元スレ憂「お姉ちゃんを返して」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
1 :
【平沢家】
ガチャ
憂「おねえちゃーん!朝ご飯出来たよー」
唯「…Zzz」
憂「んもうお姉ちゃんったら…起きて起きてっ!ごーはーんーだーよーっ!」
唯「ん、んへへ…そんなに食べらんないよう、ギー太ぁ」
憂「いったいどんな夢見てるんだろう…」
3 = 1 :
【平沢家・朝食】
唯「いただきます」
憂「はい、どうぞ」
・・・・・・
憂「軽音部の練習はどう?」
唯「うん、すごく順調だよ!日に日にうまくなってる気がするし」
憂「そっか。文化祭のステージ、楽しみにしてるね」
唯「任せておきなさい!」フンス
憂「…ふふっ」
4 = 1 :
唯「どうしたの、憂?」
憂「軽音部の話してるときのお姉ちゃん、すごく幸せそうな顔してる」
唯「そうかな?」
憂「うん、とっても楽しそう」
唯「私の高校生活は軽音部と一緒に歩んできたからね」
唯「軽音部のみんなと演奏することは、今の私の生きがいなんだ!」
唯「今度の文化祭が最後のステージだし、頑張らないとっ!」
憂「うん、応援してるね。ほら、早く食べないと学校遅刻しちゃうよー」
唯「なぬっ?!」
憂「もう、お姉ちゃんったら…」
5 = 1 :
こんにちは。平沢憂です。
季節は秋。文化祭のシーズンになりました。
3年生のお姉ちゃんにとってこれが最後の文化祭。
そして、軽音部としての最後のライブ。
最近のお姉ちゃんはいつも以上にギターの練習をしてる。
土日は図書館に行って軽音部の人たちと一緒に受験勉強。
前に比べてお姉ちゃんと一緒にいる時間が減っちゃったけど
頑張ってるお姉ちゃんを影ながら応援しています。
憂「お姉ちゃん、早く早くー!」
唯「ちょ、ちょっと待って憂…」
憂「先行っちゃうよー?」
唯「うぅっ、憂に見捨てられた…」
憂「冗談だよお姉ちゃん。ほら、早く早くっ」
6 = 1 :
唯「あ、憂見て見て!にゃんこ!」
憂「本当だ。かわいいね」
唯「ちっ、ちっ、ちっ」
すたたた
唯「あー、逃げられちゃった…」
憂「惜しかったね、お姉ちゃん」
唯「憂!追いかけようっ!」
憂「ダメだよお姉ちゃん!学校遅刻しちゃう」
唯「ぶうーっ…憂のけち」
今はお姉ちゃんと一緒に登校してる時が一番の楽しみ。
どんなにお姉ちゃんが忙しくても、この時だけは一緒。
他愛もない話をして、くだらないことで笑いあって…。
お姉ちゃんの好奇心に振り回されることもあるけど、幸せだった。
7 = 1 :
【学校】
憂「じゃあね、お姉ちゃん」
唯「うん、まったねー」
・・・・・・
【教室】
梓「憂、おはよー」
憂「おはよう梓ちゃん」
純「おっはよーう!」
憂「純ちゃんもおはよう」
8 = 1 :
純「なんか最近軽音部やたら気合入ってるねー」
梓「文化祭近いからね。先輩たちにとっては最後のステージになるから」
純「ようやく部活らしくなったって感じ?」
梓「ま、まぁ…。私としてはもっとガッツリやりたいんだけどね」
梓「昨日だって唯先輩が―――」
私は二人の会話を黙って聞いていた。
梓ちゃんはお姉ちゃんの話ばかりしていた。
すぐだらけちゃうお姉ちゃん。
おいしそうにケーキを食べるお姉ちゃん。
いざという時にすごい集中力を見せるお姉ちゃん。
そこには私の知らないお姉ちゃんの姿があった。
9 = 1 :
梓「純!次の授業移動教室でだよ、先行っちゃうよ?」
純「ちょ、ちょっと待ってよ~」
憂「…あ」
憂(お姉ちゃんだ…)
唯「それでそれで?」
律「でな、そん時の澪がな…」
澪「わぁーっ!!!余計なこと言うな律ぅっ!」
紬「あらあら」
10 = 1 :
訂正
×梓「純!次の授業移動教室でだよ、先行っちゃうよ?」
○梓「純!次の授業移動教室だよ、先行っちゃうよ?」
12 = 1 :
唯「あ、さわちゃん!」
さわ子「あなたたち、もう授業始まるわよ。教室に戻りなさい」
律「ねぇーさわちゃーん、今日私たちの練習付き合ってよ!」
さわ子「そうねぇ、でも吹奏楽の方も見なきゃならないし…」
紬「先生、おいしいモンブランがあるんですけど~」
さわ子「あなたたち、今日は厳しくいくわよ!」
律「おー!」
澪「乗り換えはやっ!!」
13 = 1 :
憂「・・・・・・」
梓「憂ー!何してるのー?いっちゃうよー!」
憂「あ、待ってよー!」
お姉ちゃん、楽しそうだったな。
澪さんたちといる時のお姉ちゃんって、あんな顔してるんだ。
14 = 1 :
【昼休み】
キーンコーンカーンコーン
梓「お腹空いたぁ…」
憂「お昼にしよっか」
純「ねぇ!購買ですっごくほしいパンがあるの!二人ともお願いっ、協力して!」
梓「えぇーっ…一人で行けばいいじゃん」
憂「まぁまぁそう言わずに、行こっ?」
純「ありがとう!やっぱりもつべきものは友達だね」
梓「まったく…」
憂(お姉ちゃんに、会えるかな)
15 = 1 :
【廊下】
唯「あぁーずぅーにゃんっ!」がばっ
梓「にゃうんっ!」
梓「ゆ、唯先輩?!なんですかいきなり!」
唯「ん~?たまたま見かけたからさぁ」
梓「見かけたからって抱きつかないでくださいっ!」
唯「ちぇーっ。あずにゃんのいけずぅ…」
梓「そんなこと言ってもダメですっ」
唯「そうだ!ねぇねぇ、あずにゃん。昼休み何か予定ある?」
梓「いえ、特には…」
唯「今からちょっとだけ練習しない?」
16 = 1 :
梓「ほ、本当ですかっ?!やりますっ!やりましょう!!」
唯「じゃあいこっ、あずにゃん」
梓「はいっ!!憂、純、ごめんねっ」すたたた
梓(あの唯先輩から練習しようだなんて…。うれしくて涙が出そうだよう)
純「ありゃー…私ら置いてかれちゃったねぇ」
憂「………いいな」ぼそっ
純「…憂?」
憂「へっ?ど、どうしたの純ちゃん?!」
純「いや、何かボーっとしてたからさ」
憂「そ、そう?そんなことないよっ!ほ、ほら。教室戻ってお昼食べよっ」
17 = 1 :
自分でもわかってた。
無意識に「いいな」って口に出してたこと。
ちょっとだけ、梓ちゃんに妬いた。
澪さんたちはクラスも同じなんだなって考えると、もっと妬けた。
だって朝も、昼も、放課後も、お姉ちゃんと一緒なんだもん。
家では一緒にいられるけれど、一生懸命練習してるお姉ちゃんの邪魔はしたくなかった。
それに、あんな楽しそうなお姉ちゃんの顔なんて見たことなかった。
たかが昼休み一緒に練習するだけのことなのに、今の私にはそれすらもうらやましく思えた。
梓「ただいまー。二人ともごめんね」
純「いいっていいって!その様子じゃだいぶ充実した練習が出来たみたいね」
梓「うんっ、本当に楽しかった!唯先輩がね―――」
憂「・・・・・・」
胸の奥が、チクッとした。
18 :
ほうほう
19 = 1 :
そんなこんなで一日が過ぎた。
さわ子先生が見てくれたってお姉ちゃんはすごくよろこんでいた。
この日を境にお姉ちゃんの帰りが遅くなっていった。
朝も朝練だからって、いつもより早く家を出て行くようになった。(結局私が起こしているんだけど)
一緒だった登校もとうとうしなくなってしまった。
ご飯の時間ですらバラバラになることが増えた。
もうずっと、お姉ちゃんと話してすらいないように思えた。
今までこんなことなかったのに。同じ家にいる感覚すらしなかった。
20 :
面白そうだな
21 = 1 :
いよいよ文化祭が間近にせまってきた。
お姉ちゃんは朝から晩までギターに夢中だった。
私のことなんか、忘れてしまったかのように…。
夜、私の足は無意識のうちにお姉ちゃんの部屋に向かっていた。
部屋からはギターの音がする。
こんこん
憂「お姉ちゃん」
唯「あ、憂。どうしたの?」
憂「あのね…」
22 = 11 :
ほう
23 :
ここからの流れ
>>1擁護
↓
誰も見てませんか?
↓
俺は見てるよ。続けて
↓
眠いので保守お願いしますw
↓
保守w>>1早く来い。馴れ合いタイム
↓
>>1キターーw。ずっと待ってたよwおかえり()↓
以下繰り返し
24 = 1 :
わがままなのは自分でもわかってた。子供だってことも。
お姉ちゃんの邪魔はしまいとずっと我慢してきた。
だけど、もう限界だった。
お姉ちゃんに構ってほしかった。
憂「今度の土曜日、一緒にお出かけしない…?」
唯「んー…」
一瞬お姉ちゃんが考えた。昔はすぐに「いいよ!」って言ってくれたのに。
断られたらどうしよう。お姉ちゃんの返事が怖くて怖くてしょうがなかった。
唯「いいよ!今週は特に予定もないから」
憂「本当っ?!ありがとうお姉ちゃん!」
うれしかった。本当にうれしかった。
お姉ちゃんとお出かけなんて久し振りだった。
何着ていこうかな、どこ行こうかな。
頭の中はそんなことでいっぱいだった。
25 = 1 :
【翌日・放課後】
キーンコーンカーンコーン
純「はーっ、終わったぁ…」
梓「午後の授業ずっと寝てたじゃん!」
純「だってお昼食べたあとは眠くなるんだもん!!!」
梓「ぎゃ、逆ギレ!?」
純「んじゃ私はジャズ研行くから!じゃねっ」
梓「もーっ…」
憂「梓ちゃん、私も帰るね」
梓「あっ、待って憂!」
26 = 1 :
憂「どうしたの?」
梓「ちょっと手伝ってほしいことがあるんだけど…いい?」
憂「うん、いいよ。何をするの?」
梓「これなんだけ…どっ!」
どさっ
憂「すごいたくさん…。これはなに?」
梓「部活で使おうと思って持ってきたんだ」
28 = 1 :
梓「毎日少しずつ持ってきてたらいつの間にかこんなになっちゃって…」
梓「それで――」
憂「これを運ぶのを手伝ってほしい、でしょ?」
梓「えへへ…その通り」
憂「うん、いいよ」
梓「ありがとう」
29 = 1 :
【音楽室】
紬「梓ちゃん遅いわねぇ…。せっかくおいしいタルトがあるのに」
唯「先に食べちゃおうよー」
澪「バカ言え、梓がかわいそうだろ!」
ガチャ
梓「遅くなってすいません」
律「おっそいぞー…ってなんじゃその大量の機材は!!」
30 = 1 :
梓「家から色々持ってきました。使えるかなと思って」
澪「すごい量のエフェクター…。それに録音機材まである」
律「ひゃあー…たまげたねこりゃ」
梓「ちょっと持ってきすぎちゃって…憂にも手伝ってもらったんです」
紬「憂ちゃん。お茶でいいかしら?」
憂「いえ、お構いなく」
唯「そんなことよりあずにゃん、これなぁに?!」
憂(そんなこと………か)
31 :
はやくするんだ
32 = 1 :
梓「これですか?これはワウっていって、これをつなげて踏みながら弾くと…」
うぉん うぉん うぉ~ん
唯「すごーい!!!私にもやらせて!」
梓「いいですよ」
唯「みんな見て見て!」
うぉん うぉん うぉぉぉ~ん
律「す、すげぇ…なんか上手い人みたいに見える」
33 = 1 :
唯「へへへ、すごいでしょ!これは?」
梓「あぁ、エフェクターです。私が使おうかなって」
唯「ブルースドライバーに、お…オーバードライブ??」
律「波紋のことだ、唯」
澪「ウソを言うなっ!」メメタァ
律「おぱぅ!」
梓「何やってるんですか先輩たち…」
34 = 1 :
唯「あずにゃんばっかり色々つけてずるいー!私も何かつけたいよぉ」
梓「うーん、レスポールは音がいいから下手にエフェクターでいじらない方が好みなんですけど…」
唯「えぇーっ!つーけーたーいーつーけーたーいーっ!」
梓「しょうがないですね…。じゃあLINE6でもつけてみます?」
唯「おぉ、なんかかっこいい!」
梓「マルチエフェクターなんですけど、ここをこうして――」
律「なぁなぁ梓!ツインペダルはないのか?!ツインペダル」
梓「ないですよ!それにツインペダル使うような曲なんてないじゃないですか」
律「えーっ、私だってドコドコしたいぃー!」
35 = 1 :
唯「あずにゃんって本当にすごいね!」
梓「そっ、そんな…//こんなの常識ですよ」
律「あーっ、梓のやつ照れてやんのー!」
澪「顔真っ赤だな」
梓「なっ///そ、そんなことないですっ!」
唯「あずにゃん………」
梓「…へ?」
唯「かわいいーっ!」ぎゅっ
梓「ひゃあっ!や、やめてくださいっ///」
紬(キマシタワー!!!)ズキュゥゥゥゥン
36 = 1 :
唯「んもお照れちゃってかわいいんだからぁ」すりすり
梓「て、照れてなんか…///うぅ…」
紬「いいっ…。実にいいっ…」ゴゴゴゴゴ
律「おーい、ムギ。かえってこーい」
憂「・・・・・・」ぎりっ
来るんじゃなかった。
心の底からそう思った。
ちっともお姉ちゃんは私のことを見てくれない。
ただ呆然と、お姉ちゃんを見ているだけだった。
どうしてこんなに辛い思いをしなきゃならないの?
胸の奥が締め付けられた。ただただ、辛かった。
37 = 1 :
ガチャ
さわ子「まったくあなたたち騒がしいわねぇ」
唯「あ、さわちゃん!」
さわ子「あら、今日はタルト?おいしそうね」
紬「いま、紅茶いれますね」
唯「さわちゃん、吹奏楽の方はいいの?」
紬「はい、どうぞー」
さわ子「あ、ありがとう。いいのよいいのよ大して練習もしてないし」
律「さらっととんでもないこと言ったな…」
38 = 27 :
やんでれ
39 = 1 :
さわ子「そんなことよりあなたたちの方こそどうなの?ちゃんと練習してるの?」
唯「もちろんだよさわちゃん!」フンス
澪「この状況から言えることじゃないけどな…」
梓「そうです!このまったりした時間をもっと練習に充てましょうよ!」
律「それはダメだ梓!私たちは放課後ティータイムだからな」
澪「いや、説明になってないから」
さわ子「そうねぇ…。今週は私土日とも学校いるし、音楽室開放してもいいわよ?」
律「本当かっ?!よーし、じゃあ今週の土日は強化合宿だ!」
憂(えっ…?)
40 = 1 :
澪「おい律!勉強はどうするんだ!?」
律「夜すればいいじゃーん。それにもう本番まで時間がないんだぜ?勉強なんかしてる場合じゃないだろ?」
澪「律のくせに正論…だと…?」
律「というわけで、軽音部強化合宿に賛成の人ー!」
紬「はーい!」
梓「はいです!」
澪「…よし、やろう!」
唯「・・・・・・」
41 = 1 :
澪「あれ?唯は?」
唯「うーん、実は土曜日憂と約束があるんだ」
律「うえぇーっ!せっかくさわちゃんが音楽室開放してくれるって言うのにー」
澪「でも先約があるならしょうがないか」
梓「そうですね…」
唯「ねぇ、憂。お出かけさ、また今度で大丈夫?」
憂「え…?」
唯「せっかくさわちゃんが用意してくれた機会だから、めいっぱい練習したいんだ」
憂「・・・・・・」
43 = 1 :
憂「だ、大丈夫だよ!そんな大した用でもないから…」
律「じゃあ決まりだな!」
唯「ごめんね、憂」
憂「うん、平気だから…。じゃあ、私はこのへんで…」
梓「憂、手伝ってくれてありがとう!」
憂「ううん、練習…頑張ってね」
ガチャ
憂「・・・・・・」
44 = 1 :
ウソをついた。大丈夫なわけがなかった。
久し振りのお姉ちゃんとのお出かけなのに。
また軽音部にお姉ちゃんをとられちゃった。
ううん、そんな卑屈な考えしちゃダメ。
お姉ちゃんだって頑張ってるんだ。
我慢しなきゃ。我慢しなきゃ。
頑張ってるお姉ちゃんの邪魔をしちゃいけない。
憂「うっ…」
だけど
憂「ううっ…えぐ…」
やっぱり我慢出来なかった。
涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。
憂「うぐっ…。ひっく…。お姉ちゃぁん…」
45 = 11 :
切ないな
46 = 1 :
泣きながら一人で家に帰った。
鏡を見たら目が真っ赤だった。
唯「ただいまー」
憂「おかえり、お姉ちゃん。今日は早かったね」
唯「どうしたの憂?目腫れてるっぽいけど」
憂「…ちょっとお昼寝してたから。ご飯出来たら呼ぶね」
唯「ほーい!」
47 = 1 :
唯「いただきます」
憂「はい、どうぞ」
久しぶりのお姉ちゃんと一緒の夕食。
だけど、素直に喜べなかった。
ソファーの上にあるギターのせいだ。
結局ご飯が出来るまで、お姉ちゃんはリビングで練習していた。
目の前にいる私を見向きもせず、練習していた。
唯「あの後ね、さわちゃんが練習見てくれたんだ!」
唯「それでね、あずにゃんのエフェクター見たら急にさわちゃんしんみりしちゃって」
唯「私もこれ使ってたわって言ってさ、そのあと一緒に弾いたんだよ!」
憂「そっか…よかったね」
50 = 1 :
ちっとも会話にならなかった。
泣くのを我慢するのに必死だった。
お姉ちゃんが軽音部の話をするたびに、泣きそうになっていた。
どうして私のことを見てくれないの?
お姉ちゃん、お姉ちゃん…。
唯「それでね、りっちゃんが――」
ごごごご
ぐらぐらぐらぐら
唯「じ、地震?!」
憂「きゃああああっ!!!」
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