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元スレ新ジャンル「被害クール」 Ⅱ
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友 「しかし良いのか? Cさんって……>>男のこと好きじゃなかったっけ?」
A 「あーww Cねww あのなwwwwwwww」
「おーいCwwwwwwwwお前その後は彼氏と上手くいってんの?wwwwwwww」
男 「おっ、なんだCさん。彼氏デキてたのかww」
C 「べ、別にカンケーねーだろお前らにはっ!」
B 「こいつな、ついこの前うちの不良グループのアイツとくっついたのよwwwwww」
C 「ちょ、ちょっとB!」
A 「半年間……ん猛~~~~烈ッにアプローチしてくる不B、遂にCの心は~~っ!!」
素ヒ「うおおおおおおおっ!!」
C 「う、うるさいうるさいうるさいっ!!」
「っつか! アツアツなのはこいつらだろ実際っ!!」(ビシッ)
男 「え……」
被ク「私達は別にイチャつてるつもりは無いが…………」
友 「んふっふっふ。いやでもやっぱアレッスよねぇ、お互い苦難を乗り越えたのは愛あってこそでしょう」
「そんなわけで、>>男と被クちゃんがチューwwwwwwwwwwwwwwwwww」
素ヒ「キャーーーーッ!! ><」
被害「お、おい……何バカなこと言ってんだ」
A 「良いだろーどうせ影で毎日やってんだろうしなー」
男 「してねーって!」
素ヒ「オラッ! 何ホラ吹いてんだっ、飲めっ!ええから飲めっ! バカになれっ!飲めば分かるさっ!1.2.3 ダー!!」
男 「ぶがっ……」(ゴクゴクゴクっ・・・!)
被ク「あ、ヒート先輩っ!駄目ですってば!」
男 「…………」
被ク「お、おい……大丈夫か?」
男 「被ク……」
「キスしてくれよ」
被ク「ぷわっ!……な、何何何っ、なんだって!?」
C 「なっ!」
AB「なんだってー!!」
友 「こwwいwwつwwらwwwwwwwwwwwwwwwwww」
男 「吐きそうなんだ。だからキスしてくれよ……そしたら酔いが冷めるからさ……」
「頼む……後生だ……気持ち悪いんだ被ク……」
「お前の」
「唇を」
「俺の」
「唇に」
「重ねてくれ……」
被ク「っ(////)……す、すまん>>男……私は、わからないんだ……その人前で、その……」
「…………えいっ!」
ズキュゥゥゥゥゥン!!
友 「や、やった!」
素ヒ「さっすが被ク! 俺達に出来ないことを平然とやってのけるッそこに痺れる憧れるゥ!」
被ク「うっ……今日はもう、恥ずかしくてその、死にそうだ……」
C 「ちゅ~ww」
AB「ちゅっちゅちゅっちゅ~~wwwwww」
素ヒ「私達は一向に構わんッッッ!!!」
男 「お、おー…………へへっ」
友 (酔ったフリして……やったな>>男)
被ク「おっ……お前らもう帰れっ~~~!!」
無論、俺はこのときの被クにギャップ萌え。
A 「んじゃな被クぅ~ww チュッチュ~~wwww」
B 「ばぁ~~いww」
C 「はじめてぇ~のwwwwwwwwwwwwwwチューwwwwwwwwwwwwwwww」
被ク「うるさーいっ!帰れ帰れ帰れ~~っ!!(///)」
男 「お、俺も?」
被ク「お前がいるとまた変な噂が立つんだ! きょ、今日のところはな!」
男 「ちぇ…………」
結局、その日は解散することになった。
ABCは「飲みなおそー☆」とか言って何処かへ消えて行き、>>友とヒート先輩も、お手手つないで駅まで幸せ~♪だった。
俺だけが、一人寂しく帰路を歩こうとしていたそのとき……
C 「ちゅ~ww」
AB「ちゅっちゅちゅっちゅ~~wwwwww」
素ヒ「私達は一向に構わんッッッ!!!」
男 「お、おー…………へへっ」
友 (酔ったフリして……やったな>>男)
被ク「おっ……お前らもう帰れっ~~~!!」
無論、俺はこのときの被クにギャップ萌え。
A 「んじゃな被クぅ~ww チュッチュ~~wwww」
B 「ばぁ~~いww」
C 「はじめてぇ~のwwwwwwwwwwwwwwチューwwwwwwwwwwwwwwww」
被ク「うるさーいっ!帰れ帰れ帰れ~~っ!!(///)」
男 「お、俺も?」
被ク「お前がいるとまた変な噂が立つんだ! きょ、今日のところはな!」
男 「ちぇ…………」
結局、その日は解散することになった。
ABCは「飲みなおそー☆」とか言って何処かへ消えて行き、>>友とヒート先輩も、お手手つないで駅まで幸せ~♪だった。
俺だけが、一人寂しく帰路を歩こうとしていたそのとき……
??「あの……」
男 「はへ?」
??「……さっきの元気な子、VIP高校の女生徒さんですよね?」
男 (Aのことか?)
「え、ええまぁ……A子って言うんですけど。全員VIP校ですよ」
??「あぁ良かった。やっぱりそうだったんだ……いやぁ以前、文化祭のとき(>>171)美術室に案内してもらいまして」
「お世話になったんですよ~……」
男 「ははは、そうですか。てっきり変質者だと思いましたよ」
「えっと……あ、僕があの絵の作者です。>>男って言うんですが……」
??「えっ……!?」
「ああ………………そうか、君があの絵の………………なるほど」
男 「?…………」
「あの、失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
??「ああ、すみません。私、医者をやっております……」
「父クールと申します」
男 「父………クールぅっ!?」
??「いやぁ……ついそこまで来てしまって、久々に娘に会おうかなと思っていたんですが」
「何やら楽しそうだったもので、ええ……邪魔するのもどうかと思い、声を掛けさせて頂きました」
男 「ちょ、ちょっと待って下さい」
「じゃあ、あなたがもしかして被クの……離婚したっていう…………」
??「そうです、私が」
./  ̄/〃__〃 /  ̄/ /
―/ __ _/ ./ ―― / /
_/ / / _/ _/ /_/ ですっ!
/\___/ヽ
/'''''' '''''':::::::\
. |(●), 、(●)、.:| +
| ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|
. | `-=ニ=- ' .:::::::| +
\ `ニニ´ .:::::/ +
,,.....イ.ヽヽ、ニ__ ーーノ゙-、.
: | '; \_____ ノ.| ヽ i
| \/゙(__)\,| i |
> ヽ. ハ | ||
男 「はへ?」
??「……さっきの元気な子、VIP高校の女生徒さんですよね?」
男 (Aのことか?)
「え、ええまぁ……A子って言うんですけど。全員VIP校ですよ」
??「あぁ良かった。やっぱりそうだったんだ……いやぁ以前、文化祭のとき(>>171)美術室に案内してもらいまして」
「お世話になったんですよ~……」
男 「ははは、そうですか。てっきり変質者だと思いましたよ」
「えっと……あ、僕があの絵の作者です。>>男って言うんですが……」
??「えっ……!?」
「ああ………………そうか、君があの絵の………………なるほど」
男 「?…………」
「あの、失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
??「ああ、すみません。私、医者をやっております……」
「父クールと申します」
男 「父………クールぅっ!?」
??「いやぁ……ついそこまで来てしまって、久々に娘に会おうかなと思っていたんですが」
「何やら楽しそうだったもので、ええ……邪魔するのもどうかと思い、声を掛けさせて頂きました」
男 「ちょ、ちょっと待って下さい」
「じゃあ、あなたがもしかして被クの……離婚したっていう…………」
??「そうです、私が」
./  ̄/〃__〃 /  ̄/ /
―/ __ _/ ./ ―― / /
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/\___/ヽ
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| ,,ノ(、_, )ヽ、,, .::::|
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,,.....イ.ヽヽ、ニ__ ーーノ゙-、.
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| \/゙(__)\,| i |
> ヽ. ハ | ||
これも何かの縁と思い、俺はダディクールさんと一緒に夜の街を巡ることになった。
その間、彼はひっきりなしに被クの学校でのことを訊いてきて、俺はただバカ正直にそれに答えていた。
ダデ「そうですか……娘が、やはり……」
男 「娘さんがその……いじめにあっていた事は、ご存知だったんですか?」
ダデ「家内……いえ、元妻も薄々は気付いていたのでしょう」
「そして……私は離婚してからの被害クールのことを何も知りません」
男 「何も?」
ダデ「ええ……」
「>>男君、ちょっとそこの雀荘に寄っていきませんか? オーナーが美味しいうどんを作ってくれるんです。おごりますよ」
男 「は、はぁ……」
オゴリという言葉に弱い俺は
ダディクールさんに誘われるまま、ホイホイと雀荘についてきちゃったのだ。
ダデ「タ ン ヤ オ」
荘主「わかりました。びっくりかき揚げおうどんですね」
男 「……?」
ダデ「ふふっ……ちょっとした合言葉みたいなものです。ああいう言い方をしないと作ってくれないんですよ」
男 「そうなんですか……」
「あ、今の『ふふっ』っていう言い方、被クさんの笑い方に似てますね。顔は死ぬほど似てないですけど」
ダデ「顔は似てませんが、娘です」
男 「ええ。どうやったら貴方みたいな人からあんな秀麗な美女が生まれるのか分かりませんが」
ダデ「はっはっは……」
荘主「ハフハフセットはお付け致しますか?」
ダデ「NO THANK YOU」
「さて>>男君……ここで一つ真面目な話だ」
男 「その顔で、ですか?」
ダデ「こんな顔だが私は精神科医でね……>>男君、君のお父さんにも会ったことがあるんだ」
男 「えっ……!?」
ダデ「もう十年以上も前のことだ。私のところに画家さんが尋ねてきてね、外傷も酷かったが……」
「もっと酷かったのはその精神のほうだ。その画家さんは事故で両腕を負傷し、そのときに愛する妻も失ってしまった」
男 「ち……父です、確かに」
ダデ「実を言うと、君のことは少し調べさせてもらった」
「文化祭であの絵を見た瞬間、僕には作者がそのモチーフになった女性に、描写とは別の部分で熱を感じていたんだ」
「すぐにその人物が被クのことを好きだと分かった……」
男 「は、はぁ」
ダデ「だが以前……僕は似た絵を見たことがあったんだ」
「それが、僕の患者としてやってきた君のお父さんが描いていた絵にそっくりだったんだ」
「僕のところにはね、患者さんの資料が沢山運ばれてくる。君のお父さんが描いた絵の写真も保管されていてね」
男 「父が……俺と同じ絵を……」
その間、彼はひっきりなしに被クの学校でのことを訊いてきて、俺はただバカ正直にそれに答えていた。
ダデ「そうですか……娘が、やはり……」
男 「娘さんがその……いじめにあっていた事は、ご存知だったんですか?」
ダデ「家内……いえ、元妻も薄々は気付いていたのでしょう」
「そして……私は離婚してからの被害クールのことを何も知りません」
男 「何も?」
ダデ「ええ……」
「>>男君、ちょっとそこの雀荘に寄っていきませんか? オーナーが美味しいうどんを作ってくれるんです。おごりますよ」
男 「は、はぁ……」
オゴリという言葉に弱い俺は
ダディクールさんに誘われるまま、ホイホイと雀荘についてきちゃったのだ。
ダデ「タ ン ヤ オ」
荘主「わかりました。びっくりかき揚げおうどんですね」
男 「……?」
ダデ「ふふっ……ちょっとした合言葉みたいなものです。ああいう言い方をしないと作ってくれないんですよ」
男 「そうなんですか……」
「あ、今の『ふふっ』っていう言い方、被クさんの笑い方に似てますね。顔は死ぬほど似てないですけど」
ダデ「顔は似てませんが、娘です」
男 「ええ。どうやったら貴方みたいな人からあんな秀麗な美女が生まれるのか分かりませんが」
ダデ「はっはっは……」
荘主「ハフハフセットはお付け致しますか?」
ダデ「NO THANK YOU」
「さて>>男君……ここで一つ真面目な話だ」
男 「その顔で、ですか?」
ダデ「こんな顔だが私は精神科医でね……>>男君、君のお父さんにも会ったことがあるんだ」
男 「えっ……!?」
ダデ「もう十年以上も前のことだ。私のところに画家さんが尋ねてきてね、外傷も酷かったが……」
「もっと酷かったのはその精神のほうだ。その画家さんは事故で両腕を負傷し、そのときに愛する妻も失ってしまった」
男 「ち……父です、確かに」
ダデ「実を言うと、君のことは少し調べさせてもらった」
「文化祭であの絵を見た瞬間、僕には作者がそのモチーフになった女性に、描写とは別の部分で熱を感じていたんだ」
「すぐにその人物が被クのことを好きだと分かった……」
男 「は、はぁ」
ダデ「だが以前……僕は似た絵を見たことがあったんだ」
「それが、僕の患者としてやってきた君のお父さんが描いていた絵にそっくりだったんだ」
「僕のところにはね、患者さんの資料が沢山運ばれてくる。君のお父さんが描いた絵の写真も保管されていてね」
男 「父が……俺と同じ絵を……」
こwwwwwwwwwwwwwwwwwwれwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwはwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
ダデ「当時、私はお父さんは奥さんを亡くしたショックで酷く弱っていてね」
「僕は>>男君…………お父さんに君のことを話し続けた。退院する頃、お父さんは君を自分の跡継ぎにすると決心してくれた」
男 「そ、そんなことがあったとは……知りませんでした」
「父は、美術のこと以外では僕とあまり話をしませんでしたから……特に、母のことは……」
ダデ「…………なぁ、>>男君」
それまでにこやかだったダディクールさんが、急に真顔になった。
ダデ「君は被クを……どうしたいんだい?」
男 「え…………いや、どうって…………」
ダデ「被害クールがいじめにあっていた事も認めるし、それを救ってくれたのも君だ。本当に感謝している」
「君は、お父さんの跡を継いで画家になるのかい?」
男 「それは、まだ分かりませんが……」
ダデ「まだ終わっていない」
男 「は……?」
ダデ「君はこの一件で娘がもう何の被害にも遭わないと思ってるんじゃないか?」
男 「…………なっ」
ダデ「私がさっき、どうしていじめのことについて知っていたと思う?」
「元妻から聞いたわけでもないのに」
男 (………………)
「遺伝、ですか?」
ダデ「遺伝……? それはどういうことだね」
男 「被クは、昔彼女の母……あの、お母さんがいじめられていたと言っていました。それを貴方が助けていたことも」
ダデ「…………惜しいな」
「それならまだ良いほうだ。元妻は当初『左腕が疼く』とか言って奇声を上げていたからな。それがいじめの要因だった」
「元妻こと邪気眼クールはその時期こそ荒れていたが、歳を重ねるごとにどんどん過去の自分の行動を恥ずかしがるようになった」
「そして彼女が大人になった頃、もはやそれは完全に『黒歴史化』したんだ。彼女は自分の性分を克服した」
男 「はぁ」
ダデ「良いか? ここからはもう気の抜けた返事なんて出来ないぞ」
「娘が幼い頃、幼稚園で園児が外に向けて投げた紙飛行機が”何故か被クに直撃した”……被クは室内に居たというのにな」
「そのとき、娘は片眼を突いてしまってね。左目だけ視力が弱い……」
男 「聞いたことがあります。たまに、メガネをかけてますし……」
ダデ「娘はそのことに何の疑問も持たなかった。無論、私達夫婦も……」
「だが小学生の頃だ。野球をやっていた男子がホームランをかっ飛ばした。そしてそのボールが被クに直撃した」
男 「ぐ、偶然では?」
ダデ「五回や十回そんなことが続いても、そう思うか?」
「中学の頃には更に酷くなって…………私は家内にも内緒で一人、その要因を探ろうとした」
「その結果……娘は『被害を被りやすい性質』だということが分かった」
男 「ちょ、ちょっと待って下さい。貴方精神科医ですよね? それにしては非現実的というか、説得力が無いというか」
ダデ「人間の精神には未知の部分がある。彼女の持つ何か、精神から湧き出る不思議なエネルギーのようなものがそうさせるんだ」
「元妻もそうだった。だが彼女の性分はたまたま直しやすかっただけだ……」
「私は……気付いたら家族から離れていた。耐えられなかった……もし自分が愛する我が子を、不可抗力とはいえ傷つけてしまうかも知れないと思うと……」
男 「そ、そのことは……」
ダデ「話したのは君が初めてだ。とても、元妻には相談できない」
男 「なら、被クの母さんは何故平気なんでしょうか……」
ダデ「分からん。もしかしたらもうとっくに気付いてて、得意の邪気眼パワーで娘の『被害エネルギー』を中和してるのかもな」
「僕は>>男君…………お父さんに君のことを話し続けた。退院する頃、お父さんは君を自分の跡継ぎにすると決心してくれた」
男 「そ、そんなことがあったとは……知りませんでした」
「父は、美術のこと以外では僕とあまり話をしませんでしたから……特に、母のことは……」
ダデ「…………なぁ、>>男君」
それまでにこやかだったダディクールさんが、急に真顔になった。
ダデ「君は被クを……どうしたいんだい?」
男 「え…………いや、どうって…………」
ダデ「被害クールがいじめにあっていた事も認めるし、それを救ってくれたのも君だ。本当に感謝している」
「君は、お父さんの跡を継いで画家になるのかい?」
男 「それは、まだ分かりませんが……」
ダデ「まだ終わっていない」
男 「は……?」
ダデ「君はこの一件で娘がもう何の被害にも遭わないと思ってるんじゃないか?」
男 「…………なっ」
ダデ「私がさっき、どうしていじめのことについて知っていたと思う?」
「元妻から聞いたわけでもないのに」
男 (………………)
「遺伝、ですか?」
ダデ「遺伝……? それはどういうことだね」
男 「被クは、昔彼女の母……あの、お母さんがいじめられていたと言っていました。それを貴方が助けていたことも」
ダデ「…………惜しいな」
「それならまだ良いほうだ。元妻は当初『左腕が疼く』とか言って奇声を上げていたからな。それがいじめの要因だった」
「元妻こと邪気眼クールはその時期こそ荒れていたが、歳を重ねるごとにどんどん過去の自分の行動を恥ずかしがるようになった」
「そして彼女が大人になった頃、もはやそれは完全に『黒歴史化』したんだ。彼女は自分の性分を克服した」
男 「はぁ」
ダデ「良いか? ここからはもう気の抜けた返事なんて出来ないぞ」
「娘が幼い頃、幼稚園で園児が外に向けて投げた紙飛行機が”何故か被クに直撃した”……被クは室内に居たというのにな」
「そのとき、娘は片眼を突いてしまってね。左目だけ視力が弱い……」
男 「聞いたことがあります。たまに、メガネをかけてますし……」
ダデ「娘はそのことに何の疑問も持たなかった。無論、私達夫婦も……」
「だが小学生の頃だ。野球をやっていた男子がホームランをかっ飛ばした。そしてそのボールが被クに直撃した」
男 「ぐ、偶然では?」
ダデ「五回や十回そんなことが続いても、そう思うか?」
「中学の頃には更に酷くなって…………私は家内にも内緒で一人、その要因を探ろうとした」
「その結果……娘は『被害を被りやすい性質』だということが分かった」
男 「ちょ、ちょっと待って下さい。貴方精神科医ですよね? それにしては非現実的というか、説得力が無いというか」
ダデ「人間の精神には未知の部分がある。彼女の持つ何か、精神から湧き出る不思議なエネルギーのようなものがそうさせるんだ」
「元妻もそうだった。だが彼女の性分はたまたま直しやすかっただけだ……」
「私は……気付いたら家族から離れていた。耐えられなかった……もし自分が愛する我が子を、不可抗力とはいえ傷つけてしまうかも知れないと思うと……」
男 「そ、そのことは……」
ダデ「話したのは君が初めてだ。とても、元妻には相談できない」
男 「なら、被クの母さんは何故平気なんでしょうか……」
ダデ「分からん。もしかしたらもうとっくに気付いてて、得意の邪気眼パワーで娘の『被害エネルギー』を中和してるのかもな」
男 「にわかには信用できません、そんなこと」
「でも、本当なら………何か、それを抑える方法は無いんですか?」
ダデ「私も研究した……私は娘のように特異的な性分を持つ人間を『特異点:新ジャンル』と名づけた」
「そして……私が今持っている薬が、その性質を完全に抹消する新ジャンル消去剤『止むジャンル』略して『ヤムジャン』だ」
男 「ヤム、ジャン?」
荘主「びっくりかき揚げおうどん、お待たせしました」
ダデ「やるじゃん!」
男 「ば、ばかばかしい……そんなことがあってたまるか」
「アンタなんかただのインチキくさいオッサンじゃないか。トェェェイみたいな口しやがって」
ダデ「ハフッ!ハフハフッ……ハフッ!」
「だがな、>>男君……君がもし被クと添い遂げたいなら、画家は諦めることだ」
男 「何?」
ダデ「絵が壊れたそうだな。君のご友人が言っていたよ、それも恐らく娘のせいだ」
男 「あれは! あれはいじめてたAがCにやらせたことだ!」
「そのAだって……今じゃ彼女の友達だ、立派な!」
ダデ「辛いな……友達になってしまったばかりに、娘に『被害』を及ぼすかも知れない」
男 「だったら……だったら俺はどうなんだ! 彼女に何も害なんて与えて無い! 俺達の関係も上手く行ってる!」
「それに俺に訪れた被害だって、二人で乗り越えた!仲間達と一緒に───」
ダデ「娘から君に伝染しているんだよ、『被害』が……絵が壊れたのは序の口に過ぎん」
「もう一度言うぞ? 娘は幼稚園に入った時点で既に眼をやられているんだ。それに比べ、君はまだ自分自身を傷つけられていない」
男 「何度もバカなことを言うな!!」
「そんな胡散臭い薬なんか無くったって、俺は被クを…………」
ダデ「…………」
男 「…………」
ダデ「僕は君が───最終的にはこの薬を使うと思う」
「だから言っておく、この薬を使えば被害性質は完全に除去出来るだろう。だがッ!!」
「それは娘が『被害クール』でなくなる、ということだ」
男 「ああ!?」
ダデ「どうなるか分からんということだ!」
「『新ジャンル』とは『被害』だけではない、『被害クール』なんだ。性質と共に人格も失う危険性がある」
「……無事なのか? 副作用は記憶喪失か? それとも溶けて綺麗さっぱりなくなるか? 何も分からん!!」
男 「…………」
「あんた……それが分かってて、何で俺が”使う”と思うんだ……普通、娘がそんなことになれば、親は止めるはずじゃ……」
ダデ「私は……」
「私は………例え、娘が娘でなくなっても、生きていて欲しいんだ。生きていてくれるだけでいいんだ……」
男 「………………」
ダデ「この薬は君に預けておく」
「画家になりたいのなら、この薬を飲ませるか、娘と別れるかだ……」
「君の命が危なくなったら、迷わず使って欲しい。君は娘を救ってくれた、二度目は、これで……」
気がつくと、俺は薬を持って雀荘から出ていた。
走った。
あのときみたいに、ただ走った。
走ればまだどうにかなるんじゃないかと思って、必死に走り続けた。
四月の夜風はまだ冷たくて、突風が吹くと顔が凍りそうだった。
けれど、俺の眼からぬぐってもぬぐっても、熱い涙が溢れ出て止まらなかった。
「でも、本当なら………何か、それを抑える方法は無いんですか?」
ダデ「私も研究した……私は娘のように特異的な性分を持つ人間を『特異点:新ジャンル』と名づけた」
「そして……私が今持っている薬が、その性質を完全に抹消する新ジャンル消去剤『止むジャンル』略して『ヤムジャン』だ」
男 「ヤム、ジャン?」
荘主「びっくりかき揚げおうどん、お待たせしました」
ダデ「やるじゃん!」
男 「ば、ばかばかしい……そんなことがあってたまるか」
「アンタなんかただのインチキくさいオッサンじゃないか。トェェェイみたいな口しやがって」
ダデ「ハフッ!ハフハフッ……ハフッ!」
「だがな、>>男君……君がもし被クと添い遂げたいなら、画家は諦めることだ」
男 「何?」
ダデ「絵が壊れたそうだな。君のご友人が言っていたよ、それも恐らく娘のせいだ」
男 「あれは! あれはいじめてたAがCにやらせたことだ!」
「そのAだって……今じゃ彼女の友達だ、立派な!」
ダデ「辛いな……友達になってしまったばかりに、娘に『被害』を及ぼすかも知れない」
男 「だったら……だったら俺はどうなんだ! 彼女に何も害なんて与えて無い! 俺達の関係も上手く行ってる!」
「それに俺に訪れた被害だって、二人で乗り越えた!仲間達と一緒に───」
ダデ「娘から君に伝染しているんだよ、『被害』が……絵が壊れたのは序の口に過ぎん」
「もう一度言うぞ? 娘は幼稚園に入った時点で既に眼をやられているんだ。それに比べ、君はまだ自分自身を傷つけられていない」
男 「何度もバカなことを言うな!!」
「そんな胡散臭い薬なんか無くったって、俺は被クを…………」
ダデ「…………」
男 「…………」
ダデ「僕は君が───最終的にはこの薬を使うと思う」
「だから言っておく、この薬を使えば被害性質は完全に除去出来るだろう。だがッ!!」
「それは娘が『被害クール』でなくなる、ということだ」
男 「ああ!?」
ダデ「どうなるか分からんということだ!」
「『新ジャンル』とは『被害』だけではない、『被害クール』なんだ。性質と共に人格も失う危険性がある」
「……無事なのか? 副作用は記憶喪失か? それとも溶けて綺麗さっぱりなくなるか? 何も分からん!!」
男 「…………」
「あんた……それが分かってて、何で俺が”使う”と思うんだ……普通、娘がそんなことになれば、親は止めるはずじゃ……」
ダデ「私は……」
「私は………例え、娘が娘でなくなっても、生きていて欲しいんだ。生きていてくれるだけでいいんだ……」
男 「………………」
ダデ「この薬は君に預けておく」
「画家になりたいのなら、この薬を飲ませるか、娘と別れるかだ……」
「君の命が危なくなったら、迷わず使って欲しい。君は娘を救ってくれた、二度目は、これで……」
気がつくと、俺は薬を持って雀荘から出ていた。
走った。
あのときみたいに、ただ走った。
走ればまだどうにかなるんじゃないかと思って、必死に走り続けた。
四月の夜風はまだ冷たくて、突風が吹くと顔が凍りそうだった。
けれど、俺の眼からぬぐってもぬぐっても、熱い涙が溢れ出て止まらなかった。
友 「あっはっはっはww んでさ、その時俺が何て言ったと思う?」
「いいえ、それはケフィアですってwwwwwwwwww」
男 「…………」
友 「?……おーい、>>男」
男 「………………」
友 「お・と・こ・ん♪」
男 (ビクッ)
「な、なんだよ気持ち悪い……」
友 「どうしたんだよ。ボケーッとしちまってさ。悩み事か?」
男 「…………」
「あのさ。お前、ヒート先輩のこと好きだよな」
友 「うおぁっ、なん、何だいきなり……」
男 「…………」
友 「いや、そりゃあまぁ…………な。好きだよ」
男 「どこがだ」
友 「性格がだ」
男 「……だよなぁ」
「じゃあさ。もしヒート先輩が、えーっとそうだな……病気になって苦しんでるとする。仮に、な」
「で、治す薬はあるんだが、それを飲ませるとヒート先輩がヒート先輩じゃなくなってしまうんだ。お前ならどうする?」
友 「そりゃ命には代えられん」
男 「! やっぱり、そうか……」
友 「ただ……ヒートは嫌がるだろうな」
「あいつは自分自身の性格にかなり助けられてる部分があるからな。あいつ自身が耐えられんだろう」
男 「そうか……」
友 「ヒートはやらんぞ」
男 「いらん」
友 「なんだと……ここで一つ恥ずかしいことを言わせて貰うがな、>>男」
「俺は恐らくこの世で最も素直ヒートという人物を愛している」
男 「…………あ?」
「お、驚いたな。いつも振り回されてばっかりだから、俺はてっきり……」
友 「他人から見てそんなでも、俺は根の部分であいつに惚れ切ってるからな。言ってしまえば照れ隠しだが」
「あいつが暴走して怪我でもせんように常にサポートしてるのも俺だ。俺はあいつの元気に助けられてるし、俺だって助けたいと思う」
「そう言うもんじゃね? お前が被クちゃん関係で悩んでるなら、相手にちゃんと相談はしとけよ。じゃあな」
男 「……バレてたか」
(相談、か。だが本人に言うのはまだ少し様子を見よう…………)
あ、そうだ。亀レスなんだが>>184
EDとかはまだ明確には考えてないんだけど、「希望峰」って曲が胸の中にある。アニソンなんだけど。
それと山崎まさよしの真夜中の「真夜中のBoon Boon」かな、あんまり学生のイメージじゃない曲なんだが。ちなみに山崎の曲はそんなに知らんww
一応つべのURLだけ貼っておきますね。
─────────────────────────────────
■「希望峰」http://jp.youtube.com/watch?v=9uVX80GTh2I
■「真夜中のBoon Boon」⊂二二二( ^ω^)二⊃http://jp.youtube.com/watch?v=yEPPsvDJDpo
「いいえ、それはケフィアですってwwwwwwwwww」
男 「…………」
友 「?……おーい、>>男」
男 「………………」
友 「お・と・こ・ん♪」
男 (ビクッ)
「な、なんだよ気持ち悪い……」
友 「どうしたんだよ。ボケーッとしちまってさ。悩み事か?」
男 「…………」
「あのさ。お前、ヒート先輩のこと好きだよな」
友 「うおぁっ、なん、何だいきなり……」
男 「…………」
友 「いや、そりゃあまぁ…………な。好きだよ」
男 「どこがだ」
友 「性格がだ」
男 「……だよなぁ」
「じゃあさ。もしヒート先輩が、えーっとそうだな……病気になって苦しんでるとする。仮に、な」
「で、治す薬はあるんだが、それを飲ませるとヒート先輩がヒート先輩じゃなくなってしまうんだ。お前ならどうする?」
友 「そりゃ命には代えられん」
男 「! やっぱり、そうか……」
友 「ただ……ヒートは嫌がるだろうな」
「あいつは自分自身の性格にかなり助けられてる部分があるからな。あいつ自身が耐えられんだろう」
男 「そうか……」
友 「ヒートはやらんぞ」
男 「いらん」
友 「なんだと……ここで一つ恥ずかしいことを言わせて貰うがな、>>男」
「俺は恐らくこの世で最も素直ヒートという人物を愛している」
男 「…………あ?」
「お、驚いたな。いつも振り回されてばっかりだから、俺はてっきり……」
友 「他人から見てそんなでも、俺は根の部分であいつに惚れ切ってるからな。言ってしまえば照れ隠しだが」
「あいつが暴走して怪我でもせんように常にサポートしてるのも俺だ。俺はあいつの元気に助けられてるし、俺だって助けたいと思う」
「そう言うもんじゃね? お前が被クちゃん関係で悩んでるなら、相手にちゃんと相談はしとけよ。じゃあな」
男 「……バレてたか」
(相談、か。だが本人に言うのはまだ少し様子を見よう…………)
あ、そうだ。亀レスなんだが>>184
EDとかはまだ明確には考えてないんだけど、「希望峰」って曲が胸の中にある。アニソンなんだけど。
それと山崎まさよしの真夜中の「真夜中のBoon Boon」かな、あんまり学生のイメージじゃない曲なんだが。ちなみに山崎の曲はそんなに知らんww
一応つべのURLだけ貼っておきますね。
─────────────────────────────────
■「希望峰」http://jp.youtube.com/watch?v=9uVX80GTh2I
■「真夜中のBoon Boon」⊂二二二( ^ω^)二⊃http://jp.youtube.com/watch?v=yEPPsvDJDpo
男なら薬無しでもなんとかしてくれるはず…!!
そのあと不Aは不Bの病室にて
不A「よぉ、不B…」
不B「うぉっ!?お前どうしたその怪我」
不A「いろいろな、俺には俺の物語があったんだよ」
不B「なんだそりゃ?」
不A「その…この前は悪かったよ、絵壊したのもさっき男達に謝りに行ったし」
不B「もう良いよその事は、久々にお前とやりあえたし」
C「不B-、具合どう……不Aじゃん、何か用?(怒」
不A「いや、えっと」
不B「色々謝りに来たんだってさ、気にしないでやって」
C「不Bがそう言うなら良いんだけどさ、ほら、今日は桃缶だよ」
不B「…缶切りは?」
C「あ…」
不B「……」
C「その…ごめん…」
不B「不A、悪いけどその辺で買ってきてくれね?近くのコンビニで売ってるハズだから」
不A「分かったよ、その近くのコンビニで缶切りが売り切れの予感がするから遠くのコンビニに買いに行くわ、しばらくラブラブしてると良い」
不B「ちょっ、バッ」
C「ララララブラブー!?」
不A「お前らが付き合ってんのは知ってるよ、さて邪魔者はしばらく…」
ガラッ
(不A、看護婦ABとばったり遭遇)
不A「……」
看護婦A「あれ?不B君のお友達?」
看護婦B「お見舞いに来てあげたんですか?」
不A「えと、その……」
(やけに看護婦Bを見る不A)
不B「……」
C「……」
不A「あ、あの、お、お名前は?」
看護婦B「え?私ですか?私は看護婦Bと言います」
看護婦A「私は看護婦Aよ、よろしくねー」
不A「え、えと、よろしければ今度喫茶店にでも…」
看護婦B「私は遊園地でも良いですよ?」
不A「え?えと、じゃあ今度ディスニー辺りにでも…」
看護婦B「今週の日曜日で良いですか?」
(看護婦A、不BとCにしか聞こえないように)
看護婦A「いいねー、運命の出会いってやつ?」
不B「みたいですね、俺的にはさっさと缶切り買いに行ってほしいんですが」
そのあと不Aは不Bの病室にて
不A「よぉ、不B…」
不B「うぉっ!?お前どうしたその怪我」
不A「いろいろな、俺には俺の物語があったんだよ」
不B「なんだそりゃ?」
不A「その…この前は悪かったよ、絵壊したのもさっき男達に謝りに行ったし」
不B「もう良いよその事は、久々にお前とやりあえたし」
C「不B-、具合どう……不Aじゃん、何か用?(怒」
不A「いや、えっと」
不B「色々謝りに来たんだってさ、気にしないでやって」
C「不Bがそう言うなら良いんだけどさ、ほら、今日は桃缶だよ」
不B「…缶切りは?」
C「あ…」
不B「……」
C「その…ごめん…」
不B「不A、悪いけどその辺で買ってきてくれね?近くのコンビニで売ってるハズだから」
不A「分かったよ、その近くのコンビニで缶切りが売り切れの予感がするから遠くのコンビニに買いに行くわ、しばらくラブラブしてると良い」
不B「ちょっ、バッ」
C「ララララブラブー!?」
不A「お前らが付き合ってんのは知ってるよ、さて邪魔者はしばらく…」
ガラッ
(不A、看護婦ABとばったり遭遇)
不A「……」
看護婦A「あれ?不B君のお友達?」
看護婦B「お見舞いに来てあげたんですか?」
不A「えと、その……」
(やけに看護婦Bを見る不A)
不B「……」
C「……」
不A「あ、あの、お、お名前は?」
看護婦B「え?私ですか?私は看護婦Bと言います」
看護婦A「私は看護婦Aよ、よろしくねー」
不A「え、えと、よろしければ今度喫茶店にでも…」
看護婦B「私は遊園地でも良いですよ?」
不A「え?えと、じゃあ今度ディスニー辺りにでも…」
看護婦B「今週の日曜日で良いですか?」
(看護婦A、不BとCにしか聞こえないように)
看護婦A「いいねー、運命の出会いってやつ?」
不B「みたいですね、俺的にはさっさと缶切り買いに行ってほしいんですが」
キンニ君はと言うと>>193の後
キンニ君「終わったか?」
A「ああ、終わったよ」
キンニ君「これからどうするんだ?」
A「あいつらと友達になる事にしたよ」
キンニ君「そうか……なぁA」
A「ん?」
キンニ君「好きだ、付き合ってくれ」
A「ハ…ァ?今なんて言った」
キンニ君「俺お前の事好きだから付き合ってくれと言ったんだ」
A「え…えと、マジ?」
キンニ君「本気と書いてマジ」
A「……」
キンニ君「俺、そんなに顔悪くないだろ?ダメかな」
A「えと…その…」
キンニ君「…」
A「も、もう少し考えさせてくれ…」
キンニ君「そうか、分かった。俺自転車なんだが、後ろ乗ってくか?」
A「え?ああ、うん…」
キンニ君「終わったか?」
A「ああ、終わったよ」
キンニ君「これからどうするんだ?」
A「あいつらと友達になる事にしたよ」
キンニ君「そうか……なぁA」
A「ん?」
キンニ君「好きだ、付き合ってくれ」
A「ハ…ァ?今なんて言った」
キンニ君「俺お前の事好きだから付き合ってくれと言ったんだ」
A「え…えと、マジ?」
キンニ君「本気と書いてマジ」
A「……」
キンニ君「俺、そんなに顔悪くないだろ?ダメかな」
A「えと…その…」
キンニ君「…」
A「も、もう少し考えさせてくれ…」
キンニ君「そうか、分かった。俺自転車なんだが、後ろ乗ってくか?」
A「え?ああ、うん…」
>>216
時かけじゃねぇかwwwwwwwwww
時かけじゃねぇかwwwwwwwwww
B 「はい?」
男 「いや、だからだな。もしアンタらの好きな人がこう、病気でさ……」
「あ、そう。不治の病だ!それだ! それを治せる薬があるんだけど、飲ませるとその人がどうなるか分からないんだ」
「で、どうする?」
C 「アンタ………あ、頭ヤバくなったの?」
A 「今お前それ、本気で引いたよ……? 何それ、何かの漫画の話?」
男 「おまっ……」
「い、一種の心理テストみたいなもんだよ」
A 「あー、なるほどねェ」
B 「まぁ何つーか、どれだけ好きかにもよる……かな?」
男 「すっげぇー好きっ!」
B 「ああ、そう? …………ならそうねぇ。ギリギリまでは頑張るんじゃない?」
A 「んで死ぬ直前に飲ませるとww」
C 「あるあるww って…………まぁけど、アレだよね。それは何つーか……」
「相手が嫌がるんじゃないの? やっぱ」
男 「え?」
C 「逆にあんた、もし自分がそうだったときのこと考えてみなよ」
「自分のことスゲー愛してるとか言う人間にさ。自分が死ぬかも知れない薬飲ませないでしょ?」
男 「あ…………」
友 『ただ……ヒートが嫌がるだろうな』
男 「”自分が自分で無くなるのも嫌”……”他人にそれを飲ませるのも嫌”……」
「だったら結局……やっぱそれは…………」(ブツブツ)
A 「お前……マジ大丈夫かよ……」
男 「あ、ああ、うん。こっちの話……ありがと、参考になったよ」
「でも、俺がこんなこと聞いてたとか、絶対に人には言わないでくれな。変質者に思われるだろ?」
C 「もう十分ヘンだけどなww」
AB「「被害クール、キスしてくれぇ~☆」」
男 「ぐっ……お前ら……」
C 「まぁまぁ、そう照れなさんなって。被クと何かあったのかは知らないけどさ、あんたなら大丈夫だろ」
男 「いや別に……そういうわけじゃないんだが……」
被ク「私がどうかしたのか?」
男 「うおっ!?」
C 「wwwwwwwwwwww あんたと一緒に帰りたいらしいよwwwwwwwwwwww」
男 (C子ちゃんナイスっ!)
被ク「ああ、なんだ探してくれてたのか。すまない、今日は私が日直だったもんでな……」
「美術室に顔を出さなくていいのか?」
A 「大丈夫でしょ。部員の連中は殆どあんた目当てだしね……男子も女子も……あんた魔性の女だわ……」
被ク「うッ……そういう言い方はよしてくれ」
男 「いや、だからだな。もしアンタらの好きな人がこう、病気でさ……」
「あ、そう。不治の病だ!それだ! それを治せる薬があるんだけど、飲ませるとその人がどうなるか分からないんだ」
「で、どうする?」
C 「アンタ………あ、頭ヤバくなったの?」
A 「今お前それ、本気で引いたよ……? 何それ、何かの漫画の話?」
男 「おまっ……」
「い、一種の心理テストみたいなもんだよ」
A 「あー、なるほどねェ」
B 「まぁ何つーか、どれだけ好きかにもよる……かな?」
男 「すっげぇー好きっ!」
B 「ああ、そう? …………ならそうねぇ。ギリギリまでは頑張るんじゃない?」
A 「んで死ぬ直前に飲ませるとww」
C 「あるあるww って…………まぁけど、アレだよね。それは何つーか……」
「相手が嫌がるんじゃないの? やっぱ」
男 「え?」
C 「逆にあんた、もし自分がそうだったときのこと考えてみなよ」
「自分のことスゲー愛してるとか言う人間にさ。自分が死ぬかも知れない薬飲ませないでしょ?」
男 「あ…………」
友 『ただ……ヒートが嫌がるだろうな』
男 「”自分が自分で無くなるのも嫌”……”他人にそれを飲ませるのも嫌”……」
「だったら結局……やっぱそれは…………」(ブツブツ)
A 「お前……マジ大丈夫かよ……」
男 「あ、ああ、うん。こっちの話……ありがと、参考になったよ」
「でも、俺がこんなこと聞いてたとか、絶対に人には言わないでくれな。変質者に思われるだろ?」
C 「もう十分ヘンだけどなww」
AB「「被害クール、キスしてくれぇ~☆」」
男 「ぐっ……お前ら……」
C 「まぁまぁ、そう照れなさんなって。被クと何かあったのかは知らないけどさ、あんたなら大丈夫だろ」
男 「いや別に……そういうわけじゃないんだが……」
被ク「私がどうかしたのか?」
男 「うおっ!?」
C 「wwwwwwwwwwww あんたと一緒に帰りたいらしいよwwwwwwwwwwww」
男 (C子ちゃんナイスっ!)
被ク「ああ、なんだ探してくれてたのか。すまない、今日は私が日直だったもんでな……」
「美術室に顔を出さなくていいのか?」
A 「大丈夫でしょ。部員の連中は殆どあんた目当てだしね……男子も女子も……あんた魔性の女だわ……」
被ク「うッ……そういう言い方はよしてくれ」
被ク「じゃ、また明日な」
男 「あ、ああ。……また……」
被ク「疲れてるのか? 絵の描きすぎには注意するんだぞ。体調管理に気をつけて勉強は怠らない」
男 「わぁーってるわぁーってる」
被ク「ふふっ……じゃあな」
男 「………………」
サッ
ダデ「こんにちは」
男 (びくっ!)
「い、いきなり現れるなよアンタ……妖怪か」
ダデ「もう決心はついたかい?」
男 「…………あのな」
「今日一日、色んな奴らに相談したが……やっぱりそんなものを易々と飲ませるわけにはいかん」
「これは返す」
ダデ「おーっほっほっほ」
男 「喪黒福造か」
ダデ「…………ふぅ。その様子だとまだ私の言っていることが信用できてないようだね」
男 「無理もあるめぇ」
「今さっきも一緒に帰ってきたが、普通だったぞ。特に何も起こらない」
「学校のクラスメイトだって毎日同じ教室で勉強してんだぜ? 感染なんかしないし、そもそも被クだって何処も害されてない」
ダデ「セクロスしたら?」
男 「…………」
「はい?」
ダデ「セ ク ロ ス し た ら ?」
男 「お前それは自分で何言ってるか分かってるわけ?」
ダデ「>>男君、君は自分で気付いてないかも知れないが、既に君には被クの『被害パワー』が感染しているのだ」
男 「? ……どこに?」
ダデ「気がつかない?」
男 「…………??」
ダデ「私と出会ってしまったろう」
男 「えー? そりゃアンタが偶然…………」
ダデ「偶然。そうだ、偶然のように見えるかも知れないが……元を辿れば、被クに繋がるだろう」
男 「アンタはこの世で起こる悲劇を全て自分の娘のせいにしたいらしいな」
ダデ「性交しろと言ったのは他でもない。男女が最も互いを触れることが出来るのがまさにそれだ」
男 「HIVみたいに言うのはやめろ。被クの性質なんだろ、俺はまだ信用してないが……」
「それに下品すぎる。俺ぁ純白はちゃんと守るぞ。自分の娘にヤらせようとする親なんざ初めてみたよ」
「んなことは自分で食えるようになってからだ。親に養ってもらってる人間がすることじゃない」
ダデ「冗談だ」
「冗談に決まっとるだろう、そんなもん。もしOKと言ったらぶん殴っていたよ」
男 「冗談でも言うなカス」
「まぁ、アンタが娘さん想いなのは分かってるから……マジだとは思わなかったけどな」
ダデ「昨日は泣きながら帰ったくせに…………むッ!?」
男 「あ、ああ。……また……」
被ク「疲れてるのか? 絵の描きすぎには注意するんだぞ。体調管理に気をつけて勉強は怠らない」
男 「わぁーってるわぁーってる」
被ク「ふふっ……じゃあな」
男 「………………」
サッ
ダデ「こんにちは」
男 (びくっ!)
「い、いきなり現れるなよアンタ……妖怪か」
ダデ「もう決心はついたかい?」
男 「…………あのな」
「今日一日、色んな奴らに相談したが……やっぱりそんなものを易々と飲ませるわけにはいかん」
「これは返す」
ダデ「おーっほっほっほ」
男 「喪黒福造か」
ダデ「…………ふぅ。その様子だとまだ私の言っていることが信用できてないようだね」
男 「無理もあるめぇ」
「今さっきも一緒に帰ってきたが、普通だったぞ。特に何も起こらない」
「学校のクラスメイトだって毎日同じ教室で勉強してんだぜ? 感染なんかしないし、そもそも被クだって何処も害されてない」
ダデ「セクロスしたら?」
男 「…………」
「はい?」
ダデ「セ ク ロ ス し た ら ?」
男 「お前それは自分で何言ってるか分かってるわけ?」
ダデ「>>男君、君は自分で気付いてないかも知れないが、既に君には被クの『被害パワー』が感染しているのだ」
男 「? ……どこに?」
ダデ「気がつかない?」
男 「…………??」
ダデ「私と出会ってしまったろう」
男 「えー? そりゃアンタが偶然…………」
ダデ「偶然。そうだ、偶然のように見えるかも知れないが……元を辿れば、被クに繋がるだろう」
男 「アンタはこの世で起こる悲劇を全て自分の娘のせいにしたいらしいな」
ダデ「性交しろと言ったのは他でもない。男女が最も互いを触れることが出来るのがまさにそれだ」
男 「HIVみたいに言うのはやめろ。被クの性質なんだろ、俺はまだ信用してないが……」
「それに下品すぎる。俺ぁ純白はちゃんと守るぞ。自分の娘にヤらせようとする親なんざ初めてみたよ」
「んなことは自分で食えるようになってからだ。親に養ってもらってる人間がすることじゃない」
ダデ「冗談だ」
「冗談に決まっとるだろう、そんなもん。もしOKと言ったらぶん殴っていたよ」
男 「冗談でも言うなカス」
「まぁ、アンタが娘さん想いなのは分かってるから……マジだとは思わなかったけどな」
ダデ「昨日は泣きながら帰ったくせに…………むッ!?」
被ク「おーい>>男」
男 「お、噂をすれば娘さんだぜ」
被ク「……なんだ、今誰かと喋っていた気がしたんだが、気のせいだったか?」
男 「えっ」
(うおっ、居ない………逃げるの早いよなぁ……」
被ク「?」
男 「いや、なんでもない。こっちの話……で、何?」
被ク「夕食を作り過ぎてしまってな。一緒にどうかと思って」
男 「え……あ、ああ。うん、ご馳走になろうか。献立は?」
被ク「ふふっ、聞いて驚くな? 特製カレーだ」
男 「おー………………普通」
被ク「特製だぞ、特製っ! と・く・せ・い」
その晩は彼女とお母さんと食卓を囲んだ。
付き合ってもう半年になるが、俺は被クのお母さんと一緒に晩御飯を食べるのは実は初めだった。
男 「えっと、ソースソース……」
被ク「ん……どうぞ」
男 「あ、どうも……へへっ」
母 「へへっとか言いながら内心は『俺はお前を食いたいよ』と考える>>男君であった」
男 「お、お母さんっ! 何を言うとるねんっ!」
母 「お母さんだなんて……まだ結婚してないでしょ……」
男 (この人もあれだな……ダディクールさんとは息のあった夫婦だったんだろうな)
「…………あの」
母 「ん? なぁにかしこまっちゃって。冗談よ」
男 「いえ、そうではなく……」(チラッ)
被ク「?」
母 「被クが居るとまずいこと?」
男 「あー…………」
被ク「なんだ、>>男……私に内緒で母さんと何か企むつもりか?」
男 「いやぁ、そういうわけではないんだが……ちょっとな」
母 「ちょっと被ク、あんたシャワーでも浴びてきなさい。その間に>>男君は帰しておくわ」
男 「お、噂をすれば娘さんだぜ」
被ク「……なんだ、今誰かと喋っていた気がしたんだが、気のせいだったか?」
男 「えっ」
(うおっ、居ない………逃げるの早いよなぁ……」
被ク「?」
男 「いや、なんでもない。こっちの話……で、何?」
被ク「夕食を作り過ぎてしまってな。一緒にどうかと思って」
男 「え……あ、ああ。うん、ご馳走になろうか。献立は?」
被ク「ふふっ、聞いて驚くな? 特製カレーだ」
男 「おー………………普通」
被ク「特製だぞ、特製っ! と・く・せ・い」
その晩は彼女とお母さんと食卓を囲んだ。
付き合ってもう半年になるが、俺は被クのお母さんと一緒に晩御飯を食べるのは実は初めだった。
男 「えっと、ソースソース……」
被ク「ん……どうぞ」
男 「あ、どうも……へへっ」
母 「へへっとか言いながら内心は『俺はお前を食いたいよ』と考える>>男君であった」
男 「お、お母さんっ! 何を言うとるねんっ!」
母 「お母さんだなんて……まだ結婚してないでしょ……」
男 (この人もあれだな……ダディクールさんとは息のあった夫婦だったんだろうな)
「…………あの」
母 「ん? なぁにかしこまっちゃって。冗談よ」
男 「いえ、そうではなく……」(チラッ)
被ク「?」
母 「被クが居るとまずいこと?」
男 「あー…………」
被ク「なんだ、>>男……私に内緒で母さんと何か企むつもりか?」
男 「いやぁ、そういうわけではないんだが……ちょっとな」
母 「ちょっと被ク、あんたシャワーでも浴びてきなさい。その間に>>男君は帰しておくわ」
被クは「ぶー」とむくれた声を出して、そのまま浴室に入っていった。
俺は心の奥で謝りつつ、急いでカレーを平らげてお母さんに向き直った。
男 「被クと毎日一緒に過ごしてますよね……それについて少し、聞きたいことが」
母 「うん、どうかしたの?」
男 「彼女の……こう、被クが原因でお母さんに何かトラブルや事故が起きたりとか、しました?」
母 「それはいつ?」
男 「いや、いつでも良いんですが。日常的にはさすがに無いですよね?」
母 「起きてないわよ」
男 「あ……いえ、なら良いんです。それが聞きたかっただけで」
(なんだ、やっぱりあのオッサンの言ったことは嘘じゃないか)
(そりゃそうだよなぁ、ねーよwwwwww なんだよ特異点ってwwwwwwww 厨二病乙wwwwwwww)
男 「あっはっは。いやー、すいません。実はこれ心理テストみたいなもんなんですが」
母 「そうよねぇww 親と子の間でそういうのはないわよ」
俺はあらかじめ用意しておいた口上で誤魔化そうとした。
そのとき
母「ちなにみ私、邪気眼使ってるわよ」
男「…………」
彼女の母もまた、厨二病だった。
母 「>>男君、あんた夫と会ったでしょ」
男 「え……いや…………はい」
母 「やっぱりねぇ」
男 「何故、わかったんです?」
母 「ねぇ>>男君、あんたもし私が……例えば特殊な性質の持ち主だって言ったら、信じる?」
男 「何……」
母 「被クには内緒よ」
「実は私、生まれつき何かよくわからない『変なパワー』が湧いてくる病気なの」
「でも何に使うかは分からない……気持ちが悪かったわ、使いどころのないエネルギーが体中から湧き上がってくる発作」
「私はこれを『邪気眼』と呼んでいたわ」
男 「お、お母さん……あの」
「頭……大丈夫ですか?……」
母 「信じる信じないは勝手だけれど……」
「邪気眼と名づけた後は自分で作った設定を適当に連呼していたわ。設定そのものは私の妄想なんだけど、パワーが湧いてくるのはマジよ」
男 「は、はぁ……」
(なんなんだこの夫婦……本当に被クの両親か?……実はこれはこの二人が仕掛けた壮大なるドッキリネタでは……)
母 「でね、そのパワーはある時期を境に収まったの。それが、私の元夫ことダディクールさんと出会った頃よ」
「そして再発したのが……被クを産んでから」
男 「…………え」
「え、あの、一ついいですか?」
母 「なに?」
男 「ダディクールさんはそれをご存知だったんですか?」
「彼は、貴女が実はその能力の使い手で、被クが引き起こすトラブルを影で抑えているのかも知れないと言ってました」
母 「そうね。邪気眼のことについては知っていたけど、私の妄想だと信じていたんでしょう」
「そして被クのことは私も気付いていたわ。ダディには私が”気付いてないフリ”をしていたことに気付いてなかったんでしょ」
「これが邪気眼フェイクカウンターよ。私が勝手につけた設定だけど」
男 「あ、あの……」
「彼は、被クのそれを抑える薬を開発したんです、これです!」
「でもこれを使うと被クがどうなるか分からないって…………」
母 「そう……医学で解決しようとしたのね。あの人のやりそうなことだわ」
「けれどその必要はないわ。被クは私が抑えているもの」
男 「抑えてるって……ま、まさか」
母 「そう、その通りよ」
「私が『邪気眼』と名づけたこの力は、娘のような変な力(エナジー)を持つ選ばれし者の力を制御するためのものだったのよ」
「被クにそれが起きたとき、私にも初めて理解できたことよ…………」
男 「いやっ…………」
「ないでしょ、それは。大体そんなの、年頃の子ならやるネタですよ。僕だって中三まで自分のことウルトラマンだと思ってました」
母 「ウルトラマンなんか居るわけないだろ……常識的に考えて……」
男 「………………」
母 「いい? >>男君……多分ダディさんも言ったと思うけど、あの子と付き合うならもう少し考えなさい」
「被クは私が抑えてないとどうにもならないわ……だから今は、まだ良いのよ。今は……」
男 「あー……えぇぇー?……」
母 「でもあの子の力も歳を重ねるごとに肥大化していくのよ。そういうもんなの、エナジーって」
「そして私は仕事の疲れもあって、どんどんと力が弱まっていっているわ。だから恐らく、あの娘がいじめられたのは私が制御し損ねた分よ……」
男 「いきなり話がファンタジーになっていっているぞ」
母 「ふむ……わかったわ。なら明日、素直ヒートちゃんを連れて来なさい」
「証拠を見せてあげるわ」
翌日……
被ク「どうしてヒート先輩がウチに?」
素ヒ「知らんっ! >>男に来いと言われたんだっ!!」
友 「何故俺まで……」
素ヒ「はっはっはっはっ! >>友は常に私と一緒だと言ったろう!」
友 「言ったっけ?」
素ヒ「言ったっ!!(多分) お前が居るところに私あり、私が居るところにお前ありっ!!」
男 (お、俺は被クのお母さんに頼まれたんだが……)
「…………えっと、>>友はちょっと被クとそこで待ってて」
素ヒ「人の話を聞けえええええっ!! 私はこいつと一緒じゃなきゃ嫌だと言っているだろう!!」
男 「い、いいからいいから……」
被ク「?……」
母 「よし、約束通り連れてきたわね」
素ヒ「おいっ! 私に何か用か、被クのお母さんっ! あ、あーあーあー、もしかしてあれかっ!? 何かっ!」
「決闘だなああああああッッッ!!!」
母 「うッ……しまった、邪気眼がこいつの持つ力に呼応し始めている………ッ!!」
男 「…………」
母 「くっ……暴れ出しやがったっ! >>男君、少し離れていろっ!!」
男 「…………はーい」
素ヒ「な、なんだっ!やる気か貴様ぁぁぁぁっ!!」
母 「くっ、自我の奥底(チェーンフィールド)に猛獣を宿しているのかっ」
「名づけるなら、潜伏する獣の性分(ダイビングビースト)……」
「よし……邪気眼よ、あの猛獣を沈めろっ……!!」
素ヒ「邪気眼がなんぼのモンじゃああああっ!!」
「あああぁぁぁぁぁ………………」
男 「?」
素ヒ「ぁぁ…………」
男 「え……」
素ヒ「……………………」
男 「ちょ…………ひっ、ヒート先輩?」
素ヒ「……………………………………死にたい」
男 「は?」
素ヒ「あれ……何で私こんなところに居るんだろ……あれ? ていうかなんで私……生きてんだろ……世の中に存在しても何の意味もないのに…………」
母 「彼女の能力があまりに強大だったため、こちらもかなり消耗してしまった…………」
「クク……冥府王を力を多く浴びすぎたようだな。一時的な記憶喪失と意気消沈させてしまったようだ」
「今日一日は鬱が直るまい…………」
男 「…………」
素ヒ「ただいま…………」
友 「あれ、戻ってきた。もう用は済んだのか?」
素ヒ「誰お前…………[ピーーー]………………」
友 「え……………お前」
「おい、ヒート!ちょ、ちょっと、おい? おーい? おいおいおいおい、どうした?何があった?」
素ヒ「あー……なんか嫌だなもう。死のっかなぁ…………」
友 「ヒートおおおおおおおおおッ!!」
被ク「先輩? どうしたんです?」
友 「ちょ、駄目だ。何だ……何が起きた!? とにかく被ク、病院連れてくの手伝ってくれ!」
被ク「どうしてヒート先輩がウチに?」
素ヒ「知らんっ! >>男に来いと言われたんだっ!!」
友 「何故俺まで……」
素ヒ「はっはっはっはっ! >>友は常に私と一緒だと言ったろう!」
友 「言ったっけ?」
素ヒ「言ったっ!!(多分) お前が居るところに私あり、私が居るところにお前ありっ!!」
男 (お、俺は被クのお母さんに頼まれたんだが……)
「…………えっと、>>友はちょっと被クとそこで待ってて」
素ヒ「人の話を聞けえええええっ!! 私はこいつと一緒じゃなきゃ嫌だと言っているだろう!!」
男 「い、いいからいいから……」
被ク「?……」
母 「よし、約束通り連れてきたわね」
素ヒ「おいっ! 私に何か用か、被クのお母さんっ! あ、あーあーあー、もしかしてあれかっ!? 何かっ!」
「決闘だなああああああッッッ!!!」
母 「うッ……しまった、邪気眼がこいつの持つ力に呼応し始めている………ッ!!」
男 「…………」
母 「くっ……暴れ出しやがったっ! >>男君、少し離れていろっ!!」
男 「…………はーい」
素ヒ「な、なんだっ!やる気か貴様ぁぁぁぁっ!!」
母 「くっ、自我の奥底(チェーンフィールド)に猛獣を宿しているのかっ」
「名づけるなら、潜伏する獣の性分(ダイビングビースト)……」
「よし……邪気眼よ、あの猛獣を沈めろっ……!!」
素ヒ「邪気眼がなんぼのモンじゃああああっ!!」
「あああぁぁぁぁぁ………………」
男 「?」
素ヒ「ぁぁ…………」
男 「え……」
素ヒ「……………………」
男 「ちょ…………ひっ、ヒート先輩?」
素ヒ「……………………………………死にたい」
男 「は?」
素ヒ「あれ……何で私こんなところに居るんだろ……あれ? ていうかなんで私……生きてんだろ……世の中に存在しても何の意味もないのに…………」
母 「彼女の能力があまりに強大だったため、こちらもかなり消耗してしまった…………」
「クク……冥府王を力を多く浴びすぎたようだな。一時的な記憶喪失と意気消沈させてしまったようだ」
「今日一日は鬱が直るまい…………」
男 「…………」
素ヒ「ただいま…………」
友 「あれ、戻ってきた。もう用は済んだのか?」
素ヒ「誰お前…………[ピーーー]………………」
友 「え……………お前」
「おい、ヒート!ちょ、ちょっと、おい? おーい? おいおいおいおい、どうした?何があった?」
素ヒ「あー……なんか嫌だなもう。死のっかなぁ…………」
友 「ヒートおおおおおおおおおッ!!」
被ク「先輩? どうしたんです?」
友 「ちょ、駄目だ。何だ……何が起きた!? とにかく被ク、病院連れてくの手伝ってくれ!」
母 「どう? これで信用した?」
男 「いや…………えっと」
「マジですか?」
母 「マジよ」
「大マジよアンタ……人にこんだけさせといて……」
男 「だっておまっ……邪気眼ですよ? 邪気眼って……」
母 「元夫の何だっけ……『新ジャンル理論』は私も知っているわ」
「私や娘のような特異的な性分を持つ人物はね、本当に居るのよ。恐怖新聞じゃないけど、『新ジャンルは本当にいるのよ!』って感じだわ」
男 「ん~……し、信じましょう。一応」
母 「そう、良かった」
「………………しまった」
男 「え?」
母 「あのー、あー……その、>>男君……大変なことに気付いたんだけど」
男 「何ですか?」
母 「私、制御してるって言ったわよね。娘のこと……」
男 「はい」
母 「毎晩欠かさずやってたんだけどね、それ……そのエネルギー……」
「さっきので全部……つ、使い切っちゃった…………」
男 「…………え?」
母 「つまり、貴方はこれからとんでもない『被害』に遭うのよ……」
「抑えられなかった分……は、はわわわわ………………と、とにかく私は夕飯の準備に戻るわ」
男 「は、はぁ…………」
そう言って、お母さんは台所に立った。
被ク「ただいま」
母 「キャーーーー!!」
男 (ビクッ)
被ク「ど、どうしたんだい母さん……」
母 「な、なんでもないわ……あ、包丁落としちゃった」
被ク「ふぅ……まったく」
(被ク、包丁を拾おうとする)
男 (待て、待て待て…………)
(待て待て待て待て待てえええええええええええええ)
瞬間、何が起きたか分からなくなった。
被クが手に持った包丁の柄がぽろっと取れたと思ったら、床下に落下した刃がパリンッと折れた。
先端の部分がバウンドし、空中で凄まじいスピードで回転し、俺の眼前に迫る。
急いで身体を退かせるが、勢い余って後頭部を壁に激突。刃は俺のまぶたの上を切りつけ、床に落ちた。
男 「痛っ…………!」
被ク「>>男っ! だ、大丈夫か? 今救急箱を出してやるからな」
男 「いや、日はもう、帰る、よ?」
母 (コクリ)
被ク「しかし傷が……」
男 「舐めとけば直るさ。……被ク、今日はなるべく早く寝るんだ。お母さんの邪魔しちゃ駄目だぞ」
被ク「お、おいちょっと……>>男っ!!」
男 「いや…………えっと」
「マジですか?」
母 「マジよ」
「大マジよアンタ……人にこんだけさせといて……」
男 「だっておまっ……邪気眼ですよ? 邪気眼って……」
母 「元夫の何だっけ……『新ジャンル理論』は私も知っているわ」
「私や娘のような特異的な性分を持つ人物はね、本当に居るのよ。恐怖新聞じゃないけど、『新ジャンルは本当にいるのよ!』って感じだわ」
男 「ん~……し、信じましょう。一応」
母 「そう、良かった」
「………………しまった」
男 「え?」
母 「あのー、あー……その、>>男君……大変なことに気付いたんだけど」
男 「何ですか?」
母 「私、制御してるって言ったわよね。娘のこと……」
男 「はい」
母 「毎晩欠かさずやってたんだけどね、それ……そのエネルギー……」
「さっきので全部……つ、使い切っちゃった…………」
男 「…………え?」
母 「つまり、貴方はこれからとんでもない『被害』に遭うのよ……」
「抑えられなかった分……は、はわわわわ………………と、とにかく私は夕飯の準備に戻るわ」
男 「は、はぁ…………」
そう言って、お母さんは台所に立った。
被ク「ただいま」
母 「キャーーーー!!」
男 (ビクッ)
被ク「ど、どうしたんだい母さん……」
母 「な、なんでもないわ……あ、包丁落としちゃった」
被ク「ふぅ……まったく」
(被ク、包丁を拾おうとする)
男 (待て、待て待て…………)
(待て待て待て待て待てえええええええええええええ)
瞬間、何が起きたか分からなくなった。
被クが手に持った包丁の柄がぽろっと取れたと思ったら、床下に落下した刃がパリンッと折れた。
先端の部分がバウンドし、空中で凄まじいスピードで回転し、俺の眼前に迫る。
急いで身体を退かせるが、勢い余って後頭部を壁に激突。刃は俺のまぶたの上を切りつけ、床に落ちた。
男 「痛っ…………!」
被ク「>>男っ! だ、大丈夫か? 今救急箱を出してやるからな」
男 「いや、日はもう、帰る、よ?」
母 (コクリ)
被ク「しかし傷が……」
男 「舐めとけば直るさ。……被ク、今日はなるべく早く寝るんだ。お母さんの邪魔しちゃ駄目だぞ」
被ク「お、おいちょっと……>>男っ!!」
男 「おい!ダディのおっさんっ! おっさーーん!!」
「信じるよ、アンタの話っ! 全部信じるよ!」
「あんたはどうやってお母さんの邪気眼を止めたんだ! おい、それを教えてくれよ!」
「俺はどうすればいいっ!? おっさん!!」
夢中で街中を駆け巡った。あの雀荘のオーナーにも尋ねてみたが、全く足取りが掴めない。
呼ばなくても来る癖に、何故必要なときにいない。苛立つ衝動を足枷にしながら、体力の続く限り走り続けた。
それでも、彼を見つけ出すことは出来なかった。
男 「ただいま……」
男父「おう」
半年前の文化祭の一件以来、父は俺に挨拶を交わしてくれるようになった。以前は何を言っても無言だったから、これは大きな進展だ。
ただし父と会話という会話をしているわけではない。被クのことで頼る宛が無い俺は、ふと父にこんなことを聞いてみた。
男 「父さん、さ……」
「母さんと上手くいかなかったこと、ある?」
父は俺を一瞥すると、
男父「何故今頃そんな話をする……」
男 「頼む、後生だ! 少しでもそういう話を聞かなくちゃいけないときなんだ……」
男父「…………」
しばらくの沈黙。
俺はその間、必死に父に頭を下げていた。これでも無反応なのか。
頭を上げようとしたそのとき……
男父「会ったばかりの頃は、母さんとは喧嘩ばかりしていた」
男 「!……そ、それで?」
男父「母さんは気が強い女だった。普通の女の子とは少し違った性格をしていて……」
「照れると、不器用にそれを否定した。口が悪くて『別にあんたのためじゃない』だとか、そんなことばっかり言ってたなぁ」
男 「ツンデレだったのか……」
男父「俺はそれが可笑しくてな……」
「彼女に初めて絵のモデルを頼んだときも、即『あんたのためじゃないからっ!』って……」
「でもな、学校で孤立し気味だった彼女はそのうち自分から美術室に来るようになった」
父がどこか遠くに視線を向けた。感傷に浸る姿を見たのは、後にも先にもこれが最後だった。
口元が、少し緩んでいた。
男父「俺が告白したとき───なんて言ったと思う?」
男 「…………」
男父「わからんか。お前はどうやった?」
男 「えっと……走って追いかけて、それで『付き合って欲しい』って……」
男父「…………俺もそうだった」
「信じるよ、アンタの話っ! 全部信じるよ!」
「あんたはどうやってお母さんの邪気眼を止めたんだ! おい、それを教えてくれよ!」
「俺はどうすればいいっ!? おっさん!!」
夢中で街中を駆け巡った。あの雀荘のオーナーにも尋ねてみたが、全く足取りが掴めない。
呼ばなくても来る癖に、何故必要なときにいない。苛立つ衝動を足枷にしながら、体力の続く限り走り続けた。
それでも、彼を見つけ出すことは出来なかった。
男 「ただいま……」
男父「おう」
半年前の文化祭の一件以来、父は俺に挨拶を交わしてくれるようになった。以前は何を言っても無言だったから、これは大きな進展だ。
ただし父と会話という会話をしているわけではない。被クのことで頼る宛が無い俺は、ふと父にこんなことを聞いてみた。
男 「父さん、さ……」
「母さんと上手くいかなかったこと、ある?」
父は俺を一瞥すると、
男父「何故今頃そんな話をする……」
男 「頼む、後生だ! 少しでもそういう話を聞かなくちゃいけないときなんだ……」
男父「…………」
しばらくの沈黙。
俺はその間、必死に父に頭を下げていた。これでも無反応なのか。
頭を上げようとしたそのとき……
男父「会ったばかりの頃は、母さんとは喧嘩ばかりしていた」
男 「!……そ、それで?」
男父「母さんは気が強い女だった。普通の女の子とは少し違った性格をしていて……」
「照れると、不器用にそれを否定した。口が悪くて『別にあんたのためじゃない』だとか、そんなことばっかり言ってたなぁ」
男 「ツンデレだったのか……」
男父「俺はそれが可笑しくてな……」
「彼女に初めて絵のモデルを頼んだときも、即『あんたのためじゃないからっ!』って……」
「でもな、学校で孤立し気味だった彼女はそのうち自分から美術室に来るようになった」
父がどこか遠くに視線を向けた。感傷に浸る姿を見たのは、後にも先にもこれが最後だった。
口元が、少し緩んでいた。
男父「俺が告白したとき───なんて言ったと思う?」
男 「…………」
男父「わからんか。お前はどうやった?」
男 「えっと……走って追いかけて、それで『付き合って欲しい』って……」
男父「…………俺もそうだった」
あれ・・・おかしいな・・・俺昨日までいじめられてかわいそうな女の子が幸せになる話みてたんだけど・・・あれ?
あれ?
あれ?
( ^ω^)「ブーンはツンのためなら空だって飛べるお!」(シュバッ)
ξ゚⊿゚)ξ「ど、どうしたのよいきなり」
/⌒ヽ
⊂二二二( ^ω^)二⊃
| / 「ブーンと付き合ってほしいお!」
( ヽノ
ノ>ノ
三 レレ
男父「俺は必死で飛び……告白し、そして承諾を得た」
「そんで生まれたのが>>男……お前だ」
男 「……親父、母さんと仲良かったんだな」
男父「お前、もう母さんのことは覚えてないか?」
男 「ああ……」
男父「そうか……」
「ツンとは上手くいかないことばかりだったよ。結婚するときは親に反対され……彼女は怒りっぱなしだった」
「でもな、俺は本当に母さんのことが好きだった。それを伝えようとすると、彼女はちゃんデレてくれた」
男 「……」
「ん? ちょっと待って」
男父「……なんだ?」
男 (…………あれ? なんだ、こう、何だろう。喉の奥まで出掛かってるのに……)
「もう少し、聞かせてくれ」
男父「……」
男 「頼む……」
男父「わかった。聞かせるが……どうしてそんなことを……今更……」
男 「親父、被クが困ってる」
「彼女を救ってやらなくちゃいけない。でも、宛にできる人間が親父しかいないんだ」
「俺がやらなくちゃいけないんだけど、方法がわからない。だから……教えてほしい」
男父「事情は知らん」
「だから俺が一番苦しんだときの、母さんが死んだときのことを聞かせてやる」
男 「か、母さんの……」
「いや、大丈夫だ。頼む」
男父「……旅行先で事故に遭ったとき、実はな>>男……お前もそこに居た」
男 「えっ……」
男父「覚えていないだろうがな。……レンタカーに乗っていたとき、衝突してしまって……」
「運転していたのは母さんだったんだ。俺は後部座席でお前をあやしていた」
「俺は一度気を失っていたんだが、母さんに起こされた。アイツはもう息絶え絶えなのにお前を先に助けてくれと俺に言った」
「勿論、俺はそうした。でもな……>>男……俺がお前を外に出した後、道路の後ろからはもう一台、車が来ていた」
「不運だったのは……そこが田舎の一本道だったこと。そしてもう一台の車の運転手は……酔っていて……」
「二度目の衝突のとき、俺は母さんを助けようとして……そこで、両腕を……」
男 「……」
男父「最後に両腕を差し出した瞬間、彼女は…………笑ってた」
「その笑顔が頭から消えなくなって、俺は……腕の治療が終わった後も、病院に通っていた」
おいおいここまできて読み飛ばせとかどこの鬼だ
・・・期待してんだから最後までかけ、読むから
・・・期待してんだから最後までかけ、読むから
男 「笑った……母さんが、笑った……?」
男父「これで俺の話は終わりだ。何かの役に立ったか?」
男 「………………」
被クの母さんの「性分」が収まったのは、歳を重ねてからと……ダディさんと付き合い始めてから……
そしてまた戻ったのは、彼女が産まれてからだろ……
変化……?
何か、気持ちの変化……?
ダディさんが言っていた「被害ではなく被害クールが消える」……あの薬は……
「性分を消す薬」っていうのは……いや待て、性分なんてどうやって消す? そもそも消せるもんなのか?
抑える……あるいは変化させる薬と考えたほうがいい……変化……変わる?
気持ちが、変わる……?
ツンが、デレになるのもある種「変化」なのか?……いや、ならどうすればツンはデレになる?
いや待て……
待て……待て……待て……
ツンがデレになるんじゃない……ツンとデレは「表裏一体」でツンデレなわけで……ん?……
───なら、これを被クの母さんや素直ヒート先輩で置き換えるとどうなる?
あ……そうか……
この薬……そうか、これは……「飲めば治るがどうなるかわからない」っていうのは……
「アレ」を変える薬か……!
人間の感情のアレを変えてしまう……
男 「そうか……なるほど!」
男父「?……」
男 「父さん! あと一つだけ聞かせてくれ」
「この薬、知ってるか?」
男父「ん?………お、なんだ…………お前、何でこんなもの持ってる…………」
男 「父さんはこれを、ダディクールって医者に飲まされて、それで立ち直ったんじゃないか?」
男父「そ、そうだ。忘れるわけもない……」
男 「っ~~!!」
「あんのヤブ医者ッ! あの大ボラ吹きがッ!! よくもこんなもん飲ませようとしてくれたな!」
男父「おい……?」
男 「親父、ちょっともう一回いってくる。俺はその人探さなきゃならん」
「遅くなるかも知れない。……先に寝てくれ、体には気をつけてな。いつもありがとう」
男父「どうした、んだ……?」
男 「んじゃ、行ってきます!」
バタンッ
男父「よく分からんが……久々にお前の話なんかしてしまったよ……ツン……」
「しかし、あいつが俺の前であんなに感情的になったのは、何年振りだろうなぁ」
「毎日一緒に生きていたのに気付けなかった…………>>男も、大きくなったもんだお( ^ω^)」
男父「これで俺の話は終わりだ。何かの役に立ったか?」
男 「………………」
被クの母さんの「性分」が収まったのは、歳を重ねてからと……ダディさんと付き合い始めてから……
そしてまた戻ったのは、彼女が産まれてからだろ……
変化……?
何か、気持ちの変化……?
ダディさんが言っていた「被害ではなく被害クールが消える」……あの薬は……
「性分を消す薬」っていうのは……いや待て、性分なんてどうやって消す? そもそも消せるもんなのか?
抑える……あるいは変化させる薬と考えたほうがいい……変化……変わる?
気持ちが、変わる……?
ツンが、デレになるのもある種「変化」なのか?……いや、ならどうすればツンはデレになる?
いや待て……
待て……待て……待て……
ツンがデレになるんじゃない……ツンとデレは「表裏一体」でツンデレなわけで……ん?……
───なら、これを被クの母さんや素直ヒート先輩で置き換えるとどうなる?
あ……そうか……
この薬……そうか、これは……「飲めば治るがどうなるかわからない」っていうのは……
「アレ」を変える薬か……!
人間の感情のアレを変えてしまう……
男 「そうか……なるほど!」
男父「?……」
男 「父さん! あと一つだけ聞かせてくれ」
「この薬、知ってるか?」
男父「ん?………お、なんだ…………お前、何でこんなもの持ってる…………」
男 「父さんはこれを、ダディクールって医者に飲まされて、それで立ち直ったんじゃないか?」
男父「そ、そうだ。忘れるわけもない……」
男 「っ~~!!」
「あんのヤブ医者ッ! あの大ボラ吹きがッ!! よくもこんなもん飲ませようとしてくれたな!」
男父「おい……?」
男 「親父、ちょっともう一回いってくる。俺はその人探さなきゃならん」
「遅くなるかも知れない。……先に寝てくれ、体には気をつけてな。いつもありがとう」
男父「どうした、んだ……?」
男 「んじゃ、行ってきます!」
バタンッ
男父「よく分からんが……久々にお前の話なんかしてしまったよ……ツン……」
「しかし、あいつが俺の前であんなに感情的になったのは、何年振りだろうなぁ」
「毎日一緒に生きていたのに気付けなかった…………>>男も、大きくなったもんだお( ^ω^)」
その後、ダディクールさんは俺が思ったよりもすぐに見つかった。
例の雀荘の前に立っていた。まるで誰かと待ち合わせでもしているかのように、腕時計をじっと眺めていた。
サラリーマン姿で、手には大きな包みを持っていた。
「やぁ、意外に早かったね」
俺はその言葉の意味が容易に理解できた。
彼は「ついでおいで」と言って、雀荘の中に入っていった。俺も黙って、その後に続いた。
ダデ「タ ン ヤ オ」
荘主「かしこまりました」
ダデ「さて……幾つか君に質問したいことがあるんだが」
男 「はい……」
ダデ「まずは私の言ったこと、信用してくれたかね?」
男 「ええ。全てではないですが」
ダデ「ほほう。それでそれで? 何を信じて、何を信じてくれなかったんだい。というよりも」
「どの嘘を見破ったのか。それを聞きたい」
男 「まず……被クや、お母さん、そういった方々……『新ジャンル』の存在については信用します」
ダデ「正解」
男 「…………被害クールという女性が、その性分ゆえに自身に被害を引き寄せたり、関わった人物をそれに巻き込むというのも分かりました」
「この薬の効果と、それによる副作用……いや、副作用だとかそういうもんじゃないな。元も子も無くなるって感じだ」
ダデ「…………」
男 「俺の母はツンデレでした」
「それを、素直ヒートや邪気眼クール、被害クールらに置き換えたとき、俺はこれに気付いたんです」
「新ジャンルと呼ばれる少女たちには共通したものがありました」
「男ですね?」
ダデ「……正解」
男 「やっぱり……だとしたらこの薬の本当の効果は……」
「”愛”を消すこと」
ダデ「もっと厳密に言うなら?」
男 「”フラグ”です」
「邪気眼クールさん……被クのお母さんがあなたと付き合うようになった理由……」
「俺の先輩の素直ヒートさん……彼女が>>友と付き合うようになった理由……」
「そして最後に被害クール……彼女が俺と付き合うようになった理由……これが悔しかった」
「これまでのどのカップルも、付き合う要因は彼女らの『性分』が原因です。言い換えればそれは『フラグ』では?」
ダデ「正解」
「……『新ジャンル』に接触する者が現れた時点で、『フラグ』は成立する」
「彼女らを助ける者は……過程はどうあれ、とどのつまり……最終的には恋人同士になるということだ」
男 「やっぱり……」
ダデ「では次の質問」
「元妻が『邪気眼クール』で無くなり始めたのは、どうしてかな?」
例の雀荘の前に立っていた。まるで誰かと待ち合わせでもしているかのように、腕時計をじっと眺めていた。
サラリーマン姿で、手には大きな包みを持っていた。
「やぁ、意外に早かったね」
俺はその言葉の意味が容易に理解できた。
彼は「ついでおいで」と言って、雀荘の中に入っていった。俺も黙って、その後に続いた。
ダデ「タ ン ヤ オ」
荘主「かしこまりました」
ダデ「さて……幾つか君に質問したいことがあるんだが」
男 「はい……」
ダデ「まずは私の言ったこと、信用してくれたかね?」
男 「ええ。全てではないですが」
ダデ「ほほう。それでそれで? 何を信じて、何を信じてくれなかったんだい。というよりも」
「どの嘘を見破ったのか。それを聞きたい」
男 「まず……被クや、お母さん、そういった方々……『新ジャンル』の存在については信用します」
ダデ「正解」
男 「…………被害クールという女性が、その性分ゆえに自身に被害を引き寄せたり、関わった人物をそれに巻き込むというのも分かりました」
「この薬の効果と、それによる副作用……いや、副作用だとかそういうもんじゃないな。元も子も無くなるって感じだ」
ダデ「…………」
男 「俺の母はツンデレでした」
「それを、素直ヒートや邪気眼クール、被害クールらに置き換えたとき、俺はこれに気付いたんです」
「新ジャンルと呼ばれる少女たちには共通したものがありました」
「男ですね?」
ダデ「……正解」
男 「やっぱり……だとしたらこの薬の本当の効果は……」
「”愛”を消すこと」
ダデ「もっと厳密に言うなら?」
男 「”フラグ”です」
「邪気眼クールさん……被クのお母さんがあなたと付き合うようになった理由……」
「俺の先輩の素直ヒートさん……彼女が>>友と付き合うようになった理由……」
「そして最後に被害クール……彼女が俺と付き合うようになった理由……これが悔しかった」
「これまでのどのカップルも、付き合う要因は彼女らの『性分』が原因です。言い換えればそれは『フラグ』では?」
ダデ「正解」
「……『新ジャンル』に接触する者が現れた時点で、『フラグ』は成立する」
「彼女らを助ける者は……過程はどうあれ、とどのつまり……最終的には恋人同士になるということだ」
男 「やっぱり……」
ダデ「では次の質問」
「元妻が『邪気眼クール』で無くなり始めたのは、どうしてかな?」
男 「これが曖昧なんですが…………愛が薄れたから?」
ダデ「んむ……」
男 「ま、マンネリ化というか……長期間の交際で何か、何かがこう、愛に似たものが…………」
ダデ「まぁ……要するに身体の付き合いだよな」
「言い方を変えると……『子供』だよ」
男 「子供……?」
ダデ「そうだ。生々しい表現で口にするのも気が滅入るが……要するに肉体的な関係を持てば、フラグは完全に成立したと言える」
「完全な成立とは、同時に消滅を意味する。二つとも、あくまで彼女らに限ってのことだが」
男 「は、はぁ……」
「え……ちょっと待って。では『フラグ≒性分』と考えるとつまり……素直ヒート先輩や被クで言うなら……」
ダデ「処女というわけだ。要するに大人の階段をのぼってしまうと、性分は徐々に消える」
「そして子供が出来たとき、今度は『我が子への愛情』が生まれてしまう。いわばこれが第二のフラグだ。そうなると、彼女らの性分が再発する」
男 「なるほど。……では、そのときに再発した性分はどうすれば……」
ダデ「…………夫への愛だ」
男 「あ…………」
ダデ「私がそれに気付いたときが、家内と別れた日さ」
「家内の邪気眼……いや、もうそんな言い方はやめよう。『特異点を失くす得意点』である彼女の性分を保たせるには、それしかなかった」
「本当はね、被クに被害を与えてしまうのが怖かったんじゃない。逆だ。与えられるのが怖かったんだ」
「元妻が出産した日、なんて言ったと思う? 『邪気眼に選ばれし子が……』と寝言で呟いていたんだ」
「彼女をよく知っていた私は、その異変にすぐ気付いたよ……」
男 「お母さんは被クを産むまで自分の性分については知らなかったと聞きます」
ダデ「彼女が知らなくても、私が知っていた。それで問題なかろう」
「君のお父さんが衰弱し切っていたとき、あの薬を飲ませた。すると亡くなった奥さんへの愛が我が子に向けられ、元気になった」
男 「親父のスパルタ教育の元凶が貴方だったことには運命すら感じましたがね」
「ダディ……いえ、お父さん。もしかして貴方は俺にそれを試したかったのでは?」
「貴方が俺に『薬を飲ませるだろう』と言ったのは、俺に疑念があったからだ。でも、俺に貴方は、その……」
ダデ「交われと言った」
男 「そうっ!……あ、いや、まぁ……何て言うかすみません。低俗なことを言わせてしまって」
ダデ「>>男君……」
男 「はい?」
ダデ「謝るのはこちらだ」
「最後の質問。さっきまで、私がどこに居たか分かるかい?」
男 「え……」
ダディさんが持ってきた包みを開けた。
その中にあったのは……俺が被クの部屋に飾った、あの絵だった。
ダデ「んむ……」
男 「ま、マンネリ化というか……長期間の交際で何か、何かがこう、愛に似たものが…………」
ダデ「まぁ……要するに身体の付き合いだよな」
「言い方を変えると……『子供』だよ」
男 「子供……?」
ダデ「そうだ。生々しい表現で口にするのも気が滅入るが……要するに肉体的な関係を持てば、フラグは完全に成立したと言える」
「完全な成立とは、同時に消滅を意味する。二つとも、あくまで彼女らに限ってのことだが」
男 「は、はぁ……」
「え……ちょっと待って。では『フラグ≒性分』と考えるとつまり……素直ヒート先輩や被クで言うなら……」
ダデ「処女というわけだ。要するに大人の階段をのぼってしまうと、性分は徐々に消える」
「そして子供が出来たとき、今度は『我が子への愛情』が生まれてしまう。いわばこれが第二のフラグだ。そうなると、彼女らの性分が再発する」
男 「なるほど。……では、そのときに再発した性分はどうすれば……」
ダデ「…………夫への愛だ」
男 「あ…………」
ダデ「私がそれに気付いたときが、家内と別れた日さ」
「家内の邪気眼……いや、もうそんな言い方はやめよう。『特異点を失くす得意点』である彼女の性分を保たせるには、それしかなかった」
「本当はね、被クに被害を与えてしまうのが怖かったんじゃない。逆だ。与えられるのが怖かったんだ」
「元妻が出産した日、なんて言ったと思う? 『邪気眼に選ばれし子が……』と寝言で呟いていたんだ」
「彼女をよく知っていた私は、その異変にすぐ気付いたよ……」
男 「お母さんは被クを産むまで自分の性分については知らなかったと聞きます」
ダデ「彼女が知らなくても、私が知っていた。それで問題なかろう」
「君のお父さんが衰弱し切っていたとき、あの薬を飲ませた。すると亡くなった奥さんへの愛が我が子に向けられ、元気になった」
男 「親父のスパルタ教育の元凶が貴方だったことには運命すら感じましたがね」
「ダディ……いえ、お父さん。もしかして貴方は俺にそれを試したかったのでは?」
「貴方が俺に『薬を飲ませるだろう』と言ったのは、俺に疑念があったからだ。でも、俺に貴方は、その……」
ダデ「交われと言った」
男 「そうっ!……あ、いや、まぁ……何て言うかすみません。低俗なことを言わせてしまって」
ダデ「>>男君……」
男 「はい?」
ダデ「謝るのはこちらだ」
「最後の質問。さっきまで、私がどこに居たか分かるかい?」
男 「え……」
ダディさんが持ってきた包みを開けた。
その中にあったのは……俺が被クの部屋に飾った、あの絵だった。
男 「あんた……」
ダデ「実はな、>>男君。私がさっき姿を消した後、じっと中の様子を見ていたんだ」
「あれはまずかった……非常に、まずかった。君がもう少しで失明になるところだった」
男 「飲ませたのか?」
ダデ「娘のことだ。……どうなるか分かったもんじゃない。あの包丁で首でも切られたら大変だ」
男 「飲ませたんだな」
ダデ「……ああ」
「飲ませた。フラグは完全に折れた……バッキバキにな」
「二度と君のことなど考えんように、こうしてこの絵まで持ってきたわけだ」
男 「貴様ッ・・・!!」
ダデ「あのな、>>男君……これが私の性分だ。私はダディクール、父としての誇りが私を支えている」
「父として、娘のために完成させた薬だ。君のような子が現れるのを待ってた、フラグが立つのをずっと……」
「その時点で、もう娘は普通の子に戻る。ここから君の出現を喜んだ、こんな絵まで描いてくれて……」
男 「フラグが無くなった、ということは……被害クールの場合だと、どうなる!?」
ダデ「『被害クール』でなくなる、ということだ。もう被害は受けんし、クールな態度を取ることも無かろう。君への感情も消えた」
男 「俺への感情……」
ダデ「愛は無くなった」
「成立する前に折れたフラグだ……元には戻らん。子供を産んでも再発しない」
「君も娘と添い遂げれば……いずれはそうなったんだ。孫の顔を拝むのが遅くなったが、私の計画は成功した」
男 「ほ……」
ダデ「惚れ直させるか? 出来るか? 彼女はもう普通の子だぞ。被害を受けない、君が助けるチャンスはない」
男 「ありますね」
ダデ「ほう? どこにだ?」
男 「お父さん……僕はこれまで彼女と様々な受難を共に過ごしてきました」
「いじめ……まずはそれに耐えた。次に、仲間たちと協力してそれを覆した。そして他の生徒の退学、これも突破した……」
「お父さん……貴方が僕たちにとって最後の難問だ」
ダデ「私が?」
男 「貴方は僕に言った。貴方と出会ったことも被害の一つだと……その通りでした。それが今この状況を招いた」
ダデ「そうかもな」
「だったら、覆せることも出来るかもな? だが忠告しておくぞ、もしそれが成功すれば彼女はまた『被害クール』だ」
男 「そうですね、そのときは───……」
ダデ「そのときは……?」
男 「成功したときに、言いますよ」
「何も……助けてばかりいたから、好き合ったわけじゃない」
「彼女の持つ性分が無ければ出会わなかったかも知れないけれど、僕はあの子が好きです。今までも、これからも」
ダデ「私よりもか」
男 「勝ちますよ、その点では」
「明日からの学校生活、楽しみにしていて下さい。この絵はそれまで貴方に預けておきます」
ダデ「実はな、>>男君。私がさっき姿を消した後、じっと中の様子を見ていたんだ」
「あれはまずかった……非常に、まずかった。君がもう少しで失明になるところだった」
男 「飲ませたのか?」
ダデ「娘のことだ。……どうなるか分かったもんじゃない。あの包丁で首でも切られたら大変だ」
男 「飲ませたんだな」
ダデ「……ああ」
「飲ませた。フラグは完全に折れた……バッキバキにな」
「二度と君のことなど考えんように、こうしてこの絵まで持ってきたわけだ」
男 「貴様ッ・・・!!」
ダデ「あのな、>>男君……これが私の性分だ。私はダディクール、父としての誇りが私を支えている」
「父として、娘のために完成させた薬だ。君のような子が現れるのを待ってた、フラグが立つのをずっと……」
「その時点で、もう娘は普通の子に戻る。ここから君の出現を喜んだ、こんな絵まで描いてくれて……」
男 「フラグが無くなった、ということは……被害クールの場合だと、どうなる!?」
ダデ「『被害クール』でなくなる、ということだ。もう被害は受けんし、クールな態度を取ることも無かろう。君への感情も消えた」
男 「俺への感情……」
ダデ「愛は無くなった」
「成立する前に折れたフラグだ……元には戻らん。子供を産んでも再発しない」
「君も娘と添い遂げれば……いずれはそうなったんだ。孫の顔を拝むのが遅くなったが、私の計画は成功した」
男 「ほ……」
ダデ「惚れ直させるか? 出来るか? 彼女はもう普通の子だぞ。被害を受けない、君が助けるチャンスはない」
男 「ありますね」
ダデ「ほう? どこにだ?」
男 「お父さん……僕はこれまで彼女と様々な受難を共に過ごしてきました」
「いじめ……まずはそれに耐えた。次に、仲間たちと協力してそれを覆した。そして他の生徒の退学、これも突破した……」
「お父さん……貴方が僕たちにとって最後の難問だ」
ダデ「私が?」
男 「貴方は僕に言った。貴方と出会ったことも被害の一つだと……その通りでした。それが今この状況を招いた」
ダデ「そうかもな」
「だったら、覆せることも出来るかもな? だが忠告しておくぞ、もしそれが成功すれば彼女はまた『被害クール』だ」
男 「そうですね、そのときは───……」
ダデ「そのときは……?」
男 「成功したときに、言いますよ」
「何も……助けてばかりいたから、好き合ったわけじゃない」
「彼女の持つ性分が無ければ出会わなかったかも知れないけれど、僕はあの子が好きです。今までも、これからも」
ダデ「私よりもか」
男 「勝ちますよ、その点では」
「明日からの学校生活、楽しみにしていて下さい。この絵はそれまで貴方に預けておきます」
翌朝、登校の途中で被クのお母さんに会った。
彼女はまず、昨晩起きたことについて話してくれた。それはダディクールさんが言っていた事と一致し、いよいよ俺には可能性がゼロになったことを自覚させた。
でも、この人だって、俺と被クが一緒に居たとき、たまにだが邪気眼の話をしていたんだ。
この人には、まだダディクールさんへの愛が残ってるってことなんだ。
そう信じると、俺の心はより一層の決意を固めた。薬なんかで失くされた俺への気持ちは、必ず取り戻してみせる。
そして、教室のドアを開けたとき……
俺は───
「…………」
澄んだ瞳の少女と目があった。
不思議そうにぽかんと口を開け、何か言いたそうにしていた。
だが、彼女はそれをやめた。頭に疑問符を浮かべ、しかし何も考えていないようにすら見えた。何かがぽっかりと抜けていた。
男 「……おはよう」
被ク「あ、おはよう」
挨拶をすると、被害クール……ではなくなった被害クール、彼女はきちんと返事をしてくれた。
無言の時間が続いた。
『すまない、私とした事が取り乱した。しかし良いのかい? 私に話しかけて』
『なな、なんだと? 失礼じゃないか!』
『なあなあ、男』
『聞いてくれ、昨日帰り道にな!』
『という訳だったんだ! どうだ驚いたか?』
これまでそこで、交わしていた言葉。そのときの覚えた感情の一切を、彼女は失くしてしまったのか。
俺は毎日そこで何を話していたのか、一つ一つを思い出していた。それが積み重なっていく度に、涙が出そうになった。
それを隠すため、ずっと居眠りしているフリを続け……その日は二度と彼女の顔を見ることは出来なかった。
彼女はまず、昨晩起きたことについて話してくれた。それはダディクールさんが言っていた事と一致し、いよいよ俺には可能性がゼロになったことを自覚させた。
でも、この人だって、俺と被クが一緒に居たとき、たまにだが邪気眼の話をしていたんだ。
この人には、まだダディクールさんへの愛が残ってるってことなんだ。
そう信じると、俺の心はより一層の決意を固めた。薬なんかで失くされた俺への気持ちは、必ず取り戻してみせる。
そして、教室のドアを開けたとき……
俺は───
「…………」
澄んだ瞳の少女と目があった。
不思議そうにぽかんと口を開け、何か言いたそうにしていた。
だが、彼女はそれをやめた。頭に疑問符を浮かべ、しかし何も考えていないようにすら見えた。何かがぽっかりと抜けていた。
男 「……おはよう」
被ク「あ、おはよう」
挨拶をすると、被害クール……ではなくなった被害クール、彼女はきちんと返事をしてくれた。
無言の時間が続いた。
『すまない、私とした事が取り乱した。しかし良いのかい? 私に話しかけて』
『なな、なんだと? 失礼じゃないか!』
『なあなあ、男』
『聞いてくれ、昨日帰り道にな!』
『という訳だったんだ! どうだ驚いたか?』
これまでそこで、交わしていた言葉。そのときの覚えた感情の一切を、彼女は失くしてしまったのか。
俺は毎日そこで何を話していたのか、一つ一つを思い出していた。それが積み重なっていく度に、涙が出そうになった。
それを隠すため、ずっと居眠りしているフリを続け……その日は二度と彼女の顔を見ることは出来なかった。
友 「あのさぁ」
男 「ん?」
友 「被クちゃんと何かあったわけ……?」
男 「あった、けど……なくなった」
友 「はぁ?」
「お前、今日変だったぞ。一日中喋ってなかったろ……昨日まであんなに仲が良かったのにな」
男 「ほっとけ」
友 「被クちゃん、ずっとお前のこと見てたぞ」
男 「ッ!!……ほ、本当か? 本当に?」
友 「ああ。不思議そうに、ずーっとな」
「でも何ていうか……それに違和感あるんだよ。俺、被クちゃんって普段かなり『デキるぜ!』オーラみたいなのがあったじゃん」
「無いんだよ、それが。何ていうかな……態度が変わったってーの?」
男 「…………」
「被クは、学年の顔と名前をすべて覚えてるんだ」
友 「あん?」
男 「多分……今はそこに一つ、変な空白が出来てるんだろうな」
男 「……」
友 「……」
友 「昨日、素直ヒートがおかしくなってた……関係あるか?」
男 「さぁ……」
友 「あいつな、俺のこと忘れてたぞ」
男 「え?」
(あ、そうか……お母さんに性分が消されちゃったから……)
(ははっ、ヒート先輩から熱血を取ると鬱になるのか)
友 「今日の朝には戻ってたけどな」
男 「良かったじゃん……ははっ…………」
その後、ABCや先生が何度も俺に尋ねてきたが、結局何がどうなったかは話さなかった。
ただ、被クは俺のことを忘れたというわけではなく、俺に対し無感情になっていたらしい。何も話せなくなるんだと。
それからずっと、彼女を見ると苦しくなって何も出来なくなることが続いた。大見得切った割りには、情けない末路になるのか。
男 「ん?」
友 「被クちゃんと何かあったわけ……?」
男 「あった、けど……なくなった」
友 「はぁ?」
「お前、今日変だったぞ。一日中喋ってなかったろ……昨日まであんなに仲が良かったのにな」
男 「ほっとけ」
友 「被クちゃん、ずっとお前のこと見てたぞ」
男 「ッ!!……ほ、本当か? 本当に?」
友 「ああ。不思議そうに、ずーっとな」
「でも何ていうか……それに違和感あるんだよ。俺、被クちゃんって普段かなり『デキるぜ!』オーラみたいなのがあったじゃん」
「無いんだよ、それが。何ていうかな……態度が変わったってーの?」
男 「…………」
「被クは、学年の顔と名前をすべて覚えてるんだ」
友 「あん?」
男 「多分……今はそこに一つ、変な空白が出来てるんだろうな」
男 「……」
友 「……」
友 「昨日、素直ヒートがおかしくなってた……関係あるか?」
男 「さぁ……」
友 「あいつな、俺のこと忘れてたぞ」
男 「え?」
(あ、そうか……お母さんに性分が消されちゃったから……)
(ははっ、ヒート先輩から熱血を取ると鬱になるのか)
友 「今日の朝には戻ってたけどな」
男 「良かったじゃん……ははっ…………」
その後、ABCや先生が何度も俺に尋ねてきたが、結局何がどうなったかは話さなかった。
ただ、被クは俺のことを忘れたというわけではなく、俺に対し無感情になっていたらしい。何も話せなくなるんだと。
それからずっと、彼女を見ると苦しくなって何も出来なくなることが続いた。大見得切った割りには、情けない末路になるのか。
そのまた数日後、舞台は屋上に移る。
放課後、ABCの三人がつるんでいた(んだっけ?)……キンニ君とその他不良の皆さんに呼び出された。
キン「この間の話だ……」
男 「どの間かはよく分からんが」
キン「そうか……じゃあまず俺とAの関係について話そう」
「Aには元々目をつけてた男が居てな……お前と同じクラスのとある男子だ」(前スレ>>24参照)
男 「うん?」
キン「Aは半年前の一件以来、被害クールさんと仲良くなっていたことは知ってると思う」
「あいつはあいつなりに変わっていった。それ以前からあいつのことを好きだった俺は、機会を伺って告白した」
「先日、OKされたんだ」
男 「あ、そう」
「で?」
キン「Cと不Bも付き合いはじめて……それは多分、お前のお陰もある」
男 「ん……で?」
「何が言いたいお前ら……お礼しに来てくれたんかい?」
不B「被害クールと……何かあったろ? 話せよ。協力してやるから」
男 「いらん……」
キン「Aたちも気にしてんだ……理由くらいは教えてくれや」
男 「何で俺が>>友や先輩にも言わなかったことをお前らに言わなけりゃならん」
「好きなあの子とくっついたんだろ? それでいいじゃねーか。お前らは……」
ゴン、と鈍い音がした。
頬の奥で骨が軋んだ。
男 「痛ぇな……」
キン「お前……死んだな、目が」
男 「あのな……」
「俺は子供の頃ウルトラマンになりたかったんだ。でも、今の俺はどうだ? 学校の悪いさん達に殴られてへらへらしてる」
キン「絵を、描けばいいだろ」
男 「…………」
キン「お前の唯一得意だったモンがさ、それじゃなかったのか?」
男 「…………描けないんだ」
「描こうとすると、目の前に被クが出てきて、『私を描いてくれ』って言うんだ……」
「でも筆を握ると、手が震える。あれだけ無敵だった俺の手がな……」
キン「…………」
男 「俺がなりたかったのは結局ウルトラマンだったんだよな、って思った」
「そうすりゃ、どんな被害だろうか、災害だろうが、救ってやったのになって……」
キン「もう一度……聞く」
「俺達に出来ることは? お前が欲しいものはなんだ、言ってみろ」
男 「言えん……言えば、俺は本当に落ちぶれる」
不B「そんで彼女と寄り戻せるだったら、言ってみりゃいいじゃねぇか」
男 「本当にか?」
「本当に叶えてくれるんだな、貴様ら……本当だろうな……」
キン「うっ・・・」
「あ、ああ……」
男 「被害……」
不B「あ?」
男 「被害だよ。被害……」
気が付くと、俺はその言葉を口にしていた。
ダディクールさんに奪い返されたそれを……俺は望んでいた。
>>友や、先輩や、彼女の親。そして彼女自身と……過去の俺を裏切った。
俺は、最低の人間だ。
キン「いじめろって、ことか? 冗談だろ……」
男 「………………」
キン「おい、そりゃいくら何でも出来んわ。っつーかお前……お前さ……」
ぐっと胸倉を握り締められる。彼の顔には熱が篭っていた、だが、俺のほうは身体が脱力していた。
もうどうにでもなれ、と思っていた。
男 「あのさ」
キン「あ?」
男 「殴ってくれないか」
数分後、俺は身体中をぱんぱんに腫らしながら下校した。
「俺達に出来ることは? お前が欲しいものはなんだ、言ってみろ」
男 「言えん……言えば、俺は本当に落ちぶれる」
不B「そんで彼女と寄り戻せるだったら、言ってみりゃいいじゃねぇか」
男 「本当にか?」
「本当に叶えてくれるんだな、貴様ら……本当だろうな……」
キン「うっ・・・」
「あ、ああ……」
男 「被害……」
不B「あ?」
男 「被害だよ。被害……」
気が付くと、俺はその言葉を口にしていた。
ダディクールさんに奪い返されたそれを……俺は望んでいた。
>>友や、先輩や、彼女の親。そして彼女自身と……過去の俺を裏切った。
俺は、最低の人間だ。
キン「いじめろって、ことか? 冗談だろ……」
男 「………………」
キン「おい、そりゃいくら何でも出来んわ。っつーかお前……お前さ……」
ぐっと胸倉を握り締められる。彼の顔には熱が篭っていた、だが、俺のほうは身体が脱力していた。
もうどうにでもなれ、と思っていた。
男 「あのさ」
キン「あ?」
男 「殴ってくれないか」
数分後、俺は身体中をぱんぱんに腫らしながら下校した。
二年生になってから、様々な行事が執り行われた。
球技大会、期末テスト……巡りめぐって、次の季節にはまた文化祭が始まろうとしていた。
つまり被クと疎遠になって、もう三ヶ月も経つ。俺は>>友やヒート先輩とも距離を置くようになり、気が付けばいつも一人になっていた。
文化祭……情熱のある言葉だ。一年前の今頃は、必死に絵を描き続けていた。今はもう、筆すら握っていない。
俺は、死んだような日々を過ごしていた。……被クはどうなんだろう。どうなんだっけ。
これが俺の末路だ。
けど良いんだ……戻っただけだ。以前に。本当は被クと出会ってからこそが、どうかしていたのかも知れない。
そう、自分に言い聞かせる。
けれど
男 「そうじゃない……違う、違うだろ……こんな結末、望んじゃいない」
「俺も被クも……誰も望んでない……」
素ヒ「おい、>>男?」
男 「ひ、ヒート先輩……」
素ヒ「なんだお前、えらく久々だなぁ! こっちは受験で>>友や被クとも会えないってぇのに」
「どうした? 泣いてんのか?」
男 「いえ……」
素ヒ「お前……最近被クとはどうなんだ。何か喋ってるか?」
男 「いえ……」
素ヒ「そうか……あのな、>>男……」
「お前が不良たちに吐いた言葉を聞いた。A経由でな……」
男 「…………はは」
素ヒ「他の仲間は絶対にお前には言うなと言っていたが……私は隠しごとは出来ん性格だ」
男 「知ってますよ」
「何ですか? 被クに彼氏でも出来ましたか……はは、だろうなぁ。美人で秀才で……」
素ヒ「飛び降りた」
男 「え………………」
素ヒ「飛び降りたらしい。私も何故かは詳しくは知らんが……」
男 「…………え、何が?」
素ヒ「私の生徒会長の任期はもう終わった。『いじめを失くす』とか言っといて、私は何をやっていたんだろうな」
「あの子、またいじめられていたらしいぞ……お前は知らなかったろうが」
男 「ちょっと待って下さいよ……」
「いじめられる? そんなことあるわけないでしょ、彼女はもうそういう性質じゃなくなったんですよ?」
素ヒ「何を言っとるんだ貴様は?」
「この世のどこに『絶対にいじめられない女生徒』が居るというんだ。バカか?」
男 「…………どういう、事、ですか」
素ヒ「ここ数ヶ月、彼女の成績は下がりっ放しだったらしく、不審に思った生徒が理由を聞いたんだ」
「すると、彼女はこう答えた……『自分が自分でなくなってきたんだ』と」
「成績不振のものは追試や補修を受ける。そこに、運悪くも彼女のことをよく思わない人物も居てな」
「また、いじめられていたそうだ……全く気付かなかった私にも腹が立つがな」
男 「被クは……?」
「被クは、どうなったんです!?」
素ヒ「幸いにも……無傷で済んだ。先週の話だ……」
「お前達に何があったかは知らん。だが>>男、お前は何故彼女を助けてやらない?」
男 「…………」
素ヒ「おい……おい……」
「>>男おおおおおッ!! お前、お前あの娘のことが好きだったんだよなぁ!?」
「お前ら付き合ってたんだよなぁ!? 宇宙の彼方にでも意識ぶっ飛ばしたか!? ああ!?」
球技大会、期末テスト……巡りめぐって、次の季節にはまた文化祭が始まろうとしていた。
つまり被クと疎遠になって、もう三ヶ月も経つ。俺は>>友やヒート先輩とも距離を置くようになり、気が付けばいつも一人になっていた。
文化祭……情熱のある言葉だ。一年前の今頃は、必死に絵を描き続けていた。今はもう、筆すら握っていない。
俺は、死んだような日々を過ごしていた。……被クはどうなんだろう。どうなんだっけ。
これが俺の末路だ。
けど良いんだ……戻っただけだ。以前に。本当は被クと出会ってからこそが、どうかしていたのかも知れない。
そう、自分に言い聞かせる。
けれど
男 「そうじゃない……違う、違うだろ……こんな結末、望んじゃいない」
「俺も被クも……誰も望んでない……」
素ヒ「おい、>>男?」
男 「ひ、ヒート先輩……」
素ヒ「なんだお前、えらく久々だなぁ! こっちは受験で>>友や被クとも会えないってぇのに」
「どうした? 泣いてんのか?」
男 「いえ……」
素ヒ「お前……最近被クとはどうなんだ。何か喋ってるか?」
男 「いえ……」
素ヒ「そうか……あのな、>>男……」
「お前が不良たちに吐いた言葉を聞いた。A経由でな……」
男 「…………はは」
素ヒ「他の仲間は絶対にお前には言うなと言っていたが……私は隠しごとは出来ん性格だ」
男 「知ってますよ」
「何ですか? 被クに彼氏でも出来ましたか……はは、だろうなぁ。美人で秀才で……」
素ヒ「飛び降りた」
男 「え………………」
素ヒ「飛び降りたらしい。私も何故かは詳しくは知らんが……」
男 「…………え、何が?」
素ヒ「私の生徒会長の任期はもう終わった。『いじめを失くす』とか言っといて、私は何をやっていたんだろうな」
「あの子、またいじめられていたらしいぞ……お前は知らなかったろうが」
男 「ちょっと待って下さいよ……」
「いじめられる? そんなことあるわけないでしょ、彼女はもうそういう性質じゃなくなったんですよ?」
素ヒ「何を言っとるんだ貴様は?」
「この世のどこに『絶対にいじめられない女生徒』が居るというんだ。バカか?」
男 「…………どういう、事、ですか」
素ヒ「ここ数ヶ月、彼女の成績は下がりっ放しだったらしく、不審に思った生徒が理由を聞いたんだ」
「すると、彼女はこう答えた……『自分が自分でなくなってきたんだ』と」
「成績不振のものは追試や補修を受ける。そこに、運悪くも彼女のことをよく思わない人物も居てな」
「また、いじめられていたそうだ……全く気付かなかった私にも腹が立つがな」
男 「被クは……?」
「被クは、どうなったんです!?」
素ヒ「幸いにも……無傷で済んだ。先週の話だ……」
「お前達に何があったかは知らん。だが>>男、お前は何故彼女を助けてやらない?」
男 「…………」
素ヒ「おい……おい……」
「>>男おおおおおッ!! お前、お前あの娘のことが好きだったんだよなぁ!?」
「お前ら付き合ってたんだよなぁ!? 宇宙の彼方にでも意識ぶっ飛ばしたか!? ああ!?」
男 「…………」
素ヒ「どうしてあいつが飛び降りなきゃならんっ! あれほど冷静で知恵豊かだったあいつが、あれほど我慢強かったあいつがだッ!!」
「死んで、しまうかも……知れなかったんだぞ……っ!!」
男 「…………」
素ヒ「もういい……わかった。もうお前には頼らん」
「好きにしろ。もう少しで私もこの学校とはさよならだ」
そして、二度目の文化祭。その頃になると、俺のことなど誰も相手にはしてくれなかった。
まるで自分が居なくなってしまったようだった。学校で誰とも話さず、誰にも認識されなかった。
友 「今年の文化祭はやけに寂しいなぁと思ったら……ああ、そっか。絵が無いんだったなー、あいつの絵がさ」
素ヒ「一枚だけでも、最高だったのにな……」
友 「お前も最近ほんと暗くなったねー。なんだ、受験疲労か? しっかりしろよ、しっかりっ!!」
素ヒ「テンション上がんねー……」
チラッ
被ク「…………」
素ヒ「ん?」
(被ク……何やってるんだ、一人で……)
「すまん>>友、悪いが急用が出来た。また後で会おう」
友 「ういー」
(前は急用よりも俺優先だったのにねぇ……人は変わる、変わるもんだなぁ……なぁ>>男よォ)
素ヒ「どうしてあいつが飛び降りなきゃならんっ! あれほど冷静で知恵豊かだったあいつが、あれほど我慢強かったあいつがだッ!!」
「死んで、しまうかも……知れなかったんだぞ……っ!!」
男 「…………」
素ヒ「もういい……わかった。もうお前には頼らん」
「好きにしろ。もう少しで私もこの学校とはさよならだ」
そして、二度目の文化祭。その頃になると、俺のことなど誰も相手にはしてくれなかった。
まるで自分が居なくなってしまったようだった。学校で誰とも話さず、誰にも認識されなかった。
友 「今年の文化祭はやけに寂しいなぁと思ったら……ああ、そっか。絵が無いんだったなー、あいつの絵がさ」
素ヒ「一枚だけでも、最高だったのにな……」
友 「お前も最近ほんと暗くなったねー。なんだ、受験疲労か? しっかりしろよ、しっかりっ!!」
素ヒ「テンション上がんねー……」
チラッ
被ク「…………」
素ヒ「ん?」
(被ク……何やってるんだ、一人で……)
「すまん>>友、悪いが急用が出来た。また後で会おう」
友 「ういー」
(前は急用よりも俺優先だったのにねぇ……人は変わる、変わるもんだなぁ……なぁ>>男よォ)
屋上。
被ク「…………」
素ヒ「おい被ク、そんなところで何してる?」
被ク(ビクッ)
「あ、ああ……ヒート先輩でしたか。誰かと思いましたよ」
素ヒ「はっはっは、誰かだったら良かったのかー?」
被ク「…………」
素ヒ「一人か?……一人だよな、そりゃ」
被ク「先輩」
素ヒ「ん?」
被ク「私……去年、先輩達と一緒に文化祭をやってたとき四人で>>男君の絵を……」
素ヒ「うむ。 楽しかった……いや、そういう言い方をしてはいけないのかも知れんが、今よりはずっと面白かった」
被ク「そうだったんですか……」
素ヒ「お前は違ったのか?」
被ク「さぁ……」
素ヒ「お前もその返事の仕方……やめろよ、そんなん。A達は?」
被ク「個々で楽しんでるでしょうね……」
素ヒ「……」
「飛び降りたらしいな? またいじめられてるのか」
被ク「ええ」
素ヒ「ええ……じゃないだろ、ええ、じゃあ……」
被ク「A達が、庇ってくれてます。けど……なんか……わからなくなっちゃって」
「何で私、いじめられてるんだろう……いじめられてなかった頃の私って、どんなだったっけ、とか……」
「前いじめられてたときは……耐えられたんだけど……なんでだろ……何か、私の中で、私が知らないうちに変わっちゃって」
素ヒ(…………)
キラリッ……
素ヒ(ん、何だ今……何か光ったような……)
被ク「最近……元父と母が寄りを戻しました」
「家も、もうすぐ引越します……でも、なんていうか……二人の仲見てたら、こう、喜んでいいんですよね?」
「でも何か…………段々、おかしくなっちゃって…………」
素ヒ「…………」
被ク「私ね、飛び降りたとき……多分、あのー……そうするとこう、[ピーーー]たら良いなとかって……あはは……」
素ヒ「被ク……」
「何持ってる?」
被ク「これ?……ああ、父に貰ったお小遣いで……買っちゃって……」
「よく……切れるんですけど……ナイフ……」
素ヒ「メンヘラめ」
「まさかお前までおかしくなるとはな。一体>>男と何があった? 話してみろ」
被ク「何も、ないんです」
素ヒ「…………」
被ク「おかしいでしょ……よくわかんない。いつの間にか、こんなことなっちゃって」
「私…………あ、いじめられてたときのこと、思い出しました。学校って大して意味のないところだなーって」
「そう思ってたんですよ、多分」
素ヒ「病みすぎだな……」
「ナイフよこせ、没収だ」
被ク「…………」
素ヒ「早く寄越せぇぇぇぇっっ!!!」
被ク「…………」
素ヒ「おい被ク、そんなところで何してる?」
被ク(ビクッ)
「あ、ああ……ヒート先輩でしたか。誰かと思いましたよ」
素ヒ「はっはっは、誰かだったら良かったのかー?」
被ク「…………」
素ヒ「一人か?……一人だよな、そりゃ」
被ク「先輩」
素ヒ「ん?」
被ク「私……去年、先輩達と一緒に文化祭をやってたとき四人で>>男君の絵を……」
素ヒ「うむ。 楽しかった……いや、そういう言い方をしてはいけないのかも知れんが、今よりはずっと面白かった」
被ク「そうだったんですか……」
素ヒ「お前は違ったのか?」
被ク「さぁ……」
素ヒ「お前もその返事の仕方……やめろよ、そんなん。A達は?」
被ク「個々で楽しんでるでしょうね……」
素ヒ「……」
「飛び降りたらしいな? またいじめられてるのか」
被ク「ええ」
素ヒ「ええ……じゃないだろ、ええ、じゃあ……」
被ク「A達が、庇ってくれてます。けど……なんか……わからなくなっちゃって」
「何で私、いじめられてるんだろう……いじめられてなかった頃の私って、どんなだったっけ、とか……」
「前いじめられてたときは……耐えられたんだけど……なんでだろ……何か、私の中で、私が知らないうちに変わっちゃって」
素ヒ(…………)
キラリッ……
素ヒ(ん、何だ今……何か光ったような……)
被ク「最近……元父と母が寄りを戻しました」
「家も、もうすぐ引越します……でも、なんていうか……二人の仲見てたら、こう、喜んでいいんですよね?」
「でも何か…………段々、おかしくなっちゃって…………」
素ヒ「…………」
被ク「私ね、飛び降りたとき……多分、あのー……そうするとこう、[ピーーー]たら良いなとかって……あはは……」
素ヒ「被ク……」
「何持ってる?」
被ク「これ?……ああ、父に貰ったお小遣いで……買っちゃって……」
「よく……切れるんですけど……ナイフ……」
素ヒ「メンヘラめ」
「まさかお前までおかしくなるとはな。一体>>男と何があった? 話してみろ」
被ク「何も、ないんです」
素ヒ「…………」
被ク「おかしいでしょ……よくわかんない。いつの間にか、こんなことなっちゃって」
「私…………あ、いじめられてたときのこと、思い出しました。学校って大して意味のないところだなーって」
「そう思ってたんですよ、多分」
素ヒ「病みすぎだな……」
「ナイフよこせ、没収だ」
被ク「…………」
素ヒ「早く寄越せぇぇぇぇっっ!!!」
生徒「おい、なんだ……屋上で何かやってるらしいぞ」
生徒「あれ前の生徒会長の声だよな。よく叫んでばっかだった」
男 「…………ヒート先輩?」
素ヒ「寄越せ。おい……何してる……」
被ク「いやだな……渡します、渡しますよ……」
「はい……」
(被ク、床にナイフを投げる)
素ヒ「まったく……」
(ガシャンッ)
素ヒ「えっ……!?」
緑色のフェンスが、屋上から落下してくるのが見えた。
途端、何事かと野次が集まりだす。俺はその群れに身を投じながら、視線の先に被クとヒート先輩が居るのを見つけた。
素ヒ「何で……ネジ……取れてる……」
被ク「昨日、取っときました。私が……学園祭の準備中だから、工具も借りられたし……」
素ヒ「お前……最初から……」
被ク「あー……見てください、先輩、ほら……私いじめてた奴らだ。AやBも居るぞ。Cも、皆彼氏と一緒だ」
「すごい顔だな皆……あいつら、私がいじめられてたときは助けもしてくれなかったのに、こういうときは動きが速いよな」
素ヒ「フェンス外してどうするんだ」
「お前……私の前で自殺なんか出来ると思うなよ。っつーかそこ降りたら、確実に死ぬ……」
「それくらい分かるよな、お前も……」
被ク「はは……あはは……でもな、先輩。私は思うんだよ……もしかしたらこんな光景が一年前にもあったのかも知れない」
「私が>>男と出会わなければ、いずれこうなってたかも」
素ヒ「お前はお母さんに心配かけたくないと言っていたが」
被ク「でも、今お母さん幸せそうだよ?」
素ヒ「……………」
生徒「うおー……やっべ、マジかよ……飛び降り?」
生徒「引くわー……引くっつか、無理があるっしょ」
男 「…………」
頭に霞がかかっていた。あれは本当に被クか? 何であんなことしてんだろ、バカな奴だなぁ。
今じゃ俺もこの野次以下だ……頼むから俺を見て死なないでくれよー。夢に出そうだから。
なーんて……はは……あはは……
男 「おい……何だこれ……どうなってる……何してんだあいつ、何してんだ俺……」
「おい……おいおいおいおいおい…………」
被クは今にも飛び降りそうだった。
何人かの生徒が体育倉庫からバカでかいマットをワゴンの上に重ねて歩いてきた。いや、走れよお前ら。
走れって……な……お前ら、もしあいつが飛び降りたら……どうすんだよ……おい……
男 「貸せっ!」
俺はそいつらからワゴンをかっぱらうと、急いで被クが着地する付近まで走らせた。
群集の中から、キンニ君や不良たち、ABCも駆けつけてくれた。
生徒「あれ前の生徒会長の声だよな。よく叫んでばっかだった」
男 「…………ヒート先輩?」
素ヒ「寄越せ。おい……何してる……」
被ク「いやだな……渡します、渡しますよ……」
「はい……」
(被ク、床にナイフを投げる)
素ヒ「まったく……」
(ガシャンッ)
素ヒ「えっ……!?」
緑色のフェンスが、屋上から落下してくるのが見えた。
途端、何事かと野次が集まりだす。俺はその群れに身を投じながら、視線の先に被クとヒート先輩が居るのを見つけた。
素ヒ「何で……ネジ……取れてる……」
被ク「昨日、取っときました。私が……学園祭の準備中だから、工具も借りられたし……」
素ヒ「お前……最初から……」
被ク「あー……見てください、先輩、ほら……私いじめてた奴らだ。AやBも居るぞ。Cも、皆彼氏と一緒だ」
「すごい顔だな皆……あいつら、私がいじめられてたときは助けもしてくれなかったのに、こういうときは動きが速いよな」
素ヒ「フェンス外してどうするんだ」
「お前……私の前で自殺なんか出来ると思うなよ。っつーかそこ降りたら、確実に死ぬ……」
「それくらい分かるよな、お前も……」
被ク「はは……あはは……でもな、先輩。私は思うんだよ……もしかしたらこんな光景が一年前にもあったのかも知れない」
「私が>>男と出会わなければ、いずれこうなってたかも」
素ヒ「お前はお母さんに心配かけたくないと言っていたが」
被ク「でも、今お母さん幸せそうだよ?」
素ヒ「……………」
生徒「うおー……やっべ、マジかよ……飛び降り?」
生徒「引くわー……引くっつか、無理があるっしょ」
男 「…………」
頭に霞がかかっていた。あれは本当に被クか? 何であんなことしてんだろ、バカな奴だなぁ。
今じゃ俺もこの野次以下だ……頼むから俺を見て死なないでくれよー。夢に出そうだから。
なーんて……はは……あはは……
男 「おい……何だこれ……どうなってる……何してんだあいつ、何してんだ俺……」
「おい……おいおいおいおいおい…………」
被クは今にも飛び降りそうだった。
何人かの生徒が体育倉庫からバカでかいマットをワゴンの上に重ねて歩いてきた。いや、走れよお前ら。
走れって……な……お前ら、もしあいつが飛び降りたら……どうすんだよ……おい……
男 「貸せっ!」
俺はそいつらからワゴンをかっぱらうと、急いで被クが着地する付近まで走らせた。
群集の中から、キンニ君や不良たち、ABCも駆けつけてくれた。
被ク「あー、ワゴン来ちゃう……」
「あー、あー…………」
素ヒ「被ク……お前、独りでずっと悩んでたんだよな」
「何故私達に話してくれなかった? いつだって力になる、友達だったろう」
被ク「なんか、そういう考えが浮かばなくて……ほら、先輩も受験だし、迷惑かけちゃうし……」
「どうせそのー、私の気持ちとか、分かんないよな? ね? 先輩、会長だし……」
素ヒ「訳が分からん……」
「だが、取り返しのつかんことになってしまっているのだけは分かる」
被ク「取り返しの……つかん?……」
「あーやっぱ、そうなんだ……何か、私すっごいもの失くしちゃったような気がしてるんだ……」
「私なんていうか……二つ、失くしてるよなぁ。一つは>>男君、それはわかる……」
「もう一つ、何か……自分自身が……あ、そっか」
「私だ」
「私が、無くなったんだ」
被クが、何か呟いたように見えた。
ふわ、と……彼女は……とん
とん
とん
とん、だ。
その、瞬間だった。
身体中の血液がブワァ──────っと、沸騰し始めた。
「あー、あー…………」
素ヒ「被ク……お前、独りでずっと悩んでたんだよな」
「何故私達に話してくれなかった? いつだって力になる、友達だったろう」
被ク「なんか、そういう考えが浮かばなくて……ほら、先輩も受験だし、迷惑かけちゃうし……」
「どうせそのー、私の気持ちとか、分かんないよな? ね? 先輩、会長だし……」
素ヒ「訳が分からん……」
「だが、取り返しのつかんことになってしまっているのだけは分かる」
被ク「取り返しの……つかん?……」
「あーやっぱ、そうなんだ……何か、私すっごいもの失くしちゃったような気がしてるんだ……」
「私なんていうか……二つ、失くしてるよなぁ。一つは>>男君、それはわかる……」
「もう一つ、何か……自分自身が……あ、そっか」
「私だ」
「私が、無くなったんだ」
被クが、何か呟いたように見えた。
ふわ、と……彼女は……とん
とん
とん
とん、だ。
その、瞬間だった。
身体中の血液がブワァ──────っと、沸騰し始めた。
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