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    元スレ扶桑「私たちに、沈めとおっしゃるのですか?」 提督「そうだ」

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    201 :


    ついに作戦も最終局面か…
    これで主作戦が失敗なんてことになったらきついな

    202 :



     ――動けっ

     敵の懐へ飛び込み、砲塔を構え、撃つ。
     
     ――動けっ
     
     氷の上を滑るように、滑らかに攻撃を避ける。
     
     ――もっと、早く……

     寸でのところでかわし、敵の砲塔を握りしめ足元へと向ける。
     その熱さで皮膚が焼ける音がするが、気にしない。

     ――もっと、もっと!
     
     自らを鼓舞し、戦意を高揚させる。
     体はボロボロ、足もガクガクと笑う。
     それでも。軋む身体を鞭打って動かす。

     ――まだよ……まだっ

     走る。翔ける。
     まだ、終わりじゃない。終っていない。
     勝つんだ、と強く噛みしめる。 
     
     
    「っ!?」


     水面を駆け回る扶桑の少し手前に、今まで見たこともないような巨大な水柱がたった。
     さすがに思わず足を止めてしまう。

     これだけの水柱は、おそらく戦艦の砲弾のものだろう。
     いままで、まともにやり合わなかった敵の戦艦群。
     数は幾分か減ってはいるが、まだまだ健在の巨大戦力。
     そのなかでも、この威力は最大級の火力を誇ることだろう。
     扶桑は、睨み付ける。存在を確認はしていた、しかし今までずっと手出しはできなかった。
     おそらく、この深海棲艦群の中では最強、最大の個体。
     そして、艦娘側にもよく知られている恐怖の対象。
     
     雄々しく、叫ぶ。その眼に、象徴である黄色の光をともし、主砲をこちらに向けている。
     戦艦ル級。そのフラグシップ、と呼ばれる深海棲艦が、扶桑を睨み付けていた。


    203 = 1 :



    「……いいわ」

     
     水面に立つ扶桑がポツリと漏らす。
     その間も、背後から迫った軽巡の攻撃をまるで見えていたかのように簡単によけ、背中に1発。
     次の、馬鹿正直に突っ込んできた重巡を、足元に軽く蹴りを与えることで倒し、淡々と砲撃する。


    「あなた相手ならば、敗れても、悔いはないわ」


     扶桑も、睨み返す。
     血にまみれ、その上で笑う扶桑の表情は、恐ろしささえ感じられる。

     ル級はその扶桑の眼に、1つ大きく吠える。
     その咆哮を、聞き取ったほかの深海棲艦が手を下げる。
     これは、私の獲物だ、とル級が伝えたのだろうか。しずしずと下がりはじめる。
     とはいえ、殺意の眼光は治まってはいない。ル級が一度許可をおろせば、いつでも扶桑に襲い掛かることだろう。
     
     扶桑はぐるりと、その状況を見渡し、ル級に向かい直る。  
     図らずとも、こちらの希望通り、1対1の直接対決と相成ったことに、扶桑は笑う。
     ありがとう、と感謝の念さえ抱いた。
     戦艦同士が撃ち合う砲撃戦。
    それは海上決戦の華。
     憧れ、もう一度と、願っていた戦い。


    204 = 1 :




    こちらは満身創痍。
     燃料も弾薬も、後どれほど持つのか分からないが、そう遠くないだろう。
     たいして向こうは、無傷の身体。
     体力も砲弾も十分に有り余っていることだろう。
     
     20分、いや10分もあれば十分に扶桑は確実に沈められる。

     それでも。
     そんな戦いであっても、扶桑は嬉しかった。


     戦艦扶桑は一度、死んだ。
     出撃の回数がめっきり減って、海戦など夢のまた夢。
     戦わない戦艦など、艦娘など、死んでいるも同然ではないか。
     ならば、一度失った命ならば。
     今ここで、もう一度使い果たしても誰も文句は言うまい。

     最後の、死の間際に。
     このような艦隊決戦が行えるということに、扶桑は心躍らせた。 
     
     扶桑が構えると、ル級も同様に砲塔を向けてくる。
     さながら格闘場のように、2人の周囲を囲む他の深海棲艦の野次馬的歓声が上がる。
     その全てがル級の勝利を望んでいるだろう。
     扶桑が惨めに這いつくばって、泣き叫ぶさまを望んでいるのだろう。

     ごめんなさいね、と扶桑は独り言ちる。

     
     ――負けることはあっても、そんな無様なまねは、絶対にしないから。



    205 = 1 :




     ――提督……覚えていますか……?


     敵の砲弾を、左右に移動し避け続けながら、扶桑は心の中で呟く。
     もう会うことのない、男の顔を思い浮かべ、思いを侍らせる。


     ――夕日が映える水面で、夢を語った、あの日を…… 


     真後ろに着弾した衝撃で前のめりに倒れてしまう。
     もう、踏ん張るような力も無くなってきたことに顔を歪める。
     急いで立ち上がり、すぐさま退避。数秒後、倒れていた場所に砲弾が降りかかる。


     ――あなたは、おっしゃいましたね……

     
     誰もが笑って過ごせる、平和な海を作りたいと。
     馬鹿真面目に、果てなき理想を笑いながら語る彼を思う。

     お返しとばかりに、扶桑もル級めがけ、放つ。
     自慢の主砲の火力も、当たらなければ意味がなく、ル級がにやにやと笑ったように見えた。


     ――その夢は……立派です。究極の、理想です……

     
     立派すぎる夢だからこそ、誰もが一度は考えたことがあるだろう、高貴な理想だからこそ。 
     ……扶桑は、決して叶うことのない夢だとも、理解していた。


     ――来ませんよ……提督……


    206 = 1 :



     逃げ場のないほどの砲弾の雨が降る。
     先ほどまでならば、軌道を予測し被害を最小限に抑え込めるよう動けていただろう。
     
     だが、もはや、それほどの行動に身体が追い付かない。
     1発、2発、と直撃し、爆発の衝撃に身体ごと吹き飛ぶ。
     口から吐血し、骨が砕ける音が体の中で響き、肉が焦げる不愉快な匂いが鼻につく。


     ――この戦の果てに……誰もが笑って過ごせる平和など……

     
     平和と呼ぶには、血が流れすぎた。
     紅く染め上げるほど、夥しい血が流れたこの海に。
     誰もが笑える、そんな海なんて、どうすれば訪れるというのだろうか。

    207 = 1 :


     ――それでも……


     フラフラと重い体を起こす。
     標準もままならない状態で、主砲を放つ。
     が、当然のように砲弾はまるで見当違いの方角へと飛んでいく。
     そればかりか、砲撃の衝撃に尻餅をついてしまう。
     その間抜けな姿に、深海棲艦は見世物を楽しむように笑いを上げたような気がした。


     ――それでも、私は、あなたが、羨ましかった


     提督自身も、困難な夢だと思っているだろう。
     ほぼ不可能な、ただの理想だと気付いているのかもしれない。

     それでも、諦めはしていない。
     本気で、その夢の実現に向けて努力を続けていた。
     内心、いつ諦めるのだろうか、と眺めていたこともある。
     それでも、その眼は輝きを失うことはない。
     敗北を重ね、そして幾度となく勝利をえ、それでもなお届かないその理想に。
     立ちはだかる現実の高い壁に、挫けることはなかった。


    ――屈託のない笑顔で、高らかに理想を掲げることができるあなたが……

     
     笑えるくらい馬鹿馬鹿しい夢を、なんの疑いもなく語るあなたが。
     とても、眩しく見えた。輝いているように見えた。

     立ち上がろうと、腕を立てる、その上から追撃の砲弾、爆発。
     再び、海面に押し付けられ、艤装も半分ほどバラバラに吹き飛ぶ。


    208 = 1 :



     ――羨ましくて……愛おしかった……


     その笑顔が、語る言葉が、凛とした振る舞いが。
     その提督の全てが、愛おしくて、愛おしくて。
     だから、信じてみたくもなった。

     来ることはないと、そう今も思っている。
     その理想を、少し、信じてみたいと思った。
     その理想の世界を、見てみたいと思った。


     ――提督は……愚直に歩める人です……


     手足が折れ、地べたに這いつくばろうとも。
     心だけは決して折れない人だ、と。愚直に真っ直ぐ歩いていける者だと。
     

     ――だから、挑んでください……


     今後幾度となく訪れる壁に、抗い続けてください。
     決して挫けることなく、何度も何度も立ち上がってください。


     ――叶えてみせてください……


     無理だと言った。来るわけないと言った、その理想の世界を。
     かなえて、私を驚かせてください。
     そうしてこそ……。それでこそ……。

     
     ――私たちが、報われる……

    209 = 1 :




     
     気づけば、空が白んできた。
     必死で水上を、そしてこの世の地獄を駆け回った。
     その時間は、永遠にも思えるほど長くも、刹那の瞬きのように短くも感じた。

     その空を見上げながら、扶桑はそれでもこれだけ耐えたのだと実感した。
     星が瞬いていた、そんな時間も終わり、その姿を徐々に太陽の明かりに掻き消されていく。
     だが、扶桑は、確に見た。


    ――陽を浴びて輝く、確かな光を。


     耳元で、水の跳ねる音が聞こえた。
     目線だけを動かしそちらに視線をやると、先ほどまで撃ち合っていた戦艦ル級。
     その顔を見て、微かに笑みを浮かべる扶桑。

     もう指も動かせない、そんな状況において。
     何を笑うことがあるのだろう、気でも触れたのか、とル級は不思議そうに首を傾げる。
     が、それも一瞬のことで、扶桑を確実に沈めようと、砲塔を扶桑に向ける。
     これで、終わりだ、とでも言うかのように、口角が上がる。

    「そ……うね。あなたの……勝ち、よ……」

     自らの負けを認め、讃えるように笑みを浮かべる。
     状況下で、こちらには不利なことばかりだった。
     それでも、直接の対決で負けたことに関しては、言い訳するつもりもなかった。
     自分は負けたのだ、そのことに悔いはない。
     最後に、こんな戦艦同士の撃ち合いができて。
     最後まで、戦艦として生きることができた。
     それを誇りはするが、惨めには思わない。

     だからこそ、自分との勝者であるル級のことを讃える。
     よく戦った、と。素晴らしい戦だったと。
     そう、個人としては……。
     だけど、と小さく呟いた声は、はっきりと相手に聞こえた。





    「私たち、の勝ちよ……」





    ――その呟きとほぼ同時に、低く響くプロペラ音と、機銃の音が辺りを埋め尽くした。





    210 = 1 :





     周囲から聞こえてくる深海棲艦の断末魔。
     不意の奇襲により、その足並みを完全に崩れ、空からの攻撃に1体、また1体と倒れていく。
     出鱈目に対空砲撃を行う個体もいるが、完璧とも言える艦載機の連携についていけるはずもなく、それも意味の持たないものとなる。


     扶桑が相手していたル級は、憎しげに咆哮を上げ、扶桑を睨む。
     せめて、こいつだけは、とでも思ったのだろうか。扶桑に、最後の砲弾を与えようとした。

     が、しかし、それを空から艦載機が防ぐ。

     忌々しく空を、そして扶桑を睨み付け、一か所にとどまるのは得策でないと判断したか、扶桑から離れていく。
     深海棲艦の、怒号が、響いた。



     
    「やった、わよ……提督……山城」


     不可能だと思われた、この作戦を。
     立派に遂行した。勇敢に戦った。
     勝つことが、できた。守ることが、できた。

     それを確認できて、一気に体の力が抜ける。
     それでも、左手に山城の髪飾りを胸元で握りしめ、右手を空に向け伸ばす。



    「あぁ……、見て? 山城……今日もあんなに……」








     ――空が青いわ……







    211 = 1 :



    ここまで書くことができました。
    出来れば、日曜の間にすべて書き切ります。

    といっても、出来ているものをちょっと加筆修正するくらいなので、パソコンに触ることができれば、終えることができると思うので。

    では、おやすみなさい。

    213 :

    パソコンさわれる余裕ありませんでした……

    申し訳ないけど、今週中には必ず……

    214 :


    待ってるよ

    215 :




     ねぇ、誰か言ってよ。
     その命は、意味のあるものだったと。
     その死は、無駄ではなかったと。
     その生は、幸いなものだったと。

     誰か、教えてよ。
     この作戦は、必要なものだったのだと。
     この勝利は、どれほど尊いものなのかを。
     2人の名誉は、決して汚されないのだと。

     

    216 = 1 :



    どこまでも澄み通るような、そんな透明感も感じられる蒼い、蒼い空。
     そんな空を背に、少女たちが大海原をかけていく。

     上空からその様を眺めてみると、全くズレのない航行に感動すら覚えることだろう。
     皆同じタイミングで動き、次々と隊列を変えていく。 
     旗艦なのだろうか、先頭を走る少女が手振りで指示を出し。他の少女たちが指示通りに動く。
     これほどの練度を得るために、幾日も幾日も鍛錬を積んだことだろう。
     完璧なまでに統率のとれた航行に、少女達の血の滲むような努力の影を見ることができる。
     長い時間、じっくり磨かれ得た努力の結晶は、とても美しく、輝かしい。
     


     Φ


     
    「ふぅっ……」
    「お疲れさま、今日も素晴らしい指示だったよ満潮」

     陸に上がり、ゆっくりと息を吐く満潮に労わりと称賛の声を時雨がかける。
     その声に、ふんっ、と顔を背けぶっきらぼうに言葉を返す。

    「まだまだ、よ。まだ詰めが甘いわ。最後もちょっと乱れるし……」
    「満潮は、厳しいなぁ」

     あはは、と乾いた笑い声をあげる。
     それでも満潮は、胸を張って答える。

    「当然じゃない。演習くらい完璧にできないと、実践で何の役にも立たないのよ」

     それに、と小さく呟く。


    「これくらいこなせないと、いざという時、また見守ることしかできないから」
    「満潮……」

     その声に、暗く重い影が落ちたのを時雨は聞き逃さない。 
     満潮の気持ちが強いほど分かる、そうだからこそ何も言えない。
     そして、その気持ちは時雨も同様に強く抱いている。

     もう、鎮守府で留守番なんてしたくない。
     今度は、誰かのために戦いたい。皆を守るために、皆と一緒に戦いたい。

     もう、1年以上たつ。
     それでも、あの日のことはよく覚えている。
     あの、人生で一番長い夜のことは、その日味わった痛みは、一生忘れることはないだろう。

    217 :

    今週(今週とは言ってない)

    219 :

    二週間…
    楽しみに待ってますよ

    220 :




    「……そうか。……そうか。……あぁ、ご苦労。引き続き頼む」
    「……どう、だった?」

     提督が受話器を置くと同時に時雨が静かに聞く。
     南方海域から、翔鶴・瑞鶴を中心とする支援艦隊が到着したとの報が入ったのが15分ほど前。
     その報を聞いても歓声は上がらず、ただ間に合っていてくれ、と皆が祈っていた。
     もし、到着が遅く、すでに第四諸島までが敵の手に渡っていたのならば、意味のないものだ。
     それは、扶桑たちが作戦に失敗したという意味でもある。

     扶桑たちのことは信じていた。絶対に勝つと、信じると誓った。
     しかし、それでもそれはある種の強がりでもあり、不安が全くないということはない。
     到着の報が入るまでの数時間もの間、西村艦隊の面々は誰一人指令室から出ようとはしなかった。
     いくら提督が、休め、と言おうが誰も言うことを聞かず、ただただ待ち続けた。 
     せめて、こうやって祈ることで、ともに戦っていると言っているかのように。


     彼女らの表情を見渡す。
     疲れ切った表情で、それでも必死で。
     不安で仕方がないことだっただろう。
     いまでも、その色は消えることはない。
     提督は、ゆっくりと口を開いた。


    「間に合ったよ。支援艦隊は、第四諸島陥落前に深海棲艦の撃滅に成功。
     金剛・比叡を中心とする北方からの支援艦隊と合流次第、他諸島の奪還作戦へと移行する」
    「それじゃあ……」

     ああ、力強く頷く。

    「扶桑と山城は、勝ったんだよ」

    221 = 1 :



     勝った。
     
     その事実に、満潮は安堵からか膝をつき、時雨と最上は顔を見合わせ笑みを浮かべ、朝雲と山雲は抱き合って喜びを表す。

     不可能だと思われたこの作戦を見事成功へと導いた。
     欠陥戦艦だと、不幸型だと揶揄されたあの2人が。
     艦隊のお荷物だと、役立たずだと馬鹿にされた2人が。
     
     成し遂げた偉業を思うと、胸が熱くなる。
     一体、どれ程の者が同じことをできると言うのだろう。
     これほどの無謀で絶望的な作戦を、誰が。
     

    「だが、2人は……」
    「……分かってる。分かっているから、言わないで……」 
     
     
     提督の言葉を、満潮が遮る。
     分かっている。何の犠牲も生じずに終わることがあり得ないことくらい。
     
     覚悟はしていた。もう2人が帰ってこないことくらい。
     2人の笑顔が見れないことくらい。笑い声が聞けないことくらい。
     それが怖く、恐ろしく。

     それでも、2人の覚悟を知ったからには、送り出さざるを得なかった。
     だからこそ大切なものは、2人の生死よりも、作戦の成功したのか否か。
     
     2人は、沈んだ。
     けれど、それは名誉ある死だったのだと。
     皆の命を救った。艦娘として、誇りある死を遂げたのだと。

     
     そう、思い込んだ。
     そう、思い込むことでしか、心を落ち着かせることなどできないから。
     込み上げるものを、抑えることなどできそうにないから。
     

    222 = 1 :


     
    「1つ、聞かせて」
    「……なんだ」


     涙は、流さない。 
     泣き言は、言わない。
     そう決めていた。

     それでも、慰みの言葉が欲しかった。
     

    「2人の死は……命は、無駄じゃなかったのよね……?」 


     満潮は問う。
     それだけ聞ければ、その答えさえ得ることができるのならば。


    「それは、お前たち次第、じゃないのか?」
    「……そうね」


     提督のその答えに、満潮は、ふふっと笑う。
     皆を、家族を守ると、その想いで出撃し、そして沈んでいった扶桑と山城。

     それを、意味のあるものとするのは、結局は残された者たちだ。
     扶桑たちが、命を投げ捨ててまで守りたかったものを、無くさないように。
     決して輝きを失わないように。


    「強く、なるから……」
    「……あぁ」


     力強く、覚悟を言葉にのせる。


    「もうこんな作戦を立てる必要がないくらい、強くなるからっ!」
    「……あぁ」


     守ってもらった。
     大好きな家族に、守ってもらい、生きることができた。

     ならば、次は自分たちだ。
     守られる側から、戦い、守る側へ。

     そのためには、まだまだ足りないものが多すぎる。
     だが、その程度の障害など、あまりに低い。
     簡単に、超えてみせる、強く強く心に誓い、その眼からは静かに零れるものがあった。
     

    223 = 1 :




    「見て、満潮。いい空だね」
    「なによ、あなた雨のほうが好きなんじゃないの?」
    「雨も好き、って言うだけだよ」


    時雨が指差す空を見上げる。
     どこまでも続く大空。どこまでもつながる青空。
     この大きな空に比べれば、自分の存在なんてちっぽけなものなのだろう。
     悩みも、不安も、何もかもが小さく見える。
     

    「ああ、でも本当……」

     
     陽の光に思わず目を細める。
     思わず口角も上がり、心も朗らかになる。


    「綺麗な青空ね……」


     ――その言葉に答えるように、耳元でシャリンッ、と髪飾りが音を立てた。

    224 = 1 :

    遅れてすみませんでした。
    とりあえず、ここで完結ということにします。

    5月から今まで、呼んでくれた方には、大変感謝しています。
    ありがとうございました。

    228 :

    乙でした!

    229 = 1 :

    ちなみに、後日談っぽいものも構想としてあったので、
    これはまぁ別スレにしましょうか。
    と言っても、いつかの話ですが。

    シリアスな話ずっと書いていたんで、次はほのぼの系でも書いてゆっくりしますw

    ではでは

    231 :

    おお、楽しみにしてますよ
    お疲れ様でした

    232 :

    おつ

    233 :

    乙!
    どうせなら後日談このまま書いても良いんじゃね?

    234 :

    ≫233
    書くとしてもまだ先のつもりですし、その間このスレ残しておくのもどうかと思って

    近日中に依頼出すつもりだったのもあります。

    235 :

    わたしまーつーわ
    いつまでもまーつーわ

    だけどもしHTMLだすのなら次スレはわかりやすいタイトルにしてくれよ?

    236 :

    大変良かった…待っていた甲斐があった
    扶桑姉妹の意思は残された西村艦隊に受け継がれているんだな


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