元スレ提督「もう一杯、もらえるかな」鳳翔「……はい」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
201 = 1 :
鳳翔「……」
提督「鳳翔くん……君は」
鳳翔「いいんです」
提督「なに?」
鳳翔「いいんです」
提督「なにを……」
鳳翔「なにも仰らないでください」
提督「……」
鳳翔「ただ、もしも。こんな私を、まだお側に置いてくださるのなら」
提督「……」
鳳翔「それこそが私にとっての――最上の幸福です」
202 = 1 :
提督「……」
鳳翔「……」
シーン
提督「困ったな」
鳳翔「……ぁ」
提督「その程度のことを『最上の幸福』などと定義されては、いかにも私が器の小さい男ではないか」
鳳翔「……え?」
提督「いや、元より大した器でもないのだろうが。ははは」
203 = 1 :
鳳翔「提、督」
提督「質すべきことは山ほどあると思う。主に、私のようなおじさんでいいのか……などね」
提督「ただ鳳翔くん、君ほど思慮深い女性に対してこれらの問いは、愚問を通り越して侮辱になるかもしれない」
提督「だから君の流儀に則って、多くは語らずにおこう。一言だけだ」
鳳翔「は、い」
提督「いつか誰かが現れるとするなら――君以外にはありえない」
鳳翔「はい……ありがとう、ございます……」グスッ
204 = 1 :
ホー ホー
提督「雨は……やはり嫌いだな」グビ
鳳翔「はい」
提督「だが、これからは少しだけ」
鳳翔「はい」
提督「雨上がりの空を待つ時間が、好きになれそうな気がする」ニコ
鳳翔「はい」ニコ
提督「これでとりあえず、時雨に嫌われずに済むかな? 娘に嫌われる要素は減らしておきたいんだ」
鳳翔「まあ」クスクス
205 = 1 :
提督「おや、杯が空だ」
鳳翔「あら」
提督「……まだ飲んでもかまわないかな、『お母さん』?」
鳳翔「……もう少しだけですよ、『お父さん』?」
提督「……」
鳳翔「……」
提督「じゃあ、今夜はこれで最後だ」
鳳翔「それが、よろしいかと」
206 = 1 :
「もう一杯、もらえるかな」
「……はい♪」
艦!
208 :
(角砂糖を噛み砕く音)
209 :
イッチにしては珍しいエンドだ
こういうの好きよ、おつ
211 :
おつです
全体の流れはビターだが仄かな甘味が
212 :
乙!
和三盆のような甘さだね
213 :
乙! これが大人の甘さかぁ
214 :
乙
今回は甘すぎずビターなよい味わいだった
おまけが楽しみだな、おまけもきっと程良くほろ苦いに違いない(フラグ)
215 :
乙
こういうの待ってた、ありがとう>>1
216 :
乙
しっとりしてていいねー
217 :
乙!
いったいどんな展開になるのかな?
218 :
とても素朴で上品な和菓子でした。
219 :
おつ
いいねえ、染みわたるぜ。
220 :
こういう遠回しなようでガンガン来る感じ好きだかあ
221 :
乙です
甘さより大人のほろ苦さの方が今回は強めだったな
222 :
絶妙な糖分バランスに敬礼。
223 :
甘いのをよこせええええ
224 :
最後のお父さんお母さん呼びが良いなあ
見える……>>1の隣に砂糖入りのコンテナが積み上げられているのが見えるぞ
225 :
うんこういう終わり方キライじゃないどころか好きだわ
1乙
226 :
良作、1乙!
227 :
いい感じの糖度だった
1乙
228 :
コーヒーではなく緑茶が欲しくなる甘さだったな
乙
229 :
乙
ビターな話でこちらの砂糖耐性を減らしてから甘い話で殺そうとする>>1の作戦と勘ぐる
230 :
乙
この心地よい甘み…そしてそこから続く蜂蜜のような甘さ…アーイイ…遥かに良い…
231 :
砂糖が来るぞ…!どこからだ!?
232 :
>>231上からだ!逃げr ぎゃぁぁぁぁ
233 :
私は喉から
234 :
それなら>>26の青葉ベンザ
235 :
あなたーの頭に狙いを決めて♪
236 :
かちわりチョップ
237 = 231 :
あなた=>>1か…おや、道に砂糖が
238 :
砂糖が足りない
239 :
〈VS元祖航空戦隊〉
提督「……という次第になった」
龍驤「……」ジー
赤城「……」ジー
加賀「……」ジー
提督「やれやれ……歴戦の三空母に睨まれて、いかにも私は分が悪い。どうかお手柔らかに頼むよ」
240 :
龍驤「結局のところ、アンタ」
赤城「鳳翔さんとは、(仮)なり(真)なり夫婦(めおと)になると」
加賀「はっきりと、そう約束したわけではないのですね」
提督「まあ、そうなるな」
三人「「「……」」」ジー
提督「どうしたね」クスクス
241 = 1 :
龍驤「いや……まどろっこしいなぁ思て。ええやん、とっとと結婚したれば」
提督「そういうわけにもいかないんだよ」
赤城「なぜです?」
提督「鳳翔くんはきっと、現段階ではそれを望まないだろうからね」
加賀「『きっと』? やってみなければわからないでしょう」
提督「やってみなくてもわかるんだよ。戦場経験では敵わなくとも、人生経験は君たちより積んでいるんだ」ニコ
三人「「「……」」」
242 = 1 :
提督「例えば。私がこれから、やや強引にでも鳳翔くんに求婚したとしよう」
提督「すると彼女は、内心時期尚早だと思いながらも、その動揺を一切表出させることなく、あの綺麗な笑顔で私を受け入れてくれるだろう」
赤城「……容易に想像できますね」
提督「だろう? “だから”私はそれが嫌なんだよ」
提督「時期尚早。彼女はそう思っている。そして、私もそう思っている」
加賀「……時期尚早だと口にする者は、百年後も時期尚早と言うのです」
提督「いい言葉だ。時と場合によるがね」
龍驤「ふーん……」
243 = 1 :
提督「はは、そんな怖い顔をしないでおくれ。君たちは本当に彼女のことを慕っているんだなぁ」
龍驤「当ったり前や。心ん底から、幸せになってほしいと思ってる」
提督「しかし、今はまだ早いんだ」
赤城「それは……奥様の件が?」
提督「いかにも。鳳翔くんは、私の中の妻に勝つ自信が、まだないんだろう」
加賀「当の本人がいけしゃあしゃあと言うことですか……」ハァ
提督「真理を突いたじゃないか、加賀くん」
加賀「はい?」
244 = 1 :
提督「こういうことは言葉にしてもしょうがないんだ。『死に別れた妻のことも愛しているが、それと同じくらい君を愛している』……なんとも空虚な響きだと思わないか」
赤城「……確かに」タラリ
龍驤「ちゅーか今のが提督の本音なん? 鳳翔さん≒奥さんで?」
提督「現状、7:3で妻かな」
龍驤「うおおおおおいいっ!? ぶっちゃけよったでこのオッサン!!」
提督「なに、人の心は移ろうものだよ」
加賀「だから、自分で言うことですか……」
245 = 1 :
提督「急ぐばかりが『形』ではないさ。特にこの歳になると、そういう思いがとみに強くなるものだ」
加賀「……」
提督「7:3が4:6なり3:7なりに変わる日が来たなら、その時は私も、十何年ぶりかに『誠意』を示さなければならないだろう。言葉と、それ以外の諸々でね」
赤城「……」
提督「そこからは私が――彼女をつかまえる番だ」ニッコリ
龍驤「……」
三人(((お母さん大変だこれ……)))
艦!
246 = 1 :
〈誰だってそーする、俺だってそーする〉
龍驤「あ、せや」
提督「どうしたね」
龍驤「あんなぁ、ウチら原則、オトンよりオカンの味方やから。そこんとこよーく肝に銘じといてな」
提督「……ちなみにだけど、『お母さん』を泣かせたらどうなるんだろう」
加賀「艦載機の妖精さんが総ボイコットを起こします。ついでに私もボイコットします」
赤城「ほぼすべての出撃行動に支障が出るので、くれぐれも気を付けてくださいね。お父さん♪」
提督「肝に銘じよう」キリッ
艦!
247 :
艦!じゃねーよ!!
蜂蜜入れ忘れてるぞ!
248 = 1 :
〈石で漱ぐ〉
提督「鳳翔くん」
鳳翔「はい?」
提督「この間の、『月が綺麗ですね』というのは」
鳳翔「は、はい。それがどうかなさいましたか?」
提督「夏目漱石による『I Love You』の日本語訳だったかな」
鳳翔「え、ええ……そう、ですね」
提督「つまりこれは『愛するあなたを隣にしての月は常より綺麗に映る』という文学的な」
鳳翔「あの……引用した文面を改めて事細かに説明されると、とてもとても恥ずかしいので、どうかそのあたりで……///」プルプル
249 = 1 :
提督「ああいや、すまない。今日日物語でも聞かないような、実に古典的な告白だったから。逆に新鮮だったよ」ニコ
鳳翔「どうせ私の感性はおばあちゃんのそれです……」イジイジ
提督「おや、鳳翔くんでもいじけることがあるのか」
鳳翔「提督でもこんなに意地悪になることがあるなんて、存じませんでした」ジトー
提督「意地悪、か。妻以外にそう言われるのは初めてだ」
鳳翔「……」
提督「……」
鳳翔「///」
提督「」ニッコリ
艦!
250 = 1 :
〈『月が綺麗ですね』は実際そんなに効いてませんでした〉
提督「……」グビ
鳳翔「……」クイ
提督「ふう」
鳳翔「ほっ」
提督「おや、空だよ鳳翔くん。もう一杯どうぞ」トクトク
鳳翔「あ、そんな。自分でやりますのに」
提督「並んで飲むのにお互い手酌、というのも寂しい話だろう?」
鳳翔「……ありがとうございます」ニコ
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