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    元スレ提督「俺が死んでたらどんな反応をするのか見てみたい」加賀「そうね」

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    151 = 142 :


    ────────


    執務室


    加賀「……」カリカリ

    提督「……」カリカリ

    加賀「……あの」

    提督「んー?」カリカリ

    加賀「い、いえ……なんでも……」

    提督「……そうか」カリカリ

    加賀「……」カリカリ

    提督「……」カリカリ

    加賀「(……聞けるわけがないでしょう……)」

    152 = 142 :


    ────────


    軍医「提督の容体……ですか」

    加賀「ええ。あなたなら知っているでしょう?」

    軍医「それは……まあ、知っていますが……プライバシーに関わることなので本人の了承がないとなんとも……」

    加賀「本人の了承……」

    加賀「(……結局、直接聞いた方が早いということですか)」

    加賀「……わかりました。それではこれで」

    軍医「力になれず申し訳ない」

    加賀「いえ、大丈夫です。では」


     バタン


    軍医「……ふぅ」

    153 = 142 :


    ────────

    執務室


    提督「……」カリカリ

    加賀「……」

    加賀「……あの」

    提督「ん?」

    加賀「……私に何か隠していませんか?」

    提督「……何故そんな事を聞く」

    加賀「……何となく、です」

    提督「……そうか。まあ、いつかは話そうと思ってたんだがな……」

    加賀「……」

    加賀「(嘘であって欲しい……あの診断結果も……煙草のことも……)」

    提督「単刀直入に言うとだな……俺はあと1ヶ月しか生きられないんだ」

    154 = 142 :


    加賀「ッ!?」

    提督「ちょっとした病気でな……もう末期状態らしい」

    加賀「癌……ですか」

    提督「……良く知ってるな。そうだ、その癌が肺に出来てて他の器官にも転移してるらしい。手術しても意味ないんだってさ」

    加賀「(やはりあれは……本当の……)」

    加賀「……そう」

    提督「こんな大事な事を伝えるのが遅れてしまってすまなかった。俺も気持ちの整理がついてから話そうと思ってたんだが、こんなにも時間がかかってしまった……」

    155 = 142 :


    加賀「……」

    提督「もちろん延命する事も出来た。……だが、俺はあくまでも提督として生きていたかった」

    提督「……まあ、あと1ヶ月で死んでしまうんだけどな」ハハッ

    加賀「そんなこと……言わないでください」

    提督「……」

    加賀「死んでしまうなんて……そんな簡単に……言わないで」

    提督「……悪かった。少し……独りにさせてくれないか」

    加賀「……はい」

     
     ガチャ


    加賀「……」

    加賀「どうして……こんな事に……」

    156 = 142 :


    ────────

    数日後


     ガチャ


    加賀「提督、艦隊が演習から帰投──」

    大淀「お疲れ様です。順次補給をお願いします」

    加賀「……提督はどちらに?」

    大淀「提督は今日は体調不良でお休みです。代わりに私が代理提督です」

    加賀「……そう」

    加賀「……」

    大淀「どうかされましたか?」

    加賀「……いえ、なんでも。それでは補給に行ってきます」

    大淀「わかりました」


     ガチャ……バタン


    大淀「……」

    157 = 142 :


    ────────


    加賀「……はぁ」

    赤城「(……最近加賀さんがいつも溜め息ばかりついてますね……昨日なんか演習中に溜め息をつきながら艦載機を飛ばしてましたし……しかもMVPだったし……)」

    赤城「(……はっ! まさか……加賀さん……)」

    赤城「(食事をまともにとれていないのね!!)」キラッ

    赤城「(やはり燃料やボーキサイトの補充だけでは駄目なのよ! 日々の食事も大事にしないと……!)」

    158 = 142 :


    赤城「(そうと決まれば早速……!)」

    赤城「加賀さん? そろそろ夕食の時間ですよ? 間宮にでも行きましょう」

    加賀「間宮……そういえば最近行っていなかったわね……」

    赤城「ほら、行きましょう加賀さん」

    加賀「……そうね」

    加賀「(……提督もちゃんと食べているかしら?)」

    赤城「(やはり私の推測通り、上々ね)」キラキラ

    159 = 142 :


    ────────

    数週間後


    加賀「……」カリカリ


     コンコン……ガチャ


    大淀「失礼します」

    加賀「……何か用?」

    大淀「はい、提督の事で少し」

    加賀「……!」ピクッ

    大淀「提督の体調が良くならないので、入院する事になりました」

    加賀「そんな……」

    大淀「ですが、提督の意志で他の艦娘には内密にしてくれ、との事です。言い訳としては長期出張くらいにしておけば良いかと」

    加賀「提督……」

    大淀「……加賀さんも知っているんですよね? 提督がもう長くは生きられない、ということを……」

    160 = 142 :


    加賀「……ええ。あなたも?」

    大淀「……はい。提督から直接伺いました」

    加賀「……」

    大淀「……」

    加賀「……人は、死ぬときは……死ぬのね」

    大淀「そう……ですね」

    加賀「……私達は……艦娘はどうなのかしら。轟沈しなければ……出撃しなければ、死ぬことは無いのかしら?」

    大淀「……」

    161 = 142 :


    加賀「わからない……わからないわ。提督に何と言えば良いのか……」

    大淀「……自分の気持ちを……伝えれば良いんじゃないでしょうか」

    加賀「自分の……」

    加賀「……そうね、自分の気持ちを提督に……」

    162 = 142 :


    ────────


    加賀「……」

    提督「……」

    加賀「……あの」

    提督「うん?」

    加賀「……体調はどうですか?」

    提督「んーそうだな。良くも悪くもない、って感じかな」

    加賀「そう……ですか……」

    163 = 142 :


    加賀「……これ、リンゴの皮を剥いておきましたので、良かったら」

    提督「おお、ありがとう。助かるよ」

    加賀「それでは、ゆっくり休んでください」

    提督「……悪いな、いつも迷惑かけてしまって」

    加賀「……いえ」

    提督「……頑張れよ」

    加賀「……はい」


     バタン


    加賀「……」グッ

    164 = 142 :


    ────────


    加賀「(……その後も、何回も提督の元を訪れました)」

    加賀「(その度に、提督の容態が悪くなっていることも感じました)」

    加賀「(……私は、提督に何もしてあげることが出来ません。……傍で提督は苦しんでいるというのに……)」



    加賀「提督、入ります」ガチャ

    提督「……おお、加賀か」

    加賀「(……今ではもう、提督は起きあがることさえしません。それほど体力が衰えているのでしょう)」

    加賀「(……何も出来ない自分に嫌気がさします)」ギリッ

    165 = 142 :


    提督「……昨日、夢を見たんだ」

    加賀「夢、ですか」

    提督「ああ。お前と結婚してる夢だった」

    加賀「なっ……///」

    提督「幸せそうだったよ。俺も──加賀も」

    加賀「……そう、ですか」

    提督「……」

    加賀「……」

    166 = 142 :


    提督「どうして、さ」

    加賀「……?」

    提督「どうして俺なんだろうな」

    提督「何でこんなに加賀や他の皆に迷惑かけなきゃいきないんだろうな」

    加賀「それは……」

    提督「……今まで頑張って来たのになぁ」

    提督「……まだ、やり残したこともあったのになぁ……」

    加賀「ッ……」

    提督「……いや、すまん。お前に言ってもしょうがないな」

    加賀「……」

    提督「……」

    167 = 142 :


    加賀「……提督は」

    提督「……?」

    加賀「提督は、私の……私達の誇りです」

    加賀「いつも私達のことを第一に考えてくださって、轟沈した艦娘もいません」

    加賀「そんな提督を傍で見ていて思いました。──あなたが提督で良かった──と」

    提督「加賀……」

    加賀「だから……もっと誇ってください。私は、あなたの艦娘であったことを……誇りに思います」

    168 = 142 :


     ツー


    提督「……」

    加賀「あ……れ、おかしいですね……涙が……」グスッ

    提督「……加賀、ちょっとこっちに」

    加賀「……?」スッ

    提督「──ありがとう。俺もお前たちの提督だったことを、誇りに思うよ」

    加賀「ッ……!」

    加賀「……すいません、少しお手洗いに」ガタッ


     ガチャ……バタン


    提督「……」

    提督「可愛いなぁもう……」

    169 = 142 :


    ────────


    加賀「……うぁ……」グスッ

    加賀「(──涙が止まりません。こんなに泣いているのは……いつ以来かしら)」

    加賀「(提督には……弱い自分を見せたくなかった。だから思わず飛び出してしまいました)」

    加賀「(しばらく……戻れそうにありません)」

    加賀「(まあ、たまにはこういう感情を抱くのも……悪くないですね)」

    加賀「提督……」ツー

    170 = 142 :


    ────────



     ガチャ……バタン


    加賀「……戻りました」

    提督「おう」

    提督「(……泣きはらした顔だな。まぁ、仕方ない)」

    提督「とにかく、俺の事は心配するな。お前は自分に出来ることをするんだ」

    加賀「……はい」

    提督「……次に会うときはその顔、ちゃんと直しとけよ?」

    加賀「ッ……」

    提督「冗談だよ、冗談」ハハハ

    加賀「まったく……」

    171 = 142 :


    ────────


    加賀「(──それが……私の聞いた提督の最後の言葉だったのかもしれません)」

    加賀「(翌日、容態が急変したと聞いて提督の元に伺うと、もう提督の意識はありませんでした)」

    加賀「(もっと──話したかった)」

    加賀「(もっと──提督の笑顔が見たかった)」

    加賀「(でも……それは叶いそうにありませんね)」

    加賀「(別に提督がもう亡くなっている訳ではありません)」

    加賀「(ですが……もう目を覚ますことはないだろう、と思っていました)」

    加賀「提督……」ギュッ

    加賀「(提督の手は……こんなに冷たかったのですね)」

    172 = 142 :


    「……か……が……」

    加賀「!?」

    提督「……元……気、か……」

    加賀「……元気、です」

    加賀「(ああ、もう──)」

    加賀「(こんな時でも私の事を思ってくれている……だから──)」




    加賀「(──だから私は、あなたが好きなんですよ、提督)」


    173 = 142 :


    提督「そう……か」

    加賀「……はい」

    提督「……執務、室……の……」

    加賀「……?」

    提督「俺の、机……二番目の……引き出し……今度、開けて……見てく、れ」

    加賀「二番目、ですか?」

    提督「ああ、大事な……物が、入ってる……」

    加賀「……わかりました」

    提督「頼む……」

    174 = 142 :


    提督「……なあ、加賀」

    加賀「はい」

    提督「少し……眠くなってきた……もう、寝てもいいか……?」

    加賀「ッ……」

    加賀「……ええ、ゆっくり……お休みになって……」

    提督「……ありがとな。……夢の中で……のんびり……する、か──」フッ

    加賀「……」

    加賀「(──提督は、もう目を覚ますことはありませんでした)」

    加賀「(提督が亡くなったちょうどその日、私の練度は99になりました)」

    加賀「(まるで提督に導かれるように──)」

    175 = 142 :


    ────────

    執務室


    加賀「……二番目の引き出し、でしたか」

     
     ガラッ


    加賀「……!」

    加賀「……」




     『ケッコンカッコカリ書類一式』




    加賀「……本当に『カッコカリ』になってしまったわね」

    176 = 142 :


    加賀「……ん? これは……手紙?」



     ──加賀へ

     こんな形ですまないな。

     練度が99になったと思う、おめでとう。
     
     早めにこの手紙……というか、口で伝えたかったんだが、事情が事情だった。すまない。

     どうしても伝えたかったんだ。俺の気持ちを。

     常にクールで、真面目で、時にはしゃいで恥ずかしくなってる……。

     君が好きだ──加賀。
     
     理解してもらえないかもしれない。受け付けないかもしれない。

     でも──こんな俺でも良かったら……おまえ達の誇りにして欲しい。

     すまないな……本当は結婚して欲しかったんだが……余計に悲しませることになるから……今までありがとな──加賀。


                   提督

    177 = 142 :


    加賀「提督……私は……」グスッ

    加賀「……ん?」



     ──P.S. 縦読みって知ってるか?


    加賀「縦……読み……?」ジッ



    加賀「……『こ』『れ』『は』『ど』 『つ』『き』『り』『で』『す』……」

    加賀「ドッキリ……」

    加賀「……まさか」

    178 = 142 :


    「──そのまさか、だよ」

    加賀「ッ!?」バッ

    提督「よっ、元気か? 加賀」

    加賀「提……督……」

    明石「まったく……やっと私も肩の荷が下りました」ハァ

    大淀「なかなか楽しいものですね、ドッキリって」フフッ

    179 = 142 :


    加賀「そんな……じゃあ……」

    提督「ああ、癌とか大嘘だよ。俺はばっちし元気さ」

    明石「軍医まで巻き込んで……ホント大規模ドッキリですね、これ」

    大淀「まあ、元々は加賀さんにドッキリを仕掛ける為に他の艦娘で練習してたみたいですけどね」 

    加賀「……なるほど、他の艦娘達の気持ちが分かった気がするわ」

    180 = 142 :


    提督「さて……恒例のお詫びなんだが……」

    提督「加賀には特別だ。受け取ってくれるか?」スッ

    加賀「これ……は……」

    提督「指輪だよ。……加賀──」





    提督「──俺と、結婚してくれるか?」

    加賀「──はいっ」ニコッ




            完

    181 = 142 :

    以上で終了となります
    最後までお付き合いいただいてありがとうございました


    加賀「私……感情表現が……その……。
    提督、私、これでも今……とっても幸せなのですけれど……///」

    提督「そりゃ顔を見ればわかる」

    183 :

    乙乙

    184 :


    すごい泣きながら提督に怒るとか想像してたからびっくりした

    185 = 142 :

    >>184
    それも考えたのですが
    なんか綺麗に終わらせたくてこのような終わり方になってしまいました
    期待されてたなら申し訳ない

    186 :

    乙カレー

    188 :

    おつ

    189 :

    死ぬ前に死ぬドッキリとか正直冗談きつすぎるよな
    面白かった乙

    191 :

    綺麗に終わったな提督もげろ

    すげぇ面白かったよこれ。煙草の匂いとか曙のケッコン書類とか何気に伏線張ってたの全然気付かなかったわ


    またなんか書いてくれ。楽しみにしてる

    192 :

    ネタバラしのところは正直ワロタ
    でも、良い締めだった乙

    193 :

    〉〉1
    他に何か書いてないのかな?

    194 :

    作者じゃないけど新スレで紹介してるからこっちでも一応
    http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1446109301/

    195 :

    おつ


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