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    元スレ勇者「ハーレム言うなよマジで」戦士「5だぞっ!」

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    101 : 以下、名無しにか - 2016/07/07(木) 11:11:42.54 ID:LarX8tsv0 (+1,+16,-2)
    おつ
    102 : 以下、名無しにか - 2016/07/08(金) 22:29:55.61 ID:ldaLUPlGO (+24,+29,-11)
    5年以上続いててこの安定的な面白さはすごいな
    俺もss書くけど、尊敬の一言
    103 : 以下、名無しにか - 2016/07/09(土) 15:38:34.53 ID:vNqHbHmK0 (-27,-15,-3)
    乙つ
    104 : 以下、名無しにか - 2016/07/09(土) 22:10:24.27 ID:VbF8H6FG0 (+24,+29,-16)
    乙です
    Part1と今を見比べるとと文章とか物語の構成のレベルがすごく上がってるってわかって面白い
    105 : ◆3VOBH3 - 2016/07/11(月) 00:13:03.71 ID:DQu2DY2J0 (+30,+30,+0)

    ――――――――――――――


    イシス勇者「ソクラス様……ですか?はい、確かにイシスに住いを持っておられますが」

    ホビット「……ムオル勇者から聞いたんだけれど、国連は彼を頼る事にしたらしいね?」

    イシス勇者「ええ。この間の国連首脳会議で決まりました」

    ホビット「……」

    イシス勇者「……あの、ソクラス様が何か?」

    ホビット「……ソクラスがイシスに居る間、彼は何か目立つ行動をしたかい?」

    イシス勇者「え?いえ……ソクラス様はずっと隠居なされていました」

    イシス勇者「もとより、ソクラス様が勇者を引退されてイシスに隠居されたのは大病を患っての事でしたし、ほぼお会いする事もありませんでした」

    イシス勇者「今回の協力を仰いだのも魔王バラモスの情報を得る為、そして国連の士気を高める為に知識と名前を拝借するという事なので――……」

    ホビット「ふふっ……」

    イシス勇者「?」

    ホビット「あのソクラスが、大病……ね」

    ホビット「でもそうか。ソクラスが君やイシス女王ちゃんに何かをしたという事もないのだね」

    イシス勇者「え?そ、それは勿論」

    ホビット「……なら、いいんだ」

    イシス勇者「ちょっと……待ってください、ホビット様」

    イシス勇者「その言葉から察するにソクラス様が僕や姉に何かする可能性があったのですか?」

    ホビット「いや、そういうワケではないさ。ただ少し不安だったんだ……それだけだよ」

    ホビット「ただ、隠居をやめて国連に身を戻した彼には気をつけなさい」

    イシス勇者「な、なぜなのですか……?もしや、あの方も魔族か何か――……」

    ホビット「ううん。彼は正真正銘の人間だ……ただ」

    ホビット「“危険”なんだ。まだ魔物の方がやりやすいかもしれない」

    イシス勇者「……どういう……?」

    ホビット「……彼は、欲しいものを見つけたら、それに向かって感情に率直に動く」

    ホビット「そして、躊躇なく壊す。人間も、魔物も」

    イシス勇者「……」

    ホビット「……とにかく、気を付けておくれ」

    ホビット「君も、イシス女王ちゃんも」
    106 : ◆3VOBH3 - 2016/07/11(月) 00:13:30.81 ID:DQu2DY2J0 (+95,+30,+0)


    ……


    ――ホビットの祠・外・風呂――


    ザパ…



    勇者・ポルトガ勇者「「ふは――――っ」」ザパァン


    勇者「あー…………しあわせ」

    ポルトガ勇者「なんだこれ……天国かオイ……」

    勇者「僕も最初使わせてもらった時……昇天しそうになったよ……」

    ポルトガ勇者「風呂桶も広いし、外に置いてるのに綺麗だな」

    勇者「あっ、そっち火を焚いてる水甕と近いから気を――」ザパ

    フラッ

    勇者「はれっ……」

    ガシッ

    ポルトガ勇者「っとと……オイいきなり立ちあがんなよ。ろくに立てもしねえんだから」

    勇者「ごめん……」

    ポルトガ勇者「……」

    勇者「ん……?どしたの」

    ポルトガ勇者「いや」

    ポルトガ勇者「お前それ立てたら一人で立てるんじゃねえの」

    勇者「え?それ?って何が」

    ポルトガ勇者「……なんでもない」

    勇者「?」


    ザパ…


    勇者「ふぅ……」

    ポルトガ勇者「……しっかしよお」

    ポルトガ勇者「お前、生傷多過ぎだろ。フラフラしてやがるし」

    ポルトガ勇者「特訓ってなにやってるんだよ。無茶なことしてんじゃねえのか?」

    勇者「いや……そんな事は」

    ポルトガ勇者「無茶してんだろ」

    勇者「……」

    ポルトガ勇者「……」

    勇者「……ちょっとでも、無茶しないと……強くなれない体だから」

    勇者「無茶で強くなるなら、僕は死ぬギリギリまで無茶してみたいんだよ」
    107 : ◆3VOBH3 - 2016/07/11(月) 00:13:58.57 ID:DQu2DY2J0 (+93,+30,+0)
    ポルトガ勇者「バカヤロウお前」

    ぴし

    勇者「あいた」

    ポルトガ勇者「お前はそれでいいかもしんねえが、お前のツレの女達の事も少しは考えてやれや」

    勇者「っ」

    ポルトガ勇者「……あの後も何回か会ったが、驚くほどに覇気が無くなってやがったぞ」

    ポルトガ勇者「体は大切にしてろよ、ホント」

    勇者「……ん」

    ポルトガ勇者「お前が魔物でもなんでも、死んだら悲しむ奴は居るんだぜ」

    ポルトガ勇者「無茶は美学でもなんでもねえぞ」

    勇者「……」

    ポルトガ勇者「ま、言ってもするんだろうけどな」

    勇者「…………やりすぎないようには、するから」

    ポルトガ勇者「……ああ」

    ザパ

    ポルトガ勇者「ところでお前」

    勇者「ん?」


    ポルトガ勇者「あの女達の中で、どいつがお前の女なんだ?」


    勇者「えっ」

    ポルトガ勇者「まさかとは思うが全員とかじゃねえだろうなお前」

    勇者「えっ、えぇっ!?いやいや、違うって」

    勇者「女って……みんなただの幼馴染だよ」

    ポルトガ勇者「え?マジで?」

    勇者「マジもオオマジ。そんな関係じゃないって」

    ポルトガ勇者「えーそうなのか……いや、やけに仲良さそうだったしお前の事気にかけてる奴多かったからつい」

    ポルトガ勇者「それにお前に初めて会って嘘ふっかけた時お前もやたらキレてたからさ」

    勇者「いやいや。みんな昔から一緒だからさ。勿論皆大切だけど、あいつらは僕の事なんて出来の悪い弟くらいにしか思って無いよ」

    勇者「年下の……女勇者にも……遊び人にも……多分……そう、思われてる……弟って……」

    ポルトガ勇者「自分で言ってて落ち込んでんじゃねえよ」

    勇者「そ、そーいうポルトガ勇者はどうなのさ!」

    勇者「好きな人とか彼女とかいちゃうんじゃないの――!?」

    ポルトガ勇者「居るけど」

    勇者「アッ、すいません」

    ポルトガ勇者「結婚の約束もしてるけど」

    勇者「調子乗ってすみませんでした」
    108 : ◆3VOBH3 - 2016/07/11(月) 00:15:00.46 ID:DQu2DY2J0 (+95,+30,-227)
    ――――――――――――――



    ぷにぷに

    イシス魔法使い「イシス勇者様……どうしたのかしら」

    ぷにぷに

    イシス僧侶「まあまあ、気長に待とうよ。ホビット様と大事な話があるんでしょ」

    ぷにぷに

    イシス戦士「……」

    スタスタ

    スー勇者「みなさん!お茶淹れたです――……あら?」


    スラお「スーちゃん」


    イシス魔法使い「あらスー勇者様」プニプニ

    イシス僧侶「そんなおかまいなく」プニプニ

    イシス戦士「スラおかわいい……」プニプニ

    スラお「みんながつついてくるよ?」プニプニ

    スー勇者「スラさんは気持ちいいですので、仕方ないのです!」

    スラお「そうなの?」プニプニ


    ……

    カチャ

    イシス魔法使い「はー……おいしい」

    イシス僧侶「さっきまでの大陸徘徊が嘘のようですなあ」

    スー勇者「お疲れ様でした」

    イシス僧侶「正直さっきのさっきまで勇者くん探し出せるか自信なかったからね」

    イシス魔法使い「でも見つかってよかったわ」
    109 : ◆3VOBH3 - 2016/07/11(月) 00:15:28.73 ID:DQu2DY2J0 (+95,+30,-270)
    スラお「みんなはゆーしゃをさがしにきたの?」

    イシス戦士「んー?そうだぞー」プニプニ

    スラお「へんなのっ!」

    イシス魔法使い「あらあら、スラおくんあんまりね?」

    イシス僧侶「そういえばスラおくんってなんだか勇者くんのこと嫌ってたよね」

    イシス戦士「勇者の事、嫌いなのか?」

    スラお「きらいっ」

    イシス僧侶「えーどうしてさ。いい子だよ?」

    スラお「……」

    イシス僧侶「ん?お姉さんにどうしてか言ってごらん?」

    イシス僧侶「ようし!もし勇者くんが何か悪さをしたならお姉さんが叱ってあげ――……」

    スラお「ふたり、いるの」

    イシス僧侶「……――え?」



    スラお「あいつ、ふたりいる」


    スラお「おなかのなかで、ぼくをころそうとしてるやつがいる」


    スラお「ぼくだけじゃなくて……スーちゃんも、おじちゃんもムーくんも」


    スラお「みんなも、ころそうとずっと、ずっとみてる」


    スラお「あいつのなかを、ぐるぐるしてる、おおきいやつ」


    スラお「……だから、きらい」

    110 : ◆3VOBH3 - 2016/07/11(月) 00:16:47.95 ID:DQu2DY2J0 (+95,+30,-253)
    イシス戦士「……っ……」

    イシス僧侶「それ……って」

    イシス魔法使い「…………まさか」


    スー勇者「……スラさん、だめです」


    ギュッ

    スー勇者「…………ご主人様自身は、いいひとですよ」

    スー勇者「お日様の匂い、するです」

    スラお「スーちゃん……でも、ゆーしゃも、やっ」

    スラお「あいつ、ぼくのこときらいだもん」

    イシス魔法使い「え?そんな事はないんじゃない?」

    スラお「んーん。あいつ、ぼくのことこわがってるし、いやがってる」

    スー勇者「……」

    スラお「……なかよくなんか、なれないもん」

    イシス僧侶「……そんな、事」

    イシス戦士「……」


    スタスタ


    ポルトガ勇者「おいーっす。戻ったぜ」

    勇者「お風呂あきましたよー」


    ぴょんっ


    勇者「え?」

    ガブゥッ

    勇者「あいたたたたこのなにあの微妙な痛さいたたたたたスラおやめて」

    スラお「うるひゃいもんっ!ゆーしゃきらいっ!」グムム

    勇者「なにさいきなり!!?」


    <ギャーギャー!


    イシス魔法使い「……仲、良くない?」

    イシス僧侶「いいよね」

    イシス戦士「かわいい……」
    111 : ◆3VOBH3 - 2016/07/11(月) 00:19:29.76 ID:DQu2DY2J0 (+95,+30,+0)
    ……………
    ……






    ―ホビットの祠・大広間―


    ホビット「それじゃ、イシス勇者君とイシスのお嬢さん方の寝床はここでいいかい?」

    イシス勇者「はい。色々と申し訳ありません」

    テコテコ

    スー勇者「お布団、持ってきたです!」

    イシス魔法使い「ちょっとそこ空けてもらえるかしら、イシス勇者様」

    イシス勇者「ああ、ごめんよ。スー勇者ちゃんもありがとう」

    スー勇者「いいえー」ニコー

    イシス僧侶「スー勇者様ちゃんもお姉ちゃん達と一緒に寝るかーい?」

    スー勇者「あ、いえ、私は」

    勇者「あー、いいじゃない。今日は一緒に寝るといいんじゃないかな」

    スー勇者「ご主人様」

    勇者「お姉さん達もいるし、仲良く寝るといいよ。うん。いいと思う」

    イシス魔法使い「……勇者くん?」

    勇者「はい?」

    イシス魔法使い「気のせいかしら……なんだか焦ってない?」

    勇者「いいえっ?」

    イシス勇者「……勇者くん、僕の目を見てくれるかい」

    勇者「なんだいっ」

    イシス戦士「……スー勇者」

    スー勇者「はい?」

    イシス戦士「スー勇者はいつもどこで寝ているのだ」


    スー勇者「はい!ご主人様と一緒に寝てます!」


    勇者「違うんです!!!」
    112 : ◆3VOBH3 - 2016/07/11(月) 00:21:17.95 ID:DQu2DY2J0 (+95,+30,+0)
    イシス勇者「何が違うんだいこのっ!!!!」ギリギリギリ

    勇者「いたいたいたいたたたた!!!!ちがうのです!!!」

    スー勇者「違いませんです?」

    勇者「スーちゃんやめて!」

    ポルトガ勇者「お前、ちょっとスー勇者にべったりすぎやしねえか?」

    スー勇者「でもっ!ご主人様のせいじゃないです!」

    スー勇者「いろいろと、わけがあるので……その」

    ホビット「ははは、まあ皆おちついておくれ」

    イシス勇者「ホビット様」

    ホビット「二人に一緒の場で寝るよう言ったのはわしなんだよ。勇者をはなしてあげてくれるかい?」

    ポルトガ勇者「えぇっ!?なんでまたそんな事を」

    ホビット「色々あるのさ」

    勇者「……色々あるんです」

    イシス勇者「……やましい気持ちは無いんだね」

    勇者「無いです」

    イシス戦士「…………スー勇者、こいつになにかいやらしい事されなかったか」

    勇者「無いです!!」

    スー勇者「えっ……」

    勇者「無いで……えっ?」

    スー勇者「あっ、その……ちがうです、あれは」

    スー勇者「……その。事故です、から」

    勇者「えっ、ちょっと待って何それ初耳なんだけど」

    イシス勇者「成敗しなきゃだよね」ギリギリギリギリ

    勇者「スーちゃんちょっと僕が一体何したのスーちゃキエァァアアアアアアアアア」ギググググッ
    113 : ◆3VOBH3 - 2016/07/11(月) 00:21:45.90 ID:DQu2DY2J0 (+84,+29,-2)
    今日はおしまいです
    114 : 以下、名無しにか - 2016/07/11(月) 05:14:01.38 ID:bZ2ggC/I0 (+19,+29,-2)
    乙でございます(ニヨニヨ
    115 : 以下、名無しにか - 2016/07/12(火) 12:10:01.67 ID:kgZt4xfBO (+14,+29,-4)
    事故って怖い
    116 : 以下、名無しにか - 2016/07/12(火) 16:50:18.39 ID:1L7jbXLHO (+19,+29,-3)
    それが、立つ、ってなんだろう
    怖い
    117 : 以下、名無しにか - 2016/07/12(火) 20:20:40.25 ID:yC/XzsnDO (+24,+29,-9)
    え?立つと歩ける?え?(セルフメダパニ)
    118 : ◆3VOBH3 - 2016/07/13(水) 23:29:37.95 ID:Wjeo41nZ0 (+30,+30,+0)


    ……
    …………


    ホー ホー


    ――ホビットの祠・勇者の部屋――


    勇者「さて、もう灯り消していい?ポルトガ勇者」

    ポルトガ勇者「あー、ちょっと待ってくれ」カリカリ

    勇者「さっきから何を書いてるの?」

    ポルトガ勇者「日記だよ。ホレ」

    勇者「ん……おー、細かくつけてるんだね」

    ポルトガ勇者「ああ。できるだけその日あった事を細かくつけてる」

    ポルトガ勇者「で、この本一冊が埋まったらポルトガに帰るようにしてんだよ」

    ポルトガ勇者「……何があるかわかんねえ旅だからな」

    勇者「……」

    ポルトガ勇者「…………そろそろ乾いたかな」

    パタン

    ポルトガ勇者「っし。待たせたな。寝ようぜ」

    勇者「うん。じゃあ消すね」


    フッ


    勇者「おやすみ」


    ポルトガ勇者「おう」


    ホー ホー

    勇者「……」

    ポルトガ勇者「……」

    勇者「ポルトガ勇者」

    ポルトガ勇者「ん?」

    勇者「……もし、僕に異変があったらすぐスーちゃんの所に逃げて」

    ポルトガ勇者「えっ……お前」

    勇者「……」

    ポルトガ勇者「……――わかった」

    勇者「……ごめんね」

    勇者「まあ、スーちゃんは何かあったらすぐ起きて駆けつけてくれるから心配は無いと思う」

    ポルトガ勇者「ああ」

    勇者「……怖がらないの?」

    ポルトガ勇者「俺はお前自体は悪い奴じゃねえって知ってるからな」

    ポルトガ勇者「じゃなきゃこんな所までお前の様子を見に来ねえって」

    勇者「…………ん」

    勇者「ありがとう……おやすみ」

    ポルトガ勇者「……ああ」
    119 : ◆3VOBH3 - 2016/07/13(水) 23:30:35.27 ID:Wjeo41nZ0 (+95,+30,-278)


    チリリリリ… チリリリリ…



    勇者「……」

    ポルトガ勇者「……」

    ポルトガ勇者(……寝たかな?)チラッ

    勇者「……」

    ポルトガ勇者(寝たみてえだな)

    ポルトガ勇者「……」


    『俺にも息子が居るんだ』

    『お前の何歳か年下なんだがな、こいつがまた泣き虫で』


    ポルトガ勇者「……」


    『……旅をしたいってきかないんだ。俺が何を言っても』

    『なあ、ポルトガ勇者。もし、もし俺の息子が旅に出てお前と出会ったら』

    『できれば旅をするのをやめさせてくれないか』

    『あいつは、戦ってはいけないんだ。戦う為に生まれたんじゃない』

    ポルトガ勇者『……やめさせればいいのか?へんなのー』

    『ははは、確かにそう思うかもしれんがな』

    『――もし、お前とあいつが出会った時、あいつが腑抜けた顔していたら』

    ニカッ

    『遠慮はいらん。ぶん殴ってやってくれ』



    ポルトガ勇者「……」


    勇者「……」


    ポルトガ勇者「……」

    ポルトガ勇者(悪ぃ、オルテガさん……あの約束は守れそうにもねえや)

    ポルトガ勇者(多分あんたがあんな事言ったのはこいつの正体に気付いてたからなんだろうな)

    ポルトガ勇者(……どうやら、あんたの心配は形になっちまったみてえだ)

    ポルトガ勇者(……――ただ)

    ポルトガ勇者(ぶん殴るのは、必要ないぜ)

    ゴロン

    ポルトガ勇者(あ……やべ、瞼が)

    ポルトガ勇者(ずっと歩き通しだったから、疲れが、圧し掛かって)

    ポルトガ勇者(くる……)

    ポルトガ勇者「……」
    120 : ◆3VOBH3 - 2016/07/13(水) 23:31:08.25 ID:Wjeo41nZ0 (+95,+30,-162)
    …………
    ……




    ムクッ…


    勇者「……」


    ポルトガ勇者「かー……くかー……」zzz


    勇者「……」

    バサ…

    スタ… スタ…


    カチャカチャ


    スタ… スタ…



    ――ホビットの祠・外――


    スタスタ

    勇者「……」


    ムオル勇者「……来たか」


    勇者「はい」

    ムオル勇者「ポルトガ勇者は」

    勇者「眠っています。昨日疲れたのかぐっすり快眠していました」


    タッタッタ

    スー勇者「……おはよう、ございます」


    勇者「おはよう、スーちゃん」

    スー勇者「おはようございますっ、ご主人様」

    ムオル勇者「……行くぞ。日が昇るまではまだ時間がある」

    勇者「……はい」

    121 : ◆3VOBH3 - 2016/07/13(水) 23:31:39.96 ID:Wjeo41nZ0 (+95,+30,+0)


    ――――――――――――


    ホー ホー


    イシス勇者「……ん」

    ムク…

    イシス勇者「……」

    イシス勇者(……まだ薄暗い……肌寒いし、日の出は少し遠そうだ)

    ブルッ

    イシス勇者(寒い……皆大丈夫かな)チラッ

    イシス勇者(……あれ?)


    イシス魔法使い「すー……すー……」zzz

    イシス僧侶「んこー……くこー……」zzz

    イシス戦士「むにゃ……」zzz


    イシス勇者(あれれ、スー勇者ちゃんは?)キョロキョロ

    イシス勇者「……トイレ、かな」


    ―――――――――


    スタスタ…

    イシス勇者「……薄暗い」

    イシス勇者(でも灯りをいちいち用意する程でもないな)


    オォォォオォ…


    イシス勇者(……本当に広い建物だ)

    イシス勇者(なんの為に作られたんだろう……結構古そうだけど)

    スタ…

    イシス勇者「!」

    イシス勇者(あ、ここ、勇者くんの部屋かな?)

    イシス勇者「……」


    イシス勇者(あれ、なんだろう、やな予感がする)


    ザッ

    イシス勇者「……」


    ポルトガ勇者「くかー……」zzz


    イシス勇者「……勇者くん?」

    キョロキョロ

    イシス勇者「……」

    イシス勇者「……っ」
    122 : ◆3VOBH3 - 2016/07/13(水) 23:32:30.36 ID:Wjeo41nZ0 (+95,+30,+0)


    ユサユサ


    ポルトガ勇者「ふがふっ、んあ?」

    イシス勇者「ポルトガ勇者君、起きて」

    ポルトガ勇者「んあ……?んだよ、イシス勇者……」

    イシス勇者「勇者くんは?」

    ポルトガ勇者「え?そこに居んだろ……」

    ポルトガ勇者「……あれ?」

    ムクッ

    ポルトガ勇者「……――あいつ、どこ行った?」

    イシス勇者「スー勇者ちゃんも居ないんだ」

    ポルトガ勇者「……探してみるか」

    イシス勇者「うん」


    …………


    スタスタ…

    イシス勇者「やっぱり祠の中には居ないね」

    ポルトガ勇者「ああ、荷物はあるからどっかに行ったってワケじゃなさそうなんだが」



    ――ホビットのほこら・外――


    ザッ

    イシス勇者「……外に居るのかな」

    ポルトガ勇者「まだ薄暗いのにか?こんな森の中に何しに行くっつうんだよ」

    クルッ

    ポルトガ勇者「もう戻って寝ようぜ。攫われたんなら俺らが気付かねえはずねえし、大丈夫だろ」

    イシス勇者「……うん」

    スタ







    ポルトガ勇者「……イシス勇者」


    イシス勇者「……うん。聞こえた」


    ザッ

    ポルトガ勇者「……あっちか」

    イシス勇者「だね。昨日も聞いた音だ」

    イシス勇者(剣と剣が、触れ合う音)

    ポルトガ勇者「……――行ってみる、か?」

    イシス勇者「……う、うん」
    123 : ◆3VOBH3 - 2016/07/13(水) 23:33:08.50 ID:Wjeo41nZ0 (+95,+30,-308)



    「行って、どうするんだい?」


    イシス勇者・ポルトガ勇者「「!!!」」

    ズザァッ!

    イシス勇者「ホ、ホビット様……」


    ホビット「やあ、おはよう」


    イシス勇者「お、おはようございます」

    ホビット「行ってどうするんだい?面白いものではないよ?」

    ポルトガ勇者「……あいつ、何やってるんすか」

    ホビット「頑張ってるんだよ」

    イシス勇者「……」

    ポルトガ勇者「……」

    ホビット「……ふふ」

    ホビット「勇者もどうやら、心配性な友人を持ったみたいだね」


    スタスタ


    ホビット「……邪魔しないと誓えるなら、ついておいで」

    ホビット「ただ、“絶対に何もしてはダメだ”」


    スタスタ…


    イシス勇者「……」

    ポルトガ勇者「……」

    イシス勇者「……行こう」

    ポルトガ勇者「……ああ」


    スタ…


    スタスタ…



    ―――――――――――――


    ――森の中――


    ザッザッ…


    イシス勇者「……」

    ポルトガ勇者「……」

    イシス勇者(背の高い木が生い茂って、祠の辺りより薄暗い)

    ポルトガ勇者(霧も濃い……マジで何をやってるっつうんだアイツ)
    124 : ◆3VOBH3 - 2016/07/13(水) 23:33:40.07 ID:Wjeo41nZ0 (+95,+30,+0)


    ザッザッザッ……


    ホビット「……君達は」

    イシス勇者「え?」

    ホビット「君達は、強いかい?」

    イシス勇者「……ん、はい?」

    ポルトガ勇者「えっと……まあ、はい。腕には自身あるっすよ」

    ホビット「では……どうやって君達は強くなった?」

    ポルトガ勇者「……どうやって、すか?」

    ポルトガ勇者「それは……まあ、鍛錬したり、魔物を倒したりして」

    ホビット「……うん。そうだろうね」

    イシス勇者「……?」

    ホビット「お」

    ザッ

    ホビット「丁度いい。人間くらいの大きさの岩だ……ポルトガ勇者」

    ポルトガ勇者「はい?」

    ホビット「この岩を破壊してみてくれるかな」

    ポルトガ勇者「……え」

    ホビット「身構える必要もない。とんちでも謎かけでもないよ」

    ポルトガ勇者「えっと……了解っす」

    スッ


    ポルトガ勇者「ほっ」


    ドゴォン

    パラパラ…


    ポルトガ勇者「えっと、これでいいっすか?」

    ホビット「ああ、ありがとう」

    ポルトガ勇者「あの……これ何の意味あったんすかね」

    スタスタ

    スッ…

    ホビット「……君はこれを素手で砕いたね」

    ポルトガ勇者「?は、はい」

    ホビット「これは、誰にでもできると思うかい」
    125 : ◆3VOBH3 - 2016/07/13(水) 23:34:13.79 ID:Wjeo41nZ0 (+95,+30,+0)


    ポルトガ勇者「やあ、まあ……こんくらいなら少し鍛えりゃ誰でもできるんじゃないすかね」

    イシス勇者「それほど大きい岩でもないですし」

    ホビット「……ふふ、そうだね。ただわしは思うんだ」


    ホビット「これを当たり前だと思っているわしたちがおかしいのでは、とね」


    イシス勇者「……え?」

    ホビット「少し、歩きながら聖書の話をしよう」

    スタスタ

    ホビット「わしらがどうして生まれたか知っているね?ルビス様が作られたからだ」

    ホビット「大精霊の一人であったルビス様が、精霊戦争の後にこの大地と……わしらと、動物を作った」

    ホビット「その証拠として、わしらには加護がある。傷を負っても癒す術がある」

    イシス勇者「はい。それは分かります」

    ホビット「……ただ、それらはわしらの力ではない」

    ホビット「それは“ルビス様の加護”だ。わしら人間の能力ではない」

    ポルトガ勇者「……何が言いたいんすか」

    ホビット「例えば手のひらに斬り傷を負う。これを直す際は、たいてい治癒魔術を使うが……使わない場合はどうなるね」

    イシス勇者「それは、傷の完治に時間がかかりますが」

    ホビット「そう。時間がかかる。それさ」


    ホビット「わしらの限界は、恐らくそれなんだよ」


    ホビット「わしらの限界は、傷の完治に、これっぽちの傷だけで相当な時間がかかる、“そこ”だ」


    ホビット「わしら生き物は、実はそんなに強くないんじゃないか?」


    ホビット「わしら生き物は、ルビス様の加護を、人間の当たり前の力として認識しているんじゃあないかな?」


    イシス勇者「……」

    ポルトガ勇者「……」


    ホビット「……だったら、このわしらの。先ほどのポルトガ勇者のような力は、どうだ」

    ホビット「なぜ、火贈りの儀式の前と後で、身体能力が均一に育たない?」

    ホビット「……なぜ」



    ホビット「なぜ、魔物を殺せば殺すほど。目に見える様に強くなる?」


    126 : ◆3VOBH3 - 2016/07/13(水) 23:35:07.80 ID:Wjeo41nZ0 (+95,+30,+0)

    ポルトガ勇者「……そ、そんなの」

    ホビット「そうさ。誰にも分からない。ただの仮説さ。わしが勝手に考えた、ね」

    ホビット「でも不思議でならなかったんだ。昔から」

    ホビット「何故、魔族を殺すと力が異様な程に得られるか……強くなれるのか」


    ザッザッザッ


    ホビット「……そしてわしは、一つ思った」


    ホビット「魔族は、原初の精霊達の怨念から生まれた、と聖書に書いてある」


    ホビット「そしてそこに人間の怨念がそそぎこまれ、今の魔族になった……とも」


    ホビット「……魔族は怨念の塊だ。もしそれが、本当ならば」


    ピタ

    クルッ




    ホビット「“怨念”を。殺して、殺して。殺して」


    ホビット「ルビス様の加護で、それを力に変換して、繰り返して」



    ホビット「……わしらは、怨念を纏って、怨念と戦っているのではないかね」


    ホビット「“それ”を、強さと誤認して」



    イシス勇者「……」

    ポルトガ勇者「……」


    ホビット「……わしらが、強くなっているのは」

    ホビット「ルビス様の加護で変換された、怨念の芥の力によるものなのではないかね」


    ホー ホー


    イシス勇者「……そ」

    ポルトガ勇者「な、なにを言ってるんすか」

    ホビット「……ちょっと、意地が悪い話だったね」

    ホビット「老人の戯言さ。わらっておくれ」
    127 : ◆3VOBH3 - 2016/07/13(水) 23:35:34.53 ID:Wjeo41nZ0 (+95,+30,+0)
    クルッ

    スタスタ…

    ホビット「……勇者は、ルビス様の加護がない」

    ホビット「つまり、さっきの説が本当と仮定するならば、怨念を力にする術がない」


    イシス勇者「……」

    イシス勇者「……」

    イシス勇者「……あ」


    ――――――――――――――


    イシス勇者『(今日一日、勇者君の動きを見てたけど…………)』

    イシス勇者『(あれは、なんて言えばいいんだろう)』

    イシス勇者『(なんらかの……妙な違和感を感じる)』

    イシス勇者『(なんて言うのか…………)』

    イシス勇者『…………』

    イシス勇者『……“まるで最初から強くなる事を許されていない”様な……』


    ――――――――――――――


    ホビット「合点がいかないかい?」

    ホビット「あの子が、皆に劣るのは……あの子が弱いからじゃない」


    ホビット「あの子は人間だ」


    ホビット「あれが、人間本来の姿なんだ」


    イシス勇者「……」

    ポルトガ勇者「……」

    ホビット「……そう、思うのさ」

    ホビット「ただ、それで納得していては。あの子は進めない」

    ホビット「だったらあの子の気が済むまで、人間本来の限界を目指さなければならない」

    ホビット「だからあの子は頑張らなければならないんだ」

    ポルトガ勇者「……頑張るって……」

    イシス勇者「どうすれば、人間本来の、限界なんて……」

    ホビット「……本当なら、相当時間がかかる話だろうね」

    ホビット「わしらルビスの加護持ちの人間と同じような無茶をさせれば、あの子は容易く死ぬ」


    ホビット「だが……スー勇者ちゃんが居る」


    イシス勇者「え?」
    128 : ◆3VOBH3 - 2016/07/13(水) 23:36:34.79 ID:Wjeo41nZ0 (+93,+30,-198)






    ばちゃあっ





    勇者「いぎぃぃいいいぁああぁああああっ!!!!!!!!!」






    どちゃあっ!!!!



    勇者「おご、うぶっ」



    バチャバチャバチャ



    ジャキン



    ムオル勇者「……何故今のを避けなかった」


    勇者「おえっ、うびゅっ」


    バチャバチャバチャ


    ムオル勇者「今、俺が敵ならお前の首は地面に転がっている」


    ムオル勇者「俺の一閃を何故避けなかった」


    ムオル勇者「何故避けなかったと聞いている」


    勇者「きひぃっ、きひぃっ」



    ギリッ

    ググ


    勇者「あーっ、はーっ……っっっっあ”ッ」



    ムオル勇者「立つならすぐに立て。脳に刻み込め」


    ムオル勇者「今の一閃を避けなければ、今のお前のようになる」



    ぼとぼとっ ぼとぼとばちゃばちゃぁっ



    勇者「いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」




    ムオル勇者「……臓物をしまえ。馬鹿者が」


    129 : ◆3VOBH3 - 2016/07/13(水) 23:38:48.84 ID:Wjeo41nZ0 (+95,+30,-230)


    イシス勇者「っ……っ……」


    ポルトガ勇者「おい……おいおいおいおい」


    ホビット「……言ったね?二人共」

    ホビット「絶対、何もするんじゃない」

    ホビット「水を差したら、ただじゃおかないよ」





    勇者「があっ、がああああ!!!!!!!!!!!」


    タッタッタ!!


    スー勇者「ご主人様!!!!」

    ザッ

    スー勇者「“ベホイミ”!!!」


    パァァァァァァァァ……


    勇者「がふっ、が、くぁっ……!!!!」


    スー勇者「っ……!!」



    ムオル勇者「……今のは、避けられた筈の攻撃だ」

    ムオル勇者「もし俺が敵ならば、スー勇者が居なければ、お前はこの世には居ない」


    スゥゥゥ…


    スー勇者「……できました」

    勇者「はぁっ……!!はぁっ……!!」

    ポン

    勇者「ごめん……スーちゃん……」

    勇者「ごめん……」

    スー勇者「……」ギュッ


    ギリッ


    ザッ


    勇者「もう、一度ッッ……お願いします!!!!!」


    ムオル勇者「ならば早く立て愚図が」
    130 : ◆3VOBH3 - 2016/07/13(水) 23:40:44.89 ID:Wjeo41nZ0 (+95,+30,+0)
    イシス勇者「……勇者くん……っ」

    ホビット「……スー勇者ちゃんは、なぜかは教えてくれないが勇者を治癒させる事ができる……その力を利用させて貰っているんだ」

    ホビット「勇者は今までも相当鍛錬をしてきたらしいけれど、本当に“死ぬまで”やった事は無かった」

    ホビット「だから、ああやって本当の危険を体に覚えこませる」

    ホビット「“死”を体に何度も覚えさせる……それが、必要だ」

    ポルトガ勇者「でもよっ……!!!!……さすがにあれはやりすぎじゃっ」

    ホビット「わしら、ルビス様の加護のある人間がいつもやってる方法だよ」

    ポルトガ勇者「……」

    ホビット「わしらは、魔族相手に挑んで殺されても……体の一部分があれば蘇生できる」

    ホビット「だからこそ、魔族に何度でも牙を向ける事ができる」
                ゲーム  
    ホビット「……まるで。“遊戯”みたいに、ね」

    ホビット「それを否定できるかい?」

    ポルトガ勇者「……」

    イシス勇者「……」

    ホビット「…………さあ、帰ろう」

    ホビット「あの子も君達に、こんな所を見られたくない筈だよ」




    …………―――――――



    ザッザッザッ


    イシス勇者「……」

    ポルトガ勇者「……」

    ホビット「……」

    ポルトガ勇者「……ホビットさん」

    ホビット「ん?」

    ポルトガ勇者「ホビットさんは……あいつがなんなのか知ってるんすか」

    ホビット「……」

    ポルトガ勇者「……」

    ホビット「……少しなら知ってるが、言えない。……ごめんよ」

    ポルトガ勇者「……そうすか」

    ザッザッザッ

    ホビット「……ただ……いい子だ。あの子は」

    ホビット「二人共。あの子が例え何であれ……仲良くしてやってくれ」

    イシス勇者「……――勿論です」

    ポルトガ勇者「あたぼうっすよ」

    ホビット「……ん」

    ホビット「あの子は、いい友人を持ったね」


    …………
    ……

    131 : ◆3VOBH3 - 2016/07/13(水) 23:41:13.44 ID:Wjeo41nZ0 (+84,+29,-2)
    今日はおしまいです
    132 : 以下、名無しにか - 2016/07/14(木) 00:30:25.01 ID:ji5Xg4H0O (-8,+6,-3)

    133 : 以下、名無しにか - 2016/07/14(木) 00:33:28.11 ID:OQjngMlP0 (-27,-15,-3)
    乙つ
    134 : 以下、名無しにか - 2016/07/14(木) 02:36:36.30 ID:oNwG10g30 (+7,+22,+0)
    乙でございます
    135 : 以下、名無しにか - 2016/07/14(木) 18:40:54.28 ID:okv92bicO (+24,+29,-10)
    乙、昨今のどの漫画やアニメよりもきになる
    136 : 以下、名無しにか - 2016/07/19(火) 19:19:31.94 ID:jpY7yyYU0 (+27,+29,-10)
    乙、勇者には幸せになってほしいなぁ…ほのぼのがいいよぅ
    137 : 以下、名無しにか - 2016/07/19(火) 19:21:26.16 ID:jpY7yyYU0 (+22,+29,-9)
    乙、勇者には幸せになってほしいなぁ…
    138 : 以下、名無しにか - 2016/07/22(金) 00:55:51.51 ID:q8V621ke0 (+25,+30,-85)
    乙、勇者は相変わらず無茶しまくってるな。

    ところで勇者はイシス勇者が女だって事は覚えてないんだろうな、武道家に殴られて記憶障害起こしてたし。
    139 : 以下、名無しにか - 2016/07/26(火) 20:51:08.00 ID:53lo73Rz0 (+13,+28,-2)
    舞ってる
    140 : 以下、名無しにか - 2016/07/27(水) 20:47:11.00 ID:uF/9R8QC0 (+19,+29,-2)
    そろそろ書きに来て欲しいのだか

    141 : 以下、名無しにか - 2016/07/27(水) 21:21:52.24 ID:fdrrqmHO0 (+24,+29,-11)
    なんかもう登場人物の言葉の一つ一つが伏線に思えてゾクゾクしてきた
    142 : ◆3VOBH3 - 2016/07/28(木) 00:39:55.51 ID://rGN1y40 (+30,+30,+0)


    ……
    …………



    ―ホビットの祠・大広間―


    スタスタ…


    勇者「ふぁ……おはようございます……」


    イシス僧侶「おー、勇者くんおっはよー」

    イシス戦士「もう昼だぞ?だらしない」

    イシス魔法使い「スー勇者ちゃんもまだ寝ているみたいね」


    スー勇者「くー……くー……」zzz

    スラお「むにゃ……」zzz


    イシス魔法使い「ふふ。仲がよろしいみたいね」

    イシス僧侶「しかしよく寝るねー」

    勇者「ああ、ちょっと朝に軽い鍛錬をするようにしてるんだけど、それに付き合ってもらってるんだ」

    イシス僧侶「そうなん?って事は一回起きてたんだ」

    勇者「そうそう。だからいつも夜に少し寝て、また朝の鍛錬が終わったら寝る生活してるんだよ」

    スー勇者「くー……くー……」zzz

    勇者「……僕に付きあわせてばかりで……」

    ナデ…

    スー勇者「ん…………」

    勇者「本当に、この子には申し訳無い事ばっかりだ……」

    イシス勇者「……」

    ポルトガ勇者「……勇者、おはようさん」

    勇者「ん。おはよう皆」


    スタスタ

    ホビット「おお、勇者も起きたかい。丁度いい。ご飯の準備ができたよ」


    勇者「先生」

    イシス魔法使い「ああ、もう、何から何まですみません」

    イシス僧侶「お手伝いできる事ありませんか?」

    ホビット「いやいやいいんだよ。わしも料理は好きだしね」

    ムクリ

    スー勇者「む……ふぁ……」

    イシス戦士「ん。スー勇者も起きたみたいだな。おはようスー勇者」

    スー勇者「んー……」
    143 : ◆3VOBH3 - 2016/07/28(木) 00:40:37.10 ID://rGN1y40 (+95,+30,+0)
    ギュッ

    イシス戦士「!?」


    スー勇者「ご主人様……おあようございます…………ふふ」ギュゥゥ


    イシス戦士「なっ!?ちょ、わ、私は勇者ではないぞ?」

    スー勇者「んえ?」


    「「「…………」」」


    スー勇者「……あっ」


    勇者「…………スーちゃん、おはよう」

    ババッ

    スー勇者「すすす、すみません!つい、いつもの癖で」

    イシス勇者「ん?」

    勇者「ヒッ」

    イシス勇者「勇者くん、いつもあんな風に抱きつかれてるのかい?」

    勇者「いや、その」

    イシス勇者「何焦ってるんだい?」

    イシス僧侶「ロリコン」

    イシス戦士「ペド野郎」

    勇者「ちげえし!!!!!ちげえし!!!!!」

    スラお「ゆーしゃうるさいっ!」がぶー

    勇者「ごめんなさいやめてください!!!!」

    ギャーギャー

    ホビット「ふふ、賑やかな食事もいいね」

    ポルトガ勇者「おいお前ら飯が冷めるから早くこっち来いって!」


    …………


    勇者「では」


    「「「いただきまーす」」」


    パクッ

    イシス勇者「っ!これもおいしい!!」

    イシス魔法使い「これ何のお肉なんですか?」

    ホビット「それは鹿だよ。勇者が捕ってきたんだ」

    イシス僧侶「え?勇者くん狩りできるの?」

    勇者「こっちに来てから、一応教えてもらったんだよ」
    144 : ◆3VOBH3 - 2016/07/28(木) 00:41:03.68 ID://rGN1y40 (+95,+30,+0)
    ホビット「はは、腕の方はまだまだだけどね」

    勇者「うぐ」


    スタスタ

    ムオル勇者「……狩りだけではなく、こいつは様々な事が未熟だ」


    勇者「うぐぅっ」

    イシス勇者「ムオル勇者さん」

    イシス僧侶「様々なこと?」

    ムオル勇者「こいつがここに来てしばらく経つが、最初はあまりの愚図さ加減に頭を抱える事が多かった」

    ムオル勇者「方位磁石を忘れ道に迷う、狩りの罠の場所を忘れて自分で踏む、剣を忘れて魔物に半殺しにされる」

    ムオル勇者「毒草を狙ったように採取してくる、料理を作らせれば器具を駄目にする」

    勇者「……本当に、すみません……」

    ムオル勇者「枚挙に暇が無いが……これでもマシになった方だ」

    イシス僧侶「確かに、勇者くんはあの状況で旅してたからねえ。昔からあの子達に世話を焼かれていたんでしょ?」

    イシス魔法使い「あはは……だったらちょっと疎くなっちゃうのも仕方ない気もするわね」

    ムオル勇者「だが仕方ないで済みはしない」

    勇者「仰るとおりです……」

    ポルトガ勇者「でも今はだいぶマシになったんだろ?」

    ホビット「ん。まだまだだけど、最初に比べたらだいぶ良くなったね」

    勇者「まあ料理はスーちゃんや先生に頼りっきりなんだけどさ」

    スラお「ゆーしゃのごはんおいしくない!ばか!うんこ!」

    勇者「うんこはなくない?いいすぎじゃない?なあスラお」


    …………

    カラン


    ホビット「ところで、聞いてもいいかね?」

    イシス勇者「はい、なんでしょうか」

    ホビット「君達は何をしにここへ来たんだい?」

    ポルトガ勇者「…………今さらな感もあるっすね」

    イシス僧侶「何を……って、それは勇者くんが心配だったからですけど」

    イシス魔法使い「しばらく音沙汰が無かったので、イシス勇者様が心配してだいぶ滅入ってしまって」

    勇者「すみません心配かけて……」

    イシス勇者「いいんだよ。こうして無事だったんだしさ」

    ポルトガ勇者「俺もイシス勇者と同じ理由だぜ」

    ホビット「ふふ、そうかそうか……じゃあもう一つ質問させてもらうね」

    ホビット「人間達の動きはどうだい?ラーミアを復活させるつもりらしいが……進展は」
    145 : ◆3VOBH3 - 2016/07/28(木) 00:41:48.88 ID://rGN1y40 (+95,+30,+0)
    イシス勇者「……実は、全くと言っていいほど何も進展していないんです。おはずかしながら」

    勇者「ん、そうだったんだ」

    イシス戦士「お前はムオル勇者殿から何も伝えられていないのか?」

    ホビット「彼は無口な男だからね。外の情報で勇者の気を散らすのを良しとしなかったんだろう」

    ムオル勇者「……」

    ポルトガ勇者「だんまりかよ……お前が何か一言あれば俺らも無理に後をつけたりしなかったっての」

    ムオル勇者「下手にお前達に伝えればボロが出る可能性があるだろう」

    ポルトガ勇者「……否定しきれねえのが哀しい」

    ホビット「しかし、進展が無しか……オーブを集めるのは至難なのだろうね。やはり」

    イシス勇者「とりあえず今はあらゆる場所へ歩兵団や船団が向けられているのですが……中々に手こずっています」


    イシス勇者「特に……“賢者の扉”には、苦戦を強いられていて……」


    勇者「……“賢者の扉”?」

    スー勇者「って、何の事ですか?」

    イシス勇者「え?勇者くん?」

    ポルトガ勇者「何でてめえが知らねえんだよ?」

    勇者「え?え?だって、覚えが」

    ポルトガ勇者「“魔法の鍵”」

    勇者「……――あ」

    イシス勇者「あれを見つけ出してロマリア大陸の境界を暴いたのは、君たちだったじゃないか」

    勇者「そっか……あれが賢者の扉だったんだ」

    勇者「でもそれなら、魔法の鍵は女勇者が持ってる筈だからあいつに」

    ホビット「いや、恐らく、だけれど……それでは無理だろうね」

    勇者「えっ?どうしてですか?」

    ホビット「それらの扉の鍵の構造がね、普通の扉と違うというのは君もわかるだろう?勇者」

    勇者「それは、まあ、はい」

    ホビット「あれは魔力で編み込んでいる錠型なんだけれど、それには3種類あるというのが今の所確認されている」

    ホビット「それらは全て賢者が作り出したらしいんだが……高位の賢者が作る錠型ほど複雑なものになっているんだ」

    ホビット「一番目の扉は、腕のある盗賊ならば暴ける。二番目の扉は、高度魔法を生業にした、名のある魔法使いならば暴ける」

    ホビット「しかし、三番目の扉は……賢者しか暴けない。そう、賢者の作った鍵無しでは、ね」

    勇者「……」

    イシス勇者「そして、どうも何かありそうな“聖域”などにはそれらが多いんだ」

    イシス僧侶「賢者様が“何か”を守るために閉じ込めてるんだもの。大事な物があるって考えるっしょ?」

    勇者「確かに……」
    146 : ◆3VOBH3 - 2016/07/28(木) 00:42:22.26 ID://rGN1y40 (+95,+30,+0)
    ポルトガ勇者「ただ、これに関しては少し情報も掴んであんだよ」

    勇者「情報?」


    ホビット「……海の祠、の伝説だね?」


    ポルトガ勇者「……よく御存知で」

    勇者「海の祠?海に祠があるんですか」

    ホビット「ああ。昔、四賢者の一人が作った祠が今も海の中に沈んでいる、という伝説だ」

    イシス勇者「そこに、僕達が求める鍵があるって言い伝えがあって、今はその捜査に尽力している」

    ホビット「だが、場所は分かったのかい?」

    イシス勇者「いえいえ、流石にそこまでは……怪しい場所を虱潰しに探している途中です」

    ホビット「場所が場所だからね……仕方ないものだよ」

    イシス魔法使い「国連には未だ見つかっていないので急いで見つけ出したいんですけど、その伝説が本当かどうかも怪しいんですよね」

    ホビット「しかしわしらが旅をしていた時から小耳に挟んでいた伝説だよ。火の無い所に煙は立たないと言うし」

    ポルトガ勇者「あー……いっそ海の水が干上がっちまえば探しやすいんだろうけどよ」

    イシス勇者「現実逃避もいい所だねそれは……気持ちは分かるけれど」

    勇者「……鍵、かぁ」


    「それ、できるかもです」


    勇者「えっ?」

    イシス勇者「……何、?が?」

    ポルトガ勇者「それって、なんだよ?スーの字」


    スー勇者「……――海の水、干上がらせるの……できるかもです」


    イシス勇者「…………えっ」

    イシス僧侶「ス、スー勇者ちゃん、それはいくらなんでも無理じゃないかぁい?」

    スー勇者「勿論、全部干上がらせるは無理です」

    スー勇者「けれど、浅いところなら……干上がらせるの。できると思うです」

    ポルトガ勇者「……何か、あるのか?」

    ホビット「確かに、あの伝説では海の祠は岩礁に囲まれているという話だね……恐らく浅い所にあるのだろう」

    ホビット「もしスー勇者ちゃんの言う方法が可能なら。見つかる可能性は高くなる」

    勇者「……スーちゃん、その案聞かせてもらってもいい?」

    スー勇者「はい、ご主人様……あの」

    スー勇者「私の村……スーには、秘宝があったです」

    イシス戦士「秘宝?」

    スー勇者「はい。スーは、周りを川で囲まれた村です……いつもは、平和で暖かい、いい所です」

    スー勇者「でも、時にその川は暴れ川になって、私達の先祖様を脅かしたです……」

    スー勇者「でも遠い昔、村のその代の巫女が、力を使って……壷を作ったです」

    勇者「壷?」

    スー勇者「はい……――『渇きの壷』。こっちの言葉だと、そういう意味になるます」
    147 : ◆3VOBH3 - 2016/07/28(木) 00:42:55.90 ID://rGN1y40 (+95,+30,+0)
    イシス勇者「渇きの、壷かぁ……初めて聞く名前だ」

    イシス魔法使い「それがあれば水を干上がらせる事ができるのね?」

    スー勇者「はい。ある程度の水なら、その壷が飲み込んでくれるです」

    ポルトガ勇者「すげえ話だな……!それ、スーに行けば貸して貰えるか?」

    スー勇者「……」

    ポルトガ勇者「おい、スーの字?」

    スー勇者「……ないです」

    勇者「え?」

    スー勇者「もう、スーには……渇きの壷はないです」

    ポルトガ勇者「……そりゃどういうこった?」


    スー勇者「……――今は、エジンベアにあります」


    「「「……!!!」」」

    ホビット「……ああ、そういう事なのか……」

    勇者「え?え?どういう事?」

    ポルトガ勇者「勇者お前マジでいってんの?」

    勇者「えっ、ごめん」

    ホビット「昼過ぎの座学でもっと厳しく色んな事を詰め込むべきだったね……」

    勇者「ひいい」

    イシス戦士「座学もホビット殿に師事しているのか」

    勇者「う、うん……いや、今はそれより」


    スー勇者「私の村は、昔、エジンベアに戦争で負けました」


    勇者「――……」

    スー勇者「その時に、私達は……いろんな物資と、捕虜と……秘宝を差し出しました」

    イシス勇者「……『同士大戦』の時だね」

    スー勇者「……」コク

    勇者「………………そうなんだ……」

    スー勇者「で、でもっ、命は皆平気でしたしっ、今もスーは残ってるですっ!」

    イシス僧侶「そうは言っても、暴れ川は?渇きの壷が無ければ……」

    スー勇者「……それも、先祖様たちは、別の方法で乗り越えたです」

    スー勇者「もう、スーの皆も、誰も恨んでないです!へいきですっ!」

    イシス勇者「……ん、ありがとう。話してくれて」
    148 : ◆3VOBH3 - 2016/07/28(木) 00:43:41.43 ID://rGN1y40 (+95,+30,+0)



    ポルトガ勇者「さあて、じゃあ……――どうやってその秘宝をぶん取り返すかね」


    スー勇者「ンッ!!?」

    イシス勇者「ああ、なんかこういう事言い出す気がしてたよ……」

    イシス僧侶「結構ポルトガ勇者様も後先考えない人だよね」

    ポルトガ勇者「いやさ、俺ァそういうのいっちばん嫌いなんだよなあ」

    イシス魔法使い「好き嫌いの問題じゃないでしょ!国際的な問題が絡んでるのよ?」

    ポルトガ勇者「だが、どうするよ?せっかく掴んだ糸口だ。引き寄せない手はないぜ?」

    イシス勇者「……それは、そうなんだけどさ」

    ポルトガ勇者「ま、だからといって俺も懸念は無いとはいえねえ」

    ポルトガ勇者「もしおおっぴらにエジンベアに壷返せって言ったとしたら、国連の中のキナ臭え連中に感づかれる」

    イシス戦士「確かに……例えそれで鍵を手に入れてもそれを国連で共有するという建前で持っていかれるかもしれんな」



    勇者「じゃあ殺して取り返せばいいよ」



    ポルトガ勇者「……」

    イシス僧侶「……」

    イシス魔法使い「……」

    イシス戦士「……」

    イシス勇者「……は、え?」


    勇者「?だから、エジンベアの奴らから取り返せば良いんだよ」

    イシス僧侶「ちょ、ちょっと勇者くん?」

    勇者「んっ?え、なになに皆一斉にぼくを見て」

    イシス魔法使い「いえ……勇者くんにしては、黒い冗談だなって」

    勇者「冗談?なにがですか?」

    イシス魔法使い「……え」



    勇者「元々盗んだのはそいつらなんでしょ?そいつらに構う事なんてないだろ」



    勇者「スーの人たちの物はスーの人たちの所に返さなきゃいけない」



    勇者「もっと報復してもいいくらいだ」



    勇者「……――――全員、殺してもいいくらいに」


    149 : ◆3VOBH3 - 2016/07/28(木) 00:44:54.68 ID://rGN1y40 (+95,+30,-239)


    ポルトガ勇者「……」


    イシス僧侶「……」


    イシス魔法使い「……」


    イシス戦士「……」


    イシス勇者「……勇者、くん……?」




    勇者「何?」




    イシス勇者「っ」ゾッ…

    ポルトガ勇者「お前、どうし――……」


    スー勇者「てやーっ!」


    バコオン


    勇者「マウンッ!!!」


    イシス勇者「うおぉっ!!?スー勇者ちゃん!?!」

    スー勇者「ご主人様!うとうとしたらだめです!」

    ポルトガ勇者「は!?お前何言って」


    勇者「あてて……ごめん、少し眠ってた」


    ポルトガ勇者「る……んだ……」

    イシス勇者「……」


    勇者「スーちゃん、いっつもうたた寝だけにはなんでこんなに厳しいのさ……!コブできてる……」


    スー勇者「……眠るの、よくないです」


    イシス魔法使い「……これ」

    イシス僧侶(意識が、とんでる……?)

    イシス戦士(ではさっきの圧迫感は)
    150 : ◆3VOBH3 - 2016/07/28(木) 00:45:47.02 ID://rGN1y40 (+95,+30,-291)
    ホビット「……ふむ、なるほどね」

    スクッ

    ホビット「勇者」

    勇者「ふぁう、アッはい、何ですか先生。座学の準備は――……」

    ホビット「しばらく授業は無しだ」

    勇者「……え」



    ホビット「勇者、君はしばらくここを離れてその渇きの壷を手に入れて来なさい」


    ホビット「特別授業期間、という事にしよう」




    ――――――――――――――――



    ――ホビットの祠・入り口前――


    サァァァ…


    イシス勇者「……」

    イシス魔法使い「……」

    イシス僧侶「……」

    イシス戦士「……」

    ポルトガ勇者「……風、気持ちいいな」

    イシス勇者「うん……本当いい所だね」

    イシス僧侶「ですね……」


    「「「……」」」


    ザッ

    ホビット「……すまないね、皆来てくれたばかりだというのに」

    イシス勇者「ホビット様」

    イシス魔法使い「とんでもない、急に押しかけたのは私達ですのに……」

    ホビット「もっとゆっくりしてもらいたかったんだがね……そうもいかなくなった」

    ポルトガ勇者「?」

    ホビット「まあ、気にしないでおくれ」

    ホビット「何はともあれ、勇者を少し見守っててくれると助かるよ」
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