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    元スレ女「ちょっと、そこのおにーさん」

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    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★★×6
    タグ : - ソードアートオンライン + - ハーレム + - メイド + - メンヘラ + - + - 女みんなのお風呂に + - 完結 + - 神スレ + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    1 :

    「はい?」

    「み、道、聞きたいんだけどさ…へっくし!……うぅ、さぶい…」

    「…そりゃ、この雪が降ってる中で寝巻みたいなカッコでうろついてたら、寒いだろうよ」

    「へっくしゅ!…うん、めちゃさぶい。ていうか、寝巻だし…でね、おにーさん、へっくし!! う゛ー…」

    「はぁ……とりあえず、これ着ろ。傘に入れ」

    「わーい。ぬくーい……って、おにーさん、見ず知らずの私のコートを貸したりして、もしかして……いいひと!?
     それとも私の体が目当てなのね!? くっ…こんなコート一枚で……でもぬくいからコートを手放せないっ…
     くやしいけど、感じちゃっ……あーでも、感じてはないなー」

    「いいひと! いいひとの方だから!…ふぇっ…へっくし!」

    「なんだ…いいひとの方か……てっきり私のぷりんぷりんナイスバディが…ふぇっくし!」

    「どこがぷりんぷりん…」

    「あ、見る? 見る? 見たい? あーでも、どしよっかなーさむいしなー…あ、そうだ、どっかあったかいとこで」

    「見ないから」

    「あ、そだ、私、こんなエロスおにーさんに関わってる場合じゃなかった…ごめんね、おにーさん、コートありがとー」

    「待て待て! 俺のコートをどこに持っていくつもりだ、お前は」

    3 = 1 :

    「いいじゃん、コートくらい」

    「俺が寒いだろ」

    「ついでに、その傘もつけてほしい」

    「俺が濡れるだろ」

    「えーでも、それじゃ私も帰れないしぃ――って、そうだ道聞きたいんだった!」

    「ああ、そう。交番はそこの角を曲がって2~3キロ行ったとこにある」

    「でね、おにーさん、ここらへんに、白くて四角い病院ってあるじゃない? それどこ?」

    「だから、道を尋ねたいなら、交番に……いや、白くて四角い病院って…え、ちょっと待って」

    「ライフラインは…テレフォンとオーガニズムが残ってるよ!」

    「違うから。オーディエンスだから」

    「ファイナンシャルプランナー?」

    「ファイナルアンサー!」

    「………………残念!」

    「だから、なにが…」

    4 = 1 :

    「そうそう! ここ! ここ! すごい! おにーさん、あれだけのヒントでたどり着けるなんて! やるじゃん!」

    「…なぁ、お前やっぱりわざとだろ? 実は病院の場所知ってたんだろ?」

    「んなわけないじゃん? 知ってたら、わざわざおにーさんみたいな不審者に声かけないって!」

    「お前、今親切にも道案内してくれた人に不審者って言った?」

    「よし。病院にも帰り着いたし…おにーさん、もう用済みだから帰っていいよ」

    「よ、用済み…」

    「なんてね! 冗談冗談! しかたないなー、おにーさんにはお世話になったし……わ、私の…しょ、処女をあげる!」

    「さ、帰るか」

    「えー…せっかく恥ずかしいのガマンして言ったのにぃー……おにーさん、もしかして童貞?」

    「ど、どっどっどどどど童貞じゃありません!!」

    「えーそれじゃ、経験人数何億人くらい?」

    医者「いや、さすがに億はムリでしょ……僕の医学的な経験に培われた目から見て……そうだなぁ……二次元に38人、三次元に0人ってところかな」

    「………誰だよ、あんた」

    5 = 1 :

    医者「誰だ…って? 見てわからないかい?」

    「うーん…お医者さんのコスプレが好きな人?」

    「いや、きっと、この病院の患者で自分のことを医者だと思い込んでる…」

    医者「この病院の医者! お医者さんだからね! ほらカギカッコの横にも『医者』って! ね? それに君、僕の患者でしょうが!」

    「先生、ただいまー」

    「ああ、ホントに医者だったんだ」

    医者「おかえり。ダメだよ、こういう不審者を病院に連れてきちゃ…」

    「はーい」

    「誰が不審者だ誰が! てか、お前も素直に返事してんじゃねぇ…」

    医者「あと、病院の前で勝手にワイ談とかしない。ご近所の目もあるからね。ちゃんと僕も参加させるように」

    「はーい」

    「いや、それダメだろ」

    6 = 2 :

    くっそっ!気になってオナニーに集中できねぇ!

    7 = 1 :

    医者「いやー悪かったね。ウチの子がめんどうかけて…はい、コーヒー」

    「あ、どもっす」

    医者「うん」

    「………」

    医者「………」

    「………あの、あいつ、ここの患者って……どっか悪いんすか?」

    医者「まぁ、悪いといえば悪いけど……って、気になる? あの子が気になるわけ? 恋? それは恋なのかな?」

    「ち、ちがっ…ばっ……違うっつーの! 会話がなくて困って、ムリヤリ話題を作っただけで」

    医者「まぁまぁ…落ち着いて、コーヒーでも飲みなさい」

    「え? は、はぁ……じゃあ………って、これ、ソースじゃねぇか!」

    医者「あ、やっぱわかる? やっぱ、匂いでわかっちゃうよねぇ…」

    8 :

    なんだこれ

    9 = 1 :

    「お茶淹れたよー…って、何の話してるの?」

    医者「ああ、聞いてくれ。彼は君にたぎる獣欲を抱いているらしい」

    「抱いてねぇ! てか、なんなのその某国書院的な表現!?」

    「…あー……ごめんなさい。私、処女だから童貞はちょっと…」

    「おい、童貞なめんな」

    医者「…うわ、ひくわー…『俺は何本もAVを見てるから、何人もの女体を犯してきた経験があるといっていい』とか言っちゃうんだぜ?」

    「えーそれひくーどんびきー」

    「言った? 俺、そんなこと言った? ねぇ?」

    医者「まぁまぁ…落ち着いて、お茶でも飲みなさい」

    「え?………………んー」

    「なんでそんな執拗に匂いをかいでるの? 普通のお茶だよ?」

    「い、いや、だって、二段オチかもって…」

    10 = 1 :

    「ええと…言いにくいんだけど」

    「なに? おしっこ? トイレは部屋出て、右にまっすぐ行って、右側にドアがあるから、
     そこから外に出て、右に行って2ブロック先の公園にあるよ?」

    「違うから。…ていうか、ここのトイレ使っちゃダメなの?」

    医者「なんだい? 尿瓶かい? ちょっと聞いた? 彼は、“看護婦さんからムリヤリ尿瓶プレイ”がしたいらしいよ!?」

    「いやいやいや、尿瓶の話とかしたか? 今尿瓶って言いだしたの、あんただよな?」

    医者「うんうん。ちょうどいい。ナース服も着ていることだし、君がやってあげなさい」

    「えぇっ!? し、仕方ないなぁ……おしっこだけだからね? 出すの」

    「え………って、しないから! てか、聞きたかったこと、それ! なんでお前、患者なのにナース服……え、この服、ナース服って正式名称なの?」

    医者「ええと、尿瓶…尿瓶……と、あったあった」

    「探すなよ。聞けよ、ひとの話」

    「ふむふむ…尿道に刺激を…」

    「マニュアル読むなよ。だから聞けよ、ひとの話」

    11 = 1 :

    「だって、私、服持ってないし」

    「はぁ?」

    医者「うん。彼女、私服は寝巻しか持ってなくてね。僕のコレクションを貸してあげてるんだ」

    「いいでしょ? これ、隣町の大学病院のナース服だよ? ほら、スカートの裾の切れ目がシャープ」

    医者「いやいや、このナース服の特筆すべきはスカートじゃなくて、腕の裾の方! ほら、ここの縫製を見てごらん?」

    「み、見てごらんと言われても」

    「そうだよー。普通の男の子はそんなとこじゃなくて、胸とかパンツが見えるかとかにしか興味ないんだから」

    「ええと…」

    医者「なんだと………しかたない。ここはアレを出すしかないな……悪いが着替えてもらえないか? あの駅前の私立病院のやつに」

    「えー…アレ、胸とか全体的にキツいし、裾短いし」

    医者「うむ。もともとがサイズが小さい上に、もうワンサイズ小さいナース服だからな。ぴちぴちっぷりに彼の煩悩が暴走することもやむをえまい」

    「そう? んー……わかった、ちょっと待ってて」

    「いや、いいから! そういうのいいから!」

    12 :

    久々におもしろそうなのあたったぞw

    13 :

    面白そう

    14 = 1 :

    「寝巻しか持ってないって、どういうこと?」

    「ん?」

    医者「ああ。もしかして、君は僕が自分の趣味で彼女にナース服を着せているんじゃないかと疑っているのかい?」

    「え? 先生の趣味じゃなかったの!?」

    医者「まぁ、そういう面も否定できないな、うん」

    「いや、そうじゃなくて…おかしいでしょ? 家に着替え取りに帰ればいいし……そもそも、お前、入院するほどの病気なのか?」

    「え? うーん……体は、いたって健康?」

    医者「そうそう。ここに来た時はボロボロだったけど、今じゃ、完全に健康体そのもの! なにせ僕が診たからね!」

    「ますますわからん…」

    「えーっとね…」

    医者「つまり、この子、頭が悪いんだよ」

    「そうそう、頭がね――って!?」

    「あー」

    「なんでそこで、『なるほど』って顔するのよぅ…」

    15 = 1 :

    「…きおくそうしつ?」

    医者「そう。外傷性健忘症ってやつ。全生活史健忘…つまりは最もポピュラーな記憶喪失。
     障害されてるのは主に自分に関する記憶であり、社会的なエピソードは覚えているようだね」

    「また、先生ったらウィキペディアをコピペしたようなことを…」

    「………つまり?」

    「ここは誰!? 私はいつ!?……みたいな?」

    医者「って、わけでさ。着替えを取りに帰ろうとも、名前もわかんないし、家の場所もわかんないし、わんわんわわーん」

    「にゃんにゃんにゃにゃーん」

    「いやでも、財布とかケータイとかあったら」

    医者「だから、なかったんだって。小銭入れしか」

    「ケータイくらい携帯しとけ!って話だよねぇ」

    16 = 1 :

    医者「でさ、K察に聞いても、行方不明者に該当する子はいないらしいし。捜索願とか出てないみたいなんだよね」

    「きっと、天涯孤独な薄幸の美少女だったのね!」

    「………」

    医者「と、いうわけ。で、ケガの方は完治して、しばらく経つんだけど、記憶戻んないし、困ったなー…
     手術費用やベッド代けっこうするんだけどなーって」

    「恐怖の無保険治療!?」

    「………」

    医者「おーい? 聞いてる?」

    「……聞いてます」

    「え、なに? なんで、おにーさんが暗くなってんの?」

    「いや、だってさ…」

    17 = 1 :

    医者「………さ、さて、盛り上がってきたところで、後は若い人同士で♪ おほほほほ」

    「見合いか!? ていうか、盛り上がってないよね? 盛り下がってるよね? この空気で二人きりになれと!?」

    「あ、いや、俺…」

    医者「はぁっ…しかたない。僕の白衣を貸してあげよう。2時間くらいは戻ってこないから…」

    「ええっ!? それって、もしかして“ドジッ子看護婦さんを虐める医局長プレイ”をやれってこと!?」

    医者「いいや…彼の趣味はそっちじゃない。“ドS看護婦さんに責められる新米医師プレイ”だな……はい。あんまり汚さないでね」

    「って、おもむろに白衣を肩にかけるな! するか! そんなプレイ!」

    「ふふふ…看護婦さまとお呼び!」

    「始めんな……なんだよ、その『女王様とお呼び』の下手な改変は…」

    「え? ええとこっちの方? 『すいません…医局長、おそうじ中に大事にされてた壷を割ってしまって』」

    「それはメイドのシチュエー……って、いないし、あのアホ医者!?」

    「…おしおきしてくださいっ! 医局長!」

    「いや、もうそれもいいから」

    19 = 1 :

    「ええと…ご趣味はなんですか?」

    「お見合いか」

    「まぁ…ソフトSMを? どんなシチュエーションで? えぇ、鉄の処女!?」

    「いや、なんでいきなり夜の趣味なんだよ、つか、ソフトじゃねぇ…それソフトじゃねぇって」

    「私も、お琴を少々…」

    「…普通じゃん」

    「弾けませんが…」

    「弾けないのかよ…じゃあ、少々琴でなにすんだよ…」

    「わぁ、私たち、ぴったりの趣味ですね」

    「どこが」

    「成田離婚を前提に結婚しましょう」

    「話が早すぎ」

    「子どもは……そうね69億人くらいかな」

    「世界人口か」

    20 = 1 :

    「とまぁ、そんな感じで」

    「…どんな感じだよ?」

    「ええと、まぁ、そんなに不幸ってわけじゃないから、気にしないで?」

    「気にするなって…」

    「だってさ、もしかしたら、前はものすごい借金地獄でソープで麻薬売ったり、マグロ釣ったりしてたかもじゃん?
     それに比べたら、今は担当の医者が変態なだけで平和だし天国だよ?」

    「……そ、そうか? 前向きだな」

    「うん。前向きに明るく元気に生きてたら、たいていの不幸は不幸じゃなくなっちゃうでしょ?」

    「まぁ……不幸になったときにも前向きで明るく元気でいられたらな」

    「そう。だから、私は記憶がなくても、全然不幸じゃないのだよ!」

    「…そっか」

    「むしろ幸運と言っていいかも! ほらだって、記憶がないからってサーカスに売られたりしたら」

    「いや、それはないだろ…」

    21 = 1 :

    「そーゆーわけ!」

    「…まぁ、いいけどさ」

    「うん! と、いうわけで、おにーさん、今日はありがと。助かったーうん、マジ感謝」

    「え? ああ」

    「さ、帰ったら? 日が暮れて結構経つよ? カラスが鳴いたら帰らないと……ママンに鍋でグツグツ煮られるよ?」

    「怖いよ!? そんな母親いないし! てか、一人暮らしだし!」

    「え…ニートじゃなかったんだ…」

    「ち、違うし! ちゃんとアルバイトしてるし!」

    「へー、コンビニで『らっしゃい! 今日は何握りましょうか!?』とか言ってるんだ?」

    「それ、コンビニじゃない」

    22 = 1 :

    「それじゃ、帰るから」

    「うん、ばいばい」

    「ああ、じゃな」

    「……お、おにーさんっ」

    「ん?」

    「あ………な、なんでもないっ」

    「…なんでもなくないだろ」

    「え、いや、んと…さ………うん、ほんとになんでもない」

    「………そうか、じゃな」

    「ち、違うでしょ! そこは、もうちょっと優しく『どうしたんだい、ベイベー』とか聞いてくれるとこでしょ!?」

    「ええー…どーしたんだいbaby?」

    「わー、おにーさん発音いいー」

    「だろ? 実はな、あの石川選手オススメのスピードラーニングを始めてさ…なんと聞くだけで英語がぺらぺらに!」

    「宣伝か!……って、なんで私がツッコミを!?」

    23 :

    いいね、しえん

    くっつくのかな?

    24 = 1 :

    「………」

    「あの」

    「………ぁ…ぁり」

    「用、ないんだったら、帰るけど」

    「言おうとしてたでしょ!? 今、『ありがとう』って、恥ずかしいのにちゃんと言おうとしてたでしょ!?」

    「え…そ、そうなん? なにが?」

    「だ、だから……その、コートとか?」

    「なんで疑問形?」

    「察してよ!」

    25 = 1 :

    「えっと…それ、さっきも聞いたんだけど?」

    「だ、だから……その、コート貸してくれて、傘入れてくれて、ここまで連れてきてくれて……話、してくれて」

    「………はぁ?」

    「うれしかったの! ほんとにうれしかったの! だから、ありがとって言ってんの! わかった!?」

    「わ、わかった…」

    「ならよし! 帰れ!」

    「…う、うん、帰る」

    26 = 1 :

    医者「あれ? もう帰るの?」

    「あんた、そんなとこで何してんすか?」

    医者「………早漏か。2時間もいらなかったということか…悪い、過剰評価していたね」

    「あのさ、怒っていい?」

    医者「まぁまぁまぁ。この寒い中、こんなところで君を待ってたんだから、話くらい聞いてよ」

    「………なんすか」

    医者「お願いがあるんだけどいい? 聞いてくれる?」

    「内容による」

    医者「わぁ、かわいくなーい。お願いっていうのは、もちろん、僕の肉奴隷にならないかっていう――ああ、ウソウソ」

    「あんたには、マジメさとか真剣さってもんがないのか……」

    28 = 1 :

    医者「これからもさ、ちょくちょく来てくれない? あの子に会いに」

    「………なんで?」

    医者「あれ? あの子のこと嫌い? ラブ注入されてなかったの?」

    「どんなだよ…」

    医者「まぁ、別に好きでも嫌いでもいいんだけどね」

    「はぁ?」

    医者「大した問題じゃないし…嫌いじゃないにこしたことはないけど」

    「いや、なに言ってるのかわかんないんすけど…」

    医者「ほら、あの子、記憶がないでしょ? それってさ、家族や友達なんかが誰もいないってことなんだよね」

    「………」

    29 = 1 :

    医者「自分の周りに、自分とかかわりのある人間が誰もいない……それって、さみしいでしょ?」

    「…まぁ、そうかもな」

    医者「だからさ、ここで会ったのも何かの縁ってことで、あの子に会いに来てやってくれない?
     ほら、君みたいなフリーターくずれが世の中の役に立つことなんてそうないんだしさ」

    「……まぁ、そうかも………なんでフリーターって知ってる?」

    医者「それはもう盗聴してたからね。最初から最後まで聞きまくり。ちなみに現在の部屋の様子も聞きまくり…あ、泣いてるなぁー」

    「マジか!?」

    医者「ううん、ウソ。今、無人」

    「………」

    医者「あははは。ま、そういうわけだから、また来てね? お見舞いってことで、花束とか果物とか松坂牛とか持ってきていいからね?」

    「持って来るか!」

    30 = 1 :

    「よ」

    「え」

    「…えーっと、ほら、みかん」

    「って、なんで!? なんでいるの!?…って、やだ、来るなら来るって……ああ、髪ボサボサなのに」

    「…みかん嫌いだったか?」

    「え? ううん、みかん大好き――じゃなくて、何しに……ちょ、ちょっと待って、向こうむいてて、鏡、鏡…」

    「見舞いに来たから……その、みかんをだな…あ、口んとこに、ヨダレのあとがついてるぞ」

    「だ、だから!! 向こうむいてって言ってんじゃん!!」

    「で、そこで、おばちゃんがみかん売ってたから、買ってきた。300円で」

    「払う! 払うから! 300円払うから!! 向こう行って!! 出て行って!!」

    「…いや、金は取らないけど」

    31 = 1 :

    「どーよ?」

    「また、ナース服か」

    「しかたないでしょ、これしかないんだから……て、外側じゃなくて中身! 中身を見て!」

    「………」

    「美しさのあまり声も出ないと……ていうか、寝起きに来るのやめてよね」

    「こんな時間まで寝てたのかよ…」

    「美少女のいちばん無防備な時間を狙うとは……この変質者!!」

    「いや、バイト終わりの時間がこれくらいだから」

    「へーそうなんだ」

    「あ、みかん食うか?」

    「食べる食べるー」

    32 :

    追いついた
    久々にwktk

    33 :

    もう少し隙を見せずもう少し語彙力のあるマシンガントークができたらこの娘はもっと輝ける

    34 = 1 :

    「で?」

    「『で』、とは?」

    「なにしにきたの?…ま、まさか、告白!? プロポーズ!? 結婚を前提としたお付き合い!?
     ああ…美しさって罪……たった一度まみえただけで、まさか恋の奈落に落としてしまうなんて…っ」

    「お見舞い」

    「あ、そうなの? なんで?」

    「なんで…って、そりゃ、入院してるやつに会いに来るのは、お見舞いだろ?」

    「そじゃなくて、理由。まさか本当に恋?」

    「……そんなわけないだろ」

    「なんだ…じゃ、同情の方かーちぇー」

    「………同情ってわけでも」

    「ま、同情でもうれしいんだけどね。ふふっ…ね、みかん、も一個食べてもいい?」

    「…いいけど」

    37 = 1 :

    ――――

    「…だから、寝起きに来ないでよぉ…」

    「こんな時間まで寝てるお前が悪い。昼だぞ? 昼!」

    「だってぇ……寝る子は育つ……ちょっと待ってぇ……もぉ…」

    「ほら、みかん」

    「わぁーい…眠い…」

    「俺だって、バイト上がりで眠い…」

    「だったら、寝てから来てよぅ……うぅ…さむい…」

    「って!? 脱ぐな!! 脱ぐな!!」

    「だってぇ……って、なんでいるの!? 出て行ってって言ったでしょ!!」

    「言ってねぇ!! 聞いてねぇ!!」

    38 :

    さるよけ

    39 = 1 :

    ――――

    「ふはははは! よく来たな!」

    「帰ります」

    「帰るなよぅー…遊んでいけよぅー…なにするなにする指スマ? センダミツオ? ナハナハ?」

    「なんなのそのテンション…」

    「徹夜明け!! 低いねぇーそっちのテンション!! いちにょっきー!!」

    「バイトで疲れてんの。超眠いの」

    「だったら寝る? ここ。今なら、私の添い寝もサービス! うふん」

    「……え?」

    「なんてねなんてねー! なに本気にした? 想像した? エロス? エロス?」

    「帰ります」

    「みかん! みかん置いていって! みかん!」

    40 :

    すごくいいな
    支援

    41 = 1 :

    ――――

    「だーれだっ?」

    「……見ず知らずの他人だな」

    「ち、ちっがーう! ちがうでしょ! よく見て聞いて触ってよ!」

    「聞いてもわからない、そもそも目隠しされてるから見えないし…当たり前だけど触らないし」

    「ほら。この声! 声! ね? なんか聞き覚えがあるというか毎日夢に見るというか! 
     え、夢に見るの!? それって、つい運命的なモノを感じぜざるを得ないというか!!」

    「悪夢?」

    「ひどい! もしかして、キスしないと私の記憶が思いだせない呪いにかかってしまったというの!?
      し、仕方ないなぁ…で、でも、このキスは人工呼吸的なあくまで救急ものであって、
     別に大好きとか愛してるとかそういうんじゃないからね!勘違いしないでよね! してもいいけど!」

    「…とりあえず暑苦しいし、手ぇどけて…つか、記憶喪失なのはお前だ……」

    「ノリわるーい」

    「はいはい、みかんやるから」

    「わぁい、みかんみかんー」

    42 = 1 :

    ――――

    「だーれだっっ!?」

    「……こ、この声はっ! やはり復活していたのかっ! 魔王!!」

    「ふははははは!! 結婚を前提に世界の半分をお前にやろう!!」

    「いらないから。しないから」

    「……うーん。今どき魔王は無いよね、せめて魔軍司令だよね…30点。もちろん100点満点中」

    「ノってやったのに…この仕打ち」

    「いいから、みかん出せよ、みかん」

    「……俺は、お前のみかん係か?」

    「そんなことより、そろそろみかん以外のお見舞いが欲しい」

    「え…お見舞いって要求するもん?」

    「うーん…ていうか、そろそろこのみかんオチも飽きたっていうか…あ、みかんは飽きてないから、
     毎日でも持ってきて欲しいんだけどね」

    「……よくわからんが、わかった」

    46 = 1 :

    ――――

    「えと、これは?」

    「お見舞いの品」

    「みかんは!?」

    「あるけど」

    「ふぅ…よかった。で、これなに?」

    「いや、開ければわかるけど、服」

    「え?」

    「いやほら、だって、私服持ってないって言ってただろ? だからさ…いや、俺も趣味とかアレだし、わからんし
     ジャスコでマネキンが着てるのそのまま買ってきたって言うか。もし気に入らないんだったら、返品してくるし
     その、なんだ、サイズとかも適当なんだけど、合わなかったらごめんっていうか」

    「ふふっ…ありがと。うわーなにかなーなんだろなーメイド服かなーチアガールかなーもしかして体操服ー?」

    「……あの…ジャスコで買ってきたって言ったよね、俺。なんでそんなコスプレみたいな…」

    47 = 1 :

    「うわぁ…」

    「…い、いやだった?」

    「ふっつー…めっちゃ普通の服だ…」

    「…ふ、普通で悪いかよ?」

    「うーん、どうだろ?」

    「はぁ?」

    「とりあえず、出て行け」

    「な、なんで!?」

    「着替えるから」

    「え?」

    48 = 32 :

    にやにや

    49 = 1 :

    「どう? どう似合う? どう? 自分が用意した服を着た女にエロスを感じる? 感じちゃう?」

    「…似合うんじゃね?」

    「いや、サイズもけっこうぴったりじゃないけど合ってるし! さすがストーカー! いつ測ったの!? 揉んだ!?」

    「測ってないし、揉んでない…」

    「ね? 似合う? 似合う? 回ったら、スカートふわって、パンツ見える?」

    「似合う似合う…って、ま、回んな!」

    「似合うかなぁ? ねぇ? かわいい? 素敵? 鼻血が出る? ふふっ」

    「……あー…はいはい、似合ってる似合ってる…」

    「どう? どう? こういうポーズ? 写メる? 写メる?」

    「撮んないっつーの」

    「やだなぁーもう…なんだろこれ、すごくうれしいっ」

    「………そ、そか」


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