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    元スレ京太郎「この子が許嫁?…かわいくていいじゃんw」

    SS+覧 / PC版 /
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    101 = 1 :



    「え?」きょとん


    「あの、大丈夫ですか?」

    「汗が凄い事になってますが」

    「あら……本当ね」たら

    「大丈夫よ。ちょっと熱くなっちゃったみたい」ふう

    「暑くって、まだ5月なのに……」

    「あ! 須賀くん動きますよ! それに祠の扉、閉まってる!」

    「須賀くんが閉めてくれたのかな? 見逃したかも……」

    「それにしてもあの祠、どうしてひとりでに開いたんでしょうね?」

    「何だか須賀くんもしばらく固まってたし……」

    「さあ、どうしてかしらね。まあ気にしなくてもいいでしょう」

    「それよりも、須賀くんが動いたって事は小蒔ちゃんと二人になるという事。追いましょう」すたすた

    「は、はい」たたっ


     た、た… 


    「……気のせい、だよね」


    ――


    京太郎「……冷静に考えると、エラい目にあったな」すたすた


    小蒔「須賀くんっ!」たたっ


    京太郎「! 神代さん」

    102 :


    小蒔「お掃除、お疲れさまでした」

    小蒔「そしてお礼を言わせて下さい。広いから大変だったでしょう?」

    京太郎「はは。色んな意味でね……」

    小蒔「え?」

    京太郎「な、何でもありません」

    小蒔「それじゃあ、参拝しましょうか!」

    京太郎「……はい」

    小蒔「まず向こうの手水でお手を清めて――…」


    ――


    小蒔「こうして拝殿の前に立ったら」

    小蒔「姿勢と服を正して、二回おじぎをして――…」

    京太郎「……」


    京太郎(何を、願うべきか)


    京太郎(……)ちら


    小蒔「最後に、もう一度深い礼をして――…」


    ~~

    「須賀くんがこれから会って、生涯を共にするのは、霧島神鏡の姫」

    「果てしなく次元の違う相手」

    ~~


    京太郎(神代さん……)

    103 = 1 :


    京太郎(ふと、神代さんのことを考えた)

    京太郎(神代さんは、生まれた時から神様に奉職していて)

    京太郎(死ぬまでずっとこの場所で暮らす事を決められている)

    京太郎(神代家は女系だから婿を取り、その婿は)

    京太郎(ふさわしい者じゃなければ、俺のように神様の意思によって元の場所に返される)

    京太郎(そこに神代さんの意思が介在する余地は無い)

    京太郎(……)

    京太郎(……もしかしたら、この場所で暮らしてる他のみんなさえも――…)


    ~~

    小蒔「ごめんなさい、よくわからないんです。こういう事」


    小蒔「ただ、これが仕来りなので……」


    ~~


    京太郎(妙な気分だ)

    京太郎(この言いようのない感情を、どのようにして抑えればいいのか)

    京太郎(……ああ。それこそ、神頼みだな)


    京太郎(神様)


    京太郎(どうか神代さんや、みんなが――…)

    104 = 1 :


    小蒔「――…」

    105 = 1 :



    小蒔(っ……)

    小蒔(何でしょう。今、凄く心が満たされたような……)

    小蒔(……)ちらり


    京太郎「……」


    小蒔(須賀くん、何だか凄く真剣な顔……)

    小蒔(うううう……緊張してきました)ごそ…


    小蒔(このお弁当、どういうふうに渡しましょう……?)


    小蒔(もっと須賀くんと仲良くなるために……)

    小蒔(お昼はこの境内でお弁当にしましょう! と、思い立ったはいいものの……)

    小蒔(作ったお弁当が失敗してないか、春に味見してもらうだけで)

    小蒔(須賀くんをどういうふうに誘えばいいのか、まるで考えてませんでした……うう、頭がこんがらがってしまいます)

    小蒔(こんなことならあらかじめ霞ちゃんに助言を貰っていれば良かったです……)

    小蒔(――いえ、霞ちゃんにばかり頼ってられません。想像しなきゃ)

    小蒔(こんな時、霞ちゃんならどう誘うか――…)


    小蒔「す、須賀きゅっ!」


    小蒔(噛んじゃいました――!)かぁぁ

    京太郎「……は、はい」

    京太郎「どうしたんですか? 神代さん」

    小蒔「えっと、えっと――…」

    小蒔(ああああ……どどど、どうしましょう)

    小蒔(こんなところで……)


    106 = 1 :


    小蒔(これから一生を共にする人に、こんなところで呆れられるわけにはいかないのにっ!)


    107 = 1 :

    3. おわり

    訂正 >>101
    「それよりも、須賀くんが動いたって事は小蒔ちゃんと二人になるという事。追いましょう」すたすた

    「それよりも、あの人が動いたって事は小蒔ちゃんと二人になるという事。追いましょう」すたすた

    108 :

    霞がやってることって結構ヤバいよな

    109 :

    石段とか有るし普通に死にかねんよね

    110 :

    霞なりの信念があるのはわかるけどやりすぎのような

    111 :

    須賀と神代って書くと別のおもいだすな。
    あっちはたしかかじろって読ませてたけど。

    112 :

    乙ー
    姫様本人の意思と正反対のことをしてると気づくときが来るのだろうか

    113 :


    姫が須賀に対して頑張ろうとしてる以上、むしろ神様的にも神罰もんだろこのメンヘラ巫女

    114 :

    雰囲気いいなぁ
    おっぱいお化けが絆されるのはいつのことか

    115 :

    乙次も楽しみにしてるぜ

    116 :

    乙ぱい

    117 :

    神の名を語る人って創作において大抵ろくな目に合わないよね

    120 :

    神を騙って神意を捻じ曲げた霞さんにどんな天罰が下るか楽しみ

    121 :

    続きが気になって発狂しそう

    122 :


    霞さん、巫女的に神の名を騙るってどうなの
    おまけにお膝元でやるとか正気かw

    123 :

    神を騙るような真似しながら姫様呼びしているあたり詰めが甘いというかなんというかw

    124 :

    伝統ある家ならば世継ぎは必要だし世が世なら霞の考えなんて関係なく結婚させるのに敢えて霞の意見を聞いてやろうって好意で言うてくれてんのに神を騙って追い出そうとかバレたらどうなんのかwktk

    125 :

    霞さんの企みがバレる→京太郎がかばう→霞さんか京太郎に惚れるって展開だろ ハーレムの下準備だよ

    126 :

    それはそれでとにかくよし!

    127 :

    永水のssは雰囲気良いの多くていいね
    期待してます

    128 :

    姫様かわいいし面白い
    続きが気になります

    129 :

    霞さんあかんでしょ

    130 :

    もう(続きが)待ちきれないよ!早く出してくれ

    131 :

    >>130
    ガチで臭い

    132 :

    はよう姫様を泣かせたい

    133 :

    はよエロ書かんかい

    134 :

    おっそいなー
    途中で投げそう

    135 :

    まだ一週間も経ってないのに

    136 :

    触らないほうがいい

    137 :

    最序盤でスローペースな京太郎SSはエタ率高いよな

    138 :

    コンナニ語ってドウセ須賀京太郎様と狩宿巴さんの二人避雷針回しコンボだろ

    結末見える

    オマケ

    桃鉄で神代小蒔ちゃんにビンタした無能三名処女膜を捧げる準備OK【狩宿巴さん永い性器破壊発動】

    弘世菫様ディル姫英霊神超越EX隠さなくても好いのに

    早く聖杯に戻って須賀京太郎様イチャコラ

    そして我様は漸く下界と天界を行き来出来た目出度し芽出度し

    時臣英霊化希望300年英霊王と300年ニート姫葵さんとダメル我様希望

    この頃最近王頭高くねエジプト我様~盗んだ泥棒王

    五次英霊弱すぎて現代的状態で闘っていた我様wwwwww

    我様の武勇伝面白すぎwwwwww

    139 = 138 :

    黒糖は黒糖とロッカー自演でニヤケル

    はっちゃんは狩宿巴さんのスレを荒らしてニヤケル

    霞さんはBBA恥さらし生き残りにダメな部分似ているの狩宿巴様の迷惑に成らないようにして下さいね


    ・・・この無能六人女仙人達きつい【三名】【半分無能残り二名宿題代行】

    駄目だ白糸台一軍チートに勝てる未来が見えない

    狩宿巴さんは巨乳なんやで【事実神代小蒔ちゃんを膝枕状態で美巨乳で凄い貼りの胸だった】

    霞さん垂れるはっちゃん豚小屋黒糖黒糖自演駄目だ二名以外白糸台一軍チートに加えるプラン思いつかないorz

    俺はコンマで微笑む

    140 :





    小蒔「お……」




    京太郎「神代さん?」ぴく

    小蒔「……お」

    小蒔「お掃除も終わったと思ったら、いつの間にか」

    小蒔「お昼に差し掛かろうという時間帯になってしまってましたね」

    小蒔「おなか……す、すいてないですか?」ちら

    京太郎「……うーん、確かに結構腹減りましたね」

    小蒔「!」

    京太郎「じゃあ、そろそろ屋敷に戻りますか?」

    京太郎「居候の身で図々しいですが食べるものはありそうですし」

    小蒔「……そ、それには及びません!」ごそごそ

    京太郎「???」


    小蒔「……………………こ、これを」すっ


    京太郎「包み……?」ぐっ

    141 = 1 :

     
     ひゅる ひゅる

    京太郎「……これは、弁当?」


    小蒔「……………………はい」かぁぁ


    京太郎「え、っと……」

    小蒔「……」

    小蒔(須賀くん、戸惑ってる……?)

    小蒔(知り合って間もない私がお弁当を用意する……それが変に思われてるんでしょうか……?)

    小蒔(これってもしかして、行き過ぎた真似をしちゃったんじゃ……)ぎゅっ


    京太郎「ほ、ほんとに頂いちゃっていいんですか? コレ……」


    小蒔「……! いいんですかっ?」

    京太郎「へ?」

    京太郎「いいも何も……」

    京太郎「神代さんの手作り弁当ともなれば、食べない選択肢なんてあるわけないですよ!」

    京太郎「是非、食わせて下さい!」ずいっ

    小蒔「は……はい!」ぱぁ

    京太郎「でも、神社の中で食べても大丈夫なんですか?」 

    小蒔「あ、それは大丈夫ですよ。境内で食べてはいけない決まり事は、ここではないので……」

    京太郎「そうですか。じゃあ」

    京太郎「ありがたく……頂きます」にへらっ

    小蒔「……はい!」にこっ

    142 = 1 :


    京太郎(……やばいな)

    京太郎(手作り弁当渡されて、ときめかない男っているのか?)

    京太郎(ばち当たりかもしれないけど、神様には悪いけど、けど……これくらい別にいいよな……)


     ぱかっ


    京太郎「うわ。かわいい」

    小蒔「へっ!?」

    京太郎「お弁当の中身、めちゃめちゃかわいいですね!」

    小蒔「あっ、あっ……そ、そうですか? えへへ、そうだといいんですが……」

    京太郎(ご飯の上に、様々な色のふりかけがかかってたり)

    京太郎(タコさんウィンナー入ってたり……俺の好物のから揚げまで)

    京太郎(ん? これは何だ? 黒糖か……???)

    京太郎「マジで美味しそうです! 頂きます!!」ぱんっ


     がつっ…

     がつがつっ!


    小蒔(わぁ……)じぃぃ

    小蒔(凄く勢いよく食べてくれてます……なんか、照れちゃいますね)

    小蒔(……って)

    京太郎「~~っ!! コホッ、コホッ!」どどど

    小蒔「だ、大丈夫ですか須賀くん!? お、お水お水……」すす…

    143 = 1 :



    京太郎「ごく、ごく……」

    京太郎「ふうっ……」

    京太郎「スイマセン、みっともないトコ見せちゃって」

    小蒔「いえ、そんな」

    京太郎「神代さんのお弁当が嬉しすぎてウマすぎて、ついついがっついちゃいました」へへ

    小蒔「えっ!? ……あ、ありがとうございます」かぁぁ

    京太郎「……神代さんは、食べないんですか?」

    小蒔「あ、そ、そうですね。いただきます!」

    小蒔「……」ぱく

    小蒔「……」もぐもぐ

    京太郎「おいしいですね、神代さん!」

    小蒔「えへ……そうかもしれません」にこにこ


    小蒔(良かったぁ。お口に合ったみたいです)

    小蒔(春、味見してくれてありがとうございます!)


    ――


    「え」

    「小蒔ちゃん、いつの間にお弁当なんて……」じぃぃ

    「あれ? 霞さん知らなかったんですか?」

    「……知らなかったわ。巴ちゃんは知ってたって?」

    「まあ。どうも姫様は隠したかったみたいですけど、春と二人で台所でこそこそやってたの、全然隠せてませんでしたからね」

    「霞さんなら当然気付いていると思いましたが……」

    「姫様も、料理の事なら私に相談してくれてよかったのになぁ……」

    「……あらあら」

    (彼の動きを監視するのに気を取られすぎたかしら……)

    「ふふ。でも安心しましたね」

    「え?」

    144 = 1 :




    「あの二人」

    「結構、悪くなさそうじゃないですか?」



    「……そう見える?」

    「はい。だって姫様、笑ってられるじゃないですか」

    「笑って……?」

    「……」ちら




    京太郎「タコさんウィンナーとかタマゴ焼きとか、かわいい具が並ぶ中……」

    京太郎「何でポツンと黒糖が? 存在感ありすぎでしょ……」ぽりぽり

    小蒔「その黒糖は、春がお弁当箱の隙間を埋めるためにくれたんです」

    京太郎「春……ああ、滝見さんですか。へえ、隙間を……でも流石に黒糖入れるなんて聞いた事ないですが……風味があって、オイシイですけど」ごくん

    京太郎「ふう、ごちそうさまでした。めっちゃウマかったです」

    小蒔「えへへ、お粗末さまでした。そう言ってくれると嬉しいです」

    小蒔「それと、もし黒糖が気に入ったなら、春に頼めば分けてくれるかもしれませんよ?」

    小蒔「春は黒糖が好きすぎて、いつも持ち歩いている程ですから」

    京太郎「えぇ? はは、流石にそれはないでしょう。好きが理由で持ち歩くなら、俺だってタコス持ち歩きますよ」

    小蒔「タコスが好きなんですか? ふふ、それはまた珍しいですね」

    京太郎「好きになったのは本当に最近なんですけどね。ちょっとした縁で食べてみたら気に入りまして……」




    「……ふうん」

    「笑ってる……そうね」

    「……そう、ね。確かに、あの人と話してる小蒔ちゃん、ずっとにこにこしてる……」

    「……」

    「良かった」

    「え?」

    145 = 1 :


    「実は私、心配してたんですよ。許嫁の話を聞かされてからずっと、姫様は元気も落ち着きも無かったですから」

    「……ええ」

    「でもあの様子なら、安心しました。きっとうまくやれますよ、私たち」

    「……そう思うのね、巴ちゃんは」

    「ちょっと、羨ましいわ」

    「霞さんはそうじゃないと?」

    「……」

    「……ふう。どうやら本調子じゃないみたいですね、霞さんも」

    「当ててみましょうか? 姫様が自分の手から離れてしまうようで寂しいんでしょう?」にや

    「……外れよ」

    「なんだ、残念です」

    「けれど、そういう気持ちがないと言うと、嘘になるかもしれない」

    「自分でもわからないの。ただこの気持ちを一言で表現するなら」


    「私は――悔しいのかもね」



     ぽつっ…



    「!」


     ぽつっ ぽつっ




     ざぁぁ……




    「あら、雨が……」

    「降ってきちゃいましたね。さっきまで晴れてたのに……」

    「激しくはないですが大粒ですね。向こうの屋根がある場所に移動しましょうか」ざっ

    「そ、そうね。急がないとかなり濡れちゃうものね」ざっ

    146 = 1 :



    ――



     ざぁぁぁ……



    小蒔「雨――…」



    小蒔(……これは――…)

    京太郎「神代さん! 何そのまま動かずにいるんですか! はやく屋根の下に!」ぐいっ

    小蒔「はわっ!?」ぐぐっ

    小蒔(う、腕が引っ張られて……!?)

     たたっ

    京太郎「ふうっ。ココなら雨を凌げるな」

    京太郎「屋根もあるし、これ以上は濡れない筈だ」

    京太郎「――それにしても、びっくりしましたね、神代さん? 急に雨が降ってくるなんて」

    京太郎「さっきまでは晴れてたのに、不思議なものですね」

    京太郎「……あれ、神代さん? 黙っちゃってどうしたんですか? もしかして何か調子でも――…」くるり


    小蒔「……」


    京太郎(……あっ。腕掴んだままだった。神代さんめっちゃおとなしくなってる)

    京太郎「ス、スイマセン! 今はなします!」ぱっ

    京太郎「ごめんなさい、結構強く掴んじゃったかもしれません。腕、痛くなかったですか?」

    小蒔「い、いえ、痛くなんて……」

    京太郎「それに、よく見たらやっぱり少し濡れちゃってますね……」

    京太郎「風邪とかひいちゃったらマズイですよね……何か拭くものは……お!」ぴこん

    147 = 1 :


    京太郎「そういえば持ってきた荷物の中にタオルも入れていたんだった……」

    京太郎(神社はすぐそば・とは言え神代さんとのデート、だからな。ハンカチにティッシュ、勿論タオルも。基本的だけど気を抜かない装備で来た甲斐があったな)

    京太郎「神代さん。良かったら使って下さい」すっ

    小蒔「そ、そんな。気持ちだけで充分です。須賀くんも少しとはいえ濡れているんですから、そのタオルは須賀くんが使って下さい」ぐい

    京太郎「そういう訳にもいきません。俺なんか全然平気ですから、神代さんが使ってください」すっ

    小蒔「う、受け取れません! 須賀くんが使って下さい!」ぐいっ

    京太郎「う……」

    京太郎(こういうトコは結構強情なんだな)

    京太郎(だがこれで俺が自分にタオルを使ってしまったら、ダサいってレベルじゃないぞ。男として自分を軽蔑せざるをえない……!)

    京太郎(かくなる上は……)

    京太郎「神代さん! スイマセン! 我慢して下さい!」


     がっ


    小蒔「わぁっ!」ぽすん

    京太郎(かくなる上は、俺自身が神代さんを拭くしかない! このタオルを使って!)

    京太郎「ちょっと失礼します……! まず髪を拭いて……」わしゃわしゃ

    小蒔「わ、わわ……」わしゃわしゃ

    京太郎「お顔も拭かせて貰いますね。えっと、やさしくやさしく……」きゅっ きゅっ

    小蒔「~っ!?」どくっ

    京太郎「……よし」すっ

    京太郎「あとは腕と……まあ体はそんなに濡れてないみたいですが、一応」

    京太郎「でも流石にこれ以上は触れないです。神代さん、後は自分でお願いしていいですか?」

    148 = 1 :




    小蒔「……ひゃ、ひゃい」



    京太郎「……はい、これ、タオルです」

    京太郎「髪の毛、ちょっとくしゃくしゃにしちゃってスイマセンでした」

    小蒔「き、気にしないでください」

    小蒔「あ、タオル……ありがとうございます」

    京太郎「いえいえ。こういう事もあろうかと用意してたものですから」


    小蒔「……」きゅっ きゅっ

    小蒔「ありがとうございます。おかげでだいぶ体についた雨粒を拭きとれました」

    京太郎「それは良かったです」にこ

    小蒔「……」

    京太郎「……?」

    京太郎(めっちゃ見られてる。何だ……?)

    小蒔「……」じー

    小蒔「このタオル、コッチの面は、濡れてないですね」

    京太郎「???」


    小蒔「ごめんなさい! 我慢して下さいっ!」がばっ


    京太郎「!!?」

    京太郎(神代さんがタオルを俺に押し付けてきた……!!)

    小蒔「お体、拭かせて頂きますね……!」きゅっ きゅっ

    京太郎「そそ、そんな! 俺はいいですよ!!!」あたふた

    京太郎(神代さんの使用後のタオルなんてばち当たりなカンジしかしないしな……)どきどき

    小蒔「ダメです! 私だけタオルを使って、そのせいで須賀くんに風邪をひかせてしまったら……」

    小蒔「じ、神代家の沽券に関わりますから!」

    京太郎「沽券って、大袈裟な……」

    小蒔「じっとしてて下さい!」ぐっ

    小蒔「あとちょっとしゃがんで下さい! あたまに届かないです」

    京太郎「わ、わかりました」

    京太郎(ホント、こういうトコは強情になるんだな、神代さんって……)

    京太郎(けど……)

    小蒔「髪の毛拭きますねっ。じっとしてて下さいねっ」ぐいっ

     わしゃわしゃ

    京太郎(神代さんのそういうトコ、悪いトコじゃないな……)

    149 = 1 :



    ――


    「ううう、嘘でしょう?」

    「小蒔ちゃん……そんな」

    「出会って間もない男の人に、お体を触らせるなんて……!」

    「あ、あの人……」

    「小蒔ちゃんの手作り弁当を食べるだけに飽き足らず、あまつさえ濡れたのをいい事に小蒔ちゃんのお体に触れまでするなんて……」

    「不届きも大概にするべきでしょう……!?」ふるふる

    「あはは、ファインプレーかもですね、須賀くん。もし彼が素早くタオルを出さなかったら」

    「霞さんが我慢できずに飛び出して、須賀くんがしたように姫様を布巾で包んでゴシゴシしかねませんでしたし」

    「そ、そんな乱暴にはしないわよっ」ぎゅっ

    「飛び出しそうになったのは否定しないんですね……」


    ――


    京太郎「う~ん……」


    京太郎「雨、止まないですね」


    小蒔「……」

    京太郎「俺、お屋敷まで行って傘貰ってきましょうか?」

    小蒔「そんな事をしたら須賀くん濡れちゃうじゃないですか。せっかくお体を拭いたのに」

    京太郎「まあ、そうかもしれませんが……」

    小蒔「そんな事をしなくても、きっとこの雨はすぐに止みますよ」

    京太郎「???」

    小蒔「いえ、そうしないと――…」ぼそり

    京太郎「? えっと……?」

    小蒔「須賀くん」

    小蒔「少し、ここで待っていてもらえますか?」

    小蒔「ちょっと近くを歩いてきますね」

    京太郎「え。雨降ってますよ!? ダメですよ!」

    小蒔「ふふ、心配なさらなくても、歩くのはこの屋根の下ですよ」

    京太郎「??? よく解りませんが、俺もついていっちゃダメですか?」

    小蒔「ごめんなさい……すぐ戻るので」

    京太郎「……わかりました。じゃあちょっとだけ待ってますね」

    小蒔「……」にこ

    150 = 1 :



    ――


    「霞さん……」

    「姫様が心配なのはわかりますけど、須賀くんもちょっと触れただけじゃないですか。落ち着いて下さい」

    「落ち着いてと? 私に? 私はいつも落ち着いているでしょう?」ぷるぷる

    (唇をへの字にして須賀くんを睨み付ける姿は到底いつもの霞さんとは思えないけど……)

    「はぁぁ~……ちょっとって言うけど、あの人には出会って間もないのよ? 許嫁という立場が謙虚さを失わせてるのかしら」

    「それにあの人が出しゃばらなくても、小蒔ちゃんには私がいるのに……」

    「別に体を拭くためなんですから、仕方ない事ですよ」

    「むしろ濡れてる姫様に対してすぐにああいうアプローチができた須賀くんを評価してあげましょうよ」

    「それも、そうなのだけど……」

    「――いえ、そうね。感謝、するべきなんでしょうね……」

    「小蒔ちゃんの事を考えた行動がとれるくらいには、悪い男の人ではないことは幸運だわ。その幸運には感謝するべきね」

    「だからこそ我慢できる。今日を乗り切れば、明日には以前の日常が戻ってくるのだから」

    「今日を乗り切れば、明日から心を痛める事もない……」

    「は、はあ。急に落ち着いたようですけど、それってどういう事ですか?」

    「……ふふ、それは、明日のお楽しみよ? 巴ちゃ――」






    小蒔「それは待ちきれませんね」






    「――…」

    「……」


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