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元スレ照「咲が泊まりにくる」淡「毎日サキと話してるよっ」
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テクテク
咲(わわっ…、お家の中も広い……!)
淡「私の部屋、2階だから。」
咲「う、うん。」
咲「あっ、淡ちゃん。私、お家の人に…ごあいさつを…。」
淡「あー、必要ないよ。」
咲「え?なんで…?」
淡「今いないから。」
咲「えっ、…あの、お仕事…?」
淡「うん、両親ともね。たまに帰ってくるけど、ほとんどここにはいないの。」
咲「……そ、そうなんだ。」
咲(それじゃあ普段…淡ちゃんは、ひとりでここに……?)
カチャッ
淡「はい、どーぞっ。」
咲「えっと…、お邪魔…します。」
淡「それ2回目だよ?」
咲「だ、だって…!やっぱり、緊張しちゃって…。」
淡「あはは、そっか。まあ、てきとーに座っててよ。」
淡「なんか飲み物持ってくる。」
咲「あっ、いいよ!私、すぐ帰るからっ…。」アセ
淡「すぐだから待っててよ。ね?」
咲「あう…ご、ごめんね。」
淡「いーから、いーから。」
カチャ、テクテク…
咲「…うぅ……。」ペタン
咲(…やっぱり…緊張するよ…。しかも広くて、キレイだし…。淡ちゃんはこういうの…慣れてるみたいだったけど、普通はそんな感じなのかなあ。)
淡(サキが家に来てくれた…!ちょっと強引に誘ってみたかいがあったよっ。)ドキドキ
淡(ずっとこの日がくるのを待ってたんだから…!絶対ムダになんてしないっ。)
テクテク…、カチャ
淡「おまたせ…って、あれ?なんでそんな入り口のとこに座ってるの?」
咲「…!あ、淡ちゃんっ、遅いよお…!」
淡「え?そんなに遅かった?」
咲「私ドキドキしながら待ってたんだもん…!心もとなかったよー…。」
淡「ご、ごめん。マンガとか読んでてよかったのに。」
咲「そんなことできるわけないでしょっ…。」
淡「そ、そっか。」
淡(こんなに切羽つまってるなんて。ただ私だけを、待っててくれてたんだ…。)
咲「淡ちゃんのお家なんだから、勝手なことはできないよ。」
淡「もー、気にしないでいいのに。」
淡「…ほら、ジュースとお菓子持ってきたっ。サキ、もっとこっちに座りなよ。」
咲「…あ、ありがとう。」
ポス…
淡(サキが、ほんとに私の部屋にいる…。)カア
咲「………。」
咲「……あれ…?…なんか、今はそんなに緊張しないや。」
淡「え?」
咲「さっき淡ちゃんを待ってたときね、すごく不安になったの…。このまま戻ってこなかったらどうしよう…とかまで考えちゃった…。」
淡「な、なに言ってんの。ここ私の家だよ?」
咲「う、うん…そうだよね、そうなんだけど…。淡ちゃんが戻ってきたとき、すごくホッとしたんだ。」
咲「なんかそれで落ち着いたみたいで、こんなに豪華なお家でも…今はそれほど緊張してないの。えへへ。」ニコ
淡(な、な…、サキってば可愛すぎるんだけど…。)ドキドキ
咲「淡ちゃんのお部屋って、おしゃれでかわいいねっ。」キョロ
淡「そ、そう?」
咲「うんっ、やっぱりその人らしいっていうか…。お姉ちゃんのお部屋も、読書好きっていう感じだったし…。」
淡「え?テルの部屋、入ったの…?」
咲「うん。昨日寝る前に星を見てたら、お姉ちゃんが部屋に入れてくれたの。そこからの方がよく見れて、キレイだったんだ…!」
淡「そう、なんだ。」
咲「…あっ、そうだ。淡ちゃんっ。」
淡「ん?」
ゴソゴソ
咲「はい、これっ。」
淡「え…、これって!」
咲「お菓子、作ったんだ。もしよかったら食べてもらいたいなって……。」
淡「い、いいのっ?」
咲「うんっ。」
淡(サキが渡したいものって、これだったんだ…!手づくりをもらえるなんて……ウソみたいっ。)ドキドキ
淡「さ、早速食べていい?」
咲「もちろんだよ。」
ガサ
淡「ブラウニーだっ…。」
咲「あ…、苦手…だったりする?」
淡「全然っ。大好きだよっ!」
咲(よかった…。)ホッ
淡(これをサキが…。こんなサプライズがあるなんて、思ってなかった…!)
淡「…い、いただきますっ。」
パクッ
淡「………。」モグモグ
淡「…!」
咲(………。)ドキドキ
淡「…っ。」
咲「…………あ、淡ちゃん…?」
咲(えっ…、く…口に合わなかったのかな……?)
咲「だ、大丈夫…?」ソッ
ガシッ
淡「…サキッ!」
咲「きゃっ」
淡「すっっごくおいしいよ、これ!ほんとに手づくり?」
咲「えっ?……う、うん。」
淡「売り物なんてメじゃないくらいおいしい!」
咲「えっ…そ、そんなことっ…」
淡「私、こんなおいしいのはじめて食べた…。」
咲「大げさだよ……。」テレ…
淡「ううん、ほんとに!」グッ
咲「………あ、ありがとう…。」
咲「…………あの、淡ちゃん…」
淡「ん?」
咲「そろそろ…離してもらえると……」カア
淡「…あっ!」
バッ
淡「ご、ごめんっ!」カア
咲「…う、ううん。気にしないで…。」
淡(わわっ!思わずサキの腕つかんで、引き寄せてた…!)
淡「……。」ドキドキ
咲「…ふふ、でも気に入ってもらえてよかったよ。」
淡「ほ、ほんとにおいしかったから…!」
咲「うーん、普通につくったつもりなんだけどなあ…?こんなに喜んでもらえるなんて、思わなかったよ。」
淡「サキは天才なんだねっ。」
咲「う…うーん…。」
咲(淡ちゃんは普段、あんまりお菓子食べないのかな…?)
淡「………。」パクッ、モグモグ
咲「……。」
咲(すごく美味しそうに食べてて……な、なんか照れちゃうよ。なにか気を紛らわさなきゃ…。)カア
咲「…あ…淡ちゃん、持ってきてくれたお菓子…もらってもいい?」
淡「ん?ああ、じゃんじゃん食べてっ。」
咲「ありがとう。それじゃ…いただくね?」
スッ
咲(……あれ?これって…)
咲「専門店のお菓子…?」
淡「うん。たぶんそう。」モグモグ
咲(…え?こっちのは、高級なお店のだよね…?あ、あっちのも……!?)
淡「どうかした?」
咲「あ、淡ちゃんっ。こんないいもの、もらえないよ…!」アセ
淡「えっ、なんで?」
咲「…それ以前に、こっちの方が何倍もおいしいのに……私、淡ちゃんに失礼なものあげちゃった…!」
淡「ちょ、ちょっと、サキッ。なに言ってんのっ?」
咲「ご、ごめんね…。」シュン
淡「まってまって!なんかすごく誤解してるよっ。」アセッ
淡「このお菓子は親とかが持ってきて、食べきれないくらいあるし…。それに私は、咲のブラウニーの方が本当においしかったのっ。」
咲「うう…でも……」
淡「むしろ私の方が、こういうのしか出せなくて気まずいんだから…。」
咲「ええっ!そ、そんなことないって。」
淡(味気ない、こんなものより…サキのお菓子の方がおいしいのは当然だよっ!)
淡「だってサキのつくってくれたブラウニーは、世界のどこにも売ってないもん!」
咲「……!」
咲(淡ちゃん…。)ドキ
淡「だからサキは気にしないで、どんどん食べてよ。」
咲「…う、うん……ありがとう…。」
咲「……。」…ハム、モグモグ
咲(…すっごく、美味しいけどなあ……。これよりも、私のものの方が美味しいだなんて……。)ドキドキ
淡「…はあーっ、おいしかった!」
咲「えっ!」
咲「もう食べたの?」
淡「うんっ。」
咲「は、はやいね…。」
淡「おいしくて、止まんなかったよ。」
咲(…。)カア…
淡「……。」ガサガサ
咲「……なにしてるの?」
淡「記念にとっとくの、このラッピングっ。」
咲「ええっ!?」
咲「そっ、そんなことしなくても…!」
淡「だって、サキからはじめてもらったプレゼントだもん。」ニコ
咲「……淡ちゃんっ…。」ドキ
咲(…そんなに、喜んでくれてたんだ……。)
咲(で、でも…中身も包みも、本当に大したものじゃないのに……。)
咲「…よ、よかったら、またつくってくるからっ…。」
淡「えっ?ほんと!?」パア
咲「う、うんっ。…だからそれ、とっとくのは止めにして…」
淡「うわわっ、嬉しーっ!またサキのお菓子、食べれるんだ…!」
咲「あ…でも全然、大したものじゃ…。」
淡「楽しみにしてる!……あ、じゃあこれは第1回目のってことで、額縁にでも入れ…」ルン
咲「やっ、やめてえっ!」ガタタッ
咲「……あっ、もうこんな時間…。」
淡「…ほんとだ。」
淡(サキといる時間は、どうしてこんなに早いんだろう…。)
咲「すっかり話し込んじゃったね。」
淡「うん。」
咲「楽しかった。」
淡「うん…。」
咲「………。」
淡「………。」
咲「…そろそろ帰ろうかなっ。」ガサ…
淡「…あっ……」
淡(サキが、行っちゃうっ。そんなの…やだ…!)
咲「それじゃあ、淡ちゃん…」
淡「ね、ねえっ!夕食食べていかない?」アセ
咲「え?」
淡「サキの食べたいもの、なんでも用意するからさ…!一緒に食べようよっ。」
咲「い、いや…それはっ…!」
淡「…っていうか、なんなら今日泊まっていきなよ!サキが私ん家にくることなんて普段ないじゃん!この機会にさっ…。」
咲「ええっ!?そ…そんなの悪いよっ!私もう帰…………あっ…。」
咲(淡ちゃん…私が帰ったら今日も、ひとりになっちゃうんだ…。たったひとりで、毎日ご飯食べてるのに……。)
淡「ねっ、そうしなよ…!」ドキドキ
咲「………う、うん。…それじゃあやっぱり、お言葉に甘えちゃうおうかな。」ニコッ
淡「えっ、ほ…ほんとっ?」パア
咲「ちょっと、お姉ちゃんに電話するね。」
淡「あっ、うん…。」
ゴソゴソ
咲(お姉ちゃんには申し訳ないな……。でも、私が淡ちゃんのお家に来る機会なんてほとんどないと思うから…今日だけ……。)
プルル……ピッ
照「咲っ?」
咲「あっ、お姉ちゃん?」
照「うん。どうしたの?」
咲「あの…お姉ちゃん、夜ご飯ってもう準備とか…してる…?」
淡「………。」ドキドキ
照「え…?ううん、まだだけど…。」
咲「あ、ほんと?よかったー…。」ホッ
照「咲…?」
咲「あっ、ごめんね。あの…急で申し訳ないんだけど…、今日…淡ちゃんのお家に泊まらせてもらおうかと思ってるの…。」
照「えっ…!?」
咲「…い、いいかなあ…?」
照「…え、えっと……、今日は帰らないで…淡の家に、行って……泊まるの…?」
咲「あ、ううんっ。えっと…駅には行ってなくて、そのまま淡ちゃんのお家にお邪魔したんだ。それで…、夜ご飯一緒に食べて、泊まっていきなよって言ってくれて。」
照「…そ、そう…なんだ…。」
咲「うんっ。」
照「………。」
咲「……えっと…」
照「………咲は泊まりたいの?」
咲「え?…う、うん!」
照「………。」
咲「……お姉ちゃん…?」
照「………それなら、泊まっておいで…。」
咲「ほんとっ?…あっ、お姉ちゃんは大丈夫…?」
照「ふふ、私は平気だよ。誰かさんみたいに、子どもじゃないからね。」
咲「えー、それって私のこと?」ム-
照「…淡と、お家の人に迷惑かけないようにね。」
咲「うんっ。…あ、でも今日、お家の人はいなくて淡ちゃんだけなんだ。」
照「えっ?」
咲「あっ、でももちろん、迷惑かけないように気をつけるよっ。」
照「…そ、そう……。」
咲「それじゃあお姉ちゃん、明日帰るからねっ。」
照「…うん、分かった…。」
ピッ
淡「…テル、いいって?」
咲「うんっ。」
淡「そうなんだ…。」
咲「えっと、今日はお世話になります。」
淡「あっ、いや、こちらこそ…。」
咲「えへへ、家族以外のお家にお泊まりするの、はじめてだよ。」
淡「…ごめん、今さらだけどさ…迷惑だった?」
咲「えっ?」
淡「……。」
咲「…えっと、迷惑なんかじゃないよ?というか…私の方が急に泊まらせてもらっちゃって、悪いくらい…。」
淡「そ、そんなことないよっ。」
淡(私が強引に誘ったんだもん…。)
咲「淡ちゃんと長く一緒にいられて、嬉しいなっ。」ニコ
淡「……っ!」ドキッ
咲(少し、緊張するけど…。こういう機会のはじめてが、淡ちゃんでよかったかも。)
淡(…親切から言ってくれた、ってことくらいわかってる。でも私はやっぱりサキと、もっと一緒にいたい。)
淡(そのときサキを困らせることになっても、後悔なんてしたくないから、我慢なんかしない…!)
淡「まだ少し早いけど、夕食なににするか決めようよっ。」
咲「そうだね。うーん、どうしようか…?」
カタカタッ
淡「種類は、ひと通りそろってるよ。はい、これっ。」パッ
咲「これ…なあに?」
淡「私が普段食べてるデリバリーの店。特注で頼めるところもあるから、けっこう品数は多いと思うっ。」
咲「えっ!淡ちゃんいつも外食なの?」
淡「外食、ってことになるの?よくわかんないけど、ネットとか電話で取り寄せてる。」
咲「じ、自分でつくったりは…?」
淡「え、しないよ?」
咲「………。」
咲(…お、お金持ちだから、なのかな…?でも…毎日つくりものって……。)
淡「和食とかなら、ここがおいしいよっ。」カチッ
咲「…う、うん………えっ!」
咲(た…高い…。ひょっとして、他のお店もこんな感じ…?)
淡「サキが好きそうなのはどれだろ…」カチ、カチ
咲「あ、淡ちゃん…。」
淡「なーに?」カチ、カチ…
咲「あの、私今日…そんなにお金持ってきてなくて……。」
淡「いらないよ?」キョトン
淡「サキは好きなのを、好きなだけ食べてっ。」
咲「だっ、だめだよ!」アセ
咲「そ…それより淡ちゃんっ、本当に毎日…お店のご飯なの?」
淡「うん。」
咲「そっ、そんなの…体悪くしちゃうよっ。」
淡「えっ?いやでも一応、バランスが考えられてるのを頼んでるつもりだよ?」
咲「で…でもできるだけ、目の前でつくった…できたてのものを食べた方が…。」
淡「あー…でも私、料理とかできないし。」
咲「……。」
咲(このままだと淡ちゃん…、体壊しちゃうかも…。)
淡「注文した方が、早いしラクだしおいしいから…」
咲「だ…だめっ!毎日外食なんて不健康だよ…!なんだったら、今日は私が夜ご飯つくるからっ。」
淡「え…!?」
咲「あっ…!」
咲(つい口から……!…こんな図々しいこと言っちゃうなんて。あ、謝らなきゃっ…)アセッ
淡「…ほんとに?」
咲「…え?」
淡「サキがここで、つくってくれるのっ?」パア
咲「…え…?あ、その…」
咲(あれ…、淡ちゃん嫌がって…ない…?)
咲「えっと……め、迷惑じゃなければ……。」ドキドキ
淡「サキの手料理が食べられるなんて、夢みたい!ほんとにいいのっ?」
咲「そ、そこまでのことじゃないよっ。」
淡(ウソウソ…こんなことって…!)ドキドキ
咲(淡ちゃんが優しくてよかったよお…。)ホッ
ガチャ
淡「はいっ、ここがキッチン。」
咲「わ…広いね…!」
淡「あるものは全部好きに使ってね。」
咲「え、いいの…?」
淡「もちろんっ。」
咲「…それじゃあ、あの…冷蔵庫…見せてもらってもいいかな……?」
淡「うん、いいよ?大したものは入ってないけど。」
咲「えっと、夜ご飯に使っても大丈夫なものを教えてもらえたらなって。」
淡「んー、なにがあったかな…」
パカッ
淡「あ…。」
咲「…ふえっ?」
淡「…あは…は、軽食と調味料しか…入ってないや…。」ヒク…
咲「あ、淡ちゃん…。」
咲(これは…遠慮してちゃだめかも………!)
淡(ヤバイ、サキに引かれてるっ…?こ、こんなに無いなんて思わなかった…!)
淡「ちっ、ちがうのっ…これは…」アセッ
咲「…あの…キッチンの戸棚とか引き出し、見てもいい?」
淡「あっ…、う、うん。」
パカッ…、パカッ…、スッ…
咲「………。」
淡(無言で見てってる…。)ドキドキ
…パタン
咲「…ふう。」
淡「サキ…?」
咲「ん?」
淡「その、引いてる…?」
咲「へっ?な、なんで?」
淡「いや、だって…私の家なんにもなくて…。」シュン
咲「ううんっ、引いたりなんてしてないよ?…それに、淡ちゃんのお家はいっぱいあって……」
淡「えっ?なにがっ?」
咲「ふふっ、淡ちゃんのお母さんなのかな?調味料がたくさん揃ってたの。」
淡「あー…、たしかに帰ってくる度になんかしら買ってるみたいだけど…。」
咲「これだけ充実してたら、材料さえあればどんな料理もできちゃうよっ。お母さんすごいね!」ニコッ
淡「で、でもほとんど封開けてないし、よく期限切らして捨ててるけどね。」テレ
咲「あ…あはは…。」
咲「と…とにかく、夜ご飯の材料を買いにいこう。」
淡「うんっ。」
咲「…あ、その前にメニュー決めなきゃ。」
咲「淡ちゃん、なに食べたい?」
淡「サキがつくってくれるものならなんでも!」
咲「う…うーん、嬉しいけど…それだと困っちゃうよ。」
淡「それじゃあ…、アレルギーとかはないよ。」
咲「あ、ほんと?…嫌いなものは?」
淡「んー、サキのものならなんでも食べられると思う。」
咲「あはは、ほんとにいいの?えっと、和洋中ならどれが…?」
淡「サキが得意なものっ。」
咲「もー、淡ちゃんたら…。それなら私が全部決めちゃうよ?」
淡「いいよー。」
淡(…私が一番食べたいのは料理じゃないし…ね。)
ウィーン
咲(お米はあったから、おかずのものを買えばいいよね。なるべくバランスのいいものを…。)
コロコロ
淡「サキッ、買い物カート持ってきた!」
咲「わ、ありがとう。」
淡「なに買うのー?」
咲「えっと、お魚とお野菜と…。」
淡「魚に野菜ね!」
咲「嫌いなものがあったら言ってね。」
淡「サキのだからへーきっ。」
咲「そういうものなの…?…あ、果物とか甘いものとかで食べたいのある?」
淡「デザートで?」
咲「うん。」
淡「それはもちろん…、……!」ハッ
淡「な、なんでもないっ!」アセ
咲「えっ?な、なに?」
淡(こ、こんなところで今ふつーに、「サキ」って言うところだったよ…!)ドキドキ
咲(食べたいもの、あるんじゃないのかなあ…?)
ガサッ
咲「淡ちゃんの方が重くない…?」
淡「そんなことないよ。さっ、帰ろ!」
咲「うん。」
「あれっ?キミ、たしかこの前の…!」
咲「……え?」
淡「…!」
「あー、やっぱりそうだ!僕のこと覚えてます?ホラ、ついこの前向こうのスーパーでアンケート頼んだ…」
咲「…あっ。」
咲(わわ、あのときのこわい人だ…。)
「覚えててくれました?嬉しいなあ!こっちでも買い物してるんですねー。今日こそは、ご協力いただけます?」ズイッ
咲「あ、あの私っ…」ビク
咲(今日はちゃんと自分で断らなきゃ…!)
グイッ
咲「あっ…。」
咲(淡ちゃん…!?)
淡「……。」ギロッ!
「ヒ……!!!」
淡「二度と近寄んないで。」
「すっすいません!べべ別の人当たりますっ!!」
テクテク
咲「あ、淡ちゃん…断ってくれてありがとうっ。」
淡「いーよべつに。」
咲「…で、でも……あんなふうに言っちゃうのは…。」
咲(な、なんかすごく怯えてたよ…。…でも、私が淡ちゃんに言える立場じゃないんだけど……。)シュン
淡「……。」…ハア
淡「…ん、そーだね。気をつけるよ。」
咲「ご、ごめんね…。」
淡(なんでサキに対してだと、こんなに素直になれるんだろう…。)
咲「自分で断らなきゃって思ってるのに、この前はお姉ちゃんが断ってくれて……、今日は淡ちゃんにお世話かけちゃった…。」
淡「それほどのことじゃないよ。」
淡(まーあれじゃ、テルも同じように追い払っただろうね。)
咲「淡ちゃんや、お姉ちゃんみたいになりたいなあ…。」
淡「サキが?あはは、そんなの意味ないって。」
咲「えー…?…だって、自分の意見もちゃんと言えないなんて…、周りの人が困っちゃうよ。」
淡「そこまでひどいわけじゃないでしょ。サキは今のままでいいのっ。」
咲「うー…私ももっとはっきり断れたらなあ…。」
淡「サキが言えない代わりに、私が全部言ってあげるから問題ないよ。ほら、上の空で歩いてるとコケるよ?」
咲「う…うん。」
咲「さて…」
淡「………。」
淡(サキのエプロン姿…やばいんだけど…。可愛いすぎでしょ…!)ドキドキ
咲(まずはお米をといで、少しお水に浸して……あ、お湯沸かさなきゃ。)
淡(このまま見てたら、夕食どころじゃなくなりそう…。…いや、それはだめっ、せっかくのサキの手料理なんだから…!)
淡「サ、サキッ!私もなんか手伝う!」
咲「うん、ありがとうっ。それじゃあ…買ってきたお野菜を全部出して、軽く水洗いしてもらってもいい?」
淡「おっけー!」
淡(ちゃんとやらなきゃ…!えっと、ダイコンとニンジン…ゴボウに…)ガサガサ
ザー…
咲(次は、ぶりを…)
淡「サキ、この魚はー?」
咲「あ、ちょうど今使おうと思ってたんだ。ありがとう。」
咲(塩をふって少し置いとこう。)パッパッ
淡「次はっ?」
咲「えっと、その野菜を切ってほしいんだけど…、淡ちゃん包丁って大丈夫…?」
淡「あ、バカにしてる?」ムー
咲「う、ううん!そういうのじゃなくてっ…、刃物だから…。」アセ
淡「へーきだよっ。大得意だしさ!」
咲「それじゃあ大根の皮をむいて、半月……ううん、厚めの…いちょう切りにしてもらえたら…。」
淡「……んん?」
咲「…あ、えっと…、輪切りにして…」
淡「輪切りねっ。」ザクッ
咲「あっ、淡ちゃん!切るときは左手を丸くして添えた方が…!」ハラハラ
咲「ふう…。」
咲「できたねっ。」
淡「すごい…!」
咲(ぶり大根、きんぴらごぼう、海藻サラダに黒豆煮と浅漬け…、これなら栄養価は大丈夫そうかな…。)
淡「すっごく和食って感じ…!」キラキラ
咲「サラダは違うけど、大体そうだね。」
淡「お腹ペコペコー!さっそく食べようよ!」
咲「うん。今お味噌汁つけるね。」
淡「あ、手伝うよっ。」
コトッ
咲「それじゃあ食べようか。」
淡「うわわ……夢…みたい…。」
咲「淡ちゃんの口に合うといいんだけど…。」
淡「絶対おいしいに決まってるよ!いただきまーす!」
咲「いただきますっ。」
淡(サキがつくってくれたご飯を…こうやって一緒に食べれるなんて……!)
淡(今日はずっと幸せすぎて、信じられないよ…。)
パクッ
淡「………。」モグモグ
咲「…ど、どうかな?」ドキドキ
淡「……!」
淡「なにこれ……ほんとに、すっごくおいしい…!」ブル…
咲「わ…!本当っ?」パア
淡「こんなにおいしいご飯…食べたことないよ…!」
咲「ま、またっ…そんなこと言って…。」カア
パクパク、モグモグ…
淡「……キンピラもおいしい!……みそ汁も、すごいおいしいんだけど…!」
咲「あ、淡ちゃん…、そんなに急いで食べたらよくないよ。」
淡「だって…!とまらないんだもんっ。」モグモグ
咲「う、嬉しいけど……ちゃんと噛んで食べてね?」テレ
淡「うん!」パクパク
咲(淡ちゃん、こういう和食が大丈夫でよかった…。)
淡「…サキは本当に完璧!」ニコニコ
咲「え?料理のこと?」ハム、モグモグ
淡「んー、まあそれもあるけど…」モグモグ
咲「でも、これは私が全部つくったんじゃないよ?淡ちゃんいっぱい手伝ってくれたし…。この黒豆は、もう煮てあるのを温めて盛りつけただけだし…。」
淡「えーと、この…ブリ大根?と、キンピラとかの味つけは全部サキでしょ?味はちゃんとついてるのに、優しい感じ!」
咲「…あ、でもそれは淡ちゃんのお母さんの調味料があったから…。」
淡「どんなにいいのがそろってても、腕がないとこうはならないよ。」
咲「そ、そこまでのものじゃ…」
淡「ていうかそんなにゆっくりしてたら、私全部取っちゃうよ?サキももっと食べなよー。」パクパク
咲「あ、うん。」…ハムッ
淡「はあーっ。」
淡「ほんと、さっきのご飯おいしかったあ…!」」
咲「淡ちゃん、いっぱい食べてたね。」
淡「うん!いつもは料理残すんだけど、今日は満腹にならないくらいどんどん食べれちゃった!」
淡「サキは最高のお嫁さんになるね!」
淡(私の、だけどっ。)
咲「えっ!そ、そんな…。」カア
淡「いきすぎってくらい思いやりがあって、麻雀は群を抜いてるし、料理も上手いとか、完っ璧だよ!」
咲「ええっ!?わ、私全然そんなことないって!」アセ
淡「もちろん、それだけの魅力なわけないんだけどさ。でもとにかく、サキはもっと自分のことを自覚すべきだね。」
淡「…でもって、人からどう見られてるかも自覚すべき。」ズイ
咲「う…うーん…。」タジ…
咲(む、難しいよお…。)
淡「あっ、そうだ!先に言っておくけど、ベッドは私と一緒ね!」
咲「え…?」
咲「えええーっ!?」
淡「さてっ。食休みして、お風呂入ったし、あとは寝るだけ!サキ、一緒に寝よっ!」
咲「まっ待って、淡ちゃん!その…、ほ…ほんとにいいの…?」アセ
咲(これ、淡ちゃんが普段寝てるベッドだよ、ね…?)ドキドキ
淡「まだ言ってるの?別々に寝る方が変でしょっ。友だちなんだし、泊まりにきたならふつーこうするよ!」
咲「そ、そうなの?」
咲(はうう…き、緊張する…。パジャマも淡ちゃんの借りちゃったし、なんか…申し訳ないな…。)モジ
淡「ゆ、湯冷めするよっ?ほら、早くおいでって。」
咲(淡ちゃん、すごく優しいよ…。…ここは、甘えちゃおう……!)
咲「…うん。…それじゃあ…失礼します。」ソロ…
淡「う、うん!」
淡(う、うわ……!やった…!ついに…一緒のベッドに…!)ドキドキ
…ポフ
淡「っ!」
淡(サ、サキの顔がこんな近く…!!)カアッ
咲「えへへ……。な、なんか照れちゃうね…。」テレ
淡「せっ、狭くないっ?」
咲「うん、大丈夫だよ。」
咲「…あ。もう寝るよね?電気消さなきゃ…」ムク
淡「あっ、へーき!リモコンここにあるからっ。」
咲「え、そうなの?あはは、すごいね。」モゾ…
咲(あれ……?)ピク
咲「淡ちゃんのにおいだ…。」ポソッ
淡「え…?」
咲「あっ、あのね、今気づいたんだけど…このベッド、すごく淡ちゃんの香りがするの。とってもいいにおいで…。」
淡「…えっ…そ、そんなにする…?」カア
咲「うんっ。このパジャマ借りたときも、何となく淡ちゃんのにおいがしたんだけど、ベッドはもっとするよっ。」
淡「そ、そうなんだ…。私…全然わからないや。」カア
咲「洗剤とか、スキンケアのものじゃないにおいだよ。…ふふ、なんか嬉しくなっちゃうなあ。」モゾモゾ…
カチャ
咲「あ…。」
淡「ん?……あっ!」
淡「それ…!」
咲「はずすの忘れてたよー。今気づいてよかった。」ムク
淡(この前のブレス…!)
淡「今日、してたのっ…?」
咲「うんっ。…あれ?もしかして気づかなかった?」
淡「……う…ん。」
咲「ご飯作るときと、お風呂のときははずしてたんだけど、それ以外はつけてたよ。…あ、でも長袖だと見えないよね。」
淡「つけてきて…くれてたんだ…。」
咲「だって、淡ちゃんとの絆の証だもんっ。」ニコッ
淡(っつ!)ドキッ
淡(こ、こんなことされたら…もう…!)ドキドキ
咲「あれ…?はずれない…。」ゴソゴソ
淡「…は、はずさなくていいじゃん。」ムク
咲「え、でも万が一…寝てるあいだに壊したりしちゃったら嫌だし…」
グイッ、ドサッ…
咲「きゃっ…」
淡「…このまま、つけてなよ。」
咲「あ、淡ちゃん…?どうして上に乗って…」
淡「…はあ…。」ドキドキ
咲「……?」キョト
淡「サキ、可愛すぎ…。」
咲「っ!か、可愛くなんかないよっ!可愛いのは淡ちゃんで…!」アセ
淡「ねえ、私が今日…どれだけ頭狂いそうだったか、わかる?」
咲「えっ…?それってどういう…」
淡「やっぱり、サキは気づいてないよね…。」
咲「……?」
淡「今日ずっと見てた。」
咲「え…?」
淡「どのサキもすごい可愛いかったよ…。エプロンつけてたときも…、私の服を着たお風呂上がりのときも…。」
淡「いつ……襲っちゃおうか、って思うくらい。」
咲「えっ…!?あ、淡ちゃんっ…?」
淡「私が…そういう目で見てる…って、わからなかった?」
咲「な、なに言ってるのっ…。」カアッ
淡「今日だけじゃないよ。一昨日の出かけたときも、ずっとそうだった。」
咲「そんなっ、冗談…!」
淡「ジョーダンなんかじゃないよ!」グッ
サラッ
咲「…あ…」
咲(淡ちゃんの髪が…。)
咲(すごくいいにおい。…もうほとんど抱きしめられてるみたいなのに、…ドキドキしすぎておかしくなりそうだよっ……。)ブルッ…
淡「……私のこと、嫌い?」
咲「え…!?ううんっ、嫌いなわけないよ!」
淡「そう…。じゃあ、好き?」
咲「うんっ、好きだよ。」
淡「………テルのことは、好き?」
咲「お、お姉ちゃん…?好きだけど…。」
淡「…そう。…あのさ、私も…サキのことが好き。」
咲「あ、ほんと…?」パア
淡「まー、それは当然なんだけど。…でも…」
スッ…、サラッ
咲「…!」ピクン
淡「髪、サラサラ…」
咲「あ…淡ちゃんっ?」アセッ
淡(首すじ…)ハア
ツツ…
咲「ひゃうっ…!?」ビクッ
淡「スベスベだね…」
咲(こ、これってなんかエッチ……!)ドキ
咲「淡ちゃんっ…だめっ…。」グッ
淡「私の好き…は、もっとこうゆうことがしたい……好き、なの。」
咲「えっ!?」
咲(そ、それって…)
淡「サキを、私だけのものにしたいのっ…。サキもっ、私を好きになって!」
咲「……っ!!」ドキッ
咲(あ、淡ちゃん…、私のこと…そんなふうに思ってくれてたのっ…?)
トクンッ…!
咲(…や、やだ…どうしよう…!なんかすごく体が熱くて…、苦しい……。)カアッ…
淡「サキは私と、こうゆうことするの…やだ?」
咲「……あ、あのっ、私っ…」ドキドキ
淡「私は今すぐにでも…、したい…!」
咲「…!」ドキッ
咲(だ、だめだよ…!いきなり、そんなこと…!)
淡「……サキ…」スッ
咲「だっ、だめっ!」フイッ
淡「…なんで?」
咲(ふわっ!あ…淡ちゃんの息が耳に…!)ブルッ
淡「サキの口、柔らかそう…。」
咲「……!」カア…
咲(や、だめ…、なんかっ…おかしな気持ちになっちゃいそう……!)ドキドキ
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