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元スレ超王道ジャンル「クリスマスの夢が覚める頃に」
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ピ、ピ、ピ… プルルルルルッ プルルルルルッ
―――はい、もしもし駅前病院です。
男「さきほど訪れた者です。最近駅前でサンタが配っているお菓子を知っていますか?」
―――ああ、さっきの。えっと政策キャンペーンのやつですよね?知ってますよ。
私も昼間もらいました。
男「大至急、それを調べてください。私の勘が正しければ、もしかすると…」
―――まさか…まさか寄生虫はッ!?
男「大至急、お願い致します…」
ピッ ツーツーツー…
男「………」
男「ちくしょうめがッ!」 ダッ
―――はい、もしもし駅前病院です。
男「さきほど訪れた者です。最近駅前でサンタが配っているお菓子を知っていますか?」
―――ああ、さっきの。えっと政策キャンペーンのやつですよね?知ってますよ。
私も昼間もらいました。
男「大至急、それを調べてください。私の勘が正しければ、もしかすると…」
―――まさか…まさか寄生虫はッ!?
男「大至急、お願い致します…」
ピッ ツーツーツー…
男「………」
男「ちくしょうめがッ!」 ダッ
-同日夜 新聞社-
部下「あ、お疲れ様っス。そういやさっきTVで新しい経済政策が発表されて明日のウチの一面も―――」
男「お前はサンタからもらったお菓子を食ったか?」
部下「ほえ?あ、ああ…あのチョコ菓子っスか?おいしかったですよ。
男サンの分も残してますから安心―――」
男「ちくしょう!」 ダダッ
部下「…?」
部下「あ、お疲れ様っス。そういやさっきTVで新しい経済政策が発表されて明日のウチの一面も―――」
男「お前はサンタからもらったお菓子を食ったか?」
部下「ほえ?あ、ああ…あのチョコ菓子っスか?おいしかったですよ。
男サンの分も残してますから安心―――」
男「ちくしょう!」 ダダッ
部下「…?」
男「おい!みんな聞いてくれ!サンタがキャンペーンで配っているお菓子は絶対に食うな!
触らずそのままゴミ箱に捨てろ!」
ザワッ…
男「いいからそうしろ!絶対だ!食うなよ!?」
部下「食うなよって…もうみんな食べちゃいましたよ?
男サンの分はありますからそんなにカリカリしなくたって…」
男「食った…のか…ちくしょうめが!」 ダダッ
触らずそのままゴミ箱に捨てろ!」
ザワッ…
男「いいからそうしろ!絶対だ!食うなよ!?」
部下「食うなよって…もうみんな食べちゃいましたよ?
男サンの分はありますからそんなにカリカリしなくたって…」
男「食った…のか…ちくしょうめが!」 ダダッ
男「落ち着け!今はとにかく被害を最小限に食い止めることだ!
俺の杞憂ならそれでいい!むしろ…思い過ごしであってくれ…頼む!」
プルルルルルッ プルルルルルッ
男「ケータイ!?病院からかッ!?はい、もしもし!?」
―――私です。お菓子を調べてみました。最悪の事態です。
男「…ま、まさか」
―――このお菓子の中に1mmに満たない線虫のようなものが入っています。
恐らくは…。
男「バ、バカな…」
―――これはもはや悪魔の所業です。目的は分かりませんが、もし政府の主導であるならば…何ということだ…!!
男「わ、分かりました。とりあえず―――」
―――なんだ!?誰だね君たちはッ!?ちょっ…ぬぐあッ!?」 ドガシャアア
俺の杞憂ならそれでいい!むしろ…思い過ごしであってくれ…頼む!」
プルルルルルッ プルルルルルッ
男「ケータイ!?病院からかッ!?はい、もしもし!?」
―――私です。お菓子を調べてみました。最悪の事態です。
男「…ま、まさか」
―――このお菓子の中に1mmに満たない線虫のようなものが入っています。
恐らくは…。
男「バ、バカな…」
―――これはもはや悪魔の所業です。目的は分かりませんが、もし政府の主導であるならば…何ということだ…!!
男「わ、分かりました。とりあえず―――」
―――なんだ!?誰だね君たちはッ!?ちょっ…ぬぐあッ!?」 ドガシャアア
男「もしもし!?どうされたんですかッ!?ちょっとッ!?」
―――止めなさいッ!止め…何を…ぎゃあああああああああッ!!!
ブチッ ツーツーツー…
男「もしもし!?返事をしてください!もしもし!?」
ザリッ
サンタ「…電話先の人はもう電話に出られないそうです」
男「ッ!?」
―――止めなさいッ!止め…何を…ぎゃあああああああああッ!!!
ブチッ ツーツーツー…
男「もしもし!?返事をしてください!もしもし!?」
ザリッ
サンタ「…電話先の人はもう電話に出られないそうです」
男「ッ!?」
サンタ「ふふっ…やはり昼間貴方を殺さなくて正解だったみたいですね」
男「なんだと…?」
サンタ「知られちゃ困るんですよ。泳がしてまとめて消す作戦はどうやら上手くいったようです」
男「ちっ…」
サンタ「さあ、そろそろ貴方は危険分子だ。申し訳ありませんが、消えていただきましょう」
男「貴様は政府の人間か?なぜだ!?何のためにこんな真似をしているッ!?」
サンタ「言ったでしょう?方法論だと」
男「なんだと…?」
サンタ「知られちゃ困るんですよ。泳がしてまとめて消す作戦はどうやら上手くいったようです」
男「ちっ…」
サンタ「さあ、そろそろ貴方は危険分子だ。申し訳ありませんが、消えていただきましょう」
男「貴様は政府の人間か?なぜだ!?何のためにこんな真似をしているッ!?」
サンタ「言ったでしょう?方法論だと」
サンタ「つい数年前まで国家財政は最悪の状況だった。
サブプライム問題に端を発した世界恐慌に愚策ばかりで自滅する政策…」
男「国家財政、だと…?」
サンタ「かつて第二次世界大戦の敗戦国から驚異的な成長を遂げたわが国を支えたのは何です?」
男「………」
サンタ「国民の精神力ですよ。強大な不景気を前にもはや政府に出来ることなどない。
国民が奴隷のように働いたあの時代を取り戻すことがわが国の復活への第1歩なのですよ」
サブプライム問題に端を発した世界恐慌に愚策ばかりで自滅する政策…」
男「国家財政、だと…?」
サンタ「かつて第二次世界大戦の敗戦国から驚異的な成長を遂げたわが国を支えたのは何です?」
男「………」
サンタ「国民の精神力ですよ。強大な不景気を前にもはや政府に出来ることなどない。
国民が奴隷のように働いたあの時代を取り戻すことがわが国の復活への第1歩なのですよ」
サンタ「ところがバブルに踊らされた国民の精神など既に脆弱の極みへと堕してしまった。
もはや国民の自主性などあてになりません」
男「ま、まさか…」
サンタ「実に便利な寄生虫、そう思いませんか?宿主の脳内でひたすら快楽物質を作り出す生命体。
かつての国民精神を否応なしに取り戻す最高のパートナー、違いませんか?」
男「…っ」
サンタ「結果、わが国の景気はたったの2年で驚くべき回復を遂げた。
常に快楽を感じ続けることをプログラムされた国民になるだけで、
社会はこんなにも向上するのです」
もはや国民の自主性などあてになりません」
男「ま、まさか…」
サンタ「実に便利な寄生虫、そう思いませんか?宿主の脳内でひたすら快楽物質を作り出す生命体。
かつての国民精神を否応なしに取り戻す最高のパートナー、違いませんか?」
男「…っ」
サンタ「結果、わが国の景気はたったの2年で驚くべき回復を遂げた。
常に快楽を感じ続けることをプログラムされた国民になるだけで、
社会はこんなにも向上するのです」
サンタ「この寄生虫はね、快楽物質を生み出すためなら脳内であらゆることを行います。
幻覚、幻聴、宿主にとって『幸せな虚構』を五感を通じてひたすら創り出すんですよ」
男「じゃあ、あの少女も、上司も…」
サンタ「死んだ人さえ、その人の中でのみ蘇る…我々の研究ではそういった結果が出ています」
男「そんな…そんなことが許されるわけ…!」
サンタ「…『幸せ』とは何ですか?」
幻覚、幻聴、宿主にとって『幸せな虚構』を五感を通じてひたすら創り出すんですよ」
男「じゃあ、あの少女も、上司も…」
サンタ「死んだ人さえ、その人の中でのみ蘇る…我々の研究ではそういった結果が出ています」
男「そんな…そんなことが許されるわけ…!」
サンタ「…『幸せ』とは何ですか?」
男「なんだと…?」
サンタ「いいじゃないですか。たかだか寄生虫を宿すだけで何をしても楽しくて、
社会全体が改善される…何が問題なのですか?」
男「しかし実際に死んだ人がッ!」
サンタ「2億に迫ろうという日本国民からたかが数百人死んだところで何の問題があるのですか?」
男「…ッ」
サンタ「いいじゃないですか。たかだか寄生虫を宿すだけで何をしても楽しくて、
社会全体が改善される…何が問題なのですか?」
男「しかし実際に死んだ人がッ!」
サンタ「2億に迫ろうという日本国民からたかが数百人死んだところで何の問題があるのですか?」
男「…ッ」
サンタ「この寄生虫をもってしても負の感情が勝る場合、寄生虫は幻覚とともに宿主を殺してしまいます」
男「………」
サンタ「しかしこれは我々にとっても都合がいい。
国に無益な民に血税など投入する必要はありますまい」
男「間違っている!そんなのは絶対に―――」
サンタ「…ほう、ならば貴方はこう言うのですね。『幸せな嘘』より『辛い現実』を選ぶと…」
男「………」
サンタ「しかしこれは我々にとっても都合がいい。
国に無益な民に血税など投入する必要はありますまい」
男「間違っている!そんなのは絶対に―――」
サンタ「…ほう、ならば貴方はこう言うのですね。『幸せな嘘』より『辛い現実』を選ぶと…」
男「当然だろうッ!?これでも新聞記者だ!真実こそが正義だろうッ!?」
サンタ「…まだ、分からないのですか?」
男「何がだ!?貴様らの狂った考え方なんか理解できるはずが―――」
サンタ「違いますよ。あなた自身のことです」
男「な…に…?」
サンタ「あなたは…
まだ自分の目が『真っ白』であることに気づかないのですか?」
サンタ「…まだ、分からないのですか?」
男「何がだ!?貴様らの狂った考え方なんか理解できるはずが―――」
サンタ「違いますよ。あなた自身のことです」
男「な…に…?」
サンタ「あなたは…
まだ自分の目が『真っ白』であることに気づかないのですか?」
男「…なに?」
サンタ「ふはははははははッ!今頃お気づきになられましたか!
これは愉快だ!無様ですな」
男「…そんな…!?」 ダッ
サンタ「今頃走ってももう遅い。貴方も所詮我々の手のひらの上、そういうことだッ!
くははははははははははッ」
男「嘘だ…嘘だ!」
サンタ「ふはははははははッ!今頃お気づきになられましたか!
これは愉快だ!無様ですな」
男「…そんな…!?」 ダッ
サンタ「今頃走ってももう遅い。貴方も所詮我々の手のひらの上、そういうことだッ!
くははははははははははッ」
男「嘘だ…嘘だ!」
-同日深夜 駅前-
男「はあ…はあ…」 タタタタタタタタッ
男「ちくしょう…なんだってこんなに寒いんだよッ!?」
―――…。
男「ちっ…おまけに雪まで降ってきやがったッ!」
男「信じない…絶対に信じないッ!」 ダッ
男「はあ…はあ…」 タタタタタタタタッ
男「ちくしょう…なんだってこんなに寒いんだよッ!?」
―――…。
男「ちっ…おまけに雪まで降ってきやがったッ!」
男「信じない…絶対に信じないッ!」 ダッ
男「―――ッ!」
―――イヴの夜を楽しむ人たちで溢れかえる繁華街。
男「―――ッ!」
―――誰もが笑顔で、誰もが幸せそうで。
男「はあ…はあ…!」
―――1年に1度の、サンタからの贈り物。
男「ちくしょう…ちくしょうがッ!!」
―――誰もがそれを悪夢だと気づいていない。
―――イヴの夜を楽しむ人たちで溢れかえる繁華街。
男「―――ッ!」
―――誰もが笑顔で、誰もが幸せそうで。
男「はあ…はあ…!」
―――1年に1度の、サンタからの贈り物。
男「ちくしょう…ちくしょうがッ!!」
―――誰もがそれを悪夢だと気づいていない。
―――幸せな悪夢を誰が悪夢だと思うのだろう。
夢が覚めて欲しいと誰が思うのだろう。
男「…違う!そんなの絶対に間違っているッ!」
―――真っ白な目は、決して現実を写さない。
男「絶対に…俺は絶対にそんなことを…!!」
―――ただひたすら、人々はクリスマスに夢を見る。
夢が覚めて欲しいと誰が思うのだろう。
男「…違う!そんなの絶対に間違っているッ!」
―――真っ白な目は、決して現実を写さない。
男「絶対に…俺は絶対にそんなことを…!!」
―――ただひたすら、人々はクリスマスに夢を見る。
-25日早朝 女自宅-
男「はあ…はあ…」
ピンポーン ピンポーン
男「ちくしょう!出て…出てくれッ!!」
―――はい?どちら様でしょうか。
男「お、男ですッ!え、えっと…」
―――男…さん?どうして…。
男「女のお母様ですか!?すみません、開けていただけますか!?」
男「はあ…はあ…」
ピンポーン ピンポーン
男「ちくしょう!出て…出てくれッ!!」
―――はい?どちら様でしょうか。
男「お、男ですッ!え、えっと…」
―――男…さん?どうして…。
男「女のお母様ですか!?すみません、開けていただけますか!?」
ガチャッ
女母「…と、突然どうされたんですか」
男「すみません、今は説明している暇はないんです!女さんはどこに!?」
女母「どこにって…あ、ちょっと!」
男「上がらせてもらいますね!」 ダダッ
女母「…と、突然どうされたんですか」
男「すみません、今は説明している暇はないんです!女さんはどこに!?」
女母「どこにって…あ、ちょっと!」
男「上がらせてもらいますね!」 ダダッ
男「おいッ!?女、どこにいるんだッ!?」
男「いるんだろッ!?おい、どこに―――」
男「あそこ…明かりがもれてる…!」 ダッ
バタンッ
男「おい、女―――!」
男「………」
ドサッ
男「バカな…嘘だろ…な、何だよこれ…」
―――遺影の中の『女』は静かに微笑むばかりだった。
男「いるんだろッ!?おい、どこに―――」
男「あそこ…明かりがもれてる…!」 ダッ
バタンッ
男「おい、女―――!」
男「………」
ドサッ
男「バカな…嘘だろ…な、何だよこれ…」
―――遺影の中の『女』は静かに微笑むばかりだった。
男「な、何だよこれ…だって昨日まで…ずっと…」
女母「…突然どうされたんですか?」
男「どういうことですッ!?女は…女は一体どこに…ッ!?」
女母「何を…おっしゃっているのですか?娘は…娘は2年前のクリスマスに亡くなったでしょう?」
―――『雪』は部屋の中まで積もり始めた。
女母「…突然どうされたんですか?」
男「どういうことですッ!?女は…女は一体どこに…ッ!?」
女母「何を…おっしゃっているのですか?娘は…娘は2年前のクリスマスに亡くなったでしょう?」
―――『雪』は部屋の中まで積もり始めた。
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