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元スレ京子「さよなら、結衣」

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1 :

~結衣のマンション~

それは受験を控えた、中学三年の冬の日だった。

結衣「京子」

京子「なに~?」

結衣「私、ちなつちゃんとお付き合いすることになった」

京子「へ?」

結衣「かなり悩んだけど、ちなつちゃんと話しあって決心した」

京子「は?」ポカーン

京子「ちょちょっと、どういうこと、それ!」

結衣「ちなつちゃんから、告白を受けたんだ」

京子「えっ」

2 = 1 :

突然だが、結衣とちなつちゃんが付き合い始めた。
きっかけはちなつちゃんの告白で、その熱心なアプローチが実を結び、めでたく両想いになったそうだ。

ちなつちゃんは卒業を迎える前にと、駄目元で結衣に告白したらしい。
悩んだ結衣は、考えて、考えて、お付き合いすることに決めたそうだ。
ずっと自分を想ってくれていたちなつちゃんに応えるために、幸せにするために。

結衣「私を慕ってくれるちなつちゃんが好きなんだ」

結衣「女同士でも、障害が多くても、それでも上手くやっていこうって思うんだ」

結衣「例え世間に認められなくても、結局大事なのは当事者の問題だし、」

結衣「ゆっくりと、親しい人の理解を得られればいいなと思ってる」

結衣がにこやかに語る惚気に、私の精神はあっけないほど簡単にボロボロになる。
胸の中を様々な感情が入り乱れて、眩暈がして、呼吸すらも不規則になる。

京子「そっか……」

自分の手を結衣から見えない位置に隠して、爪が掌に食い込むまできつく握る。
折れかけた精神を立て直して、目尻に滲む涙を気合で堪える。

4 = 1 :

京子「私は同性愛とか、よくわからないけど」

京子「それが結衣の選んだ選択なら、応援するよ」ニコッ

私は複雑な感情を押し込めて、幼馴染として、親友として、結衣の恋路を祝福した。
綺麗な笑顔を、最高の笑顔を、結衣に贈ることができただろうか。

結衣「ありがとう、京子」ニコッ

結衣「京子なら、そう言ってくれると思ってた」

結衣の照れた笑顔が、胸に突き刺さった。
私の心にヒビが入ったような、そんな気がした。

5 = 1 :

京子「って、もうこんな時間かぁ」

京子「また泊まったら結衣にも負担になるし、家のお母さんにも怒られちゃうな」

これ以上、この場所にはいたくない。
図々しく泊まるつもりだったくせに、私は白々しく嘘をつく。

結衣「もう遅いから、泊まっていけば?」

結衣の優しい言葉に胸が切なくなるけれど、
このまま、ちなつちゃんとの蜜月関係を延々と聞かされるのはごめんだ。

京子「家もご飯を用意してくれていると思うし、帰るね!」バタバタ

結衣「あっ、京子」

結衣の言葉を最後まで聞かずに、私は結衣の家を飛び出した。
慌てて帰る私を、結衣は不思議そうに眺めていた。

6 = 1 :

京子「………」ハッハッハ

じっとしていられなくて、意味も無く帰路を走る。
何かをしていないと、この胸が張り裂けてしまいそうで。

京子「………」ハァハァ

京子「………」ハァ

京子「………」

けれど、貧弱な私の体は大した距離も走れない。
私は、足を止めてしまった。

京子「肝心なところで、鈍感なんだから……」

同性愛がわからないなんて、嘘っぱちだ。
私は、私が好きなのは……。

京子「……苦しいなぁ」ポロッ

京子「苦しいよぉ、結衣」ポロポロ

冬の空気は乾燥していて、底冷えする寒さに心まで凍てつきそうだ。

7 :

うむ

8 = 1 :

~学校休み時間~

あれからというもの、ごらく部にいたくなくて、私は生徒会の手伝いや勉学に励むようになった。

結衣もちなつちゃんと行動を共にすることが増えて、自然と部室に皆が揃うことも少なくなった。
最近では共通する話題がなくなってしまい、私と結衣の会話もめっきり減った。

そんな今日は珍しく、結衣の方から話しかけてきた。

結衣「京子」

京子「何?結衣」

結衣「今日は久しぶりに泊まりに来ないか?」

京子「……うん!行く!」

高鳴る鼓動を無視して、いつも通りの返事をする。
珍しい結衣からの招待に、私の心はどうしようもないほどに舞い上がる。
思考の片隅で情けないと思ったけれど、そんな考えはすぐに忘却の彼方へと消えた。

9 :

ほう

10 = 1 :

京子「放課後が楽しみだなぁ~」ルンルン

結衣「京子は相変わらず元気だな」

京子「何をしようかなぁ」ウーン

結衣「明日も学校はあるんだから、徹夜はしないぞ」

京子「はーい」

授業なんて上の空で、私の頭は放課後のことでいっぱいだった。
たったそれだけのことで心踊る私は、なんて単純なのだろうか。

思えば、事前に予見してしかるべきだった。
楽観視さえしていなければ、あれほど辛い気持ちになることはなかっただろうに。

11 :

ふむ

12 = 1 :

~結衣のマンション~

京子「おっし、遊ぶか」ドサッ

結衣「色々と持ってきたな」

京子「まぁ遊び道具はあっても困らないでしょ?」

結衣「確かに」

とりあえず、色々とできるように家から遊び道具を持ってきた。
少し重かったけれど、結衣と一緒に使って遊ぶ、その楽しみを想像すれば苦ではなかった。

京子「とりあえず、手うがしてくる」

結衣「流行らねぇよ」

こうした冗談を交わすことに、何だか懐かしさを覚える。

13 = 1 :

京子「洗面所、洗面所~」フンフフーン

京子「ん?」

洗面所に奇妙な違和感を覚える。
何かが、今までとは違う気がする。

京子「………」

京子「あっ…」

数秒ほど考えて、答えが分かった、分かってしまった。
前に来たときはなかったものを見つけてしまい、私の動きは止まる。
さっきまでの楽しい気持ちは冷え込んで、ここから逃げ出したくなる。

京子「この歯ブラシ……」

以前はなかったピンク色の歯ブラシ、
それはきっと、ちなつちゃんのためのものだろう。

14 = 1 :

京子「………」

京子「………」キュッ、ジャー

京子「………」バシャバシャ

憂鬱な気分も、こうして洗い流せたらいいのにな、そんなことを思った。

京子「………」コクコク

京子「………」ガラガラ

京子「………」ペッ

吐き出した水は、排水溝に消える。
私の吐き出せない想いは、どうすればこの身から消えてくれるだろうか。

京子「………」ジャー

私は歯ブラシを見なかったことにして、精神の安定を図ろうとした。
そんなことは無駄だとも知らずに。

15 = 1 :

結衣と一緒に遊んでも、私の心は晴れることはなかった。

お揃いの食器、お揃いのカップ、お揃いのクッション、見覚えのない髪留め、etc.
私のいた痕跡をかき消すように、上書きするように、侵食しているそれに心が壊れる音がした。

……これまで私が担っていた役目は、ちなつちゃんのものなのだ。
結衣の家に泊まりに来て、私はそれを思い知った。

結衣の話はちなつちゃんのことが中心で、私は蚊帳の外で。
結衣はこんなにも近くにいるのに、結衣を遠くに感じた。

眠れないまま、声もなく泣きながら、長い夜を過ごした。

16 = 1 :

~ごらく部~

結衣「京子は最近、急に真面目になったな」

京子「京子ちゃんも中三ですからっ!」キラーン

京子「落ち着きくらい、身に付けないとね」フフン

恋をすればするほど駆け引きは上手くはなるけど、この胸のむず痒さには手が届かない。
この痛みを隠すことばかりが上達して、肝心の想いの成就は期待できそうにもない。

結衣「そういえばラムレーズンのアイス、買ったんだけどさ」

結衣「もしよかったら…」

京子「いやぁ、私には生徒会の雑務があるし」

結衣の誘いを潰すように、先回りして用事があることを告げる。

京子「それにほら、ちなつちゃんに寂しい思いをさせてやるなよ!」

結衣が私を誘ってくれたことが、嬉しい。
だけど、ちゃちなプライドが邪魔をして、歩み寄る結衣を遠ざけてしまう。

17 :

しえん

18 = 1 :

結衣「京子……」

京子「いってきなよ、待たせているんでしょ?」

結衣「……ごめん」

結衣はバツの悪そうな顔をしたまま、荷物を整えて立ち去る準備を始める。
ちなつちゃんが、この寒空の下でデートの相手をお待ちかねだろうから。

機嫌が悪くなると黙り込む、面倒見がいいようで自分本位、あと一歩を踏み出す勇気がない。
君の嫌なところもそりゃあ少しはあるけれど、それでも会えばいつも許してしまう。

私はあなたのことが、好きだから。

パタン

結衣が、ごらく部を去った。

あかり「京子ちゃん……いいの?」

あかりは心配そうに、私の選択を問い直す。

京子「いいのいいの」

私は、これまで十分過ぎるほどに、結衣に助けられてきた。
これ以上を望むのは、我侭で、贅沢というものだ。

例え結衣との新しい思い出が作られなくなっても、私の心の中に結衣は存在する。
それはいつか薄れて、摩耗して……、最後には結衣の表情も、忘れてしまうかもしれない。
それでも、この胸の煌めきの一片は、何処かに残ると信じているから。

20 = 1 :

京子「あっかりーん!」ギュッ

あかり「わわっ、京子ちゃん!?」

人恋しくなって、あかりに抱きついた。
柔らかくて、ポカポカする。

京子「あかり、何かいい匂い」スンスン

あかり「京子ちゃん、嗅がないでよぉー」ジタバタ

京子「………」ギュッ

気を抜くと、抑えた感情が暴走しそうになる。
一人なら耐えられるそれも、あかりの存在によってタガが緩む。

冗談のつもりで抱きついたのに、私はあかりから離れることができなくなった。
あかりに心配させるわけにはいかない、そう思うのに、体が言うことを聞いてくれない。

あかり「京子ちゃん?」

あかりの声から、戸惑いと、驚きの感情を感じる。
心配をかけてしまうのに、どうしても離れられない。

21 = 11 :

切ないな

22 :

このまえもせつないのあったのに
またせつなくする気か

23 = 1 :

京子「………」グスッ

あかり「京子ちゃん……」

あかり「あかりが傍にいるよ、だから大丈夫だよ」ギュッ

涙ぐむ私に何も聞かず、あかりは優しく抱きしめてくれた。
耳元に聞こえる幼馴染の言葉は胸に響いて、私は込み上げる感情を抑えられなくなった。

京子「あかりちゃん……」ポタッ

あかりの胸を借りて、少しだけ泣いた。
きつく抱きしめたけれど、あかりは苦しい表情のひとつも見せずに付き合ってくれた。

ままならぬ想いに絶望するように、内の悲しみを少しでも吐き出そうとするように、
私の両目からは、音も無く涙が流れ続けた。

24 :

あかり天使

25 = 1 :

~生徒会室~

今日は処理する事案が多くて、生徒会室に綾乃と二人きりになる。

京子「………」パラッ

綾乃「………」カチカチ

こんな流れ作業でも、何もしていないよりは健全だろう。
こうして作業している間は、暗い気持ちに囚われずにすむわけだし。

綾乃「歳納京子」

京子「何?綾乃」

綾乃が作業中にお喋りするなんて、珍しい。
その目は真剣で、私の心の底を見通そうとしているような、そんな印象を受けた。

26 = 1 :

綾乃「何があったの?」

京子「何がって何が?」

質問に質問で返すことは礼儀として良くはないが、そこまで配慮する気力がない。

綾乃「日が経つにつれて、どんどん元気がなくなっていくわね」

京子「そんなことないよ」

誤魔化そうなんて思っていない、ただ条件反射的に投げやりな返事をしただけだ。

綾乃「プリン、どうして食べようとしないの?」

京子「冷蔵庫のプリンは綾乃のものじゃん」

おそらく綾乃が聞きたいのは、そんなことではないのだろうけど。

27 = 1 :

綾乃「給食、残しているみたいだけれど」

京子「ダイエットにハマっちゃって」

綾乃にはダイエットだと言ったけれど、私の急激な体重の変化は傍目から見ても明らかだろう。
家の食事も味気なく、作ってくれるお母さんに申し訳なくなるのだが、どうしても残してしまう。

綾乃「……船見さんのこと?」

京子「」ピクッ

思わず、反応を返してしまった。

28 = 1 :

綾乃「やっぱり、そうなのね」

京子「違うよ」

素知らぬ振りをして、作業を続ける。

綾乃「最近、船見さんは吉川さんと仲が良いと小耳に挟んだわ」

綾乃「それも、まるで恋人同士のようだと」

京子「そうなんだ」

胸の奥がズキズキと痛むけれど、それも無視して作業を続ける。

綾乃「まだ白を切るつもり?」

京子「結衣は関係ないから」

綾乃がいい加減にしつこくて、イライラする。

30 = 1 :

綾乃「……あなた、本当は船見さんのことがs」

京子「結衣は関係ない!!!」

私の怒鳴り声が、生徒会室に大きく反響した。
こんなに大声を出してしまうなんて、自分の中にこれほどの激情が眠っていたことに驚く。
綾乃の傷ついた顔を見て、慌ててフォローを試みようとするが、口は動かない。

綾乃「……そう」

綾乃は何かを決心をした、そんな表情で、私を正面から見据える。

綾乃「私はあなたのことが好きよ、京子」

頭が真っ白になる。
今、綾乃は何といった?好き?誰を?私を?

綾乃「あなたのことが今までずっと、好きだった」

綾乃「だから、そんなあなたの落ち込む姿は、見たくないの」

綾乃「私じゃ、船見さんの代わりになれないかしら?」

綾乃の表情からも、私のことを想っている、最早それが嘘ではないことは一目瞭然だ。
そんな綾乃につられて、私の涙腺は緩くなり、綾乃の顔もぼやけてしまう。

31 = 1 :

京子「ごめん、綾乃、ごめん」

私は綾乃に謝罪を繰り返す。
許しを請うように、裁きを望むように。

京子「私は結衣じゃなきゃ、ダメなんだ……」ポロッ

京子「私は、結衣がいいんだ」ポロポロ

想ってもらえることの幸運さと、有り難さを知っていながら、綾乃の気持ちに応えられない。
綾乃の苦しみが自分のそれと同じように感じられて、涙が止まらない。

綾乃「いいの」ギュッ

綾乃「こちらこそ、あなたに負担をかけてしまって、ごめんなさい」

抱きしめてくれる綾乃に寄り添って、放課後の生徒会室を過ごした。
ふと、今までこうやって抱きしめてくれていたのは、結衣だったなと思い出した。

33 = 1 :

~面談~

担任「歳納、本当に志望校を変える気はないのか?」

担任「お前の成績に、生徒会での役割を考えれば、もっと上の高校に行けるだろうに」

これまで、うんざりするくらいに繰り返されてきた問答。
今までの私は、みんなと同じ場所に行きたくて、結衣と一緒にいたくて……、
この頭の固い担任に、頑なに志望校を変えない意思表示をしてきた。

けれど、それはもういいだろう。

京子「志望校を、上に変えます」

これで結衣と同じ高校には行けなくなったが、どこかスッキリした気分にもなった。

担任「そうか、良かった!」

先生も自分の評価が高まってさぞ嬉しいことだろう、そんな捻くれたことを思った。
あなたの将来のため、なんてお題目で誤魔化すけれど、
先生なんて、良くも悪くも、自分の尺度でしか生徒を捉えられないものなのだから。

担任「今のままを維持できれば、合格は確実だろう」

私の目指す高校は、県下一の進学校の英数科だ。
普通科の偏差値も十分に高いが、特に英数科の偏差値は全国に抜きん出ている。

もっとも、私の成績は綾乃とともに県トップを競い合うレベルにあるのだから、合格は固い。
今の私は、順調にエリート街道なるものを歩んでいるようだ。

34 = 1 :

~ごらく部~

京子「今日も二人だね」

あかり「そうだね」ニコニコ

ごらく部はもう私とあかりちゃん、それから時々綾乃を交えて話し合う場所になった。
近頃のごらく部は穏やかなもので、問題なんて頻発する千歳の鼻血くらいだ。

京子「あかりちゃん、話しておきたいことがあるの」

丁度二人きりなので、綾乃が来る前に話を切り出した。

あかり「なに?京子ちゃん」

京子「私……進路を変えたから」

あかり「えぇぇ!?」

以前はあれだけ結衣と同じ学校に固執していたのだから、驚くのも無理ない。

35 = 1 :

京子「もう綾乃には言ってある」

綾乃は応援すると言ってくれた、私と一緒に合格しましょうと、励ましてくれた。
千歳も同じ高校を志望するそうなので、高校で生徒会三年組みの再結成も夢ではなさそうだ。

あかり「……そのこと、結衣ちゃんには?」

京子「……勇気が出せなくて、言ってない」

そしてその機会もない、現に結衣はごらく部にいないのだから。
そのことを責める気なんて毛頭ないが、私は積極的になるには肝心なところで臆病だった。

あかり「結衣ちゃん、きっと怒るよ?」

京子「覚悟はしてるよ」

正確には、逃げているだけと言えるかもしれないが、その結末を受け止める気ではいる。

36 = 11 :

しえん

37 = 1 :

あかり「そっかぁ……」

あかり「……なら、あかりも京子ちゃんと一緒のところに行くよ」ニコッ

割りとあっさりと、あかりちゃんは進路を決めた。

京子「で、でも結衣と、今の友だちと、離れ離れになるんだよ?」

京子「あかりちゃんは後一年あるけど、それでも合格は難しいところだよ?」

内心では嬉しく思っているくせに、私はあかりちゃんを思い止まらせようと言葉を放つ。

あかり「あかりは京子ちゃんのことが、心配だから」

京子「あかりちゃん……」

あかり「それに、京子ちゃんが傍にいてくれるなら、あかりは勉強だって、何だってできるもん!」

あかり「だから一年遅れの進学になるけど、待っててね」ニコッ

取り乱している私を安心させるように、あかりちゃんは優しく微笑む。

38 = 1 :

京子「……うん、うん」グスッ

最近の私は弱くなったのか、社交性は影を潜めて、涙もろくなった。
結衣と補い合っていた部分が崩壊して、本来の自分が出てきているのかもしれない。
クラスメイトにはお淑やかになったとまで言われるのだから、何だか変な気持ちだ。

あかり「京子ちゃん、合格して、ここから卒業してからも、あかりのお勉強を見てくれる?」

京子「うん、勿論だよ」エヘヘ

あかりちゃんのためなら、泣き言を言っても、無理やりにでも脳に知識を詰め込んでみせる。
もっとも、その前に自分の合格を貰わなければ話にならないが。

あかり「京子ちゃん、京子ちゃん!」ギュッ

京子「あかりちゃん?」

あかりちゃんが感極まったように、私に抱きつく。

39 = 1 :

あかり「あかりはね、京子ちゃんのことが大好きなんだよ?」

京子「私も、あかりちゃんのことが大好きだよ」

あかり「うーん、その好きとはちょっと違う気がするなぁ」ウムム

京子「へっ?」

あかり「何かよくわからないけど、まぁいっか」アハハ

京子「……そうだね」

それは俗に言う、恋というものなのではないかと、ふと思った。

京子(あかりちゃんだし、そんなことはないか)

あかり「今何か失礼なこと考えなかった?」ムッ

京子「なっ何でもないよ?」ドキッ

勘も異常に鋭くなって、少しお姉さんに似てきたなと思った。
あかりちゃんは知能と精神のレベルに差がある感じなので、舐めてかかると痛い目を見る。
スペックは高いのだから、これで精神的に成熟したときは、一体どうなることやら。

40 = 1 :

ガラッ

雑務の処理が一段落したのか、綾乃と千歳がごらく部にやって来た。

綾乃「京子」

京子「あ、綾乃、千歳、お疲れ様」

私の素行が良くなった影響か、告白の影響か、
綾乃も前のようなきつい口調をやめて、私を名前で呼んでくれるようになった。

京子「今お茶を用意するね」カタッ

綾乃「いえ、そこまでしてくれなくても」ゴニョゴニョ

京子「いーの、私がお茶を淹れたいだけなんだから!」

綾乃「えぇと、それなら喜んで」モジモジ

綾乃は私に対して、ものすごく照れ屋さんなのだと、最近判明した。
本人にも自覚はあるようで、たまにとても素直になるけれど。
照れているときも、素直になったときも、基本的に恥じらいがあって可愛いなぁと思う。

41 = 17 :

切ない

42 :

紫雲

43 :

はやく結衣をだせ

44 = 1 :

キャッキャッ

千歳「」モウソウチュウ

京子(今、……するね)

綾乃(……そこまで…しなくても……)

京子(私が、綾乃にしたいの……)

綾乃(そ、それなら……いいよ?)

綾乃(んぅ…あぁぁっ…!)

千歳「」ブシャァァ

バタッ

あかり「」アワワワワ

京子「あっ……」

綾乃「千歳!」

皆がいてくれて、騒がしくて、以前ほどに寂しさを覚えなくなった。
結衣を想うとこの胸は切なくなるけれど、私は一人じゃないから。

45 = 1 :

一先ず落ち着いたので、皆でお茶を楽しむ。
隙間風が吹き込んで少し寒いから、暖かいお茶の存在が有難い。

綾乃「」ズズー

千歳「」ニコニコ

京子「」ボー

あかり「」モグモグ

京子「あっ、あかりちゃん何食べてるの?」

あかり「給食の蜜柑だよぉ」

京子「お茶請けに取っておいたのかぁ……私もそうしておけば良かった」ショボン

丁度、茶菓子を切らしていて、少し口寂しい。

46 = 42 :

三人とも、こんなところで油売って
入試は大丈夫なんだろうか・・・
おっとすまぬ、いらぬ心配を

続けろ下さい

47 :

このまま京あかになればいいよ

48 = 42 :

>>47
うん、俺もそれを期待してる

49 = 1 :

あかり「京子ちゃん、京子ちゃん」

京子「ん?」

あかり「はいっ、あ~ん」

京子「えっと、あかり…ちゃん?」タジタジ

あかり「あ~ん」ニコニコ

京子「あ、あ~ん」パクッ

あかり「美味しい?」

京子「うん、ちょっと恥ずかしいけどね」アハハ

幼子のような扱いに、意図せず顔が赤くなる。

綾乃「」ポケー

千歳「綾乃ちゃん、しっかりしぃ」アセアセ


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