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    元スレ新ジャンル「爪から小人」

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    51 = 41 :

    「zzzzzz……」

    小人さん「うんしょ、うんしょ」 グイグイ

    「zzzzz……んっ?」 ぱちっ

    小人さん「うわ、起きた!」

    「お前ら、人の指で何してる!?」

    小人さん「どうやら気付かれてしまったようですね。
          そう、爪が伸びるのは、我らが夜な夜なコッソリ外に出て引っ張っていたからなんですよ!」

    「ソーダッタノカー!!」

    小人さん「ぶっちゃけ部屋の掃除が面倒なので、こうやって爪ごと新しくした方が便利なんです」

    「え? 爪が伸びるのって生理現象じゃなく、お前らの贅沢のためだったの!?」

    52 = 41 :

    「zzzzz……」



    小人さん「さて、今宵はいったい何をしましょうかね」

    小人さん「そうだ。ちょっと部屋をリフォームしましょう」

    小人さん「爪の表面に、凹凸をつけて……」 トンテンカンテン

    小人さん「……うん。入ってくる光がなかなかに面白い」





    「最近、なんか爪の表面が荒れてるような気がするんだが、おまえら、何かしてねーだろうな?」

    小人さん「我々の住居でもあるのに、環境が悪化するようなことなんてするはずないでしょうが」

    「だよなあ……食べ物が悪いのかなあ……」

    53 = 41 :

    「待て! おまえが垢から産まれた力太郎か!?」

    力太郎「……誰だ?」

    「私はおじいさんとおばあさんがつみ溜めた爪をこねて造り上げた、爪太郎!」

    力太郎「爪って、こねられたんだ……」

    爪太郎「おじいさんとおばあさんの子供はわたしひとりで十分! いざ、勝負!」

    力太郎「勝負っておまえ、そんな、一寸法師みたいなサイズで……」

    爪太郎「馬鹿にするな! 一寸法師はこうやって鬼を倒したのだ!」 ヒョイ

    力太郎「うわっ!? にゃろ、腹の中に……う、刺さる! 全身爪だから、ちくちく刺さる!!」

    爪太郎『ははははは。どうだ、参ったか!』

    力太郎「参りました! 子分の御堂太郎と石太郎は差し上げますから、どうかご勘弁を!」

    御堂太郎・石太郎「……え?」





    「こうして、御堂太郎と石太郎を子分にした爪太郎は、幸せに暮らしましたとさ」

    「違う! ボクの知ってる力太郎はこんな話じゃなかった!!」

    54 = 41 :

    小人さん「死屍累々」



    「うわっ!? どうしたおまえら!? なんで死にかけてんだよ!?」

    小人さん「あなたいま痔の治療中で、座薬、自分で入れてるじゃないですか」

    小人さん「俺は……そんな指に……住みたく……なか……った……」 ガクッ

    小人さん「仕方ないから、住む指をバトルロイヤル決めてたんです」

    小人さん「オラァッ、左足親指の! おめーが右手人差し指に住むんだよッ! はよ入れ!」

    小人さん「い、いやだ! 野郎のケツの穴を覗く暮らしは、死んでもいやだあああああ!」

    「……」





    「俺の痔が治るまで自分の部屋に住まわせてあげようって奴は、いないんだ……」

    55 = 41 :

    「だいたい何で人の爪の中なんぞに……」

    小人さん「夢の世界に住人が在り、爪の世界にもまたその住民が在る。そういうことです」

    「さっぱりわからないよ!」

    小人さん「ゆめとつめ、一文字違いならそれは音便変化の範囲内で、元は同じだったということですよ」

    「じゃあこれは夢なんだ!? そうか、夢か! あははははー」

    小人さん「逆にいうなら爪と夢もまた、同じものですね」

    「げんじつか!!」

    56 = 41 :


    小人さん「爪に火を灯すような生活をする際は、爪怪人のいる足の小指でお願いしますね」

    「君たちから見た僕って、そんなに生活に余裕なさげに見えるんだー?」

    小人さん「死んじゃだめ! 私たちが住んであげるよ! 君は必要とされているんだよ!!」

    「君たちから見た僕って、そんなに幸薄げに見えるんだー?」

    57 = 41 :

    小人さん「知り合いの小人が部屋を紹介してくれて言ってるんですが」

    「また俺の爪か……」

    小人さん「いえ。そちらはもう満室なので、歯の方を紹介してもいいですかね?」

    「それ、一般に虫歯って言わね?」

    小人さん「違います。あ、住みやすいよう、多少はリフォームするかもしれませんが……」

    「虫歯じゃねーかああああああ!!!!」

    58 = 41 :


    爪怪人「ゲヘッ、ゲヘッ……」 ウロウロ



    「また出たよこの何かきもいの……」

    小人さん「あなたの爪の汚れが産んだ、あなたの分身です。あなたそのものです」

    「じゃあなんでキレイな爪にもおまえらみたいなのしかいないわけ?」

    小人さん「あ、ほら、あなたの命を狙ってますよ」

    「ごまかすな」



    爪怪人「ギャハッ、ギャハッ……」 モソモソ


    「こいつ、人の爪で何を」

    小人さん「黒魔術で爪水虫を生成していますね」

    「うわなんか小人さんっぽい! でも水虫か!! 俺、水虫で殺されるのか!?」

    59 = 41 :

    「あちゃー。爪切りの刃、欠けちゃったなあ」

    小人さん「ではあなたが寝ている間に作っておきましょう」

    「うわ、なんだか初めてじゃね? おまえらが小人さんっぽいことしてくれるのって」





    「……んん……朝か……お、新しい爪切り、ホントにできて……ん?」 

    「なんだこの爪のひどい荒れ方はッ!? ううっ、めまいが……」

    小人さん「ああ、あなたの体内の鉄分、使わせていただきました」

    小人さん「鉄分不足は爪に出ますしね」

    小人さん「私たちを欠陥住宅に住まわせる気ですか? さっさと鉄分サプリでも飲んでください」

    「ああうんそうだよね……靴屋の小人さんも、材料ちゃんと用意しとかないとだめだったもんね……」

    60 = 41 :

    (そういや小人さんって、お礼をあげると、仕事は終わったと思って帰っちゃうんだったっけ?)

    (爪小人どももお礼をあげたら帰るんじゃ……)







    小人さん「いや、お礼を受け取るようなことは特にしていないので、受け取るわけには……」

    「ホントだ。考えてみりゃおまえらって、基本的に俺の迷惑になるようなことしかしてなかったわ」

    61 = 41 :

    「テープの爪、折っとくか」

    「あー。DVDも買わずにビデオで済ませてる内に、時代はもうブルーレイか……」

    「まあいいや」

     ぺきっ

    小人さん「あでっ」 ドゥルン

    「うわっ? ビデオテープの爪折ったら、何か小人さんが鼻水みたいに垂れてきた!?」

    小人さん「なにすんですかもう! 人んちのドア、いきなりもぎ取らんといてくださいよ!」

    「…………あ……ごめん……」

    62 = 41 :

    小人さん「こんにちは」

    「おお、湖の表面が盛り上がって湖の精になるみたいに、俺の爪が盛り上がって小人さんが……」

    小人さん「わたしたちはこの爪の精」

    「かわいい女の子だなあ。でも、もそっと大きくなれない?」

    小人さん「あいにくですが、この爪以上には……」

    「……」







    古老「そして男は引きこもりとなった。
       伸ばし放題の爪では、仕事も家事もできないからである。
       それでも男は幸せだった。
       だって、爪の精が、日に日に大きくなっていくのを、いつもそばで見守っていられるのだから……」

    若者「あんた、ろくな話、しねーな」

    63 = 41 :

    小人さん「実はよその爪に住んでる仲間に、家のことで馬鹿にされてるんです」 ジト

    「いやなら住むなって何度も言ってるじゃーん……で、お仲間もやっぱ爪なんだ」

    小人さん「お邪魔したことあるんですが、ホントにキレイな爪した女性なんですよ。ああ、腹立つっ!」

    「……そりゃあ、ちょっとお逢いしてみたいかも」

    小人さん「まあじつはその方とあなた、どっちがいい家か勝負してみようってことになりまして」

    「またこいつらは勝手に決めてくれて……」

    小人さん「実はこのうちの外に待たせてるんです」

    「え?」


    『グルルルルルルルル……』 ガリッガリッ


    「あの、何か唸って、研いでるんスけど……? 女性って……」

    小人さん「虎の雌ですけど? 狩りする獣の爪って、ホラ、ハナクソほじってる男の爪なんかより……」

    『グルアアァァァー!!! ガアアァァッ!!!!』 ドンッ

    「イヤアアアアアア!!!! たすけてママァン!!!!!!!!!!!1」

    64 = 41 :


    小人さん「ちょっとキャンプに行きたいんで、爪、貸してください」

    「恐ろしいことさらっと言ってんじゃねえっ!!」

    小人さん「剥がした爪はもうくっつかないので、
          私たちが帰ってくるまでにちゃんと生やしておいてくださいよ?」

    「結果がどうなるかわかってて言ってたのかてめえっ!?」

    65 :

    見てるけど見てないからね

    66 = 43 :

    俺が書くより断然面白い
    すげえ

    67 = 41 :

    書けよ

    どうせすぐ飽きるんだから

    68 = 41 :

    小人さん「ちょっと出かけてきます」

    「……あれ、それ、喪服?」

    小人さん「はい。仲間うちに不幸がありまして」

    「そうか……」

    小人さん「カモノハシはブラック物件だってさんざん言われてたのに……」

    「あ、足の爪から毒出すアレかー!」

    69 = 41 :

    小人さん「夜に爪をつんではいけない、というのは、迷信ではありません」

    小人さん「私たちの活動時間だからです」

    小人さん「あなただって玄関を出ていきなり執行人が大鉈をぶんぶん振ってたら困るでしょう?」

    小人さん「最近の人間はそうした言い伝えを守らないから、爪切りによる死者は増える一方ですよ」

    「あの迷信にはそんなグロい真実がっ!?」

    70 = 41 :


    小人さん「死屍累々」





    「こいつら、まぁた力ずくで何か相談してたのね」

    小人さん「いやだってあなた、小指の爪、おしゃれに伸ばしてるじゃないですか」

    「おしゃれっていうか、その、まあ、なんとなくなんだけど……」

    小人さん「おしゃれに伸ばした小指の爪は、人間世界でいうところのヒルズに相当します」

    「すごいなわたしの小指ッ!?」

    小人さん「そのステータスを得るためには、死闘の一つもやむを得ないのですよ」

    「いや、でも、自分の指がそんな凄惨な争いの原因になってるってのはちょっと落ち着かないなあ……」

    71 = 41 :

    「zzzzz……」



    小人さん「おはようございます」 パカッ

    小人さん「ああ。今宵もいい天気ですねえ……や、爪の外とはいえ、屋内ではありますが」

    小人さん「さて。玄関先に、打ち水でもしておきますか」

    小人さん「そーれ、ぱっしゃあん!」

    「zzzzz……」





    「ふわあ……あー……さむさむっ。冬の朝はやだねぇ」 モソモソ

    「……いたっ!?」

    「うわー。また爪と指の間のややこしいところにひび割れできちゃってるよー」

    「毎年、冬の間に必ず二回はできちゃうよなー。なんでだよまったく。濡らして寝てるわけでもないのに……」

    72 = 41 :

    「zzzzz……」


    ピック隠し「ふふふ、よーく眠ってますね」
    ピック隠し「妖怪ピック隠し、見☆参!」
    ピック隠し「さーて。明日のライブに備えて、使い慣れたピックをきっちり隠しておきますかー!」

    ピック「……!」  ブルブルッ  小人さん「だ、だめぇー!」

    ピック隠し「ぬ? 貴様、ピックの精か! だが哀しいかな。ピックの精だけあってしょせんは小人サイズ」
    小人さん「この人は明日のライブのためにずっと一生懸命練習してたんだー!」 ポカポカ
    ピック隠し「ハハハ。効かーん」
    小人さん「隠させないぞー! 隠させないぞー!」 ポカポカ
    ピック隠し「無駄無駄ァー!」
    小人さん「かえれー! かえれー!!」 ポカポカ
    ピック隠し「……」
    小人さん「えぐっ……かえれよ……かえれよぉ! うわあぁーん!」 ポカポカ
    ピック隠し「……」


    ピック隠し「ぐ、ぐわぁ!? ちっちゃななりして、なんて力だ!」
    ピック隠し「今日のところは見逃してやる! だが次はこうはいかんぞ!!」 バタバタバタ


    小人さん「や、やった……」
    小人さん「ピックを、守ったんだよー」

    「zzzzz……」

    小人さん「えへへへぇ~」 ニコニコ

    73 = 41 :


    小人さん(揚)「でろーん」



    「あ、ありのまま、いま起こった事を話すぜ!」

    「俺がカニの爪のフライを食べようとしたら、中からカニ肉じゃなくからっと揚がった小人が出てきた」

    「催眠術だとか超スピードだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ」

    「もっとお食事時にはやめてほしいものの片鱗を味わったぜ……」



    小人さん「バカンスで海に行ったときとか、
          形の奇抜さに惹かれて、つい、バンガロー気分で入っちゃうんですよねー」

    「おまえら、アサリの中の小ガニか何かか!?」

    小人さん「人間社会でいうところの、パチンコ屋駐車場での幼児熱中症死に相当する、哀しい事故です」

    「そんなことより、俺のカニを返せ!」

    74 = 43 :

    女友「あ、女ちゃん何ソレかわいー」
    「うん?どうふ!お前ら学校に居る時は出てくんなって言ったろ!」
    小人「ぬみゃ。そりゃ無理な相談だーい」
    女友「しゃべったうごいた!何コレ何コレ」
    小人「小人ですけど。今女さんとこに居候の身でして」
    「迎え入れた覚えはないけどな」
    小人「わけあって今女さんの爪に住まわせてもらっております」
    女友「……爪?え、何アンタ水む……」
    小人「きゃー!」
    女友「わー!」
    「はあ……」

    75 = 41 :

    おばあさん「さて、今夜は南蛮漬けでも作りましょうかね」

    おじいさん「ほい、ばあさん。鷹の爪」

    おばあさん「ありがとう、おじいさん。へたをとって、と……」 もぎっ

    小人さん「おぎゃあ!」 ニュルン

    おじいさん「おや! 鷹の爪から、ちっちゃな赤ん坊が?」

    おばあさん「これは子供のできなかったわたしらへの、神様からの授けものかしらねぇ」 ジト

    おじいさん「うう、ばあさん。その話はもうなしじゃて……」





    古老「そのちっちゃな女の子は鷹の爪の色にちなんで紅子と名付けられはしたものの、
       産まれたとき以上の大きさにはならんかったそうじゃ。
       そして鷹の爪の辛味そのまんま、いつもぴりぴりしておって
       老夫婦に何かと当たり散らしておったそうな。
       ――どっとはらえ」
    若者「いや、どっとはらえじゃねーよ。オチはどこだよ?」
    古老「そこに鷹の爪があるじゃろう。ちぎってみなさい」
    若者「……?」 もぎっ、ぱらぱら
    古老「おじいさんにはなかった種が、鷹の爪の中にはあったということじゃ。
       ――いっちゃぽーんとさけた」
    若者「いや、いっちゃぽーんとさけたじゃねーよ。上手いこと言ったつもりかっ!?」

    76 = 41 :

    「なあ。『小人の靴屋』って話、知ってるか?」

    小人さん「アーアーキコエナーイ」

    「別に同じことをしろと言ってるわけじゃない」

    小人さん「知らないわけないでしょう。馬鹿にしてるんですか」

    「てめえら……いや、な、それとは逆に、今朝起きたら、俺の靴がみんななくなってたんだが?」

    小人さん「靴のせいで足の指の爪が圧迫され、一階の部屋が狭隘になってきているんです」

    「そうか。やっぱりおまえらの仕業だったか。つか、足の爪は一階になるのか」

    小人さん「勘違いしないでください。勝手にやったんじゃありません。
          しかるべきところに訴え出て、その執行令状を元に……」

    「靴をどこにやった?」

    小人さん「下駄は残してあるでしょう?」

    「プチプチみたいに潰される前に答えろ。俺の靴をどこへやった?」

    77 = 41 :

    小人さん「実は私たち、擬人化だったんです……」

    「……水虫の?」

    小人さん「いえ。あなた、最近、やたらと喉が渇きませんか?」

    「うん。暑くなってきたしねえ」

    小人さん「そう……あなたを水の元へと誘う、ハリガネムシの擬人化です」

    「…………」







    小人さん「いやですねえ。冗談に決まってるじゃないですか」

    「痛かった! 爪の間から普通に線虫がずるずる出てくるとこを想像して、すっげえ指が痛かった!」

    78 = 43 :

    ぶばばばば

    「うお、なんだ虫か!シッシッ!」
    小人「でけでけでーん!」男「ええい、また事態をややこしくするつもりか!……なんだそれは」
    小人「ぐんぐにーる」
    「どう見ても爪楊枝だが」
    小人「ろんぎぬーす!」

    びゅばっ
    きょきょきょきょ!

    「たわば!」

    がしゃばきゃ!

    小人「私が死んでも代わりはいるもの?」
    「いいから窓直しとけよ」

    79 = 41 :

    「岩手の二戸あたりには、流行病は爪の間から入ってくるって俗信があるんだってさ」

    小人さん「へえ」

    「こっそり運んでる奴がいるんだろうねえ」

    小人さん「世に知られていない妖怪はまだまだ日本各地に潜んでいるでしょうしね」

    「……」

    小人さん「……」

    「……」 ジト

    小人さん「……うう。大家さんが住人を信用してくれない」

    「だっておまえら、信用できなくなるようなことしかしないじゃーん……」

    80 = 41 :

    小人さん「や、や。いけない。指がこんなに荒れて」

    「あー。冬場の水仕事は、どうしても、ね」 カサカサ

    小人さん「女の指はもっとキレイにしておかないと!」

    「あー。うん。わかっちゃいるけど」
     
    小人さん「玄関先がこうなっていては、客を呼んだときに私が恥をかきます!」

    「わたしの心配とちゃうんかい! 小人さんなら、夜寝てるうちに治しといてよー」

    小人さん「えー……でもこの道路の管轄はあなたじゃないですかあ……」

    「お役所かっ!?」

    81 = 41 :

    小人さん「……はっくしゅっ!」

    「小人さんも風邪ひくんだ」

    小人さん「ひきますよ。特にあなたの手足は冷え性だから、こっちの部屋まで寒いんです」

    「暖房とかないの? 爪の中で暖房って想像するとアレだけどさ」

    小人さん「エアコンはお金がかかるから、極力使いたくありません」

    「電気代!? 俺の体、どーなっちゃってんの!?
      ひょっとしてそろそろ仮面ライダーにでも変身できちゃったり!?」

    小人さん「……熱は血管を通って、パルスは筋肉・神経を通ってくるんですよ?」

    「え? じゃあ俺の心臓とか脊髄とかって、光熱費とってんだ……俺の知らないところで……
      おまえらも家賃納めないし……」



    「っていうか、俺の冷え性って、おまえらが冬場の電熱代けちってるせいっ!?」

    82 = 41 :

    小人さん「マニキュアはんたーい!」

    小人さん「マニキュアはんたーい!」

    「なによー。小人さんのくせに、隊列組んでデモなんかー」

    「デート行くのにお化粧して何が悪いのさー」

    小人さん「あなたにとっては遊びかもしれませんが、こっちは景観論争なんです!」

    小人さん「楳図ハウスの悲劇を繰り返すなー!」

    小人さん「繰り返すなー!」

    「楳図ハウス? ふざけんなっ!」

    「わたしのお化粧がアレと同じセンスに見えるんかっ? こうなったら最高裁まで徹底的に争うぞ!」

    83 = 41 :

    「あ。霊柩車だ」

    『霊柩車!? いけない、はやく親指を隠して!』

    「迷信だってば」

    『人の魂は親指の爪の隙間から出ていくというのを知らないんですか!?』

    「アレってそういう理屈なわけ?」

    『小人といえば妖精の一種、妖精といえば霊魂にきわめて近い存在! ああ! す、吸われる!!』

    「いやこれで出てってくれるんならそれはそれでありがたい」

    『うおおおおおおおおおおおおっ!!!!』 ギュウ

    「いたっ! いたたたた! おまっ、どっか肉掴んでるな!? 痛い! わかった、隠すから離せ!」

    84 = 41 :

    「ここ何日か爪が痛いんだけど」 ジト

    小人さん「あなたは指に何かあるとすぐ私たちを疑う! 深爪ですよ! ただの!」

    「だって何かあったときのおまえら率、ほぼ100%じゃーん……」

    小人さん「それはそうと頼んでおいた家具が来るので、設置で少し音がするかもしれません」

    「……俺の爪の中、いったいどうなっちゃってんの?」

    小人さん「うっかりしてまして。家具が高すぎて、おかげで床をちょっと深く削る羽目になっちゃいましたよ」

    「ドジめ……」

    「……」



    「やっぱりおまえらのせいじゃねえかあああああああああああああああ!!!!!!!」

    小人「ですから、深爪だって言ってるでしょう。ただの、ふ・か・づ・め」

    「深さの向かう方向が違うんだよおおおおお!!!!!!」

    85 = 41 :

    小人さん「さあ、私たちが夜なべして作った、この魔法のステッキを!」

    「疲れてるのかな。わたしの眼にはそのステッキとやらが爪ヤスリにしか見えないよ」

    小人さん「このステッキで魔法少女に変身し、妖精の国のピンチを救っていただきたいのです」

    「妖精って……」

    小人さん「小人は民俗学的にいうと妖精の一種ですよ」

    「妖精の国って……」

    小人さん「それは、爪と指の狭間の次元にある、永遠の世界……」

    「……」





    「ようするにあんたらの住環境のために、爪の手入れしろってだけじゃないの?」

    小人さん「頑張って! 魔法少女!」

    「どこの世界に足の指の爪をヤスリでしこしこする魔法少女がいるかっ!」

    86 = 41 :

    「はぁ……」

    小人さん「いやなことでもありましたか?」

    「ん……ちょっとね……」

    小人さん「そんな時はぱーっとやるに限ります。ささ、わたしの部屋で、一緒に」 イソイソ

    「ああ、うん、ありがと……」 モソモソ







    「はッ!? 俺が俺の爪の間に入っちまったら、どうなっちゃうのさ!?」

    小人さん「……ちぇ」

    「おまえ、いま、ちぇって言った? わけわかんねえ事になるんだな? なるんだろ!? あぁ?」

    小人さん「そんなことありませんよ……ええ、そんなことありませんとも…………クスクス」

    「ああああああああ気になるうううううううう!! でも入るの怖いいいいいいいい!!!!!」

    87 = 41 :

    「うー」 テクテク

    「やっぱ靴の中に砂入ってる! いったい、いつ、どこで入ってんだよ!?」 もそもそ


    怪小人「ギャシャッ!! ギャシャシャッ!?」 


    「おまえか! おまえの仕業か!?」

    怪小人「ギョエッ!! ギョエエッ!!」 ダラダラ

    「うわっこらっ人の靴の中にへんな汁垂らすんじゃねえ!」 ブンブン

    怪小人「ムギイイィィィィィー!!!」

    『それは靴の底を融かし、穴を開けてしまう溶解液です』

    「それもこいつか!」

    『だから、爪が完全変形し固まっちゃった足の小指は切り落とせとあれほど……
      こういう変なのしか棲まなくなるんだから』

    「断る! それと漢字がイヤ!!」

    『ああいう住人がいると、風評でこのマンションの値段も下がっちゃうんで、
      引っ越す際に売却するとき困るんですよね』

    「人の爪を投機に使うなあっ!」

    88 = 41 :

    小人さん「爪のゴミを別の爪でとるのはやめてください」

    小人さん「そう不用意に部屋と部屋とをくっつけられては、住民間のプライバシーというものが云々……」

    小人さん「同じマンションながらほどよく部屋間に距離がある、という謳い文句に惹かれて入居したのに」

    「その謳い文句ほざいた不動産屋はどこだ? 踏み潰しに行くから、ちょっと案内しろ!」

    89 = 41 :

    小人さん「はじめまして! ……って、いまさら言うのもおかしいカナ?」
    小人さん「産まれたときからの付き合いだもんねー」
    「うわああああ!? 俺の爪、どこ行ったあ!? ちっちゃな女の子が指先にしがみついてるううう!」
    小人さん「うふふ。わからないの? わたしたちは、あなたの爪よ!」
    小人さん「毎月末、つまり、詰めの日は爪の日ってことで、大サービスぅ~♪」
    「あ、ああ、そ、そうなの……?」
    小人さん「今日一日だけど、ヨロシクね!」
    小人さん「また来月も逢えるけど、さ」
    「こんな漫画みたいなことって、あるんだ……」


    小人さん「痛い! そんなに強くキーボード叩かないで!」
    小人さん「お手々握りしめないでー! わたしを巻き込んで痛いよぉー!」
    小人さん「くさっ! ちょっ、靴履かないでよ!」
    小人さん「体が擦られる! 掻かないで!」
    小人さん「ちょ、お箸持たないで! 固い! 痛い! 頭に当たってる!!」
    小人さん「机コンコンしちゃだめ! 頭が! 頭が割れるぅ~!」


    「ああああああああああ! もう、日常生活ができやしねえええええええ!」





    古老「擬人化全盛時代の中、爪の擬人化をあまり見ないのはこういう深いわけがあったのじゃ」
    古老「いや、むしろ、擬人化してみて初めて、我らがいかに爪を酷使しておるかわかるというもの」
    古老「ゆえに毎月末の詰めの日には、爪に感謝し、いたわり、荒仕事を避けるのじゃよ」

    若者「ゴッテゴテにネイルアートして村の仕事一つ手伝わねえ言い訳がそれか? あァ?」

    90 = 41 :

    小人さん「では、ちょっと出かけてきます」

    「あン? またお仲間のご不幸?」

    小人さん「ええ。馬の蹄に住んでいたんですがね」

    「アレも爪っちゃ爪だもんな……」

    小人さん「蹄鉄の釘に刺し貫かれて、あえなく……ううっ……」

    「おまえらけっこうバイオレンスな環境下に生きてやがんなあオイ!?」

    小人さん「人間の爪が一番安全なのに、粋がった連中は好んでああいうところに住みたがる……」

    91 = 41 :

    小人さん「よいしょ……っと」 モソッ

    「爪の頭からじゃなく、爪の付け根から皮持ち上げて出てくるのな、おまえ」

    小人さん「玄関から出ようとお勝手から出ようと、どうだっていいじゃないですか。私んちなんですから」

    「俺の指なのに俺にはもう何の権利も残されちゃいないのか……」

    小人さん「ああ、また立て付けが悪くなった!」 ブニョブニョ

    「立て付け?」

    小人さん「指の付け根の皮が少し垂れて、爪との間にちょっと隙間ができてるでしょう?」

    「どんどん明らかになっていくボクの知らなかった爪の仕組み!!!!!!」

    小人さん「大家さんなんだから、ちゃんと直しといてくださいよ」

    「直すってどうやって……ああ、たるんだのを爪切りで切っときゃいいのか……」

    92 = 41 :

    小人さん「騒音はんたーい!」

    小人さん「騒音はんたーい!」

    「わたしの爪っ! いつつんだって、わたしの勝手!」

    小人さん「自分の持ち家なら住民を無視して壁に鉄球をぶつけてガンガン音を立ててもいいのかー!」

    小人さん「いいのかー!」

    「夜、おまえらが外に出てるとき以外つむなってか!?」

    小人さん「住民の暮らしを守れー!」

    小人さん「守れー!」

    「だいたい何で見なれん奴らが一緒にデモしてんのよ!?」

    「はッ!?」

    「まさか、小人の世界にもプロ市民が!?」

    93 = 41 :

    「zzzzz……」

    「だ、だいじょうぶかしら?」 キョロキョロ

    小人さん「心配ないよ。ぐっすりだよ」

    小人さん「さあ、今のうちに遊びに行こうよ」

    小人さん「悪い王妃も、お姫さまがこんなところに住んでるだなんて、わかりゃしないよ」

    白雪姫「そ、そうね……うん」 モソモソ

    「zzzzz……」





    (……え? なに今の? 白雪姫? え?)

    (ってことは来るの? 継母と、王子さまが、人の爪に!?)

    (爪って、身近なようで、とっても、不☆思★議♪)

    (いやいやいやいやいやいやいやいや!)

    (小人はともかく、白雪姫はない! さすがにない!)

    (これは夢だこれは夢だこれは夢だこれは夢だ……) ガクガクブルブル

    94 = 41 :

    小人さん「死屍累々」



    「なあ……おまえらってこう……なんで……いやもういいよ」

    小人さん「気にしないでください。ただのご近所トラブルの果てですから」

    「小人さんの世界にまで人間界の悪しき風潮が!?」

    小人さん「こいつの飼ってる爪水虫が放し飼いでさー」

    小人さん「そっちの爪水虫の鳴き声だって相当なもんじゃないですか!」

    小人さん「なんだとー? 殺してやるっ!」

    「うんもうできればそのまま相打ちで全滅し……ペット!? 爪水虫、ペットなの!?」





    「というかこの若さで水虫持ちか……ハハ……」

    95 = 41 :

    小人さん「あなたが昼間いじっていたWikiなんですが、けっこう間違いがありました」

    「え? ほんと?」

    小人さん「ひまなんで爪の中からモニタを見上げてたんですが」

    「あ、そうか……こっそりWikiを直してくれる『小人さん』っていうのは、
      爪の間から打ち込みを見ていたから間違いがわかるんだ……」

    小人さん「あなたがいつ気付くか、みんなで賭けています」

    「……」

    「ああうんそうだね……
      君たちが夜中にこっそり直してくれるなんて殊勝な小人さんじゃないってことぐらい、
      わたしにゃちゃーんとわかってたよ。ハハ……」

    96 :

    なんでさる食らわないの?

    97 = 41 :

    「おはよう、小人さんたち」

    小人さん「おはようございます」

    「起き抜けに何ですがね……」 モゾモゾ 「なんで俺、ロープで布団に固定されてんの?」

    小人さん「一言で言うなら、『ガリバー』……でしょうか?」

    「でしょうか? じゃねえ! さっさとほどけよこれ!!」 グイッ

    小人さん「えー……せっかく苦労してくくったのに……もう二三日はそのままでいいでしょう?」

    「俺は雪だるまか砂の山か!? くそ、こんな小人のひも如き!」 グググッ

    「びくともしねぇ!?」

    小人さん「かの狂狼フェンリルを封じた魔法のひもグレイプニルを作ったのも
          我らと同じ小人族だという事をお忘れなく」

    「ひょっとしてラグナロクまでこのままですかあーっ!?」

    98 = 96 :

    やっぱbeか

    つーかお前のこのスレへの執念は何だ

    99 = 41 :

    >>98
    俺が知るかっ!

    100 = 41 :

    小人さん「あのう」

    「ん?」 ガジガジ

    小人さん「その爪噛む癖、治りませんか?」

    「あー……やめようとは思ってるんだけどねえ」

    小人さん「家の外からゾンビの大群にドンドン叩かれてるようで、もう、ストレスで禿げそうです」

    「だからさあ、引っ越しなっての……居住物件として開放した覚えなんかないんだから」 

    小人さん「もういいです! 次は法廷でお会いしましょう!」

    「えー……また裁判ー?」 

    「あんたらがわたしにストレス与えるから、爪噛んじゃうんじゃないのかなあ、なんて……」 ガジガジ


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