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元スレ鳴上「月光館学園か」有里「八十稲羽?」
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【第一層:世俗の庭テベル】
「なんだ、戦っていなかったのか」
有里が頂上でニュクス・アバターと対峙している頃、一層では。
「……本心から言えば、私だって彼には消えて欲しくない。もし止められるのなら、止めて欲しかったのさ」
「クゥーン……」
美鶴とコロマルは戦っていなかった。
戦う意思が無くても、気を抜くと倒れてしまいそうな美鶴を放って上にも行けず、コロマルも留まる結果になっていた。
「それより明彦こそどうした。どちらに付く訳にもいかないと言っていたじゃないか」
真田はマントを翻し、二人に登るように促す。
「さっき見ただろ。あいつらと一緒にお前らを止めに来た。上に行くぞ。手伝いが必要だ」
【第二層:奇顔の庭アルカ】
「うら、喰らいやがれ!」
「んにゃろ!喰らうかよ!」
順平の力任せの一撃を短刀でしのぐ。
「なんだ陽介、普通につえーじゃねーの!」
「順平さんこそ、すっげえっすね!でも俺もまだまだこれからっす……よぉ!」
身をかがめ、突進する陽介。
順平が迎撃する構えを取る。
「てめェら、いい加減にしねェか!タケミカヅチィ!!」
両者に、稲妻が落ちた。
「うぎゃ!な、なんだぁ!?」
「タケミカヅチ……ってこたこりゃぁ……」
「二人してなに楽しそうに戦ってやがんだよ!俺ら仲間じゃねーのかよ。今は仲間割れよりあの二人の手伝いがいるんだろうが!」
完二が二人を怒鳴りつけた。
「つっても、なぁ。二人共多分戦ってるだろうし」
「俺らもそのつもりで来たしな」
「馬鹿じゃねえのか、アンタら。そこを手繋がせんのも仲間の仕事だろうよ。オラ、行くぜ」
【第三層:無骨の庭ヤバザ】
「やっぱ、アンタ強いわ……」
ゆかりは膝をついている。
三層での戦いは、辛くもアイギスの勝利で終わった。
「ゆかりさんも、とても強かったです。技術とかではなく、想いが」
上階に向かおうと歩き出す。
「……あっ、こんな、時に」
オルギアの反動が体の各機関に走る。
アイギスはそのまま膝から崩れ落ちた。
「……試合に負けて、勝負に勝った……って感じかな」
「あ、丁度良かった。岳羽さん、アイギスさんに肩貸してあげてください。行きましょう」
「天田君?って、無理無理。私、アイギス上に行かせるわけにはいかないんだ」
「まだそんな事……僕達がやるのは同士討ちじゃないですよ。上で戦ってるあの人を、手伝わないと」
天田はゆかりに手を差し伸べる。
「手伝う……?」
「はい。だから、皆で行きましょう。上へ」
【第四層:豪奢の庭ツイザ】
「っはぁ、はぁ、ぜっ……はっ」
肩で息をする千枝。
全力でぶつかっても、ビクともしない。
何でも知っていたはずの親友の、知らない部分。
「どうしたの?もう息切れ?」
「うるっ……さいっ!」
苦し紛れの、体重も乗っていない攻撃。
当然、効くはずも無い。
「なんでよ……なんでこんなに苦しい思いしてるのに……雪子の方が強いの?なんで……なんでよ!」
「当たり前よ。今の千枝には矜持が無いから」
雪子は凛と答える。
「矜持……?」
「プライド、思想、理念。私は、有里君を、千枝を助けたいと想って戦ってる。ここに立ってる。千枝は何がしたくてそこにいるの?」
「わ、私は……有里君を手伝って、街を平和に……」
「違うでしょ。千枝がしたいのってそんな事じゃない。嘘吐いたって、私にはわかる。そんな嘘ばっかりの信念で、私は倒せない」
「私のしたい事……私が、本当にしたい、こと……有里君……一緒に」
千枝がしゃがみこむ。
目には涙が光っている。
「わた、私……有里君と一緒にいたい。いなくなってほしくなんか、ひぐっ、なっ……うぅ、うぇええ……」
ため息をついて、ペルソナを戻す。
「やっとわかった?千枝はほんとにやりたい事に向かってる時が一番強いんだよ。私なんかじゃ敵わないくらい」
「わかった所で、それを実現しに行きましょうか」
戦いに夢中になっている間に、雪子の背後に誰かが立っている。
「直斗君?いつの間に……」
「ついさっきです。里中先輩と天城先輩のやりたい事、叶えに行きましょう」
「で、でも……ぐすっ」
「ぐずってないでさっさと動く。いつもそうやって発破かけてくれるのは里中先輩ですよ。さ、行きましょう。上へ」
【第五層:焦炎の庭ハラバ】
『鳴上君!鳴上君!どうしよう、このまま目を覚まさなかったら……』
少なくとも、有里は死ぬ。
『誰か、誰か近くに……あれ、これって……』
「センセー!センセー起きてクマー!死んだらいかんクマー!」
上がってくるなり、倒れる鳴上に走り寄るクマ。
『クマくん!?どうして……』
「はっ!?この声、あの時のオネエタマクマ!?クマな、知らない間にテレビから出れてたクマ。そんで、センセイの匂い辿ってウロウロしてたら……」
「私に出会ったってわけ」
『美奈子ちゃん!』
「やっほー風花。あーあー、派手にやられちゃって……おーい、悠。起きろー。起きないと世界が滅ぶぞー」
『美奈子ちゃんお願い、鳴上君を……』
「うん、その為に来たんだ。クマくん、君はこれからここで待ってて」
「ええ!?クマおいてけぼりクマか!?い、嫌クマー……」
「大丈夫、後から皆来るから。そしたら、お願いね、風花」
『お願いって、何を……』
「すぐわかるから。じゃ、私達は行かなくちゃ」
◆メシアライザー◆
【頂上:王居テベス】
『おや、どうしたんだい?もう終わり?』
有里は大の字になって月を見上げていた。
一人で戦うのがここまで厳しいとは、予想だにしていなかった。
「いや、予想はしてたか」
ワイルドの……有里の力は、絆が産む力だ。
今、有里の心の中には誰との絆も無い。
「仲間達を裏切って、ここに来たわけだから。そりゃ、そうなるよね」
自分から絆を切って、上手く行くはずもない。
大いなる封印も、恐らく発動すら……。
「参ったな。これじゃ何も出来ない。このまま無意味に死ぬのか」
『一人で喋ってないで、ちゃんと僕の相手もしてよ。でないと、本当に死んじゃうよ?』
「作戦中。このままじゃ勝てそうにないんで」
不意に、涙が出そうになる。
自分の背後に誰もいない事がこんなに心細い物だったとは。
「やっぱり、僕は皆がいないと何も出来ない……?」
視界に、何かが映った。
足に力を込める。
まだ動く。
手に力を込める。
まだ、動く。
立ち上がれる。
「認めよう。僕は、誰かの力で生きてきた。自分で何かをしたんじゃない。誰かに見られているから、誰かに背中を押してもらったから頑張れたんだ」
ゆっくりと、立ち上がる。
「僕は、そんな皆を守りたかった。でも、気付いたよ。守るんじゃない。守って、守られて、助け合って。それが、仲間だ」
少し、自信過剰だったかもしれない。
有里は思い直す。
仲間達は、皆。
守る必要なんてない。
もう、自分の足で立って、前に進む事が出来る。
「だから、手伝ってくれるかい?悠」
背後にいるだろう人影に声をかける。
自分が言った事も、した事も忘れてはいない。
しかし、返事は予想した……あるいは期待した通りだった。
「当たり前だ」
両雄が並び立つ。
「どうした、随分ボロボロだな」
「君は綺麗に治ったね。誰だい?」
「私だよん」
鳴上より一歩遅れて、美奈子もやってくる。
「美奈子。どうして……」
「私は貴方。湊の考えることなんてお見通し。さ、さっさと片付けちゃおう。本番はこの後だよ」
有里が剣を構える。
鳴上が刀を構える。
美奈子が薙刀を構える。
『よく来たね、皆。さぁ、それじゃあ第二ラウンドだ』
辺りを黒いオーラが包む。
「湊、作戦は無いのか」
「無いよ。美奈子は?」
「無し。ま、当たって砕け……ちゃだめか。当たって砕いちゃおうよ」
美奈子は笑う。
つられて、二人も笑った。
『じゃあ、行くよ』
「……メサイア!」
「イザナギ!」
「タナトス!」
それぞれにペルソナを召喚する。
足に力を込める。
まだ動く。
手に力を込める。
まだ、動く。
立ち上がれる。
「認めよう。僕は、誰かの力で生きてきた。自分で何かをしたんじゃない。誰かに見られているから、誰かに背中を押してもらったから頑張れたんだ」
ゆっくりと、立ち上がる。
「僕は、そんな皆を守りたかった。でも、気付いたよ。守るんじゃない。守って、守られて、助け合って。それが、仲間だ」
少し、自信過剰だったかもしれない。
有里は思い直す。
仲間達は、皆。
守る必要なんてない。
もう、自分の足で立って、前に進む事が出来る。
「だから、手伝ってくれるかい?悠」
背後にいるだろう人影に声をかける。
自分が言った事も、した事も忘れてはいない。
しかし、返事は予想した……あるいは期待した通りだった。
「当たり前だ」
両雄が並び立つ。
「どうした、随分ボロボロだな」
「君は綺麗に治ったね。誰だい?」
「私だよん」
鳴上より一歩遅れて、美奈子もやってくる。
「美奈子。どうして……」
「私は貴方。湊の考えることなんてお見通し。さ、さっさと片付けちゃおう。本番はこの後だよ」
有里が剣を構える。
鳴上が刀を構える。
美奈子が薙刀を構える。
『よく来たね、皆。さぁ、それじゃあ第二ラウンドだ』
辺りを黒いオーラが包む。
「湊、作戦は無いのか」
「無いよ。美奈子は?」
「無し。ま、当たって砕け……ちゃだめか。当たって砕いちゃおうよ」
美奈子は笑う。
つられて、二人も笑った。
『じゃあ、行くよ』
「……メサイア!」
「イザナギ!」
「タナトス!」
それぞれにペルソナを召喚する。
『……すばらしい。これが君達の心の形か』
「行け!イザナギ!」
◆ジオダイン◆
『ああ、痛い……君は、愚者か。愚かなまでに猛進し、全てを貫く真っ直ぐな光』
「俺は、それしか知らないからな。皆を信じて、自分を信じて。それだけだ」
「タナトス!やっちゃって!」
◆五月雨斬り◆
『やぁ、美奈子。君も久しぶりだね。その力は死の力……人が忌避し、恐れるべき力だ。それでも、君は使うのかい?』
「死は恐れる物じゃない。死がなければ、人は今を意識しない。死は、逃げるモノじゃない。これ以上無い力の形だよ」
「頼む、メサイア」
◆ゴッドハンド◆
『湊。君は審判か。審判を下すのは僕の役目なのに。君は僕にどういう裁きを与えようって言うんだい?』
「別に、裁くつもりはない。君は役割を遂げているだけ……審判は裁きを与える存在じゃない。真実を暴く光だ」
『いいね。君達はとても強い。だけど、それじゃ足りないんだ。単純な力では……ほら、こんな感じで』
ニュクス・アバターがその両腕を振るう。
それだけで、吹き飛ばされそうな衝撃に襲われる。
「ぐっ……湊、これ、勝てるのか?」
「やるしか、ないでしょ」
三人は身動きが取れない。
ゆっくりと、次の攻撃が迫る。
『……先輩!有里先輩!鳴上先輩も!聞こえる!?』
「……りせか。ごめん、今は聞いてる余裕が……」
『有里君!鳴上君!大丈夫!?』
「あれ、風花?」
二人のペルソナから、同時に声が聞こえる。
「どういうこと、悠」
「さぁな。何かやってるんじゃないか。美奈子なら何か知ってると思うぞ」
「うん、仕込みは私。皆連れてきちゃった」
『有里君、聞こえる?』
風花でも、りせでも無い声がする。
「行け!イザナギ!」
◆ジオダイン◆
『ああ、痛い……君は、愚者か。愚かなまでに猛進し、全てを貫く真っ直ぐな光』
「俺は、それしか知らないからな。皆を信じて、自分を信じて。それだけだ」
「タナトス!やっちゃって!」
◆五月雨斬り◆
『やぁ、美奈子。君も久しぶりだね。その力は死の力……人が忌避し、恐れるべき力だ。それでも、君は使うのかい?』
「死は恐れる物じゃない。死がなければ、人は今を意識しない。死は、逃げるモノじゃない。これ以上無い力の形だよ」
「頼む、メサイア」
◆ゴッドハンド◆
『湊。君は審判か。審判を下すのは僕の役目なのに。君は僕にどういう裁きを与えようって言うんだい?』
「別に、裁くつもりはない。君は役割を遂げているだけ……審判は裁きを与える存在じゃない。真実を暴く光だ」
『いいね。君達はとても強い。だけど、それじゃ足りないんだ。単純な力では……ほら、こんな感じで』
ニュクス・アバターがその両腕を振るう。
それだけで、吹き飛ばされそうな衝撃に襲われる。
「ぐっ……湊、これ、勝てるのか?」
「やるしか、ないでしょ」
三人は身動きが取れない。
ゆっくりと、次の攻撃が迫る。
『……先輩!有里先輩!鳴上先輩も!聞こえる!?』
「……りせか。ごめん、今は聞いてる余裕が……」
『有里君!鳴上君!大丈夫!?』
「あれ、風花?」
二人のペルソナから、同時に声が聞こえる。
「どういうこと、悠」
「さぁな。何かやってるんじゃないか。美奈子なら何か知ってると思うぞ」
「うん、仕込みは私。皆連れてきちゃった」
『有里君、聞こえる?』
風花でも、りせでも無い声がする。
「……この声。千枝」
『うん、私。今、皆と一緒にいる』
「そう。それは良かった。君達を戦わせた事だけが心残りだった……和解できたなら何より」
『そんなのいい。今、戦ってるんでしょ』
「そうだね」
『……私、もっと色んな事話したいんだ。もっと色んなとこ行きたいし、色んな季節を過ごしたい。本当は消えて欲しくなんかない。だから、』
『負けないで』
「……だそうだぞ、湊」
「だって、湊」
「……千枝。ありがとう。君は……最高だ。愛してる」
『……っ!』
通信が途絶えた。
「おい、里中とどういう関係なんだ、結局」
「内緒」
「全く……」
『鳴上君も、聞こえてる?』
「はい、聞こえてます」
今度は風花の声がする。
『私だって、里中さんと同じ。鳴上君と色んな物を見たい。料理だってまだ一緒にしてないし、何のお礼も言えてない。だから……』
「勝って、ですか」
『勝って。絶対に。私、待ってるから。……約束したよね?』
「覚えてますよ。大丈夫、負けるつもりは……ありません」
通信が、途絶えた。
「さて、どうやら今のが最後の通信らしいね」
「ねー悠。約束って何?」
「秘密だ。さて……」
「ああまで言われて、負けて死ぬわけにもいかないね」
「まぁ、男としてはな」
「どう、私の用意した声援?」
有里と鳴上は顔を見合わせて笑う。
そして同時に答えた。
『うん、私。今、皆と一緒にいる』
「そう。それは良かった。君達を戦わせた事だけが心残りだった……和解できたなら何より」
『そんなのいい。今、戦ってるんでしょ』
「そうだね」
『……私、もっと色んな事話したいんだ。もっと色んなとこ行きたいし、色んな季節を過ごしたい。本当は消えて欲しくなんかない。だから、』
『負けないで』
「……だそうだぞ、湊」
「だって、湊」
「……千枝。ありがとう。君は……最高だ。愛してる」
『……っ!』
通信が途絶えた。
「おい、里中とどういう関係なんだ、結局」
「内緒」
「全く……」
『鳴上君も、聞こえてる?』
「はい、聞こえてます」
今度は風花の声がする。
『私だって、里中さんと同じ。鳴上君と色んな物を見たい。料理だってまだ一緒にしてないし、何のお礼も言えてない。だから……』
「勝って、ですか」
『勝って。絶対に。私、待ってるから。……約束したよね?』
「覚えてますよ。大丈夫、負けるつもりは……ありません」
通信が、途絶えた。
「さて、どうやら今のが最後の通信らしいね」
「ねー悠。約束って何?」
「秘密だ。さて……」
「ああまで言われて、負けて死ぬわけにもいかないね」
「まぁ、男としてはな」
「どう、私の用意した声援?」
有里と鳴上は顔を見合わせて笑う。
そして同時に答えた。
「最高だ」
MP3プレイヤーからは次の曲が流れ始めた。
「Reach out to the truth」。
「あ、これ陽介の入れてくれた曲だ」
「おい、そんな事言ってる場合か。来るぞ」
『仲間達が来てるみたいだね。それで、どうなるのかな?』
二人の心の中に光が射した。
かつての仲間と、新たな仲間との絆が、二人に更なる力を与える……。
「もう、負ける気がしないね」
「同感だ……はぁああああ!」
ペルソナ・イザナギが、絆の力で変化していく。
イザナギは転生し、伊邪那岐大神となった!
◆コンセントレイト◆
「終わりだ。イザナギノオオカミ!!」
◆メギドラオン◆
光が全てを包み、崩壊させる。
それはNyxの現し身とて例外ではなく。
『お見事。流石だね……でも、これで終わりじゃない。むしろここからが、君達の……』
ニュクス・アバターは破壊の光に包まれ、しかし安らかな表情で消え去っていく。
後には、静寂だけが残った。
MP3プレイヤーからは次の曲が流れ始めた。
「Reach out to the truth」。
「あ、これ陽介の入れてくれた曲だ」
「おい、そんな事言ってる場合か。来るぞ」
『仲間達が来てるみたいだね。それで、どうなるのかな?』
二人の心の中に光が射した。
かつての仲間と、新たな仲間との絆が、二人に更なる力を与える……。
「もう、負ける気がしないね」
「同感だ……はぁああああ!」
ペルソナ・イザナギが、絆の力で変化していく。
イザナギは転生し、伊邪那岐大神となった!
◆コンセントレイト◆
「終わりだ。イザナギノオオカミ!!」
◆メギドラオン◆
光が全てを包み、崩壊させる。
それはNyxの現し身とて例外ではなく。
『お見事。流石だね……でも、これで終わりじゃない。むしろここからが、君達の……』
ニュクス・アバターは破壊の光に包まれ、しかし安らかな表情で消え去っていく。
後には、静寂だけが残った。
『……有里先輩?鳴上先輩?聞こえますか?』
通信が回復したらしい。
りせの声が聞こえる。
「うん、聞こえてるよ」
『急に大きな力が無くなって……で、二人が無事って事は』
「俺達の勝ちだ」
『……!やったあ!先輩達勝ったって!』
りせは大喜びしている。
しかし、勝利したはずの三人は複雑な面持ちだ。
「これで、どうなるんだ。湊は知ってるんだろ」
「うん。この後……月を封印しなければならない」
「で、それには……」
有里は笑った。
「僕……『宇宙』のアルカナが、必要になる」
いつかのように。
奇跡を奇跡で無く、普通の事として行う力を使い……あの月を、誰の手にも届かない場所に。
『えっ、ちょっと待って……先輩、今何て?』
「りせ、皆にも伝えて。やっぱり、封印するには僕の命が必要だ」
「他に手は無いのか。俺だって『世界』のペルソナを……」
「少し、違うんだ。僕と君では出来る事が違う。君は全てのまやかしを打ち払う力を得た。僕は、この世の奇跡を降臨させる力を得た。ただし、その力は命と引き換え。それだけさ」
『うそ、やだ……そんな……』
「りせ。……皆に、ありがとうと、それから、さようならを」
『待って、待ってよ。先輩、そんな……』
「湊!行くな、まだ方法は……」
「悠。君は理想を追い続けると言った。けど、理想ではどうにもならない瞬間は確かにあるんだ」
「だけど、だけど、そんな……」
「そんな顔しないでくれ。君と一緒に戦えて良かった。僕も、君と理想を追う事が出来た。君は僕のシャドウじゃない。……光さ。お互い、足りない部分を補いあってたんだ」
「湊……」
「Memento mori。死を想え。僕はこれを、如何に死ぬか、だと捉えた。僕は君達を、大好きな仲間達を救う為に死ぬ。それで、いいんだ」
「湊!」
『先輩!行っちゃダメ!やだったら!』
『有里君!お願い、もう少し……!』
有里の体から強い力が放たれる。
これが、奇跡を起こす力。
『宇宙』のアルカナの、力の余波。
「気にしないで。僕は満足だ。……さよなら」
有里の体が、消えた。
通信が回復したらしい。
りせの声が聞こえる。
「うん、聞こえてるよ」
『急に大きな力が無くなって……で、二人が無事って事は』
「俺達の勝ちだ」
『……!やったあ!先輩達勝ったって!』
りせは大喜びしている。
しかし、勝利したはずの三人は複雑な面持ちだ。
「これで、どうなるんだ。湊は知ってるんだろ」
「うん。この後……月を封印しなければならない」
「で、それには……」
有里は笑った。
「僕……『宇宙』のアルカナが、必要になる」
いつかのように。
奇跡を奇跡で無く、普通の事として行う力を使い……あの月を、誰の手にも届かない場所に。
『えっ、ちょっと待って……先輩、今何て?』
「りせ、皆にも伝えて。やっぱり、封印するには僕の命が必要だ」
「他に手は無いのか。俺だって『世界』のペルソナを……」
「少し、違うんだ。僕と君では出来る事が違う。君は全てのまやかしを打ち払う力を得た。僕は、この世の奇跡を降臨させる力を得た。ただし、その力は命と引き換え。それだけさ」
『うそ、やだ……そんな……』
「りせ。……皆に、ありがとうと、それから、さようならを」
『待って、待ってよ。先輩、そんな……』
「湊!行くな、まだ方法は……」
「悠。君は理想を追い続けると言った。けど、理想ではどうにもならない瞬間は確かにあるんだ」
「だけど、だけど、そんな……」
「そんな顔しないでくれ。君と一緒に戦えて良かった。僕も、君と理想を追う事が出来た。君は僕のシャドウじゃない。……光さ。お互い、足りない部分を補いあってたんだ」
「湊……」
「Memento mori。死を想え。僕はこれを、如何に死ぬか、だと捉えた。僕は君達を、大好きな仲間達を救う為に死ぬ。それで、いいんだ」
「湊!」
『先輩!行っちゃダメ!やだったら!』
『有里君!お願い、もう少し……!』
有里の体から強い力が放たれる。
これが、奇跡を起こす力。
『宇宙』のアルカナの、力の余波。
「気にしないで。僕は満足だ。……さよなら」
有里の体が、消えた。
というわけで二段目。
といってもほんの少し、締めの部分だけです。
といってもほんの少し、締めの部分だけです。
【2012/6/12(火) 晴れ 雪子の部屋】
陽介「っだー!わかんねぇ!諦めよう!」
千枝「諦めたら勉強会の意味無いでしょーが」
雪子「焦らなくていいから、ゆっくりやっていこうよ。期末テスト、もうすぐだよ?」
千枝「雪子は余裕だね……流石才女」
雪子「千枝だって頭が悪いわけじゃないんだから、やればできるって。ほら、頑張って」
千枝「わっかんないんだもんさー。なんで数学ってこんな記号とか使いたがるのかなぁ」
「わかんないって思うからわかんないんだよ。普通に数字の計算と同じ。ほら、解いてみて」
千枝「ん、うん……えっと、これが、X?になるのかな」
陽介「やーれやれ。有里の言う事にゃ素直なんだな、里中は」
雪子「ほら、茶化さない。花村君もさっさとやる」
陽介「へーい……」
>僕は、結局ここにいる。
>あの時、僕の命を使ってNyxを封印するつもりだったのだが……。
【Nyx】
有里「二回もここに来る事になるとは……」
美奈子「同感」
>気がつくと、隣に美奈子が立っていた。
有里「美奈子!どうして……」
美奈子「私は、貴方。ていうか、気付いてるかな。私と湊、まだ繋がってるの」
>確かに、どこか繋がっている感覚はずっとあったが……。
美奈子「……実言うとね、この体、湊のと違って急造だから、長くは持たないんだよね。ほら」
>見ると、確かになんと言うか……存在感が希薄というか、透けているような気がした。
美奈子「私、もうすぐ消えちゃうから。使うなら、私を」
有里「美奈子……」
美奈子「湊は、皆に想われて、そうやって帰ってこれた。運が良かったんだね。だから、それを無にする事ないよ。私が消えるから」
有里「でも、それじゃ美奈子は」
美奈子「いいの、私は。私のいた世界では……荒垣先輩が、死んじゃったんだよね」
有里「それは、こっちでも同じだよ」
美奈子「こっちの先輩は、私の知ってる先輩と違うもの。向こうじゃ恋人だったんだよ、私達。だけど、死んじゃった。その時、思ったの」
美奈子「死を想う事。それはどうやって死ぬかだってさっき言ったよね。多分、荒垣先輩もそう思ってたと思う。でも、私は違うんだよね」
>美奈子は満面の笑みを向けた。
美奈子「いつか死んじゃうから、今を楽しめ。それが私のMemento mori。私は、オマケを十分楽しませてもらったから。後は、湊が」
>美奈子の体が消えていく。
>恐らくは、本人がその姿を維持する事を諦めたから。
有里「美奈子!」
美奈子「私の体が消えたら、また湊の中に戻る。この事件を終わらせるっていう、私の目的はこれで完了。お願いね」
有里「……わかった」
>恐らくは、その笑顔の裏に自分と同じような苦悩を隠して。
>美奈子は消えていった。
>大いなる封印が発動し、自分の中から何かが抜けていく感覚があって、それから。
千枝「有里君!」
>気がつくと、皆に囲まれていた。
【雪子の部屋】
>あれから、誰も美奈子の話をしない。
>恐らくは、記憶から消えてしまっているのだろう。
>かつての自分がそうであったように。
>月日は流れて、もうすぐ期末テスト、その後夏休みだ。
有里「そういえば、夏休みには悠が来るんだったっけ」
>悠とは、あの直後に話をした。
>僕と同じく、悠も美奈子の事を覚えていた。
鳴上『あいつは、多分最初からそのつもりだったんだと思う』
>彼はそう言っていた。
>多分、そうなんだと思う。
>それでも、軽く受け止める事は出来ないけれど。
陽介「あー、そだな。アイギスさんもまた来てくれねーかな。海行こうぜ海。皆でさ」
千枝「水着目当て?」
陽介「ばっ、そういうんじゃねえから!な!有里!」
有里「僕は水着見たい」
雪子「だって」
千枝「何で私を見るか、雪子」
雪子「見せてあげないの?」
有里「見せてくれないの?」
千枝「……見せる、けど」
>天城さんが笑って、僕も笑った。
>陽介は、少し不満そうだった。
>日常が流れていく。
>僕達は、いつか必ず死ぬ。
>それは変えようの無い事で、どれだけ足掻いても同じ事だ。
>だけど、その時をどう迎えるかは変える事が出来る。
>いつ、その時を迎えてもいいように。
>今を、楽しめ。
「お疲れ様です、お客様」
青い部屋に、再び招待された。
「これを持ちまして、お客様の物語は一時閉幕と相成ります」
イゴールが愉快そうに笑う。
「お客様がお望みであれば、契約者の証たる鍵を返却なさる事も出来ます。そうした場合、二度と我々と見える事も無いでしょう。平穏が約束されますぞ」
手には、あの時受け取った鍵を握っている。
鍵を、返しますか?
>いいえ
「……流石はお客様、と言ったところでしょうか。まだ何も終わっていない。お忘れでなかったようですな。失礼いたしました」
イゴールは一層愉快そうに体を揺らした。
「お客様は再び鍵を握りました。それをいつ使うかは、お客様の自由です。今しばらくは、平穏をお楽しみください」
「それでは、再び会い見える日まで、ごきげんよう。また、いずれ……」
ピアノと女性の声が響く中、ゆっくりと、部屋の扉が閉じた。
青い部屋に、再び招待された。
「これを持ちまして、お客様の物語は一時閉幕と相成ります」
イゴールが愉快そうに笑う。
「お客様がお望みであれば、契約者の証たる鍵を返却なさる事も出来ます。そうした場合、二度と我々と見える事も無いでしょう。平穏が約束されますぞ」
手には、あの時受け取った鍵を握っている。
鍵を、返しますか?
>いいえ
「……流石はお客様、と言ったところでしょうか。まだ何も終わっていない。お忘れでなかったようですな。失礼いたしました」
イゴールは一層愉快そうに体を揺らした。
「お客様は再び鍵を握りました。それをいつ使うかは、お客様の自由です。今しばらくは、平穏をお楽しみください」
「それでは、再び会い見える日まで、ごきげんよう。また、いずれ……」
ピアノと女性の声が響く中、ゆっくりと、部屋の扉が閉じた。
一巻の終わり。
一つの事件の終幕。
けれど、物語は未だ終わらず。
というわけで、一区切りとなります。
大凡一ヶ月、毎日更新をちまちまとやってまいりました。
ようやく一息……とはいきません。
いろいろ伏線張りっぱなしなので、回収しなければなりません。
が、肩凝りが酷いのと有里君と鳴上君にもっと楽しい毎日を送って欲しいので、しばらくまったりとやっていこうと思います。
というわけで、本日分は終わり。
SSは終わりませんが。
では、また後日。
一つの事件の終幕。
けれど、物語は未だ終わらず。
というわけで、一区切りとなります。
大凡一ヶ月、毎日更新をちまちまとやってまいりました。
ようやく一息……とはいきません。
いろいろ伏線張りっぱなしなので、回収しなければなりません。
が、肩凝りが酷いのと有里君と鳴上君にもっと楽しい毎日を送って欲しいので、しばらくまったりとやっていこうと思います。
というわけで、本日分は終わり。
SSは終わりませんが。
では、また後日。
まったりまったり、箸休め的に。
自動車教習がめんどうでしかたないですが、本日分。
自動車教習がめんどうでしかたないですが、本日分。
【2012/6/17(日) 晴れ 天城屋旅館】
>今日も天城さんの家で勉強会だ。
有里「ったはずなんだけどね」
>着くなり、まるで疾風のような動きで拘束され、転がされている。
完二「すんませんね先輩。俺ぁんなことやめとけっつったんスけど……」
陽介「まぁまぁ完二君。んな事言ってお前も気になんだろ?」
完二「いや、そりゃ……ちょっとは」
有里「まず僕に説明すべきだよね」
陽介「有里被告!許可なき発言は禁じます!」
有里「被告……」
>この感じは覚えがある。
>りせにやられたアレだ。
陽介「えー……それでは第一回ー……」
陽介「結局里中とはどこまで行ったの会議を行います!イェー!」
>陽介は盛り上がり、完二は申し訳なさそうにしている。
陽介「ちなみに別室では女性陣による同様の会議が行われています」
有里「千枝はあんまり苛めないでやってね」
陽介「はぁーその感じ、そのさり気なく気遣いを見せる感じ?俺のだから、みたいなオーラ出しちゃってまぁ」
有里「……仕方ない。どうも離してもらえなさそうだし、何でも答えるよ」
陽介「よし。それじゃこれを付けてもらう」
>血圧計のような物を手首に巻きつけられる。
有里「これは……?」
陽介「これはアレだ。直斗特製嘘発見器だ」
有里「えらい念の入れようだね」
陽介「おおよ。いつものノリでケムにまかれちゃ困るんでな!洗いざらい吐いてもらうぜ」
>……。
陽介「……前によ、ちらっと言ってただろ。美鶴さんとどうとか」
有里「うん、そうだね」
完二「だから、誰っスか」
陽介「お前、向こうの寮のお姉さま方とはどうなんだよ」
有里「何も無いよ」
>ピーッ、ピーッ!
陽介「鳴ってんぞ」
有里「いや、本当に何も無いんだってば。これ、調子悪いのかも……」
完二「あー、でもあの、山岸さん?とか。普通じゃないリアクションっしたよね」
陽介「だよな。絶対何かあったと思うんだよ。正直に言え?」
有里「……えーと。全員に好きだって言われて、大抵黙ってこう、抱き締めて……」
陽介「あるんじゃねーか!!」
完二「全員って、花村先輩。向こうに女の人って何人くらい……」
陽介「知る限りじゃ、アイギスさん含めて四人だな」
有里「あ、アイギスには好きだって言われてないね」
陽介「で、抱き締めて……それからどうしたんだよ」
有里「いや、特に何も。ありがとう、とは言った覚えがあるけど……それ以降特別な事は無いね」
陽介「つまり、友達以上恋人未満な関係って事か」
有里「そうとも言う」
完二「……四人だけ、なんスかね」
陽介「そーだよ!どうなんだ!寮に四人……アイギスさん抜いて三人?で、他に女はいなかったのか!」
有里「いない、いない」
>ピーッ、ピーッ!
陽介「むちゃくちゃ鳴ってんじゃねーか!」
有里「……ほんとの所を言うと、それにプラス何人か……下級生とか、同級生とか、先生とか?」
陽介「……もう、いいや。次」
>……。
有里「うん、そうだね」
完二「だから、誰っスか」
陽介「お前、向こうの寮のお姉さま方とはどうなんだよ」
有里「何も無いよ」
>ピーッ、ピーッ!
陽介「鳴ってんぞ」
有里「いや、本当に何も無いんだってば。これ、調子悪いのかも……」
完二「あー、でもあの、山岸さん?とか。普通じゃないリアクションっしたよね」
陽介「だよな。絶対何かあったと思うんだよ。正直に言え?」
有里「……えーと。全員に好きだって言われて、大抵黙ってこう、抱き締めて……」
陽介「あるんじゃねーか!!」
完二「全員って、花村先輩。向こうに女の人って何人くらい……」
陽介「知る限りじゃ、アイギスさん含めて四人だな」
有里「あ、アイギスには好きだって言われてないね」
陽介「で、抱き締めて……それからどうしたんだよ」
有里「いや、特に何も。ありがとう、とは言った覚えがあるけど……それ以降特別な事は無いね」
陽介「つまり、友達以上恋人未満な関係って事か」
有里「そうとも言う」
完二「……四人だけ、なんスかね」
陽介「そーだよ!どうなんだ!寮に四人……アイギスさん抜いて三人?で、他に女はいなかったのか!」
有里「いない、いない」
>ピーッ、ピーッ!
陽介「むちゃくちゃ鳴ってんじゃねーか!」
有里「……ほんとの所を言うと、それにプラス何人か……下級生とか、同級生とか、先生とか?」
陽介「……もう、いいや。次」
>……。
陽介「まぁ、本式に俺達が気になってんのはこっからなんだよ。結局、里中と今どうなってんだよ」
完二「そうっスよ。さっきの質問って大半俺知らねェ人なんスけど」
有里「どうって言われてもなぁ……」
陽介「じゃあ、段階で聞いてくぞ。全部いいえで答えろよ。嘘吐いたら鳴るからな」
完二「お、らしくなってきたっスね」
有里「仕方ない、どうぞ」
陽介「まずだな。あん時聞いてたんだけど、お前、里中に愛してるとか言ってたよな。あれ、本心?」
有里「いいえ」
>ピーッ、ピーッ!
陽介「……このくらいは予想の範疇だな。次。里中とは結局つ、付き合う事にしたの?」
有里「いいえ」
>ピーッ、ピーッ!
完二「うぉ、マジっスか。おめでとうございやっス」
陽介「……そんじゃ次。里中とはもう手繋いだ?」
完二「なんスかその質問。子供じゃあるまいし……」
有里「いいえ」
>ピーッ、ピーッ!
陽介「じゃあ、き、キスは!?もうしたのか!?」
有里「……いいえ」
>ピーッ、ピーッ!
陽介「う、ぉお……」
完二「先輩、もうそろそろ……なんか先輩見てるこっちが辛いっスよ……」
陽介「うるへぇ!……実はな、俺が今日こうやって強行手段に出たのはワケがあんだよ」
完二「なんスか、ワケって」
陽介「この前ジュネスに来てた菜々子ちゃんから聞いたんだよ……里中のヤツ、こいつん家に泊まったらしいんだよ……」
完二「!!」
有里「いや、あれは……」
完二「そうっスよ。さっきの質問って大半俺知らねェ人なんスけど」
有里「どうって言われてもなぁ……」
陽介「じゃあ、段階で聞いてくぞ。全部いいえで答えろよ。嘘吐いたら鳴るからな」
完二「お、らしくなってきたっスね」
有里「仕方ない、どうぞ」
陽介「まずだな。あん時聞いてたんだけど、お前、里中に愛してるとか言ってたよな。あれ、本心?」
有里「いいえ」
>ピーッ、ピーッ!
陽介「……このくらいは予想の範疇だな。次。里中とは結局つ、付き合う事にしたの?」
有里「いいえ」
>ピーッ、ピーッ!
完二「うぉ、マジっスか。おめでとうございやっス」
陽介「……そんじゃ次。里中とはもう手繋いだ?」
完二「なんスかその質問。子供じゃあるまいし……」
有里「いいえ」
>ピーッ、ピーッ!
陽介「じゃあ、き、キスは!?もうしたのか!?」
有里「……いいえ」
>ピーッ、ピーッ!
陽介「う、ぉお……」
完二「先輩、もうそろそろ……なんか先輩見てるこっちが辛いっスよ……」
陽介「うるへぇ!……実はな、俺が今日こうやって強行手段に出たのはワケがあんだよ」
完二「なんスか、ワケって」
陽介「この前ジュネスに来てた菜々子ちゃんから聞いたんだよ……里中のヤツ、こいつん家に泊まったらしいんだよ……」
完二「!!」
有里「いや、あれは……」
>ピーッ、ピーッ!
完二「うぉおお、鳴ってる!言い訳しようとしたらめちゃくちゃ鳴ってんじゃねェか!」
陽介「これが最後の質問だ。いいえだぞ、わかってんな?……里中とは、その、エ……セ……お、お泊りした時になにかあったんでしょうか」
完二「うわぁ、なんか情けねェ」
有里「あー、その。えっと……いいえ」
>ピーッ、ピーッ!
陽介「……どうだったんだよ」
有里「え?」
陽介「どうだったんだよ!教えろよ!詳しく!どうやって誘ったんだよ!」
完二「こ、コラ!取り乱しすぎたっつの!落ち着けって!」
陽介「おち、落ち着いていられるかこれが!」
有里「いや、まずこれ音止まらないんだけど」
陽介「あ!?」
完二「あ、ほんとっスね。……調子悪いみたいっスわ」
有里「何も無かったって。ただ勉強教えてって言われて、遅くまで付き合っただけ。寝る時は菜々子の部屋だったし、堂島さんもいたし。何もしてないよ」
陽介「……鳴り止んだな」
完二「ほら、なんも無かったんスよ」
有里「これでも健全な関係で行きたいと思ってるからね」
陽介「……悪かったな、有里。変な疑いかけちまってよ。そうだよな!俺達友達だもんな!何も言わずに先に行ったりしないよな!」
完二「先にってなんスか……」
有里「陽介に断るかどうかはわからないけど、今の所は清い関係だよ」
完二「うぉおお、鳴ってる!言い訳しようとしたらめちゃくちゃ鳴ってんじゃねェか!」
陽介「これが最後の質問だ。いいえだぞ、わかってんな?……里中とは、その、エ……セ……お、お泊りした時になにかあったんでしょうか」
完二「うわぁ、なんか情けねェ」
有里「あー、その。えっと……いいえ」
>ピーッ、ピーッ!
陽介「……どうだったんだよ」
有里「え?」
陽介「どうだったんだよ!教えろよ!詳しく!どうやって誘ったんだよ!」
完二「こ、コラ!取り乱しすぎたっつの!落ち着けって!」
陽介「おち、落ち着いていられるかこれが!」
有里「いや、まずこれ音止まらないんだけど」
陽介「あ!?」
完二「あ、ほんとっスね。……調子悪いみたいっスわ」
有里「何も無かったって。ただ勉強教えてって言われて、遅くまで付き合っただけ。寝る時は菜々子の部屋だったし、堂島さんもいたし。何もしてないよ」
陽介「……鳴り止んだな」
完二「ほら、なんも無かったんスよ」
有里「これでも健全な関係で行きたいと思ってるからね」
陽介「……悪かったな、有里。変な疑いかけちまってよ。そうだよな!俺達友達だもんな!何も言わずに先に行ったりしないよな!」
完二「先にってなんスか……」
有里「陽介に断るかどうかはわからないけど、今の所は清い関係だよ」
>ピーッ、ピーッ!
陽介「鳴ったあああああ!」
完二「うるせっ、ちっとだぁってろ!」
有里「とりあえず、これ解いてくれない?」
完二「あー、すんませんね。今解くんで」
有里「あとこれも外しといた方が良さそうだね。錯乱しちゃうし」
完二「そっスね……」
陽介「お前はいいよなぁ!こっちじゃ里中はともかく天城やりせちーにまでチヤホヤされてさぁ!向こうじゃ皆がお前大好きでさぁ!」
完二「……そういや、直斗がりせに相談してるの聞いちまったんスけど。有里先輩、直斗に何か言ったんスか?」
有里「ん?何が?」
完二「いや、服がどうとか」
有里「あー……言った」
完二「そこんとこ詳しく教えてくれやしやせんかね……」
陽介「美鶴さんにゆかりさんに風花さんに美奈子ちゃんに……不公平だろうが……」
有里「別に今は……え?」
完二「どうかしたんスか」
有里「陽介、今誰って言った?」
陽介「あ?美鶴さんにゆかりさんに風花さんに……」
有里「その後!」
陽介「み、美奈子ちゃんだよ。どうしたんだよ、そんなマジな顔して……」
有里「……!」
>急いで携帯を取り出して、悠に連絡を入れる。
>数回コールが鳴って、悠の声がした。
鳴上『湊か』
有里「ああ、悠、大変なんだ。みんなの記憶が……」
鳴上『……こっちもだ。ていうか、多分原因は……』
『湊ー?湊元気でやってるって?』
有里「その声……」
鳴上『良くわからないんだが……美奈子、帰ってきてるぞ』
陽介「鳴ったあああああ!」
完二「うるせっ、ちっとだぁってろ!」
有里「とりあえず、これ解いてくれない?」
完二「あー、すんませんね。今解くんで」
有里「あとこれも外しといた方が良さそうだね。錯乱しちゃうし」
完二「そっスね……」
陽介「お前はいいよなぁ!こっちじゃ里中はともかく天城やりせちーにまでチヤホヤされてさぁ!向こうじゃ皆がお前大好きでさぁ!」
完二「……そういや、直斗がりせに相談してるの聞いちまったんスけど。有里先輩、直斗に何か言ったんスか?」
有里「ん?何が?」
完二「いや、服がどうとか」
有里「あー……言った」
完二「そこんとこ詳しく教えてくれやしやせんかね……」
陽介「美鶴さんにゆかりさんに風花さんに美奈子ちゃんに……不公平だろうが……」
有里「別に今は……え?」
完二「どうかしたんスか」
有里「陽介、今誰って言った?」
陽介「あ?美鶴さんにゆかりさんに風花さんに……」
有里「その後!」
陽介「み、美奈子ちゃんだよ。どうしたんだよ、そんなマジな顔して……」
有里「……!」
>急いで携帯を取り出して、悠に連絡を入れる。
>数回コールが鳴って、悠の声がした。
鳴上『湊か』
有里「ああ、悠、大変なんだ。みんなの記憶が……」
鳴上『……こっちもだ。ていうか、多分原因は……』
『湊ー?湊元気でやってるって?』
有里「その声……」
鳴上『良くわからないんだが……美奈子、帰ってきてるぞ』
【2012/6/17(日) 巌戸台分寮】
>事件が終わってからこっち、どうにも朝に弱くて困る。
>気が抜けたんだろう。
>急転直下で日常に戻された今、どうにも体も心も揺るんでしまっている。
鳴上「……昼前か。また桐条さんか岳羽さんに怒られる……っしょ、と」
>進路も大まかにだが決まり、もう気合いを入れるようなことも無い。
>仕方ない、と誰にでもなく言い訳する。
鳴上「あ、夏休み……来月末には八十稲羽行けるんだよな。桐条さん達、本気で行きたいって思ってるなら相談しといた方がいいか」
>湊たちもいる事だし、誰かはまた一緒に行く事になるかもしれない。
鳴上「風花さんにも話しておかないと……」
>コッ。
鳴上「くそ、まだ眠い……なんてたるんだ生活だ……」
>コッ。
鳴上「ん?」
>コッ。
>窓に何かが当たっている。
>小石……?
鳴上「誰だ、こんな悪戯……順平さんか?」
>窓から外を見てみる……。
美奈子「おーい、おーい。っかしーな、気付いてないのかな」
鳴上「なんだ、美奈子か。……美奈子だって!?」
>だって、美奈子はあの時……
美奈子「あ、こっち見た。ていうか聞こえてんでしょ実は。ちょっと助けて欲しいのー。ねー悠ー」
>とりあえず、降りよう。
鳴上「美奈子、何でお前……」
>やはり、美奈子で間違いなかった。
>湊の話では、あの時湊の代わりに消えたはずの……。
美奈子「うん、なんていうか……私も運が良かったみたい。助けてくれた人がいるの。多分、悠とか湊の知ってる人……の、関係者。まぁ、その事についてはあんま聞かないで。泣きそうになるから」
>美奈子はそういって少し切なそうに笑った。
鳴上「そうか……で、何で助けて欲しいんだ」
美奈子「うん、私さ、しばらくいなかったじゃない。その間に寮がどうなってるかわかんなかったから」
鳴上「ああ、そのことか。あの後……」
>あの後、一度全員で集まって今後について話した。
>一応は事件は終わったが、これからどうするか。
>本来事件解決の為に使われているこの寮は、再び閉鎖するはずだったのだが……。
鳴上「桐条さんが、何度も手続きさせるのも忍びないし、問題なければ皆今年一年は住んでていい事になったんだよ。で、結局誰も出て行かなかった」
美奈子「そっか。皆らしいね。それじゃ、皆いるんだ……」
鳴上「どうした、会いたくないのか?」
美奈子「んー、ていうか……怒られたりしないかな」
鳴上「それなんだが……皆、お前に関する記憶をなくしてるみたいだ。あの事件は俺と湊が解決したと思い込んでる」
美奈子「ああ、やっぱり……そうなんだ」
>美奈子が本当に知りたかったのはこれなのかも知れない。
>帰ってきても皆は自分の事を知らない。
>それはどんな気分なんだろう。
美奈子「うん、じゃあ……私、どうしよっかな。湊の所でも……って、そのお金も持ってないし。あはは、変なの。帰ってきてからの方が悩むなんて」
>美奈子は今にも泣き出しそうな顔をしている。
順平「おい、鳴上。何慌てて……」
鳴上「あ、順平さん」
>順平さんが俺が慌てて階段を降りたのに気付いて出てきたようだ。
>まず俺を見て、それから美奈子を見た。
鳴上「あ、あのっ、こいつは……ええと、俺の……」
>急過ぎて、何も良い言い訳が出てこない。
>やはり、美奈子で間違いなかった。
>湊の話では、あの時湊の代わりに消えたはずの……。
美奈子「うん、なんていうか……私も運が良かったみたい。助けてくれた人がいるの。多分、悠とか湊の知ってる人……の、関係者。まぁ、その事についてはあんま聞かないで。泣きそうになるから」
>美奈子はそういって少し切なそうに笑った。
鳴上「そうか……で、何で助けて欲しいんだ」
美奈子「うん、私さ、しばらくいなかったじゃない。その間に寮がどうなってるかわかんなかったから」
鳴上「ああ、そのことか。あの後……」
>あの後、一度全員で集まって今後について話した。
>一応は事件は終わったが、これからどうするか。
>本来事件解決の為に使われているこの寮は、再び閉鎖するはずだったのだが……。
鳴上「桐条さんが、何度も手続きさせるのも忍びないし、問題なければ皆今年一年は住んでていい事になったんだよ。で、結局誰も出て行かなかった」
美奈子「そっか。皆らしいね。それじゃ、皆いるんだ……」
鳴上「どうした、会いたくないのか?」
美奈子「んー、ていうか……怒られたりしないかな」
鳴上「それなんだが……皆、お前に関する記憶をなくしてるみたいだ。あの事件は俺と湊が解決したと思い込んでる」
美奈子「ああ、やっぱり……そうなんだ」
>美奈子が本当に知りたかったのはこれなのかも知れない。
>帰ってきても皆は自分の事を知らない。
>それはどんな気分なんだろう。
美奈子「うん、じゃあ……私、どうしよっかな。湊の所でも……って、そのお金も持ってないし。あはは、変なの。帰ってきてからの方が悩むなんて」
>美奈子は今にも泣き出しそうな顔をしている。
順平「おい、鳴上。何慌てて……」
鳴上「あ、順平さん」
>順平さんが俺が慌てて階段を降りたのに気付いて出てきたようだ。
>まず俺を見て、それから美奈子を見た。
鳴上「あ、あのっ、こいつは……ええと、俺の……」
>急過ぎて、何も良い言い訳が出てこない。
順平「おいおいおい!今までどこ行ってたんだよ。ちょっと待ってろ、皆に知らせてくっから!」
>順平さんは寮の中へ戻っていった。
美奈子「えっと、あれ?」
鳴上「変だな、確かに皆……とにかく、中へ行こう」
>少し尻込みする美奈子の手を引いて、玄関を開ける。
美鶴「美奈子が帰って来たというのは本当か、鳴上」
真田「何だ、人騒がせな。帰って来たならそう言えばいいものを」
岳羽「ほんっと、心配させるんだから……」
天田「でも、帰って来てくれて良かったじゃないですか」
アイギス「本当に。お帰りなさい、美奈子さん」
風花「良かった、居なくなった時はどうしたのかと……」
鳴上「あ、あれ?皆、美奈子の事覚えて……」
美鶴「少し居なくなったくらいで忘れるわけが無いだろう?失礼な事を言うものだな」
美奈子「えっと、その……」
鳴上「……どうも、思い出してくれたみたいだな。お帰り、美奈子」
>美奈子は笑った。
美奈子「あはは、恥ずかしながら、有里美奈子……帰って参りました」
>……誰だか知らないが、美奈子を助けてくれた人には感謝しなければならない。
>ようやく、欠けていた物が揃った気分だ。
鳴上「また、騒がしくなりそうだな」
>皆に飛びついて抱きついて回る美奈子を見ながら、そう思った。
>順平さんは寮の中へ戻っていった。
美奈子「えっと、あれ?」
鳴上「変だな、確かに皆……とにかく、中へ行こう」
>少し尻込みする美奈子の手を引いて、玄関を開ける。
美鶴「美奈子が帰って来たというのは本当か、鳴上」
真田「何だ、人騒がせな。帰って来たならそう言えばいいものを」
岳羽「ほんっと、心配させるんだから……」
天田「でも、帰って来てくれて良かったじゃないですか」
アイギス「本当に。お帰りなさい、美奈子さん」
風花「良かった、居なくなった時はどうしたのかと……」
鳴上「あ、あれ?皆、美奈子の事覚えて……」
美鶴「少し居なくなったくらいで忘れるわけが無いだろう?失礼な事を言うものだな」
美奈子「えっと、その……」
鳴上「……どうも、思い出してくれたみたいだな。お帰り、美奈子」
>美奈子は笑った。
美奈子「あはは、恥ずかしながら、有里美奈子……帰って参りました」
>……誰だか知らないが、美奈子を助けてくれた人には感謝しなければならない。
>ようやく、欠けていた物が揃った気分だ。
鳴上「また、騒がしくなりそうだな」
>皆に飛びついて抱きついて回る美奈子を見ながら、そう思った。
2012/6/17現在の状況
鳴上
『No.00 愚者 特別課外活動部』ランク4
『No.01 魔術師 伊織順平』ランク3
『No.02 女教皇 山岸風花』ランク5
『No.03 女帝 桐条美鶴』ランク5
『No.04 皇帝 真田明彦』ランク3
『No.05 法王 天田乾』ランク3
『No.06 恋愛 岳羽ゆかり』ランク4
『No.07 戦車 アイギス』ランク4
『No.08 正義 コロマル』ランク4
『No.09 隠者 エリザベス』ランク3
『No.13 死神 有里湊』ランク4
有里
『No.10 運命 鳴上悠』ランク4
『No.11 剛毅 里中千枝』ランク5
『No.12 刑死者 堂島遼太郎』ランク4
『No.14 節制 巽完二』ランク4
『No.15 悪魔 マーガレット』ランク3
『No.16 塔 白鐘直斗』ランク3
『No.17 星 久慈川りせ』ランク3
『No.18 月 天城雪子』ランク4
『No.19 太陽 花村陽介』ランク5
『No.20 審判 自称特別捜査隊』ランク3
鳴上、風花と???
有里、千枝と???
Next→期末テストと夏休みと修羅場
鳴上
『No.00 愚者 特別課外活動部』ランク4
『No.01 魔術師 伊織順平』ランク3
『No.02 女教皇 山岸風花』ランク5
『No.03 女帝 桐条美鶴』ランク5
『No.04 皇帝 真田明彦』ランク3
『No.05 法王 天田乾』ランク3
『No.06 恋愛 岳羽ゆかり』ランク4
『No.07 戦車 アイギス』ランク4
『No.08 正義 コロマル』ランク4
『No.09 隠者 エリザベス』ランク3
『No.13 死神 有里湊』ランク4
有里
『No.10 運命 鳴上悠』ランク4
『No.11 剛毅 里中千枝』ランク5
『No.12 刑死者 堂島遼太郎』ランク4
『No.14 節制 巽完二』ランク4
『No.15 悪魔 マーガレット』ランク3
『No.16 塔 白鐘直斗』ランク3
『No.17 星 久慈川りせ』ランク3
『No.18 月 天城雪子』ランク4
『No.19 太陽 花村陽介』ランク5
『No.20 審判 自称特別捜査隊』ランク3
鳴上、風花と???
有里、千枝と???
Next→期末テストと夏休みと修羅場
まぁ、誰とは言いませんが、助けてくれたようです。
詳細は美奈子のみが知る。
皆揃ってなきゃね。
というわけで本日分は終わり。
では、また後日。
詳細は美奈子のみが知る。
皆揃ってなきゃね。
というわけで本日分は終わり。
では、また後日。
今日からなるべく影時間更新を心がけようと思います。
せっかくなんで。
というわけで本日分。
せっかくなんで。
というわけで本日分。
【2012/7/16(月) 晴れ 天城屋旅館】
>あの事件から二ヶ月が経とうとしている。
>美奈子も戻り、僕達にはいつもの日常が帰って来ていた。
>季節は夏に入り、今日も燦々と照り付ける太陽から逃げるように天城さんの部屋で勉強会が行われている。
陽介「あっぢぃ……あっぢぃ……」
千枝「っるさいなぁ……暑いって言うから余計暑いんでしょー……」
雪子「ごめんね、エアコン調子悪くて……」
>……日差しは避けても、扇風機のみで凌げる暑さでは無いようだ。
陽介「有里は涼しい顔してんな……」
有里「やせ我慢は得意だからね。生命力ゼロで二ヶ月過ごしたくらいだし」
陽介「良くわかんねぇけどすげえな。つーか、お前は勉強しねえのかよ」
千枝「有里君は頭良いでしょ、私らと違って……あっつー……」
>期末試験まで後一週間。
>受験組の三年は、一月も前から連日勉強会を行っているのだが……
陽介「全然進歩してねぇ気がする」
千枝「すっごい悔しいけど同感。これ、大丈夫なのかな……」
>元より成績の良い天城さんを除いて、彼等は成果が見えていないらしい。
有里「それを確かめる為にテストがあるんじゃないの?」
陽介「それよ。何で夏休み前にテストがあんだよ……一学期終わったー!っつってはしゃげねえんだよ、それで……」
雪子「うーん、千枝もテスト嫌なの?」
千枝「嫌ってわけじゃないんだけどねぇ。別に何かご褒美あるわけで無し、こう、手応えというか、やり甲斐みたいなのは欲しいよね」
陽介「里中良いこと言うね!それよ、それ。やり甲斐!やったら良い事あるとかさ!そりゃ、進学とか就職とか色々あるけど、手近に実感できるもんがねーんだよな」
雪子「もう、二人してそんな事言って……」
>このままでは二人の進路に支障が出かねない。
>ここは一つ、奮起してもらうしかないだろう。
有里「ご褒美というか、ゲーム性を持たせてみたら二人もやる気が出るかもしれないね。というわけでちょっと失礼」
>りせに電話しておこう。
【2012/7/17(火) 晴れ 八十神高校】
陽介「男女対抗?」
千枝「点数対決?」
有里「そう」
>昨日の内にりせに電話して決めておいた。
>りせもテストの点が良い方では無かったが……
有里「男女に別れて、合計点で勝負って事で、二年生組にはりせから報告が行ってると思うよ」
雪子「へぇー、面白そうだね」
千枝「ちょ、ちょっと待って。対決って事は、負けたら何かあるって事?」
有里「りせと相談して決めたんだけど……勝った側は負けた側を、一日自由に出来る権利を与える、っていうのでどうかなと」
千枝「無理無理!自信無いって!」
>千枝はぶんぶん首を振った。
>どうやらこの試合の要点に気付いていないらしい。
陽介「なんだそれアツイじゃねえか!あれ?でも待てよ……男女対抗って事は、俺と、有里と、完二だろ?」
有里「そうだね」
>動転している千枝より先に陽介が気付いたか。
>りせが自信の無い点数勝負を受けたのはそこに理由がある。
陽介「そりゃ、俺も完二も勉強できる方じゃねえからチーム戦は有難いけどよ。女子の方が一人多いぜ?」
雪子「あ、ほんとだね。私、千枝、直斗君、りせちゃん。四対三になっちゃうよ?」
有里「そのハンデを踏まえた上で勝負を挑んでるんだ。千枝とりせが自信無くても直斗と天城さんはいつも良い点だろ?」
千枝「そっか、最悪私達が駄目でもそれで……」
陽介「勝ち目薄すぎじゃねえか!なんでそんな条件で勝負しなきゃなんねんだよ!」
>陽介は憤慨しているが、その目の奥にちらりと欲が見えたのを見逃すつもりは無い。
有里「陽介。好きに出来るんだ。わかるかな。天城さんも里中さんも、アイドルのりせも直斗も自由。自由に、指示を出せるんだよ」
陽介「そ、そりゃ……勝ちゃぁよ……」
有里「その果実を前にして、多少の障害で手を伸ばすのをやめる?そうじゃないだろう。男なら」
陽介「男なら……」
有里「やるしか、無いだろ」
陽介「有里……!」
>釣れた。
千枝「でもなぁ……もし負けたら花村に何させられるかわかんないし、私はちょっと……」
有里「大丈夫だよ。こっちが勝っても変な事はさせないから。信じて?」
千枝「まぁ……有里君がそう言うなら……」
>もういっちょ釣れた。
有里「さて、これで全員だね」
雪子「二年生の皆は参加決定なの?」
有里「直斗と完二は嫌がるだろうけど、直斗はりせに押されて押し切られるだろうし、完二は……直斗が参加すれば参加するだろうし。全員だよ」
雪子「しっかり織り込み済みなんだね……」
有里「まぁね。さ、これでちょっとはやる気出たでしょ?今日から勉強会も男女に別れてやろう。陽介と完二は僕が面倒見るから、千枝とりせは直斗と二人でお願い」
雪子「ん、わかった。ふふ、楽しみだね」
陽介「燃えて来たぜ!うおっしゃああああ!」
千枝「花村、暑苦しすぎ……」
>こうして、僕達の戦いが始まった。
有里「陽介。好きに出来るんだ。わかるかな。天城さんも里中さんも、アイドルのりせも直斗も自由。自由に、指示を出せるんだよ」
陽介「そ、そりゃ……勝ちゃぁよ……」
有里「その果実を前にして、多少の障害で手を伸ばすのをやめる?そうじゃないだろう。男なら」
陽介「男なら……」
有里「やるしか、無いだろ」
陽介「有里……!」
>釣れた。
千枝「でもなぁ……もし負けたら花村に何させられるかわかんないし、私はちょっと……」
有里「大丈夫だよ。こっちが勝っても変な事はさせないから。信じて?」
千枝「まぁ……有里君がそう言うなら……」
>もういっちょ釣れた。
有里「さて、これで全員だね」
雪子「二年生の皆は参加決定なの?」
有里「直斗と完二は嫌がるだろうけど、直斗はりせに押されて押し切られるだろうし、完二は……直斗が参加すれば参加するだろうし。全員だよ」
雪子「しっかり織り込み済みなんだね……」
有里「まぁね。さ、これでちょっとはやる気出たでしょ?今日から勉強会も男女に別れてやろう。陽介と完二は僕が面倒見るから、千枝とりせは直斗と二人でお願い」
雪子「ん、わかった。ふふ、楽しみだね」
陽介「燃えて来たぜ!うおっしゃああああ!」
千枝「花村、暑苦しすぎ……」
>こうして、僕達の戦いが始まった。
【2012/7/17(火) 晴れ 月光館学園】
男子「やって参りました、夏休み前に我々を脅かす最恐のイベント」
美奈子「期末テストです……!」
>美奈子まで、おどろおどろしく迫ってくる。
鳴上「いや、俺が見た限りじゃ美奈子は……」
美奈子「あんまり好きじゃないんだよねぇ、テスト。数字に出ちゃうのはどうも」
男子「わかるぜ美奈子ちゃん。俺達人間だもんな。数字で価値決められちゃ困るぜ」
鳴上「お前が嫌なのは単に勉強が嫌いだからだろ」
男子「まぁ、そうなんだけど」
美奈子「おっくーだなー……でも一応は勉強しないとねぇ」
>美奈子は暑さも手伝ってか、えらくくったりしている。
男子「そーだ、美奈子ちゃん。俺がテストの点数で美奈子ちゃんに勝ったら何かご褒美ちょーだいよ」
美奈子「えー?そういう事言っちゃう?」
鳴上「はは、それいいな。チューでもしてやれよ」
美奈子「あ、悠まで。じゃあ私が悠に買ったら悠がちゅーしてよね」
鳴上「ん?誰に?」
美奈子「私ー」
>両手を広げてアピールしてくる美奈子を無視した。
鳴上「テストの時くらい真面目に勉強してもいいじゃないか」
男子「わかってますー。優等生は言う事が違うから……」
美奈子「あ、ひどい。無視だ。……そういえば、ご褒美か」
>美奈子が何かに気付いたような顔をした。
>直後、にやりと口をゆがめる。
美奈子「悠と私は、もうちょっと面白いことになるかもね。とりあえず帰ろうよ。帰って美鶴先輩に相談しないと」
>……?
>まぁ、任せてみよう。
【巌戸台分寮】
美奈子「みっつるせーんぱい!お話があるんですよー」
美鶴「なんだ、美奈子に……鳴上まで。どうかしたのか?」
鳴上「いや、俺は別に用は……話があるのはこっちです」
美奈子「へへへー、美鶴先輩!私達今度テストあるんですよ!」
>桐条さんはきょとんとした後、合点がいったようで微笑んだ。
美鶴「……なるほど。いいだろう。条件を言ってみなさい。それによっては、ご褒美も考えよう」
鳴上「え、いいんですか?」
美鶴「私の在学中にやっていたんだ。当時、探索もこなして学業もこなす湊を少しでも労ってやろうと思ってな。美奈子もそれを知っていたんだろう」
美奈子「そういうわけです。そーだなー……やっぱり、目標が高い方が良い物もらえるんですよね?」
美鶴「それはそうだな。例えば、学年一位……君達は最上級生だから、事実上の学園一位だが、そのくらいすれば何でも好きな物を聞いてあげよう」
>たかがテストに凄く派手なおまけがついてきた。
美奈子「それじゃあ、すっごく難しい事達成したらどうなりますか?」
美鶴「ん?そうだな……物に限らず、なんだってしてやろう。対価として見合うならな」
>美奈子が不敵に笑った。
美奈子「じゃあ、私と悠で一位取ります!」
美鶴「何?男女別の順位では無いぞ?」
美奈子「わかってますよー」
鳴上「な、おい」
>流石にそれは無理ではないだろうか。
美鶴「ほう、それは凄いな。一位を取るだけならまだしも、二人でとなると点数も揃える事になる。それこそ満点でも取らない限り難しいと思うが、いいのか?」
美奈子「構わないです!だから、もし出来たらそれなりに言う事聞いてもらいますからね!」
美鶴「いい度胸だ。鳴上もそれでいいのか?」
鳴上「いや、俺は別に……」
美奈子「悠、ちょっと」
>何か耳打ちをされる……。
>……?
>……!
鳴上「俺もそれで構いません。是非お願いします」
美鶴「良いやる気だ。こちらも提供し甲斐があるというものだな。まぁ、頑張るといい。万が一にも達成出来たら、何でも聞いてみせよう」
鳴上「だ、そうだ。早速勉強に入ろう。美奈子、後で部屋に来てくれ」
美奈子「おっけー!美鶴先輩!約束ですからね!」
>なんとしても満点を取ろう。
>……なんとしても、だ!
【2012/7/18(水) 晴れ 八十神高校】
千枝「うそ……花村が休み時間に勉強してる……」
有里「ここの助動詞ちゃんと覚えといて」
陽介「おう……ここんとこさ、綴り合ってる?」
有里「あー、Fだね」
陽介「くっそ、また間違えちまった……」
雪子「聞こえてないみたいだね……」
千枝「わ、私も勉強しよっと」
>どうやら目論見通りに事が進んでいるようだ。
雪子「二人共やる気になったみたいで良かったね」
有里「うん、これならなんとかなるでしょ」
>このまま続くといいが……。
【2012/7/20(金) 陽介の部屋】
陽介「んだよ、これ!わかんねえって!」
完二「うるせェな、気が散んだろうが!」
有里「完二の言うとおりだよ、落ち着いてやれば出来るはずだから」
>今日は男子組が集まっての勉強会だ。
陽介「あー辛い……ていうか完二までマジになってんのかよ」
完二「……まぁ、テスト前くらい勉強するモンだろうが」
有里「直斗も受けてくれたしね」
完二「ばっ、何言って……んなんじゃねえって!」
陽介「あーなるほどな。そりゃ本気になるわ。悪かったな、からかってよ。俺も頑張るから、絶対勝とうぜ!」
完二「先輩……!」
>……うーん。
>予想はしていたが、完二はともかく陽介のモチベーションが下がりがちだ。
>自分が提案したとはいえ、やるからには勝ちたい……。
有里「これじゃ華が無いし、そうだな……陽介はともかく、完二は直斗に任せた方が伸びも良さそうだ」
>やっぱり、そうするとしようか。
【2012/7/22(日) 晴れ 天城屋旅館】
陽介「で、結局合同になるんだな」
りせ「今日で最後だし、最終調整は堂々といかなきゃね!」
>結局、全員で集まっての勉強会になった。
陽介「でもよー、こう暑いとどうもやる気がなー」
有里「陽介、昨日も言ってたよね……完二を見てみなよ」
完二「でよ、ここんとこがわかんねえんだけど……」
直斗「ああ、そこはこっちです。この公式が対応してるので、数を入れ替えてみてください」
>完二と直斗は仲良く勉強している。
陽介「ありゃお前、暑さよりもっと熱い何かが勝ってんだよ。俺はそういうの無いしー」
千枝「ばっかじゃないの、真面目にやんないと知らないよ?」
雪子「千枝もちゃんとやる。さっきからずっとパタパタしてるだけで進んでないよ?」
千枝「……いや、こう暑いとさ」
りせ「有里せんぱーい、ここわかんなーい」
有里「はいはい、ちょっと待ってね」
陽介「あ!てめー敵に塩送るような真似しやがって!」
有里「みんなの成績が上がる事が一番だよ。その上で報酬があった方がやる気出るでしょ?」
陽介「まーそうだけどよ……」
有里「陽介、ちょっとモチベーション落ちてきてる?」
陽介「正直、ちょっとな……」
>やっぱりか。
>だけど、こうなる事を見越してわざわざ合同勉強会にしたんだ。
有里「陽介、良く聞いて。僕が教えてる間、りせの事を良く見ててね」
陽介「あん?そりゃいいけど、何かあんのかよ」
有里「すぐわかるよ」
>りせの隣に移動し、参考書をめくる。
りせ「私化学嫌ーい……どうせ将来使わないですよお」
有里「まぁまぁ、そう言わずに……」
>陽介は対面からしっかりこっちを見ている。
>よし、そのまま……
有里「ほら、ここに書いてある式が使えるから。それでやってみて」
りせ「あーん、ややこしい……暑いしもーやだー」
>今だ!
>陽介、見ているか?
>気付けたか?
有里「……」
>陽介の顔が輝いている。
>気付いたようだ。
有里「そう、それでいいから。同じやり方でやっていって。僕は陽介も教えないといけないから」
りせ「はーい、また教えてね」
>言いながら、りせは胸元をパタパタと扇いでいる。
>陽介のそばに戻った。
陽介「有里……お前が言いたかった事って」
有里「わかったみたいだね。夏は、そういう事もあるのさ」
>これだけ暑ければ薄着になる。
>そして、今日のりせは胸元がゆるい。
>前のめりになって文字を書く以上、場合によっては「見え」るのだ。
陽介「あん?そりゃいいけど、何かあんのかよ」
有里「すぐわかるよ」
>りせの隣に移動し、参考書をめくる。
りせ「私化学嫌ーい……どうせ将来使わないですよお」
有里「まぁまぁ、そう言わずに……」
>陽介は対面からしっかりこっちを見ている。
>よし、そのまま……
有里「ほら、ここに書いてある式が使えるから。それでやってみて」
りせ「あーん、ややこしい……暑いしもーやだー」
>今だ!
>陽介、見ているか?
>気付けたか?
有里「……」
>陽介の顔が輝いている。
>気付いたようだ。
有里「そう、それでいいから。同じやり方でやっていって。僕は陽介も教えないといけないから」
りせ「はーい、また教えてね」
>言いながら、りせは胸元をパタパタと扇いでいる。
>陽介のそばに戻った。
陽介「有里……お前が言いたかった事って」
有里「わかったみたいだね。夏は、そういう事もあるのさ」
>これだけ暑ければ薄着になる。
>そして、今日のりせは胸元がゆるい。
>前のめりになって文字を書く以上、場合によっては「見え」るのだ。
陽介「うおお、燃えてきた!」
有里「それだけじゃない。見てごらん。天城さんを」
>陽介の視線を天城さんに向ける。
陽介「確かに、天城も今日は薄着だな」
有里「うん。見てみなよ、脚を」
>今日は流石に暑いのか、いつもその白い肌を包んでいる黒のタイツを履いていない。
陽介「いつもと違うな……これもいい!」
有里「しかも、よく見てるとわかるんだけど……今日はスカートじゃないからか、いつもより少し油断してるんだよね」
>今日はハーフパンツだ。
>本来なら、それはチャンスの喪失を意味するのだが……今日は違う。
>ムレるのか、何度も脚を組みなおしている。
>その度に、裾の奥が見えそうで……
陽介「すげえ、桃源郷かここは……」
有里「さらに直斗はどうだ」
陽介「いつも通りだろ、流石にこれじゃ驚く事もねーんじゃねえの?」
有里「そうだね、一見涼しげですらある。だけど、夏に暑くない人間なんていないんだよ。見てごらん」
>一見すると汗一つ無いようだが、肌はしっとりと水気を帯びている。
>そして、そのせいでいつものワイシャツがほんの少しだけ透けている。
陽介「こ、これは……どうなんだ、これ。何か下手に見えてるよりむしろ……」
有里「そういう物なんだよ、人間っていうのはね」
陽介「も、もしかして里中も……」
有里「あ、それはいいから。とにかく、今の季節がどれだけすばらしいかわかっただろ?」
陽介「ん?お、おう。ばっちしだぜ。で、それがどうしたんだよ」
有里「もし勝負に勝てれば、これどころじゃない事が出来るんだよ」
陽介「……これどころじゃない事、だと?」
有里「だって、彼女達に何を命令してもいいんだよ?考えてみなよ、自分ならどう使うか」
有里「それだけじゃない。見てごらん。天城さんを」
>陽介の視線を天城さんに向ける。
陽介「確かに、天城も今日は薄着だな」
有里「うん。見てみなよ、脚を」
>今日は流石に暑いのか、いつもその白い肌を包んでいる黒のタイツを履いていない。
陽介「いつもと違うな……これもいい!」
有里「しかも、よく見てるとわかるんだけど……今日はスカートじゃないからか、いつもより少し油断してるんだよね」
>今日はハーフパンツだ。
>本来なら、それはチャンスの喪失を意味するのだが……今日は違う。
>ムレるのか、何度も脚を組みなおしている。
>その度に、裾の奥が見えそうで……
陽介「すげえ、桃源郷かここは……」
有里「さらに直斗はどうだ」
陽介「いつも通りだろ、流石にこれじゃ驚く事もねーんじゃねえの?」
有里「そうだね、一見涼しげですらある。だけど、夏に暑くない人間なんていないんだよ。見てごらん」
>一見すると汗一つ無いようだが、肌はしっとりと水気を帯びている。
>そして、そのせいでいつものワイシャツがほんの少しだけ透けている。
陽介「こ、これは……どうなんだ、これ。何か下手に見えてるよりむしろ……」
有里「そういう物なんだよ、人間っていうのはね」
陽介「も、もしかして里中も……」
有里「あ、それはいいから。とにかく、今の季節がどれだけすばらしいかわかっただろ?」
陽介「ん?お、おう。ばっちしだぜ。で、それがどうしたんだよ」
有里「もし勝負に勝てれば、これどころじゃない事が出来るんだよ」
陽介「……これどころじゃない事、だと?」
有里「だって、彼女達に何を命令してもいいんだよ?考えてみなよ、自分ならどう使うか」
>……千枝は、見せたくない。
>どういうつもりか、単に自覚が無いのか、千枝は見れば見るほどはしたないことになっている。
>汗でくっついたTシャツに下着の線は透けてるし、襟をつまんでばさばさやるもんだからかなり際どい所まで見えてしまっている。
>火照った顔と、汗でくっついた前髪がまた……
有里「……おっと、僕が没頭してどうする。しかし、アレは良くないな」
>陽介は再び火がついたようだ。
>もくもくと問題集に向かっている。
有里「あー、天城さん。ちょっと」
雪子「はい、どうしたの?」
有里「あの、僕から言うのもなんだから伝えて欲しいんだけど。千枝に、その……胸と、あと肩と……」
雪子「え?……あ、ほんとだ。もう、千枝ったら」
>天城さんは苦笑いしながら千枝に耳打ちした。
千枝「ほぇ?……!!」
>がばっと、自分の体を抱くように隠す千枝。
>逆効果だって。それ、どう考えても不審だから。
>暑さで赤くなった顔が余計に真っ赤になる。
陽介「おい、有里!これ教えてくれ!物理!」
有里「ああ、はいはい。ええと、どこだって?」
>明日から、期末テストだ。
>どういうつもりか、単に自覚が無いのか、千枝は見れば見るほどはしたないことになっている。
>汗でくっついたTシャツに下着の線は透けてるし、襟をつまんでばさばさやるもんだからかなり際どい所まで見えてしまっている。
>火照った顔と、汗でくっついた前髪がまた……
有里「……おっと、僕が没頭してどうする。しかし、アレは良くないな」
>陽介は再び火がついたようだ。
>もくもくと問題集に向かっている。
有里「あー、天城さん。ちょっと」
雪子「はい、どうしたの?」
有里「あの、僕から言うのもなんだから伝えて欲しいんだけど。千枝に、その……胸と、あと肩と……」
雪子「え?……あ、ほんとだ。もう、千枝ったら」
>天城さんは苦笑いしながら千枝に耳打ちした。
千枝「ほぇ?……!!」
>がばっと、自分の体を抱くように隠す千枝。
>逆効果だって。それ、どう考えても不審だから。
>暑さで赤くなった顔が余計に真っ赤になる。
陽介「おい、有里!これ教えてくれ!物理!」
有里「ああ、はいはい。ええと、どこだって?」
>明日から、期末テストだ。
これからしばらくはこんな感じ。
しょーもない毎日、大切な毎日。
八十稲羽男子の運命は!
美鶴はあの二人を敵に回して勝利できると思っているのか!
というわけで本日分は終わり。
では、また後日。
ところで、このスレ内で終わりそうに無いんですけどコテ付けた方がいいのかな。
スレ変わるギリギリくらいでコテ搭載します、多分。
しょーもない毎日、大切な毎日。
八十稲羽男子の運命は!
美鶴はあの二人を敵に回して勝利できると思っているのか!
というわけで本日分は終わり。
では、また後日。
ところで、このスレ内で終わりそうに無いんですけどコテ付けた方がいいのかな。
スレ変わるギリギリくらいでコテ搭載します、多分。
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