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元スレ照「咲が泊まりにくる」淡「毎日サキと話してるよっ」
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照(さっきの様子…。あれは私にお菓子を見せたくなかったってこと、だよね…。)
照(咲がこんなに一生懸命つくってるのは……)
照「……はあ…。」
咲「…お姉ちゃん?」ヒョコ
照「っ!さ、咲…!」ビクッ
咲「今ちょっといい?」
照「う、うん、いいよ。なに…?」
咲「あのね…、お姉ちゃんはもう気づいちゃってると思うんだけど…これね……」
照(…!や、やっぱり淡にお菓子をっ…)
ガサッ
咲「はいっ、お姉ちゃんへ!」ニコッ
照(…………。)
照「……え?」ポカン
咲「あんなにバレバレにつくってたから、改まって渡すのもなんか変かもしれないけど…。」テレ
照(え…?)
照「こ、これ…私にっ…?」
咲「うんっ!まだちょっと温かいけど、食べられるくらいには冷めたと思うんだ。」
照(……!)
咲「さっき冷蔵庫開けようとしてたから、早めに包んじゃった。お腹空いてないと…きっと美味しく感じないかもしれないから…。」
照「そ、そんなことないっ。咲がつくってくれたんだから、いつ食べても絶対に美味しいよ。」
咲「ううん、本当に大したものじゃないから…。」
照「さ、早速開けてもいい?」ドキドキ
咲「…うんっ。」
照(綺麗にラッピングしてくれてる…。目の前にいた私に渡すために…わざわざ…。)
ガサ
照「わ…、美味しそうっ…。」
咲「ブラウニー…、お姉ちゃん大丈夫だったかな…?」
照「大好きだよ。」
照(食べるの、もったいない…。でも咲が見てるから…)ドキドキ
照「…いただきますっ。」
パクッ
照「……。」モグモグ
咲「……。」ドキドキ
咲(い、一応味見はしたけど…、お姉ちゃんの口に合うかなあ……?)
照「…美味しい……!」
咲「…ほんとうっ?」パアッ
照「うん…、これ…本当に美味しいよ。ちゃんと甘いのに、しつこくない…。」
咲「……!」
咲「よかったあ…。」ホッ
照(これを…私のために…。)カア…
咲「あのね…」
咲「このブラウニー、お姉ちゃんと淡ちゃんにつくったんだっ。」
照「え…?」
咲「2人にはいっぱい迷惑とかかけちゃってるし、いっぱい…感謝してて。…なにか私にできることないかなって思って、つくってみたの。」テレ
照「淡、にも…?」
照(そうなんだ…やっぱり、つくってたんだ…。)
咲「明日淡ちゃんに会えたら、渡そうと思うんだ。喜んでくれたらいいなっ。」
照(……このままだと、今以上に仲よくなって……咲は淡のことを…?)
照(そんなことっ………)グッ
咲「お姉ちゃん、私ちょっと淡ちゃんに電話かけてくるねっ。」
照(…あっ……。)
パタパタ…
咲(たしかケータイは、昨日のかばんに入れてたはず…。)
咲(…あった。)ゴソ
咲「淡ちゃんのアドレスはたしか……あ、これだ。」
ピ、ピ、ピ…プルル…
咲(淡ちゃん、出るかな…?)
~~~~~~~~~~~~~~~~
~~♪
淡(…!!)
パッ
淡「サキッ…」ドキッ
淡(サキが電話くれるなんて…!)
ピッ
~~~~~~~~~~~~~~~~
淡「もしもしっ…」
咲「淡ちゃん?あの…私だけど…」
淡「うん、サキッ。どうしたの?」
咲「あのね、明日ってなにか用事、ある…?」
淡(えっ…?)
淡「…ううん!特にないよ。」
咲「あ、ほんと?ええと…、急で悪いんだけど…明日少し会えたらなって。」
淡「あ、うんっ、おっけー。いつでもいいよっ。」ドキドキ
咲「それじゃあ…、15時ごろとか平気?」
淡「う、うんっ。」
咲「駅に待ち合わせでもいいかな?」
淡「わ、分かった…!」
ピッ…
咲「…。」ホッ…
咲(…明日、淡ちゃんと約束できてよかった。)
テクテク、ガチャ
咲「あ、お姉ちゃん。電話、終わったよ。」
照「うん…。」
咲「あ、お茶飲む?それだけだと甘かったよね。」
照「一緒に飲もう。」
咲「うんっ。今いれるね。」
……コポコポ…
咲「お待たせっ。」スッ
照「ありがとう。…隣、座りなよ。」
咲「うん。」ポス
咲(……あれ?ブラウニー、半分以上残ってる…。)
照「あのね、咲が来たら一緒に食べようと思って。」
咲「…あっ、いいよっ。これはお姉ちゃんにつくったものだし、私は味見したから…。」
咲(お姉ちゃん、私のために待っててくれたんだ…。)
照「でも、咲の分はないんでしょ?」
咲「え?う…うん。」
照「一緒に食べた方がもっと美味しくなる。」
咲「でも、お姉ちゃんの分だからっ…。」
照「それじゃあ咲に1つあげる。」
咲「へっ?」
照「美味しいから、もっとちゃんと食べた方がいい。」
咲「……うう…それじゃあ…、いただいちゃうね…?」
照「うん。」
咲「……。」モグモグ
照(………。)
咲「……?…お姉ちゃん、私のことじっと見てどうしたの?」
照「……えっ…!いやっ…何でも、ない…。」アセ
咲「そう?……ふふ、なんだか昨日の淡ちゃんみたい。」
照(……え?)
咲「…うん、我ながらなかなかの出来かなっ。お姉ちゃん、もう1個だけ食べていい?」
照(……。)
咲「この小さいの、もらっても…」
パッ
照「咲、口…あけて。」
咲「え?」
照「食べさせてあげるから…。」
咲「えっ!?…い、いいよっ!」アセッ
咲「私、自分でっ……んむ…」ハムッ
咲(…!!お、お姉ちゃんに食べさせてもらって……!)
ペロ…
照・咲(……っ!!)
照(さ、咲のが………!)
パッ
咲「ごっごめん…!指っ…ちょっと舐めちゃった…!」アセアセッ
照「…へ、へいき。」ドキドキ…
照(………もっと、咲と触れたい……。)
咲(は、恥ずかしいよお……。)
咲(…昨日の淡ちゃんのも恥ずかしかったけど…あのときはスプーンだったから、まだ……)
照「…咲、…」
咲「…!」ビク
咲「な、なあにっ?」
照「く、口元にチョコ…ついてるよ…。」スッ…
咲「えっ!?…ひゃぅ………」ブル…
照(咲の舌……、咲の声……、咲の…唇………)ドキドキ
フニ……
咲(…!!)
照「…と…とれた。」フイ
咲「……う、う…ん。」
照(すごく…柔らかかった…、咲の…。)ドキドキ
照(舌の感触も、まだ指に残ってる……。)
咲(お…お姉ちゃんに唇…触られちゃった…)
咲(うう……恥ずかしくてなにも考えられないよ…。)カア…
咲「………。」ドキドキ
照「……ご、ごめんね。ちょっと強引だったかも…。」
咲「えっ?…う、うん…大丈夫っ…。ちょっと、びっくりしただけだから…。」アセアセ
照「そ…そう。」
照(…でも、このくらい積極的にならないと咲はきっと…)
咲「…お、お姉ちゃんっ、ブラウニーもっと食べて…?」
照「…あ、うん。」パク
照(せっかく咲が美味しくつくってくれたのに…、もうほとんど味が分からない…。)モグモグ
咲「わ、私…お茶のおかわりいれてくるねっ。」サッ
照「…あ…」
パタパタ…
照(咲…動揺してる。…それが、ちょっと嬉しく思うなんて…。私本当に余裕ないな…。)ハア…
照(……もっと、咲に触りたい。もっと、意識して…ほしい……なんて。)
咲(はうー…落ち着こう…。このままだときっと、変に思われちゃう。)ドキドキ
咲(お姉ちゃんは親切でしてくれたことなんだからっ。普通にっ…普通にしなきゃ…!)
コポコポ…、パタパタ
咲「…はいお姉ちゃんっ、お茶はいったよ。」
しっとりとしていて、それでいてべたつかない、すっきりとした甘さだ。
クォクォアはバン・ホーテンのものを使用したのかな?
クォクォアはバン・ホーテンのものを使用したのかな?
咲「ふう…。」
ポフッ
咲(多分普通にできた、よね…。)
夜ご飯食べたり、お風呂上がりのときとか、たまに緊張しちゃったけど…。
お姉ちゃんは特に気にしてないみたいだったから、…きっと大丈夫。
このまま寝て…明日になれば、この緊張感もなくなりそうな気がするから…。
ゴロッ
咲(…あれ?)
咲(今、窓から星が見えたような…?)ムクッ
ペタペタ
咲「わ……」
咲(きれいな星空…。)
咲「そういえば…夜になると星がよく見えるって、お姉ちゃんと弘世さんが言ってたっけ。」
カチャッ
照「咲…?」ヒョコ
咲「あっ、お姉ちゃん。」
照「…あ、星を見てるの?」
咲「うんっ。お姉ちゃんたちが言ってた通り、本当にきれいだね。」
照(…これは…チャンスかも…。)
照「咲。」
咲「ん?」
照「……星なら2階の私の部屋からの方が、よく見える…。」
咲「そうなの?」
照「うん。…よかったら、おいでよ。」
咲「え…?」ドキッ
咲(ど、どうしよう…。そういえば…お姉ちゃんの部屋にはもうずっと、入ったことなかったよ…。行きたいけど…、今日はちょっと気まずいような……。)
咲「…ご、ごめんお姉ちゃん、今日は…」
照「こんなに雲ひとつない夜空は、次いつ見られるか分からないかも…。」
咲「え…!ほんとに?」
照「う、うん。だから…今日見にきた方が無難。」
咲「ええと……」
咲(ま、迷うよお…。でも、こんなにきれいに見れるのは今日だけ、かもしれないなら…。)
照(咲がこっちにきて3日目なのに、まだ部屋にも入ってないのは…私が受け身過ぎたから…)
照(咲のことで我慢するのは…、やめよう。)
咲「…そ、それじゃあ…おじゃましようかな。」
咲(星を見るだけだもん…。変に緊張することなんてないよ、大丈夫っ。)
テクテク…、カチャッ
照「どうぞお入りください。」
咲「う、うん。失礼しますっ。」
照(やっと、咲が部屋にきてくれた…。)ドキドキ
咲「……わあ…!」
照「え?な、なに…?」
咲「なんだか、とってもお姉ちゃんらしい部屋だねっ。」
照「…え、そ…それってどういう…?」
咲「うーん、余計なものがないシンプルな…っていうか…。あ、でも本はやっぱりたくさんあるなあ。」キョロ
照「そ、そう…。」
照(よかった…。部屋の印象はいいみたい。)ホッ…
照「ほ…ほら、窓から星がよく見えるから…。」
シャッ…
咲「あっ、そうだった!すっかり忘れてたよ。」
照「で、電気…消した方がよく見えるから…、消すよ…?」
咲「あ、うんっ。わかった。」
パチッ
咲「………!」
咲(遮るものがなくて、星空がよく見える…。こんなに、たくさんの星が……)
咲「…きれい。」
照「……そうだね。」
咲「……………。」
照「…………咲…?」チラ
照(……!)ドキッ
咲「……………。」
照(咲の横顔……月明かりに照らされてっ…)
照「きれい…。」
咲「え?」
照「あ…!」
照「いやっ、そのっ……ほ、星……」アセ
咲「うんっ。本当に綺麗だよね。」
照「……と、つ……月っ、が………きれい…。」ドキドキ
咲「そうだねっ。満月じゃないけど、月明かりでお姉ちゃんの顔もよく見えるよ。」ニコ
照「………うん。」
照(咲も本の虫だから、ひょっとしたら気づくかもって思ったけど……。)
照(やっぱり咲はそんなこと、考えないよね…。)ハア…
咲「……。」
咲「…今日ね…」
照「っ…!あ…うん。」ビク
咲「お姉ちゃんに対して、ちょっと緊張しちゃってたんだ。気がついてたか…分からないけど。」
照(…!)
照「あ、そう…なんだ?」
照(咲が今日、私を意識してくれてたのは知ってる。私の方が動揺してたかもしれないけど…。)
咲「うん…。あっ、嫌いとかそういう意味じゃないよ?…そうじゃなくて…」
照「…う、うん。」
咲「私、お姉ちゃんのこと…大好きなんだ、って。」
照(……!!)
照「えっ……」
咲「…今日私を守ってくれたり、お菓子を美味しいって食べてくれたり、今もこうやって星を見せてくれたり…。」
咲「こんなに優しくしてくれるお姉ちゃんのことが、大好きなの…。」
照(……そ、それって……)
照(…両想いって………思っていいの…?)
照「………。」ドキドキ
咲「ご、こめんね。もう少しお姉ちゃん離れしないといけないのに…。」
照「そっ、そんなこと…しなくていいよ。」
咲「うーん、…でもお姉ちゃんに依存しちゃうことになっちゃうから。」
照「わ、私はべつに…それでも……。」
咲「…ふふ、でもね、離れることは難しいなって思ったの。お姉ちゃん、優しすぎるよ。」テレ
照「…そ、それは……」
照(咲だから…。…私は、咲だけに。)
照「さ、咲……私も………」ドキドキ
咲「弘世さんや、麻雀部の後輩さんたちから慕われてるのがよく分かるなあ…。」
照「……え?」
咲「あ、そうそうっ。この前電話で淡ちゃんが言ってたんだけど、学校にお姉ちゃんのファンクラブみたいなのがあるんだって…!」
照「…え…?いや、あの……」
咲「麻雀部の内外問わず、お姉ちゃんのことが好きって子が結構いるらしいの。」
咲「優しくてかっこいいもん。私だけじゃなくて、他の人だって好きになっちゃうよねっ。」ニコ
照「ち、ちがう。学校では特に優しくなんて…」アセ
咲「そうなの?」クス…
咲「………ふう…」
照「……?」
咲「…思ってたことを言えて、なんだかすっきりしたかも。」
咲(うんっ…。お姉ちゃんのことが大好きって、はっきり言えてなかったから…あんなに緊張しちゃってたんだな…。)
咲「やっぱりモヤモヤしたままはよくないね。」
照(……だめ…このままじゃ…)
照(…言わなきゃっ。)グッ
照「…さ、咲っ…」
咲「なあに?」
照「私も…、咲のこと…好きだよ。」ドキドキ
咲「ほんと…?」パア
照「う、うん。…すごく…。」
咲「えへへ、嬉しいな。ありがとうっ…。」ニコッ
照「……っ。」キュン…
照(咲を…抱きしめたい……。それで…、もっとちゃんと、私の気持ちを……!)
ジリ…
咲「…あっ。」
照(…!)パッ
咲「結構おそくなっちゃったかな?」
照「…な、なにが…?」ドキドキ
咲「お姉ちゃん、寝るところだったよね。ごめんね、長居しちゃって。」
照「いや、そんなこと…」
咲「私もう部屋に戻るね。星、見れてよかったよ!」
照「あっ、咲っ…」
咲「お姉ちゃん、おやすみなさいっ。」
カチャッ…
照「……うん…おやすみ…。」
照(…伝えられなかった……。)
……シャッ…
一瞬…、両想いになれたって思ったのに。
咲の言ってる「大好き」は、きっと違うものだ…。
今日、やっと距離が縮まって…意識してくれて…、咲の気持ちを聞けたのに。
やっぱり、姉に対しての感情だよね…。
私がおかしいんだっていうのは分かってる……。
今日みたいに、困らせることになることも……。
それでも…、我慢できなかった。
でもそれ以前に……、咲がこっちを振り向いて、私を求めてくれてるって分かるまで…あと一歩の勇気が、出ない……。
もう…どうしたらいいんだろう………。
咲「~♪」
照(……今日は朝からずっと機嫌がいいみたい…。)
咲「お姉ちゃん、床ふくモップみたいなのってどこだっけ?」
照「あ、えっと…廊下の収納のとこに…。」
咲「わかった、ありがとうっ。」
パタパタ…
照(朝ご飯もお昼ご飯もつくってくれたし、洗濯とかもしてくれた…。もしかして、昨日の夜のことで…?)
パタパタ、スー…
照(あ…。)
照「咲、掃除なら私がやる。」
咲「いいの、お姉ちゃんはゆっくり休んでよ。」
照(……。)
照「…今日、なんかごきげんだね。」
咲「そう?」
照「うん。さっき鼻歌うたってたし…。」
咲「えっ!そうだっけ?わ、恥ずかしいな…。」カア
照(無意識だったんだ。こっちにきてから何回かしてたけど、黙っておこう…。)
照「ふふっ。」
咲「あっ、お姉ちゃん笑ってる…!ひどいっ。」
照「ふふ…いや、これは…」クス
咲「むー、私のこと可笑しいって思ってるんだ?」
照「違うよ、そんなこと思ってない。」
照(…可愛いってだけで。)
咲「……。」プー
照(…あ、不機嫌になった。………まずい、それすらももう…。)
照(でも、このままじゃいけない…。)
タタ
照「…ご、ごめんね。機嫌、なおして?」
咲「……。」プイッ
照(…!えっ…、怒ってる…?)ドキッ
照「…咲?」ヒョコ
ガバッ
照(……!!)
照「なっ!!さっ、さきっ!?」カアッ
咲「えへへ、機嫌なおったよっ。」
ギュッ
照(わわ…!さ、咲がこんなに密着して…!!)ドキドキ
咲「一昨日は少しだけだったもん…。お姉ちゃんにちゃんと抱きつきたかったんだー。」ゴロゴロ…
照(……っ!)
照(…か、かわいすぎ……)
照(…わ、私も…咲の背中に手を回しても……!)
ソッ…
咲「…あれ?」
照(…!)ビクッ
咲「………。」
照「…ど…どうしたの?」
咲「…お姉ちゃん、甘いにおいがする。」スン
照「…え?」
咲「いま一瞬フワッて。…どこからだろう?」
照「わ、私からしたの…?」
咲「うん。…首元?」
ソッ…、スンスン
照(……!?)
照(咲の顔が…すぐ近くに…!わわっ!におい、嗅がれてるっ……!)ドキドキ
咲「……ううん、ちがう。もっと下かな…?」
スッ…、スンスン…
照(………抱きつかれながら、におい嗅がれるって…どういう状況っ……。だめっ……、これ以上こんなことされたらっ…!)トクン…トクン…
照(理性が、保てない…っ)トクンッ
咲「あ、ここだ。」スン
照「…………へ?」
咲「カーディガンのポケットからにおいがするよ。何が入ってるの?」
パッ…
照(……。)
照「……なんだろ…。」
ゴソ…
照「…あ。」
咲「あー、お姉ちゃんっ。お菓子は入れないって言ってたのに…!」
照「……ご、ごめんっ。」アセ
照(忘れてた…。)
咲「誰も盗っていったりしないんだから、お菓子はその都度ケースから取ってよお…!」
照「う、うん…。」
咲「たしか前に…チョコが溶けて、包装からこぼれちゃったことがあったんでしょ?」
照「うん…。」
咲「そのときの服、お気に入りだったのにシミができて、落ちなかったって言ってたよね?」
照「うん…。」
咲「『もうそんなのは嫌だから今後は注意する』って。『咲も気をつけてね』って言ってたのに…。」
照「ご、ごめん…。無意識に入れてたみたい…。」シュン
咲「はあ…」
咲「まあ…、完全に溶ける前に気づいてよかったよ。」
照(…!)ガーン…
照(さ、咲に…呆れられちゃった…?)
咲「それ、溶けかけてるから早めに食べた方がいいよ?」
テクテク、スー…
照(………。)
照( ど、どうしよう…。せっかく…いい雰囲気になれてたのに。)ハア
テクテク
照(あっ…。)
咲(…なにか飲もうかな。)
照(…聞かなきゃっ…。)
照「さ、咲。」
咲「ん?なあに?」
照「あ、その……お、怒ってる…?」
咲「…え?なにを?」
照「…お菓子、入れたこと…。」
咲「えっ?」
照「………。」ドキドキ
咲(さっき私が言ったこと、気にしてたんだ…。)
咲「……ふふっ。」
照「……!」
咲「お姉ちゃん、本当にかわいいねっ。」ニコ
照「え…、えっ?」
咲「怒ってなんてないよ?ごめんね、私…言いすぎちゃったかも。」
照(…よかった。怒ってなかった……)ホッ
照(…え?それより今…私のことっ……!)
咲「ジュース、お姉ちゃんも飲む?」
照「…あっ、うん…。」
照(…か、かわいいって、言った…?)
照(私の何を見てそんなこと…。で、でも咲がそう言ってくれるなんてっ……。)ドキドキ
トクトク…
咲「お姉ちゃん、さっきのお菓子食べた?」
照「……!」ビク
咲「はい、これお姉ちゃんの。」スッ
照「あ、ありがとう。…えっと、まだ食べてない。」
咲「あ、ほんと?それなら一緒に食べたいな。お茶うけに…って、ジュースだけど。…えへへ。」
照「あっ、うんっ。食べよう。」ホッ
照(咲の無邪気さが……。身構えた自分が何か…情けない。)
ゴソゴソ
照「ケースにあったお菓子。咲はこっちを食べて。」
咲「え?お姉ちゃんが持ってたのは…?」
照「私が食べる。」
咲「…それ、1個くれる?」
照「こっちに同じのがあるよ。ここから取って…。」
咲「んー…、お姉ちゃんが持ってたものが食べたい、かな。」
照「え…?」
咲「だって、お姉ちゃんのポケットに入ってたものは、そこのだけだもんっ…。せっかくあるなら、そっちがいいよー。」
照(……っ!)ドキッ
照(…油断すると、咲はすぐそういうことっ……。)
照「…さ、さっき怒ったのに…。」
咲「あれはっ……お姉ちゃんが気にしてたから注意しただけで…怒ってなんてないよっ?」アセ
照「で、でも、呆れてた…。」
咲「えっ!呆れたりもしてないよっ?お姉ちゃんらしいなって思っただけで…!むしろっ…」
咲「………。」カア…
照「え?」
照(急に黙っちゃった…?な、なんで?)
照「…な、なに?」ドキドキ
咲「………む、むしろっ、…手がかかる、ちっちゃい子って感じで……かわいいな、って思って………!」
照(…っ!?)ドキッ
照(さ、咲っ、そんなこと思ってたの…?)
咲「ううー…ご、ごめんね。私、お姉ちゃんに対してこんなこと…。」
照(そ、そんな風に思ってくれてたんだ……。)カア…
照「べ、別に気にしなくていい…。」
咲「さっき私に、怒ってるか聞いたときも不安げで…本当に小さな女の子って感じだったんだよ。私、また抱きしめたくなっちゃったもん。」クス
照「…そう、だったんだ…。」
照(どうしよう。…何か、すごく嬉しい……。咲が私のこと、そんな風にまで思ってっ……。)ドキドキ
咲「これ、もらうね?」
照「…う、うん。どうぞ。」
咲「…ふふ。ちょっと崩れてるけど、ちゃんと美味しそうっ。」ガサ
ハム
咲「……ん、甘い…。」モグモグ
照「………。」パク…、モグモグ
照(……どうしても咲の顔に目がいっちゃう。…咲の口………今とっても、甘そう………。)
照「……はあ…」
咲「…え?お姉ちゃん、どうかした?」
照「っ!な、なんでもないっ。」アセッ
咲「そう?」ハム、モグモグ
照(びっくりした……。今…無意識に、ため息出てたんだ…。)ドキドキ
ゴソゴソ
照「…もう行くの?」
咲「うん。待ち合わせが15時からだから、そろそろ出ないと…。」
照「そう…。」
照(…咲が行っちゃう…。)
咲「えーと…」
咲(忘れものは多分、ないよね。)
照「待ち合わせ場所…駅だっけ?」
咲「うんっ。」
照「何かあったら危ないから、ついていくよ…?」
咲「えっ?ううん、大丈夫だよ。道は覚えたからっ。」
照「でも…」
咲「あ、お姉ちゃん…私が迷子になるって思ってるんでしょ?」ムー
照「えっ、いや…その…」
照(それもあるけど……)
咲「もう、お姉ちゃんったら心配症だよ。」
咲「はじめて行くわけじゃないから、へいき…」
ピンポーン!
照・咲「…!」ビクッ
咲「だれかな…?」
照「…出てくる。」
照(まさかとは思うけど…。)
ガチャ
照「はい。」
淡「やっほー、テル。サキいる?」
照(……!)
照「…う、うん。いるよ…。」
テクテク…
照(……どうして家に…?)
咲「あ、お姉ちゃん。誰だったの?」
照「…淡、だったよ。」
咲「えっ!ほ、ほんとに?」
タタッ
咲「…あ、淡ちゃんっ?」
淡「サキッ!」
咲「ど、どうしてここに…?駅で、15時の待ち合わせだよね?」アセ
淡「んー…、迎えにきちゃった!」
【柳沢敦 引退】 2008年天皇杯決勝での鹿島アントラーズと最後の別れの挨拶:
http://www.youtube.com/watch?v=ez2QpYA6XSo&list=UUncFHKa8Bg3zzfBTl-v4Rkg&index=4
---
http://www.youtube.com/watch?v=ez2QpYA6XSo&list=UUncFHKa8Bg3zzfBTl-v4Rkg&index=4
---
咲「そんなっ…悪いのに…。」
淡「いいんだって。」
淡「それに、早く家出ちゃったし、サキが駅に着けなかったら大変だしさ。」
咲「あー、淡ちゃんもそんなこと…!」
淡「え?なになに?」
咲「はあ、もういいよ…。ちょっと待っててね、荷物持ってくるから。」
パタパタ
咲「お姉ちゃん、行ってくるね。」
照「…うん。気をつけて、ね…。」
咲「はーい。」
照「…その、何時くらいに帰ってくる?」
咲「あっ、そうだね。うーん…そんなに遅くはならないと思うけど、…夕方すぎかなあ?」
照「分かった…。」
パタパタ
咲「淡ちゃん、おまたせっ。」
淡「うんっ。」
咲「行ってきまーす。」
ガチャ
照(…咲…。)
テクテク…
咲(…あ、行き先どうしよう…?待ち合わせだったから駅にしたけど、淡ちゃんこっちまで来てくれたし…。)
淡「ねえ、サキ。」
咲「…あっ、うん、なあに?」
淡「駅で、なんか用があるの?」
咲(……!)
咲「あ、あのねっ…私もそれ言おうと思ってたんだけど…」
咲「駅に用事があったんじゃなくて…、ちょっと渡したいものがあって……。」
淡「え?あっ、そうだったんだ…!」
咲(…これ以上は、まだ……。)ドキドキ
淡(わ、渡したいものって…?てっきりお喋りしたいとか、そんな感じかと思ってた。)ドキドキ
淡(それなら、なおさらっ…!)
咲「え、駅まで行かなくても…途中で喫茶店とかあったら、そこで…」
淡「ねえ、私の家おいでよっ。」
咲「え…?」
淡「ここからなら、駅行くのとそんなに距離変わんないしさ。」
咲「えっ!?で、でも…」
咲(…わ、私…お友だちの家に行くなんて、ほとんどしたことないよ…。)ドキドキ
淡「行くのやだ?」
咲「…あっ、ううん…!そうじゃないのっ。…ただ、急だし…悪いかなって。」
淡「それだけ?なら全然へーきだよ。」
咲「え…と、その…」
淡「じゃあ決まり!いこっ。」タタッ
咲「あ、淡ちゃん……!」
咲(…私、本当に行っちゃってもいいのかな…?)
テクテク、ピタッ
淡「ここだよ。」
咲「…えっ。」
咲(………。)
ガチャン
淡「さ、入って。」
咲「…あの、淡ちゃん……。」
淡「ん?」
咲「…こ、ここ…ほんとに淡ちゃんの…?」
淡「え?そーだよ?」
咲「………。」
咲(ど…どうしよう。…偉い人が住んでるようなお家なんだけど……!)
淡「門の前で固まられても困るよー?」
咲「あっ…、ご、ごめんね。」
咲「し、失礼します…。」
テクテク…、ガチャッ
淡「ほら、サキも入りなよっ。」
咲(近くで見ると、より一層豪華だよお……。ここに、私が上がるなんて…そんなこと…。)ドキドキ
咲「……ご、ごめん。私…やっぱり帰るよ。」
淡「えっ!?な、なんで!?」
咲「あ、あの、緊張しちゃって…。」モジ…
咲「わ、私、実は…こうやってお友だちのお家に上がったことがあんまりないの…。淡ちゃんのお家、すごく大きいし……私がお邪魔できるようなところじゃ…ないよ。」
淡「そんなこと気にすることないって!」
咲「で…でも、ちゃんとしたお菓子折とかも持ってきてないし…!」
淡「いらない、いらない!サキは私の友だちなんだから、遠慮なく入ってよっ。」
咲「あ…で、でも…」
淡「このまま玄関前で帰られたら寂しすぎるって。」
咲「あう…。」
咲(…そ、そうだよね…、淡ちゃんがせっかく誘ってくれたんだもん…。こんなに緊張してちゃ、だめ…。)
咲「…それじゃあ、…お邪魔します…。」
淡「うんっ。いらっしゃい、サキ!」
淡(……『友だち』、か…。ほんとは、それ以上の関係で、来てほしいんだけどね…。)
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