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    元スレ一方通行「最近、妙に心臓がドキドキするンだが」打ち止め「?」

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    タグ : - とある魔術の禁書目録 + - らき☆すた + - 一方通行 + - 打ち止め + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    101 = 51 :

    ――――学園都市には、『超電磁砲』のいう軍用量産型クローンがいる。

    そんな噂が流れはじめたのは美琴が中学に入った頃のこと。
    素体とされる彼女自身も最初は『ただのくだらない都市伝説』だと思っていたが、

    彼女たちは実際に誕生していた。
    理不尽なレールを走らされる為に、たったそれだけのために。

    超能力者量産計画、絶対能力進化計画、第三次製造計画。

    それ等の『計画』の果てに。

    2万飛んで二人の『超電磁砲』のクローンは生をうけたのだ。

    102 :

    最近通行止め不足だったから嬉しい
    糖度が足りないけど
    支援

    103 = 51 :

    彼女らの総称は『妹達』であり、
    打ち止めもまた『妹達』の一員で、検体番号二〇〇〇一号のミサカだ。

    現在も、およそ半分が地球上の何処かで研究機関・施設の保護の下、懸命に生きていることだろう。

    残りの半分は、絶対能力進化計画によって―――、いや、違う。

    今、美琴の目の前にいる、白い髪に赤い眼光を有するこの男の手によって、殺された。

    104 = 51 :

    一方通行による妹達虐殺。
    ―――その事も、もう八年も前のことになる。

    それから、一方通行は彼なりの贖罪の道をひた走り、今に至る。

    殺し合いをし、敵対しあった『超電磁砲』と『一方通行』が
    世間話をする程度に時は流れ、平和な日常が訪れた。



    打ち止め、ひいては『妹達』が学園都市や世界を取り巻くモノから解放された時、

    『正体を隠さずに、自分が自分であることを誇りに思って生きていたいの、ってミサカはミサカは全ミサカ達の希望をのべてみる』

    そう言って、彼女たちは今の生活を、
    『クローンである』という事を隠さない生活を、選択した。

    故に、学園都市の周囲で『妹達』は公然の存在となったのだった。

    106 = 51 :

    倫理上の問題から、人的なクローンは今も昔も『妹達』以外は存在しない。
    だからこそ、彼女たちは余計に目立つ。

    先ほどの小さな声は、打ち止めにとっては日常で聞かれる囁きだろう。

    辛くても、弱音を吐きたくなっても、選択したのは『妹達(自分自身)』


    クローン。
    人工的な存在。
    作りだされた、マガイモノ。


    『――――ああ、なんて、気味が悪いのか』


    そんな、ちいさな声は百、千、万と、この街には転がっている。

    路上に投げ捨てられている空き缶のように身近にあって、それでいて大量に。

    108 = 51 :

    「―――大丈夫よ」

    美琴は、迷うことなく断言する。

    一方通行に聞かせるように、
    遠巻きに自分たちを見てきた少女たちに聞かせるように。

    良く通る声で、大人になっても愛らしさが残る、その笑顔で。

    「私の妹はね、強い子ばかりだもの」

    聞かされる方が逆に呆れかえるほど、堂々と。
    「いいでしょ?」と自信満々に、美琴は言葉を紡ぐ。

    「打ち止めも、番外個体も、御坂妹も、他の『妹達』も」

    自慢の妹なのだから、大丈夫なのだと美琴はつげる。

    109 = 51 :

    「それに、アンタもいるしね」

    最後に付け加えるようにそう言って、美琴は右での人差指で一方通行のことを指差す。
    悪戯に成功した子供のような笑顔で茶化すように、言葉を羅列しはじめる。

    「まぁ? あいっかわず、アンタ、ひょろっこいし、薄いし、腕っ節無さそうだけどねー」

    「あァ!!?」

    「あらーやっぱり気にしてるんだ? ごっめーん、本当のこと言っちゃって」

    「ウゼェ、果てしなくウゼェ」

    「プロテインでも飲めばいいんじゃないのー?」

    「誰が飲むかァ!!」

    先ほどまでのシリアスな雰囲気は何処にいったのか。
    ギャーギャーと騒ぐイイ大人な、二名。

    美琴のこういう所は、番外個体の性質に本当に近いものがある、と一方通行は思う。
    人をひやかす……といより、一方通行をひやかすのが楽しい、らしい。

    (畜生、相変わらず言いたいことを言いたいだけ言いやがって、このクソアマ……ッ!!)

    だから、彼は彼女に遭遇したくなかったのだ。

    112 = 51 :

    「まぁ、なにはともあれ」

    からかうのに飽きたのか、美琴は肩にかけていた荷物を持ち直す。

    「帰ンのか?」

    「これ以上デートの邪魔はできないからねー」

    お邪魔虫は退散しますよ、と美琴は手をひらひらと動かす。

    「はァ? なに言ってンだ」

    「え? 何って。だから、さすがにこれ以上デートの邪魔はできないって」

    超電磁砲は何を言っているのか。
    デートってのはアレだろう、恋人どおしとかが出かけることを言うことだろう。

    俺は打ち止めに足兼荷物持ちに付き合わされただけだ、と一方通行は思い、

    「いや、別にデートじゃねェし」

    「………は?」

    「ただ、買い物に付き合わされてるだけだっての」

    「…………」

    そう、美琴に反論すると、彼女は車を止めてある屋外駐車上へと向かおうとしていた足を止め、石のように固まった。

    113 :

    多分一方さんは紫外線とかもろもろ反射してるので見た目はすごく若いんだろうな

    114 = 51 :

    すいません、飯食ってきます

    115 :

    40秒で食事しな!

    116 :

    >>115 ママァ~!そりゃないよぉ~。(><)

    117 :

    禁書って巫女さんみたいなのいなかったっけか

    118 :

    >>117
    いたっけ?
    確かにいたような気はするが

    119 :

    そんなのいない

    120 = 80 :

    >>117
    いるよ、風早クンに届けさんがいるはずだよ!

    121 = 119 :

    モアちゃんなんていないってば

    122 = 116 :

    あれだよ。黒髪の山賊狩りだろ?

    124 :

    能登さんの声なら聞いたことがある気がする

    125 :

    「…気付いた時には遅いかもよ?」
    シリアスモードの帰還に一方通行は言葉の意味も分からず息を飲む。
    「遅い」とは何の事だと問い掛けようと己以外の力を借りた頭脳で一方通行は言葉を紡ごうとするもそれより早く御坂御琴が小さく息を吐き出し一方通行に曖昧な笑みを向けるもその時は一瞬、御琴は踵を返せば荷物の負荷がある不自由な手を軽く上げ振り向く事なく去っていった。

    126 = 68 :

    さあこい

    127 = 80 :

    御坂の現状も気になるな

    128 = 51 :

    美琴は珍獣にでもあったかのような驚愕のまま、数秒間の沈黙後、
    「信じられない」と声を出さずに唇だけを動かした。

    (何を持って、こいつはこんな態度を取っているの?)

    素でのたまっているのか。
    あえて、そういう風にとらえているのか。

    (どっちにしても、面倒なことに代わりわないか)

    前者であれば、年齢の割に男の経験値が圧倒的に足りていないだけのこと。
    後者であれば――――、

    「……ややっこしいことになりそうね」

    「なにぼそぼそと独り言いってやがる」

    「んー、別にぃ?」

    訝しげな睨んでくる赤い眼光をさらりと軽くかわした。

    129 = 51 :

    「アンタがそう言うなら、『そういうこと』にしておくわよ」

    「しておくもなにも、そォいうことなンだっての」

    デートではない、と今だけは肯定しておいてやろう。
    美琴がグダグダと悩んでも、どうしようない事柄だ。

    当事者は、一方通行と打ち止めの二人。

    外野がうるさくしたって、何もはじまらないし、何も変わらないのだから。

    よっこいしょ、と再度肩にかけている荷物のバランスを整えると、
    いつの間にやらカバンから取り出していた自家用車のキーとくるくるとまわしながら、

    「じゃーね」

    と、美琴は去っていた。

    去り際に「ま、何かあったら連絡でもちょうだい。相談くらいはのるわよ」という、言葉を残して。

    130 = 51 :

    一方通行は、どうにも釈然としない気持ちのまま、ベンチに腰掛ける。

    (なにが、『そういうことにしておく』だ)

    会話を終わらせるために妥協したような物言いにしか、聞こえなかった。
    例えるなら、聞き気のない子供に対して、大人が仕方なしに合わせてあげるのような、態度。

    (――――俺のが年上だっつーのに)

    約二万人の妹がいる立場上故の、言動なのだろうか。

    けれども、一方通行は彼の『妹(保護対象)』ではない
    諭すような表情も、彼にとってはただのムカつく表情なだけだ。

    131 :

    しえん

    132 = 51 :

    (何がデートだ)


    俺と、打ち止めが?


    (ない。あり得えねェよ、そンな事)


    これほど笑える話があるだろうか。


    (そもそも、アイツが俺を振りまわすの昔からのことじゃねェか)


    いつも。
    無邪気に、無遠慮に。

    今も、昔も。
    妹が兄にじゃれるように、子供が親に甘えるように。

    それだけの、話じゃないか。


    『デートの邪魔はできないもの』


    ――――――本当に、それだけの話なのか?

    133 = 80 :

    ふむ

    134 = 51 :

    打ち止め。
    またの名を、最終信号、検体番号二〇〇〇一号。
    『超電磁砲』のクローン『妹達』から形成されるミサカネットワークの上位個体。

    そして、八月末日の夜に、一方通行を孤独な背中も見つけてくれた、唯一の人。

    最強(バケモノ)と比喩された己に、
    ただの一人の人間(一方通行)として接してくれた、優しい女の子。

    差し出された手に救われて、
    共にいる時間に癒されて、

    その、無垢な笑顔に、明日への微かな光を見出した。

    135 = 51 :

    そうだ。
    彼女は、彼にとっての光だ。

    だから、
    守りたいと思い、
    助けたいと切望した。

    そのために、
    たがたが一五,六ほどの無力なクソガキは容赦なく敵を壊し殺した。
    学園都市の暗部を駆け抜け、ロシアの極寒の雪原を駆け抜けた。

    彼女が真っ白で綺麗な状態でいられるのならば、自分が汚れることすら構わずに。


    打ち止めは、今も昔も、
    一方通行の守るべき存在で、汚してはいけない存在で、『特別』な存在だった。

    そう、打ち止めは『特別』だ。



    (――――特別?)

    (――――なにを根拠に、『特別』なンて言ってんだ?)

    136 = 80 :

    ほうほう

    137 = 51 :

    自分をみつけだしてくれたから、特別。

    家族のような温かみをくれたから、特別。

    自分と違って心が純粋できれいだから、特別。

    特別、特別、特別。

    根拠になりそうな理由なんて、簡単に思いつく。

    どれもこれも、『それらしい』のに『それらしくない』。

    どれが根拠になっても説得力がありそうなのに、しっくりこない。



    ――――しっくり、こない。

    138 = 51 :

    ピントがあわないような、奇妙な違和感がはしる。
    ジワリジワリと虫が這い上がってくるような感覚。

    ドキリと、また、心臓が跳ねた。

    答えが、思いつきそうで、思いつかない。
    答えを、知りたいようで、知りたくない。

    手に汗がにじみ、柄にもなく頬に熱を感じる。

    (ち、きしょう。こんなときに、例の、症状かよ)

    熱射病にでもかかったかのように、全身の熱がアツイ、アツイ、アツイ。

    (なンで、アツイんだ?)

    熱に、やられたのだろうか。
    それとも、何か酔わされたのだろうか。

    (――――酔わされた?)


    いったい、

    何に、

    ―――――――――誰に?

    140 = 69 :

    ふむふむ

    142 = 61 :

    これは…いい…

    143 :

    女くさいと言うか、青臭くて良いな

    144 = 51 :

    一方通行のもやもやとした考えは、

    「ただいまー、ってミサカはミサカはさっきのお店から戻って来てみたり!」

    という、考えの中心にいた人物の声によって、中断された。

    「…………打ち止め、か」

    「どうしたの? なにか考え込んでるような顔してるけど、ってミサカはミサカは尋ねてみたり」

    「なンでもねェよ。……なンでも」

    「ふーん、それならいいけど。って ……て、あれ? お姉さまは?」

    ついさきほどまでは一方通行と一緒に広場にいたはずなのに、
    いつの間にやら姿を消してしまったのだろうか、と打ち止めは更に尋ねてきた。

    「……しらねェ。なンか、帰った」

    「そうなの?」

    「あァ」

    勝手に言いたいことだけ言ってな、と心の中でだけ一歩通行は付け足す。

    145 = 73 :

    ふうん

    146 = 51 :

    「まだセブンスミストにいンのか?」

    「見たいところはほとんど見たし、そろそろ第十五学区に行きたいかも、
     ってミサカはミサカは、そろそろ次の目的地に行くことを要求してみるー」

    「それじゃ、さっさと車に戻るぞ」

    右手は杖を使うためふさがっているが、
    一方通行は左手で、打ち止めが五袋分も大量購入したゲコ太ショップの袋を二つほど持ってやる。
    打ち止めがもたもたとしているのを無視して、コツコツと杖をついて先を歩いた。

    (全部持ってやれねェのは情けないけどなァ……)

    けれども、こんなことで電極を消耗するのも億劫だった。

    そんな、ゲコ太プリントの施されたショップ袋がなんとも似合っていない一方通行の後を、

    「ちょ、待ってよー、ってミサカはミサカは急いで貴方の後を追いかけてみたりっ……!」

    打ち止めが小走りで追いかけた。

    148 = 51 :

    屋外駐車上へと進むにつれて、人の気配がまばらになっていく。
    中高生がほぼ9割の客層であるこのビルに、
    車でやってくるほうが珍しいのだ。

    BGMのように聞こえていた、思春期特有の女の子達の雑音に近い話声すらなくなった。
    一方通行の隣で、やけに楽しげな様子で話しかけてくる打ち止めの声だけが、鼓膜に届く。

    「それでね、第十五学区に新しいアイスクリーム屋さんができてね、ってミサカはミサカは――、」

    固くて、響く声だ。
    だというのに、やけに落ちつく音域だ。

    ストンと巧妙に心に収まる。

    そんな居心地に、また先ほどの考えが再び、脳裏に浮かんでくる。

    150 = 51 :

    一方通行と打ち止めがこうやって二人で歩くことは、彼にとってはいつものことだ。

    一緒にいること、
    隣にいること、
    笑いあうこと、

    昔から今に続いている慣例、慣習。必然にも近い、『当たり前』

    それを、御坂美琴は「デートしている」と表現した。


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