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元スレ男「余命1年?」女「……」
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女「男さん……」
男「ん? 何かな?」
女「あの起こし方は……ちょっと有り得ないです」
男「人に寄りかかって寝る方が悪い」
男(空港に到着して、俺からも少し呼びかけたけど……いつまで経っても女さんは起きなかったものだから)
男(彼女の頬を引っ張って、無理やり起こしてやった)
男「ん? 何かな?」
女「あの起こし方は……ちょっと有り得ないです」
男「人に寄りかかって寝る方が悪い」
男(空港に到着して、俺からも少し呼びかけたけど……いつまで経っても女さんは起きなかったものだから)
男(彼女の頬を引っ張って、無理やり起こしてやった)
女「……ちょっと酷くないですか? 普通に起こせないんですか?」ムッスー
男(そしたら、この通り不機嫌になってしまったけど)
男「悪かったって、機嫌直してよ……ほら、見てみな」
女「えー……あ」
男(やっぱり、凄いよな)
男(言葉を失う時って、多分……こういうのを見た時なんだろう)
男(そしたら、この通り不機嫌になってしまったけど)
男「悪かったって、機嫌直してよ……ほら、見てみな」
女「えー……あ」
男(やっぱり、凄いよな)
男(言葉を失う時って、多分……こういうのを見た時なんだろう)
女「これが……海」
男「俺も、こんなに綺麗な海は初めて見た」
男(もうゴールデンウィークもとっくに過ぎたってのに、たくさんの人が泳いでる)
男(それだけ、人気のある観光地ってことか)
男「俺も、こんなに綺麗な海は初めて見た」
男(もうゴールデンウィークもとっくに過ぎたってのに、たくさんの人が泳いでる)
男(それだけ、人気のある観光地ってことか)
女「……いいなあ」
男「泳ぎたい?」
女「頷いたら、泳がせてくれるんですか?」
男「……無理、だね」
男(女さんにとっては、こんな光景も……蛇の生殺しでしかないんだよな)
男「ごめんね……全然、そこまで考えて……」
男「泳ぎたい?」
女「頷いたら、泳がせてくれるんですか?」
男「……無理、だね」
男(女さんにとっては、こんな光景も……蛇の生殺しでしかないんだよな)
男「ごめんね……全然、そこまで考えて……」
女「……ホテル」
男「え?」
女「どこにあるんですか、ホテル。早く荷物下ろしたいです」
男「あ……ああ、そうだね。この近くにあるんだ。海がとても綺麗に見渡せる場所だよ」
女「そうなんですか!? 楽しみです……えへへ」
男(良かった……元気が戻ったみたいだ)
男「え?」
女「どこにあるんですか、ホテル。早く荷物下ろしたいです」
男「あ……ああ、そうだね。この近くにあるんだ。海がとても綺麗に見渡せる場所だよ」
女「そうなんですか!? 楽しみです……えへへ」
男(良かった……元気が戻ったみたいだ)
女「すごーい!」
男「うわー……絶景だね」
男(窓から入る風が気持ちいい)
男「写真とは、全然違うな」
男(流石に、高いだけある)
男(俺がいつも泊まるような相場と、3倍は違うからね……)
女「ホント凄い……今日は、男さんにビックリさせられっぱなしですね」
男「うわー……絶景だね」
男(窓から入る風が気持ちいい)
男「写真とは、全然違うな」
男(流石に、高いだけある)
男(俺がいつも泊まるような相場と、3倍は違うからね……)
女「ホント凄い……今日は、男さんにビックリさせられっぱなしですね」
男「さっきから凄い凄いって……いつもの表現力はどこに置いてきたんだよ?」
女「えー、だって違くないですか? 文章力があれば話すこともできるだなんて、編集者らしからぬ単純思考ですよ?」
男「そういうもんなのか……」
女「もー、しっかりしてくださいよ、男さん」
男(風が……女さんの髪がたなびいて……まるで映画のワンシーンみたいな)
男(いや……そんなのよりも、ずっと美しい)
女「えー、だって違くないですか? 文章力があれば話すこともできるだなんて、編集者らしからぬ単純思考ですよ?」
男「そういうもんなのか……」
女「もー、しっかりしてくださいよ、男さん」
男(風が……女さんの髪がたなびいて……まるで映画のワンシーンみたいな)
男(いや……そんなのよりも、ずっと美しい)
女「……男さん? どうしたんですか、ボーッとして」
男「えっ……いや、何でもないよ、うん」
男(だから、あざといんだって……)
男(手すりに上半身を預けて、顔傾げてこっち見つめてくるなんて)
男(俺じゃなかったら、今絶対ヤバかったぞ)
男「えっ……いや、何でもないよ、うん」
男(だから、あざといんだって……)
男(手すりに上半身を預けて、顔傾げてこっち見つめてくるなんて)
男(俺じゃなかったら、今絶対ヤバかったぞ)
女「変な人ですねー。まあ……予約した部屋を見た時から、おかしいって思ってましたけど」
男「え……何かおかしいかな?」
女「普通……こういう時って、2部屋取りません?」
男「あ…………ああっ!」
男(やっちまった……!)
男(旅行なんて、大学の友人と行って以来だから……そこまで頭が回らなかった!)
男「え……何かおかしいかな?」
女「普通……こういう時って、2部屋取りません?」
男「あ…………ああっ!」
男(やっちまった……!)
男(旅行なんて、大学の友人と行って以来だから……そこまで頭が回らなかった!)
男「ごっ……ゴメン! でっ……でも、ほら、ベッド2つだし!」
女「そういう問題ですか?」
男「い、今からでも変えられるかなあ!? きっと、頼み込めば変更してもらえるんじゃ……」
女「男さん」
男「ひっ、ひゃいっ!」
男(やべ! 変な声でた!)
女「そういう問題ですか?」
男「い、今からでも変えられるかなあ!? きっと、頼み込めば変更してもらえるんじゃ……」
女「男さん」
男「ひっ、ひゃいっ!」
男(やべ! 変な声でた!)
女「……構いませんよ、私」
男「……え?」
女「どうせこんな大きいホテルだと、当日変更は難しいでしょうし……それに」
男(そ、そんな見つめんなよ……今、恥ずかしさで顔真っ赤になってんだからさ……)
女「……きっと、男さんは何もしないじゃないですか」
男「……え?」
女「どうせこんな大きいホテルだと、当日変更は難しいでしょうし……それに」
男(そ、そんな見つめんなよ……今、恥ずかしさで顔真っ赤になってんだからさ……)
女「……きっと、男さんは何もしないじゃないですか」
男「え……と……」
男「否定は……できない」
女「フフ……だと思いました」
男(……なんで、そんな顔すんだよ)
男(そんな寂しそうな顔……君には似合わないよ)
男「否定は……できない」
女「フフ……だと思いました」
男(……なんで、そんな顔すんだよ)
男(そんな寂しそうな顔……君には似合わないよ)
男「……あの、さ」
女「はい?」
男「……海、見に行こうよ。泳がなくたって、きっと楽しいよ。……ほら、海だけじゃなくて、この近くにも色々店とかあるし!」
女「……そう……ですね。はい……行きたいです!」
男(良かった……いつもの笑顔だ)
女「はい?」
男「……海、見に行こうよ。泳がなくたって、きっと楽しいよ。……ほら、海だけじゃなくて、この近くにも色々店とかあるし!」
女「……そう……ですね。はい……行きたいです!」
男(良かった……いつもの笑顔だ)
女「……男さん」
男「ん? どうしたの?」
女「……私……男さんの、そういう……ところが……」
男(女さん……顔が)
男(耳まで、真っ赤に染まってる)
男「女……さん?」
女「っ……なんでも、ないです。ほらっ、早く行きましょう! 私、お腹空いちゃいました」
男「う、うん……それじゃ、行こうか」
男(何だったんだろう……まあ、気にしなくていいか)
男「ん? どうしたの?」
女「……私……男さんの、そういう……ところが……」
男(女さん……顔が)
男(耳まで、真っ赤に染まってる)
男「女……さん?」
女「っ……なんでも、ないです。ほらっ、早く行きましょう! 私、お腹空いちゃいました」
男「う、うん……それじゃ、行こうか」
男(何だったんだろう……まあ、気にしなくていいか)
女「男さん! このタコライス、すっごく美味しいです!」
男「うん、俺も驚いた」
女「なんでも地元の方々に、キンタコの愛称で親しまれている店らしいです!」
男「へえー、キンタコねえ」
女「お持ち帰りもできるらしいです! 男さん、お願いしますね!」
男「え、まって。まだ食べるの?」
女「だって美味しいんですもん。食べなくちゃ勿体ないです!」
男「そうかー勿体ないか―、それなら仕方ないね」
男「うん、俺も驚いた」
女「なんでも地元の方々に、キンタコの愛称で親しまれている店らしいです!」
男「へえー、キンタコねえ」
女「お持ち帰りもできるらしいです! 男さん、お願いしますね!」
男「え、まって。まだ食べるの?」
女「だって美味しいんですもん。食べなくちゃ勿体ないです!」
男「そうかー勿体ないか―、それなら仕方ないね」
女「男さんっ、ここのステーキ、美味しいらしいです!」
男「まってまって、さっき食べたばっかじゃん。それに、このパックのタコライス……」
女「是非入りましょう! 是非!」
男(そんなに目を輝かされたら……)
男「……仕方ないなあ」
男(断れないじゃん……)
男「まってまって、さっき食べたばっかじゃん。それに、このパックのタコライス……」
女「是非入りましょう! 是非!」
男(そんなに目を輝かされたら……)
男「……仕方ないなあ」
男(断れないじゃん……)
女「ふー、美味しかったですねえ」
男「……うん、そうだね」
男(もう……大分苦しいんだけど)
女「あっ! ここ、この間テレビで特集されてた天ぷら屋さんですよ!」
男「え……へ、へえー、そうなんだ……」
男(まさか……いや、まさかな)
男「……うん、そうだね」
男(もう……大分苦しいんだけど)
女「あっ! ここ、この間テレビで特集されてた天ぷら屋さんですよ!」
男「え……へ、へえー、そうなんだ……」
男(まさか……いや、まさかな)
女「流石に……入れないですね」
男「はは、そうだよねー。流石にお腹いっぱ……」
女「こんなに食べてばかりだと、男さんのお財布が心配です」
男「よっしゃ上等だあ! 食えるもんなら食ってみろよ!」
女「え! いいんですか! それなら、喜んで!」
男「はは、そうだよねー。流石にお腹いっぱ……」
女「こんなに食べてばかりだと、男さんのお財布が心配です」
男「よっしゃ上等だあ! 食えるもんなら食ってみろよ!」
女「え! いいんですか! それなら、喜んで!」
男「うっぷ、もう……食えね……」
女「男さん男さん、持ち帰りのタコライス食べましょう!」
男(マジで、ブラックホールみたいな食べっぷりだな……)
女「ふー……綺麗ですね」
男「……うん。まさか、こんなに綺麗な海を見ながらご飯を食べられるなんて。夢みたいだよ」
男(今食べてるのは、女さんだけだけど)
女「男さん男さん、持ち帰りのタコライス食べましょう!」
男(マジで、ブラックホールみたいな食べっぷりだな……)
女「ふー……綺麗ですね」
男「……うん。まさか、こんなに綺麗な海を見ながらご飯を食べられるなんて。夢みたいだよ」
男(今食べてるのは、女さんだけだけど)
女「……もう皆さん、いなくなっちゃいましたね」
男「あー、だってもう7時だし。まだちょっと明るいけど、みんなご飯食べに行ってるんじゃないかな?」
女「そう……ですよね。なら……」
男「女……さん?」
男「な……なにしてるの?」
女「何って……決まってるじゃないですか」
男「あー、だってもう7時だし。まだちょっと明るいけど、みんなご飯食べに行ってるんじゃないかな?」
女「そう……ですよね。なら……」
男「女……さん?」
男「な……なにしてるの?」
女「何って……決まってるじゃないですか」
男「ちょ……! こんな所で脱ぐなよ!」
女「え、だって、誰もいませんよ」
男「俺俺! 俺がいるから!」
女「大丈夫ですよ、だって……」
男(ああ! 最後の一枚が……)
女「え、だって、誰もいませんよ」
男「俺俺! 俺がいるから!」
女「大丈夫ですよ、だって……」
男(ああ! 最後の一枚が……)
男「……あれ? 女さん、それ……」
女「はい! この日のために選んだ、とっておきの水着です!」
男「水着って……」
女「どうです? 似合ってますか、男さん」
男「あっ……急に走っちゃ身体に悪いって!」
女「大丈夫ですようー! だって、薬飲んでますから!」
男「いや、でも……」
女「はい! この日のために選んだ、とっておきの水着です!」
男「水着って……」
女「どうです? 似合ってますか、男さん」
男「あっ……急に走っちゃ身体に悪いって!」
女「大丈夫ですようー! だって、薬飲んでますから!」
男「いや、でも……」
女「本当に大丈夫ですよ、だって……」
男「ちょ……女さん! それ以上は……」
女「キャッ……男さん、服……濡れちゃいますよ?」
男「もう……濡れちゃったよ」
男(靴の中に、海水が入り込んで……膝下までビッチョビチョだ)
女「だって男さん、水着じゃないのに……」
男「ちょ……女さん! それ以上は……」
女「キャッ……男さん、服……濡れちゃいますよ?」
男「もう……濡れちゃったよ」
男(靴の中に、海水が入り込んで……膝下までビッチョビチョだ)
女「だって男さん、水着じゃないのに……」
男「流石に、泳ぐのはマズいって。俺だって、ちゃんと調べたんだから」
女「……どうやって?」
男「それは……インターネットとか」
女「……フフ。男さんらしいですね」
女「でも、大丈夫です。自分の身体の事は、自分がよくわかってますから」
男「いや……だって」
女「……どうやって?」
男「それは……インターネットとか」
女「……フフ。男さんらしいですね」
女「でも、大丈夫です。自分の身体の事は、自分がよくわかってますから」
男「いや……だって」
女「泳げますよ」
男「……女……さん?」
女「……泳げますよ? ちゃんと……健康な人と、同じように」
男(女さん、腕が……微かに、震えてる)
男「……女さん」
女「……はい」
男「……帰ろう、ホテルに」
男「……女……さん?」
女「……泳げますよ? ちゃんと……健康な人と、同じように」
男(女さん、腕が……微かに、震えてる)
男「……女さん」
女「……はい」
男「……帰ろう、ホテルに」
女「フンフーン♪」
男(シャワーの……水の音が……)
男(別に、やましい事してるわけでもないのに……)
女『男さんが先に入ってください! 服が濡れて、ビショビショなんですから。風邪引いちゃいますよ?』
男(そう言われて、先にシャワー浴びたけど)
男(なんか……待機してるみたいで)
男「……アホかっ、何もねえよ」
男(シャワーの……水の音が……)
男(別に、やましい事してるわけでもないのに……)
女『男さんが先に入ってください! 服が濡れて、ビショビショなんですから。風邪引いちゃいますよ?』
男(そう言われて、先にシャワー浴びたけど)
男(なんか……待機してるみたいで)
男「……アホかっ、何もねえよ」
男(だって、この旅行は……ただの取材なんだから、さ)
女「ふー、気持ちよかったー」
男「そう? ただのシャワーじゃん」
女「シャワーのお湯も、何だか高級感に溢れてますよね!」
男「そ、そう?」
男(意味が分からん。お湯が高級ってどーいう事なんだよ)
女「ふー、気持ちよかったー」
男「そう? ただのシャワーじゃん」
女「シャワーのお湯も、何だか高級感に溢れてますよね!」
男「そ、そう?」
男(意味が分からん。お湯が高級ってどーいう事なんだよ)
女「……なんか、男さん。浴衣カッコいいですね」
男「えっ……そ、そうかな」
男(そんなこと言ったら、女さんの方がよっぽど……)
男(風呂上がりのシャンプーの匂いとか、濡れた黒髪とか)
男(浴衣のせいで……強調された、身体のラインとか)
女「……なんですか、そんなにジロジロ見て」
男「え!? いや……その……ごめん、そんなつもりじゃ」
男「えっ……そ、そうかな」
男(そんなこと言ったら、女さんの方がよっぽど……)
男(風呂上がりのシャンプーの匂いとか、濡れた黒髪とか)
男(浴衣のせいで……強調された、身体のラインとか)
女「……なんですか、そんなにジロジロ見て」
男「え!? いや……その……ごめん、そんなつもりじゃ」
女「……もう。やっぱり、男さんは男さんですね」
男「……何言ってんの?」
男(女さん、背中向けて……ドライヤーかな?)
男(……冷蔵庫?)
女「これ、さっき買ってきたんですよ」
男「それ……ワインじゃん」
女「男さんがシャワー浴びてる間に、下のコンビニで買ってきちゃいました」
男「……何言ってんの?」
男(女さん、背中向けて……ドライヤーかな?)
男(……冷蔵庫?)
女「これ、さっき買ってきたんですよ」
男「それ……ワインじゃん」
女「男さんがシャワー浴びてる間に、下のコンビニで買ってきちゃいました」
男(そんな……舌なんか出して)
男「もう20歳なんでしょ? 悪いことじゃないよ」
女「そうはいっても、中々慣れなくて。一人じゃ買ったことも無かったんですよ」
男「お酒は強いの?」
女「んー、そうでもないのかな。大学の友達と飲みに行ったときは、そんなに酔わなかったです」
男「へー、あんまり飲まないんだ?」
女「あ、いえ。ジョッキ三杯と、ワイン二杯くらい、友達と。あ、あと温かいのも、おちょこで飲んだかも」
男(メッチャ飲んでるやん……)
男「もう20歳なんでしょ? 悪いことじゃないよ」
女「そうはいっても、中々慣れなくて。一人じゃ買ったことも無かったんですよ」
男「お酒は強いの?」
女「んー、そうでもないのかな。大学の友達と飲みに行ったときは、そんなに酔わなかったです」
男「へー、あんまり飲まないんだ?」
女「あ、いえ。ジョッキ三杯と、ワイン二杯くらい、友達と。あ、あと温かいのも、おちょこで飲んだかも」
男(メッチャ飲んでるやん……)
男「ふ、ふーん……とりあえず、開けようか」
男(あれ……)
男「女さん……これ、いくら?」
男(これ……コンビニに置いてるなんて。やっぱり高級ホテルは違うな)
女「……秘密です」
男「お金渡すよ。流石に悪いから」
女「いえいえ、いいんですよ。飛行機代も、ホテル代も、食事だって、お世話になりっぱなしですから」
男「それはそれでしょ。学生と社会人なんだからさ」
女「元、ですけどね。もう、律儀だなあー」
男(あれ……)
男「女さん……これ、いくら?」
男(これ……コンビニに置いてるなんて。やっぱり高級ホテルは違うな)
女「……秘密です」
男「お金渡すよ。流石に悪いから」
女「いえいえ、いいんですよ。飛行機代も、ホテル代も、食事だって、お世話になりっぱなしですから」
男「それはそれでしょ。学生と社会人なんだからさ」
女「元、ですけどね。もう、律儀だなあー」
男(あれ、女さん……既に酔ってらっしゃる?)
男(そういえば、さっき若干それっぽい匂いがしたような)
女「もー、男さんは細かい事を気にし過ぎなんですよー」
男(なんか、身振りもいつもより大げさだし……)
男「女さん……いつの間に……」
女「男さんもジャンジャン飲んでください! 折角私が買ってきたんですから!」
男「ちょ……!」
男(近い近いデカい近い近い何かいい匂い!)
男「……もう、仕方ないな」
男(そういえば、さっき若干それっぽい匂いがしたような)
女「もー、男さんは細かい事を気にし過ぎなんですよー」
男(なんか、身振りもいつもより大げさだし……)
男「女さん……いつの間に……」
女「男さんもジャンジャン飲んでください! 折角私が買ってきたんですから!」
男「ちょ……!」
男(近い近いデカい近い近い何かいい匂い!)
男「……もう、仕方ないな」
男(あー、なんか、いい気分になってきた)
女「男さん」
男「……ん? なに?」
女「男さんはー……ホントはゲイなんですか?」
男「は!?」
男(いきなり何言い出すんだこの子は!)
男「そんなわけないだろ!」
女「だってー、私を見ても、全然そんな風に見てくれないし」
男「そんな風にって……君ね」
女「男さん、私より、編集長? と話してる時の方が楽しそうですよ」
男「そ、そんなわけっ……」
女「じゃあー……」
男(な……胸、当たってるって)
男「女さん……腕にっ……」
女「じゃあ、男さんはー」
男(ええい耳元で囁くなあっ!)
男「そんな風にって……君ね」
女「男さん、私より、編集長? と話してる時の方が楽しそうですよ」
男「そ、そんなわけっ……」
女「じゃあー……」
男(な……胸、当たってるって)
男「女さん……腕にっ……」
女「じゃあ、男さんはー」
男(ええい耳元で囁くなあっ!)
男「女……さん!」
女「男さんは……私と話してて、楽しいですか?」
男「そりゃ……あ、楽しい……よ」
女「どんな風に?」
男「どんなって……君みたいな可愛い子と話せたら、嬉しいよ、男としても」
女「だって……この間、男さん……年上がタイプって言ってたじゃないですか。あれはどーいうことなんですか?」
男「いや……だから、そんなの関係なく、君は可愛くて……魅力的だってことだよ」
女「男さんは……私と話してて、楽しいですか?」
男「そりゃ……あ、楽しい……よ」
女「どんな風に?」
男「どんなって……君みたいな可愛い子と話せたら、嬉しいよ、男としても」
女「だって……この間、男さん……年上がタイプって言ってたじゃないですか。あれはどーいうことなんですか?」
男「いや……だから、そんなの関係なく、君は可愛くて……魅力的だってことだよ」
男(何言ってんだ俺……こんな歯の浮くようなセリフ、素面じゃ絶対言わないだろうに……)
女「……本当、ですか?」
男「俺が嘘つくような男に見える?」
女「……半分くらい?」
男「凄い微妙だね、それ」
女「……フフッ、そっかあ」
男「ちょっ……女さん!?」
男(抱き着いてきたああああああ!)
女「……本当、ですか?」
男「俺が嘘つくような男に見える?」
女「……半分くらい?」
男「凄い微妙だね、それ」
女「……フフッ、そっかあ」
男「ちょっ……女さん!?」
男(抱き着いてきたああああああ!)
男(腕が……背中に……!)
男(胸に……顔を押し付けんなって!)
男「女さん! 流石に、これは……」
男「……?」
女「……スー……スー……」
男「……えぇ」
男(……マジかよ)
男(胸に……顔を押し付けんなって!)
男「女さん! 流石に、これは……」
男「……?」
女「……スー……スー……」
男「……えぇ」
男(……マジかよ)
男(女さん……軽かったな)
男(こんな小さな身体のどこに、あの量の食べ物が入るんだろう)
男(……あ、女さんのバッグ)
男(ホント、どうしてこんなに大きなバッグが必要なんだか)
男(ちょっと中身、見てみるか?)
男(……いやいやいや、いくら何でもそれはマズいだろ)
男(こんな小さな身体のどこに、あの量の食べ物が入るんだろう)
男(……あ、女さんのバッグ)
男(ホント、どうしてこんなに大きなバッグが必要なんだか)
男(ちょっと中身、見てみるか?)
男(……いやいやいや、いくら何でもそれはマズいだろ)
男(……)チラッ
女「……スー……スー」
男(……少しだけなら、いいよな)
男(……えーっと、着替えと……化粧品か? あとは……ん?)
男(なんだ、この紙袋……やたら大きいな)
男(中身は……え、これ)
男(……見間違いじゃない。これは……)
女「……スー……スー」
男(……少しだけなら、いいよな)
男(……えーっと、着替えと……化粧品か? あとは……ん?)
男(なんだ、この紙袋……やたら大きいな)
男(中身は……え、これ)
男(……見間違いじゃない。これは……)
女「……スー……スー」
女『お父さんは、私の事なんてどうだっていいんですよ。もうすぐ……いなくなるんですから』
男(……酔いなんて、吹き飛んだ)
男(どこかで……夢なんじゃないかって、思ってたんだ)
男(それか、女さんの悪い冗談なんだって)
男(だって、そう思ってしまうくらい、女さんは元気に見えたから)
男(もしくは、病院の診療ミスとか……ちょっと大げさに言ってるだけで、実はたいしたことありませんでした、とか)
男(心のどこかで期待してたんだ、俺)
男(何を今更……こんなに、動揺してんだよ)
女『お父さんは、私の事なんてどうだっていいんですよ。もうすぐ……いなくなるんですから』
男(……酔いなんて、吹き飛んだ)
男(どこかで……夢なんじゃないかって、思ってたんだ)
男(それか、女さんの悪い冗談なんだって)
男(だって、そう思ってしまうくらい、女さんは元気に見えたから)
男(もしくは、病院の診療ミスとか……ちょっと大げさに言ってるだけで、実はたいしたことありませんでした、とか)
男(心のどこかで期待してたんだ、俺)
男(何を今更……こんなに、動揺してんだよ)
男(あの後……結局一睡もできなかった)
男(……果てしなく眠い)
女「……どうしたんですか、男さん。眠れなかったんですか?」
男「ああ、ちょっとね。そういう女さんは、すごく元気だね。昨日はよく眠れたかい?」
女「はい! なんだか、すっごく安心して眠れたような感じです!」
女「正直、昨日はどうやってベッドに入ったのか、記憶に無いんですけど」
女「男さん、何か覚えてます?」
男(……果てしなく眠い)
女「……どうしたんですか、男さん。眠れなかったんですか?」
男「ああ、ちょっとね。そういう女さんは、すごく元気だね。昨日はよく眠れたかい?」
女「はい! なんだか、すっごく安心して眠れたような感じです!」
女「正直、昨日はどうやってベッドに入ったのか、記憶に無いんですけど」
女「男さん、何か覚えてます?」
男「いや……全く」
男(嘘だけど。ホントはメッチャ覚えてるけど)
男(お姫さまだっこで女さんをベッドに寝かせたってことは……言わないでおこう)
女「そっかー、仕方ないですね。仕方ない!今日はとことん遊びましょう!」
男「いや、後はもう帰るだけだよ」
女「ええ! どうしてですか!?」
男「だって、あんまり遅くなると、ほら……お父さんが心配するでしょ?」
男(嘘だけど。ホントはメッチャ覚えてるけど)
男(お姫さまだっこで女さんをベッドに寝かせたってことは……言わないでおこう)
女「そっかー、仕方ないですね。仕方ない!今日はとことん遊びましょう!」
男「いや、後はもう帰るだけだよ」
女「ええ! どうしてですか!?」
男「だって、あんまり遅くなると、ほら……お父さんが心配するでしょ?」
女「……」
男(やっべ、失言だったか?)
男「……お土産、どっかで買って帰ろうか」
女「え、お土産ですか? ……いいですね! 何買っていこうかな!」
男(なんとか……誤魔化せたかな)
男(やっべ、失言だったか?)
男「……お土産、どっかで買って帰ろうか」
女「え、お土産ですか? ……いいですね! 何買っていこうかな!」
男(なんとか……誤魔化せたかな)
女「やっぱり、沖縄っていったらちんすこうですよねー!」
女「あっ、サーターアンダギーも捨てがたい!」
女「うーん、迷っちゃうなあ!」
男「あはは……好きなだけ買いなよ。お金は心配しないで」
女「えっ、いいんですか!? じゃあ……お言葉に甘えて!」
男「抱えすぎて落とすなよー」
男(もう……はしゃいでるなあ)
女「あっ、サーターアンダギーも捨てがたい!」
女「うーん、迷っちゃうなあ!」
男「あはは……好きなだけ買いなよ。お金は心配しないで」
女「えっ、いいんですか!? じゃあ……お言葉に甘えて!」
男「抱えすぎて落とすなよー」
男(もう……はしゃいでるなあ)
男(考えてみると、彼女にとっては今更薬なんて、大したことじゃないのだろう)
男(薬を一目見ただけで、こんなに動揺してしまうなんて……なんて情けないんだろう)
男(自分自身、こんなに弱いとは思わなかった)
男(それに比べて……女さんは、強いな)
男(不条理な運命を背負って、それでもなお、あんなに輝かしい笑顔を浮かべられるんだから)
男(薬を一目見ただけで、こんなに動揺してしまうなんて……なんて情けないんだろう)
男(自分自身、こんなに弱いとは思わなかった)
男(それに比べて……女さんは、強いな)
男(不条理な運命を背負って、それでもなお、あんなに輝かしい笑顔を浮かべられるんだから)
女「否定しないんですね? 言いましたね?」
女「じゃあ……もし私が作ったら、食べてくれますか?」
男「そりゃあ……まあ……作ってくれるなら、食べるけど」
女「やった! 嘘は駄目ですからね? 男に二言は?」
男「……無いよ。なんだその確認の取り方」
女「フッフッフ……期待してくれてもいいんですよ? 私、これでも料理は好きなんです!」
男(ここで得意って言わないあたり、妙に謙虚なんだよなあ。……酒さえ入ってなければ、ね)
女「じゃあ……もし私が作ったら、食べてくれますか?」
男「そりゃあ……まあ……作ってくれるなら、食べるけど」
女「やった! 嘘は駄目ですからね? 男に二言は?」
男「……無いよ。なんだその確認の取り方」
女「フッフッフ……期待してくれてもいいんですよ? 私、これでも料理は好きなんです!」
男(ここで得意って言わないあたり、妙に謙虚なんだよなあ。……酒さえ入ってなければ、ね)
女「……男さーん」
男「……うん……起きてるよ、まだ……」
男(ヤバい……滅茶苦茶眠い)
男(行きの飛行機ではあんなに眠れなかったのに……寝不足だからかな。帰りの飛行機は、全部寝て過ごしそうな勢いだ)
男(せっかく女さんが起きてるのに……俺だけ寝ちゃったら申し訳ないし)
女「男さん……目が半開きですけど。ホントに起きてます?」
男「ああ……起きて……る」
女「フフッ……可愛いなあ」
男「……うん……起きてるよ、まだ……」
男(ヤバい……滅茶苦茶眠い)
男(行きの飛行機ではあんなに眠れなかったのに……寝不足だからかな。帰りの飛行機は、全部寝て過ごしそうな勢いだ)
男(せっかく女さんが起きてるのに……俺だけ寝ちゃったら申し訳ないし)
女「男さん……目が半開きですけど。ホントに起きてます?」
男「ああ……起きて……る」
女「フフッ……可愛いなあ」
男「男は……可愛いって言われても……嬉しくないよ……」
女「……男さん……もし」
男「うん……なに?」
女「……もし、昨日のホテルでの出来事を……私が全部覚えてるって言ったら……どうします?」
男(……覚えて? ホテル……何か、あったっけ?)
男(ああ……眠い。ごめん、女さん。もう、起きてられなさそうだよ)
女「……あらら、寝ちゃった」
女「…………ばか」
女「……男さん……もし」
男「うん……なに?」
女「……もし、昨日のホテルでの出来事を……私が全部覚えてるって言ったら……どうします?」
男(……覚えて? ホテル……何か、あったっけ?)
男(ああ……眠い。ごめん、女さん。もう、起きてられなさそうだよ)
女「……あらら、寝ちゃった」
女「…………ばか」
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