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元スレ電「お姉ちゃん達はズルいのです」
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2200ぐらいから少しだけ
2200ぐらいから少しだけ
こんばんは
扶桑型とのドロドロした日常を妄想してたらいつのまにか時間になっててビックリ
以下投下
扶桑型とのドロドロした日常を妄想してたらいつのまにか時間になっててビックリ
以下投下
「昨日はご馳走さまでした」
あれから翌日。朝食を食堂で取っていると、電が近寄ってきた。
「もう何度も聞いたよ。そこまで言わなくてもいいぞ」
失礼します、と言って隣の席に座る。
ちなみに私が今座っているのは、昨日の喫茶店と同じ4人用のテーブル席だ。
「電の分もですけど、皆の分も含めてありがとうなのです」
「あぁ……気にしなくていい」
久しぶりの散財は駆逐艦以外からも好評で、これからもよろしく、とせがまれた。
「あそこまで喜んでもらえると、奮発したかいがあるってものだ」
昨日の事が自ずと思い出される。
紅茶セットを用意する金剛、すぐに食べ終わり量に不満をこぼす赤城、何故か自慢げな鈴谷、同じ味なのに食べさせあう北上と大井、そしてワイワイ騒ぐ駆逐艦達……
食堂はちょっとしたお祭り騒ぎになっていたのだった。
「……それでですね司令官さん」
「ん?」
「また今度二人で行きたいんですけど……いいですか?」
もじもじしながら上目遣いでそう尋ねる電。
どうやらあのタルトがずいぶんと気に入ったと見える。
電らしい小さな願望に俺は思わず笑った。
「あぁ、また今度行こうな」
「はいなのです!」
電はいい笑顔で返事をした。
あれから翌日。朝食を食堂で取っていると、電が近寄ってきた。
「もう何度も聞いたよ。そこまで言わなくてもいいぞ」
失礼します、と言って隣の席に座る。
ちなみに私が今座っているのは、昨日の喫茶店と同じ4人用のテーブル席だ。
「電の分もですけど、皆の分も含めてありがとうなのです」
「あぁ……気にしなくていい」
久しぶりの散財は駆逐艦以外からも好評で、これからもよろしく、とせがまれた。
「あそこまで喜んでもらえると、奮発したかいがあるってものだ」
昨日の事が自ずと思い出される。
紅茶セットを用意する金剛、すぐに食べ終わり量に不満をこぼす赤城、何故か自慢げな鈴谷、同じ味なのに食べさせあう北上と大井、そしてワイワイ騒ぐ駆逐艦達……
食堂はちょっとしたお祭り騒ぎになっていたのだった。
「……それでですね司令官さん」
「ん?」
「また今度二人で行きたいんですけど……いいですか?」
もじもじしながら上目遣いでそう尋ねる電。
どうやらあのタルトがずいぶんと気に入ったと見える。
電らしい小さな願望に俺は思わず笑った。
「あぁ、また今度行こうな」
「はいなのです!」
電はいい笑顔で返事をした。
「司令官、ちょっといいかい?」
後ろから呼ばれて振り向くと、私の秘書艦である響がいた。
実際はヴェールヌイなんだが、自他共に面倒だ、と意見が一致したため今でも響と呼んでいる。
「響お姉ちゃん」
「やぁ響。一昨日ぶりだな。昨日は休みを満喫できたか?」
「うん。と言っても、ここは年中休みみたいなものだけどね」
「確かにそうだ」
ご一緒してもいいかい?と聞いてきたので空いている正面の席に座らせた。
「昨日はありがとう」
「もう色んな奴から聞いたよ。響としては美味しかったのか?」
「うん。また食べたいな」
表情があまり崩れない響だが、彼女がとても満足しているように感じた。具体的には、間宮アイスを食べた後のような。
彼女が輝いているように見えた。
「お前、間宮アイスを食べたか?」
「いや?強いて言うなら、昨日のタルトだね。また食べたいな」
……どうやらとても気に入ったようだ。
「なんなら、今度一緒に食べに行くか?ちょうど電とそういう話をしていたんだ」
名前が出たからか、電の動きが止まった。
彼女はピクリと震え、響を見た。
後ろから呼ばれて振り向くと、私の秘書艦である響がいた。
実際はヴェールヌイなんだが、自他共に面倒だ、と意見が一致したため今でも響と呼んでいる。
「響お姉ちゃん」
「やぁ響。一昨日ぶりだな。昨日は休みを満喫できたか?」
「うん。と言っても、ここは年中休みみたいなものだけどね」
「確かにそうだ」
ご一緒してもいいかい?と聞いてきたので空いている正面の席に座らせた。
「昨日はありがとう」
「もう色んな奴から聞いたよ。響としては美味しかったのか?」
「うん。また食べたいな」
表情があまり崩れない響だが、彼女がとても満足しているように感じた。具体的には、間宮アイスを食べた後のような。
彼女が輝いているように見えた。
「お前、間宮アイスを食べたか?」
「いや?強いて言うなら、昨日のタルトだね。また食べたいな」
……どうやらとても気に入ったようだ。
「なんなら、今度一緒に食べに行くか?ちょうど電とそういう話をしていたんだ」
名前が出たからか、電の動きが止まった。
彼女はピクリと震え、響を見た。
「そうなのかい?」
「……はいなのです」
響は電をちらりと見てから、私に顔を向けた。
「じゃあ、お言葉に甘えようかな」
「そうしてくれると有難い」
自分で言うのもなんだが、上司と二人っきりというのはあまり休めない環境だろう。
そこに姉が居るのと居ないのとでは、かなり違ってくるはずだ。
先日は雷がやって来たからよかったものの、大して気が強くない電にとっては私と二人っきりは辛く、下手すれば却って休めない可能性が高い。
それだけは避けたかった。
「……………………」
「……電、どうかした?」
「………………あの、お姉ちゃん」
「どうしたの?」
「あの…………」
昨日も見た電の表情。何かを言おうとして、だがそれを躊躇うような難しい顔。
「…………なんでも無いのです。三人で行くの、楽しみにしているのです」
結論として、電はその「何か」を言うことは無かった。出かかっていたであろう言葉を飲み込んだのだ。
「電。もしかして何か言いたいことがあるのか?」
彼女の決断を揺るがすようで気が引けるのだが、私はそうやって溜め込んで苦しんでいた者を何人も見てきた。
彼らが悪いとは言わないが、電にはそうなって欲しくなかった。
「何も無いのです。三人で行くの楽しみにしているのです」
やや早口で言い終えると、止まっていた電の箸が動き出す。
急いで食べているというより、そのまま何かを飲み込もうとしているようだった。
「……はいなのです」
響は電をちらりと見てから、私に顔を向けた。
「じゃあ、お言葉に甘えようかな」
「そうしてくれると有難い」
自分で言うのもなんだが、上司と二人っきりというのはあまり休めない環境だろう。
そこに姉が居るのと居ないのとでは、かなり違ってくるはずだ。
先日は雷がやって来たからよかったものの、大して気が強くない電にとっては私と二人っきりは辛く、下手すれば却って休めない可能性が高い。
それだけは避けたかった。
「……………………」
「……電、どうかした?」
「………………あの、お姉ちゃん」
「どうしたの?」
「あの…………」
昨日も見た電の表情。何かを言おうとして、だがそれを躊躇うような難しい顔。
「…………なんでも無いのです。三人で行くの、楽しみにしているのです」
結論として、電はその「何か」を言うことは無かった。出かかっていたであろう言葉を飲み込んだのだ。
「電。もしかして何か言いたいことがあるのか?」
彼女の決断を揺るがすようで気が引けるのだが、私はそうやって溜め込んで苦しんでいた者を何人も見てきた。
彼らが悪いとは言わないが、電にはそうなって欲しくなかった。
「何も無いのです。三人で行くの楽しみにしているのです」
やや早口で言い終えると、止まっていた電の箸が動き出す。
急いで食べているというより、そのまま何かを飲み込もうとしているようだった。
仕事が少ないとは言えども、午前から怠ける余裕はない。
朝食を取った後、響と共に執務室へ帰り書類に目を通し始める。
「司令官、この書類」
「おう」
長年の経験で響が言おうとしていることもある程度わかる。
仕事はテンポ良く消化されていく。
「1100。皆を連れて、演習してこようか」
「そんな時間か……あぁ、よろしく頼む」
確か、今日は元帥殿の第一艦隊との手合わせの予定だったな……
「響が旗艦。他は――」
「いつも通りだよね。わかってる」
「話が早くて助かるよ」
「今日もここに居るのかい?」
「俺を何だと思っているんだ?」
さすがに演習は私も向かう。ある程度馴染み深いとは言え元帥殿に失礼だ。
クスリと笑うと、響は部屋を出ていった。
机の角に置いてあったマイクを手繰り寄せる。
「第一艦隊のメンバーは、各自艤装を装着した後に執務室に来るように」
それだけ言ってマイクを切る。
暫くして6人が集まった。
「点呼……は取るまでもないな」
響、金剛、北上、長門、赤城、摩耶。我が鎮守府の最高戦力だ。
朝食を取った後、響と共に執務室へ帰り書類に目を通し始める。
「司令官、この書類」
「おう」
長年の経験で響が言おうとしていることもある程度わかる。
仕事はテンポ良く消化されていく。
「1100。皆を連れて、演習してこようか」
「そんな時間か……あぁ、よろしく頼む」
確か、今日は元帥殿の第一艦隊との手合わせの予定だったな……
「響が旗艦。他は――」
「いつも通りだよね。わかってる」
「話が早くて助かるよ」
「今日もここに居るのかい?」
「俺を何だと思っているんだ?」
さすがに演習は私も向かう。ある程度馴染み深いとは言え元帥殿に失礼だ。
クスリと笑うと、響は部屋を出ていった。
机の角に置いてあったマイクを手繰り寄せる。
「第一艦隊のメンバーは、各自艤装を装着した後に執務室に来るように」
それだけ言ってマイクを切る。
暫くして6人が集まった。
「点呼……は取るまでもないな」
響、金剛、北上、長門、赤城、摩耶。我が鎮守府の最高戦力だ。
「これから元帥殿との演習に向かう。陣形は複縦陣。作戦は特になし。何か質問は?」
「おい」
「どうした摩耶」
「ざっくりしすぎじゃねぇか?何かこう、もう少し作戦らしい作戦をさ……」
まぁ、言いたいことはわかる。というより、このままスルーされていたら却って怖かった。
「残念だが、あの人には意味がない。どう来るか全く想像がつかん」
以前は対策を必死に練ったものだが、ことごとく裏を書かれてきた。
空母だけで固めてくる事もあれば、水雷戦隊で出し抜いてくる事もある。
「だからってさぁ……」
「……珠にはいいかも知れないな」
長門が賛同してくれたことで摩耶も渋々ながら引いてくれた。
「だからといって、完全に適当と言うわけでもない」
「あん?どういうことだ?」
「……なんだか喧嘩腰な感じがするんだが」
「摩耶!テイトクをそんな睨んじゃダメデス!」
金剛が間に入ってきてくれたことで摩耶の眼光が弱まった。
「まぁ、わからなくもないがな……いいか、良く聞け」
一歩摩耶に近づく。
「摩耶にはいつも通り対空をメインに戦ってもらう。あの空母が来たときにはお手上げだ。正直言って君が頼りだ。頼むぞ」
「お、おう!任せとけ!」
えへへ、と笑顔になる摩耶。将来、変な男に捕まったりしないかかなり心配だ。
「長門と赤城には敵の主力をお願いしたい」
「あぁ、了解した」
「はい、わかりました。ご褒美は昨日のタルトでお願いします」
「うまい棒で勘弁してくれ。北上は勿論先制魚雷を始めとする水雷戦」
「ほーい」
「…………やる気出してくれよ」
まぁ、本番ではやってくれると信じているが。
「それと響もな」
「了解した」
「ヘイ提督!私は何ですか~?」
「…………オールマイティーだ」
「What!?」
「よし、行こうか」
問いただしてくる金剛を余所に、私たちは練習場へと向かった。
「おい」
「どうした摩耶」
「ざっくりしすぎじゃねぇか?何かこう、もう少し作戦らしい作戦をさ……」
まぁ、言いたいことはわかる。というより、このままスルーされていたら却って怖かった。
「残念だが、あの人には意味がない。どう来るか全く想像がつかん」
以前は対策を必死に練ったものだが、ことごとく裏を書かれてきた。
空母だけで固めてくる事もあれば、水雷戦隊で出し抜いてくる事もある。
「だからってさぁ……」
「……珠にはいいかも知れないな」
長門が賛同してくれたことで摩耶も渋々ながら引いてくれた。
「だからといって、完全に適当と言うわけでもない」
「あん?どういうことだ?」
「……なんだか喧嘩腰な感じがするんだが」
「摩耶!テイトクをそんな睨んじゃダメデス!」
金剛が間に入ってきてくれたことで摩耶の眼光が弱まった。
「まぁ、わからなくもないがな……いいか、良く聞け」
一歩摩耶に近づく。
「摩耶にはいつも通り対空をメインに戦ってもらう。あの空母が来たときにはお手上げだ。正直言って君が頼りだ。頼むぞ」
「お、おう!任せとけ!」
えへへ、と笑顔になる摩耶。将来、変な男に捕まったりしないかかなり心配だ。
「長門と赤城には敵の主力をお願いしたい」
「あぁ、了解した」
「はい、わかりました。ご褒美は昨日のタルトでお願いします」
「うまい棒で勘弁してくれ。北上は勿論先制魚雷を始めとする水雷戦」
「ほーい」
「…………やる気出してくれよ」
まぁ、本番ではやってくれると信じているが。
「それと響もな」
「了解した」
「ヘイ提督!私は何ですか~?」
「…………オールマイティーだ」
「What!?」
「よし、行こうか」
問いただしてくる金剛を余所に、私たちは練習場へと向かった。
書き溜めが底をつきました
これから書き溜めを蓄える作業に入ります
全然電ちゃんを崩壊させてあげられなくて残念です
これから書き溜めを蓄える作業に入ります
全然電ちゃんを崩壊させてあげられなくて残念です
見てくださっている電ちゃん好きの方、こんばんは
迷走してる感が否めないですが、温かい目で見守っていただけたら幸いです。
では、続きを投下していこうかと思います
迷走してる感が否めないですが、温かい目で見守っていただけたら幸いです。
では、続きを投下していこうかと思います
「お久し振りです。元帥殿」
「おお、久しぶり。このあと一杯どうだ?」
「…………まだ昼前ですが」
「なに、ちょっとした冗談じゃないか」
笑いながら軽く肩を叩いてくる。
この人はいったいどこまでが本気なんだろうか。
小さい頃からこの人を知っているが、相変わらずわからない人だ。
「……本日の演習ですが」
「いやぁ……いつも通りでいいだろう。1200に演習開始で」
「はい。では後ほど」
俺はそう言って踵をかえそうとした。
「おいおい、まだ余裕はあるじゃねぇか。もう少し喋ったってあいつらの
場所までそうかからねぇよ。俺とお前の間柄だろ?」
「少将と元帥殿の間柄ですね」
「あー……まぁ、いいか。今夜飲みに行くんならいいだろ?」
まぁ、それくらいならいいだろう。
確かに久しぶりに会ってそのままお別れ、と言うのも味気ない。
「はい、わかりました。場所は元帥殿のお好きなように」
と言っても、あの人も私も同じ場所を選ぶはずだ。
「いつもの場所だろ?じゃあ、さっさと向かってやりな。早めに艦隊を組んでやらないと困るだろう」
「?……はい」
そのまま元帥殿はさっさと向こうへ行ってしまった。
……どういうことだ?
私は謎を残したまま艦隊の元へと向かった。
「おお、久しぶり。このあと一杯どうだ?」
「…………まだ昼前ですが」
「なに、ちょっとした冗談じゃないか」
笑いながら軽く肩を叩いてくる。
この人はいったいどこまでが本気なんだろうか。
小さい頃からこの人を知っているが、相変わらずわからない人だ。
「……本日の演習ですが」
「いやぁ……いつも通りでいいだろう。1200に演習開始で」
「はい。では後ほど」
俺はそう言って踵をかえそうとした。
「おいおい、まだ余裕はあるじゃねぇか。もう少し喋ったってあいつらの
場所までそうかからねぇよ。俺とお前の間柄だろ?」
「少将と元帥殿の間柄ですね」
「あー……まぁ、いいか。今夜飲みに行くんならいいだろ?」
まぁ、それくらいならいいだろう。
確かに久しぶりに会ってそのままお別れ、と言うのも味気ない。
「はい、わかりました。場所は元帥殿のお好きなように」
と言っても、あの人も私も同じ場所を選ぶはずだ。
「いつもの場所だろ?じゃあ、さっさと向かってやりな。早めに艦隊を組んでやらないと困るだろう」
「?……はい」
そのまま元帥殿はさっさと向こうへ行ってしまった。
……どういうことだ?
私は謎を残したまま艦隊の元へと向かった。
「遅かったね。また捕まっていたのかい?」
「いつものようにな。あと、今夜は飲みに行ってくるよ」
「わかっているよ。それもいつも通りだ」
自分の陣地に戻ったとき、響が歩いてきた。艤装の最終チェックは終わったようだ。
顔を上げて皆に呼び掛ける。
「1200から演習開始だ。艤装の最終チェックは済んだか?」
「提督のお喋り長すぎ。とっくに終わってるよ」
北上が面倒くさそうに答えた。
「よし、じゃあ…………点呼をとろう」
「はぁ?どうしたんだ提督。仕事のしすぎで数も数えられなくなったのかよ」
「そこまで仕事は回ってこないんだが……まぁ、やることないし、士気も上がるかも知れないだろ?」
どうもあの言葉が気にかかる。
あの、何か意味を含んだような言葉。
『早めに艦隊を組んでやらないと』
「ふーん……ちゃっちゃとやっちまうか」
摩耶は納得したようで素直に一列になる。
私の合図で順に番号を叫んでいくが、やはり6人いる。
「だよなぁ……」
やはり、人数に間違いはない。
あの人は何が言いたかったのか……
ただの気まぐれか。そう結論付けた。
「……ふむ」
「どうしたの?司令官」
「いや、これで惨敗は避けたいなぁ……と」
「司令官次第だね」
「……というと?」
「簡単なことさ。あのタルトを――」
「まだ言うか」
そこまで美味しかったのか……
「タルトの話をしてましたか!?」
「落ち着け赤城、響。また今度な」
緊張していないのは良いことなのだが……
些か不安を煽られただけに思える。
「 ……полдень 」
「あぁ、ありがとう響」
秘書艦が正午を知らせたことにより赤城達の顔つきが変わった。
「これより、元帥殿との模擬海戦を開始する」
6人とも背を伸ばす。
「各艦、出撃せよ」
これを合図として全員が海へと乗り出した。
「いつものようにな。あと、今夜は飲みに行ってくるよ」
「わかっているよ。それもいつも通りだ」
自分の陣地に戻ったとき、響が歩いてきた。艤装の最終チェックは終わったようだ。
顔を上げて皆に呼び掛ける。
「1200から演習開始だ。艤装の最終チェックは済んだか?」
「提督のお喋り長すぎ。とっくに終わってるよ」
北上が面倒くさそうに答えた。
「よし、じゃあ…………点呼をとろう」
「はぁ?どうしたんだ提督。仕事のしすぎで数も数えられなくなったのかよ」
「そこまで仕事は回ってこないんだが……まぁ、やることないし、士気も上がるかも知れないだろ?」
どうもあの言葉が気にかかる。
あの、何か意味を含んだような言葉。
『早めに艦隊を組んでやらないと』
「ふーん……ちゃっちゃとやっちまうか」
摩耶は納得したようで素直に一列になる。
私の合図で順に番号を叫んでいくが、やはり6人いる。
「だよなぁ……」
やはり、人数に間違いはない。
あの人は何が言いたかったのか……
ただの気まぐれか。そう結論付けた。
「……ふむ」
「どうしたの?司令官」
「いや、これで惨敗は避けたいなぁ……と」
「司令官次第だね」
「……というと?」
「簡単なことさ。あのタルトを――」
「まだ言うか」
そこまで美味しかったのか……
「タルトの話をしてましたか!?」
「落ち着け赤城、響。また今度な」
緊張していないのは良いことなのだが……
些か不安を煽られただけに思える。
「 ……полдень 」
「あぁ、ありがとう響」
秘書艦が正午を知らせたことにより赤城達の顔つきが変わった。
「これより、元帥殿との模擬海戦を開始する」
6人とも背を伸ばす。
「各艦、出撃せよ」
これを合図として全員が海へと乗り出した。
「お疲れ~。まぁ、まずは一杯」
そう言って元帥殿は徳利を私の前に差し出した。にやけた顔にイラつきを覚えてしまうのも無理はないはずだ。
「どうも」
我ながら心情がただ漏れのトーンで返事をして受け取った。
「いやぁ~惜しかったな」
結果として、私の艦隊は負けた。
この結果は予想できなくは無かった。だが、あの編成は度肝を抜かれた。
「まさか全艦潜水艦とは……」
ご丁寧に大鯨までいた。
「単なる自慢ですか……?」
「その単なる自慢に負けてちゃ、世話ねぇな」
響が居なければ……と思うとゾッとする。
対空を任せた摩耶は拗ねてしまい、終始機嫌が良くなかった。
「あそこでお前の秘書艦を入れられていたら、どうなっていたかわからないがな」
…………ん?
「秘書艦とは……?」
「秘書艦だよ。暁型の。挨拶に来てたぞ」
「あぁ、ちゃんと入ってましたよ」
何かと思えば皮肉か……どうやらあの半ばお遊びのような艦隊で返り討ちにしたのがご満悦のようだ。
「そんなことよりさぁ……なんかお前、固くないか?」
「上司との酒ほど気が休めないものは無いと思っています」
「今は役職なんざ取っ払って、昔みたく仲良く騒ごうぜ?」
「…………いいんですね?」
「おう!なんなら喧嘩しても上にチクったりしねぇよ」
ゲラゲラと笑う元帥殿……いや、こいつはかなり酒がまわっているようだ。
見ると、徳利はすでに2本空になっていた。
「お前は酒に弱いくせに一気に飲むなよ……」
「お、やっと敬語が抜けたな」
こいつはそれだけで笑った。
何が面白いのかわからない。
「俺も大して強いわけじゃねぇから、そこまで付き合えねぇぞ」
わかっているだろうが念を押して、俺は目の前の徳利に手を伸ばした。
そう言って元帥殿は徳利を私の前に差し出した。にやけた顔にイラつきを覚えてしまうのも無理はないはずだ。
「どうも」
我ながら心情がただ漏れのトーンで返事をして受け取った。
「いやぁ~惜しかったな」
結果として、私の艦隊は負けた。
この結果は予想できなくは無かった。だが、あの編成は度肝を抜かれた。
「まさか全艦潜水艦とは……」
ご丁寧に大鯨までいた。
「単なる自慢ですか……?」
「その単なる自慢に負けてちゃ、世話ねぇな」
響が居なければ……と思うとゾッとする。
対空を任せた摩耶は拗ねてしまい、終始機嫌が良くなかった。
「あそこでお前の秘書艦を入れられていたら、どうなっていたかわからないがな」
…………ん?
「秘書艦とは……?」
「秘書艦だよ。暁型の。挨拶に来てたぞ」
「あぁ、ちゃんと入ってましたよ」
何かと思えば皮肉か……どうやらあの半ばお遊びのような艦隊で返り討ちにしたのがご満悦のようだ。
「そんなことよりさぁ……なんかお前、固くないか?」
「上司との酒ほど気が休めないものは無いと思っています」
「今は役職なんざ取っ払って、昔みたく仲良く騒ごうぜ?」
「…………いいんですね?」
「おう!なんなら喧嘩しても上にチクったりしねぇよ」
ゲラゲラと笑う元帥殿……いや、こいつはかなり酒がまわっているようだ。
見ると、徳利はすでに2本空になっていた。
「お前は酒に弱いくせに一気に飲むなよ……」
「お、やっと敬語が抜けたな」
こいつはそれだけで笑った。
何が面白いのかわからない。
「俺も大して強いわけじゃねぇから、そこまで付き合えねぇぞ」
わかっているだろうが念を押して、俺は目の前の徳利に手を伸ばした。
「どうだ?俺の部下は。とっても可愛いだろぉ?」
「すみません。提督がお世話をお掛けしました」
「いえいえ。こうなることはある程度覚悟していましたし、大して気にしていません」
このやり取りは、いったい何度目だろうか。
少なくともこいつ……元帥殿と飲むと必ず彼の秘書艦を呼ばなければならなくなる。
「いい女だろう?嫁に欲しいくらいだ」
秘書艦に背負われた元帥殿は自慢げに話しかけてくる。
「はいはい、話は家に帰ってから聞きますんで」
何度もしたからか、扱いが上手くなっている。
「いい秘書艦をお持ちで」
元帥殿も背負われながらも、こちらを見た。
「お前にもいい秘書艦がいるじゃねぇか。迎えに来てもらえよ」
「確かに彼女はしっかりものですが、元帥殿ほど酔っていないので大丈夫です。……そんな口実で私の秘書艦に近づかないでいただきたい」
「ふん……まぁ、あの子もお前をずいぶんと信頼しているようだし、流石に抜いたりしねぇよ」
前から思っていたが、元帥殿はやはりロリコンか……
次は俺も空母で統一しよう。そう思った。
「じゃあ、お元気で」
彼の秘書艦は俺に背を向けて歩き出した。
俺も帰ろうと体の向きを変えた。
「じゃあなぁー。電ちゃんによろしくなー」
そんな俺の背に元帥殿の声が響いてきた。
「すみません。提督がお世話をお掛けしました」
「いえいえ。こうなることはある程度覚悟していましたし、大して気にしていません」
このやり取りは、いったい何度目だろうか。
少なくともこいつ……元帥殿と飲むと必ず彼の秘書艦を呼ばなければならなくなる。
「いい女だろう?嫁に欲しいくらいだ」
秘書艦に背負われた元帥殿は自慢げに話しかけてくる。
「はいはい、話は家に帰ってから聞きますんで」
何度もしたからか、扱いが上手くなっている。
「いい秘書艦をお持ちで」
元帥殿も背負われながらも、こちらを見た。
「お前にもいい秘書艦がいるじゃねぇか。迎えに来てもらえよ」
「確かに彼女はしっかりものですが、元帥殿ほど酔っていないので大丈夫です。……そんな口実で私の秘書艦に近づかないでいただきたい」
「ふん……まぁ、あの子もお前をずいぶんと信頼しているようだし、流石に抜いたりしねぇよ」
前から思っていたが、元帥殿はやはりロリコンか……
次は俺も空母で統一しよう。そう思った。
「じゃあ、お元気で」
彼の秘書艦は俺に背を向けて歩き出した。
俺も帰ろうと体の向きを変えた。
「じゃあなぁー。電ちゃんによろしくなー」
そんな俺の背に元帥殿の声が響いてきた。
キンクリの便利さは異常
全く電は出てきませんでしたね。すみません。
提督が鎮守府を離れている間、いったいどこで何をしていたんでしょうか。皆目見当もつきません。(すっとぼけ)
明日も出来るならこの時間帯にやって来ます。
それではお休みなさい。
全く電は出てきませんでしたね。すみません。
提督が鎮守府を離れている間、いったいどこで何をしていたんでしょうか。皆目見当もつきません。(すっとぼけ)
明日も出来るならこの時間帯にやって来ます。
それではお休みなさい。
「扶桑姉様!」
そう言って飛び付いてきたのは私の可愛い妹。
「久しぶりに街に買い物に出掛けましょう!!」
まだ返事をしていないのにはしゃぐ山城を見ているだけで心が温まる。
「ええ良いわよ?提督に許可をいただいて来るから待ってなさい?」
提督――私の上司でもあり恋人でもある大切な人。
忙しい彼を邪魔する訳にはいかないので、例え小さい理由でも正当化されるものならそれを口実にして会いに行くのが楽しみなのだ。
「あ、心配はいりません。すでに許可は貰ってきています!」
それを聞いて少し残念に思ったが、妹がよかれと思ってやってくれたのだ。
文句はない。
「じゃあ、いきましょうか」
はい、と返事をする妹はとても可愛らしいものだった。
「あっ」
「?どうしました?」
私はウインドウショッピングであるものを見つけて立ち止まった。
それは、万年筆だった。
提督が好きだと言っていたデザインだ。
そう言って飛び付いてきたのは私の可愛い妹。
「久しぶりに街に買い物に出掛けましょう!!」
まだ返事をしていないのにはしゃぐ山城を見ているだけで心が温まる。
「ええ良いわよ?提督に許可をいただいて来るから待ってなさい?」
提督――私の上司でもあり恋人でもある大切な人。
忙しい彼を邪魔する訳にはいかないので、例え小さい理由でも正当化されるものならそれを口実にして会いに行くのが楽しみなのだ。
「あ、心配はいりません。すでに許可は貰ってきています!」
それを聞いて少し残念に思ったが、妹がよかれと思ってやってくれたのだ。
文句はない。
「じゃあ、いきましょうか」
はい、と返事をする妹はとても可愛らしいものだった。
「あっ」
「?どうしました?」
私はウインドウショッピングであるものを見つけて立ち止まった。
それは、万年筆だった。
提督が好きだと言っていたデザインだ。
「いえ、なにも――」
「あっ、これって提督が好きそうなデザインですね」
「えっ……」
「えっ?違いましたか?」
「……いえ、そうよ」
プライベートでも無口な彼。
私も告白されるまでは全く私情を交えた話などしたことが無かった。
おまけに山城はあの人をなぜか毛嫌いしているはず……。
「まぁ、あの人にこの値段はもったいないですね~」
「そ、そうかしらね」
生返事でその場をしのいだが私の頭は混乱していた。
「あっ!お姉様!見てください!」
彼女はすでに万年筆に興味をなくしたようで、別の店に駆けていく。
「!待って山城!」
そんな背中を私は追いかけた。
翌日、私はまた街へ出掛けた。今度は一人でだ。
あの万年筆をどうしてもあの人にプレゼントしたくて、山城をおいてこっそり買いに来ていたのだ。
「はい、料金は――」
私は値の張る万年筆を包装して貰って、鎮守府へと帰った。
「提督、失礼します」
控えめなノックをしたが、音が小さすぎたらしい。もしくは疲れて寝ているのか。
この時間なら恐らく後者だろう。
「全く、提督ったら……」
そう呟きながらそっとドアノブに手をかけた。
「山城……!」
「あん……っ、提督……」
提督と、何故か山城の声も聞こえる。
少し出来た扉の隙間から中を覗くと2つのものが目に飛び込んできた。
1つは、私が手に持つものと同じ包装紙で包まれた何か。
もう1つは、提督と山城だった。
厳密には2人なのだが、2人は抱き合い、口付けを交わし、もはや2人の影は1つとなっていた。
「……………………」
私はそっと扉を閉め、自室へと帰る。
道中何があったのかわからなかったが、これだけは言えた。
「不幸だわ……」
【仲良し姉妹】
「あっ、これって提督が好きそうなデザインですね」
「えっ……」
「えっ?違いましたか?」
「……いえ、そうよ」
プライベートでも無口な彼。
私も告白されるまでは全く私情を交えた話などしたことが無かった。
おまけに山城はあの人をなぜか毛嫌いしているはず……。
「まぁ、あの人にこの値段はもったいないですね~」
「そ、そうかしらね」
生返事でその場をしのいだが私の頭は混乱していた。
「あっ!お姉様!見てください!」
彼女はすでに万年筆に興味をなくしたようで、別の店に駆けていく。
「!待って山城!」
そんな背中を私は追いかけた。
翌日、私はまた街へ出掛けた。今度は一人でだ。
あの万年筆をどうしてもあの人にプレゼントしたくて、山城をおいてこっそり買いに来ていたのだ。
「はい、料金は――」
私は値の張る万年筆を包装して貰って、鎮守府へと帰った。
「提督、失礼します」
控えめなノックをしたが、音が小さすぎたらしい。もしくは疲れて寝ているのか。
この時間なら恐らく後者だろう。
「全く、提督ったら……」
そう呟きながらそっとドアノブに手をかけた。
「山城……!」
「あん……っ、提督……」
提督と、何故か山城の声も聞こえる。
少し出来た扉の隙間から中を覗くと2つのものが目に飛び込んできた。
1つは、私が手に持つものと同じ包装紙で包まれた何か。
もう1つは、提督と山城だった。
厳密には2人なのだが、2人は抱き合い、口付けを交わし、もはや2人の影は1つとなっていた。
「……………………」
私はそっと扉を閉め、自室へと帰る。
道中何があったのかわからなかったが、これだけは言えた。
「不幸だわ……」
【仲良し姉妹】
>>76
つ「投稿スレ」
つ「投稿スレ」
皆さんこんばんは
書き溜めをしていた時にですね……「電」って携帯で打とうとしたらですね……間違えて「穴妻」って打ってしまって……なんていうか……その…下品なんですが…フフ…… 勃ry
2200ぐらいから投下していこうかと
>>77投稿スレ!そういうのもあるのか
書き溜めをしていた時にですね……「電」って携帯で打とうとしたらですね……間違えて「穴妻」って打ってしまって……なんていうか……その…下品なんですが…フフ…… 勃ry
2200ぐらいから投下していこうかと
>>77投稿スレ!そういうのもあるのか
「…………えっ」
振り向くが、彼等はすでに人混みに埋もれて見えなくなっていた。
「なんて言ったんだ……?」
本当は確かに聞こえていた。だが、信じられなかった。
「どうして電の名前が出たんだ……」
俺の秘書艦はいつも響で、今日も電は家で鎮守府警備と言う名目上の休暇を謳歌しているはずだ。
何より、あの人の前で電の話すらしたことがない。
「ふむ……」
「司令官」
「うおっ!」
突然後ろから声を掛けられた。
ただでさえ不気味な話を考えていたんだ。急に声を掛けられたら驚いてしまう。
「…………司令官らしくないね。そんなに驚いてどうしたんだい?」
後ろにいたのは響だった。
「お前……どうしてだ?」
「どうしてって……司令官があまりにも遅いから心配して来たんだよ。酔いつぶれていたら困るだろ?」
怪訝な顔で答える響。至極当然な理由だった。
「あぁ……すまない、心配掛けたな。大丈夫だ」
気を持ち直して平然を装ってみる。
「…………司令官。どうかしたのかい?さっきの反応はただ事じゃなかったよ」
振り向くが、彼等はすでに人混みに埋もれて見えなくなっていた。
「なんて言ったんだ……?」
本当は確かに聞こえていた。だが、信じられなかった。
「どうして電の名前が出たんだ……」
俺の秘書艦はいつも響で、今日も電は家で鎮守府警備と言う名目上の休暇を謳歌しているはずだ。
何より、あの人の前で電の話すらしたことがない。
「ふむ……」
「司令官」
「うおっ!」
突然後ろから声を掛けられた。
ただでさえ不気味な話を考えていたんだ。急に声を掛けられたら驚いてしまう。
「…………司令官らしくないね。そんなに驚いてどうしたんだい?」
後ろにいたのは響だった。
「お前……どうしてだ?」
「どうしてって……司令官があまりにも遅いから心配して来たんだよ。酔いつぶれていたら困るだろ?」
怪訝な顔で答える響。至極当然な理由だった。
「あぁ……すまない、心配掛けたな。大丈夫だ」
気を持ち直して平然を装ってみる。
「…………司令官。どうかしたのかい?さっきの反応はただ事じゃなかったよ」
「……流石は私の秘書艦だ。お見通しか」
「たぶん、あんなに慌てた司令官を見れば誰でも心配するよ」
言われて納得すると同時に、そこまで頭が回らなかった自分の動揺具合を痛感した。
「何があったんだい?」
俺は、元帥殿の話を、全て響にぶちまけた。
「……それは、少し奇妙だね」
響も得体の知れない何かを感じたらしい。彼女は自然と私の手をとった。
「司令官、大丈夫だ。何があっても私が守るよ」
何から守ると言っているのか。そんなことはどうでも良かった。
私は改めて彼女の大切さを知った。
握られた左手は、彼女の右手よりも何倍も大きいはずなのに、私の心はすぐに落ち着きを取り戻した。
「お前が秘書艦で良かった……」
「……よしてくれ司令官……恥ずかしいじゃないか」
照れているのか白い肌が微かに朱を帯びていた。
「さて……皆も心配している。帰ろう、司令官」
「あぁ……悪いが、私が怖じ気づいていたことは黙っていてくれるか?」
見栄っ張りと言うのもあるが、鎮守府の頂点に君臨するものとして弱音を吐く姿を見せたくなかった。
「勿論。変に勘繰られないように早く帰ろう」
何はともあれ、私はいい秘書艦を持ったものだ……
強く握ってきた手を握り返しながらそう思った。
「たぶん、あんなに慌てた司令官を見れば誰でも心配するよ」
言われて納得すると同時に、そこまで頭が回らなかった自分の動揺具合を痛感した。
「何があったんだい?」
俺は、元帥殿の話を、全て響にぶちまけた。
「……それは、少し奇妙だね」
響も得体の知れない何かを感じたらしい。彼女は自然と私の手をとった。
「司令官、大丈夫だ。何があっても私が守るよ」
何から守ると言っているのか。そんなことはどうでも良かった。
私は改めて彼女の大切さを知った。
握られた左手は、彼女の右手よりも何倍も大きいはずなのに、私の心はすぐに落ち着きを取り戻した。
「お前が秘書艦で良かった……」
「……よしてくれ司令官……恥ずかしいじゃないか」
照れているのか白い肌が微かに朱を帯びていた。
「さて……皆も心配している。帰ろう、司令官」
「あぁ……悪いが、私が怖じ気づいていたことは黙っていてくれるか?」
見栄っ張りと言うのもあるが、鎮守府の頂点に君臨するものとして弱音を吐く姿を見せたくなかった。
「勿論。変に勘繰られないように早く帰ろう」
何はともあれ、私はいい秘書艦を持ったものだ……
強く握ってきた手を握り返しながらそう思った。
「提督ー、お帰りなさいデス」
もうすでに日付は変わったというのに出迎えてくれたのは金剛だった。
彼女の笑顔を見ていると、嫌なことも吹き飛んでしまう。
「ただいま金剛。出迎えありがとう」
「ノープログレムね!提督に挨拶しないとスリーピングできまセーン!」
嬉しいことを言ってくれる。
俺の頭の中にはすっかり恐怖は消えていた。
「ところで、響ちゃん達はどこデスか?」
「司令官の後ろだよ」
ひょこっと私の後ろから顔を出す響。
あまりの身長差に金剛からは隠れて見えていたようだ。
「ちゃんと会えたんデスね」
「……というより、何故響を使いに出したんだ?」
こんな時間に外に出すのは、正直私がどうよりも危ないだろう。
会えたから良かったものを、入れ違いでもしたら響が危なかった。
「この子、私たちのアドバイスを聞かずに飛び出して行ったのデス」
「それは反省しているよ。でも、北上さんがあんなこと言うから……」
北上が何か吹聴したらしい。
それを聞いていた響が心配してやって来た……と。
「それはありがとう。だが、これで響が居なくなったら私が心配してしまうよ」
「……そうだね。以後気を付けるよ」
響が足に抱きついてくる。
私は身を屈めて彼女を抱き返した。
「Oh……提督はベリーテンダーネ。怒ろうかと思ったけど、提督に免じて許してあげマス」
「そうしてくれると助かる。……さて、私は風呂に入って来るから――」
そう言いながら響を離し、風呂に向かおうと立ち上がった時だった。
「あれ?それなら提督、電はどこデスか?」
ふたたび俺の頭はフリーズした。
もうすでに日付は変わったというのに出迎えてくれたのは金剛だった。
彼女の笑顔を見ていると、嫌なことも吹き飛んでしまう。
「ただいま金剛。出迎えありがとう」
「ノープログレムね!提督に挨拶しないとスリーピングできまセーン!」
嬉しいことを言ってくれる。
俺の頭の中にはすっかり恐怖は消えていた。
「ところで、響ちゃん達はどこデスか?」
「司令官の後ろだよ」
ひょこっと私の後ろから顔を出す響。
あまりの身長差に金剛からは隠れて見えていたようだ。
「ちゃんと会えたんデスね」
「……というより、何故響を使いに出したんだ?」
こんな時間に外に出すのは、正直私がどうよりも危ないだろう。
会えたから良かったものを、入れ違いでもしたら響が危なかった。
「この子、私たちのアドバイスを聞かずに飛び出して行ったのデス」
「それは反省しているよ。でも、北上さんがあんなこと言うから……」
北上が何か吹聴したらしい。
それを聞いていた響が心配してやって来た……と。
「それはありがとう。だが、これで響が居なくなったら私が心配してしまうよ」
「……そうだね。以後気を付けるよ」
響が足に抱きついてくる。
私は身を屈めて彼女を抱き返した。
「Oh……提督はベリーテンダーネ。怒ろうかと思ったけど、提督に免じて許してあげマス」
「そうしてくれると助かる。……さて、私は風呂に入って来るから――」
そう言いながら響を離し、風呂に向かおうと立ち上がった時だった。
「あれ?それなら提督、電はどこデスか?」
ふたたび俺の頭はフリーズした。
「……電がどうしたんだ?」
「それが、ディナーにも見当たらなかったのデス」
私こそどこか聞きたい。彼女は鎮守府警備に当たっていたはずなのだ。
だが、先程の元帥殿といい金剛といい。
電は何をしていた……もしくは何をしているんだ?
「今日電を見た者は?」
「それが、どうやらランチタイムも居なかったそうデス」
「……なに?」
「てっきり皆は演習に行ったのかと思っていたらしいネ……」
……訳がわからない。
電は本当にどこで何をしていたんだ。
「私は偶然かと思ったんデス。それで響と一緒に提督を迎えに行ったのかと……」
「司令官……」
先程話をした響も感じたようだ。
何はともあれ電を探してからだ。
「よし。他の起きている者に電を探すのを手伝って――」
「……司令官さん、ただいまなのです」
「Oh!電!」
振り替えると、そこには電がいた。
「それが、ディナーにも見当たらなかったのデス」
私こそどこか聞きたい。彼女は鎮守府警備に当たっていたはずなのだ。
だが、先程の元帥殿といい金剛といい。
電は何をしていた……もしくは何をしているんだ?
「今日電を見た者は?」
「それが、どうやらランチタイムも居なかったそうデス」
「……なに?」
「てっきり皆は演習に行ったのかと思っていたらしいネ……」
……訳がわからない。
電は本当にどこで何をしていたんだ。
「私は偶然かと思ったんデス。それで響と一緒に提督を迎えに行ったのかと……」
「司令官……」
先程話をした響も感じたようだ。
何はともあれ電を探してからだ。
「よし。他の起きている者に電を探すのを手伝って――」
「……司令官さん、ただいまなのです」
「Oh!電!」
振り替えると、そこには電がいた。
「…………どこに行っていたんだ?」
ビクッと電が震える。
いつもより低いトーンを聞いて、少し怖がっているのかも知れない。
「電は……街へ安全を守りに行っていました」
「街に?」
確かに最近、物騒な事件があったらしい。
だが、彼女が勝手に街へ出掛けたことの免罪符にはならない。
「司令官さんが心配で……その……」
私は勝手に街へ出かけることは大して禁じていない。
正直言って、鎮守府警備なんていうのも名目上の休暇だと認識しているので怒るつもりもない。
だが、彼女達はまだ幼い。
私を云々よりも、自分の身を守って欲しいのだ。
「…………いいか?電。さっき響にも言ったんだが、これでもし君に何かがあったら、私が心配してしまうんだ」
「はい……」
しょぼんとしながらも、その目はどこか何かを期待しているようにも見えた。
「今後は心配をかけさせないで欲しいな」
そう言ってポンポン、と優しく頭を叩いた。
「……………………」
電は何も言わずにそれにしたがっていた。
「……お姉ちゃんと違う」
「ん?なんか言ったか?」
「…………いえ、了解なのです」
顔をあげて電は笑いかけてきた。
ぎこちない笑いだった。
ビクッと電が震える。
いつもより低いトーンを聞いて、少し怖がっているのかも知れない。
「電は……街へ安全を守りに行っていました」
「街に?」
確かに最近、物騒な事件があったらしい。
だが、彼女が勝手に街へ出掛けたことの免罪符にはならない。
「司令官さんが心配で……その……」
私は勝手に街へ出かけることは大して禁じていない。
正直言って、鎮守府警備なんていうのも名目上の休暇だと認識しているので怒るつもりもない。
だが、彼女達はまだ幼い。
私を云々よりも、自分の身を守って欲しいのだ。
「…………いいか?電。さっき響にも言ったんだが、これでもし君に何かがあったら、私が心配してしまうんだ」
「はい……」
しょぼんとしながらも、その目はどこか何かを期待しているようにも見えた。
「今後は心配をかけさせないで欲しいな」
そう言ってポンポン、と優しく頭を叩いた。
「……………………」
電は何も言わずにそれにしたがっていた。
「……お姉ちゃんと違う」
「ん?なんか言ったか?」
「…………いえ、了解なのです」
顔をあげて電は笑いかけてきた。
ぎこちない笑いだった。
今夜はここまで
相変わらず書き溜めがありません。最悪明日はないかと。
おかしい……そこそこ書き溜めたはずなんだが……
では、お休みなさい
相変わらず書き溜めがありません。最悪明日はないかと。
おかしい……そこそこ書き溜めたはずなんだが……
では、お休みなさい
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