私的良スレ書庫
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元スレセーラ「うんコマ劇場④やで!」爽「マジで」
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はやり「うぽぽぽぽぽww☆ これでカンネンしたかな? しらつき姫ちゃ・・・ん?」
(慕)「」ドロン
うんこたちの背後に隠れていたはずのしらつき姫の姿は、すでにそこにはありませんでした。
形勢が不利と見るや、一目散に逃げ出していたのです。
はやり「・・・ふぅん。 まぁいいや☆ あわてなくても、あんなヒヨワなウサギちゃんがはやりから逃げられるワケないんだから・・・w」ニタアァ・・・
・
・
・
慕「はぁ、はぁ、はぁはぁはぁはぁ・・・!」ヨロヨロ
森の中へ逃げ込んだしらつき姫は、落ち葉やつたに足を取られながらも、必死になって少しでも遠くへ離れようと頑張っていました。
そして、気がつくと、見晴らしの良い山のてっぺんまで来ていました。
慕「う…、こ、ここまで来れば、もう、大丈夫、かな…?」ハアハアハア・・・
疲れ切ってしまったしらつき姫は、大きな岩の陰に腰をおろしました。
と、その時、
ガサッ
慕「?!」ビクッ
慕「な、何? さっきの音… ま、まさか、お義母さん…?」キョロキョロ
・・・ シィーン・・・・
慕「…こ、小鳥か、何かだよね…? こんな遠くまで来たんだから、もう、いるわけ…」
・・・ トキニハハヤリニナガサレテェー♪ リボンデオメカシシチャウノヨォー♪☆・・・
慕「…」ガタガタガタ
突然響き渡った痛々しいファンシーソング…
恐る恐る後ろを振り返ると、そこには…
はやり「ヤッホー♪ もぉー遅いゾ! はやりヒマ過ぎて一人コンサート開いちゃうとこだったじゃん!☆」ハヤヤ
岩の反対側から現れたのは、まぎれもなくあのアイドルの皮をかぶった悪魔、地の底までも追ってくる鬼神の如きお后様でした。
慕「あ、あぁ・・・」ガタガタ
かわいそうにしらつき姫はもう蛇ににらまれたカエルのように・・・ カタカタと震えるだけで、動くこともできません・・・
はやり「ふふw☆ 恨むんならはやりじゃなくて、カワイクなりすぎた自分自身を恨むんだねッ!!」バッ
まるでアームズのようにメキメキと巨大化した右手が振り上げられ… しらつき姫は、思わず目をカタくつぶっていました。
しかし、まさにその時でした。
ビシィッ!! ビイイィ――ン・・・ッ!
はやり「はやっ?!」
慕「えっ?!」
目を見張る二人…
お后の背後から飛んできた一本の矢が、その頬をかすめ…
岩に突き刺さり、ビリビリとその矢羽を震わせていたのです。
そして…
スミレ「今のはわざと外した。 次は心臓を刺し貫くぞ」ザッ
サトハ「そこまでだ。 もうお前に逃げ場はないぞ!」スチャッ
はやり「…何ィ?」
慕「ス、スミレさん! サトハさん!!」
窮地に現れたのは、方やアーチェリーの弓を背負ったうんこ… そして方や長ドスをかまえたうんこ…!
そう… ついに、七人のうんコロボックルの中でも最強の二人… 超武闘派のうんこがその姿を現したのです!
スミレ「すぐに城へ戻れ。 そしてしらつき姫にはもう二度と近づくな…!」スチャ・・・
サトハ「今撤退すれば、命だけは助けてやるぞ…」ジリッ・・・
はやり「………」
一触即発のお后とうんこたち・・・!
しかし、
はやり「・・・・ ぶぉふぁふぁふぁふぁふぁふぁっっ!!wwww☆」=3=3
スミレ・サトハ「「!?」」ビクッ
はやり「ううぅおナカ痛いよぉ~…!☆w アンタたち、はやりの腹筋を崩壊させるつもり?ww」=3
はやり「うんこ如きが! はやりの相手に!! なるワケないでしょオオォッ!!!」カッ!
バババァッ!!!
スミレ「なっ?!」
サトハ「うっ!?」
慕「えっ!?」
一瞬、稲光が閃いた・・・ と、思った次の瞬間には、スミレとサトハのかまえていた弓と長ドスは消えていました。
はやり「まったくもぉ… そんなノロマさんのくせに、よくもはやりに挑戦する気になったねぇ~?」カチャカチャ
スミレ「なぁ…? あ、あの一瞬で、私とサトハのエモノを奪い取った、だと…??」
サトハ「…!」
いえ、驚いてはいけません…! 「瑞原はやり」の一番のストロングポイントといえば、なんと言っても“和了速度”…! その神速と言われるスピードはまさに日本SAISOKU…! ことスピードにおいて、彼女に勝るモノなど存在しなかったのです。
はやり「さあさあどーするの? 5秒以内にはやりの視界から消えれば、見逃してあげなくもないケドォ~?☆」ニタニタ
スミレ「っく…!」
サトハ「……」
もはや打つ手なし… やはりたかがうんこが群れたところで、悪魔の力を得たアラサ―にはかなわないのでしょうか…?
慕「ス、スミレさん、サトハさん…!」カタカタ
サトハ「… 何、怖がることはないさ、しらつき姫… うんこは、得物を取られたくらいで負けるようなヤワな存在ではない」
はやり「はぁ?!☆ あのねぇ・・・臭くて穢らわしい汚物風情が、ミエをはるのもいい加減にしろってんだよっ!!」カッ!
ザワザワと髪を逆立て、真っ赤なオーラを身にまとい、ついにその本当の姿を現し始めたお后・・・
しかし、その恐ろしい姿にも少しも動じることなく、うんコロボックルのリーダー・サトハはこう言ったのです。
サトハ「ふん… どうやらお前は“うんこのなんたるか”を全く分かっていないみたいだな…」ズモモモモォ・・・
サトハ「いい機会だ。 教えてやろうじゃないか… “うんこの真の力”というものをな!!」カッ
はやり「うんこの、真の力ぁ…? いったい、何を言って・・・・んっ?!」ギョッ
ブウウウウウウゥゥ――ン・・・ ザワザワザワザザザザザザアアァ―――・・・・! モゾモゾ、モゾゾゾゾゾゾゾオオオォ~~・・・・!!
はやり「え、コレは・・・??」
ドドドドドドドドドドオオオォ―――・・・!! ブーブーブゥー! ワン、ワンワンワン! キーキーキィー! ドッドドドドドオォ――・・・・!!
最初にやって来たのは、ハエやアリ、スカラベといった昆虫たちでした。
しかし、その昆虫たちに続いて… イノシシ、野犬、サル、カメ、ウサギ、ネズミ、パンダ、ミミズ等々・・・
森の中のあらゆる生き物たちの大群がやって来て、お后の前に立ち塞がったのです!
はやり「な、何? なんなのこのコたち…??」
サトハ「ふふ… こいつらはみんな、普段うんこをゴチソウとして食べている生き物たちだ。 私たちが発する匂いにつられてやって来たんだよ…」
はやり「はぁ?! もぉキモチワルイなぁ…!☆ うんこを食べるなんてサイテーだYO!」=3
サトハ「気持ち悪い…? 勘違いしてもらっては困るな。 人間だって、調味料や添加物、漢方の生薬などとして、哺乳類や鳥類のうんこから抽出された成分を食べているんだぞ?」
はやり「え、えぇ・・・??」
サトハ「それに、お前はうんこの匂いを臭いと言うが… うんこの匂いというものは極めて神秘的で高貴なモノなのだ。 その証拠に…」
サトハ「お前が体中に振りまいている香水… その香水にも、うんこの匂いが使われているんだぞ?」
はやり「はぁ?! まさかぁ!?」
サトハ「そんなに驚くこともないだろう… うんこの匂いは、主に腸内でタンパク質を分解することで作られたインドールやスカトールといった成分が元になっている」
サトハ「この成分は量が多いと人にとって不快な臭いになることもあるが、濃度が低ければ、オレンジやジャスミンの花などと似た非常に芳しい匂いを発するモノなのだ」
はやり「う、うんこが、花の香り…?? ウソでしょ…?」
サトハ「うんこはウソなどつかん! 事実、多くの香水やタバコの香料などに、哺乳類のうんこから抽出したインドールやスカトールが使われているんだからな。
それだけ、うんこというものは人に親近感や安心感を与える匂いをもっているモノなのだ」
はやり「……」
ワンワンワン、ブーブーキーキー… ワラワラワラモゾモゾモゾ・・・
集まった動物や昆虫たちが、まるでサトハを守るかのように寄り集まってきた…
サトハ「自然界におけるうんこは、こういった生き物たちに食べられたり、キノコなどの菌類やバクテリアに分解されることで、やがて大地に還っていく…」
サトハ「そしてその分解されたうんこが糧となり、森の中のあらゆる植物たちを育てていく…」
サトハ「いいか? “うんこや生物の遺骸がなければ、この世に新しい命は一切生まれてこない”・・・ これは科学的にも証明されている自然界の摂理… 神の真理というものなのだっ!」
サトハ「つまり、“万物の生命の源”・・・ それこそが“うんこの真の姿”なんだ」
サトハ「ふふ… つまり、うんこを敵にするということは、自然界における生き物全てを敵に回すということなんだぞ…? たかが人間一人が、勝てると思っているのか?」
はやり「………」
ザザザザザアァ・・・! ワンワンワン! ブーブー キーキィー ゾロゾロモゾモゾ・・・
ブウウウウゥゥゥ―――ン・・・・! ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオオオォォ――――・・・・・!!
はやり「・・・!」
もはや、動物や昆虫たちだけでなく、木々や草花や風など、森の中のあらゆるものがお后様に立ち向かっているかのようでした。
いくら悪魔のような力をもっているお后といえど、周りの全てが敵では、もう手の打ちようがありません…
ところが、
はやり「… ふぅ~ん…? ああそう。 じゃあはやりも、一つ教えてあげよーかぁ?」ハヤヤ
サトハ「何?」
はやり「グダグダグダグダ下らないことくっちゃべってんじゃあねぇーよ…☆ そういうのをねぇ・・・」ゴゴゴォ・・・
はやり「屁理屈って言うんだYO!!」バッ!
スミレ「なっ?!」
慕「えっ!?」
それは本当に一瞬のことでした。
神速で間合いを一気につめたお后様が… 自分のおもちの谷間からあのドドメ色の毒リンゴの切り身を取り出して、しらつき姫の口の中に押し込んだのです!
サトハ「!? しまった!!」
はやり「にゃ――っぱぱぱぱぱぱぱぱぱっっ!!www はやりはうんこなんか相手にしてるヒマないからねっ! ほにゃさいならー♪」ドヒューン・・・
お后が風のように立ち去ってしまったあとには、気を失って死んだように倒れているしらつき姫がいました。
サトハ「く… まずい! 息をしてないぞ!!」バッ
スミレ「脈もないな…」
ハツミ「どうしたんですかー?」
しらつき姫の元に、ワラワラと他のうんコロボックルたちも集まってきました。
うんこは基本不死身ですので、つぶされたり流されたり異次元に飛ばされるくらいのことはなんでもないのです。
うんコロボックルたちはしらつき姫を抱き起こして声をかけたり揺さぶったりしてみましたが、姫はカタく目を閉じたままピクリともしません…
トヨネ「ど、どうしよー? しらつき姫ちゃんが死んじゃうよー!」
ハル「…人工呼吸してみれば?」
マイル「いや、ばってん、うんこが人工呼吸ばするワケには…」
ハツミ「こういう時は、王子様のキッスで目を覚ますって、何かで読んだことがありますよー」
イケダ「それなら… どっかから王子様をつれてくるしかないし!」
その時でした。
耕介「・・・ん?」パッカパッカパッカパッカ・・・
そこへちょうど、白馬に乗った王家の人間らしきイケメンが現れたのです。
耕介「な、なんだ? うんこたちが集まって・・・ ん? し、慕か?!」
ハツミ「あ、いい所に王子様が来てくれましたよー!」
イケダ「おいお前! ちょっと待つし! しらつき姫をキスで目覚めさせてくれないか?」
耕介「はぁ??」
近くまで寄ってみると、そこに寝ているのは、まぎれもなく行方不明になっていた姪のしらつき姫でした。
耕介(慕…! こ、これは…? 眠ってるんじゃなくて… 仮死状態?)
耕介(うまく状況がのみこめないけど… これって…)チラリ
慕「…」グッタリ
耕介の腕の中でピクリともしないしらつき姫… そして、12歳の姪の、うっすらと濡れた唇が、目に飛び込んできたのです…!
耕介「…!」ゴクリ
キーッス! キーッス! キーッス! キーッス! キーッス!
周りを取り囲んで、まるで小学生のようにはやしたてるうんコロボックルたち…
耕介(… い、いや、これは、キスじゃなくて… じ、人工呼吸だ!)
耕介(そう、不可抗力ってヤツなんだ… このまま処置をしないでいたら、慕の命が危ないんだから、仕方ないんだ!)
耕介(け、決して、俺は姪の唇に興味があったりとか、そんなヨコシマな気持ちがあるわけでは、ない…!)ハアハアハア
耕介(…え、えーっと、確か、、まずこうやって、アゴを持ち上げて・・・///)クイッ ハアハアハアハア・・・!
耕介が、しらつき姫のアゴ先を持ち上げ、唇を合わせようと、顔を近づけ…
「ちょっと、何やってんのあんた」
耕介「ヴォふぁっ?!?」=3=3
突然そこへ現れたのは・・・ なんと、3年前に行方不明になっていた前のお后様… つまり、しらつき姫の本当のお母様でした。
魔女ニーマンコに捕われていた彼女でしたが、自力で魔法を解いて脱出し、城へ戻る途中だったのです。
ナナ「? 耕介? あんた慕にナニを…」ゴゴゴォ・・・
耕介「あ、姉貴…? いや、これは、えと、その… いや! オレは何もやましい気持ちは…!」カタカタ
ナナ「・・・ちょっとどきなさいよアンタ」グイッ
耕介「え?」
耕介を押しのけたお后様は、しらつき姫を抱き起こして前かがみにさせると、その背中をポォーンと勢いよく叩きました。
すると…
慕「あ゛ぅっ?!」=3=3
しらつき姫の口から、あの毒リンゴが飛び出してきたのです。
慕「・・・あれ、え、ここは・・・ え? おかーさん?!」
ナナ「ふふ、慕、久しぶりね… ずいぶん大きくなったわね♪」
トヨネ「わあぁやったーっ! しらつき姫が生き返ったよー!!」
スミレ「のどにリンゴがつっかえてただけだったんだな」ホッ
ハツミ「キッスの必要なんかなかったですねー!」
ヨカッタヨカッタ イッケンラクチャクダナ! ワイワイ、ガヤガヤガヤ・・・
こうして・・・ 一緒にお城に戻ったしらつき姫とお后様は、玉の輿に乗っていたあの悪いお后様を追い出し、無事、平和な生活を取り戻したのでした。
そして… 七人のうんコロボックルたちは皆、しらつき姫の命を救ったその功績を認められ、お城直属の家来に重用されることになりました。
このうんコロボックルたちは、幸ウンを呼ぶ聖なる妖精として人々からたいへん尊敬され… いつまでもいつまでも大切にされ、後世まで末永く語り継がれたそうです。
(カン)
爽「テスト」>>113
朝鮮に行くと、うんこから作る
酒があるというが……サトハの
説明聞いたら飲みたくなったぞ(^^)
酒があるというが……サトハの
説明聞いたら飲みたくなったぞ(^^)
>>1です。 韓国のトンスルですね。 あれは子どもの便を使うようですが…
そういえば、本編の(臨海女子~阿知賀編)のその14で、智葉が新幹線の中でトンスルについて解説する場面がありましたね。
思わず読み返してしまった。
そういえば、本編の(臨海女子~阿知賀編)のその14で、智葉が新幹線の中でトンスルについて解説する場面がありましたね。
思わず読み返してしまった。
その44.~アンデルセン童話「うんこ姫の恋」(前編)の巻~ ※シリアス
“「うんこ姫の恋」・・・”
“それは、美しくもそこはかとなくうんこ臭い、一つの愛の物語・・・・・”
海のはるか沖、水がまるで紺碧の絵の具で塗りつぶしたように青く、透き通ったサファイヤより澄んでいる南の海・・・
そんな天国のように美しい所に、うんコロボックルたちの住む島、“永遠のうんこ島”(エターナル・エクスクレメント・アイランド)はありました。
そこには、この世で一番不思議で美しい木や草花が生えています。
花と花の間を、極彩色の蝶たちがひらひらと妖精のように舞い、カワセミよりも綺麗な小鳥たちが歌を歌い、おだやかで心地良い南風が優しく吹き抜ける・・・
そんな楽園のように美しい島の中央に、うんコロボックルの王様・うんこ王の宮殿がありました。
その王城の壁はサンゴでできていて、窓は琥珀、屋根はホタテ貝でふいてあり、風によってカタカタと貝が揺れて心地よい音楽を奏でていました。
ただし、その素敵な宮殿に住んでいるのは、すべてマキグソ型のうんこの妖精、うんコロボックルたちでした。
モモ「はあ… 今日もこの島は平和っすね…」ボーッ・・・
宮殿の窓から、うんコロボックルのお姫様が顔を出して、道行くうんこの民たちを眺めていました。
カオリ「モモちゃん? 何をたそがれているの?」スッ
http://lohas.nicoseiga.jp/thumb/1430567i?
モモ「あ、かおりんお姉さま」
現れたメガネをかけたうんこ・・・ 彼女は、うんコロボックル四姉妹の三女、カオリでした。
名前の通り、彼女は実に芳しくほんわかとした素敵な香りのうんこのお姫様でした。
カオリ「今日は下で舞踏会を開いているのに… モモちゃんの姿が見えないから、探しに来たんだよ」
モモ「・・・よく存在感の無い私を見つけられたっすね…」
カオリ「だって、私、モモちゃんのおねーちゃんだもの。 ほら、素敵なうんこさんたちがたくさん集まってるよ? モモちゃんも参加しようよ?」スッ
モモ「私は遠慮しとくっす。 大広間にあんなにうんこばっかり集まって踊り狂ってるのを見ると、気分が悪くなってくるんっす」
カオリ「え、そんな…」
サトミ「やれやれ、困ったもんだなー、モモは」ワハハ
モモ「蒲原お姉さま…」
次に現れたのは、口がカマボコのような形をしたマキグソ、うんコロボックル四姉妹の長女サトミでした。
彼女はボディーが茶色一色ではなく、ところどころオレンジ色だったり、緑だったり、青かったりしていて、さらにエノキやトウモロコシがはみ出しているのが見えました。
俗に言うグラディエーションうんこです。
サトミ「お前はただでさえ影が薄いんだから、もっとこう、なんて言うんだ… 社交的にならないとダメだぞ?」
モモ「ほっといて下さいっす。 私はうんこなんか嫌いなんっす。 うんこなんか下劣で汚らわしい下等な生き物っす」
うんコロボックル四姉妹の末っ子モモは、うんこでありながらうんこを嫌っていました。
そう、人間にも人間嫌いな人がいるように、やはりうんこにはうんこ嫌いのうんこもいるのです。
サトミ「そんなことはないぞモモ? うんこは見た目はちょっとアレかもしれないが、この世で最も気高い生き物なんだぞ」ワハハ
サトミ「何しろうんこはこの世界の全ての生き物の母のような存在なんだからな… うんこが無くてはこの世は成り立たないんだぞ?」
ムツキ「うむ」
いつの間にか現れたもう一人のうんこがサトミの言葉に相槌を打ちました。
彼女はうんコロボックル四姉妹の三女で、そのボディーはまるで墨汁を流したように真っ黒でした。
医学用語でいうタール便… 恐らく彼女の生産者の胃か食道に潰瘍があったのでしょう。
モモ「そんな屁理屈はどうでもいいっす。 私は醜い生き物は嫌いなんっす」
カオリ「そんな… 私悲しいな… モモちゃんがうんこの美しさやかわいらしさを分からないなんて…」
三人の姉たちは、いかにうんこが誇り高き聖なる存在であるかを説いて聞かせましたが、モモはもう耳を貸しませんでした。
モモ(・・・私のお姉さまたちは、自分がうんこであることを恥ずかしくないんっすかね…? 私には考えられないっす)
モモ(どうして、私はうんこなんかに生まれてきちゃったんっすかね… どうせ生まれてくるなら、小鳥とかイルカとか猫とか人間とか、もっと見た目がいい生き物に生まれたかったっす…)
自分自身に自信を持てないうんこ姫モモは、時々こうして自分の運命を呪いながら、ため息をつくのでした。
・
・
・
そんなある日、島に嵐がやってきて、海は一晩中強者の集う雀卓のように荒れ狂っていました。
うんコロボックルたちは強い風や水が苦手ですので、皆お城の中で震えていました。
そして、あくる日… 浜辺には、沢山の流木やら海藻やら空き缶やらレジ袋やらが流れ着いていました。
モモ「随分いろんな物が落ちてるっすね…」テクテク
好奇心旺盛で冒険心のあるモモは、早朝、誰よりも早く起きて、そんな浜辺を散歩していました。
そして、一隻の大きな船が座礁しているのを発見したのです。
モモ「まるで物語に出てくる海賊船みたいな立派な船っす。 中にお宝があるかもしれないっす!」
モモは、その船に乗り込んでみました。 ところが、中はボロボロに壊れており、乗組員の遺骸があちこちに転がっていて、まるで地獄のような有様でした。
モモ「うわぁ~… お気の毒っす…」ナンマンダブナンマンダブ
と、その時、
ウ、ウウゥ・・・
モモ「!?」
うめき声が聞こえ、振り返ると… そこには、身分の高い高貴な衣服に身を包んだ人間の少女が、ぐったりと甲板の壁にもたれかかっていたのです。
ゆみ「ぐ、うぅ・・・」
モモ「! こ、この人… まだ生きてるっす!」
モモは急いで城に助けを呼びに戻り、三人の姉を連れてきました。
サトミ「ひえぇ… こりゃ本当にヒドいな…」ワハハ
カオリ「昨日の嵐で遭難したんだね…」
ムツキ「うむ」
モモ「お姉さま! こっちっす!!」タタタ・・・
ゆみの元へ三人を案内したモモ…
ゆみ「……」グッタリ
サトミ「あー… こりゃもう助からないな」
カオリ「ひどく衰弱して… ケガもしてるね」
ムツキ「うむ」
モモ「そ、そんな… そんなこと言わないでなんとかして助けてあげて下さいっす!」
サトミ「・・・何を言ってるんだ? モモ?」
モモ「え?」
サトミ「人間はこの世で最も邪悪な生き物なんだぞ? そんな奴を助けてどうするんだ?」
モモ「え、だって、か、かわいそうっす…」
カオリ「モモちゃん… 人間はね、海や空気を汚し、自分たちのことしか考えずに他の生き物たちを殺したり弄んだりしてる、すごく悪い人たちなんだよ?」
サトミ「それに人間たちは私たちをいつもコケにし、バカにする… つまり私たちの敵なんだ」
サトミ「どうして敵をわざわざ助けなくちゃいけないんだ?」
ムツキ「うむ」
モモ「……」
モモ「そんなこと今は関係ないっす! 目の前に死にそうな人がいるのに、それを助けないなんて・・・おかしいっす!!」=3
サトミ「な、なんだ、モモ? どうしてそんなにこの人間にこだわるんだ?」
モモ「そ、それは・・・///」
モモは、少しキマリ悪そうに顔を赤らめて、うつむきました。
というのも、モモは、その人間の見た目・・・ 眉目麗しく美しいその姿に魅かれていたのです。
サトミ「とにかく私たちは協力しないからな」
カオリ「モモちゃんもあきらめて、早く戻っておいでよ?」
ムツキ「うむ…」
三人の姉たちは、モモを置いてお城へと帰ってしまいました。
モモ「・・・も、もう、お姉さまたちなんかいなくても、私だけで助けてみせるっす! せーっの、うんこらしょっと・・・!!」ウンショ…
モモは、必死で、自分のボディーの何倍もあるその人間の体を背負い、島で唯一の病院へと運んでいきました。
・
・
・
~荒川病院~
ケイ「え? 困りますねぇ~、うちは人間の治療なんかやってませんよーぅ?」
そのナースキャップをかぶったうんコロボックルは冷たく言い放ちました。
モモ「そ、そこを、なんとか・・・」ゼーゼー・・・
ケイ「そうは言っても… 仮に治療して治ったとしても、人間はうんこを嫌っとるからねぇ… 多分ビックリしてお金も払わずに逃げてくで」
モモ「お、お金なら私が払うっすから! お願いです! この人を助けてあげて下さいっす!!」
モモの必死の嘆願により、やっと、一番粗末な病室を使っても良いことになりました。
しかし、これといった治療をしてもらえるわけではなく、与えられたのは点滴のセット一つだけでした。
モモ「…みんな冷たすぎるっす… でも、私はあきらめないっす! 絶対この人の命を救ってみせるっす!!」
モモは、その病室に泊まり込んで、つきっきりでゆみの看病をするようになりました。
毎日点滴の交換をし、傷の包帯を替え、体を拭いてやり、下の世話までかいがいしくしてあげました。
三人の姉たちはそんな妹をあきれ顔で見ていました。
彼女たちは、きっと、モモはまだ子どもだから、ママゴトをする人形を手に入れたような気分なんだろう、と考えていたのです。
しかし、モモはそんな遊び気分でゆみの世話をしているわけではありませんでした。
そう・・・ 彼女は、人間の少女に恋をしてしまっていたのです。
ゆみは初めこそ生死の境を彷徨うほどの重症でしたが、モモの必死の看病のかいあって、徐々に体は回復していきました。
しかし、それでもなかなか目を覚ましませんでした。
スース―と、毎日ただ静かに眠り続けていました。
モモは、そんな風に眠っているゆみの顔を、うっとりとして見つめました。
モモ「綺麗な人っす… 長いまつ毛… 白いきめ細かな肌… しなやかな髪… つんと伸びた鼻筋…」
モモ「そして、真珠みたいになめらかな、朱い唇・・・///」ゴクリ
モモは、思わずその美しいゆみの唇に自分の口を合わせようとしましたが、ハッと思いとどまり、病室の鏡の前に立ちました。
その鏡の中では、もっさりとした茶色いうんこボディーが憎々しげにモモの方を見ていました。
モモ「・・・ああ… 私も人間の体だったら、良かったのになぁ…」ハア
モモは小さくため息をつきましたが、無言でゆみの点滴の空袋を外し、また新しいものと替えてやるのでした。
そして、ついにゆみが目を覚ます時がやってきました。
その時、モモはいつものようにゆみの傷の包帯を替えてやっていたのですが、ゆみが一瞬痛そうに顔をしかめ、次の瞬間に、パッと目を開いたのです。
ゆみ「・・・ん? ここは・・・」
モモ「!?」バッ!
ゆみ「え?」
モモは、咄嗟にそこにあったサロンパスでゆみの目を塞ぎました。
自分のうんこボディーをこの愛しい人間に見られたくなかったからです。
ゆみ「な、なんだ? ここは、一体…」
モモ「シッ! 静かにして下さいっす。 ここは病院です」
ゆみ「・・・ああ、そうか、船が難破して… 私は死んだものと思っていたが、助かったのか。 他の仲間たちは…?」
モモ「お仲間さんたちは皆お亡くなりになったっす。 助かったのはあなた一人っす」
ゆみ「そうか… 君が私を助けてくれたんだな? どうして目を塞ぐんだ?」
モモ「・・・それは聞かないで欲しいっす。 あなたに見られたくないモノがあるんっす…」
ゆみ「… 分かった。 私はツルガ国王妃、加治木ゆみだ。 せめて… 君の名前を教えてくれないか?」
モモ「・・・ モモっす。 それ以外のことは教えられないっす…」
ゆみ「モモ… そうか、美しい名前だな。 助けてくれてありがとう」ニコッ
モモ「…!///」
ゆみの口角がゆっくりと上がりました。
モモは、愛しの君が自分を褒めてくれたと思うだけで、まるで天にも昇るような気分でした。
それから、ゆみは目隠しをされたままですが、モモに色んな話をしてくれました。
彼女は一国の王妃でありながら、船で世界中のいろんな所を回っている冒険家なのでした。
北の海に浮かぶ野球場のように大きい氷の山のこと、ここよりもっと南の国の密林に潜む恐ろしい猛獣のこと、雲より高くそびえる山の頂上で咲く花のこと、そしてニホンという国に潜む悪鬼羅刹のような雀鬼たちの火花散る闘いのこと・・・・
モモは、ゆみのそういった未知の世界の話を、瞳を輝かせて熱心に聞きました。
どこへ行っても鼻つまみものにされるうんコロボックルであるモモは、自分の島以外の世界にはほとんど行ったことがなかったのです。
モモ「すごいっす。 私もそのニホンに行って… 大魔王のコークスクリューや迫りくる怒涛の魔乳っていうのを見てみたいっす!」
ゆみ「ハハ… 君は本当に世間知らずなんだな。 どこかの辺境の国の箱入り娘なのかな?」
モモ「…そんなところっす」
ゆみ「それにしても君は、本当に美しい声をしているな。 世界中を回ってきた私でも、君のように美しい声で話す人を私は知らない」
モモ「・・・そ、そんなこと、ないっす///」
ゆみ「きっと君は、私が見たこともないような美しい姿をしているんだろうな…」
モモ「…//////」
ゆみ「ひと目でいい。 この目のサロンパスをはずして、君の姿を見せてくれないか?」
モモ「・・・・それは、できないっす・・・」
ゆみ「… そうか。 分かった、無理にとは言わないよ」
モモも、本当は目隠しをはずしてあげたいのです。
この美しい人間の瞳を見ながら、あ互いに微笑み合うことができたら、どんなに良いでしょう。
しかし、もしゆみが、モモがうんこであることを知ったら、どうするでしょうか。
もう、口などきいてくれるはずはありません。
それどころか、怒り狂って病室を飛び出して行ってしまうかもしれません。
モモ「はあ… どうして私は人間に生まれてこなかったんっすかね…」
それを思うと、モモはまたうんことして生まれてきた自分の運命を呪い、ため息をつくのでした。
目を覚ましてからのゆみは、ぐんぐんと元気になり、自力で歩けるまでに回復しました。
そして… やはり、自分の国に帰りたいということを口にするようになりました。
ゆみ「命を助けてもらったうえに、これ以上頼みごとをするのは気が引けるのだが…」
ゆみ「私を開放してもらえないだろうか。 国にいる部下や仲間たちが私のことを心配していると思う」
モモ「……」
モモは、ゆみが一人で動いたり目隠しをはずしたりできないように、彼女の手足を拘束していました。
モモ(開放して国に帰してしまったら、もう二度と私はこの人と話をすることはできないっすよね…)
モモ(何しろ私はうんこなんですから、会いに行っても追い返されるに決まってるっす)
モモ(こうなったら… この人の脚でも折ってしまおうっすかね…?)
モモ(そうして不具にしてしまえば、私は、一生この人のそばにいることができるっす…)スッ
目隠しをしてベッドに拘束されているゆみの前で、無言で立ち上がったモモは、そこにあったバールのような物を手にしました。
モモ(・・・これで、ひとおもいに、この人の脚を・・・)ギラッ
横たわるゆみの前で、バールを振り上げたモモ・・・・
ゆみ「… どうしたんだ、モモ? なぜ黙っている?」
モモ「…!」ハッ
ゆみの声で目が覚めたモモは、静かにバールをおろし、ハーハーと肩で息をしました。
モモ(な、何をしてるんっすか、私は… この人を傷つけようとするなんて…!)
モモ(・・・やっぱり、あきらめるしかないっす… 私は、この人を不幸にはしたくないっす…)
モモは、ゆみに気づかれないように一人涙を流しながら、ゆみを国に帰す決心をしました。
・
・
・
それから3日後の満月の晩、モモはゆみを小舟に乗せ、オールを漕いで静かな海を進んでいました。
モモ「ツルガ国までお送りすることはできないっすけど…」キーコキーコ
モモ「他に人のいる島まで送ってあげるっす。 そこからは、自力でツルガまで戻って下さい」キーコキーコ…
ゆみ「ああ、それで十分だよ。 恩に着る」
小舟は、静かに島の浜にへさきを着けました。
この島は、うんこではなく人間が住んでいる島です。
モモ「・・・着いたっす。 私は引き上げるっすから、水音がしなくなったら、その目隠しをはずしてもいいっすよ…」
ゆみ「ありがとう… これだけ世話になった人に、なんのお礼もすることができないのは心残りだが…」
ゆみ「私は一生、君のことを忘れないよ。 君のその美しい声… いつかまた、聞かせてくれないか?」
モモ「・・・・・」キーコキーコ・・・
ゆみの言葉に応えず、無言でオールを漕ぎ始めたモモ…
そして静かに岩の裏に回ると、漕ぐのをやめ、そっとゆみの方に向き直りました。
ゆみは砂の上に腰をおろしてしばらくジッとしていましたが、おもむろに顔に手をやると、ペリペリと目隠しのサロンパスをはずし、まぶしそうに満月を見上げました。
その姿を見て、モモはハッと息を呑みました。
初めて見るゆみの瞳が、まるでエメラルドのように澄んだ、凛々しく美しい光彩を放っていたからです。
モモ(あ、あぁ… キレイっす…/// あんな瞳で見つめられたら、私もう、死んでも悔いはないっす…!///)
ゆみは少しだけきょろきょろと辺りを見回していましたが、スッと立ち上がると、浜辺の上の方へと歩いていきました。
そこには、大きな白い教会が建っていました。
ゆみがトントンと入り口をノックすると、中から、小柄ですがとてつもなくボリューミーなおもちをおもちの美少女が現れました。
ユキ「…どうされました?」
ゆみ「夜分にすまない。 実は道に迷ってしまったのだが…」
ユキ「まあ、それはお困りでしょう。 どうぞ中に入って休んで下さい」スッ
ゆみ「ああ、ありがとう」ニコッ
ゆみはそのシスターの少女に微笑みかけると、中に入っていきました。
モモは、その様子を、歯ぎしりしながら眺めていました。
あの優しい微笑みは、本当は自分に向けられるべきだと思ったからです。
モモは、ズキズキと痛む心を抱えながら、また小舟を漕ぎ、自分の島へと帰っていきました。
・
・
・
モモはもともと、うんこ嫌いで周りとコミュニケーションをとることを避けながら生きてきました。
しかし、あの麗しい王妃様と別れてからというもの、モモはいっそう、自分の殻に閉じこもるようになりました。
四六時中、お城の窓際に座って、ボーッと外を眺めているようになりました。
彼女の三人の姉たちはそんな妹を心配し、漫画やら美味しいケーキやらプロ麻雀せんべいカードやらを持ってきて気を引こうとしましたが、モモはもう、そんな姉たちに目もくれませんでした。
モモ(…今頃あの人は、何をしてるんっすかね…)ボー…
モモ(あの綺麗で優しい微笑みを、他の女たちに振りまいてるんっすかね…)
モモ(・・・一度でもいい。 あの人と目を見つめ合いながら、微笑みをかわしながら、おしゃべりをしてみたいっす…)
モモは、ゆみを帰してあげる時は、もうゆみのことを忘れるつもりでいました。
しかし、そう思えば思うほど、モモの頭の中には、ゆみの優しい声とあの素敵な笑顔が浮かんでくるのでした。
モモ(・・・もう我慢できないっす…! 私は… 悪魔に心を売ってでも、あの人を自分のモノにしたいっす!!)
…それは、お城でまたうんこたちのダンスパーティーが開かれている夜のことでした。
モモは、一人こっそり城を抜け出し、島のはずれの暗い森の中へと入っていきました。
その森の奥に棲まう、恐ろしい魔女に会うためでした。
モモ「あの人なら… もしかすると、私を人間にしてくれるかもしれないっす…」ハアハア
モモは一人ランプをかかげ、つたに足を取られたり、オオカミの吠え声におびえたり、コウモリの群れを必死で振り払ったりしながら、暗い森の中を進んでいきました。
その魔女は、何百年も生きていると言われる老婆で、モモは子どもの頃から、あの魔女にだけは会ってはいけないと何度も大人たちから言い聞かされていました。
魔女には5人の部下たち… マヨヒガ、座敷童子、ボンバーマン、大天使、ちょーおっきぃヒト、という恐るべき妖怪たちがいて、来る者を取っては食ってしまっていたのです。
しかし、幸いなことに妖怪たちは皆その時麻雀に興じており、モモは警護をすり抜けて、その魔女の屋敷に入ることができました。
まさに、モモの必死な思い… どうしてももう一度ゆみに会いたいという強い思いがあったからこそ成せる業でした。
トシ「ん…? なんだいあんた、ナニしに来たんだい」ズルルルゥ~・・・
その魔女は屋敷の居間で、カップラーメンをすすりながらテレビを見ていました。
モモ「…あなたにどうしてもお願いしたいことがあって、やって来たんす…」
モモ「お願いっす! この私を・・・ 人間にして欲しいっす!!」カッ
トシ「ほお…?」ニタリ
その魔女は、モノクルを妖しく光らせながら、顔中の皺を不気味に蠢かせて嗤いました。
(続く)
その45.~アンデルセン童話「うんこ姫の恋」(後編)の巻~
トシ「ほお…?」ニタリ
トシ「ククク…w お嬢さん、しかしどうして人間なんかになりたいんだお?」
モモ「ヘ? だお?」
トシ「あ、すまんね/// ちょっと、口の中に、麺が… かんじまったよ///」モグモグ
モモ「……」
トシ「そ、それで、どうして人間なんかになりたいんだい?」
モモはその魔女に、今までのことを話して聞かせました。
難破した船から一人の人間の少女を救い出したこと…
看病のかいあって、彼女は元気になったが、人間の世界に戻っていってしまったこと…
そして、モモはその少女に恋をしてしまっていること・・・
モモ「どうしても… どうしても私はあの人を自分のモノにしたいんっす!」
トシ「それならコクりゃあいいじゃないかい。 お前はその子の命の恩人なんだろう? 無下にはしないだろうさ」
モモ「え、でも… 私は、その、うんこっすから…」モジモジ
トシ「私はカワイイと思うけどねぇ… あんたのその引き締まったハリのあるマキグソボディは…」
モモ「そ、それでも私は人間がいいっす! うんこなんかじゃ… あの人の心を射止めることはできないっすよ!!」
トシ「人間なんかになっちまったら、あんたの親や姉妹たちが泣くことになるよ。 それでもいいのかい?」
モモ「いいっす… 私は、自分の恋に生きたいんっす!」
トシ「そこまで言うなら、願いを聞いてやらなくもないが・・・」
トシ「お代として、あんたのその綺麗な声をもらうことになるけど、かまわないね?」
モモ「え?!」
モモ「こ、声…? 声はちょっと… 勘弁して欲しいっすけど…」
モモは、ゆみが自分の声を美しいと褒めてくれたことを思い出しました。
それに、声を奪われてしまっては、もう二度とうっすうっす言うことはできないわけです。
トシ「あんたはこの島の中で一番イイ声をしている… 誰もが聞き惚れるほどのね…」
トシ「あたしゃね、お前が持ってる一番いいものが欲しいんだよ。 それが無理なら、この話は白紙だね」フン
モモ「・・・わ、わかったっすよ! 私の声をあげるっすから・・・人間にして下さい!!」
トシ「ふふ…w それなら、人間になれる煎じ薬を作ってやろうかね…w」ヌギヌギ
魔女は、何故かおもむろに服を脱ぎ始めました。
モモ「え? は? な、何をしてるっすか?」
トシ「いいかい、煎じ薬には、このあたしの体の貴重なエキスを入れなきゃいけないんだよ」ヌギヌギ…
モモ「・・・???」
魔女はさっさと全裸になると、部下のボンバーマンに沸かせたお風呂に入っていきました。
そして、しばらくすると…
トシ「ふぅ… いい湯だったよ…」ポカポカ
モモ「… あ、あの… 魔女さん、煎じ薬は…?」
トシ「ああ、それならコレだよ」トン
モモ「は?!」
魔女が机の上に置いた物・・・ それは、コップに入った一杯の濁った汚らしいお湯でした。
お湯「…」ムワァ~ン…
モモ「こ、これは…?」
トシ「これは私が入浴した風呂の残り湯を煮詰めたものさね。 俗に言う“還暦汁”ってヤツさ」ニタリ
モモ「は、はあ・・・??」
トシ「この湯には神秘の還暦エキスがタップリと入っている… その薬効は折り紙つきさw」ニヤニヤ
モモ「……」ジリッ
モモは、思わずニ、三歩ほど後じさりをしました。
血色の良い健康的なその茶色いボディは、青白く変色し、カタカタと震えていました。
嗚呼、なんということでしょう…
人間になるには、これほどまでに恐ろしい液体を飲まなくてはいけないのでしょうか!
トシ「どうしたんだい? 飲まないのかい?」
モモ「・・・ほ、本当に、これを飲めば、人間になれるっすか?」
トシ「ああ、なれるともさ。 ただし、それと同時に、あんたはオシのようにしゃべれなくなるがね」
トシ「それと… この薬の効力はきっかり24時間だ。 24時間経ったら、またあんたはうんこに戻っちまうからね」
モモ「は、はあっ!? そ、そんなの聞いてないっすよ?!?」
トシ「そりゃ今初めて話したからねぇ。 ・・・ただ、一つだけ、あんたが一生、人間でい続けられる方法があるさね」ニヤ
モモ「え、えぇ…? それは…?」
トシ「それは… あんたが、その意中の王女とやらと、結婚することさ」
モモ「…!///」
トシ「もし、その王女がお前のことを抱き、お前を妻として、一生お前と一緒にいる… と誓ったならば、お前は完全に人間になり変わることができるのさ」
トシ「ただし… もしそれができなければ、お前は24時間後にうんこに戻ってしまう…」
トシ「そして、もし仮に他の女がその王女と結婚してしまったら、お前はその翌朝には、体がバラバラに砕けて死ぬことになるのさ」
モモ「そ、そんな…」カタカタ
トシ「いいかい、超常なる魔女の力を借りたいんなら… それくらいのリスクは必ずついて回るもんなんだよ」
トシ「お前が命を賭してその王女を手に入れる・・・という覚悟がないのなら、大人しく今まで通りの安穏とした生活を送った方がいいだろうさ」
モモ「………」
モモは、病院で過ごしたゆみとの日々を思い出していました。
そして、月の下で見たゆみの美しい瞳を思い出していました。
あの瞳に見つめられ、そして見つめ返しながら、ゆみと愛を語り合う自分を想像しました。
たとえ、命をかけても… モモの選択は一つしか有り得ませんでした。
モモ「・・・分かったっす。 それでもいいっす! 私は… 人間になって、必ず24時間以内にあの人と結婚してみせるっす!!」カッ!
トシ「ふふ…w そこまで言うなら止めないよ。 私の還暦汁を飲むがいいさ」
モモ「の、望むところっす!」バッ
モモは、還暦汁を手に取ると、ゴクゴクと喉を鳴らしながら飲み始めました。
胸がムカムカするほど気持ちの悪い液体でしたが、モモは一度も止まることなく、一気に飲み干しました。
そして、最後の一滴が口の中に落ちるのと同時に、モモは気を失い、その場に倒れてしまったのでした…
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