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    元スレ一方通行「最近、妙に心臓がドキドキするンだが」打ち止め「?」

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    タグ : - とある魔術の禁書目録 + - らき☆すた + - 一方通行 + - 打ち止め + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    51 :

    結局、その「わからない」ことから来る違和感に触れることなく、

    「目的地は?」

    一方通行は、それだけを尋ねた。

    「セブンスミストー」

    「はァ? 第七学区にあるビルじゃねェか。歩いて行けるとこだろ、ソコ」

    「隣の学区だしね。でも、その次に第十五学区にも行きたいかなって、ミサカはミサカはおねだりしてみたりっ!」

    「なァにがおねだりだっつの。最初がそのつもりで俺を呼び出したンだろォが」

    「いえーす、ってミサカはミサカは正直に肯定してみる! そう言う訳でよろしくお願いしまーすっ」

    「…………、へいへい」

    この第五学区内の店のほうが年相応な気もするのだが、一方通行はあえて口にださない。
    打ち止めの足元から、ガサリガサリ、とすでに二つほどあるショップ袋同士が、
    車の揺れあわせて、ぶつかる音が聞こえてくるからだ。

    「ココ(第五学区)の店は友達とさっき行って来たからね、ってミサカはミサカは自己申告してみたりっ」

    「さいですか」

    52 = 51 :

    そこで、二人の会話は一旦中断された。

    別に話のネタがないとか、空気が気まずいということはない。

    普段でさえ、会話のキャッチボールをさぼりがちな一方通行が、
    車を運転している時は、いつも以上に輪をかけて無言になるのだ。
    運転中は考え事をする癖がついてしまったかもしれない、と彼は振り返る。

    その事をそれとなく察している打ち止めは、一方通行の運転を邪魔しないとように大人しく、助手席に座っている。
    さきほどしまった忘れ物のファッション雑誌を先ほどから静かによんでいた。

    パラパラと打ち止めがページをめくる音だけが、車内に響いた。

    53 = 51 :

    聞きたかった芸能ニュースだけを聞いた後は、カーラジオの音声はきってしまったらしい。

    (……黙って流してりゃよかったのに)

    微かに紙が擦れる音だけでは、少々静かすぎる車内に、一方通行は心内で嘆息する。

    55 = 51 :

    一方通行と打ち止めを乗せた車は第七学区へと向けて、第五学区の中を走ってた。

    第五学区。
    ここは大学や短大が集められている学区として有名だ。
    そのため、他の学園都市の学区に比べて年齢層が高く、店などそれに合わせて大人向けのモノが多い。
    多くのビルが立ち並んでいるのは、大学などと提携をむすぶ企業のオフィスが多いからだろう。

    助手席に腰掛けている打ち止めも、この春から第五学区にある女子大に通っている。

    『一八だから、もう大人なのよ、ってミサカはミサカは宣言してみたり』

    なんて、アホまる出しのことを言いながら、彼女が意気揚々と女子大の門くぐった姿は記憶に新しい。
    「大人になったもん」と胸を張って主張する内はガキだ、というのが一方通行の考えだが。

    56 = 51 :

    気がつけば、それほどの時間がたっていた。

    打ち止めは大学生になり、
    一方通行は大人になった(彼の身分はまだ、学生であるが)。

    あれほど一日一日、命を擦り削っていた日々が嘘のように。
    平和で、ゆったりとした時間が流れた。

    学園都市の馬鹿げたクソったれな陰謀から、解き放たれた打ち止め。
    彼女は今、人生の春を謳歌しているのだ、と一方通行は思う。

    年頃の女の子が経験することを、全力で楽しんで、笑っている。

    こそこそと存在を隠すこともなく、
    学びたいことを学び、
    一緒にいて楽しいと思える友と青春を過ごし、
    興味のあること、好きなことに、没頭していく日々。

    誰にでも当たり前に約束されているようで、
    過酷な運命の元に生まれた少女にはようやく舞いこんだ奇跡にも近いモノだ。

    57 :

    打ち止めも頭良いんだろうな

    58 = 51 :

    打ち止めは素直に、時に貪欲に、色んなことを経験し吸収している。
    だからこそ、幼いころから親しくしている一方通行との間にも、小さなずれが生じるのだろう。

    そのずれが、『わからない』『理解できない』という感情につながるのかもしれない。

    ならば、仕方のないことだと彼は諦めにも似た境地で、答えを導く。

    (……少しづつ、大人になっていってンだろうな)

    いずれ、自分なぞ必要なくなり、一人でも立っていけるような大人に。

    チクリ、と喉元を針でつつかれるような痛みを無視して、一方通行はそう遠くない未来に思いをはせた。

    59 = 51 :

    そう、それほど諦めたような、悟りの心境だというのに。

    「あ、赤信号だ」

    何気なく呟いた少女のほうに、自然と視線がいってしまう。


    赤信号の度に、左側へと眼球が動く。
    彼女が足を組みかえる仕草をする度に、心臓が激しく鼓動する。


    車内にかすかに香る、
    せっけんのような清楚な匂いが彼女の髪から漂っていると気がついたときは、

    ――――――ハンドルを握る手の握力が強まった。


    (…………やっぱ、病気の前触れだなァ、こりゃ)


    つい最近(――打ち止めと離れて暮らすようになった、最近)から現れはじめた症状に耐えると、一方通行の眉間のしわがさらに深くなった。


    (…………ったく、本当に、まじでなンなンだっての!!)


    一方通行は、未だに、その症状の病名に心あたりがない。
    原因のわからない苛立ちを紛らわすように、彼の運転する車の速度が上がった。

    60 :

    セロリさんの初恋

    61 :

    かわいいセロリ

    62 = 51 :

    (最・悪・だ)

    セブンスミストに到着して、一方通行が抱いた感想は以上の三文字だった。

    打ち止めが商品を見ているショップから少し離れた広場。
    彼はそこに数あるベンチの一つを陣取って、少女の買い物が終るのを今か今かと待っていた。

    声はここまで聞こえないものの、打ち止めは実に楽しそうにしている。
    キャッキャ、という漫画に出てきそうな擬音が似合うかもしれない。

    そして、

    打ち止めの隣には、彼女に似すぎているほど似ている女性が、一緒に店の中を探索している。

    (打ち止めに店の名前聞いた時に、こうなる可能性を考えとくンだった……)

    ベンチの背もたれに全体重を預けながら、一方通行はため息をついた。

    打ち止めと、もう一人の女性がいるショップの名前は「ゲコ太&ケロヨンのオフィシャルショップ☆」

    そこで、一方通行よ打ち止めの二人は、
    打ち止めに似すぎているほど似ている女性―――、
    『妹達』の素体にしてお姉さまである、御坂美琴とはち合わせしたのだった。

    63 = 51 :

    すいません、ねっむいです……。
    今夜中に終るかなと思っていた自分が馬鹿だった。
    残ってたらまた朝に書き来ます。

    64 = 57 :

    >>63
    わかった

    65 :

    期待してます

    67 = 60 :

    おいたのむぞまじであしたでいいからたのむぞ?

    68 :

    期待しているぜぇ

    69 :

    完結させなかったらお前まじ黒翼

    70 :

    早く起きろ

    73 :

    74 :

    ■■「がんばって保守しても気付いてもらえない」

    77 :

    おらっ!つづきかけ!

    78 :

    アサデスヨー

    79 :

    丁寧で良いね

    期待保守

    81 :

    俺に羽が生えた……

    82 = 60 :

    さて

    83 :

    いい年こいてまだゲコ太好きな美琴さんパネェっす

    84 = 80 :

    美琴さんの活躍に期待

    86 = 51 :

    おはようございます。保守感謝

    87 = 51 :

    面倒くさい人間に遭遇したもンだ、と一方通行は頭を抱ええ。
    こめかみ辺りがひくひくと痙攣して、ズキズキした鈍い痛みが乗じる。

    「……クソ、マジで帰りたい」

    心の底から漏れ出すように、彼は小さな唸り越声をあげる。
    いっそのことこの場から黙って立ち去りたい。
    けれど、打ち止めがいる以上出来る訳も無く。

    タンタン、とリズムカルに右足を床を踏み、気を紛らわせる彼の元に、

    「買った買った、ってミサカはミサカは大満足!」

    「限定商品全部ゲット! さっすがオフィシャルショップねー♪」

    「ねー♪ ってミサカはミサカは超同意してみるっ!」

    ケロヨンの顔がデカデカとプリントアウトされている買い物袋を
    その細い肩に抱えきれないほどお買い上げした、双子のような2人組が戻って来た。


    平日の放課後。

    88 :

    おかえり支援

    89 = 51 :

    平日の放課後。
    セブンスミスト内にいるのは十代前半から十代半ばくらいの少女ばかり。
    このビルが在る第七学区の主な住民は中高生なのだから、妥当な結果なのだが。

    大学入学したばかりの打ち止めは、まだギリギリいいとして。
    とうに二〇歳を超えている一方通行と美琴は、面白いほどに『場』に溶け込めてない。
    当人たちは気にもしないが、
    周囲の若い女の子たちの視線が彼らに向いてしまうのは仕方なのないことだった。

    「……どんだけ買ってンだよ…」

    「うーんとね、ひぃ、ふぅ、みぃ……五袋分だね! ってミサカはミサカはこんなに戦利品を手に入れたって胸を張ってみたり」

    「アホか、お前。五袋って、お前一人で五袋だろ? 
     超電磁砲の分も入れたら一〇袋もお買い上げってかァ? どォ考えたって買いすぎだ、ゲコ太中毒者(ジャンキー)共が」

    「なに甘っちょろいころ言ってんのよ。これでも買うのセーブしたのよ」

    「そうそう。荷物になるからって、泣く泣く2M級ケロヨン抱き枕は諦めたもん、
     ってミサカはミサカはお姉さまの意見にさらにかぶせてみる」

    「…………クソガキは、まァ、いいとして。超電磁砲、お前、その大量の荷物どォすンだ?」

    「ああ、ご心配なく。車で来てるから大丈夫」

    「―――なら、良いけどよォ」

    複数の視線を気にするでなく、三人は広場のベンチの前で、会話を続ける。

    90 = 60 :

    おかえり

    91 = 51 :

    しばらくそんな談笑をいていると、
    視線以外の『モノ』が向けられてくる。

    それは、小さな小さな声、声、声。

    「ねぇ、ねぇ……『アレ』ってそう、だよね」

    「――――うっわぁ。噂では聞いたことあるけど」

    「初めて見た、ね……」

    少女たちはあくまで仲間内でしか聞こえないと思っている小声でしゃべる。
    しかし、無意識に発する声というものは、案外大きかったりする。


    「……あれさ、『クローン』だよね」


    噂話の主役になっている当人にまで、聞こえてしまったりする。

    92 = 79 :

    午前中からありがとう

    93 = 51 :

    打ち止めの耳がぴくりと所在なさげに動いたことを、一方通行は見逃さなかった。
    チッ、という彼おなじみの舌打ち音が、やけに広場に響いたような、気がした。

    「…………」

    口を一文字に閉じたままベンチから立ち上がろうとした彼の腕を打ち止めが取り、

    「待ってっ! ―――噂されるなんて、
     ミサカってば女の子にモテモテかも? ってミサカはミサカは―――、」

    「なに、ふざけてやがる」

    「……えーっと、ふざけてはいないだけどな、ってミサカはミサカは…、うーん、なんて言えばいいのかな……」

    94 = 51 :

    打ち止めが一方通行からの問いかけに困惑すると、すぐさ、あ隣から助け船が出された。

    「要は『ほっとけ』って言いたいんでしょ?」

    「そ、そう! 別に一々かまうことないんでないよ、ってミサカはミサカは貴方に説いてみる」

    「…………けどなァ」


    「『下手な騒ぎにしたくない』っていう、そういう打ち止めの気持ちを察してやんなさいよ」


    ピシャリと、美琴は目の前の静かに怒気をため込む男にそう言った。

    95 = 51 :

    「……」

    「……」

    「……」

    美琴の言葉を最後に、三人の間に沈黙が訪れる。

    一方通行と美琴は無言のまま互いに睨みあい、
    お前が意見を取り下げろ、と視線で牽制しあう。

    この場で一番気まずい思いするのは、間に挟まれた形となった打ち止めだろう。

    彼女は保護者と姉の顔をキョロキョロと視線を動かして、
    どうしたらいいのか、と悩ましげな顔で考え、

    「―――え、えっと」

    短い時間で出した答えは、

    「あ、あっちのほうのお店も気になるから見てくるね、てミサカはミサカは荷物を置いて猛ダッシュッ!!」

    この場からの、一時退却(という名の脱走)。

    97 = 68 :

    昼食取っているのかな?とりあえず支援

    98 :

    年齢差を考えると姉妹に見える方が自然じゃないのってミサカはお笑い芸人のように突っ込んでみます

    99 = 51 :

    打ち止めが突然その場を離れたことからか、
    聞こえてきた小さな声達も段々と薄れていき、いつまにか消えて行った。

    「……こんなくだらない子どもの囁きに一々反応してたら、ほんとうにきりがないでしょう」

    打ち止めの事となるとやけに沸点が低くなる一方通行に、
    美琴は呆れたように語りかける。

    「――――あの子が……いえ、あの子たちがこう生きると選択した以上、どうしようもないことよ」

    特に、この街ではなおのこと。

    「……わかってはいる」

    そんなこと、一方通行だって言われなくても分っている。

    「なら、いいけど」

    美琴はそこでようやく一方通行から視線を外し、辺りをぐるっと見渡した。


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