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元スレ黒子「半額弁当?」

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>>47
今アニメの3巻見てた俺は涙が止まらない…
今アニメの3巻見てた俺は涙が止まらない…
茶髪「しまった!」
坊主「うおりゃぁ!」
茶髪を掴んだ坊主頭の男が、黒子をそうしたように茶髪を乱戦に叩きつけ、今度こそ空いた弁当へと手を伸ばす。そして――
上条「あんたがその弁当を手に入れられると思ってるのなら……まずはその幻想をぶち殺す!」
まさに疾風怒濤。
突然弁当前に現れた上条の猛烈なラッシュに、倍以上も体重のありそうな坊主が堪らず吹っ飛ぶ。
もう上条の目の前に敵は居ない。誰もが彼が弁当を――月桂冠を手に入れると、そう思った刹那だった。
「タァァァァァァンク!!!!」
咆哮。
いや、それは絶叫に近かった。
絶望と怨嗟をない混ぜにした叫び。
上条「――大猪ッ!」
黒子から見て反対側、未だ乱戦となっていた一角が、唐突に吹き飛ぶ。
黒子は慌てて弁当コーナーに近づき、それを、見た。
それは、篭に大量の食料品を積み込んだカートを押す――主婦。
大猪と呼ばれたそれがさほど早くない速度でカートを押すたびに、狼達が吹き飛び、その車輪に押しつぶされる。
顔色一つ変えず狼達の屍を踏み越えながら進むその主婦に、黒子は本能的な恐怖を感じた。
黒子「あ……あぁ……っ!」
足が震え、喉がひりつき、声を上げる事を拒否する。
じわりと、背中に汗が流れるのを感じた。
上条「白井! 逃げろ!」
叫び、上条が大猪へと駆けた。
がっちりとそのカートの舳先を掴み、脂汗を大量に流しながらホールドする。
ソレに対して、主婦は鬱陶しそうに眉をひそめただけだ。
それなのに、上条のからだがずるずると押され始める。
上条「早く! 月桂冠を掴んで逃げろ!」
しかし、黒子は根が生えたように弁当コーナーの前から動けずに居た。
恐怖。
これまで感じた事のない焦燥と恐慌が、彼女を襲っていた。
ついに、じりじりと持ちこたえていた上条が、まるでロードローラーに均されるアスファルトのように、その車輪に巻き込まれた。
絶叫。
悲痛な叫びがスーパーにこだまする。
タンク
しかし、それすらも気に留めない大猪の戦車が、まさに黒子へと接近していた。
黒子(嫌……イヤイヤ……っ!)
心では逃げなきゃと思っても、しかし恐怖に呑まれた体は動こうとしない。
そして、その車体が、黒子に触れた。
衝撃。
そして、激痛。
昨日茶髪に吹き飛ばされた時の数倍ものエネルギーがぶつかるのを感じた。
なすすべなく、木っ端の如く、白井黒子は宙を舞っていた。
、、、、、、、、、、、、、、、
上条「そいつはお前が豚だったからだ」
上条「そいつはお前が豚だったからだ」
黒子が目を覚ますと、上条の顔が目の前にあった。
上条「ああ、起きたか」
目を覚ました黒子に、上条はにこりと微笑みかけた。
そこで、黒子は上条に膝枕をされていた事に、ようやく気付く。
頬が熱くなるのを感じ、黒子は慌てて体を起こした。
上条「ほら、固形物は喉を通らないと思ってな。ちょっと冷めてるが、これで我慢してくれ」
そう言って、上条は缶のコーンスープを差し出す。
黒子は大人しくプルタブを開け、柔らかそうな唇をその飲み口にあて、ちびちびと飲みだす。
黒子「さっき……のは」
上条「大猪。絶対的な“生活力”を持つ、スーパーのヌシだ」
黒子「大猪……」
上条「まぁ、天災みたいなものだよ。奴が現れたら、その日の弁当は諦めた方が良い……」
そう言って自嘲気味に笑んだ上条は、空になったカップヌードルのカップを持ち上げた。
上条「あーあ、せっかくの月桂冠だったのに……不幸だー!」
黒子「アナタは……」
呟きかけた黒子を、上条が遮った。
上条「上条当麻」
黒子「え?」
上条「俺の名前。アンタでも類人猿でもねぇよ。まぁ当麻でも上条でも、好きなように呼んでくれ」
黒子「私も……黒子でいいですの」
上条「そっか。悪かったな、黒子」
黒子「え?」
上条「嫌になっただろ? 初日であんな目に遭ったら、もう此処に来たく無くなったんじゃないか?」
言われ、黙りこんでしまった黒子に、上条は寂しそうに目を細めた。
黒子「……やじゃ、………の」
上条「ん?」
黒子「嫌じゃ、ありませんの」
黒子「あんな負け方をして黙っていられるほど、私の神経は図太くありませんの」
上条「……そっか」
黒子「明日も来ますわ。明日こそ、この手に半額弁当を掴み取って見せます」
上条「おう、その意気だ!」
上条「それじゃ、俺はもういくわ。お前も気をつけて帰れよ」
そう言って、上条はベンチから立ち上がった。
黒子「ま、まってくださいですの!」
上条「え?」
黒子「もう少し、こうしていて下さい……当麻さん」
上条「……あぁ、じゃあそうするさ」
上条は、再びベンチに腰を下ろし、黒子の隣に座る。
すると、黒子がコーンスープの缶を持ったまま、上条に寄り添うように座りなおした。
黒子がゆっくりと時間をかけてスープを飲み干すまで、二人はそうしていた。
次の日も、黒子はスーパーにやって来ていた。
今日は風紀委員の仕事も無ければ、夕食を食べ損ねたわけでもない。
それでも、黒子は自然と『セブンスマート』に足を運んでいた。
上条「よっ、黒子」
黒子「こんばんはですの、当麻さん」
二人は二言三言挨拶を交わし、すぐに店内へと入る。
まずは弁当コーナーの下見だ。
今日の半額弁当は3つ。
一つは昨日と同じブリ照り弁当。
もう一つは初日に上条が食べていたハンバーグ弁当。
そしてもう一つは、昨日月桂冠を貼られていた『冬の寒さを吹き飛ばせ! 発火能力者もびっくり! 激辛麻婆豆腐弁当』
下見を終え、二人は昨日と同じ鮮魚コーナーに陣取る。
すると、背後の魚肉ソーセージのワゴンに気配。
茶髪「あら、あんな目にあって、また来たの?」
大変結構な胸をした、茶髪の女子高生だ。
黒子は二度も吹き飛ばされた事を思い出し、つい歯噛みする。
茶髪「でも初耳だわ、『幻想殺し』に彼女がいたなんて」
黒子(彼女……え? それってもしかして……)
つい、黒子の頬が熱くなる。
しかし、それも上条の一言で一気に冷めてしまった。
上条「そんなんじゃねぇよ。大体、俺に常盤台のお嬢様じゃ釣り合わねぇよ」
茶髪「ふぅん、じゃあ弟子って所かしら。まぁこのスーパーを縄張りにするアンタが、これまで弟子をとらなかったのも、
不思議だったしね。あーあ、何で私なんかじゃなくてこんな犬っころを弟子にするのよ」
黒子「犬じゃありませんの!」
茶髪の言葉に、つい反射的に黒子は言い返していた。
言った後に、なぜこんなに声を荒げてしまったのかと自分でも驚いてしまう。
茶髪「ふふ、そういう大口は弁当を手にしてから言いなさいな」
顎鬚「そうそう、それにおそらく……今日も出るぞ、月桂冠」
坊主「二日続けてなんて珍しい事もあるもんだ。ま、二日続けて大猪が出るような事は、無ければいいがな」
そう言って現れた顎鬚と坊主に、疑問を覚えた黒子は問いを発する。
黒子「皆さんは、お知り合いなんですの?」
茶髪「戦友よ。まぁ学校は同じみたいだけれど、校内で会ったことなんて殆ど無いものね」
顎鬚「『幻想殺し』はこの一帯じゃ有名だからな、お互い弟子入りしようと思ってた同盟でもある」
坊主「まぁ、それはお嬢ちゃんに取られちまったがな」
上条「だから、俺はそんな大それたもんじゃねぇって」
顎鬚「何言ってんだ、この第七学区の二つ名持ちじゃ、五本の指に入る実力者の癖によぉ」
黒子「二つ名?」
坊主「優れた狼に与えられる称号さ。こいつの場合は『幻想殺し』。俺達の弁当への幻想を悉く打ち砕き、奪っていくことから付けられた名さ」
上条「だからそんな凄い奴じゃ」
黒子「当麻さんって、そんなに凄かったんですのね……」
上条「はぁ、まぁいいさ。お前らが抱いてる俺への幻想も、まとめてぶち殺してやるからよ、月桂冠と誇りをかけて、かかってきな」
茶髪「ふふ、格好いい事言ってくれるじゃない。さ、無駄口はここまでにして置きましょう。錬金術師が来たわ」
ぱさり、と錬金術師が半額シールを取り出し、弁当に貼り付ける。そして今度は別のシールを取り出すと、麻婆豆腐に貼り付けた。
シール束とペンを仕舞い、昨日と同じような動作でスタッフルームへと向かう。
観音開きの戸を開け、一礼。そしてそれを隠すように、扉が、閉まる。
――パタン
同時、弾かれたように黒子たちは駆け出していた。
先頭を走るのは黒子。それに茶髪、顎鬚、坊主。最後に上条が続く。
より近い位置に居た狼二人は、すでに弁当コーナーに駆け寄っていた。
月桂冠を狙って争っていたそこに黒子は突っ込み、二人同時に足払いをかけ転倒させる。
サイドから抜けてきた茶髪と顎鬚がバランスを崩した二人を吹き飛ばす。
黒子(やっぱり、そういう事でしたのね!)
黒子はある事に気付いていた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
それは、弁当を取る瞬間以外なら、共闘もありえるという事!
昨日、追撃を仕掛ける茶髪を妨害するように、坊主は彼女を放り投げた。
あれは黒子を助けたのではなく、利用したのだ。
顎鬚「いい足払いだ!」
茶髪「何かスポーツでもやってるの?」
ジャッジメント
黒子「《風紀委員》ですの!」
叫び、迫り来る狼の拳を避け、黒子は片足を引っ掛け、バランスを崩れさせる。
黒子(こうして最小限の動きで敵を崩し、トドメは他の狼に任せる……体力を温存する秘訣ですのね! そして――)
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
バランスの崩れた狼を、今度は坊主が掴み、投げた。黒子の方へと!
黒子(裏切り……いえ、切捨ても自由! ここにいる全ての狼が仲間で、敵!)
黒子は得体の知れない高揚感を感じながら、跳んできた狼を乗り越えるように踏み台にし、跳んだ。
ぐんぐんと迫るスーパーの天井を背に、狼達を乗り越え、弁当コーナーの最前列で争う茶髪へと、重力加速度の乗った蹴りを放つ。
茶髪「くぅ! さすがは風紀委員!」
黒子「いいえ! 今はただの狼ですの!」
連撃。
得意のスピードを生かした拳を連続で茶髪へと叩きつける。
茶髪はそれらをガードしながらも、カウンターを狙う。だが、その拳こそがフェイク!
黒子は茶髪がカウンターのフックを放ってきた瞬間に屈み、茶髪へと足払いをかける。
上体をひねっていた茶髪は、いとも簡単にバランスを崩す。
こいつ等の目の前で半額シールが貼られる前に残ってる弁当全部買い占めてやりたい
茶髪「しまっ――!?」
黒子「おりゃああああ!ですのっ!」
黒子の全体重をかけた掌底に、茶髪が後ろの狼を巻き込み吹き飛んだ。
しかし、殺気を感じた黒子はすぐに振り返るとファイティングポーズをとる。
上条「へぇ、今のを受けられるとは思わなかったぜ!」
黒子「殺気が見え見えですの!」
瞬間だった。
二人の間の空気が爆発する。
ラッシュだ。
昨日上条が坊主相手に放った一発一発の重いラッシュを、黒子がそれを上回るスピードで受けている。
しかし、やはり経験の差か、次第に黒子が押されはじめた。
黒子「くっ…… 強い!」
>>83
一方通行辺りがやりそーで怖い
一方通行辺りがやりそーで怖い
上条「この三日で大分成長したみたいだな! でも、その程度で俺に勝てると思っているなら、まずはその幻想をぶち殺す!」
豪打。
ダンプカーに跳ねられたような衝撃を受け、黒子は歯を食いしばった。
黒子(ここで負けるわけには……!)
スーパーの磨かれた床を踏みしめ、耐える。
上条の一撃が、クロスした腕を抜け、背を震わし、足へと逃げていく。
後には、痺れたような疲労感だけが残った。
上条「あれを耐えたか……さすがは《風紀委員》 上条さんもびっくりですよ」
黒子「麻婆豆腐は、渡しませんの……」
上条「いい気迫だ……来いよ黒子! 俺の腹の虫は、この程度じゃおさまらねぇぞ!」
黒子「言われずとも、行ってやりますの!」
跳ぶ。
黒子は全力を込めて上条へと駆けた。
まるで上条の体を削るようにして連撃の抜き手を放つ。
これには上条もたまらず、耐えるようにガードをした。
その時だ。
坊主「オラァ!」
横合いから飛び出てきた坊主が、黒子の体に豪腕のラリアットを叩きつけた。
黒子はつい反射的に、能力を使ってしまう。
瞬間移動。
しかし、黒子の体は一歩も動いていない。
気付けば、上条の右手が黒子の腕を掴んでいた。
衝撃。
坊主のラリアットが黒子を弁当コーナーへと叩きつける。
黒子はぐったりとしたまま、その場を動かない。
坊主は踵を返し、上条へと猛然と打ちかかっていた。
それらを全て受け流しながら、上条は黒子へと声を投げかける。
上条「さっき、能力を使おうとしたな。俺の『幻想殺し』は、能力を全て無効化する」
黒子「…………」
上条「その能力を使おうとした弱さが、お前の敗因だ、黒子」
上条「ここでは、腹の虫の力が全て。俺の『幻想殺し』を使わずとも、超能力なんてものはこの空間では意味を成さない。
……それに、お前はもう気付いていたと思ってたんだがなぁ」
上条「さあ立て黒子、お前の欲している飯は、麻婆豆腐は! まだそこにあるだろうが!」
上条「一回やられたくらいで腑抜けてんじゃねぇ! 立てよ黒子!」
坊主「さすがは『幻想殺し』! 俺の腕を捌きつつおしゃべりとは余裕だな!」
上条「んなこたねぇって、上条さんはもういっぱいいいっぱいですよ!」
坊主「なら、これで終わりだぁ!」
坊主が両指を組み合わせ、巨大な槌として上条へと叩き降ろす。
上条「寝てんじゃねぇぞ黒子! お前の腹の虫は、その程度で鳴くのを止めちまうのかよ!」
打撃音。
坊主の戦槌が上条の頭部へまともに入る。
坊主「月桂冠は貰ったぁ!」
弁当へと手を伸ばす坊主。
しかし、その手が横合いから弾かれた。
>>1はベン・トーの作者だろ
坊主「なにっ!?」
黒子「その弁当は、私の物ですの。その汚い手をどかして下さる?」
坊主「いくらルーキーだからって、俺は容赦しねぇぞ!」
坊主が再び戦槌を形作り、黒子へと猛烈な勢いで叩きつける。
黒子の小さな頭に、その巨大な質量の塊が叩きつけられようとした瞬間だった。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
男の両拳が、まるで見当外れの位置に振り下ろされた。
その質量に自ら引きずられるようにして、坊主がバランスを崩す。
坊主「な、何をした!」
黒子「大した事などしていませんわ。言うなら、わざとギリギリで避けて差し上げたくらいですの」
坊主「っ! 残像効果!?」
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