略キャラじゃないから

    91 :

    個別ルートがないから

    92 :

    でもキスしたじゃん!!!!

    93 = 1 :

    俺は、胸の中が満たされていて、それが溢れそうになるのを抑えるように、
    また鈴羽の頭をワシャワシャとかいてやった。

    鈴羽「あーもう、またやったー!」

    鈴羽が、おさげを庇うように両手で押さえる。

    鈴羽「おさげが崩れちゃうじゃーん!」

    岡部「あ、ああ。すまなかった。そういえば、それは母さんがしてくれたのか?」

    鈴羽「あ、うん。このお姉ちゃんとお揃いにしてもらったの!」

    なるほど、こいつのおさげはそういう事だったのか。

    岡部「……鈴羽、お前はよほど、そのお姉ちゃんの事が大好きなのだな」

    94 = 1 :

    鈴羽「うん! さっきオカリンおじさんがほめてくれた歌があるでしょ?」

    岡部「…ああ。さっき絵を描いてた時にお前が歌っていたな?」

    鈴羽「そう、あれもね、お姉ちゃんがよく夢の中で歌ってくれるから覚えたんだよ」

    岡部「……」

    ……なんとも不思議な事ばかりが続き、いい意味で頭がクラクラとしてしまう。

    岡部「そうか……やはりあれは……いいメロディだな」

    鈴羽「ありがと!えへへ」

    そう言って笑う鈴羽の頭に手を置いてやる。

    岡部「よかったら、もう一回聞かせてくれないか?」

    鈴羽「うん、いいよー!」

    95 = 1 :

    急に立ち上がった鈴羽が、駆け寄ってくるなり、ちょこんと俺の膝の上に乗ってくる。

    岡部「うわっ、ちょ……!」

    俺の膝の上はヒョロヒョロでグラグラとしていて心許ない。

    危ない!

    グラつく鈴羽をとっさに支えようとして、意図せずその肩を抱いてしまった。

    岡部「あ!すまん……」

    何をやっているんだ、俺は。

    これではまるでHENTAIのようではないか。

    慌てて手を離そうとしたところで、鈴羽は目を閉じたまま、さっきのメロディを口ずさみはじめた。

    頭をゆっくりと左右に揺らしながら。

    鈴羽「―――――♪」

    岡部「……」

    俺も黙って目を閉じると、子供らしい甘ったるい香りが鼻に届く。

    なるほど、実にお前らしい曲だな。

    ……バイト戦士よ。

    96 :

    メンヘラだから

    97 = 1 :

    それから、別れまでの時間はあっという間に過ぎていき、時刻は夕方。

    俺たちは、俺の事や鈴羽の事についてをあーでもないこーでもないと、
    途中で――子供相手に――マジになりながら話したり。

    そんな事をしている内に、とうとう玄関のチャイムが鳴ってしまった。

    岡部「鈴羽、父さん達が帰ってきたみたいだぞ?」

    隣に座った鈴羽に、手をさしのべて立ち上がるよう促す。

    鈴羽「えー? もう?まだ話足りないよー」

    岡部「うん? そうか。じゃあ、続きはまた今度だな」

    鈴羽「うーん……約束だからね?」

    岡部「ああ、わかった。約束しよう」

    そう言ってやると、ようやく鈴羽は俺の手を握ってくれた。

    98 = 92 :

    ポカポカする

    99 = 1 :

    由季「いやぁ、岡部君、今日は助かったよー」

    玄関先に立っていた由季氏が、ニコニコの顔で鈴羽に手招きをしている。

    ダルはというと、車の方で買い込んだ荷物を整理し、もう一人分の座席を用意していた。

    岡部「……なんだアレは。随分とエンジョイしてきたようだな」

    由季「あはは、お恥ずかしい。そういえば……鈴羽はいい子にしてた?」

    由季氏が申しわけなさそうに聞いてくる。

    岡部「ああ、いや。 逆にこっちが構ってもらったようなものだ、なあ、鈴羽?」

    鈴羽「うん!とっても楽しかったよ!」

    そういって鈴羽は由季に駆け寄ると、こちらを振り返って笑顔を見せてきた。

    100 :

    ほう


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