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    元スレまどか「えっ?マミさん連休の予定無いんですか?」

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    251 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 14:19:40.67 ID:J6WfcXyF0 (+95,+30,-209)
    ガラガラ…

    まどか「ほんとだ、お庭みたいだー」

    せっかくなので、人のいない室内の湯船をスルーして外に出る。

    ほむら「まどか、そんなに急いだら転ぶわよ」

    マミ「へぇ……」

    岩で作られた露天風呂の周りに手入れされた植木が並び、
    それほど本格的でないまでも日本庭園の雰囲気が出ている。

    マミ「なるほどね……いいじゃない」ブルッ

    マミ「う。寒いから早く入ろっと」チャポッ

    マミ (ふぅぅ……。あったかい……)

    寝起きから間もない身体がじわじわと暖められ、目が冴えてくる。

    マミ (……垣根の向こうも、多分これは……自然の森林?)

    マミ (庭の池に住む鯉になった気分かしらね……)
    252 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 14:20:44.37 ID:xckMZicg0 (+19,+29,+0)
    温泉いきてー
    253 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 14:25:45.00 ID:i1/cLZaz0 (+24,+29,-15)
    マミさんと湯船に浸かりたい
    254 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 14:26:26.66 ID:J6WfcXyF0 (+95,+30,-142)
    チャパ…

    ふと、 揺れる水面の奥に、自分の手を広げて透かしてみる。

    マミ (生きてるんだなぁ、私……人として)

    マミ (鯉よりは苦労も多いけど。楽しみも多分、多い。……なんてね)

    マミ (……あ。ちょっとまた眠くなって来ちゃったかも)

    身体全体が暖まっているものの、外の涼しい空気で頭は冷やされ、あまりのぼせそうな感じがない。

    マミ「あったかいのに、涼しくて、いい気持ちね……」

    ほむら「ええ……朝の空気って良いわよね……」

    まどか「えへへ……また寝ちゃいそう……」

    3人で皆、半ば昇天しかけた顔を並べてしばらく過ごした。
    255 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 14:33:18.94 ID:J6WfcXyF0 (+95,+30,-222)
    ――ほむホーム・お風呂場――

    ザザー ザババー…

    普段厳しい戦いに身を置いているとは思えない、華奢で透き通った裸体を少女がシャワーに晒している。

    杏子「ああー、くっそ。ほむらの野郎、帰ってきたらマジでタタじゃおかねぇ……」

    目をつぶったまま、苦々しく口をゆがめる。

    杏子「何でいつも泊まるときにあった布団が無くなってんだよ! おかしいだろ、隠す必要ねーじゃねーか!」

    杏子「おかげで同じ布団で寝なきゃならなくって……ひどい寝不足だよ……」

    誰にと言うわけでもなく愚痴る。

    杏子 (……さやかは、すぐ寝ちまったよなぁ………)

    杏子 (あいつにゃ、そんな気はねーってことだろうけど……)

    それが友情なのか、愛情なのか、それともまた別の何かなのか。自分でも分からない。

    杏子 (……めんどくせぇよな、人間って………)

    杏子「………」ハァ…

    キュッ キィー…

    ゴソゴソ…
    256 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 14:37:10.19 ID:xckMZicg0 (+23,+28,+0)
    >>1がんばるなー
    257 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 14:39:58.97 ID:J6WfcXyF0 (+95,+30,-209)
    杏子「ふー……」

    身体を拭いて、一息つく。

    脱ぎ捨てたパジャマを拾い、手で広げてみて…また顔をしかめる。

    杏子「布団だけならまだしも、あたし用に置いといた寝間着が消えてて、代わりにコレ……
       わんこの着ぐるみパジャマだもんな……」

    杏子「……うーん、やっぱ一度、槍と銃で存分に語り合う必要があるな、間違いない」グッ

    他に寝間着があるわけでもない。仕方なしに、その服を着て風呂場を後にする。

    窓からは朝日が差し込んでいるが、しんとした部屋に物音はない。
    まださやかは寝ているようだ。

    杏子「よっと……」ボスッ

    ソファーに腰を下ろし、何を見るわけでもなく目線を泳がせる。

    杏子 (……まだ、起きてこないよな………)

    杏子 (………)

    ぼーっと見開いていた目も、だんだんと重くなり視界が暗くなる。
    杏子は、いつしかソファーに横になって寝息を立て始めていた…
    258 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 14:46:04.11 ID:J6WfcXyF0 (+95,+30,-204)
    ――旅館の一室――

    カチャカチャ… カタッ…

    マミ「……正直、これが夕飯と言われても嬉しいぐらいよね」

    ご飯、味噌汁、焼き鮭、煮物、漬け物…奥には湯豆腐まで煮立っている。

    ほむら「普段の朝食なんて頑張っても食パン一枚が良いところだものね……」モグモグ

    マミ「フルーツグラノーラを軽く一杯とかね」ムグモグ

    ほむら「あれいいわよね」

    まどか「え、二人とも……そんな食生活なの……?」

    ほむら「一人暮らしはそんなものよ?」

    まどか「うう、そう言われると言い返せないけど……。何か良くない気がするよ……!」

    マミ「ふふ、本当は朝にしっかり食べるのが健康的らしいけれど……。
       実際は食べてるだけ良い方よ。朝は抜きって子、結構クラスに居るわ」

    まどか「朝ご飯食べると、すごく元気が出るのに……」

    ほむら「まどかの場合、お父さんが優秀だものね……。栄養バランスもよく考えられてそう」

    まどか「ティヒヒ、それはあるかも」
    259 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 14:52:48.28 ID:J6WfcXyF0 (+95,+30,-185)
    マミ「このとろろ美味しいわね……。ご飯何杯でも行けちゃいそう」

    まどか「あ、ご飯まだありますよ。おかわりしますか?」

    マミ (……食べ過ぎかな? でも……)

    マミ「………うん、鹿目さんお願い」スッ

    まどか「はい! ……あれ、ほむらちゃんはとろろ食べないんだね?」

    マミ「とろろご飯美味しいのに。おすすめよ?」

    ほむら「え!? えっと、いや他にもおかずいろいろあるじゃない、別にいいかなって……その……」

    マミ「……もしかして、嫌い?」

    ほむら「………」

    まどか「そう言えばほむらちゃん、納豆食べられないんだっけ……」

    マミ「あ、なるほど。ねばねば系の物が苦手なタイプね……。ふふふ、暁美さんにも意外な弱点があるものね。
       これは是非とも食べられるようにしてあげたい気がしてきたわ」ニヤリ

    ほむら「お願い、勘弁して……」

    まどか「わたしも好き嫌いは良くないなって、ずっと思ってたんですよね……ウェヒヒヒ」

    ほむら「本当にダメなのっ……!」
    260 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 14:56:59.55 ID:xckMZicg0 (-9,+0,+0)
    ウェヒヒヒww
    261 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 14:57:51.13 ID:xXeOkqPP0 (+24,+29,-27)
    とろろを無理矢理食べさせようとは……なんて卑猥なっ!?www
    262 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 14:59:38.91 ID:nk09GNAX0 (+45,+30,-142)
    マミ「まぁ、納豆パーティーはまた今度の楽しみに取っておくとして……」

    ほむら「いいから忘れてってば……」

    マミ「今日はこの後どうするの? 予定とかある?」

    ほむら「ああ、それなら。とりあえず、山の上でも行ってみない?」

    まどか「山登りするの?」

    ほむら「いえ、違うわ。……さっき、入ってきた『鴻の湯』の方、ほとんど山だったでしょう。
        あそこからもうちょっと奥に行くとロープウェイがあるらしいのよ」

    まどか「へぇー、温泉だけじゃないんだね」

    ほむら「今日も天気は良いし、景色も楽しめるんじゃないかしら?」

    マミ「それじゃ、食べ終わったら出かけましょう」

    ほむら「着替えもしてからいかなきゃね」

    まどか「うん!」
    263 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 14:59:52.07 ID:i1/cLZaz0 (+24,+29,-9)
    とろろがサービスシーンだったとは…
    264 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 15:06:28.20 ID:iToxuTuU0 (+17,+27,-1)
    まみまみ
    265 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 15:06:46.87 ID:nk09GNAX0 (+45,+30,-193)
    ――乗り場手前で――

    ほむら「はぁ、はぁ……。ちょ、ちょっと待って……」

    マミ「意外と体力無いわよね、暁美さん」

    ほむら「もともと病弱だもの……。はぁ、魔力で強化しなければ……こんなものよ」

    まどか「もうちょっとだよほむらちゃん、がんばって」

    ほむら「はぁ……。こんな階段があるなんて聞いてないわよ、ロープウェイなら下から作りなさいよね……」

    マミ「山頂まで歩くってんじゃないんだから、文句言わないの。ほら、手を貸してあげるから」

    ほむら「……ありがとう、上までよろしく頼むわ」グイッ

    マミ「えっ、ちょっ、そんなに体重かけないでよ!」

    ほむら「冗談よ。……どうせなら背負って貰いたいくらいだけれど」

    マミ「まったくもう……落ちても知らないわよ?」

    ほむら「ソウルジェムはわりと丈夫なのよ」
    266 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 15:12:57.96 ID:nk09GNAX0 (+45,+30,-186)
    ゴウンッ…

    まどか「動き出した!」

    マミ「っとと……。結構、揺れるわね」

    ほむら「あら、高いところは苦手かしら? マミ」

    マミ「そう言う訳じゃないけれど……。もしもの事を考えるとちょっと、ね」

    ほむら「ふぅん……これは使えそうにないわね。何かもっと重大な弱点が欲しい……」ブツブツ…

    まどか「ほむらちゃん……。さっきまであれだけ疲れた顔してて……」

    マミ「乗った途端にこれなんだから」

    ほむら「人の弱みを握ってニヤニヤしてる貴女が悪いのよ?」

    マミ「根に持つわね……ふふ」

    スピーカーから、明るい声で誰も聞かない観光案内が流れている。

    マミ「あら……もう駅があんなに小さく」

    まどか「もう、すっかり山の中ですねー……。見渡す限り緑色だよ」
    267 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 15:14:19.25 ID:i1/cLZaz0 (+35,+29,-41)
    マミさんとほむほむは陰湿に喧嘩して欲しい
    マミさんとあんこは掴み合い殴り合いの喧嘩をして欲しい
    268 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 15:17:27.02 ID:lal7zqxbO (+34,+29,-4)
    >>267
    コミカルにポカポカ殴り合ってる光景しか創造できない
    269 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 15:19:24.99 ID:nk09GNAX0 (+45,+30,-198)
    やがて駅どころか、街全体も小さく見えてくる。

    マミ「こうして見ると、すごく秘境って感じがあるわね。
       周りが全部山で、ぽつんと温泉街が密集してるのが良く分かる」

    まどか「本当に山奥の温泉だったんですね。電車で来たから、あんまりそんなイメージなかったけど」

    ほむら「……昔の人って、どうやって来たのかしら。平安時代からある温泉らしいけれど」

    マミ「えっ、そんな古くからあるの?」

    まどか「すごいねー。……あ、ほら、向こうに大きな川が見えるよ? 船で来たんじゃないかな!」

    ほむら「なるほど、それはありそうね」

    そうこうしているうち、5分もかからずゴンドラは駅へと着いた。

    まどか「あれ、もう到着?」

    ほむら「到着だけど、ここで乗り換えよ」

    マミ「ここには何かあるの?」

    ほむら「たしかお寺があったんじゃないかしら……。とりあえず一番上まで行きましょう?」

    マミ「そうね」
    270 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 15:25:41.16 ID:nk09GNAX0 (+45,+30,+0)
    赤いゴンドラから黄色いゴンドラに乗り換えて、また数分。

    山頂に到着した一行は、早速展望台へと昇った。

    まどか「いい眺めだねっ! これも写真に撮っとこうかな?」

    ほむら「えっと、あの川があって……ほら、左の向こう側はもう日本海よ」

    マミ「こんなに海の近くだったのねぇ……。道理でお刺身が美味しいはず……」

    ほむら「冬場だと、その日に水揚げした美味しいカニがたらふく食べられるって話よ」

    マミ「カニ……! あまりのおいしさに思わず無口になるというあの伝説の……!」

    まどか「わたしカニ苦手だなー、殻を剥くのが大変だもん」ピローン

    ほむら「! ……い、いくらまどかでも、カニを冒涜するその発言はちょっと許せないわ……」

    マミ「鹿目さん、口に気をつけないと命がいくつあっても足りないわよ……?」

    まどか「ちょ、ちょっと怖いよ? 二人とも!?」ズザッ…

    マミ「……なーんて、食べたこと無いから、本当に美味しいのかは知らないのだけれどね」

    ほむら「え、ダメじゃないマミ……。もう、もっと寒くなってから連れてくれば良かったわ」

    マミ「うふふ」

    まどか「あはは……」
    271 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 15:32:12.72 ID:nk09GNAX0 (+45,+30,-107)
    それから3人は、城崎中を楽しく歩き回った。

    温泉寺にお参りをしてみたり。文学碑を廻ってみたり。

    歩き疲れたとなれば、まだ巡っていない外湯に入り。

    木屋町小路に出てみれば、お酢を飲んで顔をしかめたり、甘いデザートに顔をとろけさせたり。

    水族館があると聞けば、足を伸ばして魚たちとにらめっこしたり。

    気づいたときには……もう日が暮れていた。

    マミ (きっと……。私の走馬燈には、今日のことがいっぱい出てくるんじゃないかしら)

    マミ (とても、素敵な時間だった……)
    272 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 15:37:10.12 ID:i1/cLZaz0 (-5,+4,-2)
    しえ
    273 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 15:38:19.71 ID:nk09GNAX0 (+45,+30,-190)
    ――ほむホーム――

    杏子「……マジで大丈夫か? 菓子とは違うんじゃないか?」

    さやか「何よー、失礼しちゃうわねー。あんたまであたしを見くびるわけ?」

    杏子「いや、そういうわけじゃないんだけど……」

    さやか「あのマミさんから仮免許皆伝を頂いた、このさやかちゃんに不可能は無いのだー!」

    杏子「その仮なのか皆伝なのか分かんないあたりがすげぇ不安なんだろーが……」

    さやか「……あたしね。厳しい修行の中で、とても大切なことを学んだのよ」

    さやか「ひとぉーつ。レシピをよく読むこと」

    杏子「ああ」

    さやか「………」

    杏子「え? ……それだけ?」

    さやか「あー、あと材料をちゃんと量る……こと?」

    杏子「よーし、出かける準備だ。ラーメンでも食いに行こう」トコトコ

    さやか「ちょっとー!」ガシッ

    杏子「離せさやかっ! あたしはもうちょっと長生きしたいんだ……!」ジタバタ
    274 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 15:44:40.12 ID:nk09GNAX0 (+45,+30,-198)
    杏子「で………結局、カレーか」

    さやか「うん。あたしだってそんな無茶したいわけじゃないし……。
        冷蔵庫の中身とか使って良いって言われてたから、見てみたらニンジンとかジャガイモとかあったし」ガサガサ

    杏子「そういや肉とカレールウぐらいしか買ってこなかったな」

    杏子 (まあ、これぐらいなら……ヤバいもんにはならない……はずだよな?)

    杏子「せいぜいできあがりを楽しみにしとくか」

    さやか「うん。あんたも手伝うのよ?」

    杏子「もちろんだ、作業現場を監視する必要があるからな」

    さやか「ぐぬ……見てなさいよ! あたしの本気!」

    さやか「まずは、お米をといでっと……」

    サラサラ… ジャバババ…
    275 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 15:48:06.85 ID:i1/cLZaz0 (+19,+24,-4)
    退席④
    保守は任せた
    276 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 15:51:05.07 ID:nk09GNAX0 (+45,+30,-226)
    さやか「んじゃ、ニンジンとジャガイモの皮むき頼んだ。これピーラーね」ヒョイ

    杏子「よし了解。全部剥けばいいんだよな?」

    さやか「うん、洗ってそこにあるやつ全部」

    杏子 (んーと、これ……当てて引けば良いんだよな?)

    シャリシャリ… シャリシャリ…

    杏子 (おお、剥けてる剥けてる)

    杏子「……面白いな、これ」

    さやか「必要以上に剥かないでよ?」

    杏子「食いモンを粗末にしないことに関してはプライドがあるから。任せろって」シャリシャリ…

    さやか「はいはい、そーだったわね。あたしはタマネギを切るかなっと……」

    さやか (半分に切って……) ズドンッ

    さやか (色が変わるまで皮を剥けばいい……んだったよね?) ペリペリ…

    さやか (大丈夫、いけるいける)
    277 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 15:57:26.46 ID:y39KFoVf0 (+20,+27,+0)
    頑張って

    支援します
    278 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 15:57:31.07 ID:nk09GNAX0 (+45,+30,-169)
    さやか「よーし。下ごしらえも終わったし、ここからが本番だね!」

    杏子「なぁ」

    さやか「ん?」

    杏子「………切ってないあたしが言うのもなんだが、不揃いだよな、野菜」

    さやか「う、うるさいよっ! 火が通ればいいのよ火が通れば!」

    杏子「まあカレーに関しては正論かもなぁ」

    さやか「とにかく先へ進むのっ。ええと、鍋に油をしいて、火にかけて……」ガタガタ…

    ピッ ウィーーン…

    杏子「これ、いつ見ても不思議だよな。なんで火もないのに温まるんだ?」

    さやか「んー? あいえっち、だっけ? 知らないけど……便利だしいいじゃん。
        魔法少女の変身だって、同じぐらいよくわかんないし」

    杏子「………それもそうだな」
    279 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:03:32.22 ID:nk09GNAX0 (+45,+30,-247)
    さやか「まずは、タマネギを炒めるのね」ザラザラ

    ジュゥー… パチッ…

    さやか「あつっ!? ……ちょっと飛んだような?」

    杏子「大丈夫か?」

    さやか「何とも無さそう」

    ガサッ ジュジュー…

    さやか「うん、このぐらいかな? 次は牛肉を入れて」

    ジュジュジュー…

    杏子「……うー、既にうまそうな匂いがするなあ」クンクン

    さやか「まだ調理は始まったばっかだっつーの。相変わらずの食い意地め……」

    杏子「仕方ないだろぉー、実際いい匂いじゃん」クンクン

    さやか「そうだけどさー」ガタガサ…

    さやか (んー……。もう火は通ってる、かな?)

    さやか「他の野菜も行こう」ザザザ…
    280 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:05:19.00 ID:iToxuTuU0 (+18,+28,+0)
    さやさや
    281 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:09:38.70 ID:nk09GNAX0 (+45,+30,-222)
    さやか「炒めはこんなもんかな……。焦げても無さそうだし、上出来上出来♪」

    杏子「次はどうすんだ?」

    さやか「えーっと……。杏子、そこのカップ一杯に水汲んで貰える?」

    杏子「カップ……これか」

    チョロチョロチョロ…キュッ

    さやか「そんで、それをこの鍋の中に」

    杏子「あいよ」ジャポポポポ

    さやか「それを……あと2杯半、入れればいいみたい」

    杏子「2杯半な。任せろ」ジョロジョロ…

    さやか「よっし、そしたら中火で煮込むぞー!」

    杏子「ほっときゃいいのか?」

    さやか「基本的には……多分。……あ、そうだ、灰汁は取らなきゃ駄目か」

    杏子「灰汁?」
    282 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:14:45.55 ID:koxthTOz0 (+14,+24,+0)
    さや
    283 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:16:05.72 ID:nk09GNAX0 (+45,+30,-195)
    さやか「え? 知らない?」

    杏子「悪じゃなくてか?」

    さやか「いや、灰汁。もうちょっと煮立ってくれば出てくると思うよ」

    グツグツ… グツグツ…

    さやか「ほら、鍋の周りに何か集まってきたでしょ」

    杏子「なんか泡っぽいな……。これが灰汁なのか?」

    さやか「うん。これを……ええとお玉は……。あった、これですくって捨てるのよ」

    杏子「え、捨てちまうのか!? 勿体ないじゃねーか……」

    さやか「………じゃ、食べてみる? コレ」

    そう言って、すくった灰汁を計量カップに移し、杏子に渡す。

    杏子「どれどれ……」ゴクッ

    杏子「………うえ、なんだコレ……!」ペッペッ

    さやか「ほーれ見ろ。美味しくないでしょ?」

    杏子「あたしが悪かったよ……。これは捨てるべきだ。うう、口濯ごう……」
    284 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:17:08.80 ID:iToxuTuU0 (+19,+29,+0)
    さやさやさい
    285 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:22:20.63 ID:nk09GNAX0 (+45,+30,-237)
    杏子「そういや、味付けってしないのか? 何か煮てるだけみたいだけど」

    さやか「んー……。レシピ見る限り、味付けはカレールウだけっぽいからなぁ」

    さやか (林間学校んときは、まどかが何か入れてたような気もするんだけど……)

    杏子「ふーん……。ま、変に手を加えたりしないほうが安全か」

    さやか「……正直やりたいなー、って思いはあるんだけどさ」

    さやか「マミさんに教わってるときに、これバナナとか刻んで入れたら美味しそうだ! とか言ったんだったかな?
        絶対美味しいですよ、やってみましょうよ、って言ってみたんだけど……」

    マミ『美樹さん? あなたは、料理における最も恐ろしい禁忌の一つを犯そうとしているわ』

    マミ『生半可な気持ちでレシピのアレンジをするとね……最悪死ぬわよ。私も、あなたも。本当に』

    さやか「とかって死んだ目で言われてさ……怖かったなぁ………」

    杏子「そりゃ恐ろしいモン見たな……。」

    さやか「あれ以来どーも気が引けて、手が加えられないのよねー……」

    杏子 (そんなに怒ることなのか………?)
    286 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:23:34.27 ID:noJK+h3o0 (+24,+29,-19)
    レシピをなめんな
    あれは先人たちの知恵の集大成だ
    287 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:25:37.72 ID:xdtdMa6v0 (+29,+29,-5)
    オレンジご飯や尾頭付き青魚鍋思い出した
    288 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:29:14.57 ID:nk09GNAX0 (+45,+30,-202)
    ルウを加え、弱火で煮込むこと数分。

    さやか「かーんせーい! どうどう、ばっちりじゃないこれ!?」

    杏子「おおー……。匂いも見た目もすげーうまそう……」ジュルル…

    杏子「さやかさやか、味見してもいいか?」

    さやか「あ、うん。熱いから気をつけなよ? ほれお玉」

    さやか (……大丈夫だよね?)

    杏子「どれどれ……」フーフー …ペロッ

    さやか「………」ゴクリ…

    杏子「………おい」

    さやか「! え……もしかして……」ダラダラ

    杏子「うめぇじゃねえか、これ!」ズルズル

    さやか「へ……? え、あっ、あったり前じゃん! あはは」

    杏子「へへ……あたしも手伝ってるせいかな、何かうれしい」モグモグ

    さやか「おいこらっ、味見って量じゃないぞそれ!」

    さやか (なんだなんだ、不安だったけどやっぱやれば出来るじゃんあたし! さやかちゃん上出来!)
    289 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:31:58.63 ID:ye2iVO1C0 (+24,+29,-3)
    さっすがさやかちゃんやればできる子
    290 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:34:06.34 ID:i1/cLZaz0 (+1,+11,-1)
    291 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:34:50.83 ID:y39KFoVf0 (+17,+29,-13)
    食いたい
    292 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:35:57.93 ID:nk09GNAX0 (+45,+30,-230)
    ――昭和を感じる遊技場――

    ザワザワ… ガヤガヤ…

    マミ「最後の一発ね……」

    マミ「はっ! (ティロ・フィナーレ!)」

    パシッ! ……コロン

    まどか「わ、全弾命中だ!」

    マミ「ふふ、こんなもんかしらねっ☆」フッ

    煙を吹くマネをする。

    ほむら「すごいわね、射的の銃なんてまともに弾が飛びそうにないのに。長年銃を打ち込んでるだけある」

    マミ「銃を出せるようになった当時は、全然当たらなかったんだけれどね……。鈍器代わりに殴ったりしてたっけ。
       暁美さんだって、銃は結構メインに使ってるじゃない」

    ほむら「私は時間を止めてから打つのにばかり慣れていたから……。近代的な銃ばかりだし。
        そんな、恰好をつけて射的で百発百中させる芸当は出来ないわ」

    マミ「か、恰好つけてって……///」

    ほむら「ほら、まどかみたいに身を乗り出すのが、射的本来の伝統的スタイルだと思うのよ。
        あ、でもまどか、それ以上乗り出すと向こう側に落ちるわよ」

    まどか「えへへ……気をつけるよっ!」パンッ!
    293 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:40:50.28 ID:iToxuTuU0 (+14,+24,+0)
    ほむほむ
    294 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:40:52.82 ID:vGlX4hGa0 (+24,+29,-35)
    懐かしいわ、温泉寺で大学合格祈願の護摩焚いてもらったっけなぁ
    水族館もってことは日和山も行ったのか
    295 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:41:59.93 ID:nk09GNAX0 (+45,+30,-242)
    まどか「ううー、結局ダメだったよう……」

    マミ「鹿目さん、何回も挑戦しすぎよ……」

    まどか「だって二人とも成功してたんだもん! わたしもやりたかったー……」

    ほむら「そんなに全弾命中に拘らなくても……。ほら、そこでフレッシュジュースでも飲みましょう? 機嫌治して、ね?」

    まどか「ウェヒヒヒ……ほむらちゃん大好きっ!」ギュウッ

    ほむら「え、ま、まどか……///」

    抱きつかれて少し体勢を崩し、ほむらが下駄を踏む足に力を入れる。と、

    ブチッ

    ほむら「きゃっ」ズテッ

    まどか「えっ? え、ごめん! 大丈夫!? ほむらちゃん!」アタフタ

    ほむら「ええ、何とか。……下駄の鼻緒が切れてしまったみたいね」

    マミ「怪我は無い?」

    ほむら「大丈夫よ。ちょっとお尻を付いただけですんだわ」

    マミ「肩を貸すから、少し二人三脚気味に帰りましょう?」

    ほむら「ありがとう、助かるわ。……それにしても、不吉ね」
    296 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:48:40.08 ID:nk09GNAX0 (+45,+30,-191)
    ――ほむホーム――

    ガラガラガッシャーン!

    杏子「ああっ! くっそー、負けたっ」

    さやか「ははは、さやかちゃんに勝とうなんて10年は早かったわね!」

    杏子「ちっくしょう、ジェンガはダメだ、あたしが勝てそうなのは……」ゴソゴソ

    さやか「何回ゲーム交換してんのよ、負け続きだし……」

    さやか「……それにしても、ほむらの家も随分おもちゃ増えたよねー。遊びに事欠かない」

    杏子「持ち込んでる本人が何言ってんだ。ほむらも仕舞う場所に困ってたぞ」

    さやか「まあそうなんだけどさ」

    さやか「……転校生、って呼んでたときのこと……何か思い出して」

    杏子「転校生? ……ああー、ワルプルギスの夜の一ヶ月前に転校してきたんだっけ、ほむらの奴」

    さやか「うん。最初は、綺麗な顔して無表情で、何かいけ好かないヤツだな―とか思ってた」

    杏子「……それ今でもあんまり変わってないだろ?」

    さやか「まあね」
    297 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:54:11.62 ID:nw0wNuIn0 (+29,+29,-4)
    ずっと見てるけど終らせないでほしい感がすごい
    298 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:54:52.08 ID:nk09GNAX0 (+45,+30,-203)
    さやか「でもさ、ほむらは意外と面倒見が良くて、優しくて、ただ不器用な可愛いヤツって……中身はそんなかんじじゃない?」

    杏子「んー、まぁそうかもな。結局憎たらしートコ残るけど」

    さやか「魔法少女の世界に巻き込まれていくうちに、なんだかそれが分かってきて……」

    さやか「それで、誘われて初めてこの部屋に来たときに、すごく寂しい部屋だって思ったんだよね」

    杏子「………」

    さやか「何て言うか、生活のための最低限の物を置いただけで、他は一切排除しちゃいました!
        みたいな殺風景さがあって……痛々しかったのよ」

    杏子「そうかもな……」

    さやか「それをちょっと変えたかったのかな。いろいろと持ち込みはじめたのはさ……」

    杏子 (………)

    杏子「……そ、そういう所があるさやかが、あたしは……好きだよ。真っ直ぐな優しさでさ」

    さやか「……! へへ、素直な杏子ちゃんも可愛いわねっ!」グリグリ

    杏子「ちょ……茶化すなよ、真面目な話してんだろーが……///」

    さやか「……ありがとっ」ニカッ

    杏子「………」
    299 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 16:59:41.64 ID:ye2iVO1C0 (+19,+29,-3)
    淫獣が気になって仕方ない
    300 : 以下、名無しにか - 2011/10/16(日) 17:01:50.02 ID:nk09GNAX0 (+45,+30,-247)
    杏子「……っ! おっと、こいつは……」

    さやか「どした?」

    杏子「使い魔……いや、これは魔女の反応だよ。マミの留守中にホントに出たな」

    さやか「え、マジで……!?」

    杏子「さーて、ようやくあたしが活躍する場面ってわけだ。ちょっくら行ってくるよ」ポキポキ

    さやか「あ、その……」ソワソワ

    杏子「ん?」

    さやか「あたしも行くよっ! 心配だよ」

    杏子「何言ってんだ、さやかは魔法少女じゃないじゃんか。危ないぞ」

    さやか「そうだけど……」

    杏子「大丈夫だって、あたしだってそれなりに魔女退治のベテランなんだ」

    さやか「でも……」

    杏子「いーからまかせて待っててくれよ。……さやかが待っててくれたら、その、ちゃんと帰ってこられるから」ポン

    さやか「………うん、分かった。……気をつけてね?」

    杏子「おう、じゃなっ」 ギィー パタン…
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