私的良スレ書庫
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元スレ友「ハーレムエンドっていいよな」
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男「あるわけない――」
ガチンッ
男「だろ……って、えっ」
女「まさか、今の音って……」
男(おい、嘘だろ。こんな所で……)
女「えっ、ちょっと、誰かぁ!」ドンドン!
男(こんな格好の女と二人きりって……)
男(まずいだろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!)
男「おい! 誰かいないのか! いたら返事してくれ!」
シーン……
男「……マジかよ」
男(確かに校舎裏に人が来ないっていうのも分からなくも無いが……!)
男(っ! そうだ、携帯があった! ……って、ポケットに入ってない……?)
男(こういう時に限って置いてくるとは……しっかりしてくれよ俺っ……)
男「女、携帯持っているか?」
女「……充電切れ」
男(……万事休す、か)
男(いや、俺だって体育倉庫に閉じ込められるシチュは憧れてはいるよ。だがな……)
女「……グスン」
男(実際、涙目の女子と一緒となると気まずすぎる……!)
男「おーいっ!! 周りに誰かいるなら声をかけてくれ!!」
女「……無駄だよ男君。ここって誰も近づかないから」
男「分かってる……! けど、静かに待つよりかはまだマシだ」
女「かもね……。私もやってみる」
男(外から鍵をかけられて、大分時間が経った)
男(あれから必死に大声を出しても何の反応もなく、結局は無駄に終わってしまった)
男(……早く、どうにかしないと)
女「男君ー」
男(扉を突き破るか……? 俺にそんな力はあるだろうか?)
男(なら、換気用の小窓からの脱出は? ……いやダメだ。あの窓は人が通るには小さすぎる)
男(じゃあどうすれば? このまま助けを待つしか無いのか……?)
女「おーとーこくーんっ!」
男「おわっ! び、びっくりさせるな……」
男(何か誤解が無いようにと離れて座っていた女がいつの間にか俺の目の前に来ていた)
男(そして、俺の隣にごく自然に座り、口を開いた)
女「だって男君、さっきから呼びかけても反応してくれないんだもん……」
男「悪い、ちょっと色々とここから出る方法考えてた」
女「そっか……」
女「ねぇ、男君」
女「私に気を遣って離れて座ってくれたり、閉じ込められた状況をどうにかしようって考えるのも、男君なりに私に優しくしてくれてるのも分かるよ?」
男「……当たり前だ。こんな所で男と二人っきりになったら不安になるもんだろ」
女「そう、だね……。普通の男の人だったらいつ何をされるか、不安だったかも」
女「……でも、ね」
男(暗くなった倉庫の中でも顔を紅く染めた女。吐息混じりに喋る姿はすごく、魅力的で――)
女「――私、今男君になら、何をされても……いい、よ……」セキメン
男(異性を意識付けるには、十分過ぎるほどだった)
男(……ゴクリ)
女「ねぇ……おとこ、くん……」
男「お、俺は――」
「すいません……もしかして人いましたか」
男「 」女「 」
「あっ、これはお邪魔でしたねー」
男(倉庫に鍵を締めたのは用務員の方だった。いつも使われていない倉庫なので、つい鍵を締めてしまったらしい)
男(そのうっかりのせいでどれほど俺の心労がすごかったことか……)
男(……しかし、それ以上にダメージを負っているのは――)
女「……」
男(……俺の目の前で俯きながら顔を真赤にしている彼女だろう)
女「あの、ごめんね男君……。私、ちょっとどうにかしてたみたい」
男「あ、いや、全然なんのこと? 気にしてないから大丈夫大丈夫」
女「……いやらしかったよね。幻滅しちゃったかな……」
男「いやいやいやいや! そもそも俺が流されてたのが悪いって!」
女「……優しいね」
女「男君、あんなこと言った傍で、こんなこと言うのも悪いけど……」
女「私は、男君になら、本当にそういう事をしてもいいと思ってるから……」
男「――っ」
女「~~~っ!! そ、そういうことだからじゃあねっ!!」
男「あ、えっと……」
男(今のってつまり、告白……ってことだよな。あの、女が俺に……?)
男(あの、男女の誰からも人気があって、いつもクラスをまとめている委員長が、俺に?)
男「マジ、かよ……」
男(彼女の純情で真っ直ぐな気持ちに、俺は……どう、答えればいいのだろう)
"Man is a tool-using animal. Without tools he is nothing, with tools he is all."
『女』ルート
2828がとまらねぇ どうしてくれるんだ(ありがとうございます)
~~~~~~
男(あの日から、俺はおかしくなってしまった)
男『………』
後輩『……先輩? さっきからずっとポットを眺めてますけど何かあるのですか……?』
男『あ、うん……ポットの曲線美って、何だか見てて癒やされるよな』
後輩『へ……? あ、そ、そうですね……』
男(ポットの曲線美の素晴らしさを後輩に伝えていたり……)
男(あの日から、俺はおかしくなってしまった)
男『………』
後輩『……先輩? さっきからずっとポットを眺めてますけど何かあるのですか……?』
男『あ、うん……ポットの曲線美って、何だか見てて癒やされるよな』
後輩『へ……? あ、そ、そうですね……』
男(ポットの曲線美の素晴らしさを後輩に伝えていたり……)
黒髪『男……? さっきから箸が動いてないけれど』
男『……』
焼き魚『男君になら、何をされても……いい、よ』
男『~~っ!!』バクバクバクバク
黒髪『何なのよそのすごい勢い』
男(焼き魚と謎の会話を繰り広げたり……)
女『男君……その、おはよ……』
男『――』シュッ
友『おい、男! どこに行く! ホームルーム始まるぞぉ!』
男(……女と顔を合わせるのが恥ずかしく、逃げ出してしまった)
男(その日の授業は気まずすぎて、何か言えたもんじゃない)
男「はぁぁぁぁぁぁ…………」
男(こんなに女性耐性無かったんだな俺……)ズーン
男(今までモテた事はなかったもんな……。ただ、一回だけバレンタインに知らない女の子からチョコを貰ったことはあるけどなぁ……)
男(俺が不甲斐ないせいで女にも気を遣わせてしまった……。ここは男らしく答えを出さなければ)
男(できることなら返事は早い内に返したい。女性を待たせるような不誠実な男にはできるだけなりたくない)
男「そもそも俺って好きな人って居たっけ……」
男(好きな人ってのは居ないと思うが……気になる人はいる)
男(……真っ先に浮かんできたのは黒髪。小さな頃から知己なだけあって、異性としては一番多く接しているからな……)
男(けど、この気持ちはきっと恋ではない。……恋だと思いたくは無い。あの人が見ているのは俺ではなく――)
男(って、そんな事を意識してはダメだ。……きっと命日が近かったからか意識してしまっているだけだ……)
男(……次に浮かんできたのは後輩の顔。稀に見るあの何か諦めたような、そんな悲しい顔をした後輩を見ていると……なぜか気になってしまう)
男(前に一度、後輩に手を貸した時の事とか関わっているのだろうか。……あれだけ取り乱した後輩を見たのは最初で最後だ)
男(けど、これも恋という気持ちとは違うような気がする。俺のお節介な部分が出てしまってるんじゃないか?)
男(その他に色んな女子の事を考えてみる……。しかし、女の事を考えたときのようにドキドキする感覚は感じられない)
男(……そこから導き出される結論はただ1つ)
男(俺も、女の事が好きなのかもしれない)
~~~~~~
男(週明けの月曜日。いつもより自分の容姿に気をつかう)
男(下手に髪がボサボサだったり、前歯に何か付いてたりしては格好がつかない)
男(だってそうだろ? 好きな人の目の前ではより魅力的な自分でいなければダメだ)
男「兄。俺、好きな人ができた。告白されたんだ、彼女から」
男「その人に俺は今日返事を返すつもり。……もちろん、OKの」
男「俺が不甲斐なくて、少し待たせてはしまったけどな……」
男「黒髪の事は……大丈夫だ。兄の代わりにこれからも俺が見守っていくから。彼女ができたからって簡単に見捨てたりするワケ無いだろ?」
男「……それじゃ、今日も行ってくるよ、兄」
男(週明けの月曜日。いつもより自分の容姿に気をつかう)
男(下手に髪がボサボサだったり、前歯に何か付いてたりしては格好がつかない)
男(だってそうだろ? 好きな人の目の前ではより魅力的な自分でいなければダメだ)
男「兄。俺、好きな人ができた。告白されたんだ、彼女から」
男「その人に俺は今日返事を返すつもり。……もちろん、OKの」
男「俺が不甲斐なくて、少し待たせてはしまったけどな……」
男「黒髪の事は……大丈夫だ。兄の代わりにこれからも俺が見守っていくから。彼女ができたからって簡単に見捨てたりするワケ無いだろ?」
男「……それじゃ、今日も行ってくるよ、兄」
友「よーっ」パンッ
男「おっ、友か。ういっす」
友「先週までおかしい男では……もうないか」
男「それについては迷惑をかけた。すまん」
友「迷惑なんてしてねーよ。むしろ男の行動にめちゃくちゃ笑わせてもらったから感謝したいぐらいだ」ハハハ…
男「やめろ思い出したくない」
友「……それで、あんだけおかしくなったって事は……何かあったんじゃないのか?」
男「……女に告白された」
友「へー委員長がねー……。えっ、委員長が!!???!!!?」
男「あ、ああ……」
友「こいつぅ! 知らぬ間にマセやがって~! このこの~!」
男「くっつくな暑苦しいっ……!」
友「んで、返事はどうするんだ?」
男「……色々と考えたんだが……俺は女にOKを出すつもりだ」
友「……そか」
友「……ったく、俺もリアルでエロゲみたいな恋愛してぇなあ」
男「いや、決して俺は漫画とかみたいな恋愛じゃ……」
男(って、アレ? 妙にテンプレじみた事が多かったような記憶が……)
友「それでさあ、そこで言うセリフがこれまた痛快なんだよなあ」
男「へー……。なんかそれも気になるな」
友「じゃ、今度貸してやるよ! ってまだ俺が全部読み終わってないんだけどな」
男「……楽しみに待ってる」
「友君、おはようっ」
友「おっ、可愛い彼女さ――」ボソッ
男「バ、バカッ!」
友「モガーっ!」
女「……朝から元気だねぇー。もうそろそろホームルームだから自分の席に戻ってね」
友「ぷはぁ! りょーかい!」ビシッ
女「それと……。男君も、おはよう」
男「ああ。おはよう」
男(……あくまで女は普通を装うつもりか)
女「……月曜日ってやっぱり憂鬱だよね。や、やっぱり――「女」
女「……え? ど、どうしたかな?」
男「大事な話するから、放課後、教室に残ってくれないか」
女「え、あ、う、うん……。わかった」
男(その日の授業は緊張のせいか、今まで一番過ぎるのが早かったかもしれない)
男(彼女になんて伝えればいいのか。どんな言葉を言えば喜んでもらえるのか)
男(……そんな事を考えていると、あっという間に放課後になっていた)
女「うん! また明日ねっ」
ジャアネイインチョー マタアシター
女「……」
女「……これで、二人っきりだね男君」
男「そうだな」
女「……っ」
女「だ、大事な話って何? も、もしかしてこの間の言葉だったり……」
男「その通り。あれは告白されたって思っていいんだよな?」
女「そ、それは……。は、はい。そ、そうです……」
男「……それを聞いて安心したよ」
男「女、俺も好きだ。こんな俺でよければ……付き合ってください」
女「……ぁ」
女「……わ、私も好きです。こちらこそこんな私だけれど……よろしくお願いします」
男「……」 女「……」
男「クックックッ……」
女「……フフッ」
男「なんで、俺達敬語になってんだ」クスクス
女「だね、なんだかおかしいね」クスクス
男「今更こんな改まって言うってのは、な」
女「……そうだ、男君。私を彼女にするなら1つ言っておかないといけない事があります」
男「なんだ?」
女「私って実は……すっごく甘えん坊なの」
女「だから、男君には下の名前で呼んでほしいなぁ……」ウワメ
男「……それぐらいなら全然いいよ。えーと、お、”女”?」
女「もう一回」
男「女……これでいいか?」
女「うん、うん……。私も男君の事、名前で呼んでもいいよね?」
男「ああ。カップルだからそれが当たり前……だと思う」
女「ふふっ……そうだねっ」
女「大好きだよ、”男”君っ♪」
~~~~~~
女「はい、あ~ん」
男「……」
女「男君、固まってないで口を開けて」
男「あ、あーん……」
男「ん……」モグモグ
女「……どうかな?」
女「はい、あ~ん」
男「……」
女「男君、固まってないで口を開けて」
男「あ、あーん……」
男「ん……」モグモグ
女「……どうかな?」
男「……うまい」
女「よかったぁ……。男君の舌に味が合うかなって心配してたんだ。もしかしたら、食べてくれないかもって……」
男「そんな心配なんてする必要ないって。十分おいしいよ」
女「じゃあ、もっと食べてねっ」アーン
男「いや、食べさせてくれるのはもういい……」
男(俺が女に告白して数日後。女がいつも俺が昼食を学食などで食べているのに気づき)
女『だったら、私がお弁当作ってくるよっ!』
男(なんて言い出して、只今ワガママな彼女と絶賛バカップル中でございます)
男(あんまり人に見られないような学校の敷地内のベンチで食べているが……こんな姿を誰かに見られたら大変だろうな)
黒髪『……』ニコニコ
男(……大変で済むかどうかもわからない。黒髪にも隠してたりせず、早めに言っておくか……)
黒髪「……メスの匂いがするわ」
エッ、ドウシタノクロカミサン…… ドウドウ……
男「しかし悪いな……。俺なんかに弁当作ってもらって」
女「そんなことないよ。いつも自分の分を作ってるんだから、一人分増えた所で大した手間じゃないから」
女「それに、”俺なんかって”言っちゃダメだよっ。なんたって私の自慢の彼氏なんだから……ね?」
男「す、すまん。気をつける」
男(それにしても、付き合い始めてから女の隠れていた本性が見えてきた気がする)
男(普段は委員長としてサバサバしてるけど、二人きりになると途端にベタベタしてきたり)
男(結構、仕草だったりとかも凄く女の子っぽいと感じる)
女「あ、そうだっ。男君、今週の日曜って空いてる?」
男「えと……多分大丈夫」
女「それじゃ映画見に行こっ! ちょうど見たい映画が今週から始まるんだ」
男「もしかして例の恋愛映画か?」
女「当たりっ。ということで日曜は映画館デートだねっ」
男(そうか。二人で出かけるんだからデートってことか)
男(……そう思うと変に緊張してきたな)
女「えへへー。楽しみにしてるね!」
男「ああ。俺も楽しみだ」
~~~~~~
男(集合時間まで後10分……か)
男(駅前に10時集合とはいえまさか、9時半に着いてしまうとはちょっとやりすぎてしまったか)
男(待たせるのは良くないとは思って早めに出たが……。少し見積もりを誤ったか)
男(……それほど楽しみにしているって事にしておくか)
男(念のためもう一回時計を確認しようとすると、見慣れた姿を見つける)
男(あれはクラスの……。へぇ……あいつら付き合ってたのか)
男(たしかにクラスで一緒の所はよく見てはいたが……)
男(駅の中に消えてく彼らを見ていると、その反対方向から人混みの中でも一際目立つ存在がこちらに向かってきている)
男(集合時間まで後10分……か)
男(駅前に10時集合とはいえまさか、9時半に着いてしまうとはちょっとやりすぎてしまったか)
男(待たせるのは良くないとは思って早めに出たが……。少し見積もりを誤ったか)
男(……それほど楽しみにしているって事にしておくか)
男(念のためもう一回時計を確認しようとすると、見慣れた姿を見つける)
男(あれはクラスの……。へぇ……あいつら付き合ってたのか)
男(たしかにクラスで一緒の所はよく見てはいたが……)
男(駅の中に消えてく彼らを見ていると、その反対方向から人混みの中でも一際目立つ存在がこちらに向かってきている)
女「はぁ……はぁ……ごめん、また待たせちゃったね」
男「いや、全然待ってないから大丈夫」
男(恥ずかしいので30分前にいたとは口が裂けても言えない)
男「それよりまだ集合時間前だぞ? そんなに急ぐ必要なかったじゃないのか」
女「あ、いや、その……」
女「待っている男君の姿見えたら、早く会いたいなーって思っちゃって……」セキメン
男「」
女「じゃ、じゃあ早く映画館に行こうっ」
男「そ、そうだな! せっかく早く来たことだしな」
男(そういえば、女いつもより綺麗だな……)
女「……」
男(化粧もナチュラルにしていて、服装も見慣れている制服じゃないせいか新鮮に見えて、それでまた緊張してしまう)
男(俺と会うためにここまでしてくれてるって思うとなんだか嬉しいもんだな……)
男(……そういう所は俺の方から褒めるべきだよな)
男「女、今日はいつもより、そのっ……か、かわいいな」
女「――!」
女「今日は男君と会うためにいつも以上に気合い入れてきたんだ」
女「そう言ってくれると、うれしいな……」
女「男君もいつもより髪とかキマってて、かっこいいよ」
男「ア、アリガトウ……」
男「えーと、高校生二人で……」
2600エンニナリマース
男「これでお願いします」
400エンにオツリデース
男「はい、これチケット」
女「あっ、ありがとう。でも本当にいいの? チケット代払ってもらって」
男「気にしないでくれ。こういうのが男が払ってなんぼだから」
女「でも……」
男「じゃあ、代わりにポップコーンでも買うか?」
女「んーー……。そうしようかなっ」
女「味は私が買うんだからキャラメルね! サイズは二人で食べるから――」
『ジョニー! 行かないで! 無理にでも行くのなら、私も共に行くわ!』
『すまないエリザベス……。これは俺個人の問題なんだ……。本当に、済まないっ……!』
『待って、ジョニィー……!』
男「……」
男(ベタだなぁ……。でも王道だからこその良さってのがあるよな)
男(女は――)
女「……」
男(……え?)
女「わ、わっ……。い、いきなり見られるとびっくりしちゃうよ」コソコソ
男「あ、すまん……」コソコソ
女「……私、ちょっとトイレ行ってくるね」
男「あ……」
男(その時の女の表情は、いつものような快活な印象とはかけ離れていて)
男(むしろ冷めきった様な……そんな風に感じた)
女「~~~! おいしい~」
男「気に入ってもらえたようで何より」
女「まさか男君がこんなお店知ってたなんて、ちょっと惚れ直しちゃったかも」
男「ま、まぁな……」
男(昼前から映画を見る予定だったから必然的に昼食を食べる事になってくるし、そうすると駅前まで来ているとなると外食になるのは自然の流れだ)
男(しかし、今までファミレスやラーメン屋とかしか行ったことないし、彼女をそんな所に連れていくわけに行かないしな)
男(事前に調べておいてよかった。ここなら女性向けのカロリー控えめなメニューもあるし、喜んでくれるだろうと思っていた)
女「ごちそうさまっ。あー、お腹いっぱいだよーっ」
男「えと……この後はどうしようか」
女「うーん、せっかく駅前まで来てるんだし……カラオケなんてどうかな?」
男「お、いいな。女はいつもどんなの歌うんだ?」
女「えーっと、最近は――」
男(この後のデートの予定を話す彼女はいつも通りの明るくて、二人きりになると少しワガママになる……いつもの女だ)
男(……きっと、さっきのは俺の見間違いだったんだろう)
男(せっかく彼女とデートに来ているんだ。思いっきり楽しまないとな)
女「ん~っ! 楽しかったーっ!」
男「歌、上手かったな。以外とかっこいい系の曲とかも歌っててビックリしたけど」
女「実はああいうのはあんまり歌わないんだけど、男君の前なのでちょっとカッコつけてみましたっ」
男「なんだよそれっ。別にカッコつける必要はないだろ」ハハハ
女「テンション上がっちゃって、つい……えへへ」
女「……今日は、ありがとね。時間を忘れちゃうほど楽しかった」
男「俺も。こんなに楽しい時間を過ごせたのは久々かな」
女「えへへ……ありがとう」
女「それじゃあ、また明日」
男「ああ。また学校で」
女「……ばいばい」
男(そう言うと、女は俺の家とは逆方向へ向かって歩き始めた)
男(さてと……俺も家に帰るとしますか)
男(久々にはしゃぎ過ぎたかな。今日は湯船にでも浸かるかー……)
~~~~~~
男「……ごちそうさん」
黒髪「お粗末さんでした」
男「ふぅ……。今日の麻婆豆腐、いつもより辛かったような気がするなー」チラッ
黒髪「あらそう……? 気の所為だと思うのだけれど」
男「おい待て、その手に握っている赤い物体はなんだ」
黒髪「……あなた、幻覚が見えてるんじゃない?」
男「おい」
男「……ごちそうさん」
黒髪「お粗末さんでした」
男「ふぅ……。今日の麻婆豆腐、いつもより辛かったような気がするなー」チラッ
黒髪「あらそう……? 気の所為だと思うのだけれど」
男「おい待て、その手に握っている赤い物体はなんだ」
黒髪「……あなた、幻覚が見えてるんじゃない?」
男「おい」
黒髪「……冗談よ。色々とあって、味を変えてみようと思ったの」
男「その味を変えるに至った理由を詳しく聞きたい」
黒髪「……男、あなたがいつまで経っても話してくれないのが悪いのよ」
男「いや、何の事だ?」
男(女との件はこの後に言うつもりではいたが……)
黒髪「言うこと、あるんじゃないの?」
男(黒髪のその眼差しは、俺の目を捉えて離させてくれようとせずに、俺を覗き込むように見ていた)
男(……こりゃあ、もうバレてるんだな)
男「ああ。……俺、彼女できた」
黒髪「……やっぱり、ね」
男「……悪い」
黒髪「何で私に謝る必要があるのかしら。男にやっと彼女ができたっていうのに」
男「それはお前は――――」
男(その時、気づいた)
黒髪「――」
男(黒髪はもう覚悟を決めてきたんだ。それなら、俺は野暮にそれを穿る真似はするべきではないと)
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