元スレ勇者「もうがんばりたくない」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
201 = 194 :
ミスリードすらできないから、「こんな感じじゃね?」くらいの感じの意見が欲しかったのだけど、すみません、もういいです…
命かけないといけないことだと思っていなかったので…。
202 = 196 :
>>194
質問に対する見解述べたけどスルー喰らったでゴザルwww
あと、嫌味はやめとこ?見てて悲しくなる
203 = 194 :
>>202
あ、ごめん。
つまりやっぱりよく分からない擬音を後から説明するパターンってことだね。
ありがとうー。
204 = 196 :
ダメだ、本格的にダメな人だった
205 :
アホの子には触れるな
206 = 194 :
>>204
なんとなく分かるんだけど、なんかうまく言えない。
うまく想像できないダメでアホなゴミです。
みんながどんな想像したのか気にして済みませんでした。
書き込み自重します。
大切なスレを汚して申し訳ありませんでした。
207 :
>>1はお前を誘ってるって事だよ
208 :
>>206
まあ落ち着け。
とにかくわくわくどきどきしながら続きを待とう。
209 :
勇者「……」バシュンッッ
勇者B「ッ……!!」バシュンッッ
勇者B(チッ、破損した腕は数分で元に戻りますが……)
ガギィン!!
ドガガッッ!!!! ヒュッ!! スパッ!! ギギギギギィィィンッッッ!!!!
勇者B「片腕ではやはり貴方は殺せないようだ、さてさて」スタッ!
勇者B「どうしましょうかね」ゴォオゥッッ
勇者(あの炎・・・さっきの)
勇者B「……」ゴオオオオ
勇者「ただの炎じゃないな、私にも使えるのか」
勇者B「無理です、貴方はここで死ぬんですから」
勇者「……だろうな」
勇者B「【ロンギヌス】」ギュギュオゥッッ
勇者「正体は……炎の槍か」
勇者B「あなたは愚かだ、天界に行けば永遠の命も得られたというのに」バシュンッッ
勇者「……要らないさ」バシュンッッ
210 = 209 :
【三ヶ月前・魔王城地下】
(……!)パチ
(魔王が敗れた? また勝てなかったんだ)
そう、あの時も今までのように魔王が死んだのを感じて目が覚めた。
寒くて、寂しいあの地下祭壇で。
(早く時空間魔法を発動させなきゃ、じきに勇者は私を見つける)
そして私はまた逃げようとした。
400年かけて溜めた魔力を使用して発動する究極の魔法、時空間移動だ。
時空間移動を使えばどこかの平行世界に辿り着く、そして私は『魔王が誕生した日』からやり直す。
勇者を敗り、私の自由を手にするまで何度でも繰り返すつもりだった。
でもその時。
(?)
今まで私を追跡していた神の使徒ではなく、初めて感じた気配が隠し階段に入ってきたのだ。
211 = 209 :
(……だれ?)
いつでも時空間移動出来る程度に魔力を開放しつつ、私は気になった。
あの勇者でないのなら、もしかすると会話する予知ならあるかもしれない。
そんな考えが私の中にあった。
(……え)
(歩みが遅い、体力が低下してるのかな?)
(魔王と互角ってこと?)
だとすれば尚更、魔王を倒した者はあの『勇者』ではないことになる。
私は待った。
階段の奥から現れる彼を、不思議な気分で待った。
……少しして彼は、ボロボロの姿で現れた。
フラフラと、私の魔力の波動に揺れる城のせいで足取りは悪く。
何よりその目は・・・
勇者「……」フラフラ
死んでいた。
212 = 209 :
(……人間)
勇者「・・・」フラフラ
勇者「え?」
疲労困憊の彼は足を止めて、私を見た。
その表情の中には、困惑の色が見える。
もしかしたら彼の目的は私ではなかったのかもしれない。
勇者「これが……魔王の言っていた秘宝?」
(秘宝?)
そんなものはない、となると私を指して言っている?
魔王は彼に何を言ったのだろうか、彼は私をどうするのだろうか?
勇者はしばらく私を見つめている。
213 = 209 :
彼は少しの間を置いて、再び近づいて来た。
既に私との距離は手を伸ばせば触れ合える、通常なら危険なはずだった。
でも・・・
勇者「……」フラフラ
(・・・)
傷ついた体よりも、私は彼の目が最も悲惨だと感じて……
ゆっくり、ゆっくり、と。
その近づいて来た青年の手を、私は握っていた。
彼はその握られた手から徐々に私の顔へと視線を移す。
疲れきっているのか、それとも私が彼の手を握ったからか、深く息を吐いて……。
静かに、乞い願うように、囁いた。
214 = 209 :
勇者「お願いです……私の願いを叶えて下さい……」
勇者「・・・・・・」
勇者「もうがんばりたくない」
215 = 209 :
「……どうして?」
気づいた時には、声が勝手に出ていた。
「もうがんばりたくない」と言った彼が……余りにも悲しかったから。
勇者「………戦う理由も、意味も、生きる必要も無いからだよ」
勇者「ぼくは一度も誰かを救えた事はなかった」
勇者「本当の意味でぼくは誰も助けられなかったんだ」
虚ろな瞳は痛々しく。
私の手を握るのにも力は無く。
ポツリポツリと、小さな悲鳴のように語っていく。
私はいつしか、魔王城をも震わせる魔力の波動を止めていた。
216 = 209 :
勇者「大切な人達も、結局助けられなかったよ」
勇者「何も出来ない勇者が……生き続ける意味ってなんだろう?」
勇者「もう、ぼくは限界なんだ・・・君がたとえぼくの願いを叶えられなくてもね」
勇者「ここで死にたいんだ」
「……ねぇ、あなたは勇者なの?」
勇者「うん……勇者だったよ」
私が握っていた手が、弱々しく握り締められた。
勇者は私を見続けている、まるで何かを待つように。
魔王は私を『秘宝』だと言ったらしい、そして私が彼の願いを叶えるとも言ったのだ。
・・・どうしようか、と思った。
217 = 209 :
この全てに絶望した、決して報われる事のない勇者に……『魔神』の私が何かを出来るのか。
その答えは、出来ない筈だ。
彼は勇者であり、私の敵である。
私は彼の仲間の仇であり、魔王を生み出した最悪の魔神である。
「……ごめんなさい、私には貴方の願いを叶える事は出来ないよ」
勇者「・・・そうか」
目を閉じて、弱々しく言葉を彼は紡いだ。
その様子に私は何を思ったか彼を・・・
勇者B「よくやりました、勇者さん」バシュンッッ
ガッッ
「きゃぁ!?」
・・・抱きしめようとした瞬間、最悪の勇者が現れた。
218 = 209 :
勇者B「離れていて下さい、後は私がやります」ミシッ…ミシッ…
「ぅ……ぅぐ、ああ…………っ」
この時の私は、四天王も魔王もいない上に魔力の開放を中断していた。
つまり私に出来たのはわずかばかりの怪力を以てして抵抗するしかなかった。
しかし。
「ぅぅう……っ!! あぁっ!?」ミシッ
勇者B「ふふ、油断しましたね? そっちの『私』は囮です……」
勇者B「さて、このまま息の根を止めてあげましょうか」ゴォオゥッッ
「っっ!?」ビクッ
私の胸にあてがう、その【神の槍】は非力な私にとって恐怖以外の何物でもなかった。
219 = 209 :
上手く覚えてはいないけれど、私はこの時いっぱい叫んだし、手足を限界まで動かした。
いっぱい、いっぱい、泣きながら悲鳴のように叫んだ。
こんな所で私は死にたくない、私が死んだら誰が父と母の無念を晴らすのか。
手に入れたこの魔神の力で王国にも勇者にも神にも復讐するのではなかったか。
そんな事を考えながら……不意に目を動かした。
勇者「・・・ッ!!」ヒュッ
視線の端で、振られた一本の剣。
刃の向かう先には私 ーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー ではなく、見慣れた方の勇者だった。
220 = 209 :
勇者B「!!」バシュンッッ
刃先が首元に到達するよりも速く、『勇者』は虚空へ消える。
そして剣を振った方の勇者自身もそれを想定していた。
「……っ」フラッ
勇者「っ、君! しっかりするんだ!!」
いつの間に駆け寄ったのか、ボロボロの勇者が私の体を支える。
彼の身体中に染み付いた彼自身の血の臭いがした。
間違いなく瀕死だと思った。
(・・・あ、れ?)
違う、そうじゃない。
221 = 209 :
混乱しかけた頭を振って、私はボロボロの勇者を見上げた。
彼は、勇者の筈だ。
ならば私を討つのが彼の使命ではないのか?
だとすれば、これは全て罠なのでは・・・
勇者「逃げるんだ……」
「!」
勇者「この男はぼくが止める、君は全力で逃げるんだ」
勇者「……早く!!」バシュンッッ
・・・・・・え?
彼は私に逃げろと言い残して、もう一人の勇者に挑んで行った。
自分だって瀕死なのに。
もうがんばりたくない、そう私に言っていたのに。
がんばりたくないのなら何故に私なんかの為に戦ってるんだろう。
そんな不思議な気分で私は呆然と考えていた。
222 = 209 :
『あの時は』。
223 = 209 :
【三ヶ月後・現在】
あの時の私は、勇者が不思議な存在だった。
私を助けてくれた事もそうだけど、それ以上に私には分からないものがあった。
そしてそれを知りたくて、彼を救ってあげたいと思って………
私は 『死んだ彼を連れて』 時空間移動を行った。
王女(……勇者………っ!!)
ぺたりと地面に座ったまま、私は目の前で再び対決している勇者を見ていた。
『あの時』と同じように、今度も彼は私を守ってくれたから。
今度も彼は私の味方でいてくれた。
勇者「がぁあああああああ!!」ガギィンッッ
勇者B「……左腕、貰いますよ」ギュギュオゥッッ
ザンッッ!!
勇者「ーーーーーッッ!!」ブシャァァァッ
勇者B「私の【ロンギヌス】に攻撃魔法は効かない、そして貴方の剣術も私の前では無力!」
勇者B「出来損ないが、『勇者』の真似事をするからこうなるんですよ」ゴォオゥッッ
224 = 209 :
王女(……違う)
だって、私は死んでない。
こうして私は生きて勇者を見守ってる。
『 勇者「傷みは……無いから、君は目を閉じて静かにしていればいい」 』
『 ズバンッッ!! 』
『 王女(……あれ?) 』
『 ゴトッ……パシャパシャ 』
『 王女(水が形を…? これは私の……死体?) 』
『 王女(確かこの魔法は、四天王の水帝が使ってた・・・)』
『 勇者「 ……そのまま、そのまま静かにしててね 」 』
『 王女(っ!!)』
『 バシュンッッ 』
『 勇者B「どうやら終わったようですね」 』
『 王女(こっちは見えて……ない? いつの間に視覚魔法を私に……) 』
『 勇者「……」ニコッ 』
『 王女(!) 』
225 = 209 :
・・・最初から、勇者は私の味方でいてくれていたのだ。
彼は私をどうにか救う方法をずっと模索していたのだ。
なのに私は、こんなになるまでどこか彼に怯えていたのか。
どうして勇者を信じてあげられなかったのか。
勇者「………ッ!!」
今なら、今なら彼を理解出来る。
ガッッ!!
ギギギギギィィィンッッッ!!!!
彼を追い詰めたのは、彼が愚かだからではない。
勇者は……優しすぎたのだ。
ジュゥウウウウッッ!!
勇者「ぐぁぁ……ッ」ドサッ
もしも割りに合わない依頼をされたのならば、断れば良い。
もしも心優しいスライムに懐かれて迫害を受けるなら、スライムを斬れば良い。
もしも仲間に必要な物を人々が分けてくれないのなら、無理にでも奪えば良い。
もしも助けた相手に裏切られたなら仲間に手を出す前に、魔法で吹き飛ばせば良い。
勇者「ハァ…ハァ……」ヨロッ
勇者B「………」ニヤリ
・・・それだけなのに、彼には出来なかった。
226 = 209 :
たとえ依頼してきた内容が勝手でも、その中では確かに困っている人がいるから。
たとえ周りの人間に拒絶される事になっても、そのスライムに帰る場所も家族もいないから。
仲間を助ける余裕が街の人々にないのは分かってたから。
初めて自分にお礼を言ってくれたエルフだから。
勇者「………」フラフラ
だから、戦い、手を指しのべ、目をつぶり、裏切られるまで信じた。
その結果が悲劇の連鎖になっても、勇者にはそれしか出来なかった。
勇者「ッ!」ブンッ
勇者B「……」スカッ
ドガガッッ!!
勇者「ーーーーーーーーーー」ドサァッ
報われる事を信じて、戦い続けた先には確かな何かを得られると信じて。
そして勇者は……絶望しても私を救おうとした。
『魔王を倒す為の勇者』だからではなく、『誰かの為に戦える勇者』だから。
227 :
むねあつだな
228 = 209 :
ガラガラァッ・・・
勇者「・・・」ブランッ
勇者B「神には貴方が死んだと再び報告しておきます、全く……残念です」ゴォオゥッッ
勇者「……ッ」
勇者B「さようなら、勇者」ビュンッッ
勇者「!!」
ドズンッッ・・・!!
ジュゥウウウウッッ!!!!
王女(勇者……!!)
あの時と同じく。
勇者は勝てなかった。
あの時と同じく、再生すらさせない【神の槍】に勇者は心臓を貫かれた。
229 = 209 :
勇者「……ッ、ッッ!!」ガクガクッ
フラッ
ドサッ
勇者B「・・・さて、と」ジュゥッ
勇者B「……」チラッ
王女(っ!)ビクッ
勇者B「………」バシュンッッ
バシュンッッ
勇者B「ふむ、心臓まで肩から両断ですか……殺した事は殺したらしい」ゲシッ
王女(………!)ガタガタ
勇者B「……ふぅ」
バシュンッッ!!
王女(……)ガタガタガタ
230 = 209 :
王女(い、いなくなった……)ガタガタ
王女(・・・)すっ
勇者「…」
王女「ゆ、勇者……?」
王女「……っ」ブルブル
王女(足……力が入らない)ブルブル
王女「勇者、勇者っ!」
勇者「…」
王女(………)
ズリ・・ズリ・・・ッ
王女「勇者、お疲れ様……」ギュッ
勇者「…」
王女「……」ギュッ
231 :
・・・・・・・・・・・・
勇者「…」
王女「……」ギュ
勇者「……」ズズッ
232 = 231 :
【 四天王「ぐあ・・・勇者、何故それほどまでの力を有していながら人間 の味方をする」 】
【 女魔王(う、嘘……なぜ私に物理攻撃が……) 】
【 水魔王「ひぐ……痛いよぉ……なんで急に再生出来なくなったの……」 】
【 勇者「今の君は半分凍りついてるからだよ、 だから液体化出来ないん だ」 】
【水魔王「凍りついてる……?」】
【 炎魔王(噂通りの強さか、物理攻撃の効かない俺を一撃で仕留めて来ると はな) 】
【 勇者B「詠唱も魔法名も唱えずに水魔法を操れるんですか、凄い凄い」 】
【 勇者B「実力が上がったんじゃないですか? 剣撃や速度だけなら私と大 差ありません」 】
【 勇者B「当たり前ですッ!! 我々は神に造られた究極の生命体なのです から!!」 】
【 魔王「ば、馬鹿な……貫けないだと」 】
233 :
ズズッ……ズズズズズズズズズズズズズズズ
勇者「……」
勇者「………」パチッ
勇者「・・・」ボー
勇者「…!」
王女「………Zzz」ギュッ
勇者「・・・」
ぎゅっ
バシュンッッ
234 = 233 :
『とある平行世界・天界』
勇者B「……な、何ですって?」
神「お前は魔神も勇者も、どちらも倒せてはおらぬ」
神「私はそう言ったのだ」
勇者B「そんな!! あり得ません! 確かに勇者の心臓をロンギヌスで貫いたのです!!」
神「……愚か者め」
勇者B「それより、王女までも何故に!?」
神「黙れ」
勇者B「ッ・・・」
神「チャンスは一度だけだ、貴様に天界の兵団を任せる」
神「……良いか、必ず勇者を先に消せ」
神「さもなくばお前も含めて私が直々に消してやる」
勇者B「ッッ……御意」ザッ
235 = 233 :
バシュンッッ!!
勇者B「………」ザッザッ
勇者B(死体が無い……ほんの数時間前なのに!)
勇者B(生きていたのか!? どうやって!?)
勇者B「勇者……」ギリッ
勇者B(・・・ふぅ、とりあえず落ち着きましょうか)
勇者B(どうせ相手は瀕死のはず、神に任された天界兵達を使えば敵ではないでしょう)
勇者B(仮に回復していたとしても、私に勇者は勝てない)
勇者B「・・・」
236 :
これからどうなるのか、興味は尽きないな。
237 :
おもしろい
238 = 231 :
寝室
王女「……」パチッ
王女「……」
王女「………」
王女「っ!?」ガバッ
勇者「おはよう王女」
王女「ぇ……勇者…?」
勇者「うん、ぼくだよ」
王女「……」ペタペタ
勇者「く、くすぐったいな…どうしたの」
王女「……でも、確かに勇者は」
勇者「王女、ぼくと君が初めて会った時の事を教えて欲しいんだ」
239 = 231 :
王女「……」
勇者「何となく、気づいたんだ」
勇者「君がぼくをこの世界に連れてきたんだよね」
王女「……うん、私が勇者を連れてきた魔神だよ」
勇者「魔神かどうかは知らないよ、君は王女でしょ?」ギュッ
勇者「もう隠し事は無しだからね」
王女「・・・っ」ギュッ
勇者「教えて、ぼくは魔王城の地下で何が起きたの」
240 = 231 :
・・・・・・・・・
勇者「・・・」
王女「多分、心臓を貫かれた勇者が回復して記憶喪失になってたのは時空間移動に巻き込んだからだと思うの」
王女「私も自分以外の人を時空間移動させたのは初めてだったし……」
勇者「ぼくは一度死んでたんだね」
王女「そう、だね…私を逃がす為に」
勇者「そっか」
ギュゥッ
王女「?」
勇者「……君のおかげでぼくは二度も助けられたんだね」
王女「助けたなんて…私は勇者に守られてただけで、そんな」モジモジ
勇者「はは、でも時空間移動魔法なんてあったんだねぇ」
王女「うん」
勇者「なら、ここはどこなの? 未来? 過去?」
王女「行き先はいつも一緒だよ、私が魔神になった日」
勇者「! それって……」
王女「私の国がメチャクチャにされて二年後、だったかな」にこっ
242 = 231 :
勇者「……じゃあ過去なんだねここは」
王女「うん、勇者が任命された『モンスターハンター』は私の時代の勇者だよ」
勇者「でも王様もぼくのお母さんも騎士も、ぼくの知ってる人だったよ」
王女「え・・・と」
王女「言ったでしょ? 時空間移動魔法は、使用者の望む世界に移動するの」
王女「平行世界とも言うらしいけど……詳しくは魔王に聞いてみないと」
勇者「……」
王女「……」
勇者「うーん……隠し事は無しだけど、今する話題ではないね」
勇者「時間も無いしさ」スッ
王女「時間?」
勇者「ぼくと王女が死んでないのを神達が気づくと思う、そろそろね」
王女「!」
勇者「大丈夫……でも一応王女に頼みたいんだ」
243 = 231 :
モコモコモコモコモコ………
水帝「……四天王が一人水帝ここに」ザッ
王女「ハァ…ハァ……っ、これで良い?」フラッ
勇者「ありがとう休んでて王女」ギュッ
水帝「・・・」
水帝「フム、もはや事情は語らぬとも察した」
勇者「助かるよ」
水帝「主の涙から生まれた私だ、主が勇者に対する感情くらい分かる」
勇者「え、スライムだったの?」
水帝「スライム達の始祖体が私だな、私の出自を多少なりとも知ってるのは何故でしょうかね?」
王女「あぅ……」
勇者(・・・)
勇者(不思議な光景だなぁ)
244 = 231 :
水帝「フム、これで良いのか」モコモコモコ
水分身「……」
勇者「うん、これでいいよ」
勇者(・・・)ピトッ
水分身「?」
ビシィッッ
水分身「 」
水帝「!? 貴様、仮にも私の分身を凍らせるなど……ッ」
勇者「ごめん、念の為に試したくて」
245 = 231 :
・・・・・・
水帝「主、勇者を殴る許可を……ッ!!」
王女「だめ!」
勇者「ごめん水帝、でもどうしても」
水帝「私の分身で試すな…!」
王女「落ち着いて……」
勇者「…でもこれである程度確認出来たから、あとは王女を頼んだよ」
水帝「頼んだ?」
勇者「君が彼女を守護して欲しいんだ」
水帝「貴様が主を守らないのか」
勇者「うん、もう行かなきゃ」
246 :
水帝「……ッ」ピクン
王女「水帝?」
水帝(何かが来る……それも軍団クラスの)
勇者「来たかな」
水帝「勇者、私一人では主を守れない! 主を連れて貴様は逃げろ!」
勇者「大丈夫だよ」ナデナデ
王女「?」
勇者「君に助けられた分、ちゃんと返すからね」
勇者「待っててくれるかな」
王女「・・・」
水帝(……フム、この二人キスはまだしたことないのだろうか)
王女「はい、待ってます」
王女「行ってらっしゃい、勇者」
247 = 246 :
ザザザザザザザザザァァァア・・・・
天界兵「天界兵団の移動、完了致しました」
勇者B「御苦労様」
天界兵「現在兵士達は上空にて待機、勇者様の命令一つで王国に向けて1000の兵が突撃します」
勇者B「はは、中々の絶景じゃないですか」
勇者B(素晴らしい……神が作りし天使達、リザードマンを遥かに越える魔力の持ち主だ)
勇者B「……」
ギュオォォォンッッ
天界兵「!?」
勇者B「……次は四肢を焼き斬って頭と体を切断する」ゴォオゥッッ
勇者B「私を何度も侮辱した償いは必ず受けさせる……」
天界兵B「報告申し上げます」バサァッ
248 = 246 :
勇者B「なんだ、王国の人間が気づいたか」
天界兵B「いえ違います」
天界兵「……」
ピッッ
天界兵「?」
ポロッ
天界兵「あれ、体がなんでそこに……」ブシャァァァァ
勇者B「な……!?」
天界兵B「勇者が後方から支援を受けながら、真っ直ぐこちらへ向かって来ています!!」
勇者B「向こうから攻めて来た…?」
勇者B「!!」バシュンッッ
ピッッ
ピッッ
天界兵B「ぇごぁぁ…?」スパスパンッ
249 = 246 :
王国城下町・環視塔
衛兵「Zzz」
水帝「フム、上手い事を思いついたものだ」モコモコモコモコモコ
シュピッッ!!
シュピッッ!!
水帝「私ですら思いつかなかったな、体内で機関的に圧力を生み出して水を撃ち出す……とは」ピッッ
王女「でもこれで勇者のお手伝いになるのかな」
水帝「ならないでしょう」ピッッ
水帝「私ですら1、2体を狙撃するのが限界ですし、乱射しても気休めが良い所」ピッッ
王女「……」
水帝「思い詰めるな主、私達四天王や魔王様に勝ったのですよ勇者は」ピッッ
水帝「信じてやりましょう、彼は神や国王の使命より貴女を選んで戦っているのですから」
王女「・・・」
250 = 246 :
天界兵「くっ!? 勇者はどこだ!」バサァッ
天界兵「水鉄砲をかわしててそれ処じゃない!!」バサァッ
勇者「……ッ」ビュンッッ
天界兵「!?」チャキィッ
シャッッ!!
ザン!!
天界兵「取った!」バサァッ
勇者「……誰が取られたって?」バリバリィッ
天界兵「えっ?」
バヂバヂィィッ!!
天界兵「ぐぁぁぁぁ!?」
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