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元スレ黒子「半額弁当?」
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黒子「はぁ、もうこんな時間ですの……門限はテレポートでなんとかするとしても、夕食はどうしましょう」
風紀委員の仕事が終わり、白井黒子は溜息をついた。
常盤台の寮では夕食時間を過ぎると夕食はない。
現在の時刻は21時少し前、最終夕食時間は20時半だ。
黒子「不本意ですけれど、どこかで食べていくしかありませんね……」
黒子「でもこの時間に一人でファミレスと言うのも……こんな事なら初春にも残業をさせるのでしたわ」
黒子「仕方ありませんの、コンビニで何か買って帰るとしましょう……」
白井黒子は思考する。
コンビニ弁当は約500円強。そこにドリンクや食後のデザートをつけると、下手をすれば1000円を越えてしまう可能性もある。
特に金欠というわけでもないのだが、コンビニ弁当ごときにファミレスでがっつり食べたのと同じ値段を支払うのは癪だった。
黒子「いっその事夕食を抜くという手も……」
と、黒子が今考えうる最悪の思考に至った時だった。
ソレは姿を現した。
黒子「セブンス……マート……?」
そう――スーパーである。
メ シ ア トレジャーボックス ヘブンズゲート
《貧乏学生の救い手》《自炊族の宝物庫》そして――《神の住む園》
呼び方は様々だ。しかし、その低価格、汎用性、一括購入力は、コンビニの比ではない。
そして、その中でも最も特筆すべき特徴。それは――
――割引サービスの存在
スーパーにおいて、閉店間際に売れ残っている商品は、多くの場合値引きされる。
それは1割、3割引に始まり、さらには半額にまで至る。
その事を、白井黒子は知識としては知っていた。
ただし、上流階級である自分が、決して利用しないであろう場所だという認識も、純然として存在した。
しかし……しかしだ。
コンビニで値段に釣り合わない弁当を買い、暖めてもらったソレを一人寒空の下で食べる想像をしていた彼女にとって、
半額弁当は抗いがたい魅力を持っていた。
黒子「今日……だけですわ。たまには庶民の暮らしを経験するのも悪くありません……の」
いい訳だ。
それは黒子にも分かっていた。
しかし彼女は誘蛾灯に引き寄せられる羽虫のように、ふらふらと、スーパーの中へ吸い込まれていく。
ス――と、自動扉が開く。
店内に行き渡った暖房が、芯まで凍えていた黒子の体を優しく包む。
それは1割、3割引に始まり、さらには半額にまで至る。
その事を、白井黒子は知識としては知っていた。
ただし、上流階級である自分が、決して利用しないであろう場所だという認識も、純然として存在した。
しかし……しかしだ。
コンビニで値段に釣り合わない弁当を買い、暖めてもらったソレを一人寒空の下で食べる想像をしていた彼女にとって、
半額弁当は抗いがたい魅力を持っていた。
黒子「今日……だけですわ。たまには庶民の暮らしを経験するのも悪くありません……の」
いい訳だ。
それは黒子にも分かっていた。
しかし彼女は誘蛾灯に引き寄せられる羽虫のように、ふらふらと、スーパーの中へ吸い込まれていく。
ス――と、自動扉が開く。
店内に行き渡った暖房が、芯まで凍えていた黒子の体を優しく包む。
>黒子「でもこの時間に一人でファミレスと言うのも……こんな事なら初春にも残業をさせるのでしたわ」
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黒子(まるで、お母様に抱かれているようですの……)
黒子は暫くの間入り口の近くでスーパーの温もりを感じて居たが、ふと異常な行動をとっている事を自覚し、
頬を染めながら足早に弁当コーナーへと向かう。
店の最奥に設置されている弁当コーナーからは、今まさに半額シールを貼り終えた、柔和な顔をした男性店員が立ち去るところであった。
黒子はその店員を横目に、弁当コーナーへと近づき、その赤と黄色で縁取りされた半額シールの張られた弁当へと手を伸ばす。
――バタン。と、スタッフルームの扉が閉まる音が、なぜか黒子の脳内に強く響いた。
気付けば、半額弁当へと伸ばしていた黒子の手が――真っ直ぐと伸ばしていたハズの手が、虚空へと、軌道を変えていた。
黒子「えっ?」
テレポート。
何も知らない白井黒子は、瞬時に自らの能力の事を思った。
黒子(でも、テレポーターにテレポートは使えないはずですの……!)
風紀委員の性か、瞬時に周囲を把握し、自らの目を疑う。
黒子(こいつら……いったい何処から現れましたの!?)
気付けば、己の周りを取り巻くように、十数人ほどの男女が現れていた。
黒子「なぁ――っ!?」
衝撃。
唐突に受けた衝撃に、痛みを感じる暇もなく黒子は宙に打ち上げられていた。
イ ヌ
顎鬚の男「弱者は叩け――」
宙に浮いた黒子を、今度は茶髪の女子高生が群れの外へと叩き出す。
茶髪の女「豚はつぶせ――!」
黒子「がっ……はぁっ!?」
黒子は勢いのまま、ノーバウンドで反対側の陳列棚へ叩き付けられ、呼吸を失う。
ぐったりとしたままカップ麺に埋もれ、黒子はただ呆然と、弁当コーナーで激しい攻防を繰り広げる人々を見つめていた。
すると、唐突に人だかりの中にスペースが開き、群れが割れる。
そこから現れたのは、半額弁当を手にした、ツンツン頭の男。
黒子「上条――当麻……」
上条はゆっくりと群れを割り、弁当を手にしたまま黒子へと近づいてくる。
上条「おい、大丈夫か白井」
黒子「これは……一体」
上条「……これは、己の夕食と誇りをかけた『狼』たちの戦い」
上条「半額弁当争奪戦だ」
需要と供給、これら二つは商売における絶対の要素である。
これら二つの要素が寄り添う販売バランスのクロスポイント……その前後に於いて必ず発生するかすかな、ずれ。
その僅かな領域に生きる者たちがいる。
己の資金、生活、そして誇りを懸けてカオスと化す極狭領域を狩り場とする者たち。
――人は彼らを《狼》と呼んだ。
ずるずると、どん兵衛を啜る音が夜の公園に響く。
となりでほかほかと湯気を立てるハンバーグ弁当を貪る上条当麻を横目に、白井黒子は麺をすすった。
黒子「それで、あの戦いは何ですの? 説明してくれると仰っていたではありませんか」
上条「これを食ったらな」
黒子「はぁ……分かりましたわ」
黒子は半ば呆れるように溜息をつくと、横で美味しそうに弁当を平らげる上条を見やった。
肉厚のハンバーグは焼く時にニンニクを使っているのか、香ばしい香りが黒子の鼻腔を刺激し、食欲をそそる。
臭いだけで、黒子の口内に唾が際限なく湧き出るのが分かった。しかしさらに特筆すべきは白米だ。
うっすらと艶を湛えた白米が発する、日本人なら誰でも感じるその艶かしさに、黒子は思わず見とれてしまう。
ついつい無意識のうちにゴクリと唾を飲み込んでいた黒子に気付いたのか、上条がこちらを見た。
上条「なんだ、欲しいのか?」
黒子「なっ! 誰が類人猿の施しなどっ!」
上条「はいはいそうですか。そりゃぁ、常盤台のお嬢様は半額弁当なんて庶民の食べ物口に出来ませんよねぇ」
黒子「うっ……」
しかし、自分の意識とは無関係に、口の中は唾で一杯。弁当から、目が離せない。
はぁ、と上条が溜息を一つ。
上条「ほら、あーん」
黒子「えっ? あ、あーん」
ぱくり。とその小さな口の中に小さく切り取られたハンバーグが侵入する。
じわり。と肉汁が口内に広がり、ニンニクの香ばしさが喉から鼻に抜ける。
いや、このハンバーグ……それだけじゃないっ!?
黒子「これは……軟骨ですのっ!?」
上条「へぇ、気付いたか。そう、このハンバーグの名前は『軟骨入りニンニクハンバーグ弁当~ボリューム満点 レベル5~』」
軟骨のコリコリ感が、ハンバーグの柔らかいひき肉の食感を引き立て、何倍にも増幅する。
黒子(白米が、白米が欲しい……)
無意識のうちに、黒子は上条の方へ、その形のいいツンと尖ったあごを突き出していた。
それを察したように、上条が白米を掬い、差し出してくれる。
堪らず黒子ははしたないのも承知でその箸先へ食いついていた。
黒子「んっ……」
思わず垂れてしまった涎を拭い取り、黒子はふっくらとした白米を噛み締める。
白井黒子は洋食派だ。自然、主食もパンが多くなる。
それは常盤台中学の特性上仕方のないことだったが、決して常盤台の米が不味かったというわけではない。
むしろそんじょそこらの白米より美味しいと言ってもいいだろう。それでも、この白米は常盤台の学食に負けずとも劣らず……
上条「ここは弁当の米に学園都市では珍しく新潟産のコシヒカリを使ってるんだ。
どうだ? どっかの施設の日に当たらない箱の中で作られた米より、何倍も旨いだろ?」
こくこくと、白井は言葉もなく頷く事しかできない。
ソレをみた上条は満足そうに微笑み、自分の食事を再開する。
黒子も弁当に後ろ髪を引かれながらどん兵衛の麺を啜った。
程なくして、食事が終わる。
上条と黒子は隣り合ってベンチに腰掛けながら、星のない夜空を見上げていた。
上条「さて、何処から話そうか……」
黒子「あの人たちは、いったい何者ですの?」
上条「何者も何も、ただの学生だよ。中には教員も混じってるが」
黒子「そんなっ! 嘘ですの! 一般人にこの私が負けるだなんて」
上条「奴らには……もちろん俺もだが――腹の虫の加護がついているからな」
黒子「腹の虫……ですの?」
上条「ああ、あの場所においては空腹が何にも勝る力になる。それが、腹の虫の加護」
黒子「お腹なら……私も空いていましたわ」
上条「ああ、だがいくら腹の虫の加護があっても、全員に袋叩きにされちゃ、俺だって勝てない」
黒子「そう――そうですわ! アイツらなぜか私ばかり……」
上条「そいつはお前が豚だったからだ」
黒子「豚ですって!? レディに向かってなんてことを!」
上条「あー、悪い。『豚』ってのは専門用語みたいなモンで、ルールを守らずに半額弁当に手を伸ばしたり、浅ましくコーナーの横で半額になるのを待ってたり
……まぁ誇りを持たない奴らの事を指す。簡単に言えば、事情を知らない初心者の事だ」
黒子「はぁ、しかし私は別に半額になるのを待っていたわけでは……」
上条「争奪戦の合図は店員――俺たちは半額神と呼んでいるが――半額神がスタッフルームに入り、扉を閉じた瞬間だ」
黒子「あっ! あの時ですのね……」
上条「へぇ、あの音があそこに居ながら聞こえたか。俺たちの戦いも見えていたようだし、お前、もしかしたら狼の素質があるかもな」
黒子「狼?」
上条「己の夕食と誇りとを懸け、あの極狭領域を駆け抜ける者達の事だ。プライドを込め、俺達は自らをそう称している」
黒子「犬……というのは」
上条「へぇ、そこまで聞き取れてたか。まぁニュービーの事だな。まだ半額弁当をつかんだ事のない狼」
黒子「…………」
ハーフプライスラベリングタイム
上条「って、もうこんな時間か。ま、興味があったらまた明日来な。セブンスマートの《半 値 印 章 時 刻》は大体21時だから」
黒子「半値印章時刻?」
上条「ああ、弁当に半額シールが貼られる時間の事だ。それじゃあな、白井」
黒子「え、えぇ……おやすみなさいませ」
上条「ああ、おやすみ」
言って、上条は公園を後にする。
それから暫く経っても、黒子はベンチから立ち上がれなかった。
狼。半額弁当。半値印章時刻。
様々な単語が脳内を取りとめもなく漂う。
そこで、黒子はある事実に気付いた。
黒子「あ……さっきのって――間接キス……」
>>26
俺も何て説明すればいいかわからないけど……アレなんだよな
俺も何て説明すればいいかわからないけど……アレなんだよな
黒子「また……来てしまいましたの」
果たして黒子は、再びセブンスマートの前にまで来ていた。
決して、来ないだろうと思っていたのに、再び夕食を逃した彼女の足は自然とスーパーへと向かっていた。
現在の時刻は、20時45分。半値印章時刻まであと15分……
上条「お、やっぱり来たか」
黒子が振り向くと、そこに居たのは昨日と同じツンツン頭にニヤケ面の少年。上条当麻。
その「やっぱり」という言葉に、内心を見透かされているようで、ついつい黒子は睨みつけるような目付きになってしまう。
上条「こんな所で立ち話も何だ、中に入ろうぜ」
黒子「え、えぇ……」
半額弁当の取り合いは学生時代の時よくやったな…
横から割り込むおばはんがうっとおしかった
横から割り込むおばはんがうっとおしかった
促されるまま、黒子は店内へと足を進める。体を包む暖気についうっとりと目を細めてしまい、
慌てて顔を緊張させると、上条の後へと続く。
上条が向かったのは弁当コーナーだ。下見をするのだろうか、と思ったが、上条は何事もなくチラリと横目を向けただけで通り過ぎてしまう。
足を止めかけていた黒子も慌てて続いた。
弁当コーナーを通り過ぎ、そこから暫く歩いた鮮魚コーナーの前で上条は立ち止まった。
と、思うと今度は『マグロにはDHAがたっぷり!』というポップを凝視し始める。それに習い黒子もその死んだ鯖の目と見つめ合う。
鮮魚コーナーに流れていた『おさかな天国』が二番に入った時だった、ずっと無言だった上条が口を開いた。
上条「待機中はこうして弁当コーナーから距離を置く、あまりキョロキョロするなよ、他の狼に嘗められる」
上条「昨日言ったように、開始の合図は扉の閉まる音だ。フライングは許されない。それと、能力の使用も極力控えた方がいい。
あの極限状態で演算なんかしている暇はないからな」
黒子「わ、分かりましたの」
上条「あとは……そうだな、弁当を手に入れた者を攻撃するのも禁止だ。他の奴に弁当を取られたら大人しく道を譲れ」
黒子「了解……ですの」
上条「じゃ、お前は何を狙う? 俺はそうだな、『無能力者に捧ぐ! DHAは脳を開発するんだぜ? 幻想御手ブリ照り弁当』を狙う」
黒子「な、なんでそのそのネーミング……というか、あの一瞬でそこまで確認していましたの!?」
上条「ん? ああ、悪い。初心者のお前にはキツかったか。そうだな、昨日と同じハンバーグ弁当があったから、当座はそれを狙うといい」
黒子「わ、分かりましたの」
上条「それじゃあ半額神が来るまで自分の空腹具合を確認し、精神を統一するんだ。腹の虫は、きっとお前に答えてくれる」
黒子は目を閉じると、丹田のあたりに感覚を集中する。自分は今空腹だ。昼に少しサンドイッチをつまんだだけで、そこから何も食べていない。
それどころか、今日も風紀委員の仕事で不良を4人も検挙した。体がカロリーを求めているのが分かる。食べたい――黒子は自分が餓えるのを自覚する。
じわりと、唾が口内に滲んだ。
上条「半額神だ」
上条がポップを凝視したまま呟いた。
黒子はちらりと、弁当コーナーを見やる。
昨日と同じ柔和な顔の男性が、流れるような手つきで前の値札に赤線を引き、シールを貼り付ける。
と、4つ残っていた弁当のうち、最後の一つでその手を止めた。ポケットから別のシール束を取り出し、弁当に貼り付ける。
上条「やはり……月桂冠か!?」
興奮したように上条が呟いた。
黒子「月桂冠?」
上条「ああ、半額神がその日最も自信のある弁当が残ってた場合に、半額弁当へ貼られるシールだ。旨いぞ」
ごくり、と上条が唾を飲み込んだ。
全てのシールに半額弁当を張り終えた店員が、シールとペンをポケットに戻し、スタッフルームへと戻っていく。
と、その途中で不意に立ち止まり、黒子を見た。にこりと微笑み、再び歩き出す。
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上条「へぇ、錬金術師に気に入られたみたいだな」
黒子「錬金術師?」
上条「この店の半額神の名だ。本名は知らないが、そう呼ばれている。なんでも、記憶をなくして学園都市を彷徨っていたところを、
ここのオーナーに拾われ、その手先の器用さを認められて弁当コーナーを任されたらしい。彼の技術は、鉛を黄金に変えるように、
どんな食材も美味しく調理することから、そう呼ばれている」
上条の説明が終わると同時だった。
半額神が扉を開き、店内へ向かってぺこりとお辞儀をする。
それに伴い、観音開きの扉が徐々に閉まり……ぱたんと、音を立てた。
気付けば、上条は黒子の数メートル先を走っている。
黒子(テレポートを! いえ、あの乱戦の中、ミスをしないで跳躍する技術はありませんの!)
ならば、と、黒子は風紀委員で鍛えた瞬発力で弁当コーナーへと肉薄する。
黒子(先手必勝ですの!)
一瞬で上条を追い抜き、数人の脇をすりぬけて弁当コーナーへ向かい、弁当へと手を伸ばす。
しかし、そこへ周囲からの猛攻撃が加えられた。
黒子「がっ……!」
弾かれ、後退する。すると、ぴたりと周囲の攻撃が止んだ。この一瞬で、聡い少女はこの乱戦の特性を把握する。
黒子(弁当に手を伸ばす者を優先的に攻撃していますのね! それにより、一種の膠着状態が形成されていますの――ならば!)
黒子は一度戦いの輪から後退し、他の陳列棚に沿って、迂回するように左サイドからの攻撃を仕掛けた。
身を低くして駆けてくる少女に気付いた顎鬚の男が、黒子の胴回りに匹敵するほどの豪腕を彼女に叩きつける。
すると黒子はその腕をひきつけ、紙一重でかわすと、抱きつくように抱え、乱戦の中へ投げた。
ボーリングのピンのように、弁当の前に陣取っていた数人を吹き飛ばし、空いた道を駆ける。
茶髪「なかなかやるじゃない!」
すると昨日の茶髪――なかなか立派な胸をしている。内心で黒子は歯噛みした――が吼え、飛び掛ってきた。
先の顎鬚と違い、射抜くような疾風の細腕が黒子に迫る。
黒子(これは避けられませんの!)
一瞬で判断。腕をクロスさせ防御体勢を取る。
着弾。
その細腕からは想像の出来ない威力に、黒子は耐えられず吹き飛んだ。
吹き飛ぶ黒子に茶髪が追撃を仕掛ける。
と、その茶髪の襟首を取るゴツイ男の手。
半値印証時刻(ハーフプライスラベリングタイム)
これ最初見たときは笑ったなぁ
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